JP2005116125A - 光情報記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 補助情報を記録再生する際に、従来の光情報記録媒体と同等の信頼性を発揮することが可能で、生産性の高い光情報記録媒体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも、バーストカッティングエリアに相当する領域が設けられてなる光情報記録媒体であって、
第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる前に、少なくとも前記第1の基板上に前記領域がレーザの照射により設けられてなることを特徴とする光情報記録媒体である。
また、本発明は、少なくとも、バーストカッティングエリアに相当する領域が設けられてなる光情報記録媒体の製造方法であって、
第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる前に、少なくとも前記第1の基板上に前記領域をレーザの照射により設けることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光情報記録媒体およびその製造方法に関し、特に、個別情報や著作権保護情報等の補助情報が記録された光情報記録媒体およびその製造方法に関する。
近年、記録密度のより高い光情報記録媒体が求められている。このような要望に対しては、すでに追記型デジタル・ヴァサタイル・ディスク(所謂DVD−R)が上市されている。
また、最近では、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。そして、HDTV(High Definition Television)の放映も考慮して、画像情報を安価簡便に記録するための大容量記録媒体の要求が益々高まっている。
DVD−Rは、大容量の記録媒体としての地位をある程度までは確保しているものの、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量を有しているとはいえない。そこで、DVD−Rよりもさらに短波長のレーザーを用いることによって記録密度を向上させ、より大きな記録容量を備えた光情報記録媒体の開発が進められている。
ところで、かかる大容量化に伴い、光情報記録媒体に記録した情報の流通や不正コピー防止技術が進展している。すなわち、セキュリティ技術として、光情報記録媒体に対して個々の情報を記録することが要望されている。
このような要望に対し、光情報記録媒体に対する個別情報としては、例えば、再生専用型の光記録情報媒体のピット部に、バーコードを重ね書きした追記領域(Burst Cutting Area、以下「BCA」ということがある)を設け、媒体ごとに異なる情報や、暗号鍵・復号鍵等に関する情報といった補助情報を記録する技術が一般的に適用されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
しかし、光情報記録媒体を作製してからBCAへの補助情報の記録を行うと、当該記録(カッティング)が失敗した場合に、光情報記録媒体自体が不良となって生産性を低下させてしまう。さらに、DVD−R等よりも大容量の光情報記録媒体で、記録層に色素を使用したものになると、現在使用されている半導体もしくはYAGレーザ等によりBCA記録することは困難となる。
特開2002−133726号公報 特開2002−197670号公報 特開2002−208188号公報 特開2003−196843号公報
本発明は、上記問題点を解消するためになされたもので、下記課題を解決することを目的とする。
すなわち、本発明は、補助情報を記録再生する際に、従来の光情報記録媒体と同等の信頼性を発揮することが可能で、生産性の高い光情報記録媒体およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、鋭意検討の結果、本発明者は下記本発明に想到し、当該課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、少なくとも、バーストカッティングエリアに相当する領域が設けられてなる光情報記録媒体であって、
第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる前に、少なくとも前記第1の基板上に前記領域がレーザ照射により設けられてなることを特徴とする光情報記録媒体である。
前記第1の基板上に記録層が形成されてなり、前記記録層上に前記第2の基板を貼り合わせる前に、少なくとも前記第1の基板上に前記領域が設けられてなることが好ましい。また、前記記録層に色素が含有されてなることが好ましい。
さらに、本発明は、少なくとも、バーストカッティングエリアに相当する領域が設けられてなる光情報記録媒体の製造方法であって、
第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる前に、少なくとも前記第1の基板上に前記領域をレーザ照射により設けることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法である。前記第1の基板および前記第2の基板の少なくともいずれかの基板上に、色素を含有する記録層を形成することが好ましい。
本発明の光情報記録媒体は、生産性が高く、補助情報を記録再生する際に、従来の光情報記録媒体と同等の信頼性を発揮することができる。
また、本発明の光情報記録媒体の製造方法によれば、上記光情報記録媒体を効率よく製造することができる。特に、短波長のレーザにより情報を記録再生する光情報記録媒体に対しても、BCAに相当する領域を効率よく形成することができる。
〔光情報記録媒体およびその製造方法〕
本発明の光情報記録媒体は、少なくとも、バーストカッティングエリア(BCA)に相当する領域(以下、「BCA相当領域」ということがある)が設けられてなり、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる前に、少なくとも第1の基板上にBCA相当領域がレーザ照射により設けられてなる。
ここで、「BCA相当領域」とは、図1に示すように、DVD等に形成される光情報記録媒体の識別情報等を記録する領域(図1中の符号10に相当)で、いわゆるBCA(バーストカッティングエリア)と同様の機能を有する領域をいう。BCA相当領域10は、媒体の種類により設けられる場所が異なるが、例えば、光情報記録媒体の中心から、22mm以上24mm以下の範囲に設けられる。
一般的に、光情報記録媒体(主に、DVD等)に形成されるBCAは、トラックの最内周部で複数のトラックに跨って、YAGレーザ等の高出力レーザにより、作製された光情報記録媒体の反射膜を選択的に焼き切って除去し、その円周方向にバーコード状に形成される。
一方、本発明の光情報記録媒体は、第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる前に、少なくとも第1の基板上にBCA相当領域がレーザ照射により設けられてなる。
かかる光情報記録媒体としては、例えば、下記のような態様が挙げられる。
(1)第1の光情報記録媒体は、第1の基板上に当該BCA相当領域を形成し、その後、第1の基板上に記録層、反射層、接着層等を順次形成して、第2の基板(ダミー基板)を貼り合わせてなる光情報記録媒体である。
(2)第2の光情報記録媒体は、第1の基板上に記録層を形成した後、当該BCA相当領域を形成し、その後、記録層上に反射層、接着層等を順次形成して、第2の基板(ダミー基板)を貼り合わせてなる光情報記録媒体である。
(3)第3の光情報記録媒体は、第1の基板上に記録層および反射層を順次形成した後、当該BCA相当領域を形成し、接着層等を形成して、第2の基板(ダミー基板)を貼り合わせてなる光情報記録媒体である。
生産性、信号の安定性を考慮すると、第1の光情報記録媒体のような態様が好ましい。
このような光情報記録媒体では、BCA相当領域を形成した際に第1の基板のほか、記録層、反射層、接着層のいずれかに変形や変質等の影響が出るが、当該領域では、主情報(ユーザーが光学的記録再生装置において記録、再生または消去する情報)の記録再生を行わないため、光情報記録媒体の記録再生特性に影響を与えることはない。
BCA相当領域の形成は、例えば、炭酸ガスレーザ、YAGレーザ、半導体レーザ等を使用することが可能で、従来のBCAの形成方法を適用することができる。2枚の基板を貼り合わせて光情報記録媒体を作製した後にBCA相当領域を形成するよりも、その貼り合わせ前にBCA相当領域を形成してから、貼り合わせる方が、高い生産性を有する光情報記録媒体とすることができる。すなわち、最終的に光情報記録媒体を作製した後で、BCA相当領域を形成するのに失敗すると、これまでの生産が無に帰する。しかし、貼り合わせ前に失敗した場合であれば、光情報記録媒体を作製してから失敗するよりも、生産性に与える影響を小さくすることができる。
また、DVD等よりも大容量で、色素を記録層に使用した光情報記録媒体の場合、記録再生波長として、短波長(例えば、405nm)のレーザを使用するが、この場合、BCA相当領域を形成するための適当な短波長のレーザは、存在せず、効率よくBCA相当領域を形成することができない。しかし、貼り合わせ前であれば、炭酸ガスレーザ等の従来使用されているレーザにより、BCA相当領域を形成することができる。かかる点からも、本発明の光情報記録媒体は生産性が高いといえる。
ここで、BCA相当領域に記録される補助情報としては、使用可能者指定情報、使用期間指定情報、使用可能回数指定情報、レンタル情報、分解能指定情報、レイヤー指定情報、ユーザ指定情報、著作権者情報、著作権番号情報、製造者情報、製造日情報、販売日情報、販売店または販売者情報、使用セット番号情報、地域指定情報、言語指定情報、用途指定情報、製品使用者情報、使用番号情報等が挙げられる。
本発明の光情報記録媒体は、当該補助情報を再生する際は、従来の光情報記録媒体と同等の信頼性(例えば、違法コピー防止に対する信頼性等)を発揮することができる。
本発明の光情報記録媒体の種類としては、読出し専用型、追記型、書換え可能型等のいずれでもよいが、追記型であることが好ましい。また、記録形式としては、相変化型、光磁気型、色素型等、特に制限されないが、色素型であることが好ましい。
代表的な層構成としては、下記の通りである。
(1)第1の層構成は、第1の基板上に記録層、反射層、接着層を順次形成し、接着層上に第2の基板を設ける構成である。
(2)第2の層構成は、基板上に記録層、反射層、保護層、接着層を順次形成し、接着層上にダミー基板を設ける構成である。
(3)第3の層構成は、基板上に記録層、反射層、保護層、接着層、保護層を順次形成し、該保護層上にダミー基板を設ける構成である。
(4)第4の層構成は、基板上に記録層、反射層、保護層、接着層、保護層、反射層を順次形成し、該反射層上にダミー基板を設ける構成である。
(5)第5の層構成は、基板上に記録層、反射層、接着層、反射層を順次形成し、該反射層上にダミー基板を設ける構成である。
なお、上記(1)〜(5)の層構成は単なる例示であり、当該層構成は上述の順番のみでなく、一部を入れ替えてもよく、また、一部を省略してもかまわない。さらに、各層は1層で構成されても複数層で構成されてもよい。
本発明の光情報記録媒体として、円盤状の第1の基板上に、記録層、反射層、接着層、第2の基板をこの順に有する構成を例にとって、その詳細と本発明の光情報記録媒体の製造方法とを以下に説明する。
(第1の基板)
本発明の光情報記録媒体の第1の基板は、従来の光情報記録媒体の基板として用いられている各種の材料から任意に選択することができる。
基板材料としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、アモルファスポリオレフィンおよびポリエステルなどを挙げることができ、所望によりそれらを併用してもよい。
なお、これらの材料はフィルム状としてまたは剛性のある基板として使うことができる。上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性および価格などの点からポリカーボネートが好ましい。
基板の厚さは、0.5〜1.2mmとすることが好ましい。グルーブを設ける場合、トラックピッチや溝幅等は、適用する媒体(CD−RやDVD−R等)によって、適切な条件を採用することが好ましい。
また、より高い記録密度を達成するためにCD−RやDVD−Rに比べて、より狭いトラックピッチのグルーブが形成された基板を用いることが好ましい。この場合、グルーブのトラックピッチは、200〜400μmの範囲にとすることが好ましく、250〜350nmの範囲とすることがより好ましい。また、グルーブの深さ(溝深さ)は、20〜150nmの範囲とすることが好ましく、50〜100nmの範囲とすることがより好ましい。
また、グルーブの溝幅は、50〜250nmの範囲とすることが好ましく、100〜200nmの範囲とすることがより好ましい。グルーブの溝傾斜角度は、20〜80°の範囲とすることが好ましく、30〜70°の範囲とすることがより好ましい。
ここで、グルーブの形状を表す概略断面図を図2に示す。この図において定義されるように、グルーブの溝深さDは、溝形成前の基板表面から溝の最も深い箇所までの距離であり、グルーブの溝幅Wは、D/2の深さでの溝の幅であり、グルーブの溝傾斜角度θは、溝形成前の基板表面からD/10の深さの傾斜部と溝の最も深い箇所からD/10の高さの傾斜部とを結ぶ直線と基板面とが成す角度である。これらの値はAFM(原子間力顕微鏡)により測定することができる。
BCA相当領域を基板上に形成する場合は、従来のBCAを形成するために使用するレーザを用いて行うことができる。当該レーザは、主情報を記録再生する際に使用するレーザの場合と同一側から照射してもよく、また、反対側から照射してもよい。炭酸ガスレーザを使用する場合を考慮すると、反対側から照射することが好ましい。
記録層が設けられる側の基板表面側(グルーブが形成された面側)には、平面性の改善、接着力の向上および記録層の変質防止の目的で、下塗層が設けられてもよい。
下塗層の材料としては例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアクリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート等の高分子物質;およびシランカップリング剤などの表面改質剤などを挙げることができる。下塗層は、上記物質を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法により基板表面に塗布することにより形成することができる。
下塗層の層厚は一般に0.005〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μmの範囲である。
(記録層)
基板上に形成される記録層は、色素を含有する色素型とすることが好ましいが、これに限定されず、相変化型、光磁気型等とすることもできる。
従って、記録層に含有される記録物質としては、色素等の有機化合物および相変化金属化合物等が挙げられる。
前記有機化合物の具体例としては、シアニン色素、オキソノール色素、金属錯体系色素、アゾ色素、フタロシアニン色素等が挙げられる。
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、および同2000−158818号公報等に記載されている色素が好適に用いられる。
さらに、記録物質は色素には限定されず、トリアゾール化合物、トリアジン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、アミノブタジエン化合物、フタロシアニン化合物、桂皮酸化合物、ビオロゲン化合物、アゾ化合物、オキソノールベンゾオキサゾール化合物、ベンゾトリアゾール化合物等の有機化合物も好適に用いられる。これらの化合物の中では、シアニン化合物、アミノブタジエン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、フタロシアニン化合物が特に好ましい。
記録層は、色素等の記録物質を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液を基板上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成される。塗布液中の記録物質の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
記録層の形成は、蒸着、スパッタリング、CVD又は溶剤塗布等の方法によって行うことができるが、溶剤塗布が好ましい。この場合、前記色素等の他、更に所望によりクエンチャー、結合剤などを溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いでこの塗布液を基板表面に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより行うことができる。
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;メチルシクロヘキサンなどの炭化水素;ジブチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロバノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。
上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中にはさらに酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
結合剤を使用する場合、該結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;およびポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブナラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。
記録層の材料として結合剤を併用する場合、結合剤の使用量は、一般に色素の質量の0.01倍量〜50倍量の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量の範囲にある。
前記溶剤塗布の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などを挙げることができる。記録層は単層でも重層でもよい。記録層の層厚は一般に10〜500nmの範囲にあり、好ましくは15〜300nmの範囲にあり、より好ましくは20〜150nmの範囲にある。
記録層には、該記録層の耐光性を向上させるために、種々の枢色防止剤を含有させることができる。褪色防止剤としては、一般的に、一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。その具体例としては、特聞昭58−175693号、同59−31194号、同60−18387号、同60−19586号、同60−19587号、同60−35054号、同60−36190号、同60−36191号、同60−44554号、同60−44555号、同60−44389号、同60−44390号、同60−54892号、同60−47069号、同68−209995号、特開平4−25492号、特公平1−38680号、及び同6−26028号等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁などに記載のものを挙げることができる。
前記一重項酸素クエンチャーなどの褪色防止剤の使用量は、通常、色素の質量の0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、更に好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
(反射層)
情報の再生時における反射率の向上の目的で、記録層に隣接して反射層が設けられることある。反射層の材料である光反射性物質はレーザー光に対する反射率が高い物質であり、その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これらの物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくは、Au金属、Ag金属、Al金属あるいはこれらの合金であり、最も好ましくは、Ag金属、Al金属あるいはそれらの合金である。反射層は、例えば、上記光反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレーティングすることにより基板もしくは記録層の上に形成することができる。反射層の層厚は、一般的には10〜300nmの範囲にあり、50〜200nmの範囲にあることが好ましい。
(接着層)
接着層は、上記反射層と、ダミー基板との密着性を向上させるために形成される任意の層である。
接着層を構成する材料としては、光硬化性樹脂が好ましく、なかでもディスクの反りを防止するため、硬化収縮率の小さいものが好ましい。このような光硬化性樹脂としては、例えば、大日本インク社製の「SD−640」、「SD−347」等のUV硬化性樹脂(UV硬化性接着剤)を挙げることができる。また、接着層の厚さは、弾力性を持たせるため、1〜1000μmの範囲が好ましく、5〜500μmの範囲がより好ましく、10〜100μmの範囲が特に好ましい。
(第2の基板)
第2の基板は、ダミー基板(保護基板)としての機能を有し、第1の基板と同じ材質で、同じ形状のものを使用することができる。
以下に、他の構成で採用される保護層について説明する。
(保護層)
反射層や記録層などを物理的および化学的に保護する目的で保護層を設けられることある。
なお、DVD−R型の光情報記録媒体の製造の場合と同様の形態、すなわち二枚の基板(一方がダミー基板の場合を含む)を記録層を内側にして貼り合わせる構成をとる場合は、必ずしも保護層の付設は必要ではない。
保護層に用いられる材料の例としては、ZnS、ZnS−SiO2、SiO、SiO2、MgF2、SnO2、Si34等の無機物質、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂等の有機物質を挙げることができる。保護層は、例えば、プラスチックの押出加工で得られたフィルムを接着剤を介して反射層上にラミネートすることにより形成することができる。あるいは真空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により設けられてもよい。
また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の場合には、これらを適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を塗布し、乾燥することによっても形成することができる。UV硬化性樹脂の場合には、そのままもしくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を塗布し、UV光を照射して硬化させることによっても形成することができる。これらの塗布液中には、更に帯電防止剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加してもよい。保護層の層厚は一般には0.1μm〜1mmの範囲にある。
また、本発明の光情報記録媒体は、レーザ光により再生可能な情報が記録された記録部(ピット)を有する、いわゆる再生専用型の光情報記録媒体に適用することができるのは既述の通りである。
さらに、その他の構成として、例えば、第1の基板上に、反射層、記録層、カバー層が順次形成された構成とすることもよい。前記カバー層は、接着層(粘着層)を介して記録層上に形成されていることが好ましい。この場合、カバー層以外の構成については、既述の通りである。
(カバー層)
カバー層は、光情報記録媒体内部を衝撃などから防ぐために形成され、透明な材質であれば特に限定されないが、好ましくはポリカーボネート、三酢酸セルロース等であり、より好ましくは、23℃50%RHでの吸湿率が5%以下の材料である。
なお、「透明」とは、記録光および再生光の光に対して、該光を透過する(透過率:90%以上)ほどに透明であることを意味する。
カバー層は、接着層を構成する光硬化性樹脂を適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を所定温度で記録層上に塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜上に、例えばプラスチックの押出加工で得られた三酢酸セルロースフィルム(TACフィルム)をラミネートし、ラミネートしたTACフィルムの上から光を照射して塗布膜を硬化させて形成される。前記TACフィルムとしては、紫外線吸収剤を含むものが好ましい。カバー層の厚さは、0.01〜0.2mmの範囲であり、好ましくは0.03〜0.1mmの範囲、より好ましくは0.05〜0.095mmの範囲である。
また、カバーシートとして、ポリカーボネートシート等を使用することもできる。
粘度制御のため、塗布温度は23〜50℃の範囲が好ましく、24〜40℃の範囲がより好ましく、25〜37℃の範囲がさらに好ましい。
ディスクの反りを防止するため、塗布膜への紫外線の照射はパルス型の光照射器(好ましくは、UV照射器)を用いて行うのが好ましい。パルス間隔はmsec以下が好ましく、μsec以下がより好ましい。1パルスの照射光量は特に制限されないが、3kW/cm2以下が好ましく、2kW/cm2以下がより好ましい。
また、照射回数は特に制限されないが、20回以下が好ましく、10回以下がより好ましい。
〔光情報記録再生方法〕
本発明の光情報記録媒体への光情報記録方法は、上記光情報記録媒体を用いて、例えば、次のように行われる。まず、光情報記録媒体を定線速度(DVDフォーマットの場合は3.5〜4m/秒)または定角速度にて回転させながら、基板側あるいは保護層(もしくはカバー層)側から半導体レーザー光などの記録用の光を照射する。
この光の照射により、記録層がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより、情報が記録されると考えられる。
記録再生に使用するレーザの波長の上限は、800nmとすることが好ましく、700nmとすることがより好ましく、600nmとすることがさらに好ましく、500nmとすることが特に好ましい。また、下限は、100nmとすることが好ましく、200nmとすることがより好ましく、300nmとすることがさらに好ましく、350nmとすることが特に好ましい。
例えば、CD−Rの場合は、750〜850nmの範囲の発振波長(←御回答通り残してあります。)、DVD−Rの場合は、630〜680nmの発振波長を有するレーザー光が用いられる。
また、更に短波長のレーザー光を用いる場合の記録光としては、390〜440nmの範囲の発振波長を有する半導体レーザー光が用いられる。このときの好ましい光源としては390〜415nmの範囲の発振波長を有する青紫色半導体レーザー光、中心発振波長850nm又は820nmの赤外半導体レーザー光を光導波路素子を使って半分の波長にした中心発振波長がそれぞれ425nm又は410nmの青紫色SHGレーザー光を挙げることができる。特に、記録密度の点で青紫色半導体レーザー光を用いることが好ましい。上記のように記録された情報の再生は、光情報記録媒体を上記と同一の定線速度で回転させながら半導体レーザー光を基板側あるいは保護層(もしくはカバー層)側から照射して、その反射光を検出することにより行うことができる。
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
(光情報記録媒体の作製)
射出成形によりポリカーボネート樹脂製で、所定のグルーブを有する基板を作製した。
なお、上記基板は、厚さ0.6mm、外径120mm、内径15mmでスパイラル状のグルーブ(溝深さ75nm、溝幅170nm、トラックピッチ400nm)を有する。AFMで測定した溝の傾斜角度は60°であった。
スパイラル状のグルーブが形成された面側から、炭酸ガスレーザを照射して、BCA相当領域を形成した。
下記化学式で表わされる2gの色素(式中のRnはα−SO249を示し、MはCuを示す)を2,2,3,3−テトラフロロプロパノール100ml中に添加して溶解し、色素塗布液を調製した。調製した色素塗布液を、スピンコート法により回転数300〜4000rpmまで変化させながら23℃50%RHの条件で基板(グルーブが形成されている面)上に塗布した。その後、23℃50%RHで1時間保存して、記録層(溝内(グルーブ)での厚さ:150nm、ランド部での厚さ:100nm)を形成した。
Figure 2005116125
記録層を形成した後、クリーンオーブンにてアニール処理を施した。アニール処理は、基板を垂直のスタックポールにスペーサーで支持しながら、80℃で1時間保持して行った。
記録層上に、Ar雰囲気中、DCスパッタリング(Unaxis社製Cube)によりAPC反射層(Ag:98.1質量%、Pd:0.9質量%、Cu:1質量%、厚さ:100nm)を形成した。膜厚の調整はスパッタリング時間によって行った。
スピンコートにより、反射層上に紫外線硬化樹脂(SD661 大日本インキ製)を塗布し、ポリカーボネート製のダミー基板を貼り合わせ、紫外線を照射して、光情報記録媒体を作製した。
作製した光情報記録媒体における紫外線硬化樹脂からなる接着層の厚さは、約30μmであった。
〔実施例2〕
基板上に記録層を形成し、記録層側から炭酸ガスレーザを照射してBCA相当領域を形成した以外は、実施例1と同様にして、光情報記録媒体を作製した。
〔実施例3〕
基板上に記録層および反射層を形成し、反射層側から炭酸ガスレーザを照射してBCA相当領域を形成した以外は、実施例1と同様にして、光情報記録媒体を作製した。
〔比較例〕
基板上に、記録層、反射層を形成し、接着剤を塗布して、第2の基板であるダミー基板を貼り合わせた後に、BCA相当領域を形成した以外は、実施例1と同様にして、光情報記録媒体を作製した。
実施例1〜3および比較例で作製された光情報記録媒体について、パルステック社製のDDU1000(NA0.65、波長405nm)を使用して再生試験を行った。
比較例で作製された光情報記録媒体には、BCA相当領域が形成されておらず、製品としては、不良となってしまった。これに対し、実施例1〜3で作製された光情報記録媒体には、BCA相当領域が形成され、高い信頼性を維持していた。
本発明の光情報記録媒体の一例を示す上面図である。 基板の溝形状を説明する部分断面図である。
符号の説明
10…BCA相当領域

Claims (5)

  1. 少なくとも、バーストカッティングエリアに相当する領域が設けられてなる光情報記録媒体であって、
    第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる前に、少なくとも前記第1の基板上に前記領域がレーザ照射により設けられてなることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 前記第1の基板上に記録層が形成されてなり、前記記録層上に前記第2の基板を貼り合わせる前に、少なくとも前記第1の基板上に前記領域が設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 前記記録層に色素が含有されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
  4. 少なくとも、バーストカッティングエリアに相当する領域が設けられてなる光情報記録媒体の製造方法であって、
    第1の基板と第2の基板とを貼り合わせる前に、少なくとも前記第1の基板上に前記領域をレーザ照射により設けることを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
  5. 前記第1の基板および前記第2の基板の少なくともいずれかの基板上に、色素を含有する記録層を形成することを特徴とする請求項4に記載の光情報記録媒体の製造方法。
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