JP2005116027A - 記録パワー決定方法、記録パワー決定装置及び光ディスク装置 - Google Patents

記録パワー決定方法、記録パワー決定装置及び光ディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光ディスクに情報を記録する際のレーザ光のパワーを精度良く決定することができる記録パワー決定方法を提供する。
【解決手段】光ディスクの所定領域からの反射光に基づいて取得された反射率に関する値及びベータ値を用いて記録品質に関する値を取得し(ステップ505〜521)、その記録品質に関する値に基づいて記録パワーを決定する(ステップ523、525)。記録品質に関する値は、反射率に関する値に及ぼす記録パワーの影響と、ベータ値に及ぼす記録パワーの影響とが含まれるため、記録パワーに対して高い感度を有することとなる。そこで、予め実験などにより最適な記録パワーに対応する記録品質に関する値を最適値として求めておくことにより、記録品質に関する値と最適値との差から最適な記録パワーを精度良く取得することが可能となる。
【選択図】図6

Description

本発明は、記録パワー決定方法、記録パワー決定装置及び光ディスク装置に係り、更に詳しくは、光ディスクに情報を記録する際のレーザ光の記録パワーを決定する記録パワー決定方法、記録パワー決定装置、及び該記録パワー決定装置を備える光ディスク装置に関する。
近年、デジタル技術の進歩、及びデータ圧縮技術の向上に伴い、音楽や映像といったAV(Audio-Visual)情報を記録するための媒体としてCD(compact disc)やDVD(digital versatile disc)などの光ディスクが注目されるようになり、その低価格化とともに、光ディスクを情報記録の対象媒体とする光ディスク装置が普及するようになった。
この光ディスク装置では、光源からレーザ光を出射し、スパイラル状又は同心円状のトラックが形成された光ディスクの記録面に微小スポットを形成して情報の記録及び消去を行い、記録面からの反射光に基づいて情報の再生などを行っている。
ところで、光ディスクでは、互いに反射率の異なるマーク領域及びスペース領域のそれぞれの長さとそれらの組み合わせとによって情報が記録される。そこで、光ディスクに情報を記録する際には所定の位置にマーク領域及びスペース領域がそれぞれ形成されるように、光源から出射されるレーザ光のパワー(発光パワー)が制御される。
例えば、記録面に有機色素を含むCD−R(CD−recordable)、DVD−R(DVD−recordable)及びDVD+R(DVD+recordable)などの一度だけ書き込みが可能な光ディスク(以下「追記型光ディスク」ともいう)では、マーク領域を形成するときには発光パワーを大きくして色素を加熱及び溶解し、そこに接しているディスク基板部分を変質・変形させている。一方、スペース領域を形成するときにはディスク基板が変質・変形しないように発光パワーを再生時と同程度に小さくしている。これにより、マーク領域ではスペース領域よりも反射率が低くなる。このような発光パワーの制御方式は、単パルス記録方式とも呼ばれている。なお、マーク領域を形成するときの発光パワーは記録パワーとも呼ばれている。
また、記録面に特殊合金を含むCD−RW(CD−rewritable)、DVD−RW(DVD−rewritable)、及びDVD+RW(DVD+rewritable)などの書き換え可能な光ディスク(以下、便宜上「書き換え可能型光ディスク」ともいう)では、マーク領域を形成する時には、特殊合金を第1の温度に加熱したのち急冷し、アモルファス(非晶質)状態にしている。一方、スペース領域を形成する時には、特殊合金を第2の温度(<第1の温度)に加熱したのち徐冷し、結晶状態にしている。これにより、マーク領域ではスペース領域よりも反射率が低くなる。このような特殊合金の温度制御はレーザ光の発光パワーを制御することによって行なわれる。なお、蓄熱の影響を除去するために、マーク領域を形成するときの発光パワーを複数のパルスに分割(マルチパルス化)することが行なわれている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)。このような発光パワーの制御方式はマルチパルス記録方式とも呼ばれている。マルチパルス化された発光パワーの最大値は加熱パワー(記録パワー)、最小値は冷却パワーとも呼ばれている。また、スペース領域を形成するときの発光パワーはイレーズパワー(加熱パワー>イレーズパワー>冷却パワー)とも呼ばれている。
上記発光パワーは、記録品質に大きな影響を与えるため、発光パワーを精度良く制御するための装置及び方法が種々提案されている(例えば、特許文献4〜特許文献6参照)。
光ディスクの利用が一般化するにつれて、記録速度のさらなる高速化に対する要求が高まっている。記録速度が高速化すると、マーク領域及びスペース領域を従来よりも短時間で形成しなければならないため、発光パワーを更に精度良く制御する必要がある。しかしながら、特許文献4〜特許文献6に開示されている装置及び方法では、今後記録速度が更に高速化すると、例えば記録に先立って行われるOPC(Optimum Power Control)で得られた記録パワーが必ずしも最適な記録パワーとはならず、記録品質が低下するおそれがある。
特開平10−106008号公報 特開平11−232651号公報 特開2001−229564号公報 特開平6−338073号公報 特開平7−153106号公報 特許第2744043号公報
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、光ディスクに情報を記録する際のレーザ光の記録パワーを精度良く決定することができる記録パワー決定方法及び記録パワー決定装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、記録品質に優れた記録を高速度で行うことができる光ディスク装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、光ディスクの記録面に情報を記録する際のレーザ光の記録パワーを決定する記録パワー決定方法であって、前記光ディスクの記録面における所定の既記録領域からの反射光に基づいて取得された前記既記録領域の反射率に関する値及びベータ値に基づいて前記記録パワーを決定する工程を含む記録パワー決定方法である。
なお、本明細書では、「反射率に関する値」は、反射率そのものだけでなく、反射率に変換することができる値、及び反射率の変化に応じて変化する値などを含む。また、「記録品質に関する値」は、記録品質の変化に応じて変化する値を含み、記録品質の評価に利用することができる値である。
既にデータが記録されている既記録領域では、その領域にデータが書き込まれたときの記録パワーに応じた、反射率に関する値及びベータ値がそれぞれ取得される。本発明によれば、光ディスクの記録面における所定の既記録領域からの反射光に基づいて取得された既記録領域の反射率に関する値及びベータ値に基づいて光ディスクに情報を記録する際のレーザ光の記録パワーが決定される。そこで、反射率に関する値とベータ値とを含む情報は、反射率に関する値に対する記録パワーの影響とベータ値に対する記録パワーの影響とが重畳され、記録パワーに対して高い感度特性を有することとなる。従って、光ディスクに情報を記録する際のレーザ光の記録パワーを精度良く決定することが可能となる。
この場合において、請求項2に記載の記録パワー決定方法の如く、前記工程では、前記反射率に関する値R、前記ベータ値β、既知の係数a及びbを用いて、(a×β)+(b×R)で示される値に基づいて、前記記録パワーを決定することとすることができる。
この場合において、請求項3に記載の記録パワー決定方法の如く、前記係数a及びbの少なくとも一方は、前記光ディスクのベンダーに対応していることとすることができる。
上記請求項2及び3に記載の各記録パワー決定方法において、請求項4に記載の記録パワー決定方法の如く、前記係数a及びbの少なくとも一方は、前記情報を記録する際の前記光ディスクの線速度に対応していることとすることができる。
上記請求項1〜4に記載の各記録パワー決定方法において、請求項5に記載の記録パワー決定方法の如く、前記光ディスクは、DVD+R又はDVD+RWの規格に準拠した光ディスクであることとすることができる。
この場合において、請求項6に記載の記録パワー決定方法の如く、前記反射率に関する値は、前記既記録領域からの反射光に基づいて取得されたHF信号の平均レベルIave、及び前記既記録領域に所定のデータが書き込まれたときのレーザ光のパワーPwを用いて、(Iave÷Pw)で示される値であることとすることができる。
上記請求項5に記載の記録パワー決定方法において、請求項7に記載の記録パワー決定方法の如く、前記反射率に関する値は、前記既記録領域からの反射光に基づいて取得されたHF信号の平均レベルIave、及び前記HF信号の振幅Iwを用いて、(Iave÷Iw)で示される値であることとすることができる。
上記請求項1〜7に記載の各記録パワー決定方法において、請求項8に記載の記録パワー決定方法の如く、前記既記録領域は、所定のテスト用データが書き込まれた試し書き領域であることとすることができる。かかる場合には、前記OPCにおいて、記録パワーを精度良く決定することが可能となる。
上記請求項1〜7に記載の各記録パワー決定方法において、請求項9に記載の記録パワー決定方法の如く、前記既記録領域は、直前にユーザデータが書き込まれた領域であることとすることができる。かかる場合には、いわゆるランニングOPCにおいて、記録パワーを精度良く決定することが可能となる。
請求項10に記載の発明は、光ディスクの記録面に情報を記録する際のレーザ光の記録パワーを決定する記録パワー決定装置であって、前記光ディスクの記録面における所定の既記録領域からの反射光に基づいて前記既記録領域の反射率に関する値を取得する反射率取得手段と;前記既記録領域からの反射光に基づいてベータ値を取得するベータ値取得手段と;前記反射率に関する値及びベータ値に基づいて前記記録パワーを決定する決定手段と;を備える記録パワー決定装置である。
これによれば、光ディスクの記録面における所定の既記録領域からの反射光に基づいて、反射率取得手段により既記録領域の反射率に関する値が取得され、ベータ値取得手段によりベータ値が取得される。そして、決定手段により反射率に関する値及びベータ値に基づいて光ディスクに情報を記録する際のレーザ光の記録パワーが決定される。既記録領域では、その領域にデータが書き込まれたときの記録パワーに応じた、反射率に関する値及びベータ値がそれぞれ取得される。そこで、反射率に関する値とベータ値とを含む情報は、反射率に関する値に対する記録パワーの影響とベータ値に対する記録パワーの影響とが重畳され、記録パワーに対して高い感度特性を有することとなる。従って、光ディスクに情報を記録する際のレーザ光の記録パワーを精度良く決定することが可能となる。
この場合において、請求項11に記載の記録パワー決定装置の如く、前記決定手段は、前記反射率に関する値R、前記ベータ値β、既知の係数a及びbを用いて、(a×β)+(b×R)で示される値に基づいて前記記録パワーを決定することとすることができる。
この場合において、請求項12に記載の記録パワー決定装置の如く、前記係数a及びbの少なくとも一方は、前記光ディスクのベンダーに対応していることとすることができる。
上記請求項11及び12に記載の各記録パワー決定装置において、請求項13に記載の記録パワー決定装置の如く、前記係数a及びbの少なくとも一方は、前記情報を記録する際の前記光ディスクの線速度に対応していることとすることができる。
上記請求項10〜13に記載の各記録パワー決定装置において、請求項14に記載の記録パワー決定装置の如く、前記光ディスクはDVD+R又はDVD+RWの規格に準拠した光ディスクであることとすることができる。
この場合において、請求項15に記載の記録パワー決定装置の如く、前記反射率取得手段は、前記既記録領域からの反射光に基づいて取得されたHF信号の平均レベルIave、及び前記既記録領域にデータが書き込まれたときのパワーPwを用いて、(Iave÷Pw)で示される値を前記反射率に関する値として取得することとすることができる。
上記請求項14に記載の記録パワー決定装置において、請求項16に記載の記録パワー決定装置の如く、前記反射率取得手段は、前記既記録領域からの反射光に基づいて取得されたHF信号の平均レベルIave、及び前記HF信号の振幅Iwを用いて、(Iave÷Iw)で示される値を前記反射率に関する値として取得することとすることができる。
上記請求項10〜16に記載の各記録パワー決定装置において、請求項17に記載の記録パワー決定装置の如く、前記既記録領域は、所定のテスト用データが書き込まれた試し書き領域であることとすることができる。かかる場合には、前記OPCにおいて、記録パワーを精度良く決定することが可能となる。
上記請求項10〜16に記載の各記録パワー決定装置において、請求項18に記載の記録パワー決定装置の如く、前記既記録領域は、直前にユーザデータが書き込まれた領域であることとすることができる。かかる場合には、いわゆるランニングOPCにおいて、記録パワーを精度良く決定することが可能となる。
請求項19に記載の発明は、光ディスクにレーザ光を照射して、情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも記録を行なう光ディスク装置であって、前記レーザ光の記録パワーを決定する請求項10〜18のいずれか一項に記載の記録パワー決定装置と;前記決定された記録パワーで前記光ディスクにデータを記録するデータ記録手段と;を備える光ディスク装置である。
これによれば、請求項10〜18のいずれか一項に記載の記録パワー決定装置を備えているために、光ディスクに情報を記録する際のレーザ光の記録パワーを精度良く決定することができる。従って、結果として記録品質に優れた記録を高速度で行うことが可能となる。
以下、本発明の一実施形態を図1〜図11に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成が示されている。
この図1に示される光ディスク装置20は、シークモータ21、スピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、レーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ26、PUドライバ27、再生信号処理回路28、モータコントローラ29、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における接続線は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。なお、本実施形態では、一例としてDVD+Rの規格に準拠した情報記録媒体が光ディスク15に用いられるものとする。
前記シークモータ21は、スレッジ方向(図2ではZ軸方向)に光ピックアップ装置23を駆動するためのモータである。前記スピンドルモータ22は、光ディスク15を回転駆動するためのモータである。
前記光ピックアップ装置23は、トラックが形成された光ディスク15の記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置である。この光ピックアップ装置23は、一例として図2に示されるように、光源ユニット51、コリメートレンズ52、ビームスプリッタ54、対物レンズ60、検出レンズ58、受光器PD、及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ及びトラッキングアクチュエータ(いずれも図示省略))などを備えている。
前記光源ユニット51は、波長が660nmのレーザ光を発光する光源としての半導体レーザLDを含んで構成されている。なお、本実施形態では、光源ユニット51から出射されるレーザ光の光束の最大強度出射方向を+X方向とする。
前記コリメートレンズ52は、光源ユニット51の+X側に配置され、光源ユニット51から出射された光束を略平行光とする。
前記ビームスプリッタ54は、コリメートレンズ52の+X側に配置され、コリメートレンズ52で略平行光とされた光束をそのまま透過させる。また、このビームスプリッタ54は、光ディスク15の記録面で反射され、前記対物レンズ60を介して入射する光束(戻り光束)を−Z方向に分岐する。
前記対物レンズ60は、ビームスプリッタ54の+X側に配置され、ビームスプリッタ54を透過した光束を光ディスク15の記録面に集光する。
前記検出レンズ58は、ビームスプリッタ54の−Z側に配置され、ビームスプリッタ54で−Z方向に分岐された戻り光束を前記受光器PDの受光面に集光する。受光器PDは、通常の光ピックアップ装置と同様に、ウォブル信号情報、再生データ情報、フォーカスエラー情報及びトラックエラー情報などを含む複数の信号を再生信号処理回路28に出力する。
前記フォーカシングアクチュエータ(図示省略)は、対物レンズ60の光軸方向であるフォーカス方向(図2ではX軸方向)に対物レンズ60を微少駆動するためのアクチュエータである。
前記トラッキングアクチュエータ(図示省略)は、トラックの接線方向に直交する方向であるトラッキング方向(図2ではZ軸方向)に対物レンズ60を微少駆動するためのアクチュエータである。
前記再生信号処理回路28は、図3に示されるように、I/Vアンプ28a、サーボ信号検出回路28b、ウォブル信号検出回路28c、HF信号検出回路28d、デコーダ28e、平均レベル検出回路28f及びホールド回路28gなどから構成されている。なお、図3における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。
上記I/Vアンプ28aは、受光器PDからの電流信号を電圧信号に変換するとともに、所定のゲインで増幅する。
前記サーボ信号検出回路28bは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてサーボ信号(フォーカスエラー信号及びトラックエラー信号など)を検出する。ここで検出されたサーボ信号はサーボコントローラ33に出力される。
前記ウォブル信号検出回路28cは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてウォブル信号(Swbとする)を検出する。ここで検出されたウォブル信号Swbは、デコーダ28eに出力される。
前記HF信号検出回路28dは、I/Vアンプ28aの出力信号に基づいてHF信号(Shfとする)を検出する。ここで検出されたHF信号Shfは、デコーダ28e、平均レベル検出回路28f、及びホールド回路28gに出力される。
前記デコーダ28eは、ウォブル信号Swbからアドレス情報や同期情報などを抽出する。ここで抽出されたアドレス情報はCPU40に出力され、同期情報はクロック信号Wckとしてエンコーダ25及びモータコントーラ29などに出力される。また、デコーダ28eは、HF信号Shfに対して復号処理及び誤り検出処理等を行い、誤りが検出されたときには誤り訂正処理を行った後、再生データとしてバッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。なお、HF信号Shfにはアドレス情報が含まれており、デコーダ28eは、HF信号から抽出したアドレス情報をCPU40に出力する。
前記平均レベル検出回路28fは、HF信号Shfの平均レベルIaveを検出する。ここでは、一例として図4に示されるように、平均レベル検出回路28fとして、抵抗f1及びコンデンサf2からなるローパスフィルタが用いられる。ここで検出された平均レベルIaveはCPU40に出力される。
前記ホールド回路28gは、HF信号Shfのピークレベルとボトムレベルを検出する。ここでは、ホールド回路28gは、一例として図4に示されるように、HF信号ShfをACカップリングするためのコンデンサg1と抵抗g4、ACカップリング後のHF信号Shfのピークレベル(Ipとする)を検出するためのピークホールド回路g2及びボトムレベル(Ibとする)を検出するためのボトムホールド回路g3を有している。ここで検出されたピークレベルIp及びボトムレベルIbは、それぞれCPU40に出力される。なお、CPU40では、次の(1)式に基づいてβ値が算出される。
β=(Ip−Ib)÷(Ip+Ib) …(1)
図1に戻り、前記サーボコントローラ33は、サーボ信号検出回路28bからのフォーカスエラー信号に基づいてフォーカスずれを補正するためのフォーカス制御信号を生成するとともに、トラックエラー信号に基づいてトラックずれを補正するためのトラッキング制御信号を生成する。ここで生成された各制御信号は、サーボオンのときにPUドライバ27に出力され、サーボオフのときには出力されない。サーボオン及びサーボオフはCPU40によって設定される。
前記PUドライバ27は、上記フォーカス制御信号に対応した前記フォーカシングアクチュエータの駆動信号を光ピックアップ装置23に出力し、上記トラッキング制御信号に対応した前記トラッキングアクチュエータの駆動信号を光ピックアップ装置23に出力する。すなわち、サーボ信号検出回路28b、サーボコントローラ33及びPUドライバ27によってトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。
前記モータコントローラ29は、CPU40の指示に基づいて前記スピンドルモータ22の回転を制御するための回転制御信号を生成する。また、モータコントローラ29は、CPU40の指示に基づいて前記シークモータ21の駆動を制御するためのシーク制御信号を生成する。ここで生成された各制御信号はモータドライバ26に出力される。
前記モータドライバ26は、上記回転制御信号に対応した駆動信号をスピンドルモータ22に出力し、かつ上記シーク制御信号に対応した駆動信号をシークモータ21に出力する。
前記バッファRAM34は、光ディスク15に記録するデータ(記録用データ)、及び光ディスク15から再生したデータ(再生データ)などが一時的に格納されるバッファ領域と、各種プログラム変数などが格納される変数領域とを有している。
前記バッファマネージャ37は、バッファRAM34へのデータの入出力を管理する。そして、バッファRAM34のバッファ領域に蓄積されたデータ量が所定量になるとCPU40に通知する。
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいてバッファRAM34に蓄積されている記録用データをバッファマネージャ37を介して取り出し、データ変調及びエラー訂正コードの付加などを行ない、光ディスク15への書き込み信号を生成する。ここで生成された書き込み信号は、前記クロック信号Wckとともにレーザコントロール回路24に出力される。ここでは、一例として、エンコーダ25、再生信号処理回路28、バッファマネージャ37及びインターフェース38は、1つのLSIに集積されている。
前記レーザコントロール回路24は、光ディスク15に照射されるレーザ光のパワーを制御する。例えば記録の際には、記録条件、半導体レーザLDの発光特性、エンコーダ25からの書き込み信号及びクロック信号Wckなどに基づいて半導体レーザLDの駆動信号が生成される。
前記インターフェース38は、ホストとの双方向の通信インターフェースであり、一例としてATAPI(AT Attachment Packet Interface)の規格に準拠している。
前記フラッシュメモリ39はプログラム領域とデータ領域とを備えており、プログラム領域には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。一方、データ領域には、半導体レーザLDの発光特性に関する情報、光ピックアップ装置23のシーク動作に関する情報(以下「シーク情報」ともいう)、記録条件、係数テーブル及び最適値テーブルなどが格納されている。この係数テーブルには、一例として図5に示されるように、記録品質に関する値(Kとする)を算出するための係数a及びbがベンダー毎及び記録時の線速度毎に格納されている。係数a及びbは、例えば実験、シミュレーション及び理論計算などに基づいて、例えば光ディスク装置20の製造工程、検査工程及び調整工程のうちの少なくともいずれかの工程において取得され、係数テーブルに格納されている。また、最適値テーブルには、記録品質に関する値Kの最適値(Kopとする)がベンダー毎及び記録時の線速度毎に格納されている。この最適値Kopは、例えば実験、シミュレーション及び理論計算などに基づいて、ジッタが最小値となるときの記録品質に関する値として、例えば光ディスク装置20の製造工程、検査工程及び調整工程のうちの少なくともいずれかの工程において取得され、最適値テーブルに格納されている。係数テーブル及び最適値テーブルは記録パワーを決定する際にそれぞれCPU40から参照される。
なお、本実施形態では、一例として上記記録品質に関する値Kは次の(2)式に基づいて算出される。ここで、βは前記(1)式に基づいて算出されるβ値であり、Rは次の(3)式に基づいて算出される反射率に関する値である。また、Iaveは前記HF信号Shfの平均レベルであり、Pwは記録パワーである。
K=(a×β)+(b×R) …(2)
R=Iave÷Pw …(3)
本実施形態では、例えばベンダーv1の光ディスクでは、線速度がw1のときはa=1、b=0、線速度がw2のときはa=0.8、b=−0.2、線速度がw3のときはa=0.6、b=−0.4である。また、ベンダーv2の光ディスクでは、線速度がw1のときはa=0.8、b=−0.2、線速度がw2のときはa=0.5、b=−0.5、線速度がw3のときはa=0.4、b=−0.6である。
前記CPU40は、フラッシュメモリ39のプログラム領域に格納されているプログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどをバッファRAM34の変数領域及びRAM41に保存する。なお、CPU40には不図示のA/D変換器及びD/A変換器が併設されており、アナログ信号はA/D変換器を介してCPU40に入力されるようになっている。また、CPU40からの信号はD/A変換器を介してアナログ回路に出力されるようになっている。
《記録処理》
次に、ホストからの記録要求コマンドを受信したときの光ディスク装置20における処理(記録処理)について図6を用いて簡単に説明する。図6のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応し、ホストから記録要求コマンドを受信すると、図6のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、記録処理がスタートする。
最初のステップ501では、スピンドルモータ22が記録速度に応じて回転するようにモータコントローラ29に指示するとともに、ホストから記録要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。また、ホストから受信したデータ(記録用データ)のバッファRAM34への蓄積をバッファマネージャ37に指示する。
次のステップ503では、光ディスク15が所定の線速度で回転していることを確認すると、サーボコントローラ33に対してサーボオンを設定する。これにより、前述の如く、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は記録処理が終了するまで随時行われる。
次のステップ505では、光ディスク15のベンダー情報を取得する。なお、光ディスクのベンダー情報は、光ディスク15が光ディスク装置20にローディング(マウント)されたときにADIP(Address In Pregroove)情報から取得され、RAM41に格納されている。
次のステップ507では、フラッシュメモリ39のデータ領域を参照し、前記係数テーブルからベンダー情報及び記録時の線速度に対応する係数a及びbを抽出する。
次のステップ509では、ループカウンタ(nとする)に初期値1をセットする。
次のステップ511では、予め設定されているn(ここではn=1)番目の発光パワーを記録パワーに設定する。
次のステップ513では、試し書きを行なう。すなわち、上記設定された記録パワーでPCA(Power Calibration Area)と呼ばれる試し書き領域に所定のテスト用データを書き込む。
次のステップ515では、ループカウンタnを参照し、nの値が予め設定されている値Nopc(≧2)未満であるか否かを判断する。ここではn=1であるため、ここでの判断は肯定されステップ517に移行する。
このステップ517では、ループカウンタnの値に1を加算する。そして、前記ステップ511に戻る。
以下、ループカウンタnの値がNopc以上になるまで、前記ステップ511〜517のループ処理を繰り返し行なう。
ループカウンタnの値がNopc以上になると、前記ステップ515での判断は否定されステップ519に移行する。
このステップ519では、上記試し書き領域の再生を指示し、記録パワー毎に、ホールド回路28gの出力信号から得られるIp及びIbの値をそれぞれ前記(1)式に代入してβ値を取得するとともに、平均レベル検出回路28fの出力信号から得られるIaveの値と記録パワーとをそれぞれ前記(3)式に代入して反射率に関する値Rを取得する。
次のステップ521では、前記ステップ507で抽出した係数a及びbの値、上記ステップ519で取得したβ値及び反射率に関する値Rをそれぞれ前記(2)式に代入し、記録パワー毎に、記録品質に関する値Kを算出する。これにより、一例として図8に示されるように、記録パワーと記録品質に関する値Kとの関係を求めることができる。
次のステップ523では、フラッシュメモリ39のデータ領域を参照し、前記最適値テーブルからベンダー情報及び記録時の線速度に対応する最適値Kopを抽出する。そして、上記記録パワーと記録品質に関する値Kとの関係に基づいて最適値Kopに対応する記録パワー(Popとする)を求める。ここでは、一例として近似演算あるいは補間演算により記録パワーPopを求める。
次のステップ525では、上記記録パワーPopを最適な記録パワーとしてRAM41に保存する。すなわち、前記ステップ505〜525の処理により、いわゆるOPCが行われることとなる。そして、図7のステップ601に移行する
このステップ601では、デコーダ28eからのアドレス情報に基づいて現在のアドレスを取得する。
次のステップ603では、現在のアドレスと記録要求コマンドから抽出した目標アドレスとの差分(アドレス差)を算出する。
次のステップ605では、アドレス差に基づいてシークが必要であるか否かを判断する。ここでは、前記シーク情報の一つとしてフラッシュメモリ39に格納されている閾値を参照し、アドレス差が閾値を越えていれば、ここでの判断は肯定され、ステップ607に移行する。
このステップ607では、シークモータ21の駆動をモータコントローラ29に指示する。これにより、シークモータ21が駆動し、アドレス差が小さくなるようにシーク動作が行なわれる。そして、前記ステップ601に戻る。
以下、アドレス差が閾値以下になるまで、上記ステップ601〜607のループ処理を繰り返し行う。
前記ステップ605において、アドレス差が閾値以下であれば、ここでの判断は否定され、ステップ609に移行する。
このステップ609では、現在のアドレスが目標アドレスと一致しているか否かを判断する。現在のアドレスが目標アドレスと一致していなければ、ここでの判断は否定され、ステップ611に移行する。
このステップ611では、、デコーダ28eからのアドレス情報に基づいて現在のアドレスを取得する。そして、前記ステップ609に戻る。
以下、前記ステップ609での判断が肯定されるまで、ステップ609、611のループ処理を繰り返し行う。
前記ステップ609において、現在のアドレスが目標アドレスと一致していれば、ここでの判断は肯定され、ステップ613に移行する。
このステップ613では、全ての記録用データが光ディスク15に書き込まれているか否かを判断する。ここでは、まだ書き込みが行われていないので、ここでの判断は否定され、ステップ615に移行する。
このステップ615では、エンコーダ25へのライト信号をオンに設定する。これにより、記録用データは、エンコーダ25、レーザコントロール回路24及び光ピックアップ装置23を介して光ディスク15に書き込まれる。
次のステップ617では、所定量(例えば1ECCブロック)の書き込みが終了したか否かを判断する。所定量の書き込みが終了していなければ、ここでの判断は否定され、所定量の書き込みが終了するまで待機する。所定量の書き込みが終了していれば、ここでの判断は肯定されステップ619に移行する。
このステップ619では、ライト信号をオフに設定する。そして、直前の書き込み領域の再生を指示する。
次のステップ621では、前記ステップ519と同様にしてβ値及び反射率に関する値Rを取得する。
次のステップ623では、前記ステップ521と同様にして記録品質に関する値Kを算出する。
次のステップ625では、上記ステップ623で算出された記録品質に関する値K(以下便宜上、「算出値K」ともいう)と最適値Kopとの差分が予め設定されている許容値(ΔKとする)以下であるか否かを判断する。例えば算出値Kと最適値Kopとの差分が許容値ΔKを超えていれば、ここでの判断は否定され、ステップ627に移行する。
このステップ627では、算出値Kと最適値Kopとの差に基づいて記録パワーを補正する。例えば、算出値Kが最適値Kopよりも大きい場合には、算出値Kと最適値Kopとの差に対応するパワーを記録パワーから減算する。一方、算出値Kが最適値Kopよりも小さい場合には、最適値Kopと算出値Kとの差に対応するパワーを記録パワーに加算する。そして、前記ステップ613に戻る。すなわち、前記ステップ619〜627の処理により、いわゆるランニングOPCが行われることとなる。
一方、前記ステップ625において、算出値Kと最適値Kopとの差分が許容値ΔK以下であれば、ここでの判断は肯定され、前記ステップ613に戻る。すなわち、記録パワーの補正は行われない。
また、前記ステップ613において、全ての記録用データが書き込まれていると、ステップ613での判断は肯定され、所定の終了処理を行った後、記録処理を終了する。
《再生処理》
さらに、ホストから再生要求コマンドを受信したときの光ディスク装置20における処理(再生処理)について図9を用いて説明する。図9のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応し、ホストから再生要求コマンドを受信すると、図9のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、再生処理がスタートする。
最初のステップ701では、スピンドルモータ22が再生速度に応じて回転するようにモータコントローラ29に指示するとともに、ホストから再生要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
次のステップ703では、光ディスク15が所定の線速度で回転していることを確認すると、サーボコントローラ33に対してサーボオンを設定する。これにより、前述の如くトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は再生処理が終了するまで随時行われる。また、トラックのアドレス情報はHF信号に基づいて随時デコーダ28eからCPU40に出力される。
次のステップ705では、、デコーダ28eからのアドレス情報に基づいて現在のアドレスを取得する。
次のステップ707では、現在のアドレスと再生要求コマンドから抽出した目標アドレスとの差分(アドレス差)を算出する。
次のステップ709では、前記ステップ605と同様にして、シークが必要であるか否かを判断する。シークが必要であれば、ここでの判断は肯定され、ステップ711に移行する。
このステップ711では、シークモータ21の駆動をモータコントローラ29に指示する。これにより、シークモータ21が駆動し、アドレス差が小さくなるようにシーク動作が行なわれる。そして、前記ステップ705に戻る。
以下、アドレス差が閾値以下になるまで、上記ステップ705〜711のループ処理を繰り返し行う。
前記ステップ709において、アドレス差が閾値以下であれば、ここでの判断は否定され、ステップ713に移行する。
このステップ713では、現在のアドレスが目標アドレスと一致しているか否かを判断する。現在のアドレスが目標アドレスと一致していなければ、ここでの判断は否定され、ステップ715に移行する。
このステップ715では、、デコーダ28eからのアドレス情報に基づいて現在のアドレスを取得する。そして、前記ステップ713に戻る。
以下、前記ステップ713での判断が肯定されるまで、ステップ713、715のループ処理を繰り返し行う。
現在のアドレスが目標アドレスと一致すれば、前記ステップ713での判断は肯定され、ステップ717に移行する。
このステップ717では、再生信号処理回路28に読み取りを指示する。これにより、前述した如く再生信号処理回路28にて再生データが取得され、バッファRAM34に格納される。この再生データはセクタ単位でバッファマネージャ37及びインターフェース38を介してホストに転送される。そして、ホストから指定されたデータの再生がすべて終了すると、所定の終了処理を行った後、再生処理を終了する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光ディスク装置20では、再生信号処理回路28と、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって、記録パワー決定装置が実現されている。すなわち、平均レベル検出回路28fとCPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって反射率取得手段が実現され、ホールド回路28gとCPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによってベータ値検出手段が実現され、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムによって決定手段が実現されている。また、光ピックアップ装置23とCPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムとによって、データ記録手段が実現されている。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではないことは勿論である。すなわち、上記実施形態は一例に過ぎず、上記のCPU40によるプログラムに従う処理によって実現した各手段の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良い。
そして、図6では、ステップ505〜523での処理によって、本発明に係る記録パワー決定方法が実施されている。また、図7では、ステップ619〜627での処理によって、本発明に係る記録パワー決定方法が実施されている。
以上説明したように、本実施形態によると、ホストから記録要求コマンドを受信すると、記録パワーを段階的に変化させつつ、PCA領域に所定のテストデータを試し書きする。その後、それらのテストデータを順次再生し、光ディスク15のベンダー情報及び線速度に対応して係数テーブルから抽出された係数a及びbと、HF信号から検出された反射率に関する値R及びβ値(ベータ値)とに基づいて、記録品質に関する値Kを記録パワー毎に取得する。そして、記録品質に関する値Kと記録パワーとの関係に基づいて、光ディスク15のベンダー情報及び線速度に対応して最適値テーブルから抽出された最適値Kopに対応する記録パワーPopを求め、その記録パワーPopを最適な記録パワーとしている。
データが書き込まれている領域(既記録領域)では、その領域にデータが書き込まれたときの記録パワーに応じた、反射率に関する値R及びβ値がそれぞれ取得される。そこで、記録品質に関する値Kには反射率に関する値Rに対する記録パワーの影響とβ値に対する記録パワーの影響とが重畳されることとなる。これにより、記録品質に関する値Kは、記録パワーに対して高い感度特性を有するとともに、記録パワーの変化に応じてほぼ一様に変化する。従って、光ディスクに情報を記録する際のレーザ光の記録パワーを精度良く決定することが可能となる。
また、記録品質に関する値Kと記録パワーとの関係(図8参照)は、β値と記録パワーとの関係(図10参照)及び反射率に関する値Rと記録パワーとの関係(図11参照)に比べて、単純な近似式で表すことが可能であり、β値と記録パワーとの関係及び反射率に関する値と記録パワーとの関係の一方を用いる場合に比べて、記録パワーを精度良く決定することができる。
また、本実施形態によると、所定量(例えば1ECCブロック)のユーザデータを書き込む度に、直前に書き込んだ領域を再生し、光ディスク15のベンダー情報及び線速度に対応して係数テーブルから抽出された係数a及びb、HF信号から検出された反射率に関する値及びβ値に基づいて記録品質に関する値Kを取得する。そして、光ディスク15のベンダー情報及び線速度に対応して最適値テーブルから抽出された最適値Kopとの差に基づいて記録パワーを補正している。これにより、ユーザデータの書き込み中に温度変化などにより半導体レーザLDの発光特性が変化しても、常に最適な記録パワーを精度良く決定することができる。
また、本実施形態によると、光ディスクに情報を記録する際のレーザ光の記録パワーを精度良く決定することができるため、結果として記録品質に優れた記録を高速度で行うことが可能となる。
なお、上記実施形態では、前記(3)式に基づいて反射率に関する値Rを求める場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、次の(4)式に基づいて反射率に関する値Rを求めても良い。ここでIwはHF信号の振幅である。なお、この振幅IwはピークレベルIpとボトムレベルIbとの差から求めることができる。
R=Iave÷Iw …(4)
また、上記実施形態では、書込みを中断してランニングOPCを行なう場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、書込みを中断せずにランニングOPCを行なっても良い。但し、書込みながら取得した反射率に関する値は、書込みを中断して取得した反射率に関する値と大きく異なるため、前記最適値テーブルとは別に、ランニングOPC用の新たな最適値テーブルが必要となる。
また、上記実施形態では、係数a、bがベンダー情報及び線速度毎に設定されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ベンダー情報及び線速度による係数a(又は係数b)の違いが小さい場合には、係数a(又は係数b)はベンダー情報及び線速度に関係なく、固定値であっても良い。また、係数a(又は係数b)において、ベンダー情報による違いが小さく、線速度による違いが大きい場合には、係数a(又は係数b)は線速度毎に設定されても良い。さらに、係数a(又は係数b)において、ベンダー情報による違いが大きく、線速度による違いが小さい場合には、係数a(又は係数b)はベンダー情報毎に設定されても良い。
また、上記実施形態では、最適値がベンダー情報及び線速度毎に設定されている場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ベンダー情報及び線速度による最適値の違いが小さい場合には、最適値はベンダー情報及び線速度に関係なく、固定値であっても良い。また、ベンダー情報による違いが小さく、線速度による違いが大きい場合には、最適値は線速度毎に設定されても良い。さらに、ベンダー情報による違いが大きく、線速度による違いが小さい場合には、最適値はベンダー情報毎に設定されても良い。
また、上記実施形態では、ホールド回路28gの出力信号に基づいてCPU40にてβ値を算出する場合について説明したが、これに限らず、例えばホールド回路28gに前記(1)式に対応する演算を行う演算回路を付加しても良い。
また、上記実施形態では、記録品質に関する値Kが反射率に関する値Rの1次の項とβ値の1次の項とを含む場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、反射率に関する値R及びβ値の少なくとも一方の項が2次以上であっても良い。
また、上記実施形態では、反射率に関する値Rが含まれる項とβ値が含まれる項とを加算した値を記録品質に関する値Kとする場合について説明したが、加算に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、光ディスク装置20がDVD+Rの規格に準拠した光ディスクに対応する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばDVD+RWの規格に準拠した光ディスクに対応しても良い。
また、上記実施形態では、光ディスク装置として情報の記録及び再生が可能な光ディスク装置20が用いられる場合について説明したが、これに限らず、情報の記録、再生及び消去のうち、少なくとも記録が可能な光ディスク装置であれば良い。
また、上記実施形態では、光ピックアップ装置23が1つの半導体レーザを備える場合について説明したが、これに限らず、例えば互いに異なる波長の光束を発光する複数の半導体レーザを備えていても良い。この場合に、例えば波長が約405nmの光束を発光する半導体レーザ、波長が約660nmの光束を発光する半導体レーザ及び波長が約780nmの光束を発光する半導体レーザの少なくとも1つを含んでいても良い。すなわち、光ディスク装置が互いに異なる規格に準拠した複数種類の光ディスクに対応する光ディスク装置であっても良い。
また、上記実施形態では、インターフェース39がATAPIの規格に準拠する場合について説明したが、これに限らず、例えばATA(AT Attachment)、SCSI(Small Computer System Interface)、USB(Universal Serial Bus)1.0、USB2.0、IEEE1394、IEEE802.3、シリアルATA及びシリアルATAPIのうちのいずれかの規格に準拠しても良い。
本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。 図1における光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。 図1における再生信号処理回路の構成を説明するためのブロック図である。 図3の平均レベル検出回路及びホールド回路を説明するための図である。 係数テーブルを説明するための図である。 ホストからの記録要求コマンドに応じて行なわれる光ディスク装置における記録処理を説明するためのフローチャート(その1)である。 ホストからの記録要求コマンドに応じて行なわれる光ディスク装置における記録処理を説明するためのフローチャート(その2)である。 記録品質に関する値Kと記録パワーとの関係を説明するための図である。 ホストからの再生要求コマンドに応じて行なわれる光ディスク装置における再生処理を説明するためのフローチャートである。 β値と記録パワーとの関係を説明するための図である。 反射率に関する値Rと記録パワーとの関係を説明するための図である。
符号の説明
15…光ディスク、20…光ディスク装置、23…光ピックアップ装置(データ記録手段の一部)、28f…平均レベル検出回路(反射率取得手段の一部)、28g…ホールド回路(ベータ値取得手段の一部)、40…CPU(反射率取得手段の一部、ベータ値取得手段の一部、決定手段、データ記録手段の一部)。

Claims (19)

  1. 光ディスクの記録面に情報を記録する際のレーザ光の記録パワーを決定する記録パワー決定方法であって、
    前記光ディスクの記録面における所定の既記録領域からの反射光に基づいて取得された前記既記録領域の反射率に関する値及びベータ値に基づいて、前記記録パワーを決定する工程を含む記録パワー決定方法。
  2. 前記工程では、前記反射率に関する値R、前記ベータ値β、既知の係数a及びbを用いて、(a×β)+(b×R)で示される値に基づいて、前記記録パワーを決定することを特徴とする請求項1に記載の記録パワー決定方法。
  3. 前記係数a及びbの少なくとも一方は、前記光ディスクのベンダーに対応していることを特徴とする請求項2に記載の記録パワー決定方法。
  4. 前記係数a及びbの少なくとも一方は、前記情報を記録する際の前記光ディスクの線速度に対応していることを特徴とする請求項2又は3に記載の記録パワー決定方法。
  5. 前記光ディスクは、DVD+R又はDVD+RWの規格に準拠した光ディスクであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の記録パワー決定方法。
  6. 前記反射率に関する値は、前記既記録領域からの反射光に基づいて取得されたHF信号の平均レベルIave、及び前記既記録領域に所定のデータが書き込まれたときのレーザ光のパワーPwを用いて、(Iave÷Pw)で示される値であることを特徴とする請求項5に記載の記録パワー決定方法。
  7. 前記反射率に関する値は、前記既記録領域からの反射光に基づいて取得されたHF信号の平均レベルIave、及び前記HF信号の振幅Iwを用いて、(Iave÷Iw)で示される値であることを特徴とする請求項5に記載の記録パワー決定方法。
  8. 前記既記録領域は、所定のテスト用データが書き込まれた試し書き領域であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の記録パワー決定方法。
  9. 前記既記録領域は、直前にユーザデータが書き込まれた領域であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の記録パワー決定方法。
  10. 光ディスクの記録面に情報を記録する際のレーザ光の記録パワーを決定する記録パワー決定装置であって、
    前記光ディスクの記録面における所定の既記録領域からの反射光に基づいて前記既記録領域の反射率に関する値を取得する反射率取得手段と;
    前記既記録領域からの反射光に基づいてベータ値を取得するベータ値取得手段と;
    前記反射率に関する値及びベータ値に基づいて前記記録パワーを決定する決定手段と;を備える記録パワー決定装置。
  11. 前記決定手段は、前記反射率に関する値R、前記ベータ値β、既知の係数a及びbを用いて、(a×β)+(b×R)で示される値に基づいて前記記録パワーを決定することを特徴とする請求項10に記載の記録パワー決定装置。
  12. 前記係数a及びbの少なくとも一方は、前記光ディスクのベンダーに対応していることを特徴とする請求項11に記載の記録パワー決定装置。
  13. 前記係数a及びbの少なくとも一方は、前記情報を記録する際の前記光ディスクの線速度に対応していることを特徴とする請求項11又は12に記載の記録パワー決定装置。
  14. 前記光ディスクはDVD+R又はDVD+RWの規格に準拠した光ディスクであることを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の記録パワー決定装置。
  15. 前記反射率取得手段は、前記既記録領域からの反射光に基づいて取得されたHF信号の平均レベルIave、及び前記既記録領域にデータが書き込まれたときのパワーPwを用いて、(Iave÷Pw)で示される値を前記反射率に関する値として取得することを特徴とする請求項14に記載の記録パワー決定装置。
  16. 前記反射率取得手段は、前記既記録領域からの反射光に基づいて取得されたHF信号の平均レベルIave、及び前記HF信号の振幅Iwを用いて、(Iave÷Iw)で示される値を前記反射率に関する値として取得することを特徴とする請求項14に記載の記録パワー決定装置。
  17. 前記既記録領域は、所定のテスト用データが書き込まれた試し書き領域であることを特徴とする請求項10〜16のいずれか一項に記載の記録パワー決定装置。
  18. 前記既記録領域は、直前にユーザデータが書き込まれた領域であることを特徴とする請求項10〜16のいずれか一項に記載の記録パワー決定装置。
  19. 光ディスクにレーザ光を照射して、情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも記録を行なう光ディスク装置であって、
    前記レーザ光の記録パワーを決定する請求項10〜18のいずれか一項に記載の記録パワー決定装置と;
    前記決定された記録パワーで前記光ディスクにデータを記録するデータ記録手段と;を備える光ディスク装置。
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