図4は、本発明になる磁気記録媒体の第1実施例の要部を示す断面図である。図4において、ガラス、Al又はTi基板11上には、シード層13及び下地層14が設けられている。シード層13は、Ta,NiP,CrTi,AlRu,AlV,CrTa又はこれらの合金からなる。シード層13は、例えばAr+N2混合ガス中でN2又はAr+O2混合ガス中でO2の反応性スパッタを適切な分圧で行うことで形成しても良い。下地層14は、Cr、又は、Mo,W及び/又はTiを含むCr合金からなり、主に(002)の結晶テキスチャで成長される。
下地層14は、複数の層からなる構成であっても良い。例えば、下地層14は、AlRu合金からなる下側層と、下側層の真上に設けられたCr合金からなる上側層とからなる構成であっても良い。
下地層14の上には、中間層及び安定化層として機能する中間安定化層15が設けられている。中間安定化層15は、CoCr(Cr=1at.%から10at.%),CoCrTa(Cr=1at.%から15at.%、(Ta=1at.%から5at.%),CoCrPt,CoCrPtB,CoCrPtCu,CoCrPtBCu(Cr=2at.%から20at.%、Pt=8at.%から16at.%、B=0から15at.%、Cu=0から6at.%、残りはCo)を含むCo合金からなる。中間安定化層15は、グラニュラな材料から構成されていても良い。中間安定化層15は、例えば約1nmから2.5nmの膜厚を有する。
非磁性スペーサ層20は、中間安定化層15上に設けられている。非磁性スペーサ層20は、Ru,Re,Rh,Ir,Os又はこれらの合金からなる。非磁性スペーサ層20は、約0.7nmから1.3nmの範囲内の膜厚を有する。
磁気記録層(以下、単に記録層と言う)17は、共にCo合金からなる第1の層17−1及び17−2からなる。第2の層17−2は、CoCr合金、CoCrPt合金、CoCrB合金又はCoCrPtB合金からなる。第2の層17−2に用いられるCo合金がCrを含む場合、Cr含有量は約16at.%から26at.%に設定される。第2の層17−2に用いられるCo合金がPtを含む場合、Pt含有量は約10at.%から16at.%に設定される。第2の層17−2に用いられるCo合金がBを含む場合、B含有量は約6at.%から12at.%に設定される。更に、第2の層17−2に用いられるCo合金中のCr含有量、Pt含有量及びB含有量は、第1の層17−1に用いられるCo合金中のCr含有量、Pt含有量及びB含有量よりも低い。第1の層17−1は、約2nmから約10nmの範囲内の膜厚を有し、第2の層17−2は、約4nmから約12nmの範囲内の膜厚を有しても良い。記録層17は、全体として
記録層17の上には、スピンバルブヘッド等の磁気トランスデューサが使用できるように、Cからなる保護層18及び有機物潤滑層19が形成されている。
ガラス、Al又はTi基板11は、機械的テキスチャリングを施されていても良い。磁気記録媒体が磁気ディスクに適用されている場合、基板11の機械的テキスチャリングは磁気ディスクの円周方向に沿って施される。
磁性層15,17の結晶配向は
である。しかし、磁性層15,17の各粒子のc軸、即ち、<0002>方向は、磁気ディスクの場合には円周方向に選択的に成長するようにすることができる。NiPがコーティングされたAl又はガラス基板のような機械的テキスチャリングを施された基板11の場合、Coのc軸及びCr<110>の選択配向は、円周方向のテキスチャに沿って配向する。本発明者らは、このような現象がSNR及び書き込みビットの熱安定性の両方を向上させることを見出した。従って、磁気ディスクの場合、磁性層15,17の粒子のc軸方向は、好ましくは主に円周テキスチャリング方向に沿っている。
又、基板11には、強固なガラス基板、金属、ポリマー、プラスティック、セラミック等からなる柔軟又は強固な基板、機械的テキスチャリングを(磁気ディスクの場合は円周方向に)施された或いは施されていない基板等を使用することができる。
下地層14に用いられるCr又はCr合金は、積層される層の格子整合及び結晶配向を促し、Crの(002)面の成長及び上に形成される記録層17の
のテキスチャと良好な格子整合を得るのに好適である。下地層14は、例えば約2nmから50nmの膜厚を有する。
バッファ層として機能するシード層13は、下地層14の前に形成される。シード層13は、下地層14の非常に良好な結晶配向を促し、積層されるCr系の層の非常に良好な(002)面の成長を促すと共に、記録層17の非常に良好な
テキスチャの成長を促す。シード層13は、例えば約5nmから50nmの膜厚を有する。シード層13にAlVを用いる場合、AlVxのV含有量xは、x=30at.%から80at.%の範囲内であることが望ましい。
保護層18は、例えば1nmから5nmの膜厚を有するCからなる。又、有機物潤滑層19は、例えば1nmから3nmの膜厚を有する。CVDで形成可能なC保護層18は硬質であり、磁気記録媒体を大気劣化だけでなくヘッドとの物理的接触から保護する。潤滑層19は、ヘッドと磁気記録媒体間のスティクションを低減する。
本実施例では、記録層17は第1及び第2の層17−1,17−2の組み合わせからなる。残留位置、即ち、印加された外部磁界がゼロの時の磁気モーメントは、図4中矢印で示す。図4に示すように、磁性(又は強磁性)層17の第1及び第2の層17−1,17−2は、互いに強磁性結合しており、非磁性スペーサ層20を介して中間安定化層15と反強磁性結合している。従って、第1及び第2の層17−1,17−2の磁化方向は、いずれも中間安定化層15の磁化方向と反平行である。
図5は、本発明になる磁気記録媒体の第2実施例の要部を示す断面図である。図5中、図4と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図5に示す第2実施例は、2つの非磁性スペーサ層及び3つの磁性層を設けることにより図4に示す第1実施例を拡張したものである。
図5において、第1の中間安定化層15−1は下地層14上に設けられ、第1の非磁性スペーサ層20−1は第1の中間安定化層15−1上に設けられている。又、第2の中間安定化層15−2は第1の非磁性スペーサ層20−1上に設けられ、第2の非磁性スペーサ層20−2は第2の中間安定化層15−2上に設けられている。第1及び第2の層17−1,17−2からなる記録層17は、第2の非磁性スペーサ層20−2上に設けられている。
本実施例において、記録層17は、第1及び第2の層17−1,17−2の組み合わせからなる。残留位置、即ち、印加された外部磁界がゼロの時の磁気モーメントは、図5中矢印で示す。図5に示すように、磁性(又は強磁性)層17の第1及び第2の層17−1,17−2は、互いに強磁性結合しており、第2の非磁性スペーサ層20−2を介して第2の中間安定化層15−2と反強磁性結合している。更に、第2の中間安定化層15−2は、第1の非磁性スペーサ層15−1を介して第1の中間安定化層15−1と反強磁性結合している。従って、第1及び第2の層17−1,17−2の磁化方向は、いずれも第2の中間安定化層15−2の磁化方向と反平行であるが、いずれも第1の中間安定化層15−1の磁化方向と平行である。
第1及び第2の中間安定化層15−1,15−2に用いられる材質及び膜厚は、中間安定化層15に用いられる材質及び膜厚と同様で良い。又、第1及び第2の非磁性スペーサ層20−1,20−2に用いられる材質及び膜厚は、非磁性スペーサ層20に用いられる材質及び膜厚と同様で良い。
第1及び第2の中間安定化層15−1,15−2に用いられる材質及び膜厚は、同じである必要はない。同様に、第1及び第2の非磁性スペーサ層20−1,20−2に用いられる材質及び膜厚は、同じである必要はない。
図2に示すSFM構造を有する磁気記録媒体は、主記録層として1つの第2の(磁性)層7−bしか有さず、より厚い第1の(磁性)層7−aはRuスペーサ層10を介して結合する硬磁性安定化層として設けられている。Co合金の中間層6は、第1の層7−aの前に形成される。
図6は、図2に示すSFM構造を有する磁気記録媒体の信号対雑音(S/Nm)比及び保磁力Hcを各種tBr値について示す図である。ここで、t、Brは夫々図2に示す第2の層17−bの膜厚及び残留磁束を表す。図6中、左側の縦軸は信号対雑音(S/Nm)比(dB)、右側の縦軸は保磁力Hc(Oe)、横軸はtBr値(Gμm)を示す。図6は、夫々スピンスタンド及びカー磁力計を用いて周波数F2=330kfciで評価された保磁力Hc及びS/Nm比を示す。図6中、黒四角印、黒丸印、黒菱形印及び黒三角印はS/Nm比を示し、白四角印、白丸印、白菱形印及び白三角印は対応する保磁力Hcを示す。CoCrPtBからなる第2の層7−bのPt含有量(at.%)は10at.%から13at.%まで変化させ、Pt含有量は、四角印が10at.%、丸印が11at.%、菱形印が12at.%、三角印が13at.%を示す。
注目するべき点は、記録密度が増加するにつれて、第2の層(磁気記録層)7−bの膜厚が減少し、tBr値も減少するという点である。しかし、第2の層7−bの膜厚が減少すると、保磁力Hcも減少してしまう。これにより、熱安定性が低下し、書き込みビット横の消去が発生してしまう。保磁力Hcを増加させるには、第2の層7−bのPt含有量を増加させても良い。図6から明らかなように、ある記録層膜厚に対して、Ptのat.%を増加させると保磁力Hcが増加する。図6からは、低tBr領域においてS/Nm比を増加させるには、Ptの含有量は適切な低い値(この場合、11at.%)である必要があることが推測できる。Ptのat.%を増加させることで保磁力Hcを増加させると、S/Nm比は大幅に低減する。従って、実現可能な保磁力Hcと実現可能なS/Nm比とでは、トレードオフの関係にある。つまり、単一の記録層(7−b)を有する磁気記録媒体を用いて高記録密度を実現する場合、同時に十分に高い保磁力Hcの媒体性能を得ることはできない。図6中、点P1,P2は夫々図2に示す35Gbits/in2の記録密度の磁気記録媒体のS/Nm比と保磁力Hcを示す。
保磁力HcとS/Nm比の両方を向上させるために、図4に示す磁気記録媒体の第1実施例は2層構造の記録層17を用い、Ru非磁性スペーサ層20上の第1の層17−1のPt含有量、Cr含有量及びB含有量を第2の層17−2より高く設定している。この組み合わせにより、図7に示すように、約4500Oe程度以上の十分に高い保磁力Hcと、高いS/Nm比の両方を得ることができる。
図7は、図4に示す磁気記録媒体の第1実施例の孤立信号対雑音(Siso/Nm)比を図2に示す35Gbit/in2の磁気記録媒体と比較してF2=330kfciの線記録密度で評価して示す図である。図7中、左側の縦軸は媒体SNR特性、即ち、磁気記録媒体の第1実施例のSiso/Nm比の、図2に示す35Gbits/in2の磁気記録媒体のそれに対する比ΔS/Nm(dB)を示し、右側の縦軸は保磁力Hc(Oe)を示し、横軸はtBr値(Gμm)を示す。ここで、t,Brは夫々図4に示す記録層17の膜厚及び残留磁束を表す。図7は、周波数F2=330kfciで評価された保磁力Hc及び比ΔS/Nmを示す。図7中、黒四角印、黒丸印、黒菱形印及び黒三角印は比ΔS/Nmを示し、白四角印、白丸印、白菱形印及び白三角印は対応する保磁力Hcを示す。
図7において、四角印は、図4に示す磁気記録媒体の第1実施例の媒体SNR特性及び保磁力を、基板11にテキスチャリングが施されていない場合について示す。点P3,P4は、夫々記録密度が図2に示す35Gbits/in2と69.3Gbits/in2の磁気記録媒体SNR特性を示す。丸印及び菱形印は、図4に示す磁気記録媒体の第1実施例の媒体SNR特性及び保磁力Hcを、磁気ディスクの場合、円周方向に沿って直接機械的テキスチャリングを施されたガラス基板11を用いる場合について示す。このような機械的テキスチャリングは、磁気ディスクの場合、円周方向に沿った磁気モーメントの選択配向により、等方性の相対物に比べて媒体SNR特性を大幅に向上させることができる。
丸印で示される磁気記録媒体と菱形印で示される磁気記録媒体の違いは、製造工程で用いられる熱処理にある。丸印は、Ru非磁性スペーサ層20を形成した後には熱処理を行わない場合を示し、菱形印は、Ru非磁性スペーサ層20を形成した後に熱処理を行う場合を示す。Ru非磁性スペーサ層20を形成した後の、記録層17を形成する前に熱処理を行うと、白菱形印で示すように、磁気記録媒体の保磁力Hcは大幅に増加し、媒体SNRが減少する。
図7からもわかるように、2層構造の記録層17を有する磁気記録媒体の第1実施例の媒体SNR特性の向上は、tBr値の広い範囲で見られる。
図4に示す中間安定化層15と図5に示す第1及び第2の中間安定化層15−1,15−2の組成は、記録層17と中間安定化層15又は第1及び第2の中間安定化層15−1,15−2との間の交換磁界が適切な大きな値となるように選定される。第1及び第2の中間安定化層15−1,15−2には、CoCr層とCoCrPtB層の2層の組み合わせを使用することもできる。より良好な媒体SNR特性を得るためには、Cr含有量が3at.%から12at.%のCoCrを用いると良い。又、望ましい良好な媒体SNR特性を得るのに、Crは広い範囲で選定可能であることが確認された。
図8は、各種磁気記録媒体のS/Nm比をF2=330kfciの線記録密度で評価して示す図である。図8中、縦軸はS/Nm比を示し、横軸はtBr値を示す。媒体SNR特性は、図2に示す69.3Gbits/in2の磁気記録媒体がガラス基板1を用いており例えば可搬型ディスクドライブに適用される場合と比較されている。図8には、第1実施例を採用する3種類の磁気記録媒体M1,M2,M3の媒体SNR特性を示す。黒菱形印、黒四角印及び黒三角印は、夫々磁気記録媒体M1,M2,M3のS/Nm比を示す。更に、白三角印、白四角印は、夫々69.3Gbits/in2と35Gbits/in2の磁気記録媒体のS/Nm比を示す。例えば記録密度を2倍の127Gbits/in2に増加させるには、これらの3種類の磁気記録媒体M1,M2,M3から約3dBのS/Nm比の改善を得ることが望ましい。
磁気記録媒体M1の場合、tBr値を減少させるために中間安定化層15の膜厚を増加させた。tBr値の最大値は、中間安定化層15の膜厚の最小値に対応する。図8からも明らかなように、より高いSNRを得るためには、中間安定化層15の膜厚は小さいことが望ましい。
磁気記録媒体M2の場合、中間安定化層15の膜厚は一定に保ち、磁気記録媒体M1とは異なるtBr値を得るために記録層17の膜厚を変化させた。低tBr領域においては、磁気記録媒体M2のSNR向上が観測された。しかし、厚い中間安定化層15のために、磁気記録媒体M2のSNRは、図2に示す69.3Gbits/in2の磁気記録媒体より大幅ではないが向上されている。
磁気記録媒体M3では、最適化された膜厚の中間安定化層15を用いた。この場合、tBr値を減少させるために、記録層17の膜厚を減少させた。図2に示す69.3Gbits/in2の磁気記録媒体と同じtBr値に対して、約1dBの改善が得られた。低いtBr値については、SNRが更に向上された。
図8に示すように、磁気記録媒体の第1実施例によれば、磁気記録媒体M1,M2,M3からもわかるように、向上されたSNR特性及び25Gμmから30Gμmの間の向上されたtBr値を得ることができ、更に、要求されるS/Nmレベルを達成することもできる。磁気記録媒体M3の場合、中間安定化層15及び記録層17の膜厚を変化させ熱処理を行うことにより、低tBr領域で150Gbits/in2に達する記録密度を維持しつつ、SNR特性及びtBr値を更に向上させることができる。磁気記録媒体M1,M2,M3、特に磁気記録媒体M3により得られるSNR特性及びtBr値は、図2に示す35Gbits/in2の磁気記録媒体と比較すると大幅に向上されている。
図9は、磁気記録媒体の第1実施例の線記録密度に対するS/Nm比を図2に示す69.3Gbits/in2の磁気記録媒体と比較して示す図である。図9中、縦軸はS/Nm比を示し、横軸はF2(kfci)線記録密度を示す。
高記録密度においては、S/Nm比が大幅に低下するが、第1実施例を採用する磁気記録媒体PM−1,PM−2,PM−3の場合、330kfci(F2)で見られる優位性が各種tBr値及びHc値において見られ、図9に示すように、450kfci(F2)線記録密度においても維持される。黒四角印は、tBr値が24.3Gμmで保磁力Hcが4095Oeの磁気記録媒体PM−1のS/Nm比を示す。黒三角印は、tBr値が35Gμmで保磁力Hcが4350Oeの磁気記録媒体PM−2のS/Nm比を示す。黒菱形印は、tBr値が43Gμmで保磁力Hcが4715Oeの磁気記録媒体PM−3のS/Nm比を示す。白三角印は、図2に示す69.3Gbits/in2の磁気記録媒体のS/Nm比を示す。高記録密度(F1=900kfci,F2=450kfci)においては、磁気記録媒体PM−1,PM−2,PM−3は図2に示す69.3Gbits/in2の磁気記録媒体に比べて向上されたSNR特性を示す。注目するべき点は、150Gbits/in2の磁気記録媒体の場合、線記録密度は約900kfciから950kfci(F1)であることが望ましいことである。
図10は、磁気記録媒体の第1実施例の孤立信号対雑音(Siso/Nm)比を図2に示す69.3Gbit/in2の磁気記録媒体と比較して各種線記録密度で評価して示す図である。図10中、縦軸は媒体SNR特性、即ち、磁気記録媒体の第1実施例のSiso/Nm比の、図2に示す69.3Gbits/in2の磁気記録媒体のそれに対する比ΔS/Nm(dB)を示し、横軸はF2(kfci)線記録密度を示す。黒四角印、黒三角印及び黒菱形印は、夫々第1実施例を採用しtBr値が25Gμm、35Gμm,43Gμmの磁気記録媒体PM−1、PM−2,PM−3の比ΔS/Nmを示す。白三角印は、図2に示す69.3Gbits/in2の磁気記録媒体のS/Nm比を示す。
磁気記録媒体PM−1、PM−2,PM−3は、図4に示す構成を有し、CoCrTa合金からなる中間安定化層15を備える。図10において、69.3Gbits/in2の磁気記録媒体に対する比ΔS/Nmは、(F2)線記録密度に対して示されている。低記録密度で見られる磁気記録媒体PM−1、PM−2,PM−3の大きな比ΔS/Nmは、高記録密度においても維持されている。従って、異なるtBr値を有する3つの磁気記録媒体PM−1、PM−2,PM−3は、各種線記録密度において、図2に示す69.3Gbits/in2の磁気記録媒体に比べて向上された媒体SNR特性を示す。
図11は、線記録密度に対する非線形遷移シフト(NLTS)を百分率で示す図である。図11中、縦軸はNLTS(%)を示し、横軸はF2(kfci)線記録密度を示す。黒四角印は、tBr値が24.3Gμmで保磁力Hcが4095Oeの磁気記録媒体PM−1のNLTSを示す。黒三角印は、tBr値が35Gμmで保磁力Hcが4350Oeの磁気記録媒体PM−2のNLTSを示す。黒菱形印は、tBr値が43Gμmで保磁力Hcが4715Oeの磁気記録媒体PM−3のNLTSを示す。白三角印は、図2に示す69.3Gbits/in2の磁気記録媒体のNLTSを示す。
図2に示す69.3Gbits/in2の磁気記録媒体と比較すると、第1実施例を採用する磁気記録媒体PM−1、PM−2,PM−3のNLTSは、図11に示すように、25%から20%の範囲及び10%から15%の範囲で大幅に向上されている。この場合、磁気記録媒体PM−1、PM−2,PM−3の中間安定化層15にはCoCrTa合金が用いられた。tBr値が24.3Gμmの磁気記録媒体PM−1の場合、69.3Gbits/in2の磁気記録媒体と比較してNLTSが特に向上された。
図12は、線記録密度に対する非線形遷移シフト(NLTS)をnm単位で示す図である。図12中、縦軸はNLTS(nm)を示し、横軸はF2(kfci)線記録密度を示す。黒菱形印は、第1実施例を採用し、膜厚が1nmのCoCrTaからなる中間安定化層15を有する磁気記録媒体のNLTSを示す。白四角印は、第1実施例を採用し、膜厚が1.5nmのCoCrTaからなる中間安定化層15を有する磁気記録媒体のNLTSを示す。白三角印は、第1実施例を採用し、膜厚が2nmのCoCrTaからなる中間安定化層15を有する磁気記録媒体のNLTSを示す。
図12から明らかなように、NLTSは、中間安定化層15の各種膜厚、具体的には、1nmから2nmの膜厚において、550kfci以上に向上されている。中間下地層15の膜厚が1nmの場合の550kfci以上におけるNLTSの減少は少ないものの、これは高線記録密度における磁気記録媒体の媒体SNR特性で見ると極めて大きな改善である。
図13は、線記録密度に対するノイズパワーを示す図である。図13中、縦軸はノイズパワー(Nm/So)2を示し、横軸は線記録密度(kfci)を示す。黒菱形印は、第1実施例を採用し、膜厚が1nmのCoCrTaからなる中間安定化層15を有する磁気記録媒体のNLTSを示す。白四角印は、第1実施例を採用し、膜厚が1.5nmのCoCrTaからなる中間安定化層15を有する磁気記録媒体のNLTSを示す。白三角印は、第1実施例を採用し、膜厚が2nmのCoCrTaからなる中間安定化層15を有する磁気記録媒体のNLTSを示す。
通常、ノイズパワースペクトラムにおいては、特に重要な領域が2つある。第1の領域は、線記録密度に応じてノイズが線形変位する領域である。第2の領域は、ノイズレベルが線形低周波数領域から増大する超線形ノイズ領域である。第3の領域は、ノイズが周波数に応じて低下する領域である。図13は、ノイズパワースペクトラムを、軟磁性(CoCrTa合金)中間安定化層15の各種膜厚について示す。中間安定化層15の膜厚が増加するにつれて、ノイズパワースペクトラムのピーク位置が低周波数側にシフトする。図13からわかるように、最適化された膜厚及び成長工程による中間安定化層15(この場合、2nm)について、550kfci以上でノイズが大幅に低減される。図2に示す中間層6及び硬磁性安定化層7−aを有する69.3Gbits/in2の磁気記録媒体のノイズスペクトラムは、第1実施例を採用すると共に1nmの軟磁性中間安定化層15を有し別体の中間層を有さない磁気記録媒体(黒菱形印で示す)と同様に変化する。
第1実施例においてノイズを大幅に低減させることができるのは、高線記録密度において磁界がうまく閉じているからであると考えられる。これは、550kfci線記録密度近傍のビット長との粒子サイズの整合性が良いことによると考えられる。高線記録密度では、減磁界がよりシャープとなり、ノイズが低減しNLTSが減少する可能性がある。軟磁性中間安定化層15の場合、600kfci以上における大幅なノイズパワーの減少が確認された。これは、特に最適化された2nmの膜厚の中間安定化層15の場合に顕著であり、膜厚が増加するにつれてノイズは再度増加した。ここで注目するべき点は、ノイズの低減は有限値の線記録密度で起こるが、ノイズスペクトラムの傾きの変化、部分消去又はMFM画像解析により測定されたパーコレーションは、更に大きい点である。これは、第1実施例を採用する磁気記録媒体は、たとえノイズスペクトラムの傾きの変化が既に起こっていても、高線記録密度で使用可能であることを示す。このようなノイズの大幅な低減を実現するには、磁性層の成長温度等の特定の工程パラメータも重要である。
例えば、中間安定化層15は、望ましくは190℃以下の温度で成長するべきであり、記録層17は、望ましくは210℃以上の温度で成長するべきである。中間安定化層15を形成した後の熱処理、反強磁性結合のために用いられる非磁性スペーサ層20の成長前の熱処理は、非常に重要である。ノイズの測定結果が違いを明確に示すので、中間安定化層15の形成後に熱処理を施されたか否かを検証するのは容易である。
中間安定化層15の磁化は、望ましくは500emu/cm3以上である。中間安定化層15の異方性磁界は、望ましくは8000Oe以下である。
中間安定化層15及び記録層17の膜厚比が特定の値に達すると、大幅なノイズの低減が得られる。有限の膜厚比と対応するノイズの低減から、中間安定化層15と記録層17のRu非磁性スペーサ層20を介した粒子サイズの整合性は非常に良好であることがわかる。高記録密度において、周波数に応じたS/Nm比は非常にシャープな遷移を示すが、そのようなシャープな遷移は、図2に示す磁気記録媒体の場合は低記録密度においてしか得ることができない。
第1の層17−1の高モーメント特性により、tBr値は、熱安定性を保ちつつ容易に減少させることができる。熱安定性が、単一層構造の第2の層(記録層)7−bを備えた図2に示す磁気記録媒体の熱安定性より向上するのは、主に記録層17の第1の層17−1からの有限異方性エネルギーの寄与によるものである。従って、2つ又は3つの強磁性層を含むSFM構造を有する磁気記録媒体の場合と同様に、本発明になる磁気記録媒体には、各々が記録層17の2層構造を有する2つ又は3つの強磁性層を設けても良い。
図14は、図5に示す磁気記録媒体の第2実施例の孤立信号対雑音(Siso/Nm)比を、図2に示す35Gbits/in2の磁気記録媒体と比較して、F2=330kfci線記録密度で評価して示す図である。図14中、縦軸は媒体SNR特性、即ち、磁気記録媒体の第2実施例のSiso/Nm比の、図2に示す35Gbits/in2の磁気記録媒体のそれに対する比ΔS/Nm(dB)を示し、横軸はtBr値(Gμm)を示す。ここで、t,Brは夫々図5に示す記録層17の膜厚及び残留磁束を表す。図14は、周波数F2=330kfciで評価された比ΔS/Nmを示す。
図14中、黒菱形印は、CoCrの第1の中間安定化層15−1の膜厚が1nmから2.5nmで変化し、Ru非磁性スペーサ層20の膜厚が0.9nmであり、CoCrPtBの第2の中間安定化層15−2の膜厚が2nmで一定であり、CoCrPtBの第1の層17−1の膜厚が7nmであり、CoCrPtBの第2の層17−2の膜厚が9nmである磁気記録媒体の第2実施例の比ΔS/Nmを示す。黒四角印は、CoCrの第1の中間安定化層15−1の膜厚が0.9nmで一定であり、Ru非磁性スペーサ層20の膜厚が0.9nmであり、CoCrPtBの第2の中間安定化層15−2の膜厚が1nmから2.5nmで変化し、CoCrPtBの第1の層17−1の膜厚が7nmであり、CoCrPtBの第2の層17−2の膜厚が9nmである磁気記録媒体の第2実施例の比ΔS/Nmを示す。黒三角印は、CoCrの中間層6(安定化層として機能する)の膜厚が約2nmであり、CoCrPtBの第1の層7−aの膜厚が0であり(即ち、第1の層7−aは設けられない)、Ru非磁性スペーサ層10の膜厚が約0.9nmであり、CoCrPtBの第2の層7−bの膜厚が約17nmである69.3Gbits/in2の磁気記録媒体の比ΔS/Nmを示す。
この場合、第1及び第2の層15−1,15−2は同様な範囲内の膜厚を有し、最適な媒体SNR特性を得るために調整可能である。上記の如き向上された特定を得るために、第1及び第2の層15−1,15−2には、この順序で高モーメントの材料を用いることが重要である。
図15は、磁気記録媒体の第2実施例に対して得られるノイズパワースペクトラムを示す図である。図15中、縦軸はノイズパワー(Nm/So)2を示し、横軸は線記録密度(kfci)を示す。図15においては、パーコレーションの前に2つの折れ曲がりがあり、第1の折れ曲がりは400kfci近傍にあり、第2の折れ曲がりは900kfci近傍にある。ノイズは、約1650kfciを超えると再び減少し始める。ノイズの低減は、100Gbits/in2を超える記録密度、そして250Gbits/in2に達する記録密度においても良好な媒体SNR特性が得られるように設定することができる。本発明者らにより得られた上記実験結果から、非磁性スペーサ層20と、中間安定化層15としての軟磁性薄膜とを更に設けることにより、記録特性の更なる向上が図れることが確認された。低ノイズパワーで最良の特性を有する磁気記録媒体を得るために、中間安定化層15間の結合力が最大となるようにRuの非磁性スペーサ層20を調整する必要はない。
図16は、単一のRu非磁性スペーサ層20を有する図4に示す磁気記録媒体の第1実施例とは反転した構造でのNTLSの向上を示す図である。図17は、図4に示す磁気記録媒体の第1実施例とは反転した構造を示す断面図である。図17中、図4と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図16中、縦軸はNLTS(%)を示し、横軸は線記録密度(kfci)を示す。白四角印は、CoCrの中間安定化層15の膜厚が2nmであり、Ru非磁性スペーサ層20の膜厚が0.9nmであり、CoCrPtBの第1の層17−1の膜厚が7nmであり、CoCrPtBの第2の層17−2の膜厚が9nmである磁気記録媒体の第1実施例の反転構造のNLTSを示す。白丸印は、CoCrの中間安定化層15の膜厚が1.5nmであり、Ru非磁性スペーサ層20の膜厚が1.2nmであり、CoCrPtBの第1の層17−1の膜厚が7nmであり、CoCrPtBの第2の層17−2の膜厚が9nmである磁気記録媒体の第1実施例の反転構造のNLTSを示す。白三角印は、CoCrの中間安定化層15の膜厚が1.5nmであり、Ru非磁性スペーサ層20の膜厚が0.9nmであり、CoCrPtBの第1の層17−1の膜厚が7nmであり、CoCrPtBの第2の層17−2の膜厚が9nmである磁気記録媒体の第1実施例の反転構造のNLTSを示す。更に、黒菱形印は、CoCrの中間安定化層15の膜厚が約1nmであり、Ru非磁性スペーサ層20の膜厚が0であり(即ち、Ru非磁性スペーサ層20が設けられない)、CoCrPtBの第1の層17−1の膜厚が約7nmであり、CoCrPtBの第2の層17−2の膜厚が約9nmである図4に示す磁気記録媒体の反転構造のNLTSを示す。
図18は、2つのRu非磁性スペーサ層20−1,20−2を有する図5に示す磁気記録媒体の第2実施例とは反転した構造でのNTLSの向上を示す図である。図19は、図5に示す磁気記録媒体の第2実施例とは反転した構造を示す断面図である。図19中、図5と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図18中、縦軸はNLTS(%)を示し、横軸は線記録密度(kfci)を示す。白三角印は、CoCrの第1の中間安定化層15−1の膜厚が1.5nmであり、Ruの第1の非磁性スペーサ層20−1の膜厚が1.2nmであり、CoCrの第2の中間安定化層15−2の膜厚が2nmであり、Ruの第2の非磁性スペーサ層20−1の膜厚が0.9nmであり、CoCrPtBの第1の層17−1の膜厚が7nmであり、CoCrPtBの第2の層17−2の膜厚が9nmである磁気記録媒体の第2実施例の反転構造のNLTSを示す。白四角印は、CoCrの第1の中間安定化層15−1の膜厚が2nmであり、Ruの第1の非磁性スペーサ層20−1の膜厚が0.9nmであり、CoCrの第2の中間安定化層15−2の膜厚が2nmであり、Ruの第2の非磁性スペーサ層20−1の膜厚が0.9nmであり、CoCrPtBの第1の層17−1の膜厚が7nmであり、CoCrPtBの第2の層17−2の膜厚が9nmである磁気記録媒体の第2実施例の反転構造のNLTSを示す。白丸印は、CoCrの第1の中間安定化層15−1の膜厚が1.5nmであり、Ruの第1の非磁性スペーサ層20−1の膜厚が0.9nmであり、CoCrの第2の中間安定化層15−2の膜厚が2nmであり、Ruの第2の非磁性スペーサ層20−1の膜厚が0.9nmであり、CoCrPtBの第1の層17−1の膜厚が7nmであり、CoCrPtBの第2の層17−2の膜厚が9nmである磁気記録媒体の第2実施例の反転構造のNLTSを示す。更に、黒菱形印は、CoCrの中間安定化層15の膜厚が約1nmであり、Ru非磁性スペーサ層20の膜厚が0であり(即ち、Ru非磁性スペーサ層20が設けられない)、CoCrPtBの第1の層17−1の膜厚が約7nmであり、CoCrPtBの第2の層17−2の膜厚が約9nmである図4に示す磁気記録媒体の反転構造のNLTSを示す。
NLTSの向上は、上記の如き単一のRu非磁性スペーサ層及び2つのRu非磁性スペーサ層を有する反転構造によっても得られる。これらの場合、記録層はRu非磁性スペーサ層の形成の前に形成され、中間安定化層はRu非磁性スペーサ層の上に形成される。反転構造の場合、磁性層の順序が図4又は図5の場合と逆になっているので、記録層は下地層14により近くなっており、中間安定化層15は保護層18により近くなっている。
反転構造の特性を測定する場合には、全てのサンプルにおける磁気スペーシングが同一となるように、保護層18に最も近い磁性層(中間安定化層15)の上にRu層を形成しても良い。本発明者らによる実験結果によると、単一Ru非磁性スペーサ層及び2つのRu非磁性スペーサ層を有する磁気記録媒体について、NLTSが減少することが確認された。又、実験によれば、単一のRu非磁性スペーサ層を有する磁気記録媒体については、NLTSの向上(減少)が550kfci以上で確認された。更に、磁性層間(中間安定化層と記録層の間)のRu非磁性スペーサ層の膜厚を最適化することで、NLTSを大幅に減少させることができることも確認された。
このように、上記の如き本発明の効果は、単に複数の磁性層を設けたことによるものではなく、強い交換結合等により得られるものであることは、図16及び図18からも明らかであろう。
次に、本発明になる磁気記憶装置の一実施例を、図20及び図21と共に説明する。図20は、磁気記憶装置の本実施例の要部を示す断面図であり、図21は、磁気記憶装置の本実施例の要部を示す平面図である。
図21及び図21に示すように、磁気記憶装置は、大略モータ114、ハブ115、複数の磁気記録媒体116、複数の記録再生ヘッド117、複数のサスペンション118、複数のアーム119及びアクチュエータユニット120を備え、これらはハウジング113内に設けられている。磁気記録媒体116は、モータ114により回転されるハブ115に装着されている。記録再生ヘッド117は、MR又はGMRヘッド等の再生ヘッドと、インダクティブヘッド等の記録ヘッドとから構成されている。各記録再生ヘッド117は、対応するアーム119の先端にサスペンション118を介して取り付けられている。アーム119は、アクチュエータユニット120により移動される。このような磁気記憶装置の基本構成自体は周知であり、その詳細な説明は本明細書では省略する。
磁気記憶装置の本実施例は、磁気記録媒体116に特徴がある。各磁気記録媒体116は、図4〜図17と共に説明したいずれの実施例の構成を有するものであっても良い。磁気記録媒体116の数は3に限定されるものではなく、2又は4以上の磁気記録媒体116を設けても良い。
磁気記憶装置の基本構成は、図20及び図21に示すものに限定されない。又、本発明で用いる磁気記録媒体は、磁気ディスクに限定されるものではなく、磁気記録媒体は磁気テープ、磁気カード等の形態を取ることができる。
更に、上記実施例では強固なガラス基板の場合について説明したが、金属、ポリマー、プラスティック、セラミック等からなる柔軟又は強固な基板を用いても本発明を適用可能であることは言うまでもない。
従って、本発明によれば、シード層と下地層の組み合わせにより、下地層及び磁気記録層の粒子サイズを減少させ、磁気記録層の所望の配向を促すことができる。この結果、下地層がマルチカソードシステムを用いて形成された場合であっても、性能が向上された磁気記録媒体を実現することができる。勿論、下地層をシングルカソードシステムを用いて形成した場合にも、シード層を設けることにより、下地層及び磁気記録層の粒子サイズを減少させて、磁気記録層の所望の配向を促すことができる。
尚、本発明は、以下に付記する発明をも包含するものである。
(付記1) 磁性材料からなる中間安定化層と、
該中間安定化層上に設けられた非磁性スペーサ層と、
磁化方向が該中間安定化層とは反平行となるように、該非磁性スペーサ層を介して該中間安定化層と反強磁性結合された磁気記録層とを備え、
該磁気記録層は、該非磁性スペーサ層上に設けられたCo合金からなる第1の層と、該第1の層上に直接設けられたCo合金からなる第2の層とを有し、
該第2の層を構成するCo合金のCr含有量、Pt含有量及びB含有量の少なくとも1つは、該第1の層を構成するCo合金より小さい、磁気記録媒体。
(付記2) 該第2の層は、Cr含有量が約16at.%から27at.%、Pt含有量が約10at.%から16at.%、B含有量が約6at.%から12at.%である、付記1記載の磁気記録媒体。
(付記3) 該第1の層は約2nmから約10nmの範囲の膜厚を有し、該第2の層は約4nmから約12nmの範囲の膜厚を有する、付記2記載の磁気記録媒体。
(付記4) 該中間安定化層は、Cr含有量が1at.%から10at.%のCoCr、Cr含有量が1at.%から15at.%でTa含有量が1at.%から5at.%のCoCrTa、Cr含有量が2at.%から20at.%、Pt含有量が8at.%から16at.%、B含有量が0から15at.%、Cu含有量が0から6at.%、そして残りがCoであるCoCrPt,CoCrPtB,CoCrPtCu及びCoCrPtBCuからなる、Co合金のグループから選択された材料で構成されている、付記1記載の磁気記録媒体。
(付記5) 該中間安定化層は、グラニュラな材料からなる、付記4記載の磁気記録媒体。
(付記6) 該中間安定化層は、軟磁性材料からなる、付記1記載の磁気記録媒体。
(付記7) 該中間安定化層は、約1nmから2.5nmの範囲の膜厚を有する、付記4〜6のいずれか1項記載の磁気記録媒体。
(付記8) 非磁性スペーサ層は、Ru,Re,Rh,Ir,Osからなるグループから選択された材料からなる、付記1記載の磁気記録媒体。
(付記9) 主に(002)の結晶テキスチャで成長されたCr又はCr合金からなり、Cr合金はMo,W,Tiから選択された少なくとも1つの元素を含む、下地層を更に備え、
該中間安定化層は、該下地層上に設けられている、付記1記載の磁気記録媒体。
(付記10) 該下地層は、AlRu合金からなる第1の下地層と、Cr合金からなり該第1の下地層上に直接設けられた第2の下地層とを有する、付記9記載の磁気記録媒体。
(付記11) Ta,NiP,CrTi,AlRu,AlV,CrTa及びこれらの合金からなるグループから選択された材料からなるシード層を更に有し、
該下地層は、該シード層上に設けられている、付記9記載の磁気記録媒体。
(付記12) 磁性材料からなる第1の中間安定化層と、
該第1の中間安定化層上に設けられた第1の非磁性スペーサ層と、
磁性材料からなり該第1の非磁性スペーサ層上に設けられた第2の中間安定化層と、
該第2の中間安定化層上に設けられた第2の非磁性スペーサ層と、
磁化方向が該第2の中間安定化層とは反平行となるように、該第2の非磁性スペーサ層を介して該第2の中間安定化層と反強磁性結合された磁気記録層とを備え、
該磁気記録層は、該非磁性スペーサ層上に設けられたCo合金からなる第1の層と、該第1の層上に直接設けられたCo合金からなる第2の層とを有し、
該第2の層を構成するCo合金のCr含有量、Pt含有量及びB含有量の少なくとも1つは、該第1の層を構成するCo合金より小さい、磁気記録媒体。
(付記13) 少なくとも1つの磁気記録媒体と、
該磁気記録媒体に情報を書き込み及び/又は情報を読み出すトランスデューサとを備え、
該磁気記録媒体は、
磁性材料からなる中間安定化層と、
該中間安定化層上に設けられた非磁性スペーサ層と、
磁化方向が該中間安定化層とは反平行となるように、該非磁性スペーサ層を介して該中間安定化層と反強磁性結合された磁気記録層とを備え、
該磁気記録層は、該非磁性スペーサ層上に設けられたCo合金からなる第1の層と、該第1の層上に直接設けられたCo合金からなる第2の層とを有し、
該第2の層を構成するCo合金のCr含有量、Pt含有量及びB含有量の少なくとも1つは、該第1の層を構成するCo合金より小さい、磁気記憶装置。
更に、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能であることは、言うまでもない。