JP2005115320A - 電磁波応答型光学素子 - Google Patents

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秀樹 兼岩
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竜児 篠原
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淳 松永
Kiyoshi Morimoto
潔 守本
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Abstract

【課題】レンズ付きフィルムユニットなどのカメラユニットに有効であって、使用可能な光量範囲を広げる「調光システム」に用いられ、システム自体による透過光の損失が少なく、かつ応答速度の速い自動透過光調光システムを可能とする光学素子およびこの光学素子を用いたカメラユニットを提供する。
【解決手段】電磁波に応答し起電力を発生させる起電力発生要素とその起電力により光学濃度を変化させる光学濃度変化要素とを有し、該光学濃度変化要素が光学濃度を変化させる材料を吸着させた金属酸化物層を有し、かつ該金属酸化物層が20より大きな表面粗さ係数を持つ光学素子、並びにこの光学素子を用いたカメラユニット。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電磁波の強度に応じた起電力を利用して光学濃度を変える光学素子、および
該光学素子を備えたカメラユニットに関する。
電磁波に応答して光学濃度を変える素子の応用範囲は広範である。電磁波に応答して光
学濃度を変えることのできる、つまり光の透過、あるいは反射を制御できる機能を有する
材料としては、フォトクロミック材料、エレクトロクロミック材料、サーモクロミック材
料などがある。
フォトクロミック材料とは光の照射を受けてその光学濃度を変化させる材料であり、サ
ングラス、紫外線チェッカー、印刷関連材料、繊維加工品等に応用されているが、これら
の応答速度は遅くその用途が限られてきた。応答速度が速くなるに従い、車両用窓材料、
表示装置、あるいはカメラ関連の光学素子などへ、その応用範囲は広がるものと期待され
る。
エレクトロクロミック材料とは、電子の流出入を受けてその光学濃度を変化させる材料
であり、表示装置、自動車用防眩ミラー、車両用窓材料等に応用されている。表示素子と
してのエレクトロクロミック材料は、大面積化、高速化、高密度化、高品質化を目指し、
今後益々、開発が進められるものと予想される。前記フォトクロミズムに比してエレクト
ロクロミズムは応答速度が速いので、表示素子のみならずカメラ関連光学素子への応用の
可能性は高い。
サーモクロミック材料とは、温度変化によってその光学濃度を変化させる材料であり、
玩具、医薬品、食品等に応用されている。特に最近は、温度インジケーター機能付包材の
提供が可能となった。しかしながら、前記エレクトロクロミズムに比してサーモクロミズ
ムは応答速度が遅く、光透過性も低いことから、その用途は限られ、車両用窓材料、表示
装置、あるいはカメラ関連の光学素子などへの応用展開には難がある。
こうした光学濃度変化材料の用途として、カメラを初めとする撮影システムが挙げられ
る。例えば近年、フィルムの装填作業を不要とし購入してすぐに写真撮影ができるように
したカメラユニットとして、レンズ付きフィルムがその簡便さ故広く普及されている。そ
してその利用価値を高めるために高感度フィルムを搭載し、撮影可能領域を拡大する開発
が近年、益々盛んになってきている。しかし、簡便さを売りにする従来のレンズ付きフィ
ルムには露光量を調整する機構が備わっていなかったために、高感度フィルムを搭載した
レンズ付きフィルムでは高輝度域におけるオーバーネガがしばしば発生し、“使い難い”
弱点が露呈された。そこで、撮影中の測光によるAEコントロール方式を導入し、撮影光
量により絞りの自動切換えが可能なレンズ付きフィルムが発売された。これにより、オー
バーネガによる所謂“失敗写真”の頻度が大幅に低減した。
このような撮影光量に応じて感光材料への入射光量を調節する「調光フィルター」をよ
り簡便に、安価に実現する手段として、光照射のON・OFFに応じて発色・消色する化合物
、いわゆる“フォトクロミック化合物”を用いたレンズ付きフィルムが提案されている(
例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)。
フォトクロミック化合物とは光の照射を受けることで発色する、すなわち光学濃度を増
し、光照射の中止あるいは加熱や波長の異なる光の照射を受けることで消色する、すなわ
ち光学濃度を減ずる性質を有する化合物であり、ハロゲン化銀含有無機化合物や一部の有
機化合物などが知られている。フォトクロミック化合物で作られたフィルターをその光軸
に置き、入射する光量に応じて発色・消色を行わせる事で調光が可能になると考えられた
しかしながら、フォトクロミック化合物は、発色には1分程度、消色には数十分以上を
要するのが一般的であり(例えば、非特許文献1参照)、撮影光の調光システムとして用
いるのは困難であった。
これに対し、より高速な発色・消色が可能な材料として、電子の授受で発色・消色を行
う“エレクトロクロミック化合物”が挙げられる。エレクトロクロミック化合物とは電圧
をかけて電子の流出入を行うことで光学濃度を増し、濃度増加時とは逆の電子移動を行う
ことで光学濃度を減ずる性質を有する化合物であり、一部の金属酸化物や有機化合物など
がこの性質を示すことが知られている。
こうしたエレクトロクロミック化合物に光に応答して起電力を生じる太陽電池を積層し
た調光システムが提案されている(例えば、特許文献4参照)。このシステムの場合も光
に応じた自動的な調光が期待できる。ただし、この提案のように太陽電池とエレクトロミ
ック化合物とを積層した構造ではエレクトロミック化合物の層を通過する光の一部が太陽
電池に吸収されることは不可避であり、特にカメラ関連光学素子のように、調光を必要と
しないシーンにおいて透過光量を最大限利用したいシステムには不適である。
一方、こうしたエレクトロクロミック化合物の特に有効な利用法として、エレクトロク
ロミック化合物を多孔質状の酸化チタン層に吸着させたエレクトロクロミック素子が報告
されている(例えば、特許文献5および非特許文献2参照)。
こうした素子の場合、多孔質状にして表面積を増した表面に吸着させる事でエレクトロクロミック化合物を高濃度に存在させて大きな濃度変化を可能とし、一方で酸化チタン層を通じて電子移動を行う事で効率的な発色・消色を可能としている。
また、最近、酸化チタンに代えてより抵抗の低いアンチモンドープ酸化錫の多孔質層を
用いることで発色・消色をより高速化したエレクトロクロミック素子も報告されている(
例えば、非特許文献3参照)。
こうした、エレクトロクロミック化合物を多孔質状の金属酸化物に吸着させたエレクト
ロクロミック素子は優れた発色・消色性能を示すが、一方で多孔質状金属酸化物層による
散乱・吸収で透過光に損失を生じやすく、特に短波長側の光に対する透過率に注意を要す
る。また当然ながらその駆動には電源が必要となる。また先に述べたカメラの撮影光調整
のような自動調光システムに用いるにはただの電源だけではシステムとして成立せず、光
量に応じて適度な起電力を発生させ、エレクトロクロミック素子の作動を調節する仕掛け
が必要である。
特開平5−142700号公報 特開平6−317815号公報 特開2001−13301号公報 特開平9−244072号公報 特表2000−506629号公報 ソリッドステート アンド マテリアルサイエンス(Solid State and Material Science),1990年,16巻,291頁 ソーラーエナジーマテリアルズ アンド ソーラーセルズ(Solar Energy Materials and Solar Cells),1998年,55巻,215頁 ジャーナル オブ フィジカルケミストリー B(Journal of Physical Chemistry B),2000年,104巻,11449頁
本発明の目的は、調光光量範囲が広く、システム自体による透過光の損失が少なく、か
つ応答速度の速い自動透過光調光システムを実現する光学素子を提供することにある。
より具体的には、本発明の目的は、カメラユニットなどの撮影システム、例えば、レン
ズ付きフィルムのようにシャッター速度や絞り径を変更する機能のないカメラユニットに
用いられる光学素子であって、
(i)撮影システムにおける拡大した露光ラチチュード、すなわち“暗いシーン”撮影時
の露光不足の解消と“明るいシーン”撮影時の露光オーバーの解消を両立させるシステム
として外部の明るさに応じて自動的に透過光量を変化させる「自動透過光調光素子」とし
ての機能を有し、
(ii)その透過光量変化が露光ラチチュードの拡大に十分に効果的な量の変化を撮影シー
ン決定からシャッターを押すまでの短時間に完了し得、さらに
(iii)素子自体による透過光の損失が撮影システムとして用いるに差し支えないほど低
い、
光学素子を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、この光学素子を用いたカメラユニットを提供することにある
本発明の上記目的は、下記の光学素子およびカメラユニットによって達成される。
1.電磁波に応答し起電力を発生させる起電力発生要素とその起電力により光学濃度を
変化させる光学濃度変化要素とを有する光学素子(好ましくは、起電力発生要素と光学濃
度変化要素は別ユニット)であって、該光学濃度変化要素が光学濃度を変化させる材料を
吸着させた金属酸化物層を有し、かつ該金属酸化物層が20より大きな表面粗さを持つ事
を特徴とする光学素子。
2.電磁波が紫外光および/または可視光であることを特徴とする上記1記載の光学素
子。
3.起電力発生要素が半導体からなる受光素子を有することを特徴とする上記1または
2に記載の光学素子。
4.起電力発生要素がシリコンまたは酸化チタンからなる受光素子を有することを特徴
とする上記1〜3のいずれか記載の光学素子。
5.光学濃度変化要素が可視光を吸収することを特徴とする上記1〜4のいずれかに記
載の光学素子。
6.光学濃度変化要素が複数の異なる波長の可視光を吸収することを特徴とする上記1
〜5のいずれかに記載の光学素子。
7.光学濃度変化要素が青色光、緑色光および赤色光を吸収することを特徴とする上記
1〜6のいずれかに記載の光学素子。
8.光学濃度変化要素がニュートラルグレーの吸収特性を有することを特徴とする上記
1〜7のいずれかに記載の光学素子。
9.光学濃度変化要素の消色時のλ=400nmの光学濃度が0.125以下、好まし
くは0.1以下、さらに好ましくは0.05以下であることを特徴とする上記1〜8のい
ずれかに記載の光学素子。
10.光学濃度変化要素の消色時のλ=400nm〜500nmの光学濃度の平均値、λ
=500nm〜600nmの光学濃度の平均値およびλ=600nm〜700nmの光学
濃度の平均値がいずれも0.1以下、好ましくは0.05以下であることを特徴とする上
記1〜9のいずれかに記載の光学素子。
11.光学濃度変化要素が反射防止層を有することを特徴とする上記1〜10のいずれか
に記載の光学素子。
12.金属酸化物層の一部ないしは全部の表面抵抗が2×108Ω/□未満、好ましくは
1×105Ω/□未満であることを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載の光学素子

13.金属酸化物層の一部ないしは全部の体積抵抗率が1×105Ω・cm未満、好まし
くは50Ω・cm未満であることを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載の光学素子

14.金属酸化物層の一部ないしは全部に酸化錫を含有することを特徴とする上記1〜1
3のいずれかに記載の光学素子。
15.金属酸化物層の一部ないしは全部にアンチモンドープ酸化錫を含有することを特徴
とする上記1〜13のいずれかに記載の光学素子。
16.金属酸化物層の一部ないしは全部に酸化チタンを含有することを特徴とする上記1
〜13のいずれかに記載の光学素子。
17.光学濃度変化要素が酸化および/または還元により着色する化合物を含むことを特
徴とする上記1〜16のいずれかに記載の光学素子。
18.光学濃度変化要素を発色させる際に1V以上の電圧をかける事を特徴とする請求項
1〜17のいずれか1項に記載の光学素子。
19.光学濃度変化要素が全面で均一であることを特徴とする上記1〜18のいずれかに
記載の光学素子。
20.光学濃度変化要素が複数のピクセルから構成されていることを特徴とする上記1〜
18のいずれかに記載の光学素子。
21.電磁波の照射に対する応答時のλ=400nm〜700nmの光学濃度の平均値が
0.5以上、好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.95以上であることを特徴と
する上記1〜20のいずれかに記載の光学素子。
22.電磁波に対する光学濃度変化の応答時間が5秒以下(好ましくは2秒以下、さらに
好ましくは0.3秒以下)であることを特徴とする上記1〜21のいずれかに記載の光学
素子。
23.上記1〜22のいずれかに記載の光学素子を有することを特徴とするカメラユニッ
ト。
24.光学濃度変化要素がレンズの光軸上に設置されることを特徴とする上記23に記載
のカメラユニット。
25.カメラユニットがレンズ付きフィルムユニットであることを特徴とする上記24に
記載のカメラユニット。
本発明によれば、電磁波に応答し光学濃度を変える光学素子、詳しくは、例えば紫外光
および可視光などに応答して起電力を発生させる太陽電池およびその起電力に応答して光
学濃度を変化させるエレクトロクロミック調光フィルターを結合させた光学素子をレンズ
付きフィルムおよび電子スチルカメラに搭載することで、撮影可能な照度範囲を広げるこ
とができる。
以下、本発明についてさらに詳述する。
本発明において、「光学濃度」とは、光学濃度変化要素に対する入射光強度をI0、透
過光強度をITとしたときに、下記数式(1)で算出される値Aである。
数式(1):A=−log(IT/I0
本発明において、「金属酸化物層の表面粗さ係数」とは、金属酸化物層の幾何学的表面
積に対する真表面積の割合である。具体的には、BET法を用いて測定することができる
本発明において「消色時」とは、光学濃度変化要素の両極を短絡する、あるいは両極間
に逆電圧を印加する、すなわち発色させる際にかける電圧と正負逆の方向に電圧を印加す
る、などして光学濃度変化要素の光学濃度を可能な限り低い状態に置いた時を指す。
本発明において「金属酸化物層の表面抵抗」とは、金属酸化物層のみが存在する状態で
測定した同金属酸化物層の表面抵抗の値である。
本発明において「電磁波」とは、一般的な定義に従う。例えば、物理学辞典(培風館刊
)によれば、電場と磁場には、時間的に一定な静的場と時間的に変動し空間の遠方まで伝
播する波動場があり、この波動場が電磁波と定義されている。具体的には、γ線、X線、
紫外線、可視光線、赤外線、電波に分類される。本発明が対象とする電磁波はこれら全て
を含むものであるが、本発明の光学素子をカメラユニットの調光システムとして適用する
場合に特に対象となるのは、好ましくは紫外線、可視光線、赤外線であり、より好ましく
は紫外線、可視光線である。
本発明の光学素子は、電磁波により起電力を発生させる起電力発生要素とその起電力に
より光学濃度を変化させる光学濃度変化要素とを有し、光学濃度変化要素の光学濃度の変
化が、起電力発生要素から発生した起電力、すなわち電磁波に応じて生じるので、電磁波
の強度に応じてその透過光量を変化させる調光素子として機能させることができる。
以下、本発明の光学素子の各要素について説明する。
本発明において「起電力を発生させる要素(起電力発生要素)」とは、電磁波エネルギ
ーを電気エネルギーに変換する要素をいう。より具体的には太陽光を電気エネルギーに変
換する太陽電池が代表例として挙げられる。太陽電池を構成する材料は、単結晶シリコン
、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、テルル化カドミウムやセレン化インジウム銅
等の化合物が挙げられる。これらの化合物を用いた太陽電池としては公知のものを本発明
の光学素子の用途に応じて選択して使用することができる。
また、色素によって増感された酸化物半導体を用いた光電変換素子(以後、色素増感光
電変換素子と略す)がおよびこれを用いた光電気化学電池について、Nature(第3
53巻、第737〜740頁、1991年)、米国特許4927721号、特開2002
−75443号公報等に記載された技術も、本発明の起電力発生要素として利用すること
ができる。
本発明の好ましい起電力発生要素は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファス
シリコンを材料とする太陽電池および色素増感光電変換素子である。本発明の光学素子を
カメラユニットに適用する場合、起電力発生要素は、照射される電磁波(特に太陽光)の
強度に比例した大きさの起電力を発生するのが好ましい。
本発明において「光学濃度を変化させる要素(光学濃度変化要素)」とは、起電力発生
要素により発生した起電力、すなわち電気エネルギーにより光学濃度を変化させ、電磁波
の透過率を変化させる要素をいう。
光学濃度変化要素は、電気エネルギーに応じて光学濃度を変化させる材料(クロミック
材料)を吸着させた金属酸化物層を有し、さらに支持体、電気エネルギーをクロミック材
料に供給する電気伝導層、光学濃度変化要素内での導電性を担う電解質などで構成される
。図1に、光学濃度変化要素の代表的な一構成例を示す。図1において、クロミック材料
は多孔質化した金属酸化物層に吸着している(33a,33b)。クロミック材料は、上
下の電気伝導層32から供給される電気エネルギーに応じてそれぞれ光学濃度が変化する
。このクロミック材料の光学濃度の変化に応じて、入射する電磁波hνはクロミック材料
に吸収され、透過光量が変化する。光学濃度変化要素の形態は、図1の形態に限定される
ことなく用途に応じて多様な形態をとることができ、例えば、光学フィルター、レンズ、
絞り、ミラー、窓、メガネ、表示パネル等が挙げられる。カメラユニットでは、好ましく
は光学フィルター、レンズ、絞りである。
光学濃度変化要素を構成する支持体は、特に限定されるものではないが、ガラス、プラ
スチック、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN
)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート(PC)、ポリスルフォン、
ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサル
ファイド、ポリアリレート(PAR)、ポリアミド、ポリイミド(PIM)、ポリスチレ
ン、ノルボルネン樹脂(ARTON)、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMM
A)等が挙げられ、その用途、形態に応じて適宜選択することができる。本発明の光学素
子が対象とする電磁波に対する吸収が小さいものを選択するのが好ましく、λ=400n
m〜700nmの光に対してはガラス、PET、PEN、TACおよびアクリル樹脂が特
に好ましい。また、支持体表面の反射による透過光の損失を避けるために、支持体の表面
に反射防止層(例えば、酸化珪素の薄層など)を設ける事も好ましい。その他にも、素子
への衝撃を防ぐ衝撃吸収層、摩擦による素子の損傷を防ぐ対擦過層、対象外の電磁波(例
えば、可視光用の光学素子における紫外光)をカットする電磁波吸収層などの各種機能層
が表面に設けられていても良い。
光学濃度変化要素を構成する電気伝導層は、特に限定されないが、金属薄膜(金、銀、
銅、クロム、パラジウム、タングステンおよびその合金等)、酸化物半導体膜(酸化錫、
酸化銀、酸化亜鉛、酸化バナジウム、ITO(酸化錫をドープした酸化インジウム)、ア
ンチモンドープ酸化錫(ATO)、FTO(フッ素をドープした酸化錫)、AZO(アル
ミニウムをドープした酸化亜鉛))、導電性窒化薄膜(窒化チタン、窒化ジルコニウム、
窒化ハフニウム)、導電性ホウ化物薄膜(LaB6)、スピネル型化合物(MgInO4
CaGaO4)、導電性高分子膜(ポリピロール/FeCl3)、イオン伝導性膜(ポリエ
チレンオキサイド/LiClO4)、無機・有機複合膜(酸化インジウム微粉末/飽和ポ
リエステル樹脂)等が挙げられる。本発明の光学素子が対象とする電磁波に対する吸収の
小さいものを選択するのが好ましく、λ=400nm〜700nmの光に対しては酸化錫
およびITOが特に好ましい。また、対象とする電磁波の吸収をより小さくするため、電
気伝導層は所望の導電性が確保できる中で可能な限り薄い事が好ましい。より具体的に言
うならば電気伝導層の厚みは1000nm以下が好ましく、200nm以下はより好まし
く、100nm以下はさらに好ましい。
光学濃度変化要素を構成する金属酸化物層としては、次に挙げる例に特に限定されるも
のではないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、酸化鉛、酸化タングステン、酸化錫、
酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化カドミウム、酸化ビスマス、酸化アルミニウム、酸化
第一鉄等およびその複合化合物、さらにはそれらにフッ素、塩素、アンチモン、燐、砒素
、ホウ素、アルミニウム、インジウム、ガリウム、珪素、ゲルマニウム、チタン、ジルコ
ニウム、ハフニウム、錫等をドープした物等が挙げられる。あるいは酸化チタンの表面に
ITO、アンチモンドープ酸化錫、FTO等をコートしたものでもよい。本発明の光学素
子が対象とする電磁波に対する吸収の小さいものを選択するのが好ましく、λ=400n
m〜700nmの光に対しては酸化チタン、酸化錫およびアンチモンドープ酸化錫が好ま
しく、酸化錫およびアンチモンドープ酸化錫が特に好ましい。
本発明では、こうした金属酸化物層にクロミック材料を吸着させることでクロミック材
料への円滑な電子流出入を実現し、光学濃度変化要素が短時間で光学濃度を変化させるこ
とを可能とする。この際、金属酸化物層に対するクロミック材料の吸着量が多ければ多い
ほど、より強い発色が可能となる。金属酸化物層はより多くのクロミック材料の吸着を可
能とするために多孔質化して表面積を増し、20以上の粗さ係数、好ましくは150以上
の粗さ係数を有することが必要である。
このような多孔質を形成するに当たって、ナノメートルオーダーの超微粒子を結着させ
る方法を用いても良い。この場合、用いる粒子のサイズやサイズの分散性を最適化するこ
とで、電磁波が金属酸化物層で吸収あるいは散乱されて生じる透過光の損失を最低限に抑
えることが可能となる。用いる粒子のサイズは好ましくは100nm以下、より好ましく
は1nm以上60nm以下、さらに好ましくは2nm以上40nm以下であるべきである
。また、サイズはなるべく単分散であることが好ましい。
本発明では、こうしたクロミック材料が吸着した金属酸化物層を二層以上用いてもよい。用いる各層は同じ組成の物でもよいし、異なる組成の物でもよい。クロミック材料が吸着した金属酸化物層をクロミック材料の吸着していない金属酸化物層と組み合わせて用いてもよい。
また、クロミック材料への電子流出入をより早めるために、金属酸化物層の表面抵抗は
2×108Ω/□未満、特には1×105Ω/□未満(または、体積抵抗率で1×105Ω
・cm未満、特には50Ω・cm未満)であることが好ましい。
適切な異種金属のドープは半導体化合物層もしくは金属酸化物層の表面抵抗を下げる上で有効である。また粒子サイズ、サイズの分散性の最適化などによっても、本発明の光学素子の応答速度を速めることができる。
光学濃度変化要素を構成するクロミック材料は、ビオローゲン系色素、フェノチアジン
系色素、スチリル系色素、フェロセン系色素、アントラキノン系色素、ピラゾリン系色素
、フルオラン系色素、フタロシアニン系色素、等の有機色素、ポリスチレン、ポリチオフ
ェン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリベンジン、ポリイソチアナフテン、等の導電性
高分子化合物類、酸化タングステン、酸化イリジウム、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸
化バナジウム、酸化モリブデン、酸化チタン、酸化インジウム、酸化クロム、酸化マンガ
ン、プルシアンブルー、窒化インジウム、窒化錫、窒化塩化ジルコニウム等の無機化合物
、などが挙げられる。
ビオローゲン系色素は、例えば一般式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)
Figure 2005115320
に示す構造に代表される化合物である。
1 -〜X6 -は対アニオンを表し、それぞれ同一であっても異なっても良く、ハロゲンア
ニオン、ClO4 -、BF4 -、PF6 -、CH3COO-、CH3(C64)SO3 -などから選
ばれる。
1、R2、R3、R4は、各々水素または炭素数1〜20の炭化水素基を表す。こうした
炭化水素基としてはアルキル基、アリール基が挙げられ、より具体的には、例えばメチル
基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペ
ンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、トルイル基等があ
げられる。これらの炭化水素基は枝分かれしていても良いし、ヒドロキシル基、ニトリル
基、アミノ基、ニトロ基、オキソ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基などの任意の官能
基で置換されていてもよいし、途中の炭素が酸素、窒素、硫黄、リンなどの任意のヘテロ
原子で置換されていても良いし、また一部ないしは全体が不飽和化されていても良い。特
にカルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の吸着性置換基を持つことは好ましい
。以下に示す化合物を具体例として挙げることができるが、これらに限定されるものでは
ない。
Figure 2005115320
フェノチアジン類は、下記一般式(6)
Figure 2005115320
に示す構造に代表される化合物である。R1は水素または炭素数1〜20の炭化水素基を
表す。この炭化水素基としてはアルキル基、アリール基が挙げられ、より具体的には例え
ばメチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基
、n−ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、トルイル
基等があげられる。この炭化水素基は枝分かれしていても良いし、ヒドロキシル基、ニト
リル基、アミノ基、ニトロ基、オキソ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基などの任意の
官能基で置換されていてもよいし、途中の炭素が酸素、窒素、硫黄、リンなどの任意のヘ
テロ原子で置換されていても良いし、また一部ないしは全体が不飽和化されていても良い
。特にカルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の吸着性置換基を持つことは好ま
しい。以下に示す化合物を具体例として挙げることができるが、これらに限定されるもの
ではない。
Figure 2005115320
スチリル類は、下記式(7)
Figure 2005115320
に示す基本骨格を持つ化合物である。式中、nは1〜5である。この化合物は式中の任意
の場所に任意の置換基を有して良く、特にカルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基
等の吸着性の置換基を有することは好ましい。以下に示す化合物を具体例として挙げるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2005115320
こうしたクロミック化合物のうち、有機化合物は、その置換基を変えることにより、吸
収波長をコントロールすることができる。また、光学濃度を変化させるクロミック材料を
2種以上用い、光学濃度変化要素が異なる波長の光学濃度を変化させることを可能とする
のも好ましい。
本発明の光学素子をカメラユニットなどの調光素子として用いる場合、光学濃度変化要
素は可視光、好ましくは複数の異なる波長の可視光、より好ましくは青色光,緑色光およ
び赤色光を吸収することが好ましい。さらには、可視域の光を均一に吸収するニュートラ
ルグレーに近い吸収特性を有することが好ましく、複数の材料の組み合わせにより実現さ
せることができる。2種以上の好ましい組み合わせは、ビオローゲン系色素−フェノチア
ジン系色素、ビオローゲン系色素−フェロセン系色素、フタロシアニン系色素−プルシア
ンブルー、ビオローゲン系色素−酸化ニッケル、ビオローゲン系色素−酸化イリジウム、
酸化タングステン−フェノチアジン系色素、ビオローゲン系色素−フェノチアジン系色素
−スチリル系色素、ビオローゲン系色素2種(置換基の異なる2種)−フェノチアジン系
色素、ビオローゲン系色素2種(置換基の異なる2種)−酸化ニッケルなどである。
また、これらのクロミック材料の電気化学反応を促進するために、酸化還元されうる補
助化合物が光学濃度変化要素内に存在しても良い。補助化合物は酸化還元によって光学濃
度が変化しないものでも良いし、変化するものでも良い。補助化合物はクロミック材料と
同じ様に金属酸化物上に存在しても良いし、電解質中に溶解していても、あるいは電気伝
導層上に単独で層を形成していても良い。
光学濃度変化要素を構成する電解質は、溶媒と支持電解質からなる。支持電解質は荷電
の授受により、それ自身は決して電気化学反応を起さず、導電性を高める役目を担う。溶
媒としては極性を有するものが好ましく、具体的には水、メタノール、エタノールなどの
アルコール、酢酸などのカルボン酸、アセトニトリル、プロピオンニトリル、グルタロニ
トリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、ジメチルアセトアミド、メチルピロ
リジノン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメ
トキシエタン、プロピレンカルボネート、エチレンカルボネート、γ−ブチロラクトン、
テトラヒドロフラン、ジオキソラン、スルホラン、トリメチルホスフェイト、ピリジン、
ヘキサメチレン酸トリアミド、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
支持電解質は溶媒中でイオンとして荷電のキャリアーとして働くもので、イオン化し易
いアニオンとカチオンで組み合わされた塩である。カチオンとしては、Li+、Na+、K
+、Rb+、Cs+を代表とする金属イオン及びテトラブチルアンモニウムイオンを代表と
する4級アンモニウムイオンが挙げられる。またアニオンとしては、Cl-、Br-、I-
、F-を代表とするハロゲンイオン、硫酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、トシラ
ートイオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン等が挙げられる
。その他の電解質として、LiCl/KClを代表とする溶融塩系、イオン伝導体、超イ
オン伝導体を代表とする固体電解質系、イオン交換膜のような膜状のイオン導電性物質を
代表とする固体高分子電解質系が挙げられる。
本発明の光学素子としては、光学濃度変化要素の材料を適切に組み合わせる、すなわち
支持体、電気伝導層、クロミック材料の種類を最適化する、また金属酸化物層の種類や粒
子サイズを最適化することによって、消色時のλ=400nmの光学濃度を0.125以
下に抑えることが好ましい。また同様にして、λ=400nm〜500nmの光学濃度の
平均値、λ=500nm〜600nmの光学濃度の平均値およびλ=600nm〜700
nmの光学濃度の平均値をすべて0.1以下にすることが好ましい。一方で電磁波照射に
対する応答時のλ=400nm〜700nmの光学濃度の平均値が0.5以上であること
が好ましく、0.8以上であることがより好ましく、0.95以上であることが特に好ま
しい。
また、本発明の光学素子は、光学濃度変化要素の材料を適切に組み合わせる、特に上記
のとおり金属酸化物層の種類や粒子サイズなどを最適化することにより、電磁波に対する
光学濃度変化の応答時間を“サブ秒オーダー”とすることができる。電磁波に対する光学
濃度変化の応答時間とは、電磁波を照射する場合、照射前の光学濃度(最小光学濃度)と
照射後に飽和した光学濃度(最大光学濃度)との中間値の光学濃度に照射し始めてから到
達するのに要した時間であり、電磁波を遮断する場合には、最大光学濃度から最小光学濃
度との中間値の光学濃度に遮断し始めてから到達するのに要した時間である。いずれの場
合にも、本発明では、好ましくは5秒以内、より好ましくは2秒以内、さらに好ましくは
0.3秒以内の応答時間を実現することができる。
本発明の本発明の光学素子において、光学濃度変化要素の光学濃度を増す(発色させる
)際に印加する電圧は素子の使用目的や用途に応じて選ばれるべきである。印加電圧が高
いほど発色は迅速になるが、副反応が生じるなどして光学濃度変化要素の耐久性を損なう
可能性も高くなる。発色させる際に印加する電圧は1V以上が好ましく、1.5V以上4
V以下が特に好ましい。
本発明の光学素子において、光学濃度変化要素と起電力発生要素の接続に当たっては直
接接続しても良いし、増幅用、保護用などの機能を持った回路を介しても良い。また、光
学濃度変化要素と並列に接続した抵抗を有し、光遮断時の印加電圧の解消を促進するよう
な回路構成となっていてもよい。
本発明の光学素子は、車両用窓材料、表示装置、カメラ関連光学素子などいずれにも適
応できる。本発明の光学素子の有効性を発揮できる一応用例がカメラ関連光学素子である
。大版・中版のカメラ、一眼レフカメラ、コンパクトカメラ、レンズ付きフィルム、デジ
タルカメラ、放送用カメラ、映画用フイルムカメラ、映画用デジタルカメラ、8mmムー
ビーカメラなどいずれのカメラユニット対しても有効である。特に特徴を発揮できる例と
して、レンズ付きフィルムに代表される複雑な制御機構を必要としない簡易な撮影システ
ムがある。特徴を発揮できる別の例として、CCDあるいはCMOSを撮像素子とするデ
ジタルカメラがあり、撮像素子のダイナミックレンジの狭さを補うことができる。
本発明の光学素子をカメラユニットに応用する場合に、光学濃度変化要素は、レンズの
光軸上に設置されることが好ましい。また、起電力発生要素と、光学濃度変化要素、およ
びカメラの感光要素(感光材料(フィルムなど)やCCD)とは、光吸収特性(光吸収波
長や分光感度)の重なりが大きいほど好ましい。特に、光学濃度変化要素の吸収波長域と
カメラの感光要素の分光感度域の重なりが大きいほど好ましい。これにより、カメラの分
光感度域全体に渡って、ニュートラルグレーな調光性を実現できる。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに
限定されるものではない。
[実施例1]
本発明の光学素子をレンズ付きフィルムユニットに搭載した実施例を示す。
本実施の形態のレンズ付きフィルムユニットは、図2および図3に示されるように、(
1)調光フィルター23(光学濃度変化要素)、(2)太陽電池13(起電力発生要素)
を搭載したものである。太陽電池13をユニット外部に設けることで、外部光の強度に応
じた起電力を発生させ、その起電力に応じて調光フィルター23にて、写真フィルム16
に到達する光量を調節し、高輝度環境下でのオーバーネガを防ぐことができる。以下、(
1)調光フィルター及び(2)太陽電池の詳細および作製法について説明する。
(1)調光フィルター
調光フィルターは、(i)酸化チタンナノ粒子の形成、(ii)酸化チタンナノ粒子の塗
布、(iii)クロミック色素の吸着、(iv)フィルター素子化、の手順で作製した。
(i)酸化チタンナノ粒子の形成;
水440mlに濃硝酸8mlを加えた酸性溶液に、チタンテトライソプロポキシド78
.7ml(0.27mol)を加え、撹拌した後、95℃で3時間熟成した。熟成後はゾ
ル液となった。このゾル液中の粒子はX線回折から約5nmのアナターゼ型粒子であるこ
とが確認された。次に、このゾル液を250℃で16時間、水熱熟成処理し、ついで遠心
分離することにより、白色結晶が得られた。遠心分離により得られた白色結晶性の酸化チ
タンナノ粒子に水を加え分散したのち、再び遠心分離より回収して、酸化チタンナノ粒子
を洗浄した。白色結晶粒子はX線回折から約15nmのアナターゼ型粒子であることが確
認された。
なお、酸化チタンナノ粒子のサイズや分散性は、「調光システム」の目的と用途に依っ
て、変えることができる。粒子のサイズや分散性は、(イ)ゾル液形成時のpH、温度、
熟成時間、(ロ)水熱熟成処理における、pH、温度、熟成時間、を調節することにより
、所望のものにすることができる。
(ii)酸化チタンナノ粒子の塗布
上記洗浄済みの酸化チタンナノ粒子にポリエチレングリコール(分子量20,000)
、トリトンX(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)、エタノール、
水及び濃硝酸を加え、均一に攪拌して、塗布液を作製した。塗布基板には、導電性ITO
蒸着膜で被覆した厚さ1mmの透明ガラスを用いた。 この透明導電性ガラス基板のIT
O膜上に酸化チタンが8g/m2となる様に、塗布液を均一に塗布した。塗布後、450
℃30分間、ガラス基板を焼成して高分子を除去して酸化チタン多孔質電極を作製した。
上記手法に従って作成した電極はおよそ750の粗さ係数を持っていた。また、酸化チタ
ン層の表面抵抗は1.1×108Ω/□、体積抵抗率は3.3×104Ω・cmであった。
なお、「調光システム」の目的と用途に依って、酸化チタンナノ粒子層の膜厚を変えるこ
とができる。
(iii)クロミック色素の吸着
クロミック色素には下記クロミック色素(V−1)および(P−1)を用いた。クロミ
ック色素V−1は陰極(−極)で還元されて発色し、クロミック色素P−1は陽極(+極
)で酸化されて発色する性質を有する。この際、クロミック色素V−1およびP−1が発
色した色は互いに相異なる。即ち、発色に伴い、2種類のクロミック材料は異なる波長の
光学濃度を変化させる。
クロミック色素(V−1)および(P−1)
Figure 2005115320
V−1を水溶媒中に、P−1をクロロホルム及びメタノールの混合溶媒中に、それぞれ
、濃度が0.02mol/lになるように溶解し、(ii)で作製した酸化チタン多孔質電
極付きガラスを2枚用意し、それぞれの色素溶液に別々に浸漬して室温で24時間化学吸
着させた。化学吸着後、ガラスを各々の溶媒で洗浄し、さらに真空乾燥した。
なお、クロミック色素の酸化チタンナノ粒子への吸着法については上記の浸漬法以外に
、(i)で作製した酸化チタンナノ粒子を透明導電性ガラスに塗布する際、塗布液に混ぜ
て吸着させる方法や、(i)の酸化チタンナノ粒子形成時に混ぜて吸着させる方法、等が
挙げられる。
(iv)フィルター素子化
V−1色素を吸着させた酸化チタン導電性ガラスおよびP−1色素を吸着させた酸化チ
タン導電性ガラスを25μmのスペーサーを用いて、図4に示したように対向させ、その
隙間に0.2mol/lの過塩素酸リチウム溶液を電解質として封入してフィルター素子
とした。この際、2枚の導電性ガラスには22×22mmに裁断した基板を用い、各極の
導電層に銀線をコンタクトさせた。太陽電池と接続する際にはV−1色素を吸着させた酸
化チタン電極を太陽電池の(−)極に、P−1色素を吸着させた酸化チタン電極を同(+
)極に、繋いだ。
(2)太陽電池
太陽電池としては、シリコン型SS−3012DS(SINONAR社製)を用いた。
それら太陽電池のユニットセルを約3Vの起電力が発生させられるようにに直列に繋いだ
。使用した太陽電池の模擬太陽光(キセノンランプとOriel社製 AM1.5分光フ
ィルターを使用)の光量に対する起電力特性を図5に示す。
上記の(1)調光フィルターと(2)太陽電池を用い、下記表1に示す構成のレンズ付
きフィルムユニットを作製した。使用したフィルムのISO感度は1600、絞りはF8
、シャッター速度は1/85”である。この条件で構成される撮影システムを用いた場合
、EV=8.4の条件で写真を撮影した際に最適の濃度のネガが得られる。
Figure 2005115320
試料102に用いた光学素子の太陽電池起電力に対する光学濃度特性を図6に示す。ま
た、これらの結果から得られる、太陽電池と調光フィルターを結合した光学素子の光量に
対する光学濃度応答特性を図7に示す。なお、ここに示した光学濃度はλ=400nm〜
700nmの平均値である。図にはそれぞれの光学濃度上昇が一般に撮影システムで用い
られるいわゆる“絞り”にして何絞り分に相当するかを併記した。なお、絞りを+1する
ということは透過光量を半分にすることに相当し、光学濃度でいうと0.3の上昇に相当
する。図7に示すように、この光学素子の絞りは光遮断時には+0.2で、そこにEV=
11.0の光を照射することで+2.8まで、EV=11.5以上の光を照射することで
+3.2まで絞りが増加した。変化の応答時間は2秒であった。なお、EVとは明るさを
示す値であり、照度の実用単位luxを用いて示した明るさLから、下記数式(2)によ
り、算出される値である。
数式(2):EV=log2(L/2.4)
先ほど示した絞りとの関係で述べると、ある光学素子の絞りを+1することはその光学
素子を通して受取る光の明るさのEV値が1減少することに相当する。
上記101、102のユニットを使用して、EV=6.4(暗い室内に相当)〜15.
4(真夏の晴天時に相当)の範囲の明るさの場面で撮影を行い、富士写真フイルムCN−
16現像処理を3分15秒間行なった。その結果得られたネガの露出レベルの比較を表2
に示す。なお、露出レベルとは処理後のネガの濃度の適正さを評価したもので、最適なネ
ガの濃度を0とおいた。前述の様に今回用いた撮影システムの場合、EV=8.4の条件
で写真を撮った際に最適の濃度のネガが得られる、すなわち露出レベル=0となる。露出
レベル+1とは、適正なグレー濃度から1絞り分濃い(=光学濃度で言うと0.3高い)
事を、露出レベル−1とは、適正なグレー濃度から1絞り分薄い(光学濃度で言うと0.
3低い)事を意味する。
Figure 2005115320
ここで得られたネガを元にプリントを行う事を想定した場合、ある程度の露出レベルの
ずれは補正可能となる。具体的には−1〜+4までの範囲の露出レベルのネガならば、プ
リント時に補正可能であり、「撮影に成功した写真」を得ることができる。露出レベルが
先程の範囲内にない場合にはプリント時での補正が追いつかず、「失敗写真」となってし
まう。上記の条件で撮影したネガからプリントした場合に得られた写真が成功しているか
失敗しているかを表3に示した。○が成功で×が失敗である。
Figure 2005115320
表3から、以下のことが分かる。調光システムを持つ本発明102は、調光システムを
持たない比較例101に比して照度の低い条件(EV値が小さい条件)での撮影可能領域
がやや狭まっているものの照度の高い条件(EV値が大きい条件)での撮影可能領域が大
幅に広がっており、総合してより広い撮影領域を持つカメラシステムが実現されている。
[実施例2]
消色時の光学濃度の低い光学濃度変化要素を用いて作成した本発明の光学素子をレンズ
付きフィルムユニットに搭載した実施例を示す。
レンズ付きフィルムユニットの、外観および機能については実施例1に準じる。以下、
(1)調光フィルター及び(2)太陽電池の詳細および作製法について説明する。
(1)調光フィルター
調光フィルターは、(i)酸化錫ナノ粒子の塗布、(ii)クロミック色素の吸着、(ii
i)フィルター素子化、の手順で作製した。この際、2種類の粒子を用いて2種類のフィ
ルターI、IIを作製した。
I−(i)酸化錫ナノ粒子の塗布
直径10nmの酸化錫の水分散液にポリエチレングリコール(分子量20,000)を加え、均一に攪拌して塗布液を作製した。塗布基板には、導電性SnO2スパッタリング膜で被覆した厚さ0.7mmの反射防止膜付き透明ガラスを用いた。この透明導電性ガラス基板のSnO2膜上に酸化錫が9g/m2となる様に、塗布液を均一に塗布した。塗布後、450℃30分間、ガラス基板を焼成して高分子を除去して酸化錫多孔質電極を作製した。上記手法に従って作成した電極はおよそ750の表面粗さ係数を持っていた。また、酸化錫層の表面抵抗は1.0×107Ω/□、体積抵抗率は3.0×103Ω・cmであった。
I−(ii)クロミック色素の吸着、I−(iii)フィルター素子化については多孔質電極を変更した以外は実施例1と同様に行い、調光フィルターIを得た。
II−(i)酸化錫ナノ粒子の塗布
直径2nmの酸化錫の水分散液にポリエチレングリコール(分子量20,000)を加え、均一に攪拌して塗布液を作製した。塗布基板には、導電性SnO2スパッタリング膜で被覆した厚さ0.7mmの反射防止膜付き透明ガラスを用いた。この透明導電性ガラス基板のSnO2膜上に塗布液を均一に塗布した後に550℃で30分間ガラス基板を焼成して高分子を除去した。酸化錫の合計塗付量が2g/m2となるまで塗付と焼成を繰り返し、酸化錫多孔質電極を得た。上記手法に従って作成した電極はおよそ860の表面粗さ係数を持っていた。また、酸化錫層の表面抵抗は1×106Ω/□、体積抵抗率は100Ω・cmであった。
II−(ii)クロミック色素の吸着、II−(iii)フィルター素子化については多孔質電極を変更した以外は実施例1と同様に行い、調光フィルターIIを得た。
(2)太陽電池
太陽電池としては、実施例1と同様のものを用いた。
上記の(1)で製作した酸化錫使用調光フィルターI、IIと(2)太陽電池、および実
施例1と同様の手法で製作した酸化チタン使用光学フィルターを用い、下記表4に示す構
成のレンズ付きフィルムユニットを作製した。使用したフィルムのISO感度は1600
、絞りはF8、シャッター速度は1/85”である。
Figure 2005115320
試料203に使用した光学素子の光量に対する光学濃度および絞り値の応答特性を図8
に示す。図8に示すように、この光学素子の絞りは光遮断時には+0.1で、そこにEV
=11.5以上の光を照射することで+3.1まで絞りが増加した。変化の応答時間は1
.5秒であった。試料204に使用した素子の特性は試料203に用いた素子とほぼ同様
であった。また試料202〜204に用いた光学素子の光遮断時におけるλ=400nm
の光学濃度、λ=400nm〜500nmの光学濃度の平均値、λ=500nm〜600
nmの光学濃度の平均値およびλ=600nm〜700nmの光学濃度の平均値を表5に
示す。203および204の光学素子は202の光学素子に比べて光遮断時のλ=400
nmの光学濃度およびλ=400nm〜500nmの光学濃度の平均値が低いことが分か
る。
Figure 2005115320
上記201〜204のユニットを使用して、EV=6.4(室内に相当)〜14.4(
真夏の晴天時に相当)の範囲の明るさの場面で撮影を行い、富士写真フイルムCN−16
現像処理を3分15秒間行なった。その結果得られたネガの露出レベルの比較を表6に示
す。
Figure 2005115320
上記の条件で撮影したネガからプリントした場合に得られた写真が成功しているか失敗
しているかを表7に示した。○が成功で×が失敗である。
Figure 2005115320
表7から、以下のことが分かる。調光システムを持つ試料202、203および204
はともに、調光システムを持たない201に比べてより広い撮影領域を持つ。
次に、上記201〜204のユニットに対してEV値8.4に相当する強度のグレー露
光を行い、それぞれから処理して得られたネガのB層、G層、R層の層別の濃度を測定し
てユニット間で比較し、色バランスを評価した。(得られたネガの各層間の濃度差が0.
03以内の場合をOKとした。)現像条件は富士写真フイルムCN−16現像処理を3分
15秒間とした。その結果を、先ほど表3に示したユニットの光学濃度の値と対比する形
で表8に示す。
Figure 2005115320
表8から、以下のことが分かる。すなわち、λ=400nmの光学濃度が0.125以
下、およびλ=400nm〜500nmの光学濃度の平均値、λ=500nm〜600n
mの光学濃度の平均値およびλ=600nm〜700nmの光学濃度の平均値がいずれも
0.1以下という条件を満たした試料203、204で撮影した場合はグレー露光から得
られるネガの色バランスがOKレベルであったのに対し、λ=400nmの光学濃度が0
.220と高く、またλ=400nm〜500nmの光学濃度の平均値も0.1を超えて
いた試料202で撮影した場合はグレー露光から得られるネガの色バランスが悪く、NG
レベルであった。
[実施例3]
金属酸化物層の抵抗が低く、かつ消色時の光学濃度の低い光学濃度変化要素を用いて作
成した本発明の光学素子をレンズ付きフィルムユニットに搭載した実施例を示す。
レンズ付きフィルムユニットの、外観および機能については実施例1に準じた。以下、
(1)調光フィルター及び(2)太陽電池について説明する。
(1)調光フィルター
以下に示す手法で4種類のフィルターIII、IV、V、VIを作製した。
III−(i)酸化チタンナノ粒子の形成
実施例1の(i)と同様に行い、作製した。
III−(ii)酸化チタンナノ粒子の塗付
実施例1の(ii)と同様に行った。ただし、塗付後の基板焼成は行わなかった。得られ
た電極はおよそ750の表面粗さ係数を持ち、表面抵抗は8.0×108Ω/□、体積抵
抗率は2.4×105Ω/□であった。
III−(iii)クロミック色素の吸着、III−(iv)フィルター素子化については多孔質電極を変更した以外は実施例1の(iii)、(iv)と同様に行い、調光フィルターIIIを得た。
IV−(i)酸化チタンナノ粒子の形成
実施例1の(i)と同様に行い、作製した。
IV−(ii)酸化チタンナノ粒子の塗付
実施例1の(ii)と同様に行った。得られた電極はおよそ750の表面粗さ係数を持ち
、表面抵抗は1.1×108Ω/□、体積抵抗率は3.3×104Ω/□であった。
IV−(iii)クロミック色素の吸着、IV−(iv)フィルター素子化については実施例1の(iii)、(iv)と同様に行い、調光フィルターIVを得た。
V−(i)酸化錫ナノ粒子の塗付
実施例2のII−(i)と同様に行った。得られた電極はおよそ860の表面粗さ係数を持ち、表面抵抗は1.0×106Ω/□、体積抵抗率は100Ω/□であった。
V−(ii)クロミック色素の吸着、V−(iii)フィルター素子化については実施例2のII-(ii)、(iii)と同様に行い、調光フィルターVを得た。
VI−(i)アンチモンドープ酸化錫ナノ粒子の塗布
直径5nmのアンチモンドープ酸化錫の水分散液にポリエチレングリコール(分子量2
0,000)を加え、均一に攪拌して塗布液を作製した。塗布基板には、導電性SnO2
スパッタリング膜で被覆した厚さ0.7mmの反射防止膜付き透明ガラスを用いた。この
透明導電性ガラス基板のSnO2膜上に塗布液を均一に塗布した後に450℃で30分間
ガラス基板を焼成して高分子を除去した。アンチモンドープ酸化錫の合計塗付量が2g/
2となるまで塗付と焼成を繰り返し、アンチモンドープ酸化錫多孔質電極を得た。上記
手法に従って作成した電極はおよそ860の表面粗さ係数を持っていた。また、アンチモ
ンドープ酸化錫層の表面抵抗は9.0×104Ω/□、体積抵抗率は3.6Ω・cmであ
った。
VI−(ii)酸化錫ナノ粒子の塗付
直径2nmの酸化錫の水分散液にポリエチレングリコール(分子量20,000)を加え、均一に攪拌して塗布液を作製した。塗布基板には、導電性SnOスパッタリング膜で被覆した厚さ0.7mmの反射防止膜付き透明ガラスを用いた。この透明導電性ガラス基板のSnO2膜上に塗布液を均一に塗布した後に550℃で30分間ガラス基板を焼成して高分子を除去した。酸化錫の合計塗付量が2g/m2となるまで塗付と焼成を繰り返し、酸化錫多孔質電極を得た。上記手法に従って作成した電極はおよそ860の表面粗さ係数を持っていた。
VI−(iii)クロミック色素の吸着
クロミック色素にはクロミック色素V−1およびP−1を用いた。V−1を水溶媒中に、P−1をクロロホルム及びメタノールの混合溶媒中に、それぞれ濃度が0.02mol/lになるように溶解し、P−1溶液にはVI−(i)で作製したアンチモンドープ酸化錫多孔質電極を、V−1溶液にはVI−(ii)で作製した酸化錫多孔質電極を浸漬して室温で24時間化学吸着させた。化学吸着後、ガラスを各々の溶媒で洗浄し、さらに真空乾燥した。
VI−(iv)フィルター素子化
VI−(iii)で作製したP−1色素を吸着させたアンチモンドープ酸化錫多孔質電極およびV−1色素を吸着させた酸化錫多孔質電極を25μmのスペーサーを用いて、図4に示したように対向させ、その隙間に0.2mol/lの過塩素酸リチウム溶液を電解質として封入してフィルター素子VIとした。この際、2枚の導電性ガラスには22×22mmに裁断した基板を用い、各極の導電層に銀線をコンタクトさせた。太陽電池と接続する際にはV−1色素を吸着させた酸化錫多孔質電極を太陽電池の(−)極に、P−1色素を吸着させた酸化錫電極を同(+)極に、繋いだ。
(2)太陽電池
太陽電池としては、実施例1と同様のものを用いた。
上記III〜VIの調光フィルターと(2)太陽電池を用いて、下記表9に示す構成のレン
ズ付きフィルムユニットを作製した。使用したフィルムのISO感度は1600、絞りは
F8、シャッター速度は1/85”である。
Figure 2005115320
試料305に用いた光学素子の太陽電池起電力に対する光学濃度特性は試料304に用
いた光学素子とほぼ同様であった(実施例2のデータを参照のこと)。
一方で試料303〜305に用いた光学素子に対して太陽電池より2.5Vの起電力を
与えた際の光学濃度応答の時間変化を図9に示す。図9より、試料305の光学素子が試
料303、304の光学素子と比較して応答速度に優れていることが分かる。試料305
の光学素子の光学濃度変化の応答時間は0.3秒であった。
上記301〜305のユニットを使用して、EV=6.4(室内に相当)〜14.4(
真夏の晴天時に相当)の範囲の明るさの場面で撮影を行い、富士写真フイルムCN−16
現像処理を3分15秒間行なった。その結果得られたネガの露出レベルの比較を表10に
示す。
Figure 2005115320
上記の条件で撮影したネガからプリントした場合に得られた写真が成功しているか失敗
しているかを表11に示した。○が成功で×が失敗である。
Figure 2005115320
表11から、以下のことが分かる。すなわち調光システムを持つ試料302〜305は
いずれも、調光システムを持たない301に比べてより広い撮影領域を持つ。
次に302〜305に対して、EV=8.4の場面からEV=15.4の場面へ変化さ
せたときの光学濃度変化の応答時間を測定した。その結果を各ユニット中の調光フィルタ
ー内の金属酸化物層の抵抗値と併せて表12に示す。
Figure 2005115320
表12より以下の事がわかる。すなわち試料305と302〜304との比較により、
クロミック材料を有する調光フィルターにおいてクロミック材料の吸着する金属酸化物層
の抵抗を下げることによって、調光の応答時間の短縮が実現できることが分かる。
[実施例4]
本実施例は色素数を増やした実施例である。実施例1におけるクロミック色素V−1の
0.02mol/l水溶液に替えて、クロミック色素V−1と下記クロミック色素V−4
の0.02mol/l混合水溶液を用いた以外、実施例3の調光フィルターVIと同様に調
光フィルターを作成し、実施例3と同じ太陽電池と接続してレンズ付きフィルムに搭載し
た。実施例3のレンズ付きフィルムユニットと同様の比較実験を行ったところ、本発明は
赤色光の抑制に重きがおかれた調光効果を示した。このように、任意の色素を組み合わせ
て用いることで得たい効果に応じた調光素子を作成することが可能である。
クロミック色素(V−4)
Figure 2005115320
[実施例5]
本実施例は、電子スチルカメラに調光フィルターを装備した実施例である。本発明の電
子スチルカメラは、図10に示したようにレンズとCCDの間に実施例3で作製した調光
フィルターVIを搭載し、更に図11に示したように外装部に実施例3と同じ太陽電池、を
それぞれ搭載したものである。実施例3のレンズ付きフィルムユニットと同様の比較実験
を行ったところ、本発明はダイナミックレンジの狭い電子スチルカメラではレンズ付きフ
ィルムユニットの場合よりも顕著な調光効果を発揮した。
[実施例6]
本実施例は、レンズ付きフィルムユニットに絞り状調光レンズを装備した実施例である
。実施例3にて作製した調光フィルターVIを基本に図12に示す様に絞り状の調光レンズ
を作製した。下記表12に示す構成のレンズ付きフィルムユニットを作製した。調光レン
ズを設ける場合はレンズ付きフィルムの絞りの前に設置した。作製したユニットを用い、
実施例3と同様の条件で撮影・現像試験を行なった。
Figure 2005115320
上記401、402のユニットを使用して、EV=6.4(室内に相当)〜14.4(
真夏の晴天時に相当)の範囲の明るさの場面で撮影を行い、富士写真フイルムCN−16
現像処理を3分15秒間行なった。その結果得られたネガの露出レベルの比較を表13に
示す。
Figure 2005115320
上記の条件で撮影したネガからプリントした場合に得られた写真が成功しているか失敗
しているかを表14に示した。○が成功で×が失敗である。
Figure 2005115320
表15から、以下のことが分かる。すなわち調光レンズを持つ試料402は調光レンズ
を持たない401に比べてより広い撮影領域を持つ。
[実施例7]
本実施例は、携帯電話用の撮像ユニットに調光フィルターを装備した実施例である。携
帯電話の撮像ユニットのレンズ上に実施例3で作製した調光フィルターVIを搭載し、更に
撮像ユニットの周囲に実施例3と同じ太陽電池、を搭載した。本実施例の撮像ユニットを
搭載した携帯電話は、本発明のような光学素子を持たない撮像ユニットと比較してより幅
広い露光条件での撮影が可能であった。
本発明の光学濃度変化要素の代表的な一構成例を示す概略断面図である。 本発明の光学素子を有するレンズ付きフィルムユニットの要部の概略断面図である。 本発明の光学素子を有するレンズ付きフィルムユニットの一例の外観図である。 本発明の光学濃度変換要素の一例(調光フィルター)の構成を示す概略断面図である。 実施例1に用いた太陽電池の起電力応答特性を示すグラフである。 実施例1で作製した調光フィルターの起電力応答特性を示すグラフである。 実施例1で作製した本発明の光学素子の起電力応答特性を示すグラフである。 実施例1で作製した本発明の光学素子の起電力応答特性を示すグラフである。 実施例3で作製した調光フィルターの起電力応答の時間変化を示す図である。 本発明の光学素子を有する電子スチルカメラの要部の概略断面図である。 本発明の光学素子を有する電子スチルカメラの一例の概略外観図である。 本発明の光学濃度変換要素の一例(調光レンズ)の構成を模式的に示す概略図である。
符号の説明
1 レンズ付きフィルムユニット
4 撮影レンズ
5 ファインダー
6 ストロボ発光部
8 シャッターボタン
13 太陽電池
16 写真フィルム
18 遮光筒
20 レンズホルダー
21 アパーチャー
22 露光開口
23 調光フィルター
24 絞り
29 光軸
31 支持体
32 電気伝導層
33a,b クロミック材料が吸着した金属酸化物層
34 電解質
35 スペーサー

Claims (11)

  1. 電磁波に応答し起電力を発生させる起電力発生要素とその起電力により光学濃度を変化させる光学濃度変化要素とを有する光学素子であって、
    該光学濃度変化要素が、光学濃度を変化させる材料を吸着させた金属酸化物層を有し、
    かつ該金属酸化物層が20より大きな表面粗さ係数を持つことを特徴とする光学素子。
  2. 光学濃度変化要素の消色時のλ=400nmの光学濃度が0.125以下であることを
    特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 光学濃度変化要素の消色時のλ=400nm〜500nmの光学濃度の平均値、λ=5
    00nm〜600nmの光学濃度の平均値、およびλ=600nm〜700nmの光学濃
    度の平均値がいずれも0.1以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光学
    素子。
  4. 光学濃度変化要素が反射防止層を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の光学素子。
  5. 金属酸化物層の一部または全部の表面抵抗が2×108Ω/□未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載に記載の光学素子。
  6. 金属酸化物層の一部または全部の体積抵抗率が1×105Ω・cm未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載に記載の光学素子。
  7. 金属酸化物層の一部または全部に酸化錫が含有されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学素子。
  8. 金属酸化物層の一部または全部にアンチモンドープ酸化錫が含有されていることを特徴とする請求項7に記載の光学素子。
  9. 光学濃度変化要素を発色させる際に起電力発生要素が1V以上の電圧を発生することを
    特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の光学素子。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の光学素子を有することを特徴とするカメラユニット。
  11. カメラユニットがレンズ付フィルムであることを特徴とする請求項10に記載のカメラ
    ユニット。
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JP2006003888A (ja) * 2004-05-19 2006-01-05 Fuji Photo Film Co Ltd 光学濃度変化要素、光学素子、及び撮影ユニット
JP2007171781A (ja) * 2005-12-26 2007-07-05 Sony Corp エレクトロクロミック装置

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