JP2003315836A - エレクトロクロミック絞り装置及びそれを用いたレンズ付きフイルムユニット - Google Patents

エレクトロクロミック絞り装置及びそれを用いたレンズ付きフイルムユニット

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JP2003315836A
JP2003315836A JP2002118464A JP2002118464A JP2003315836A JP 2003315836 A JP2003315836 A JP 2003315836A JP 2002118464 A JP2002118464 A JP 2002118464A JP 2002118464 A JP2002118464 A JP 2002118464A JP 2003315836 A JP2003315836 A JP 2003315836A
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electrochromic
semiconductor
transparent
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JP2002118464A
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Kiyoshi Fujimoto
潔 藤本
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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  • Diaphragms For Cameras (AREA)
  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カメラ等の撮影装置、特にレンズ付きカメラ
の絞り装置等として好適であり、小型化が容易であり、
応答速度及び繰り返し耐久性が大幅に向上したエレクト
ロクロミック絞り装置及びそれを用いた高性能なレンズ
付きフイルムユニットの提供。 【解決手段】 半導体ナノ多孔質層を少なくとも一方の
表面に形成した一対の透明電極を、該半導体ナノ多孔質
層同士が対向するように配置した間に、電気化学的な酸
化反応及び還元反応の少なくとも一方により可逆的に発
色又は消色するエレクトロクロミック色素を含む電解質
層を挟持してなる構造単位を、複数個積層してなり、透
明状態から非透明状態に可逆的に変化することにより絞
り口径を自在に変化可能であるEC絞り装置及びそれを
用いたレンズ付きフイルムユニットである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カメラ等の撮影装
置、特にレンズ付きカメラの絞り装置等として好適であ
り、小型化が容易であり、応答速度及び繰り返し耐久性
が大幅に向上したエレクトロクロミック絞り装置及びそ
れを用いた高性能なレンズ付きフイルムユニットに関す
る。
【0002】
【従来の技術】エレクトロクロミック(以下、「EC」
と略記する)素子は、電気化学反応によって行われる酸
化状態と還元状態とで光の透過特性を異にする素子であ
り、この光透過特性を利用して入射光の透過光量の制御
装置に用いられている。即ち、EC素子は、例えば、W
、WOD等のEC材料で形成された薄膜と、フイ
ルム状リチウム等の電解質とを接するようにして封入し
てなり、電解質側が正となる向きで電圧が印加されると
その状態が変化する。例えば、無色のWO薄膜の場
合、これに負電圧を印加することによって、電子と電解
質中の陽子イオンとが注入されて〔MxWOex
〕が生成され、無色から青色へと変化する。従って、
かかるEC素子の電気・光透過特性を利用し、異なる波
長域で着色するものを重ね合わせることによって、可視
光全域に対して透過光量の制御が可能となる。
【0003】このようなEC素子の電気・光透過特性を
利用したカメラ等の撮像レンズ系の絞り装置が提供され
ている。この絞り装置は、EC素子を電解質とともにス
ペーサーを介して一対の透明基板によって挟み込むよう
にして封入し、これら透明基板の内部に前記EC素子の
表裏面に接触するようにして第1の透明電極群及び第2
の透明電極とをそれぞれ配設してなる。
【0004】前記少なくとも一方の透明電極は、同心円
状に配列された複数の透明電極によって構成されてな
り、また他方の透明電極は前記透明電極群の対極を構成
してなる。しかして、前記透明電極間に、端子を介して
最外周部の透明電極から内周部側の透明電極に向かって
順次電圧を印加することによって、絞り装置は、最外周
部の透明電極に対応するリング部から内周部側の透明電
極に対応するリング状の領域部が、順次透明状態から遮
光状態へと移行して入射光の透過口径が絞られ、透過光
量が所望の状態に制御される。
【0005】ところで、上述したEC素子を用いたカメ
ラの絞り装置においては、透明状態では入射光に対して
充分な透過光量が得られ、また遮光状態では入射光を確
実に遮光するといった光学的特性が要求される。特に絞
りの開口の大きさを変化させて被写界深度をコントロー
ルし、或いはレンズを絞ることによって収差を減少させ
てレンズ特性の向上を図る場合において、絞り装置の遮
光特性は特に重要となる。
【0006】しかしながら、上述した構成により遮光特
性の向上を達成した絞り装置においては、絞り装置と比
較すると、全体の厚み寸法がほぼ2倍となり、この絞り
装置の厚み寸法の増加により、光学系全体としては3倍
程度まで大きくなってしまうという問題点がある。
【0007】一方、誰でも手軽に写真撮影が楽しめるよ
うに、簡易な撮影機構を備えたユニット本体に予め写真
フイルムを装填したレンズ付きフイルムユニットが市販
されている。このようなレンズ付きフイルムユニットに
は、種々の機能を付加したものが市販されている。例え
ば、「写るんですフラッシュ」(商品名)のように、ス
トロボ装置付きのものがある。
【0008】このようなレンズ付きフイルムユニット
は、一般の写真フイルムに近い価格で販売するため、極
限までローコスト化が図られており、これに搭載される
ストロボ装置は、簡素な構成になっている。即ち、1枚
のプリント基板に出力トランジスタ,トランス,メイン
コンデンサ,整流器,ストロボ発光部,充電表示ランプ
等の部品群の他、一般のストロボ装置では別の被組付部
材に組み付けられる電源電池用の電極接片等も実装さ
れ、ストロボ装置全体がユニット化されている。
【0009】上記レンズ付きフイルムユニットの撮影レ
ンズ系の絞り装置として、EC素子を利用したものが提
案されている。このEC素子を用いたカメラの絞り装置
においては、透明状態では入射光に対して充分な透過光
量が得られ、また、遮光状態では入射光を確実に遮光す
ることができるものである。
【0010】しかしながら、透明状態においては充分な
光透過率が保持されると共に、遮光状態においては遮光
特性が高く、全体として小型であり、撮影レンズ系に使
用しても最適な絞り装置は得られておらず、更なる高性
能な絞り装置の提供が望まれている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来におけ
る前記問題を解決し、以下の課題を解決することを目的
とする。即ち、本発明は、構造が簡単で小型化が容易に
可能であり、カメラ等の撮影装置、特にレンズ付きカメ
ラの絞り装置等として好適であり、応答速度及び繰り返
し耐久性が大幅に向上したEC絞り装置及びそれを用い
た高性能なレンズ付きフイルムユニットを提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は、以下の通りである。即ち、 <1> 半導体ナノ多孔質層を少なくとも一方の表面に
形成した一対の透明電極を、該半導体ナノ多孔質層同士
が対向するように配置した間に、電気化学的な酸化反応
及び還元反応の少なくとも一方により可逆的に発色又は
消色するエレクトロクロミック色素を含む電解質層を挟
持してなる構造単位を、複数個積層してなり、透明状態
から非透明状態に可逆的に変化することにより絞り口径
を自在に変化可能であることを特徴とするエレクトロク
ロミック絞り装置である。 <2> 電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくと
も一方により可逆的に発色又は消色するエレクトロクロ
ミック色素が担持された半導体ナノ多孔質層を少なくと
も一方の表面に形成した一対の透明電極を、該半導体ナ
ノ多孔質層同士が対向するように配置した間に電解質層
を挟持してなる構造単位を、複数個積層してなり、透明
状態から非透明状態に可逆的に変化することにより絞り
口径を自在に変化可能であることを特徴とするエレクト
ロクロミック絞り装置である。 <3> 透明電極が、それぞれ複数の透明電極を同心円
状に配列してなる第1の透明電極群及び第2の透明電極
群とを備え、これら第1の透明電極群と第2の透明電極
群とが各々独立に通電可能である前記<1>又は<2>
に記載のエレクトロクロミック絞り装置である。 <4> ストロボ発光部、メインコンデンサを備えたス
トロボ装置と、絞り装置を備えた撮影装置とを有してな
るユニット本体に、未露光の写真フイルムを装填してな
るレンズ付きフイルムユニットにおける前記絞り装置に
用いられる前記<1>から<3>のいずれかに記載のエ
レクトロクロミック絞り装置である。 <5> 光検知センサーで検知して光量を調節可能に構
成した前記<4>に記載のエレクトロクロミック絞り装
置である。 <6> 前記構造単位を2〜4個積層した前記<1>か
ら<5>のいずれかに記載のエレクトロクロミック絞り
装置である。 <7> 前記各構造単位毎に異なるエレクトロクロミッ
ク色素が担持されている前記<2>から<6>のいずれ
かに記載のエレクトロクロミック絞り装置である。 <8> 半導体ナノ多孔質層の少なくとも一方が多層構
造に形成されている前記<1>から<7>のいずれかに
記載のエレクトロクロミック絞り装置である。 <9> 両方の半導体ナノ多孔質層が多層構造である前
記<8>に記載のエレクトロクロミック絞り装置であ
る。 <10> 150〜200℃の低温焼成により半導体ナ
ノ多孔質層を積層してなる前記<8>又は<9>に記載
のエレクトロクロミック絞り装置である。 <11> 多層構造の半導体ナノ多孔質層の各層毎に異
なるエレクトロクロミック色素が担持されている前記<
8>から<10>のいずれかに記載のエレクトロクロミ
ック絞り装置である。 <12> 更に電荷移動剤が、電解質層中に含まれてい
る前記<1>から<11>のいずれかに記載のエレクト
ロクロミック絞り装置である。 <13> 電荷移動剤が、前記半導体ナノ多孔質層に担
持されている前記<2>から<12>のいずれかに記載
のエレクトロクロミック絞り装置である。 <14> 半導体ナノ多孔質層に含まれる半導体微粒子
が、単体半導体、酸化物半導体、化合物半導体、有機半
導体、複合体酸化物半導体及びこれらの混合物から選ば
れる前記<1>から<13>のいずれかに記載のエレク
トロクロミック絞り装置である。 <15> 複合体酸化物半導体が、SnO−ZnO、
Nb−SrTiO、Nb−Ta
Nb−ZrO、Nb−TiO、Ti−
SnO、Zr−SnO、In−SnO及びBi−
SnOから選ばれる前記<14>に記載のエレクトロ
クロミック絞り装置である。 <16> 前記エレクトロクロミック色素を半導体ナノ
多孔質層に担持させる前に熱処理を施してなる前記<2
>から<15>のいずれかに記載のエレクトロクロミッ
ク絞り装置である。 <17> 半導体ナノ多孔質層の厚みが100μm以下
である前記<1>から<16>のいずれかに記載のエレ
クトロクロミック絞り装置である。 <18> エレクトロクロミック色素が、有機化合物及
び金属錯体から選ばれる前記<1>から<17>のいず
れかに記載のエレクトロクロミック絞り装置である。 <19> 到達透過率又は到達吸光度となるまでの応答
速度が100msec以下である前記<1>から<18
>のいずれかに記載のエレクトロクロミック絞り装置で
ある。 <20> 撮影装置に用いられる前記<1>から<19
>のいずれかに記載のエレクトロクロミック絞り装置で
ある。 <21> 光フイルター、ステッパー及び光シャッター
から選ばれるいずれかに用いられる前記<1>から<1
9>のいずれかに記載のエレクトロクロミック絞り装置
である。 <22> ストロボ発光部、メインコンデンサを備えた
ストロボ装置と、前記<1>から<20>のいずれかに
記載のエレクトロクロミック絞り装置を備えた撮影装置
とを有してなるユニット本体に、未露光の写真フイルム
を装填してなることを特徴とするレンズ付きフイルムユ
ニットである。
【0013】前記<1>に記載のEC絞り装置は、半導
体ナノ多孔質層を少なくとも一方の表面に形成した一対
の透明電極を、該半導体ナノ多孔質層同士が対向するよ
うに配置した間に、電気化学的な酸化反応及び還元反応
の少なくとも一方により可逆的に発色又は消色するEC
色素を含む電解質層を挟持してなる構造単位を、複数個
積層してなり、透明状態から非透明状態に可逆的に変化
することにより絞り口径を自在に変化可能なものであ
る。該EC絞り装置においては、透明電極の表面に形成
された半導体ナノ多孔質層の表面及び内部の微細孔のす
みずみまで電解質層中のEC色素が効率よく浸透し、こ
れにより応答速度が大幅に向上すると共に、電極面積の
拡大が図れ、電極上の色素量の増大により、発色効率
(より低い印加電圧で、より速く所望の発色濃度に到達
させること)が向上し、簡単な構成であるために、レン
ズ付きフイルムユニットをローコストのままで容易に小
型化することができる。
【0014】前記<2>のEC絞り装置は、電気化学的
な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方により可逆的
に発色又は消色するEC色素が担持された半導体ナノ多
孔質層を少なくとも一方の表面に形成した一対の透明電
極を、該半導体ナノ多孔質層同士が対向するように配置
した間に電解質層を挟持してなる構造単位を、複数個積
層してなり、透明状態から非透明状態に可逆的に変化す
ることにより絞り口径を自在に変化可能なものである。
該EC絞り装置においては、透明電極の表面に形成され
た半導体ナノ多孔質層の表面及び内部の微細孔にEC色
素が担持され、固定化されているので、発色・消色に物
質(イオン)の移動を伴うことがないので、拡散による
物質移動の時間をなくすことができ、これにより、応答
速度が大幅に向上すると共に、電極面積の拡大が図れ、
電極上の色素量の増大により、発色効率が向上し、簡単
な構成であるために、レンズ付きフイルムユニットをロ
ーコストのままで容易に小型化することができる。
【0015】前記<7>に記載のEC絞り装置は、前記
<2>から<6>のいずれかにおいて、各構造単位毎に
異なるEC色素を担持し、これを積層することにより、
AE素子の黒発色やフルカラー化を容易に達成すること
ができる。
【0016】前記<8>に記載のEC絞り装置は、前記
<1>から<7>のいずれかにおいて、半導体ナノ多孔
質層の少なくとも一方が多層構造に形成されており、発
色強度を増強させることができると共に、各層毎に異な
るEC色素を担持させて容易にフルカラー化を達成し
得、可視光全域に対して透過光量の制御が可能となる。
【0017】前記<10>に記載のEC絞り装置は、前
記<8>又は<9>において、150〜200℃の低温
焼成で半導体ナノ多孔質層を積層することにより、多層
構造の半導体ナノ多孔質層を効率よく形成することがで
き、AE素子の黒発色や電子ペーパーや表示装置のフル
カラー化が可能となり、可視光全域に対して透過光量の
制御が可能となる。
【0018】前記<11>に記載のEC絞り装置は、前
記<8>から<10>のいずれかにおいて、多層構造に
形成した半導体ナノ多孔質層の各層毎に異なるEC色素
を担持させることにより、フルカラー化を容易に達成す
ることができ、可視光全域に対して透過光量の制御が可
能となる。
【0019】前記<12>に記載のEC絞り装置は、前
記<1>から<11>のいずれかにおいて、EC色素と
電荷移動剤を併用することにより、両者が電極上で同時
に発色し得、発色濃度が増大すると共に、酸化還元反応
がスムーズに進行して、応答速度が向上する。
【0020】前記<14>のEC絞り装置は、前記<1
>から<13>のいずれかにおいて、半導体ナノ多孔質
層に含まれる半導体微粒子として、単体半導体、酸化物
半導体、化合物半導体、有機半導体、複合体酸化物半導
体及びこれらの混合物を用いることにより、表面及び内
部に微細孔を有する半導体ナノ多孔質層が形成し得、E
C色素の吸着量が増大して応答速度及び発色効率が向上
するものである。
【0021】前記<16>のEC絞り装置は、前記<2
>から<15>のいずれかにおいて、EC色素を半導体
ナノ多孔質層に担持させる前に熱処理を施すことによ
り、半導体ナノ多孔質層表面に吸着した水分、その他の
不純物を除去し得ると共に、多孔質層表面を活性化し
得、EC色素の吸着を効率よく行うことができる。
【0022】前記<17>に記載のEC絞り装置は、前
記<1>から<16>のいずれかにおいて、半導体ナノ
多孔質層の厚みが100μm以下であることにより、透
明性を低下させることなく、吸着することができるEC
色素量を多くすることができ、発色効率を向上し得る。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明のEC絞り装置は、(1)
半導体ナノ多孔質層を少なくとも一方の表面に形成した
一対の透明電極を、該半導体ナノ多孔質層同士が対向す
るように配置した間に、EC色素を含む電解質層を挟持
してなる構造を有する構造単位を、複数個積層し、透明
状態から非透明状態に可逆的に変化することにより絞り
口径を自在に変化可能であるEC絞り装置、(2)EC
色素が担持された半導体ナノ多孔質層を少なくとも一方
の表面に形成した一対の透明電極を、該半導体ナノ多孔
質層同士が対向するように配置した間に電解質層を挟持
してなる構造を有する構造単位を、複数個積層し、透明
状態から非透明状態に可逆的に変化することにより絞り
口径を自在に変化可能であるEC絞り装置、である。
【0024】図1は、EC絞り装置の一例を示す正面
図、図2は、EC絞り装置の縦断面図である。このEC
絞り装置10は、例えば、図3に部分拡大断面図として
示したように半導体ナノ多孔質層を表面に形成した一対
の透明電極と、EC色素とからなるEC素子11が、一
対の透明なガラス基板12A,12B間にスペーサー1
3を介して封入されている。
【0025】前記ガラス基板12A,12Bの相対する
内面には、複数の透明電極14a乃至14eを同心円状
に配列してなる第1の透明電極群14と、複数の透明電
極15a乃至15eを同心円状に配列してなる第2の透
明電極群15とが形成されている。即ち、前記EC素子
11の表裏面に接するようにして、第1の透明電極群1
4と、第2の透明電極群15とがそれぞれ配設されてい
る。
【0026】前記第1の透明電極群14及び第2の透明
電極群15は、ガラス基板12A,12Bの内側面に透
明な導電ペーストを塗布したり或いは透明な導電膜をパ
ターン印刷する等によって形成される。
【0027】前記第1の透明電極群14及び第2の透明
電極群15は、それぞれ最内周部の円板状透明電極14
a及び15aを中心として各透明電極を同心円状に配列
することによって、入射光の透過開口径を制御する電極
として作用する。
【0028】前記第1の透明電極群14及び第2の透明
電極群15は、図1に示すように、その一部がガラス基
板12の外周部まで引き出されており、これら透明電極
に電圧を印加するための端子がそれぞれ接続されてい
る。例えば、第1の透明電極群14の各透明電極14
a,14b,14c,14d,14eには、それぞれ端
子17a,17b,17c,17d,17eが接続され
ている。第2の透明電極群15の各透明電極15a,1
5b,15c,15d,15eには、それぞれ端子18
a,18b,18c,18d,18eが接続されてお
り、各々独立に通電可能とされている。なお、前記各端
子群17及び18は、図示を省略しているが、電圧印加
装置と接続されている。
【0029】前記第1の透明電極群14の各透明電極1
4a乃至14eと、第2の透明電極群15の各透明電極
15a乃至15eとのそれぞれ対応する透明電極の電位
はそれぞれ等しくかつ同一に制御されるものとする。し
かして、図示しない電圧印加装置によって端子17及び
18に電圧を印加すると、EC素子11が発色し、これ
ら各透明電極14a乃至14e、15a乃至15eに対
応するリング状の領域部が透明状態から遮光状態へと移
行する。従って、外周部側の透明電極14e、15eか
ら内周側の透明電極に亘って順次電圧を印加すると、透
明な領域部が次第に狭められ、入射光の透過開口径が制
御される。
【0030】また、前記EC素子の一例としては、図3
に示す通り、EC色素2が担持された半導体ナノ多孔質
膜4が表面に設けられた透明電極14aと、EC色素2
が担持された半導体ナノ多孔質膜6が表面に設けられた
透明電極15aとの間に電解質層9を半導体ナノ多孔質
膜4及び半導体ナノ多孔質膜6で挟み込むようにして介
在させたものが挙げられる。
【0031】以上のように構成した絞り装置10は、図
4に示す撮象レンズ系20に組み込まれる。撮像レンズ
系20は、光軸21に対して、前方より前玉ユニット2
2、ズームユニットを構成するバリエータ23、絞り装
置10、固定レンズ及び可動レンズ群からなるインナー
フォーカスユニット24、赤外線吸収ガラス、CCDカ
バーガラス及び平行平面板からなるローパスフィルター
25及びCCDセンサー26を配設してなる。
【0032】従って、前玉ユニット22からこの撮像レ
ンズ系20に入射された入射光は、バリエータ23を介
して絞り装置10へと導かれる。上述した絞り装置10
による入射光の透過開口径の制御動作は、この絞り装置
10、ローパスフィルター25及びCCDセンサー26
を通過した光量に基づく前記CCDセンサー26のA/
Dコンバータを介したデジタル出力を、エンコーダを介
して第1の透明電極群14、第2の透明電極群15の前
記各端子群に外周部から内周部に亘って印加することに
よって行われる。
【0033】ここで、前記絞り装置10は、従来のEC
素子を備えた絞り装置と同等の厚み寸法であり、絞り装
置10の前後に配設されたバリエータ23或いはインナ
ーフォーカスユニット24等のレンズ間隔が大きくなる
こともなく、これによって撮象レンズ系20の全長或い
は前玉径が従来の撮像レンズ系と同等に保持される。
【0034】なお、前記絞り装置では、複数の透明電極
からなる第1の透明電極群及び第2の透明電極群とをそ
れぞれ同心円状に配列したが、同心の菱形、楕円形等適
宜の形状に配列してもよい。また、第1の透明電極群及
び第2の透明電極群の相対する透明電極を遮光特性に支
障が無い範囲でずらすようにして配置してもよい。
【0035】前記EC絞り装置を構成するEC素子は、
上述したように、半導体ナノ多孔質層を少なくとも一方
の表面に形成した一対の透明電極を、該半導体ナノ多孔
質層同士が対向するように配置した間に、電解質層を挟
持してなり、前記電解質層中にEC色素が含まれるか、
又は前記半導体ナノ多孔質層にEC色素が担持されてい
る。以下、各構成要素について詳細に説明する。
【0036】前記EC絞り装置を構成する構造単位は、
複数個、好ましくは2〜4個積層され、該構造単位毎に
同一種類のEC色素を担持させることにより、発色強度
を調整でき、発色強度を増強させることができる。ま
た、構造単位毎に異なる色(例えば青色、緑色、赤色の
三原色)のEC色素を担持させることによりフルカラー
化を容易達成することができる。
【0037】−半導体ナノ多孔質層− 前記半導体ナノ多孔質層は、一対の透明電極の少なくと
も一方、好ましくは両方の表面に形成され、表面積を大
きくするため、その表面及び内部に、EC色素、必要に
応じて電荷移動剤を担持可能な微細孔を有している。
【0038】前記半導体ナノ多孔質層の比表面積は、1
〜5000m/gが好ましく、10〜2500m
gがより好ましい。ここで、比表面積は窒素ガスの吸着
量から求めたBET比表面積を意味する。比表面積が小
さすぎるとEC色素の吸着量を増大させることができな
り、本発明の目的を達成できなくなる場合がある。
【0039】前記半導体ナノ多孔質層は、一対の透明電
極の少なくとも一方、好ましくは両方が多層構造、例え
ば2〜4層構造に形成し、該多層構造の半導体ナノ多孔
質層毎に同一種類のEC色素を担持することにより、発
色強度を調整でき、発色強度を増強させることができ
る。また、多層構造の半導体ナノ多孔質層の各層毎に異
なる色(例えば青色、緑色、赤色の三原色)のEC色素
を担持させることによりフルカラー化を容易達成するこ
とができる。
【0040】本発明のEC装置は、構造単位が複数個積
層されているので、必要に応じて半導体ナノ多孔質層を
多層構造に形成することと併せて、より効率よく発色強
度を調節したり、フルカラー化を容易に達成できるもの
である。
【0041】前記半導体ナノ多孔質層に含まれる半導体
微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選
択することができ、例えば、単体半導体、酸化物半導
体、化合物半導体、有機半導体、複合体酸化物半導体、
又はこれらの混合物が挙げられ、これらにはドーパント
として不純物が含まれていてもよい。なお、半導体の形
態の制限は特になく、単結晶、多結晶、非晶質又はこれ
らの混合形態であってもよい。
【0042】前記単体半導体としては、例えば、シリコ
ン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、テルル(Te)、
などが挙げられる。
【0043】前記酸化物半導体は、金属酸化物で半導体
の性質を持つものであり、例えば、TiO,Sn
、Fe、SrTiO、WO、ZnO、Z
rO、Ta、Nb、V、In
、CdO、MnO,CoO、TiSrO、KTiO
、CuO、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウ
ム、ニオブ酸カリウム、などが挙げられる。
【0044】前記化合物半導体としては、例えば、カド
ミウムの硫化物、亜鉛の硫化物、鉛の硫化物、銀の硫化
物、アンチモンの硫化物、ビスマスの硫化物、カドミウ
ムのセレン化物、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル
化物、亜鉛のリン化物、ガリウムのリン化物、インジウ
ムのリン化物、カドミウムのリン化物、ガリウム−ヒ素
のセレン化物、銅−インジウムのセレン化物、銅−イン
ジウムの硫化物、などが挙げられる。
【0045】前記有機半導体としては、例えば、ポリチ
オフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニ
レンビニレン、ポリフェニレンスルフィド、等が挙げら
れる。
【0046】前記複合体酸化物半導体としては、例え
ば、SnO−ZnO、Nb−SrTiO、N
−Ta、Nb−ZrO、Nb
−TiO、Ti−SnO、Zr−SnO、B
i−SnO、In−SnO、などが挙げられる。前
記SnO−ZnOは、比較的大きなZnO粒子(粒径
約0.2μm)を中心に周りをSnO超微粒子(粒径
約15nm)で被覆したものであり、両者の複合化は質
量比でSnO:ZnO=70:30〜30:70の範
囲であることが好ましい。前記Nb−SrTiO
、Nb−Ta、Nb−ZrO
及びNb−TiOなどのNb複合体は、
Nbとの質量比が8:2〜2:8となるように複
合化される。
【0047】前記半導体微粒子の形状は、特に制限はな
く、目的に応じて適宜選定することができ、球形、ナノ
チューブ状、棒状、ウィスカー状のいずれの形状であっ
ても構わず、形状の異なる2種類以上の微粒子を混合す
ることもできる。前記球形粒子の場合には、平均粒径が
0.1〜1000nmが好ましく、1〜100nmがよ
り好ましい。なお、粒径分布の異なる2種類以上の微粒
子を混合しても構わない。また、前記棒状粒子の場合に
は、アスペクト比が2〜50000が好ましく、5〜2
5000がより好ましい。
【0048】前記半導体ナノ多孔質層を形成する方法と
しては、特に制限はなく、半導体の種類に応じて適宜選
定することができ、例えば、金属陽極酸化法、陰極析出
法、スクリーン印刷法、ゾルゲル法、熱酸化法、真空蒸
着法、dc及びrfスパッタ法、化学気相堆積法、有機
金属化学気相堆積法、分子線堆積法、レーザーアブレー
ション法などが挙げられ、また、上記方法を組み合わせ
て前記半導体ナノ多孔質層を作製することもできる。
【0049】−酸化物半導体ナノ多孔質層の形成方法− 酸化物半導体(金属酸化物)ナノ多孔質層を形成する1
つの方法として、金属酸化物前駆体と、該金属酸化物前
駆体と相互作用する官能基を1種以上有する化合物とを
含む溶液中で、前記金属酸化物前駆体を反応させて複合
ゲルを生成し、金属酸化物微粒子からなるコロイドの分
散ゾルを得る第1の工程と、該ゾルを支持体に塗布し、
これを乾燥又は焼成して、前記透明絶縁基板上の透明導
電性膜上に微細孔を有する半導体ナノ多孔質層を形成す
る第2の工程とを含む方法が挙げられる(以下「複合ゲ
ル化法」ということもある)。
【0050】前記第1の工程では、拡散が規制されたゲ
ル中で金属酸化物微粒子の形成反応が進行するため、粗
大粒の形成や粒子の沈降が起こらず、粒径の小さな微粒
子が均一に分散したコロイド分散ゾル溶液を得ることが
できる。いわゆるゾルゲル法では、金属酸化物前駆体同
士が、例えば金属アルコキシドの場合、加水分解、脱水
縮合反応することでゲル化するが、この場合には、−M
−O−M−(ここで、Mは金属元素であり、Oは酸素元
素である。)の化学的強固な3次元結合のネットワーク
が形成され、再びゾル化させることはできず、一旦ゲル
化すると塗布等の手段による加工ができない。これに対
して前記金属酸化物前駆体と、該金属酸化物前駆体と相
互作用する化合物とを含む溶液中で、金属酸化物前駆体
を反応させて複合ゲルを得る方法では、金属酸化物前駆
体と相互作用する化合物の相互作用の性質を利用するこ
とで再びゾル化させることができ、優れた加工性を持た
せることが可能となる。
【0051】ここで、前記金属酸化物前駆体としては、
使用する溶媒に可溶である金属ハロゲン化物、金属錯化
合物、金属アルコキシド、金属カルボン酸塩あるいはキ
レート化合物等の金属化合物等が挙げられる。具体的な
化合物としては、例えば、TiCl(四塩化チタ
ン)、ZnCl(塩化亜鉛)、WCl(六塩化タン
グステン)、SnCl(塩化第一錫)、SrCl
(塩化ストロンチウム)等の金属ハロゲン化物、Ti
(NO(硝酸チタン)、Zn(NO(硝酸
亜鉛)、Sr(NO(硝酸ストロンチウム)等の
硝酸塩や、一般式M(OR)(但し、Mは金属元素、
Rはアルキル基、nは金属元素の酸化数である。)で表
される金属アルコキシド等が挙げられる。
【0052】前記金属アルコキシドとしては、例えば、
亜鉛ジエトキシド、タングステンヘキサエトキシド、バ
ナジルエトキシド、すずテトライソプロポキシド、スト
ロンチウムジイソプ等が挙げられる。
【0053】例えば、酸化チタンの金属酸化物層を形成
する場合、金属アルコキシドとしては、例えば、チタニ
ウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラノルマ
ルプロポキシド、チタニウムテトラエトキシド、チタニ
ウムテトラノルマルブトキシド、チタニウムテトライソ
ブトキシド、チタニウムテトラターシャリーブトキシド
等が好ましく使用できる。
【0054】また、前記金属酸化物前駆体と相互作用す
る官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロ
キシル基等が挙げられる。また、金属酸化物前駆体と相
互作用する官能基としては、アミド酸構造のような前記
官能基を1種以上有するものでもよい。また、前記金属
酸化物前駆体と相互作用する官能基を1種以上有する化
合物は、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、
アミノ酸構造から選択される官能基を1種以上有する化
合物である。特に好ましくは高分子化合物である。この
ような低分子化合物の具体例としては、ジカルボン酸、
ジアミン、ジオール、ジアミド酸等が挙げられる。
【0055】また、高分子化合物の具体例としては、カ
ルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アミド酸構
造から選択される官能基を主鎖、側鎖又は架橋部分に1
種以上有する高分子化合物が挙げられる。前記高分子化
合物の主鎖構造としては、特に限定されるものではない
が、ポリエチレン系構造、ポリスチレン系構造、ポリア
クリレート系構造、ポリメタクリレート系構造、ポリカ
ーボネート系構造、ポリエステル系構造、セルロース系
構造、シリコーン構造、ビニル系重合体構造、ポリアミ
ド系構造、ポリアミドイミド系構造、ポリウレタン系構
造、ポリウレア系構造等、又はこれら共重合体構造等の
任意の構造を有するものが挙げられる。
【0056】また、前記カルボキシル基、アミノ基、ヒ
ドロキシル基、アミド酸構造から選択される官能基を主
鎖、側鎖又は架橋部分に1種以上有する高分子化合物と
しては、金属酸化物前駆体と相互作用の形態が適当であ
る観点から、側鎖にカルボキシル基を有するポリアクリ
ル酸の使用が特に好ましい。更に、前記金属酸化物前駆
体と相互作用する官能基を1種以上有する高分子化合物
は、相互作用する官能基を有する高分子化合物とカルボ
キシル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アミド酸構造を
有さない前記同様の主鎖構造を有する高分子化合物との
共重合体であってもよい。前記金属酸化物前駆体と相互
作用する官能基を1種以上有する高分子化合物は、目的
に応じて、2種以上の混合系、又はカルボキシル基、ア
ミノ基、ヒドロキシル基、アミド酸構造を有さない前記
同様の主鎖構造を有する高分子化合物との混合系を使用
してもよい。前記金属酸化物前駆体と相互作用する官能
基を1種以上有する高分子化合物の平均重合度は、10
0〜10000000程度が好ましく、5000〜25
0000がより好ましい。
【0057】前記溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類
や、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキサ
ン、ベンゼン等の金属酸化物前駆体を溶解し、かつ金属
酸化物前駆体とは反応しないものであれば用いることが
できる。
【0058】以下、金属酸化物前駆体として金属アルコ
キシドを用いた場合を例として、半導体ナノ多孔質層の
形成方法を詳しく説明する。
【0059】まず、前記金属アルコキシドを前記溶媒
(例えば、アルコール類等の有機溶媒)に添加する。更
に、前記金属アルコキシドを部分的に加水分解するのに
必要な水と、触媒として、塩酸,硝酸,硫酸又は酢酸等
の酸類を添加する。ここで添加する水及び酸類の量は、
用いる前記金属アルコキシドの加水分解性の程度に応じ
て適宜選択することができる。次に、得られる前記混合
溶液を攪拌しながら乾燥窒素気流下で室温〜150℃
(好ましくは、室温〜100℃)で加熱(又は還流)す
る。前記還流温度及び時間についても、用いる前記金属
酸化物前駆体の加水分解性に応じて適且選択することが
できる。前記還流の結果、前記金属アルコキシドは部分
的に加水分解された状態になる。即ち、前記混合溶液に
含まれる前記水の量は、前記金属アルコキシドのアルコ
キシル基を十分に加水分解するには十分でない程度少量
であるため、一般式M(OR)で表される前記金属ア
ルコキシドにおいては、その総ての−OR基は加水分解
されず、結果として部分的に加水分解された状態にな
る。この部分的に加水分解された状態の前記金属アルコ
キシドにおいては、重縮合反応は進行しない。このた
め、前記金属アルコキシド間において−M−O−M−の
鎖は形成されていても、前記金属アルコキシドはオリゴ
マー状態となる。このオリゴマー状態にある前記金属ア
ルコキシドを含む前記還流後の混合溶液は、無色透明で
粘度の上昇もほとんどない。
【0060】次に、前記還流後の混合溶液の温度を室温
に下げ、該混合溶液にカルボキシル基、アミノ基、ヒド
ロキシ基、アミノ酸構造から選択される官能基を1種以
上有する高分子化合物(好ましくはポリアクリル酸)を
添加する。この場合、本来アルコール類等の有機溶媒に
は溶解しにくい前記高分子化合物が、この混合溶液には
容易に溶解し透明ゾルが得られる。これは、前記高分子
化合物のカルボキシル基と前記金属アルコキシドとが塩
形成反応により結合し、高分子錯体状の化合物が形成さ
れるためであると考えられる。この透明ゾルは、通常、
無色透明な均一溶液である。
【0061】この透明ゾルに更に過剰量の水を加えて、
室温〜150℃、好ましくは室温〜100℃程度に保持
して更に反応を継続させることにより、数分から1時間
程度で該透明ゾルがゲル化し、前記高分子化合物と前記
金属アルコキシドとの架橋状構造を有する複合ゲルが形
成される。
【0062】得られる複合ゲルを更に室温〜90℃(通
常、80℃程度)で5〜50時間保持し反応を継続させ
ると、該複合ゲルは再び溶解し半透明な金属酸化物微粒
子コロイド分散ゾルが得られる。これは、前記金属アル
コキシドの加水分解反応により重縮合反応が進行すると
ともに、前記高分子化合物と前記金属アルコキシドとに
よる塩構造が分解して、金属酸化物微粒子とカルボン酸
エステル等とに変化することによるものである。
【0063】以上により得られた半透明な金属酸化物微
粒子コロイド分散ゾルを、透明絶縁基板上に堆積された
透明導電性膜に塗布後、乾燥又は焼成することにより、
微細孔を有した金属酸化物膜が形成される。
【0064】前記塗布法は、特に限定なく公知の方法で
行うことができる、具体的には、ディップコーティング
法、スピンコーティング法、ワイヤーバー法、スプレー
コーティング法が挙げられる。また、乾燥には、例え
ば、風乾、オーブン等の乾燥器を用いて行う乾燥、真空
凍結乾燥が可能である。また、ロータリーエバポレータ
ー等の機器を用いて溶媒を蒸発させる方法でもよい。こ
の場合、乾燥の温度、時間等を目的に応じて適且選択す
ることができる。
【0065】また、乾燥温度により、前記金属酸化物微
粒子コロイド分散ゾルを乾燥(前記溶媒を含む液体成分
の除去)しただけは、前記高分子化合物又はその反応生
成物が除去できないことがある。かかる場合には、更に
これらを除去し純粋な金属酸化物とするため、焼成を行
うのが好ましい。前記焼成は、例えば炉等を用いて行う
ことができ、焼成の温度としては用いた前記官能基を有
する高分子化合物の種類により異なるが、低温であるこ
とが多層化を図る上で好適であり、約100℃〜700
℃が好ましく、100℃〜400℃がより好ましい。
【0066】前記焼成により、金属酸化物微粒子の結晶
化と金属酸化物微粒子の焼結が起こると同時に、有機高
分子成分が熱分解して消失する。
【0067】前記半導体ナノ多孔質層の形成において
は、拡散が規制された複合ゲル中で金属酸化物微粒子の
形成反応が進行するため、粗大粒子の形成や、粒子の沈
降による凝集等が起こらず、粒径の小さな超微粒子が均
一に分散した金属酸化物微粒子コロイド分散ゾルを得る
ことができる。
【0068】前記半導体ナノ多孔質層の金属酸化物微粒
子の大きさ、金属酸化物微粒子凝集構造の周期、金属酸
化物微粒子凝集相と空隙相との体積比等については、例
えば、前記金属酸化物前駆体に対する、金属酸化物前駆
体と相互作用する官能基を1種以上有する化合物の添加
量と、前記金属酸化物前駆体と金属酸化物前駆体と相互
作用する官能基を1種以上有する化合物とを合わせた固
形成分の前記混合溶液全体に対する割合で、所望の程度
に制御することができる。
【0069】即ち、金属酸化物前駆体と焼成する官能基
を1種以上有する化合物の添加量を増やすと、得られる
半導体ナノ多孔質層における空隙相の体積比が増し、前
記金属酸化物前駆体と金属酸化物前駆体と相互作用する
官能基を1種以上有する化合物とを合わせた固形成分の
前記混合溶液全体に対する割合を減らすと、得られる金
属酸化物微粒子凝集構造の周期が小さくなり、空隙相の
密度は増すが、金属酸化物微粒子そのものの大きさは大
きくなる。
【0070】前記金属酸化物前駆体に対する、金属酸化
物前駆体と相互作用する官能基を1種以上有する化合物
の添加量は、前記固形成分の前記混合溶液全体に対する
割合に応じて異なり適宜選択可能であり、一般には質量
比で0.1〜1が好ましく、更には0.2〜0.8が好
ましい。金属酸化物前駆体対する、金属酸化物前駆体と
相互作用する官能基を1種以上有する化合物の添加量を
下げると、マクロ孔が少ない緻密な半導体ナノ多孔質層
ができやすくなり、前記質量比で0.1未満であると、
−M−O−M−の大きな3次元ネットワークが形成され
てしまうため、複合ゲルが再溶解しないことがある。ま
た、逆に添加量を上げて、1を超えると比較的大きな空
隙が生じ透明な半導体ナノ多孔質層となりやすい。
【0071】前記固形成分の前記混合溶液全体に対する
割合としては、前記金属酸化物前駆体と金属酸化物前駆
体と相互作用する官能基を1種以上有する化合物の添加
量に応じて異なるため適宜選択可能であるが、一般には
1〜10質量%が好ましく、2〜5質量%がより好まし
い。前記割合が、1質量%未満であると、複合ゲル化反
応の進行が遅く、流動性の高い透明ゾル状態で金属酸化
物微粒子が形成され、粗大な微粒子が形成されてしま
い、一方、10質量%を超えると透明ゾルから複合ゲル
への進行が速く均一な複合ゲルが得られないことがあ
る。
【0072】以下に、金属アルコキシドとしてタングス
テンヘキサエトキシドを用いた場合を例にして、酸化タ
ングステン多孔質層の形成方法について更に詳しく説明
する。
【0073】まず、タングステンヘキサエトキシドをア
ルコールに添加して混合溶液を調製する。この際アルコ
ールには、水と、触媒としての酸とが添加されるが、該
水は、タングステンヘキサエトキシドに対して0.1倍
モル〜等モル程度、該酸は、タングステンヘキサエトキ
シドに対して0.05倍モル〜0.5倍モル程度それぞ
れ添加するのが好ましい。得られる混合溶液を、室温〜
80℃で攪拌しながら乾燥窒素気流下で還流する。ここ
での還流温度及び時間は、80℃で30分〜3時間程度
が好ましい。この還流の結果、透明な混合溶液が得られ
る。
【0074】この混合溶液中では、タングステンヘキサ
エトキシドは部分的に加水分解された状態になってお
り、オリゴマー状態にある。この混合溶液の温度を室温
まで下げ、ポリアクリル酸を添加する。本来アルコール
には溶けにくいポリアクリル酸が、この混合溶液には容
易に溶解し無色の透明ゾルが得られる。これは、ポリア
クリル酸のカルボン酸とタングステンヘキサエトキシド
とが塩形成反応により結合し、高分子錯体状の化合物が
形成されているためである。この透明ゾルに更に過剰量
の水を加えて、室温〜80℃に保持すると数分間〜1時
間程度で該透明ゾルがゲル化し、ポリアクリル酸とタン
グステンヘキサエトキシドとを少なくとも含む架橋構造
の複合ゲル化が形成される。
【0075】この複合ゲルを80℃程度で5〜50時間
保持すると、該複合ゲルは再び溶解し半透明なゾルが得
られる。これは、タングステンヘキサエトキシドの加水
分解反応及び重縮合反応が進行するとともに、ポリアク
リル酸とタングステンヘキサエトキシドとの塩構造が分
解して、酸化チタンとカルボン酸エステルとに変化する
ためである。
【0076】得られたゾル溶液を、ディップコーティン
グ法等によって適当な基板に塗布し、約100℃〜60
0℃の高温に加熱する。この加熱により酸化タングステ
ン微粒子の結晶化と酸化タングステン微粒子同士の焼結
が進行すると同時に、高分子相が熱分解し、酸化タング
ステンが相分離状態に凝集した膜状の酸化タングステン
微粒子が形成されることとなる。
【0077】タングステンヘキサエトキシドに対するポ
リアクリル酸の量としては、質量比で0.3〜0.7が
好ましい。前記質量比が、0.3未満であると−M−O
−M−の大きな3次元ネットワークが形成されゲルが溶
解しないことがあり、0.7を超えると、比較的大きな
空隙が生じ透明な層となることがある。
【0078】また、タングステンヘキサエトキシドとポ
リアクリル酸との固形成分の前記混合溶液全体に対する
割合としては、1〜10質量%が好ましい。前記割合が
1質量%未満であると、複合ゲル化反応の進行が遅く、
流動性の高いゾル状態で酸化タングステン微粒子が形成
され、粗大な酸化タングステン微粒子が形成されること
がある。一方、10質量%を超えると、透明ゾルから複
合ゲルへの進行が速く均一な複合ゲルが得られないこと
がある。
【0079】−化合物半導体ナノ多孔質層の形成方法− 前記化合物半導体ナノ多孔質層の形成方法としては、電
解析出法、化学浴堆積法、光化学堆積法などがあり、具
体的には以下に示すとおりである。
【0080】(電解析出法)前記電解析出法は、少なく
とも堆積される元素のイオンを含む電解質中に、透明絶
縁基板上の透明導電性膜を形成した電極と、該電極に対
向する電極とを配置し、これら電極間で電気化学的に酸
化還元反応を起こし、前記化合物半導体層を透明導電性
膜を形成した電極上に形成するものである(表面技術V
ol.49,No.1 3ページ 1998年)。
【0081】この工程で作製される化合物半導体は、例
えば、CuGaS(硫化銅ガリウム)、CuGaSe
(セレン化銅ガリウム)、CuGaTe(テルル化
銅ガリウム)、CuInS(硫化銅インジウム)、C
uInSe(セレン化銅インジウム)、CuInTe
(テルル化銅インジウム)、AgInS(硫化銀イ
ンジウム)、AgInSe(セレン化銀インジウ
ム)、AgInTe(テルル化銀インジウム)、Zn
Se(セレン化亜鉛)、ZnTe(テルル化亜鉛)、C
dTe(テルル化カドミウム)、CuS(硫化銅)、
CuSe(セレン化銅)、等が挙げられる。
【0082】前記電解質としては、溶媒中で原料元素と
なる硫酸化物や塩化物等の溶質を混合したものを使用
し、電解質の溶媒としては、水(純水、蒸留水等)が用
いられる。しかし、水の電気分解により水素が発生する
電圧を卑に印加する場合、前記溶媒は非水溶液として有
機物を用いることができる。有機溶媒としては、アセト
ニトリル、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネ
ート等を使用することができる。また、前記非水溶液
は、液体アンモニア、液体二酸化硫黄等の無機非水溶液
を前記溶媒として使用することができる。
【0083】前記溶質は、硫酸物や塩化物等の前記電極
上に堆積させる化合物半導体を構成する元素を含むもの
であり、かつ前記溶媒に可溶であればよい。例えば、硫
酸物としては、硫酸第一銅、硫酸インジウム、硫酸ガリ
ウム、硫酸銀、硫酸亜鉛、硫酸カドミウム等が挙げられ
る。また、塩化物としては、塩化第一銅、塩化インジウ
ム、塩化ガリウム、塩化銀、塩化亜鉛、塩化カドミウム
等の化合物が挙げられ、これらは還元型溶質として用い
る。前記溶質は、上記化合物に限定されることはなく、
1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。ま
た、前記溶質として、酸化セレン、水素酸セレン、酸化
テルル、水素酸テルル、チオ硫酸ナトリウム、チオ尿素
等を、酸化型溶質として使用することができる。
【0084】上記のような酸化型溶質を用いたとき、水
素イオン濃度を調整することで該酸化型溶質に含有する
元素イオンの堆積を促すことができる。前記水素イオン
濃度は、例えば、硫酸、塩酸等の調整剤によって調整す
ることができる。前記調整剤によって調整された水素イ
オン濃度はpH0.9〜4.0が好ましく、pH1.5
〜2.5がより好ましい。
【0085】前記電解質として上記化合物のほかに、電
解質中に電解質の通電性を得るために電解還元に関与し
ない不活性物質で構成する支持電解質を加えることもで
きる。支持電解質としては、例えば、NaClO4(塩
素酸ナトリウム)、LiClO4(塩素酸リチウム)等
が挙げられる。前記支持電解質は0.05〜1mol/
l量の含有が好ましい。
【0086】前記化合物半導体の堆積が進行するときに
必要な密着性を上げるために、前記電解質中に添加剤を
入れることもできる。前記添加剤としては、アミン、ア
ルカロイド、スルホン酸、メルカプタン、スルフィド等
が挙げられる。
【0087】前記電解質中に配置された対向する電極間
に電圧を印加するには、第三の電極を電圧基準電極とし
て参照電極を用いることができる。前記対向する電極間
に一定の電圧又は電流を制御するために参照電極を用い
ることもできる。前記参照電極は、標準水素電極、飽和
カロメル電極、標準銀塩化銀電極、標準酸化水銀電極等
を用いることができる。
【0088】前記電解質中に配置された前記多孔質半導
体層に対向する電極としては、溶液中での電圧印加によ
り溶解しにくい材料、即ちイオン化傾向が小さい材料を
用いることができる。例えば、白金(Pt)、金(A
u)、銀(Ag)等が挙げられる。
【0089】前記電解質中に配置された対向する電極間
に印加する電圧は、前記電解質中に含まれる堆積したい
化合物半導体を構成する元素を含む化合物の元素イオン
の酸化還元電位より卑であることが好ましい。
【0090】前記電解質中に含む化合物の含有量は、5
〜400mmol/lが好ましく、還元型元素イオン堆
積では5〜20mmol/lがより好ましく、酸化型元
素イオンの堆積では、100〜400mmol/lがよ
り好ましい。前記溶液の温度は20〜100℃が好まし
く、22〜70℃がより好ましい。
【0091】前記化合物半導体層形成時の電圧印加時間
は300〜3600秒が好ましく、800〜2400秒
がより好ましい。
【0092】前記工程で堆積した前記化合物半導体を焼
成し結晶化する。結晶化温度は堆積する前記化合物半導
体の種類に依存するが、50〜600℃が好ましく、1
50〜600℃がより好ましい。該結晶化の時間は1〜
60分が好ましく、15〜30分がより好ましい。
【0093】(化学浴堆積法)前記化学浴堆積法は、少
なくとも堆積されるイオンを1種以上含む溶液中に、透
明絶縁基板上の透明導電性膜を形成した電極を配置し、
前記溶液の温度調整とイオン濃度調整とにより還元反応
を起こし、前記化合物半導体層を電極上に形成するもの
である(Jounal of Applied Phys
ics, vol.82, 2, 655, 1997)。
【0094】この化学浴堆積法では、酸化剤や還元剤に
より元素イオンを生成し、該イオンを安定化するために
錯化剤、水素イオン濃度の変動を防止するために緩衝
剤、溶液中の自然分解を防止するための安定剤等を添加
し、これらの酸化還元反応により前記透明導電性膜を形
成した電極上に前記化合物半導体の堆積が可能となる。
この工程で作製される前記化合物半導体は、特には限定
されないが、ZnSe(セレン化亜鉛)、ZnTe(テ
ルル化亜鉛)、CdTe(テルル化カドミウム)、Cu
S(硫化銅)、CuSe(セレン化銅)、等が挙げ
られる。
【0095】前記溶液は、溶媒中でイオンとなる硫酸化
物や塩化物等の溶質を混合したものを使用する。前記溶
媒としては、水(純水、蒸留水等)等が用いられる。ま
た有機溶媒も用いることができ、例えば、アセトニトリ
ル、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート等
を使用することができる。また、液体アンモニア、液体
二酸化硫黄等の無機非水溶液を使用することもできる。
【0096】前記溶質は、硫酸物や塩化物等の前記透明
導電性膜を形成した電極上に堆積したい化合物半導体を
構成する元素を含むものであればよい。例えば、硫酸物
としては、硫酸第一銅、硫酸インジウム、硫酸ガリウ
ム、硫酸銀、硫酸亜鉛、硫酸カドミウム等が挙げられ
る。また、塩化物としては、塩化第一銅、塩化インジウ
ム、塩化ガリウム、塩化銀、塩化亜鉛、塩化カドミウム
等が挙げられる。前記溶質としては、酸化セレン、水素
酸セレン、酸化テルル、水素酸テルル、チオ硫酸ナトリ
ウム、チオ尿素等も好ましく使用することができる。
【0097】上記のような化合物を用いたとき、水素イ
オン濃度を調整することで該化合物に含有する元素イオ
ンの堆積を促すことができる。前記水素イオン濃度を調
整するための調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化アンモニウム等の塩基性化合物や無機酸、有
機酸等を用いることができる。また、前記水素イオン濃
度の変動を抑制するために使用される緩衝剤は、クエン
酸ナトリウム酢酸ナトリウム、オキシカルボン酸系のも
のや、ホウ酸あるいは炭酸等の無機酸で解離定数が小さ
いものや、有機酸及び無機酸のアルカリ塩を用いること
ができる。また、錯化剤として、水酸化アンモニウム、
クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、エチレングリコ
ール等を用いることができる。
【0098】安定剤として鉛の塩化物、硫化物や硝化物
等を用いることができる。前記溶液中の化合物半導体の
原料元素を含む前記化合物の濃度は、1.0×10−3
〜2mol/lが好ましく、2.0×10−2〜1mo
l/lがより好ましい。
【0099】前記溶液の温度は20〜100℃が好まし
く、22〜70℃がより好ましい。また、前記化合物半
導体層の形成時間は300〜3600秒が好ましく、1
200〜2400秒がより好ましい。
【0100】前記工程で堆積した前記化合物半導体層を
焼成し結晶化する。結晶化温度は堆積する前記化合物半
導体の種類に依存するが、50〜600℃が好ましく、
150〜550℃がより好ましい。該結晶化の時間は1
〜60分が好ましく、15〜30分がより好ましい。
【0101】(光化学堆積法)前記光化学堆積法は、少
なくともチオ硫酸ナトリウム及び金属イオンを1種以上
含む溶液中に、透明絶縁基板上に透明導電性膜を形した
電極を配置し、該電極に紫外線を照射して光反応を生じ
させ、前記化合物半導体層を電極上に形成するものであ
る(Japan Journal Applied Ph
ysics vol36, L1146 1997年)。
【0102】この光化学堆積法では、溶液中のイオン
(チオ硫酸イオン等)の光励起により化合物生成反応が
引き起こされ、光照射の有無や強度変化によって膜厚制
御が容易に行える。この工程で作製される前記化合物半
導体は、特に限定されないが、CuGaS(硫化銅ガ
リウム)、CuInS(硫化銅インジウム)、AgI
nS(硫化銀インジウム)、CuS(硫化銅)等が
挙げられる。
【0103】前記溶液は、溶媒中でイオンとなる硫酸化
物や塩化物等の溶質を混合したものを使用する。前記溶
質は、硫酸物や塩化物等の前記電極上に堆積したい化合
物半導体を構成する元素を含むものであればよい。例え
ば、硫酸物としては、硫酸第一銅、硫酸インジウム、硫
酸ガリウム、硫酸カドミウム等が挙げられる。また、塩
化物としては、塩化第一銅、塩化インジウム、塩化ガリ
ウム、塩化カドミウム等が挙げられる。
【0104】前記溶質は、上記化合物に限定されること
はなく、1種単独で用いてもよく、2種以上併用しても
よい。上記のような酸化型の化合物を用いたとき、水素
イオン濃度を調整することで該酸化型化合物に含有する
元素イオンの堆積を促すことができる。前記水素イオン
濃度は、例えば硫酸等の調整剤によって調整することが
できる。前記調整剤によって調整された水素イオン濃度
はpH1.5〜4.0が好ましく、pH2.5〜3.5
がより好ましい。
【0105】前記溶液を攪拌することが好ましく、60
rpm以下で攪拌することが好ましい。更に、前記光励
起するために用いる光は、高圧水銀光源ランプ等により
紫外光を発生させ、単凸レンズにより集光し、前記溶液
中に配置された前記電極上に照射される。前記単凸レン
ズは石英ガラスで作製されていることが好ましい。
【0106】前記溶液中の化合物半導体の原料元素を含
む前記化合物の濃度は、1.0〜20mmol/lが好
ましく、2.0〜10mmol/lがより好ましい。前
記溶液の温度は20〜40℃が好ましく、22〜35℃
がより好ましい。また、前記化合物半導体層の形成時間
は2400〜4800秒が好ましく、3000〜360
0秒がより好ましい。
【0107】前記堆積した前記化合物半導体を焼成し結
晶化する。結晶化温度は堆積する前記化合物半導体の種
類に依存するが、80〜600℃が好ましく、80〜5
00℃がより好ましい。該結晶化の時間は1〜60分が
好ましく、15〜30分がより好ましい。特に硫化物系
の場合には80〜400℃、セレン系の場合には300
〜550℃、テルル系の場合には400〜600℃が好
ましい。
【0108】−複合体酸化物半導体ナノ多孔質層の形成
方法−前記複合体酸化物半導体ナノ多孔質層は、上記方
法により形成した酸化物半導体ナノ多孔質層上に更にゾ
ルゲル法により酸化物半導体ナノ多孔質層を形成し、複
合化する方法、又は2種類の酸化物半導体粒子を混合し
たペーストを電極上に塗布する方法、などが挙げられ
る。
【0109】具体的には、酸化物半導体コロイド水溶液
に酢酸を滴下し、乳鉢でよく混合したゲル状溶液に対し
て複合対象となる酸化物半導体粉末、アルコールを少し
ずつ加えてよく混合する。更に、界面活性剤を加えてよ
く混合し、これを、フッ素ドープ型酸化スズ導電性膜ガ
ラス(FTO)電極にホットプレート(100〜120
℃)上で噴霧塗布し、焼成することにより、半導体微粒
子の結晶化と半導体微粒子同士の焼成とが進行し、所望
の多孔質を有する複合体酸化物半導体ナノ多孔質層を形
成する。
【0110】前記半導体ナノ多孔質層は、粒径の違った
半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類が異なる
半導体微粒子(又は異なるバインダー、添加剤)を含有
する塗布層を多層塗布することもできる。一度の塗布で
膜厚が不足する場合にも多層塗布は有効である。前記多
層塗布には、エクストルージョン法又はスライドホッパ
ー法が適している。また、多層塗布をする場合は同時に
多層を塗布しても良く、数回から十数回順次重ね塗りし
てもよい。更に、順次重ね塗りであればスクリーン印刷
法も好ましく使用できる。この場合、多層構造に形成し
た半導体ナノ多孔質層毎にEC色素を吸着担持させる処
理を行うことが好ましく、各層毎に異なるEC色素を吸
着担持させてもよく、また同じEC色素を吸着担持させ
ても構わない。
【0111】前記半導体ナノ多孔質層は、EC色素を担
持させる前に熱処理(例えば、100〜550℃で10
分間)することが好ましい。これにより、半導体ナノ多
孔質層表面に吸着した水分、その他の不純物を除去し得
ると共に、多孔質層表面を活性化し得、EC色素の吸着
を効率よく行うことができる。
【0112】前記半導体ナノ多孔質層の厚みは、100
μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、2
0μm以下が更に好ましい。多孔質層の厚みが薄すぎる
と、吸着することができるEC色素量が少なくなってし
まう場合がある。一方、厚すぎると透明性が低下し、E
C素子に注入した電荷のロスが多くなる場合がある。
【0113】−EC色素− 前記EC色素は、前記半導体ナノ多孔質層の表面及び内
部の微細孔に担持されると共に、必要に応じて、電解質
層中に溶解乃至分散された状態で含有されることが好ま
しい。前記EC色素としては、電気化学的な酸化反応及
び還元反応の少なくとも一方により発色又は消色する作
用を示す限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択す
ることができ、例えば、有機化合物、金属錯体などが好
適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよい
し、2種以上を併用してもよい。
【0114】前記金属錯体としては、例えば、プルシア
ンブルー、金属−ビピリジル錯体、金属フェナントロリ
ン錯体、金属−フタロシアニン錯体、メタフェリシアニ
ド、これらの誘導体などが挙げられる。
【0115】前記有機材料としては、例えば、(1)ピ
リジン化合物類、(2)導電性高分子類、(3)スチリ
ル化合物類、(4)ドナー/アクセプター型化合物類、
(5)その他有機色素類、などが挙げられる。
【0116】前記(1)ピリジン化合物類としては、例
えば、ビオローゲン、ヘプチルビオローゲン(ジヘプチ
ルビオローゲンジブロミド等)、メチレンビスピリジニ
ウム、フェナントロリン、アゾビピリジニウム、2,2
−ビピリジニウム錯体、キノリン・イソキノリン、など
が挙げられる。
【0117】前記(2)導電性高分子類としては、例え
ば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポ
リフェニレンジアミン、ポリアミノフェノール、ポリビ
ニルカルバゾール、高分子ビオローゲンポリイオンコン
プレックス、TTF、これらの誘導体などが挙げられ
る。
【0118】前記(3)スチリル化合物類としては、例
えば、2−[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]
エテニル]−3,3−ジメチルインドリノ[2,1−
b]オキサゾリジン、2−[4−[4−(ジメチルアミ
ノ)フェニル]−1,3−ブタジエニル]−3,3−ジ
メチルインドリノ[2,1−b]オキサゾリジン、2−
[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル]
−3,3−ジメチル−5−メチルスルホニルインドリノ
[2,1−b]オキサゾリジン、2−[4−[4−(ジ
メチルアミノ)フェニル]−1,3−ブタジエニル]−
3,3−ジメチル−5−スルホニルインドリノ[2,1
−b]オキサゾリジン、3,3−ジメチル−2−[2−
(9−エチル−3−カルバゾリル)エテニル]インドリ
ノ[2,1−b]オキサゾリジン、2−[2−[4−
(アセチルアミノ)フェニル]エテニル]−3,3−ジ
メチルインドリノ[2,1−b]オキサゾリジン、など
が挙げられる。
【0119】前記(4)ドナー/アクセプター型化合物
類としては、例えば、テトラシアノキノジメタン、テト
ラチアフルバレン、などが挙げられる。
【0120】前記(5)その他有機色素類としては、例
えば、カルバゾール、メトキシビフェニル、アントラキ
ノン、キノン、ジフェニルアミン、アミノフェノール、
Tris−アミノフェニルアミン、フェニルアセチレン、
シクロペンチル化合物、ベンゾジチオリウム化合物、ス
クアリウム塩、シアニン、希土類フタロシアニン錯体、
ルテニウムジフタロシアニン、メロシアニン、フェナン
トロリン錯体、ピラゾリン、酸化還元指示薬、pH指示
薬、これらの誘導体、などが挙げられる。
【0121】これらの中でも、ビオローゲン、ヘプチル
ビオローゲン(ジヘプチルビオローゲンジブロミド等)
などのビオローゲン系色素が好適である。また、前記E
C色素としては、酸化状態では無色乃至極淡色を示し、
還元状態で発色する還元発色型のもの、還元状態では無
色乃至極淡色を示し、酸化状態で発色する酸化発色型の
もの、還元状態でも酸化状態でも発色を示し、還元又は
酸化の程度により数種類の色が発現する多色発色型のも
ののいずれであってもよく、目的に応じて適宜選択する
ことができる。
【0122】前記EC色素を2種以上併用する場合の組
合せとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択
することができるが、例えば、ビオローゲンとポリアニ
リンとの組合せ、ポリピロールとポリメチルチオフェン
との組合せ、ポリアニリンとプルシアンブルーとの組合
せ、などが挙げられる。
【0123】前記半導体ナノ多孔質層の表面及び内部に
EC色素を担持させる方法としては、特に制限はなく、
公知の技術を使用できる。例えば、真空蒸着法等のドラ
イプロセス、スピンコート等の塗布法、電界析出法、電
界重合法や担持させる化合物の溶液に浸す自然吸着法等
の方法を適宜選ぶことができる。中でも自然吸着法は、
金属酸化物層の微細孔のすみずみにまでむらなく確実に
機能性分子を担持させうる、特別な装置を必要としな
い、多くの場合は単分子層程度であり必要以上に余分な
量がつかない等の多くの利点を有しており好ましい方法
である。
【0124】具体的には、EC色素の溶液中に良く乾燥
した半導体ナノ多孔質層を有する透明基板を浸漬する
か、色素の溶液を半導体ナノ多孔質層に塗布する方法を
用いることができる。前者の場合、浸漬法、ディップ
法、ローラ法、エアーナイフ法等が使用可能である。浸
漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開
平7−249790号公報に記載されているように加熱
還流して行ってもよい。また、後者の塗布方法として
は、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストル
ージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等があ
る。
【0125】前記EC色素を溶解する溶媒としては、例
えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、t
−ブタノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類
(アセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプ
ロピオニトリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水
素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、
クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミ
ド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセタミド等)、N−メチルピロリドン、1,3−ジ
メチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノ
ン、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エ
ステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレ
ン等)、ケトン類(アセトン、2−ブタノン、シクロヘ
キサノン等)、炭化水素(へキサン、石油エーテル、ベ
ンゼン、トルエン等)やこれらの混合溶媒が挙げられ
る。
【0126】前記EC色素の吸着量は、半導体ナノ多孔
質層の単位表面積(1m)当たり0.01〜100m
molが好ましい。また、EC色素の半導体微粒子に対
する吸着量は、半導体微粒子1g当たり0.01〜10
0mmolの範囲であるのが好ましい。また、EC色素
の電解質中濃度は、0.001〜2mol/lが好まし
く、0.005〜1mol/lがより好ましい。
【0127】−電荷移動剤− 前記電荷移動剤は、前記EC色素と同様に、半導体ナノ
多孔質層の表面及び内部の微細孔に担持されると共に、
必要に応じて、電解質層中に溶解乃至分散された状態で
含有されることが好ましい。なお、電荷移動剤の半導体
ナノ多孔質層への担持はEC色素と同様の方法で行うこ
とができる。前記電荷移動剤とEC色素とを併用するこ
とにより、両者の同時発色による加色効果、両者の相互
作用にして酸化還元反応がスムーズに進行し、発色効率
がより向上する。
【0128】前記電荷移動剤としては、特に制限はな
く、目的に応じて適宜選択することができるが、エレク
トロクロミック性を示すものが好適であり、例えば、ヒ
ドラゾン、フェノチアジン、〔β−(10−フェノチア
ジル)−プロポキシ〕ホスホン酸(フェノチアジン誘導
体)、などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種
以上を組み合わせて用いることができる。
【0129】前記電荷移動剤の吸着量は、半導体ナノ多
孔質層の単位表面積(1m)当たり0.01〜100
mmolが好ましい。また、電荷移動剤の半導体微粒子
に対する吸着量は、半導体微粒子1g当たり0.01〜
100mmolの範囲であるのが好ましい。また、電荷
移動剤の電解質中濃度は、0.001〜2mol/lが
好ましく、0.005〜1mol/lがより好ましい。
【0130】−電解質層− 前記電解質層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選
択することができるが、EC色素及び電荷移動剤を含有
することが好ましく、EC色素及び電荷移動剤として
は、上述したものの中から適宜選択して用いることがで
きるが、半導体ナノ多孔質層に担持させたEC色素や電
荷移動剤と同じものが好ましい。前記電解質層の形態と
しては、液体、固体、ゲル状のいずれであっても構わな
い。
【0131】(1)液体の電解質層の場合 前記電解質層が液体の場合には、I/I 、Br
/Br 、キノン/ヒドロキノン対等のレドックス対
(酸化還元対)を含み、電極間を十分な速度で輸送可能
な電解質等の電荷輸送性物質を溶媒に溶かして用いるこ
とが好ましい。
【0132】前記電解質としては、例えば、ヨウ素、臭
素、LiI、NaI、KI、CsI、CaI2、LiB
r、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2等の金属
ハロゲン化物、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ
化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルア
ンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テト
ラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム
等のアンモニウム化合物のハロゲン化塩、メチルビオロ
ゲンクロリド、ヘキシルビオロゲンブロミド等のアルキ
ルビオロゲン、ハイドロキノン、ナフトハイドロキノン
等のポリヒドロキシベンゼン、フェロセン、フェロシア
ン酸塩等の鉄錯体等の少なくとも1種を用いることがで
きるが、これに限定するものではない。また、ヨウ素と
ヨウ化リチウム等の組合せのように、予めレドックス対
(酸化還元対)を生成させる複数の電解質を混合して用
いると、EC素子の性能、特に電流特性を向上させるこ
とが可能となる。これらの中でも、ヨウ素とアンモニウ
ム化合物、ヨウ素と金属ヨウ化物の組合せ等が好適に挙
げられる。
【0133】これらの電解質を溶解する溶媒としては、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカ
ーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル、エ
チレングリコールジアルキルエーテル等のエーテル類、
メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレ
ングリコール等のアルコール類、アセトニトリル、ベン
ゾニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等
の非プロトン性極性溶媒、水等を用いることができる
が、これらに限定されるものではない。
【0134】前記溶媒における前記電解質の電解質濃度
としては、0.001〜2mol/lが好ましく、0.
005〜1mol/lがより好ましい。電解質濃度が
0.001mol未満の場合には、キャリアとしての機
能が十分に働かなくなるため、特性が低下する場合があ
る。一方、2mol/lを超える場合には、それに見合
う前述の効果が現れず、また、電解質溶液の粘性が高く
なり、電流の低下につながることがある。
【0135】(2)固体の電解質層の場合 前記電解質層が固体の場合には、イオン導電性又は電子
伝導性を示すいずれの物質であってもよく、例えば、A
gBr、AgI、CuCl、CuBr、CuI、Li
I、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiAlF
、等のハロゲン化物、AgSBr、CNHAg
、RbCu16Cl13、RbCu
10等の無機復塩、LiN、LiNI、Li
Br等の窒化リチウム及びその誘導体、Li
、LiSiO、LiPO等のリチウムの酸
素酸塩、ZrO、CaO、Gd、HfO、Y
、Nb、WO、Bi、及びこれら
の固溶体等の酸化物、CaF、PbF、SrF
LaF、TISn、CeF等のフッ化物、C
S、AgS、CuSe、AgCrSe等のカ
ルコゲニド、フッ化ビニル系高分子にパーフルオロスル
フォン酸を含む高分子(例えば、ナフィオン)、有機電
荷輸送性物質として、ポリチオフェン、ポリアニリン、
ポリピロール等の化合物、トリフェニルアミン等の芳香
族アミン化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾ
ール化合物やポリメチルフェニルシラン等のシラン化合
物を用いることができるが、これに限定されるものでは
ない。
【0136】(3)ゲル電解質層の場合 前記電解質層がゲル状の場合には、ポリマー添加、オイ
ルゲル化剤添加、多官能モノマー類を、前記電解質及び
前記溶媒に混合して用いることができる。前記ポリマー
添加によりゲル化させる場合は、「Polymer E
lectrolyte Revi ews−1及び2」
(J.R.MacCallumとC.A.Vincen
tの共編、ELSEVIER APPLIED SCI
ENCE)などに記載された化合物を使用することがで
きるが、特に、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニ
リデンなどが好適である。前記オイルゲル化剤添加によ
りゲル化させる場合は、「J.Chem Soc.Ja
pan,Ind.Chem.Sec.,46,779
(1943)」、「J.Am.Chem.Soc.,1
11,5542(1989)」、「J.Chem.So
c.,Chem.Commun.,1993,39
0」、「Angew.Chem.Int.Ed.Eng
l.,35,1949(1996)」、「Chem.L
ett.,1996,885」、「J.Chem.So
c.,Chem.Commun.,1997,545」
などに記載されている化合物を使用することができる
が、特に、分子構造中にアミド構造を有する化合物が好
ましい。
【0137】また、マトリックス材と支持電解質との混
合液を重合させてフイルム状とした固体電解質層を用い
ることもできる。 −−支持電解質−− 前記支持電解質としては、特に制限はなく、目的に応じ
て適宜選択することができ、無機電解質であってもよい
し、有機電解質であってもよい。これらは、1種単独で
使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、
市販品であってもよく、適宜合成しても構わない。
【0138】前記無機電解質としては、例えば、無機酸
陰イオン−アルカリ金属塩、アルカリ金属塩、アルカリ
土類金属などが挙げられ、これらの中でも無機酸陰イオ
ン−アルカリ金属塩が好ましく、無機酸リチウム塩がよ
り好ましい。
【0139】前記無機酸陰イオン−アルカリ金属塩とし
ては、例えば、XAsF、XPF 、XBF、XC
lO、などが挙げられ、(但し、これらにおいてX
は、H、Li、K又はNaを表す。)、具体的には過塩
素酸リチウムなどが好適に挙げられる。
【0140】前記アルカリ金属塩としては、例えば、L
iI、KI、LiCFSO、LiPF、LiCl
、LiBF、LiSCN、LiAsF、NaC
SO、NaPF、NaClO、NaI、Na
BF、NaAsF、KCFSO、KPF、な
どが挙げられる。
【0141】前記有機電解質としては、例えば、有機酸
陰イオン−アルカリ金属塩、四級アンモニウム塩、アニ
オン性界面活性剤、イミダゾリウム塩、などが挙げら
れ、これらの中でも有機酸陰イオン−アルカリ金属塩が
好ましく、有機酸リチウム塩がより好ましい。
【0142】前記有機酸陰イオン−アルカリ金属塩とし
ては、例えば、XCFSO、XC2n+1SO
(n=1〜3)、XN(CFSO、XC(C
SO、XB(CH、XB(C
、などが挙げられ(但し、これらにおいてXは、H、
Li、K又はNaを表す)、具体的には、ポリメタクリ
ル酸リチウムなどが好適に挙げられる。
【0143】前記四級アンモニウム塩としては、例え
ば、[CH(CHN・Y、C2n+1
N(CH・Y(n=10〜18)、(C
2n+1 N(CH・Y(n=10〜18)、
などが挙げられる(但し、これらにおいてYは、B
、PF、ClO、F、Cl、Br又はOHを表
す。)
【0144】前記アニオン性界面活性剤としては、例え
ば、C2n+1COO・X(n=10〜18)、C
2n+1OC2mCOO・X(n=10〜1
8、m=10〜18)、C10COO・X、C
2n+110COO・X(n=10〜18)、C
2n+1SO・X(n=10〜18)、C
n+1OC2mSO・X(n=10〜18、m=
10〜18)、C10 SO・X、C2n+1
10SO・X(n=10〜18)、C
2n+1OSO・X(n=10〜18)、などが挙げ
られる(但し、これらにおいてXは、H、Li、K又は
Naを表す。)。
【0145】前記支持電解質として、特に、無機酸リチ
ウム塩と有機酸リチウム塩とを含むのが好ましい。
【0146】−−マトリックス材−− 前記マトリックス材としては、特に制限はなく、目的に
応じて適宜選択することができ、例えば、ヘテロ原子を
有する高分子化合物、などが挙げられる。
【0147】前記ヘテロ原子を有する高分子化合物とし
ては、例えば、酸素原子を有する高分子化合物、窒素原
子を有する高分子化合物、硫黄原子を有する高分子化合
物、ハロゲン原子を有する高分子化合物、などが挙げら
れる。
【0148】前記酸素原子を有する高分子化合物として
は、例えば、R−(OCHCH O−R(n
は、整数を表し、Rは、エチレン基、スチレン基、プ
ロピレン基、ブテン基、ブタジエン基、塩化ビニル基、
酢酸ビニル基、アクリル酸基、アクリル酸メチル基、メ
タクリル酸基、メタクリル酸メチル基、メチルビニルケ
トン基、アクリルアミド基等を表し、Rは、H、CH
又はRを表す。)で表される化合物などが好適に挙
げられ、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、非ポリエーテル類(例えば、ポリ
(3−ヒドロキシプロピオン酸)、ポリ酢酸ビニル)、
などが好適に挙げられる。
【0149】前記窒素原子を有する高分子化合物として
は、例えば、R−(NHCHCHNH−R
(nは、整数を表し、Rは、エチレン基、スチレン
基、プロピレン基、ブテン基、ブタジエン基、塩化ビニ
ル基、酢酸ビニル基、アクリル酸基、アクリル酸メチル
基、メタクリル酸基、メタクリル酸メチル基、メチルビ
ニルケトン基、アクリルアミド基等を表し、Rは、
H、CH又はRを表す。)で表される化合物などが
好適に挙げられ、具体的には、ポリエチレンイミン、ポ
リ−N−メチルエチレンイミン、ポリアクリロニトリル
などが挙げられる。
【0150】前記硫黄原子を有する高分子化合物として
は、例えば、R−(SCHCH S−R(n
は、整数を表し、Rは、エチレン基、スチレン基、プ
ロピレン基、ブテン基、ブタジエン基、塩化ビニル基、
酢酸ビニル基、アクリル酸基、アクリル酸メチル基、メ
タクリル酸基、メタクリル酸メチル基、メチルビニルケ
トン基、アクリルアミド基等を表し、Rは、H、CH
又はRを表す。)で表される化合物などが好適に挙
げられ、具体的には、ポリアルキレンサルファイド類、
などが挙げられる。
【0151】前記マトリックス材の分子量としては、特
に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる
が、低いほうが常温で流動性を有する場合が多いため、
製膜性の観点からは低いほうが好ましく、例えば、数平
均分子量で1000以下であるのが好ましい。
【0152】前記マトリックス材の前記電解質層におけ
る使用量としては、前記支持電解質とのモル比(マトリ
ックス材:支持電解質)が、70:30〜5:95であ
るのが好ましく、50:50〜10:90であるのがよ
り好ましく、50:50〜20:80であるのが特に好
ましい。
【0153】なお、前記モル比は、前記マトリックス材
のモル量と、前記支持電解質のイオンのモル量との比を
意味する。該マトリックス材のモル量とは、高分子化合
物のモノマー単位を1分子として換算したモル量を意味
する。
【0154】前記フイルム状固体電解質層は、前記マト
リックス材と支持電解質との混合液に過酸化ベンゾイル
やアゾビスイソブチロニトリル等の重合開始剤を少量添
加したものを薄く延ばし、続いて加熱を行い重合させる
か、又はイルガキュア等の光重合開始剤を添加して、紫
外線照射により重合させることにより、作製することが
できる。なお、固体電解質フイルムの厚さは、通常、3
0〜500μm、好ましくは50〜200μmである。
【0155】−一対の透明電極− 前記一対の透明電極としては、透明で電気を通すもので
あれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すること
ができ、例えば、酸化スズインジウム(ITO)、酸化
スズ(NESA)、フッ素をドープした酸化スズ(FT
O)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジ
ウム、銅、クロム、炭素等が挙げられる。これらの中で
も、表面抵抗値が低い、耐熱性が良い、化学的な安定性
がある、光透過率が高い、等の点からフッ素をドーピン
グした酸化スズ(FTO)、酸化スズインジウム(IT
O)が好ましい。
【0156】前記導電性基体の表面抵抗としては、前述
のようにより低い方が好ましく、具体的な表面抵抗値と
しては、100Ω/cm以下が好ましく、10Ω/c
以下がより好ましい。また、前記透明電極の厚みと
しては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択するこ
とができるが、前記透明電極の場合、例えば、0.1μ
m以上、特に0.1〜20μmであるのが一般的であ
る。
【0157】−支持体− 前記支持体は、前記透明電極を設ける基材等として使用
することができ、その材質、形状、構造、大きさ等につ
いては、特に制限はなく適宜設計することができる。前
記支持体としては、例えば、ガラス板、高分子フイル
ム、などが好適に挙げられる。高分子フイルムの材料と
しては、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタ
レート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン
(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポ
リカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、
ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン
(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリ
オレフィン、ブロム化フェノキシ、などが挙げられる。
【0158】−その他の部材− 前記その他の部材としては、特に制限はなく、EC絞り
装置の用途等に応じて適宜選択することができ、例え
ば、スペーサー、封止部材、リード線、反射手段、など
が挙げられる。
【0159】本発明のEC絞り装置は、特に制限されな
いが、平地混合による面積階調法、平地混合による濃度
階調法、積層混合による面積階調法及び積層混合による
濃度階調法から選ばれるいずれかの方法によりフルカラ
ー化して用いることが好ましい。
【0160】前記平地混合による面積階調法は、印刷物
の網点と同様の原理でカラー画像を表現する方法であ
る。例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)に発色する
微小画素を平面内に多数設けておき、各画素の発色濃度
変化は階調を持たず一定濃度のON/OFFにより発色
面積の違いによりカラー画像を表現するものである(例
えば、印加電圧と印加時間が一定の場合である)。
【0161】前記平地混合による濃度階調法は、上記同
様に印刷物の網点と同様の原理でカラー画像を表現する
方法である。但し、各画素は発色濃度に階調を持たせる
ことができるので、印加電圧や印加時間を制御してセル
への注入電荷量を制御することで発色濃度を制御するこ
とができる。
【0162】前記積層混合による面積階調法は、上記同
様に印刷物の網点と同様の原理でカラー画像を表現する
方法であるが、同一画素内に垂直に3色のセルを積層す
るので前記平地混合による面積階調法より画素密度が緩
和される。
【0163】前記積層混合による濃度階調法は、前記平
地混合による濃度階調法と同様の発色方法であり、銀塩
写真などと同様のフルカラー表現方法である。
【0164】前記EC絞り装置は、用途に応じて異なる
が、透過型素子の場合は到達透過率となるまでの応答速
度が100msec以下が好ましく、10msec以下
がより好ましい。また、反射型素子の場合には到達吸光
度になるまでの応答速度が100msec以下が好まし
く、10msec以下がより好ましい。
【0165】なお、前記EC絞り装置における電圧とし
ては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することが
できるが、例えば、0.5〜10V程度が好ましく、1
〜5V程度がより好ましい。
【0166】本発明のEC絞り装置は、例えば、カメラ
等の撮影装置、光フイルター、ステッパー、光シャッタ
ー等の各種用途に用いられ、これらの中でも、特にスト
ロボ発光部、メインコンデンサを備えたストロボ装置
と、絞り装置を備えた撮影装置とを有してなるユニット
本体に、未露光の写真フイルムを装填してなるレンズ付
きフイルムユニットにおける前記絞り装置に用いること
が好適である。
【0167】<レンズ付きフイルムユニット>図6は、
同レンズ付きフイルムユニットの一例を示す外観斜視
図、図7は、レンズ付きフイルムユニットの一例を示す
分解斜視図である。
【0168】前記レンズ付きフイルムユニット1は、図
6に示したように、撮影機構等が内蔵されたユニット本
体30とこれを収納する外ケース33とから構成されて
いる。前記ユニット本体30の前面には、撮影レンズ3
4,ファインダ対物窓35,ストロボ発光部36及びス
トロボ撮影時に押圧される押しボタン37が設けられて
いる。前記ユニット本体30の上面には、シャッタボタ
ン38,カウンタ窓39の他、ネオン管40の点灯確認
用の表示窓41が設けられている。このネオン管40
は、ストロボ発光用のメインコンデンサが規定レベルま
で充電されたときに点灯する。また、前記ユニット本体
30の背面には、巻上げノブ42が設けられている。前
記外ケース33には、これらを操作又は露呈するための
穴や切欠が設けられている。
【0169】また、図7に示すように、前記ユニット本
体30は、本体部53,露光ユニット54,ストロボ装
置55,前カバー56,及び後カバー57から構成され
ており、これらは爪係合によって着脱自在に取り付けら
れている。前記本体部53は、写真フイルムパトローネ
60のパトローネ本体61を収納するパトローネ室62
と、このパトローネ本体61から引き出した写真フイル
ム63をロール状に巻いたフイルムロール63aを収納
するフイルムロール室64と、パトローネ室62とフイ
ルムロール室64との間に設けられた暗箱部65とから
なる。前記写真フイルム63としては、特に制限はな
く、目的に応じて適宜選択することができるが、例え
ば、ISO800の高感度フイルムを用いることが好ま
しい。
【0170】前記パトローネ本体61,フイルムロール
63aをパトローネ室62,フイルムロール室64にそ
れぞれ収納した後、前記本体部53の背面側には後カバ
ー57が爪係合によって取り付けられ、パトローネ室6
2,フイルムロール室64及び暗箱部65が光密に閉じ
られる。前記本体部53の前面には、露光ユニット54
とストロボ装置55とが組み込まれている。更に、1.
5V単3型の乾電池67やスイッチ接片68が組み込ま
れてから、最後に前カバー56が取り付けられる。
【0171】前記露光ユニット54の前部には、シャッ
タカバー兼用のレンズ受け71が設けられ、これに撮影
レンズ74がレンズカバー73によって固定されてい
る。レンズ受け71と撮影レンズ74との間には、撮影
レンズ74の絞り口径を規制する円板状のEC素子板7
5が設けられている。
【0172】前記EC素子板75としては、前記本発明
の絞り装置と同様なものを用いることができる。このE
C素子板75には、中央部を除いてドーナツ状に透明電
極が配置されており、ストロボ光を用いない定常光撮影
では、ドーナツ状部75aが不透明状態になって撮影レ
ンズ74の絞り口径を小さく規制している。そして、ス
トロボ撮影時には、EC素子板75の電極に所定の電圧
が印加されることにより、ドーナツ状部75aが光を透
過する状態になって撮影レンズ74の絞り口径を開放状
態にする。
【0173】前記EC素子板75は、図8に示すよう
に、前記ストロボ装置55のストロボ回路と接続されて
いる。このストロボ回路は、昇圧回路81,放電回路8
2からなる。昇圧回路81には周知のブロッキングオシ
レータが用いられ、これは発振制御用のトランジスタ8
3と、発振トランス84と、半波整流用のダイオード8
5とから構成される。前記押しボタン37の押圧により
スイッチ接片68が押されてプリント接点87,88が
短絡されると、トランジスタ83が導通して発振トラン
ス84が作動し、ダイオード85を介して放電回路82
に電流が供給される。
【0174】前記放電回路82は、ネオン管40,トリ
ガコンデンサ91,トリガ用トランス92,シンクロス
イッチ93,ストロボ放電管94,及びメインコンデン
サ95からなる。トリガコンデンサ91及びメインコン
デンサ95は、昇圧回路81からの電流により充電さ
れ、前記メインコンデンサ95が規定レベル(300V
程度)まで充電されるとネオン管40が点灯する。
【0175】前記発振トランス84の二次側にはタップ
が設けられ、ダイオード96,コンデンサ97によりE
C素子板75用の電源が形成されている。これにより、
メインコンデンサ95が充電完了すると、EC素子板7
5の電極に所定電圧が印加され、該EC素子板75のド
ーナツ状部75aが不透明状態から透明状態に変化す
る。なお、前記EC素子板75とストロボ装置55のプ
リント基板101とはリード線102,103によって
接続されている。
【0176】このように構成されたレンズ付きフイルム
ユニット1でストロボ撮影を行うには、まず、押しボタ
ン37を押す。これによって、スイッチ接片68により
プリント接点147,148が短絡され、トリガコンデ
ンサ91,メインコンデンサ95への充電が開始され
る。前記トリガコンデンサ91及びメインコンデンサ9
5に充電が行われ、その充電電圧が規定レベルに達する
と、ネオン管40が点滅を開始すると同時に、前記EC
素子板75が透明状態になって撮影絞りが開放状態にな
る。
【0177】この後、前記任意の被写体に撮影レンズ3
4を向けてシャッタボタン38を押し下げれば、前記露
光ユニット54内のシャッタ機構が作動してシャッタ羽
根が開閉され、これと同期してシンクロ接片153が短
絡される。これによりトリガコンデンサ91の電荷がト
リガトランス92の一次側に流れ、二次側に発生した高
電圧によってストロボ放電管94内の抵抗が瞬間的に低
くなる。この結果、メインコンデンサ95に貯えられて
いた電荷がストロボ放電管94を通して放電され、約3
m付近の被写体が適正露光になるようにストロボ光が放
出される。
【0178】この場合、仮に、ストロボ撮影を行わない
ときは、ネオン管40が点滅していないことを確かめて
から、押しボタン37を押さずにそのまま被写体に撮影
レンズ34を向けてシャッタボタン38を押し下げる。
ネオン管40が点滅していない状態では、メインコンデ
ンサ95には、規定レベルの電荷が溜まっていないた
め、EC素子板75のドーナツ状部75aは不透明状態
になっており、絞りが絞られた状態になっている。
【0179】この場合、前記EC絞り装置は、円筒状絞
り機構を通じて反転自在な濃い孔を兼ね備えている。ま
た、この反転機構は、特に制限されないが、目的に合わ
せて適宜調整することができる。従って、この非ストロ
ボ撮影時には、簡単な機構でありながら、約1mから∞
までピントが合った高画質の画像を得ることができる。
また、低価格化、小型化が容易に可能となる。
【0180】なお、前記EC素子板75はメインコンデ
ンサ95の充電完了とともに駆動されるようにしたが、
この他にスイッチ接片68を押圧して充電を開始すると
同時にEC素子板75を駆動させるようにしてもよい。
更に、駆動機構を設けることによりバランスよく作動可
能なものである。
【0181】本発明のレンズ付きフイルムユニットは、
絞り装置として、EC素子を用いることにより、ストロ
ボ装置に接続するだけの簡単な構成で、メインコンデン
サが規定レベルまで充電されたことに応答して絞りを変
更することができるから、レンズ付きフイルムユニット
をローコストのままで小型化することができる。
【0182】また、非ストロボ撮影時には、絞り制御手
段で絞り口径を小さくしたので、従来のレンズ付きフイ
ルムユニットでは露光オーバーとなっていたものを救済
できる。また、非ストロボ撮影時には、絞り口径が小さ
くなるので、被写界深度が深くなって高画質な画像を撮
影することができる。
【0183】更に、本発明によれば、撮影環境を光検知
センサーで検知して、この情報を絞り装置に伝達するこ
とにより光量を調節可能に構成することができる。
【0184】以上、本発明のEC絞り装置及びそれを用
いたレンズ付きフイルムユニットについて詳細に説明し
たが、本発明は上記実施の形態に制限されず、本発明の
目的を損わない範囲で適宜変更しても差し支えない。
【0185】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0186】(実施例1)図1,2に示したようにIT
Oをパターンニングしたガラス基板のITO部分に、酸
化チタンペースト(Solaronix社製、Ti−N
anoxideHT)をドクターブレードを用いて、塗
布し、乾燥した。得られた乾燥物を550℃で30分、
空気中で焼成し、厚さ10μmの多孔質膜を形成した。
【0187】次いで、上記基板を、EC色素として、
0.02Mの2−{2−〔4−(ジメチルアミノ)フェ
ニル〕エテニル}−3,3−ジメチル−5−ホスホノイ
ンドリノ〔2,1−b〕オキサゾリンのアセトニトリル
溶液に浸漬し色素吸着処理を行い、室温で乾燥しマゼン
タ色素結合電極を作製した。
【0188】得られた色素結合電極と、それと対をなす
電極として図1,2に示したようなITOガラス基板を
用いて電解質液に接触させてマゼンタ発色EC素子を組
み立てた。両極間は0.5mmとした。電解質液として
は、0.2Mのテトラブチルアンモニウムパークロレー
トのプロピレンカーボネート溶液を用いた。なお、作製
した一対の電極の大きさはいずれも5mm×5mmとし
た。
【0189】次に、2−{2−〔4−(ジメチルアミ
ノ)フェニル〕−1,3−ブタジエニル}−3,3−ジ
メチル−5−カルボキシルインドリノ〔2,1−b〕オ
キサゾリンを用いて、上記のマゼンタ発色EC素子と同
様の操作を行い、シアン発色EC素子を作製した。
【0190】更に、2−{2−〔4−(メトキシ)フェ
ニル〕エテニル}−3,3−ジメチル−5−ホスホノイ
ンドリノ〔2,1−b〕オキサゾリンを用いて、上記の
マゼンタ発色EC素子と同様の操作を行い、イエロー発
色EC素子を作製した。
【0191】上記の3種のEC素子を構造単位とし、該
構造単位を三個積層し、各々の透明電極間を端子で接続
し、図1,2に示したEC絞り装置を組み立てた。この
EC絞り装置において、マゼンタ発色構造単位に対して
室温で3Vの電圧を印加したところ、陽極においてスチ
リル誘導体が酸化されて、無色からマゼンタに変った。
次に、シアン発色構造単位に対して室温で3Vの電圧を
印加したところ、陽極においてスチリル誘導体が酸化さ
れて、無色からシアンに変った。また、イエロー発色構
造単位に対して室温で3Vの電圧を印加したところ、陽
極においてスチリル誘導体が酸化されて、無色からイエ
ローに変った。
【0192】更に、マゼンタ発色構造単位とシアン発色
構造単位に対して室温で同時に3Vの電圧を印加したと
ころ、それぞれの構造単位の陽極においてスチリル誘導
体が酸化されてマゼンタとシアンに発色し、全体では無
色から青色に変化した。次に、マゼンタ発色構造単位と
イエロー発色構造単位に対して室温で同時に3Vの電圧
を印加したところ、それぞれの構造単位の陽極において
スチリル誘導体が酸化されてマゼンタとイエローに発色
し、全体では無色から赤色に変化した。また、シアン発
色構造単位とイエロー発色構造単位に対して室温で同時
に3Vの電圧を印加したところ、それぞれの構造単位の
陽極においてスチリル誘導体が酸化されてシアンとイエ
ローに発色し、全体では無色から緑色に変化した。
【0193】更に、三つの発色構造単位に対して室温で
同時に3Vの電圧を印加したところ、それぞれの構造単
位の陽極においてスチリル誘導体が酸化されてマゼン
タ、シアン、イエローに発色し、全体では無色から黒色
に変化した。
【0194】なお、到達透過率となるまでの応答速度は
いずれの場合も80msecであった。電圧をかけるの
を止めても発色は600秒以上もつづいた。また、発色
−消色を1万回繰り返しても発色時の色の濃さも、消色
時の透明度ほとんど変わらなかった。
【0195】次に、得られたEC絞り装置をレンズ付き
フイルムユニットに取り付け、図6,7に示したレンズ
付きフイルムユニットを作成した。
【0196】(実施例2)実施例1において、電解質と
して、下記電解質溶液を用い、この電解質溶液を、一方
の色素結合電極上にスピンコーターを用いて厚さ800
μmに塗布し、60℃で6時間加熱して膜状の電解質層
を形成した以外は、実施例1と同様にしてEC絞り装置
を作製した。
【0197】−電解質溶液− 水酸化リチウム67gをメタノール27mlに溶解させ
た溶液に、メタクリル酸7.68gをメタノール12m
lに溶解させた溶液を攪拌しながら滴下した。更に、こ
こで得られた混合溶液をアセトン2リットルに滴下し、
析出物を濾取した後、該析出物をアセトンで洗浄し、真
空乾燥させることにより、メタクリル酸リチウムの白色
粉末2.38gを得た。次に、1Mのメタクリル酸リチ
ウム水溶液50mlを調製し、これにペルオキソ二硫酸
カリウムをメタクリル酸リチウムに対して1質量%添加
し、窒素雰囲気下で24時間、70℃に保持して、メタ
クリル酸リチウムの重合を行った。重合反応が終了後
に、メタノール500mlを用いて再沈殿を行い、析出
物を回収し乾燥することにより、ポリメタクリル酸リチ
ウムの白色粉末1.73gを合成した。次に、ヨウ化リ
チウム:過塩素酸リチウム:前記合成したポリメタクリ
ル酸リチウム=50:30:20(モル比)で用い、ま
た、前記マトリックス材としてポリエチレングリコール
(数平均分子量=600)を用い(ポリエチレングリコ
ールのエチレンオキシドユニット:リチウムイオン=5
1:49(モル比))、これらを水に溶解させた。
【0198】得られたEC絞り装置において、マゼンタ
発色構造単位に対して室温で3Vの電圧を印加したとこ
ろ、陽極においてスチリル誘導体が酸化されて、無色か
らマゼンタに変った。次に、シアン発色構造単位に対し
て室温で3Vの電圧を印加したところ、陽極においてス
チリル誘導体が酸化されて、無色からシアンに変った。
また、イエロー発色構造単位に対して室温で3Vの電圧
を印加したところ、陽極においてスチリル誘導体が酸化
されて、無色からイエローに変った。
【0199】更に、マゼンタ発色構造単位とシアン発色
構造単位に対して室温で同時に3Vの電圧を印加したと
ころ、それぞれの構造単位の陽極においてスチリル誘導
体が酸化されてマゼンタとシアンに発色し、全体では無
色から青色に変化した。次に、マゼンタ発色構造単位と
イエロー発色構造単位に対して室温で同時に3Vの電圧
を印加したところ、それぞれの構造単位の陽極において
スチリル誘導体が酸化されてマゼンタとイエローに発色
し、全体では無色から赤色に変化した。また、シアン発
色構造単位とイエロー発色構造単位に対して室温で同時
に3Vの電圧を印加したところ、それぞれの構造単位の
陽極においてスチリル誘導体が酸化されてシアンとイエ
ローに発色し、全体では無色から緑色に変化した。
【0200】更に、三つの発色構造単位に対して室温で
同時に3Vの電圧を印加したところ、それぞれの構造単
位の陽極においてスチリル誘導体が酸化されてマゼン
タ、シアン、イエローに発色し、全体では無色から黒色
に変化した。
【0201】なお、到達透過率となるまでの応答速度は
いずれの場合も100msecであった。電圧をかける
のを止めても発色は600秒以上もつづいた。また、発
色−消色を1万回繰り返しても発色時の色の濃さも、消
色時の透明度もほとんど変わらなかった。
【0202】次に、得られたEC絞り装置をレンズ付き
フイルムユニットに取り付け、図6,7に示したレンズ
付きフイルムユニットを作成した。
【0203】(実施例3) −多孔質TiO電極− チタニウムテトライソプロポキシド6.41gをエタノ
ール20mlで希釈し、攪拌しながら比重1.38の硝
酸を0.514g、水を0.2ml加えた。以上の混合
操作は乾燥窒素雰囲気下で行った。この混合液を80℃
に昇温し、乾燥窒素気流下で2時間還元して、無色透明
のゾル液を得た。このゾル液を室温まで冷却した後、攪
拌しながらゾル液2gに対してポリアクリル酸0.1g
を溶解した。得られたゾル液に更に水2mlを加えて無
色透明で均一なゾル液を得た。このゾル液をガラス容器
に密閉して80℃に昇温した。ゾル液は5分ほどでゲル
化し、ほぼ透明で均一なゲルとなった。80℃でさらに
15時間保持するとゲルは再び溶解して白っぽい半透明
のゾル液となった。
【0204】このゾル液を、図1,2に示したようにI
TOをパターンニングしたガラス基板のITO部分に、
スピンコート法により塗布し、450℃に昇温して20
分保持して焼成した。この塗布及び焼成の工程を20回
繰り返し、膜厚3.5μmの多孔質TiO膜からなる
電極を形成した。得られた膜の結晶構造をX線回折によ
り調べた結果、アナターゼ型の酸化チタンが形成されて
いることが確認された。膜の微細構造をSEM観察によ
り調べたところ、相分離状の凝集組織が形成されてい
た。この焼成物膜(透明導電性膜)の比表面積は100
g/cmであった。なお、比表面積は、BET表面積
測定装置(ミツワ理化学工業製、マルチソーブ12)を
用い、液体窒素温度で、窒素ガスを吸着させる方法によ
り行った。
【0205】次いで、上記基板を、酸化還元物質とし
て、0.02Mの1,1’−フェロセンジカルボン酸の
メタノール溶液に浸漬し吸着処理を行い、室温で乾燥
し、フェロセン結合電極を作製した。
【0206】得られたフェロセン結合電極と、それと対
をなす電極として実施例1の色素結合電極を用いて、電
解質液に接触させてEC色素構造単位を組み立てた。こ
の場合、色素結合電極は、実施例1に示される3種の異
なる色相に発色する構造単位を作製した、両電極間の距
離は0.5mmとした。
【0207】電解質液としては、0.2Mのテトラブチ
ルアンモニウムパークロレートのプロピレンカーボネー
ト溶液を用いた。なお、作製した一対の電極の大きさは
いずれも5mm×5mmとした。
【0208】上記の構造単位を三個積層し、各々の透明
電極間を端子で接続し、図1,2に示したEC絞り装置
を組み立てた。このEC絞り装置において、マゼンタ発
色構造単位に対して室温で3Vの電圧を印加したとこ
ろ、陽極においてスチリル誘導体が酸化されて、無色か
らマゼンタに変った。次に、シアン発色構造単位に対し
て室温で3Vの電圧を印加したところ、陽極においてス
チリル誘導体が酸化されて、無色からシアンに変った。
また、イエロー発色構造単位に対して室温で3Vの電圧
を印加したところ、陽極においてスチリル誘導体が酸化
されて、無色からイエローに変った。なお、上記発色家
庭において、対極のフェロセン誘導体も酸化還元反応を
生ずるが、酸化体も還元体も無色なため、全体に観察さ
れる色には影響しない。
【0209】更に、マゼンタ発色構造単位とシアン発色
構造単位に対して室温で同時に3Vの電圧を印加したと
ころ、それぞれの構造単位の陽極においてスチリル誘導
体が酸化されてマゼンタとシアンに発色し、全体では無
色から青色に変化した。次に、マゼンタ発色構造単位と
イエロー発色構造単位に対して室温で同時に3Vの電圧
を印加したところ、それぞれの構造単位の陽極において
スチリル誘導体が酸化されてマゼンタとイエローに発色
し、全体では無色から赤色に変化した。また、シアン発
色構造単位とイエロー発色構造単位に対して室温で同時
に3Vの電圧を印加したところ、それぞれの構造単位の
陽極においてスチリル誘導体が酸化されてシアンとイエ
ローに発色し、全体では無色から緑色に変化した。
【0210】更に、三つの発色構造単位に対して室温で
同時に3Vの電圧を印加したところ、それぞれの構造単
位の陽極においてスチリル誘導体が酸化されてマゼン
タ、シアン、イエローに発色し、全体では無色から黒色
に変化した。
【0211】なお、到達透過率となるまでの応答速度は
いずれの場合も80msecであった。電圧をかけるの
を止めても発色は600秒以上もつづいた。また、発色
−消色を1万回繰り返しても発色時の色の濃さも、消色
時の透明度もほとんど変わらなかった。
【0212】次に、得られたEC絞り装置をレンズ付き
フイルムユニットに取り付け、図6,7に示したレンズ
付きフイルムユニットを作成した。
【0213】
【発明の効果】本発明によれば、従来における前記問題
を解決することができ、構造が簡単で小型化が容易に可
能であり、カメラ等の撮影装置、特にレンズ付きカメラ
の絞り装置等として好適であり、応答速度及び繰り返し
耐久性が大幅に向上したEC絞り装置及びそれを用いた
高性能なレンズ付きフイルムユニットを提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のEC絞り装置の一例を示す平
面図である。
【図2】図2は、本発明のEC絞り装置の一例を示す縦
断面図である。
【図3】図3は、図2のX領域の部分拡大図である。
【図4】図4は、図2のX領域の部分拡大図である。
【図5】図5は、前記EC絞り装置を備えた撮影レンズ
系の構成図である。
【図6】図6は、本発明のレンズ付きフイルムユニット
の一例を示す外観斜視図である。
【図7】図7は、レンズ付きフイルムユニットの一例を
示す分解斜視図である。
【図8】図8は、EC素子板とストロボ回路とを示す説
明図である。
【符号の説明】
1 レンズ付きフイルムユニット 2 EC色素 4、6 半導体ナノ多孔質膜 9 電解質層 10 EC絞り装置 11 EC素子 12A、12B ガラス基板 14 第1の透明電極群 15 第2の透明電極群 17 端子 20 撮影レンズ系 21 光軸 22 前玉ユニット 23 バリエータ 24 フォーカスユニット 25 ローパスフィルター 26 CCDセンサ 30 ユニット本体 33 外ケース 34 撮影レンズ 35 ファインダ対物窓 36 ストロボ発光部 37 押しボタン 38 シャッタボタン 39 カウンタ窓 40 ネオン管 53 本体部 54 露光ユニット 55 ストロボ装置 56 前カバー 57 後カバー 75 EC素子板

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体ナノ多孔質層を少なくとも一方の
    表面に形成した一対の透明電極を、該半導体ナノ多孔質
    層同士が対向するように配置した間に、電気化学的な酸
    化反応及び還元反応の少なくとも一方により可逆的に発
    色又は消色するエレクトロクロミック色素を含む電解質
    層を挟持してなる構造単位を、複数個積層してなり、透
    明状態から非透明状態に可逆的に変化することにより絞
    り口径を自在に変化可能であることを特徴とするエレク
    トロクロミック絞り装置。
  2. 【請求項2】 電気化学的な酸化反応及び還元反応の少
    なくとも一方により可逆的に発色又は消色するエレクト
    ロクロミック色素が担持された半導体ナノ多孔質層を少
    なくとも一方の表面に形成した一対の透明電極を、該半
    導体ナノ多孔質層同士が対向するように配置した間に電
    解質層を挟持してなる構造単位を、複数個積層してな
    り、透明状態から非透明状態に可逆的に変化することに
    より絞り口径を自在に変化可能であることを特徴とする
    エレクトロクロミック絞り装置。
  3. 【請求項3】 透明電極が、それぞれ複数の透明電極を
    同心円状に配列してなる第1の透明電極群及び第2の透
    明電極群とを備え、これら第1の透明電極群と第2の透
    明電極群とが各々独立に通電可能である請求項1又は2
    に記載のエレクトロクロミック絞り装置。
  4. 【請求項4】 ストロボ発光部、メインコンデンサを備
    えたストロボ装置と、絞り装置を備えた撮影装置とを有
    してなるユニット本体に、未露光の写真フイルムを装填
    してなるレンズ付きフイルムユニットにおける前記絞り
    装置に用いられる請求項1から3のいずれかに記載のエ
    レクトロクロミック絞り装置。
  5. 【請求項5】 光検知センサーで検知して光量を調節可
    能に構成した請求項4に記載のエレクトロクロミック絞
    り装置。
  6. 【請求項6】 前記構造単位を2〜4個積層した請求項
    1から5のいずれかに記載のエレクトロクロミック絞り
    装置。
  7. 【請求項7】 前記各構造単位毎に異なるエレクトロク
    ロミック色素が担持されている請求項2から6のいずれ
    かに記載のエレクトロクロミック絞り装置。
  8. 【請求項8】 半導体ナノ多孔質層の少なくとも一方が
    多層構造に形成されている請求項1から7のいずれかに
    記載のエレクトロクロミック絞り装置。
  9. 【請求項9】 両方の半導体ナノ多孔質層が多層構造で
    ある請求項8に記載のエレクトロクロミック絞り装置。
  10. 【請求項10】 150〜200℃の低温焼成により半
    導体ナノ多孔質層を積層してなる請求項8又は9に記載
    のエレクトロクロミック絞り装置。
  11. 【請求項11】 多層構造の半導体ナノ多孔質層の各層
    毎に異なるエレクトロクロミック色素が担持されている
    請求項8から10のいずれかに記載のエレクトロクロミ
    ック絞り装置。
  12. 【請求項12】 更に電荷移動剤が、電解質層中に含ま
    れている請求項1から11のいずれかに記載のエレクト
    ロクロミック絞り装置。
  13. 【請求項13】 電荷移動剤が、前記半導体ナノ多孔質
    層に担持されている請求項2から12のいずれかに記載
    のエレクトロクロミック絞り装置。
  14. 【請求項14】 半導体ナノ多孔質層に含まれる半導体
    微粒子が、単体半導体、酸化物半導体、化合物半導体、
    有機半導体、複合体酸化物半導体及びこれらの混合物か
    ら選ばれる請求項1から13のいずれかに記載のエレク
    トロクロミック絞り装置。
  15. 【請求項15】 複合体酸化物半導体が、SnO−Z
    nO、Nb−SrTiO、Nb−Ta
    、Nb−ZrO、Nb−TiO
    Ti−SnO、Zr−SnO、In−SnO及び
    Bi−SnO から選ばれる請求項14に記載のエレク
    トロクロミック絞り装置。
  16. 【請求項16】 前記エレクトロクロミック色素を半導
    体ナノ多孔質層に担持させる前に熱処理を施してなる請
    求項2から15のいずれかに記載のエレクトロクロミッ
    ク絞り装置。
  17. 【請求項17】 半導体ナノ多孔質層の厚みが100μ
    m以下である請求項1から16のいずれかに記載のエレ
    クトロクロミック絞り装置。
  18. 【請求項18】 エレクトロクロミック色素が、有機化
    合物及び金属錯体から選ばれる請求項1から17のいず
    れかに記載のエレクトロクロミック絞り装置。
  19. 【請求項19】 到達透過率又は到達吸光度となるまで
    の応答速度が100msec以下である請求項1から1
    8のいずれかに記載のエレクトロクロミック絞り装置。
  20. 【請求項20】 撮影装置に用いられる請求項1から1
    9のいずれかに記載のエレクトロクロミック絞り装置。
  21. 【請求項21】 光フイルター、ステッパー及び光シャ
    ッターから選ばれるいずれかに用いられる請求項1から
    19のいずれかに記載のエレクトロクロミック絞り装
    置。
  22. 【請求項22】 ストロボ発光部、メインコンデンサを
    備えたストロボ装置と、請求項1から20のいずれかに
    記載のエレクトロクロミック絞り装置を備えた撮影装置
    とを有してなるユニット本体に、未露光の写真フイルム
    を装填してなることを特徴とするレンズ付きフイルムユ
    ニット。
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Cited By (5)

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