JP2005113092A - 防振ゴム - Google Patents

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Abstract

【課題】 物性を低下させず、十分な耐久性を確保しつつ、低動ばね特性と高減衰特性を両立させて、非常に優れた防振特性を発揮させることができる防振ゴムを提供する。
【解決手段】 未加硫のジエン系ゴム材料に、液状SBRを配合してなる組成物を加硫することによって、加硫されたジエン系ゴム材料からなるマトリックス中に、加硫されない液状成分を除くSBR成分が島相に分散されて海島構造に形成され高減衰特性が付与されている。
【選択図】 なし

Description

本発明は、例えばエンジンマウントやボディマウント、キャブマウント、メンバマウント、ストラットマウント、サスペンションブッシュ等の自動車用防振に多用されるもので、振動あるいは衝撃伝達系を構成する部材間に介装されて、防振性乃至緩衝性を実現するように用いられる防振ゴムに関するものである。
上記した自動車用防振などのように、周波数等の異なる複数種の振動伝達系で用いられる防振ゴムにおいては、入力される各種の振動に応じて適正、有効な防振特性を発揮することが要求される。具体的には、自動車用防振ゴムを例にとってみると、一般に、100Hz以上の高周波数領域の振動が入力される場合は、低動ばね特性が要求される反面、10〜20Hz程度の低周波数領域の振動が入力される場合は、高い減衰特性が要求される。ここで、低動ばね特性とは、100Hzの振動入力時における動的ばね定数(Kd100)と静的ばね定数(Ks)との比である動倍率(=Kd100/Ks)の値が小さいことであり、また、高減衰特性とは、10Hzの振動入力時における損失係数(tanσ)の値が大きいことである。
ところで、防振ゴムにおけるばね特性の発現メカニズムは、防振ゴムを形成するゴム組成物を構成するところのポリマー分子間の結合・拘束や絡み合い、あるいはポリマー分子とゴム組成物に含有されている補強剤との間の結合・拘束等に基づくものである一方、減衰特性の発現メカニズムは、ポリマー分子同士もしくはポリマー分子と補強剤との間の摩擦に基づくものである。したがって、減衰特性を高めると、それに伴って低動ばね特性(動倍率)の値が大きくなり、逆に、低動ばね特性を実現(動倍率の値を小さく)すると、それに伴って減衰特性が低下してしまうといった具合に、低動ばね特性と減衰特性との間には二律背反の問題があり、防振ゴムにおいては、これら両特性の両立を実現することが大きな課題である。
かかる課題の解決手段の一つとして、ゴム組成物を構成するゴム材料として用いる天然ゴム(NR)等のジエン系ゴム材料に、カーボンブラック等の補強剤を多く添加してゴム硬度を高くし、これによって、所定荷重が加わる条件下での用途にも有利に使用できるようにしたものが従来より一般的に知られているが、この場合は、高硬度化及び高減衰化が可能となるものの、上述のばね特性の発現メカニズムでも明らかなように、防振ゴムとして要求される低動ばね特性も高くなることが避けられない。
上述のように、低動ばね特性および高減衰特性といった相反する防振特性を有する防振ゴムを得るにあたって、従来から、材料の配合比率を変更する等の対策が種々検討されているが、それら従来一般的な配合面での改良では、いずれにしても防振ゴムの低動ばね特性(動倍率)を十分に低下させることができない。
そこで、従来、低動ばね特性を与える天然ゴム等のジエン系ゴム材料からなるマトリックス(海相)中に、ハロゲン化ブチルゴム等の高減衰特性を与えるゴム材料からなる島相を分散し形成させるといったように、加硫成形後におけるゴムの構造を特定の海島構造とすることによって、材料の配合比率を変更する等の従来一般のものに比べて、優れた防振特性(低動ばね特性−高減衰特性)を発揮するようになされた防振ゴムが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開2001−302846号公報 特開2001−193775号公報
しかしながら、前記特許文献1や2に開示されている従来の防振ゴムにおいては、天然ゴム等のジエン系ゴム材料に対して島相を形成するハロゲン化ブチルゴム等のゴム材料の配合割合が大きくすることで、減衰特性を高めることが可能であるものの、硬さや引張強さ、伸び等の物性、ひいては耐久性の低下を招くだけでなく、低動ばね特性の悪化が惹起される。そのため、それらゴム材料の配合割合には制限があり、防水ゴムにおける減衰特性の向上にも自ずと限界があった。また、ハロゲン化ブチルゴム等のゴム材料を使用しているので、島相を形成するための加硫操作やマスターバッチの作製あるいは高温練りが必要となって、製造工程が増加したり、製造時における消費エネルギーが増加したりする等の成形加工性の悪化を招くという欠点も有するものであった。
本発明は上記したような実情に鑑みてなされたもので、製造工程の増加や消費エネルギーの増加を招かず、成形加工性を容易かつ低コストにし、また、物性の低下がなく、十分な耐久性を維持しながら、低動ばね特性と高減衰特性を両立させて非常に優れた防振特性を発揮させることができる防振ゴムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る防振ゴムは、ビニルおよびスチレンを主成分とする未加硫のジエン系ゴム材料に、液状スチレンブタジエンゴムを配合してなる組成物を加硫成形して得られる防振ゴムであって、
加硫成形されたジエン系ゴム材料からなるマトリックス中に、前記液状スチレンブタジエンゴムの液状成分を除くゴム成分が加硫され島相として分散された海島構造に形成されていることを特徴とするものである。
上記のように構成された本発明の防振ゴムにおいては、ジエン系ゴム材料からなるマトリックス中に、該ジエン系ゴム材料に液状スチレンブタジエンゴム(以下、液状SBRと称する)が配合された組成物の加硫に伴って、加硫されない液状SBRの液状成分を除くゴム成分が島相に分散されることになるので、その液状SBRの配合割合を増加することで高周波数領域の振動が入力される場合の低動ばね特性を低く抑えつつ、低周波数振動の入力時における減衰特性を高めることが可能となり、これによって、低動バネ特性と高減衰特性との両立が図れて広い周波数領域の振動に対して優れた防振特性を発揮させることが可能である。
また、島相を形成するSBR成分が液相の状態で配合されるものであるから、島相を分散形成させるための特別な加硫操作やマスターバッチの作製あるいは高温練り等が不要であって、特許文献1や2に開示されている従来の防振ゴムに比して、成形加工性の容易化、低コスト化が図れるとともに、物性の低下もなく、耐久性を十分に維持することが可能である。
なお、本発明における液状SBRとしては、ジエン系ゴム材料と相溶性のあるもの、非相溶性のもののいずれであってもよいが、島相の形成を考慮すると、非相溶性の液状SBRの使用が好ましい。
本発明に係る防振ゴムにおける前記ジエン系ゴム材料としては、その主成分であるビニル/スチレンの配合割合が38〜44/33〜37重量%に設定され、液状SBRは、その分子量が9,000〜12,000であり、かつ、ゴム材料の100重量部に対して、GPFクラスのローストラクチャータイプのカーボンブラック45〜85重量部が添加されていることが好ましい。このような配合及び配合割合の組成物を用いることによって、防振特性を一層効果的に発揮させることができるとともに、防振ゴムとして要求される硬さや引張強さ、切断時の伸び等の物性も良好に確保することができる。
特に、前記ジエン系ゴム材料として、そのガラス転移温度が−35〜−30℃のものを使用することが望ましく、このようなガラス転移温度のジエン系ゴム材料を使用することによって、ベースとなるゴム部の動倍率を低下させて低動ばね特性をより改善し防振特性を一層優れたものとすることが可能である。
本発明によれば、NR等のジエン系ゴム材料に高減衰特性を有する特定の液状SBRを配合させて、その液状SBRのゴム成分をジエン系ゴム材料からなるマトリックス中に島相として分散させることにより、高周波数領域の振動入力に対して要求される低動ばね特性並びに引張強さなど防振ゴムとして要求される各種の物性の低下がなく、十分な耐久性を確保しつつ、低周波数領域の振動入力時における減衰特性を改善して、低動ばね特性と高減衰特性の両立により非常に広い周波数領域において優れた防振特性を発揮させることができる。
しかも、島相を形成するSBRが液状で配合されるものであるから、島相を分散形成させるための特別な加硫操作やマスターバッチの作製あるいは高温練り等が不要であって、特許文献1や2に開示されている従来の防振ゴムに比して、成形加工性の容易化、低コスト化を図ることができるという効果を奏する。
上述のとおり本発明に係る防振ゴムは、防振ゴム材料として従来より周知のジエン系ゴム材料を用い、そのジエン系ゴム材料に液状SBRを配合してなる組成物を加硫成形することにより、加硫されたジエン系ゴム材料からなるマトリックス中に、液状SBRのうち、加硫しない液状成分を除くSBR成分が島相に分散された海島構造に形成されることになる。
ここで、島相を形成する液状SBRとしては、オイルなどの液状成分を含めた配合量が、ジエン系ゴム材料の30重量部に対して70〜110重量部といったように、ジエン系ゴム材料に対する配合割合を大きくとることによって、加硫時に加硫しない液状成分を除くSBR成分を、加硫されたジエン系ゴム材料からなるマトリックス中に、微細かつ比較的高密度な島相に分散させて所定の海島構造の防振ゴムが容易に作製される。なお、この液状SBRとしては、ガラス転移温度(Tg)が−14〜−18℃、分子量(Mw)が5,000〜20,000、好ましくは、9,000〜12,000程度のものが好ましい。
一方、マトリックス(海相)を形成するジエン系ゴム材料としては、それの加硫成形後に高周波数振動領域の振動に対して低動ばね定数を発現するものであればよい。具体的には、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等の中から適宜に選択して用いられる。それらの中でも、NR、NRとBRとのブレンド物もしくはNRとSBRとのブレンド物等のNRを必須成分として含むゴム材料が、防振特性を向上する上で好適に使用される。
マトリックスを形成する天然ゴム等のジエン系ゴム材料としては、ビニル及びスチレンを主成分とし、そのビニール/スチレンの配合割合が、38〜44/33〜37重量%に設定されているものの使用が望ましく、また、ガラス転移温度(Tg)が−35〜−30°Cのものを使用することによって、ベースとなるゴム部の動倍率を低下させて低動ばね特性をより一層改善し、より一層優れた防振特性が発揮される。
また、液状SBRが分散された未加硫のジエン系ゴム材料を加硫するに先立って加硫剤が配合されるが、その加硫剤としては、ジエン系ゴム材料の加硫反応を良好に進行し得るものであればよく、ジエン系ゴム材料の種類や要求される防振特性等を考慮して、公知の各種加硫剤の中から適当なものを選択し、ジエン系ゴム材料の使用量に応じた量を使用する。特に、既述したとおり、NRを必須の成分として含むゴム材料を用いる場合は、加硫剤として硫黄を用いて、硫黄加硫系においてジエン系ゴム材料の加硫を実施することが好ましい。
さらに、未加硫のジエン系ゴム材料には、上記した加硫剤(硫黄)と併せて、加硫促進剤や加硫促進助剤、ワックス等の老化防止剤、プロセスオイル等の軟化剤、カーボンブラック等の補強剤等のゴム用添加剤を、防振ゴムの物性及び特性を損なわないように適宜に適量配合して用いられる。ここで、加硫促進剤としては、例えばN−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(OBS)等のスルフェンアミド系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnMDC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEDC)等のジチオカルバミン酸塩類;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)等のチウラム系等を挙げることができ、また、加硫促進助剤としては、酸化亜鉛やステアリン酸等を挙げることができ、更に、補強剤としてのカーボンブラックとしては、GPFクラスのローストラクチャータイプのカーボンブラックを挙げることができる。
さらにまた、本発明に係る防振ゴムを製造するに際しては、自明な各種の手法を採用することが可能である。例えば、バンバリーミキサーやロール機等の公知の混練装置を用い、この混練装置内に未加硫のジエン系ゴム材料と液状SBRをそれぞれ投入するとともに、加硫剤を始めてとする上述のゴム用添加物を配合し、ジエン系ゴム材料中に液状SBRが所望の分散状態になるまで混練して、目的とする構造の未加硫ゴム組成物に調製する。次いで、その未加硫ゴム組成物を、金型成形等の従来から公知の成形方法により所望の形状に成形する一方、所定温度に加熱してゴム組成物中の液状SBRを含むジエン系ゴム材料を加硫することによって、液状SBRの液状成分は非加硫の状態にしてSBR成分のみが加硫されてジエン系ゴム材料からなるマトリックス中に島相として分散され、本発明に係る防振ゴムが製造されることになる。
なお、未加硫のジエン系ゴム材料や液状SBR、加硫剤を始めとする各種のゴム用添加剤をそれぞれ混練装置内に投入する際の投入順序は、上述した順序に何ら限定されるものでなく、それらを同時に投入してもよく、また、加硫剤、加硫促進助剤を除く全てのゴム原料を投入して予備混練(ベース練り)し、その後の仕上げ混練の際に加硫剤、加硫促進助剤を投入するようにしてもよい。
また、上記したような混練操作においては、一般に、適度な混練時間及び適切な温度条件に設定されるが、本発明に係る防振ゴムの製造に際しては、未加硫のジエン系コム材料中に液状SBRが、所定の特性を発揮し得る程度に均一に分散され、かつ、両者が相溶しない程度に実施することが望ましいことから、混練時間に関しては、ジエン系ゴム材料及び液状SBRの種類や配合割合、さらには混練装置の性能等を加味して設定される。
さらに、成形加硫操作における加硫温度や圧力、時間等の加硫条件に関しては、ジエン系ゴム材料及び液状SBRの加硫が良好に行われるように、ジエン系ゴム材料、液状SBR、加硫剤の種類等を加味して適宜に設定されるもので、その成形加硫操作の具体的方法は何ら限定されるものでなく、成形と同時に加硫を行うプレス加硫等の公知の手段を採用することが可能である。また、このような加硫成形において、金具付きの防振ゴムを対称とする場合は、加硫時あるいは加硫後に、鉄材質やアルミ材質からなる所定の金具の接着操作を行ってもよく、更にまた、防振ゴムの形状、サイズ等もなんら限定されるものでなく、防振特性の程度や用途等に応じて適宜に設定することが可能である。
このようにして製造された防振ゴムは、例えばエンジンマウントやボディマウント、キャブマウント、メンバマウント、ストラットマウント、サスペンションブッシュ等の自動車用防振ゴムとして、振動あるいは衝撃伝達系を構成する部材間に介装されて防振性乃至緩衝性を実現するように用いられることになる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、幾つかの実施例及び比較例を記載するが、本発明はそれら実施例の記載によって何らの制約を受けるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更、改良等を加えることが可能であることは言うまでもないところである。
まず、ジエン系ゴム材料として、主成分となるビニル/スチレン(V/ST)の配合割合が38〜44/33〜37重量%、ガラス転移温度(Tg)が−35〜−30℃の未加硫の天然ゴム(NR)を準備する一方、液状SBRとして、ガラス転移温度(Tg)が−14〜−18°C、分子量(Mw)が9,000〜12,000程度のものを準備する。
実施例1〜3及び比較例1〜3:
ビニル/スチレン(V/ST)の配合割合及びそのガラス転移温度(Tg)が表1に示されるようなNR材料{RSS#3素練り天然ゴム(マレーシア産)}と、ガラス転移温度(Tg)、分子量(Mw)および添加量(phr)が表1に示されるような液状SBR(JSR株式会社製の液状SBR)とを用い、これらNR材料と液状SMRとが表2及び表3に示される配合割合となるように、両者(NR材料と液状SBR)をバンバリーミキサー内に仕込んだ後、それらの100重量部に対して、加硫促進助剤:酸化亜鉛(三井金属鉱業株式会社製の「亜鉛華3種」)+ステアリン酸(花王石鹸株式会社製の商品名「ルナックS−20」)、補強剤:カーボンブラック(GPF:東海カーボン株式会社製の商品名「シーストV」)、軟化剤:ナフテン系プロセスオイル(株式会社JOMO製の商品名「プロセスX−140(アロマ系)」)を表2及び表3に示す割合に添加し混練してゴム原料を調製する。次いで、そのゴム原料に対して、加硫剤:硫黄(細井化学工業株式会社製の「粉末硫黄」)、加硫促進剤:TMTD(大内新興化学興行株式会社製の商品名「ノクセラーTT−P」)を表2及び表3の割合に添加し、ロール機により混練して未加硫ゴム組成物を調製した。そして、その調製された未加硫ゴム組成物を、プレス加硫成形操作方法で加硫成形することにより、NR材料を加硫させて後述する振動特性試験、硬さ試験及び引張り試験のためのテストピース(実施例1〜3及び比較例1〜3)をそれぞれ作製した。ここで、上記の加硫条件としては、振動特性試験用テストピース:150℃×20分、硬さ試験及び引張り試験用テストピース:150℃×15分をそれぞれ採用した。
比較例4,5
液状SBRを含有しないNR材料のみからなる未加硫のゴム組成物を、表3に示される配合割合となるように調製し、その調製された未加硫のゴム組成物をそれぞれプレス加硫成形操作方法により加硫成形して、後述する振動特性試験、硬さ試験及び引張り試験のためのテストピース(比較例4,5)をそれぞれ作製した。ここでの加硫条件としては、上記した実施例1〜3及び比較例1〜3と同様に、振動特性試験用テストピース:150℃×20分、硬さ試験及び引張り試験用テストピース:150℃×15分をそれぞれ採用した。
なお、振動特性試験のためのテストピースとしては、上記した加硫成形により、直径:50mm、高さ:25mmの円柱形状を呈する加硫ゴム試料を作製した後、この加硫ゴム試料の上下面に対して、直径:60mm、厚さ:6mmの鉄製円板金具の一対を接着剤により接着させて作製した。また、硬さ試験用テストピースとしては、JIS−K−6253−1997の「加硫ゴム物理試験方法」における「デュロメータ硬さ試験」に規定されるところの、厚さ:6mmの試験片を作製し、また、引張り試験用テストピースとしては、JIS−K−6251−1993の「加硫ゴムの引張試験方法」に規定されるところの、ダンベル状試験片(5号)を作製した。
Figure 2005113092
Figure 2005113092
Figure 2005113092
上記のようにして作製された本発明の実施例1〜3及び比較例1〜5の各テストピースを用いて、以下のような振動特性試験、硬さ試験及び引張り試験を行った。
−振動特性試験−
振動特性試験用の各テストピースに対して、軸方向荷重を加えて軸方向に5.5mm圧縮させ、一旦、減荷した後、再度、5.5mm圧縮させることにより、2回目の加荷過程における荷重−撓み特性を測定し、それに基づいて荷重−撓み曲線を作成する。その曲線から、撓みが1.25mmと3.7mmになったときの荷重値:P1 ,P2 (単位は、N)をそれぞれ読み取って、それから、次式: Ks=(P2 −P1 )/2.5
によって静的ばね定数:Ks(N/mm)を算出した。また、これとは別に、各テストピースを軸方向に2.5mm圧縮させた後、その圧縮状態のテストピースの下方より、2.5mm圧縮した位置を中心とする振幅:±0.05mmの定変位調和圧縮振動を、周波数:100Hzにおいて加える試験を行い、JIS−K−6385−1995の「防振ゴムの試験方法」における「非共振方法(a)」に準拠して、100Hz時の動的ばね定数:Kd100(N/mm)を求めた。そして、その求めた動的ばね定数(Kd100)と前記算出した静的ばね定数(Ks)とから、動倍率(=Kd100/Ks)を算出し、その結果を、表4及び表5に示した。
また、この振動特性試験では、各テストピースを軸方向に2.5mm圧縮させた状態で、その各テストピースの下方から圧縮位置を中心とする振幅:±0.05mmの定変位調和圧縮振動を、周波数:10Hzにおいて加える試験を行い、JIS−K−6385−1995の「防振ゴムの試験方法」における「非共振方法(a)」に準拠して、10Hz時の損失係数:tanσ(10Hz)を求め、その結果を、表4及び表5に併せ示した。
さらに、上記のようにして算出された各テストピースにおける動倍率:Kd100/Ksと損失係数:tanσ(10Hz)との関係を示すグラフを、図1に示した。この図1は、実施例1〜3と比較例1〜3及び比較例4,5とを対比したものである。
−硬さ試験−
硬さ試験用の各テストピースを用いて、既述したとおり、JIS−K−6253−1997の「デュロメータ硬さ試験」に準じて、タイプAデュロメータにより、各テストピースの硬さを測定し、その結果を、表4及び表5においてJISタイプA硬度(Hs)として併せ示した。
−引張り試験−
引張り試験用の各テストピースを用いて、既述したとおり、JIS−K−6251−1993に規定される試験方法により、テストピースが破断されるまで引張り、破断に至るまでの最大応力(引張強さ:TB )及び破断した時の伸び(破断時の伸び:EB )を測定し、その結果を、表4及び表5に併せ示した。
Figure 2005113092
Figure 2005113092
上記表4及び表5並びに図1に示される結果からも明らかなように、実施例1〜3のテストピースに示される本発明品は、液状SBRを含まない比較例4,5のテストピースに示される従来品に比べて、動倍率(=Kd100/Ks)の値を小さくして優れた防振特性が発揮されるとともに、防振ゴムとしての物性も十分に高く確保されていることが分かる。
また、島相を形成するところの液状SBRを含有するものであっても、比較例1〜3のテストピースに示される比較例品に比べて、引張強さ(TB )及び破断時の伸び(EB )が大きく防振ゴムとしての耐久性に優れていることが分かる。
本発明に係る防振ゴムの実施例1〜3と比較例1〜3及び比較例4,5それぞれにおける動倍率(Kd100/Ks)と損失係数(tanσ)との関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. ビニルおよびスチレンを主成分とする未加硫のジエン系ゴム材料に、液状のスチレンブタジエンゴムを配合してなる組成物を加硫成形して得られる防振ゴムであって、
    加硫成形されたジエン系ゴム材料からなるマトリックス中に、前記液状スチレンブタジエンゴムの液状成分を除くゴム成分が加硫され島相として分散された海島構造に形成されていることを特徴とする防振ゴム。
  2. 前記ジエン系ゴム材料は、主成分であるビニル/スチレンの配合割合が38〜44/33〜37重量%に設定され、液状スチレンブタジエンゴムは、その分子量が9,000〜12,000であり、かつ、ゴム材料の100重量部に対して、GPFクラスのローストラクチャータイプのカーボンブラック45〜85重量部が添加されている請求項1に記載の防振ゴム。
  3. 前記ジエン系ゴム材料として、そのガラス転移温度が−35〜−30°Cのものが使用されている請求項1または2に記載の防振ゴム。

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