JP2005112978A - ポリエステルシート、ポリエステル成形品、およびポリエステル成形品の製造方法 - Google Patents

ポリエステルシート、ポリエステル成形品、およびポリエステル成形品の製造方法 Download PDF

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JP2005112978A JP2003348089A JP2003348089A JP2005112978A JP 2005112978 A JP2005112978 A JP 2005112978A JP 2003348089 A JP2003348089 A JP 2003348089A JP 2003348089 A JP2003348089 A JP 2003348089A JP 2005112978 A JP2005112978 A JP 2005112978A
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Shuji Ishiwatari
修二 石渡
Hitoshi Iwasaki
等 岩崎
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Abstract

【課題】 成形性が良好で、白化等のない良好な透明性と優れたガスバリアー性(耐酸素
透過性)を有し、食品容器として長時間保存可能なポリエステル製の成形品を提供するこ
とにある。
【解決手段】 成形品の材料として、損失正接(tanδ)ピークトップ温度が55℃以
上であり、該ピークトップ値が0.50〜0.85である動的粘弾性を有し、厚さ1mm以
下での初期ヘーズ値が20%以下であり、80℃で30分熱処理した後のヘーズ値に対す
る140℃で30分熱処理した後のヘーズ値の変化量が20%以下であり、20℃におけ
る酸素透過係数が4.0cm3・cm/m2・day・MPa以下であるポリエステルシートを用い
る。
【選択図】 なし
【選択図】 なし
【選択図】 なし

Description

本発明は、透明性および耐熱性を有するポリエステルシート、透明性および耐熱性を有
するポリエステル成形品、並びにポリエステル成形品の製造方法に関する。
ポリエチレンテレフタレ−トに代表されるポリエステル樹脂は、機械特性、耐薬品性、
透明性、ガスバリア性等に優れるとともに、環境ホルモン等の有害物質を排出する恐れが
なく環境、人体への安全性も高いことから、衣料、食品、医療等の種々の分野において幅
広く利用されている。その中でも特に食品分野においては、小型飲料用ボトルをはじめと
して、ブリスターパックやカップ等、ポリエステル樹脂を成形して得られる食品容器が急
速に普及している。
ところで、食品容器では、内容物の高温殺菌や、内容物の高温充填を行うためには80
℃以上、電子レンジで使用する場合には140℃程度の耐熱温度が必要である。しかしな
がら、従来のポリエステル樹脂からなる食品容器の耐熱温度は50〜65℃程度と低く、
このため、高温充填が困難となり、食品の製造工程が複雑化するという問題があり、ポリ
エステル樹脂の用途が限定されていた。
また、食品用途においては、近年経済性の観点から、容器にガスバリア性(耐酸素透過
性)が要求されるようになってきている。食品容器のガスバリア性は、食品の消費期限に
大きく影響し、これが低いと消費期限が短くなり、期限切れの売れ残りが多くなり、その
結果、廃棄物量の削減を困難にする。
そこで、従来からポリエステル樹脂の透明性を保持しつつ、耐熱性、ガスバリア性を向
上させることを目的として研究が行われてきている。(例えば、特許文献1、2参照)
特許文献1には、成形時の金型温度をポリエステル樹脂のガラス転移温度以上とし、金
型内で結晶化させることにより、ポリエステル樹脂からなる耐熱容器を製造する方法が記
載されている。しかしながら、特許文献1に記載された方法では、金型内で十分結晶化さ
せる必要があるため、成形サイクルが長くなり、成形効率が低くなるとともに、結晶化に
よる白化が著しく、さらに成形条件によって耐熱性が変化するため、所望の耐熱性を有す
る耐熱容器を安定して製造することが困難であった。
特許文献2には、特定のヘーズ値、粘弾性特性を有するポリエステルシートを用いて、
真空成形、圧空成形、真空圧空成形等により、透明性と耐熱性の両立を図る検討がなされ
ている。しかしながら、特許文献2に開示された方法では、ガスバリア性が不足する場合
があり、容器内容物の消費期限の延長を可能にするためには、より高いレベルのガスバリ
ア性が要求される。また、高い成形性を発現させるための粘弾性特性の選定が不十分とな
る場合があった。
このように、成形性が良好で、白化等のない良好な透明性と優れたガスバリアー性を有
し、食品容器として長時間保存可能なポリエステル製の成形品はこれまでなかった。
特開昭59−5019号公報 特開2002−356569号公報
本発明の目的は、成形性が良好で、白化等のない良好な透明性と優れたガスバリアー性
(耐酸素透過性)を有し、食品容器として長時間保存可能なポリエステル製の成形品を提
供することにある。
本発明は、損失正接(tanδ)ピークトップ温度が55℃以上であり、該ピークトッ
プ値が0.50〜0.85である動的粘弾性を有し、厚さ1mm以下での初期ヘーズ値が2
0%以下であり、80℃で30分熱処理した後のヘーズ値に対する140℃で30分熱処
理した後のヘーズ値の変化量が20%以下であり、20℃における酸素透過係数が4.0
cm3・cm/m2・day・MPa以下であるポリエステルシートに関するものであり、該ポリエ
ステルシートを熱成形して得られるポリエステル成形品であって、酸素透過係数が4.0
cm3・cm/m2・day・MPa以下であるポリエステル成形品に関するものであり、式(1)
および(2)で示される条件で請求項1記載のポリエステルシートを予備加熱し、その予
備加熱したポリエステルシートを式(3)で示される金型温度条件で成形するポリエステ
ル成形品の製造方法に関するものである。
3.3C≦D≦70C ……(1)
Tc≦E≦2Tc ……(2)
Tc≦F≦Tm ……(3)
C:シート厚さ(mm)
D:予備加熱時間(sec)
E:予備加熱終了時のシート表面温度(℃)
F:金型温度(℃)
Tc:ポリエステルシートの昇温結晶化温度(℃)
Tm:ポリエステルシートの融点(℃)
本発明のポリエステルシートは、特定の粘弾性特性を有し、高温条件下における耐熱性
が良好であり、ガスバリア性が良好であるため、食品用途の容器とした場合、高温殺菌性
と消費期限の延長に繋がる製品安定性を得ることができる。
また、該ポリエステルシートを特定の成形条件において成形することにより、これまで
困難であったシート厚さに対応可能となる。すなわち、シート厚が厚くなると、接触、非
接触のシートの予備加熱方式に係わらずシート表面温度と内部温度に差ができ、従来のシ
ート表面温度のコントロールでは内部温度が十分に上がらず、高透明かつ高耐熱性を両立
する成形品を得ることは困難であったが、該ポリエステルシートを用い、特定の条件で予
備加熱することで、成形時の伸度を最適状態とし、高い成形性を得ることができ、これま
でにはない高透明かつ高耐熱性を有するポリエステル成形品を製造することができるよう
になった。
従って、本発明のポリエステルシートおよびそれを成形してなる成形品は、食品容器等
の分野において、高透明であるため内容物視認性が高く、高温殺菌または内容物の高温充
填が可能となり、電子レンジ調理用容器にも十分使用可能であるだけでなく、製品の消費
期限の延長が可能である等、優れた性能を有する。
本発明のポリエステルシートについて説明する。
本発明のポリエステルシートは、損失正接(tanδ)ピークトップ温度が55℃以上
であり、該ピークトップ値が0.50〜0.85である動的粘弾性を有する。
tanδピークトップの温度が55℃以上の場合に、成形品の透明性が良好となる傾向
にあり、55℃未満であると、透明性が不十分となることがある。このピークトップ温度は、60℃以上が好ましく、65℃以上が特に好ましい。
tanδピークトップ値は0.50〜0.85の範囲である。ピークトップ値が、この
範囲内である場合に成形性が良好となる傾向にあり、55℃未満であると、透明性が不足かつ成形性が劣ることがあり、0.85を超えると成形性が劣る。このピークトップ値の下限値は、0
.55以上が好ましく、0.60以上が特に好ましい。また、上限値は、0.82以下が
好ましく、0.80以下が特に好ましい。
本発明のポリエステルシートは、厚さ1mm以下での初期ヘーズ値は20%以下である。
初期ヘーズ値が20%を超えると容器とした時の内容物視認性が劣る。この初期ヘーズ値
は、10%以下が好ましく、5%以下が特に好ましい。
本発明のポリエステルシートの80℃で30分熱処理後のヘーズ値に対する140℃で
30分熱処理後のヘーズ値の変化量は、20%以下である。このヘーズ値の変化量が20
%を超えると、電子レンジ加熱後等熱処理後の透明性が劣る。このヘーズ値の変化量は1
0%以下が好ましく、5%以下が特に好ましい。
本発明のポリエステルシートの20℃における酸素透過係数は、4.0cm3・cm/ m2
・day・MPa以下である。酸素透過係数が4.0cm3・cm/ m2・day・MPa以下である
場合に、容器とした時に内容物の酸素による劣化が著しく小さくなり、消費期限の延長が
可能になる。酸素透過係数は、3.5cm3・cm/ m2・day・MPa以下がより好ましく、
3.0cm3・cm/ m2・day・MPa以下が特に好ましい。
本発明のポリエステルシートは、単層、多層どちらでも良く、シール性、耐衝撃性等を
改良した樹脂を表層に使用することもできる。膜厚は特に限られるものではないが、20
μm〜1mm程度の範囲で実用的に使用される。
次に、本発明のポリエステルシートの製造方法について述べる。本発明のポリエステル
シートは、ポリエステル樹脂を用いて、公知の方法によりシート化して製造することがで
きる。例えば、押出法やカレンダー法などにより製造することができ、押出法ではポリエ
ステル樹脂単独や2種以上のポリエステル樹脂のドライブレンド物、またはこれらを押出
機により溶融混練した後チップ化した樹脂組成物を、ギヤポンプ、Tダイ、冷却用チルロ
ール、巻き取り装置を備えた押出機に投入し、一般的な条件にて製膜することで得ること
ができる。
本発明のポリエステルシートに使用されるポリエステル樹脂については、特に制限され
ない。例えば、ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分の例としては、例えば、アジピン酸
、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、5−アルキルイソ
フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のベ
ンゼン環もしくはナフタレン環に直接カルボシキル基を2つ有している芳香族ジカルボン
酸;4,4’−ジカルボキシフェニ−ル、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス
(4−カルボキシフェニ−ル)エタン等のその他のジカルボン酸;あるいはこれらジカル
ボン酸のメチル、エチル、プロピル等のアルキルエステルが挙げられる。
ポリエステル樹脂のジオール成分の例としては、例えば、エチレングリコール、トリメ
チレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグ
リコ−ル、ヘキサメチレングリコール等の炭素数2〜6のアルキレングリコ−ル、ジエチ
レングリコール、トリエチレングリコ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ビス
フェノ−ルAエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレン
グリコール等が挙げられる。
これら、酸成分、ジオール成分の中でも、テレフタル酸、イソフタル酸をジカルボン酸
成分とし、テトラメチレングリコール、ポリエーテルグリコールをジオール成分とするポ
リエステル樹脂が好ましい。また、他のポリエステル樹脂との混合物して使用されること
もある。
ポリエステル樹脂の重合方法は、特に制限されず、公知のエステル交換法やエステル化
法の重合方法によって製造される。
エステル交換法では、テトラメチレングリコ−ル等の全ジオール成分が、全酸成分(テ
レフタル酸のエステル形成誘導体等成分)に対してモル比で1.2〜1.6倍となるよう
に反応容器内に仕込み、単位モノマー中の炭素数が2以上であるポリエーテルグリコール
、およびテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシハイドロシン
ナメート)]メタン等の酸化安定剤を添加し、テトラブトキシチタン等の触媒の存在下で
150〜220℃まで徐々に加熱して十分にエステル交換反応を行った後、−99kP
a以下の減圧下で230〜260℃に加熱し、2〜5時間縮合重合した後、ストランド状
で水槽中に吐出し、ストランドカッターにてチップ状にカットしたものを速やかに乾燥し
てチップに付着した水分を取り除くことによって、ポリエステル樹脂を得ることができる
また、エステル化法では、テトラメチレングリコ−ル等の全ジオール成分が、全酸成分
(テレフタル酸等)に対してモル比で1.2〜1.6倍となるように反応容器内に仕込み
、単位モノマー中の炭素数が2以上であるポリエーテルグリコール、およびテトラキス[
メチレン(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタン等
の酸化安定剤を添加し、窒素で加圧した状態で徐々に150〜220℃まで加熱して十分
にエステル化反応を行った後、−99kPa以下の減圧下で230〜260℃に加熱し
、2〜5時間縮合重合した後、ストランド状で水槽中に吐出し、ストランドカッターにて
チップ状にカットしたものを速やかに乾燥してチップに付着した水分を取り除くことによ
って、ポリエステル樹脂を得ることができる。
ポリエステル樹脂を製造する際に使用されるその他の触媒としては、エステル交換触媒
として酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸マグネシウム等が挙げられ、重合触媒として三酸化
アンチモン、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、チタンテトラブトキシド、ジブ
チルスズオキシド等が挙げられ、全酸成分に対して20〜1000ppmの範囲で添加さ
れる。
次に、本発明のポリエステル成形品について説明する。
本発明のポリエステル成形品の20℃における酸素透過係数は、4.0cm3・cm/ m2
・day・MPa以下である。酸素透過係数が4.0cm3・cm/ m2・day・MPa以下である
場合に、容器とした時に内容物の酸素による劣化が著しく小さくなり、消費期限の延長が
可能になる。この酸素透過係数は、3.5cm3・cm/ m2・day・MPa以下が好ましく、
3.0cm3・cm/ m2・day・MPa以下が特に好ましい。
さらに本発明のポリエステルシートには、必要に応じて酸化安定剤、紫外線吸収剤、光
安定剤、帯電防止剤、滑剤、繊維状および板状無機強化剤等の添加剤ならびにポリカ−ボ
ネ−ト、ポリメチルメタクリレ−ト、ポリオレフィン樹脂等、他の成分を配合することが
できる。
また、本発明のポリエステル成形品は、内容物の高温殺菌や内容物の高温充填、電子レ
ンジでの使用が可能で、消費期限を延長したい食品の容器として好適である。
次に、本発明のポリエステル成形品の製造方法について説明する。
本発明のポリエステルシートを成形するにあたり、ポリエステルシートの予備加熱温度
条件は式(1),(2)で示す範囲である。
3.3C≦D≦70C ……(1)
Tc≦E≦2Tc ……(2)
ここで、Cはシートの厚さ(mm)、Dは予備加熱時間(sec)、Eは予備加熱終了時のシ
ート表面温度(℃)、Tcはポリエステルシートの昇温結晶化温度(℃)である。
予備加熱時間Dの下限値が3.3C未満であると、加熱時間が短すぎ、シート内部まで
加熱することが困難となり、成形時の伸びが不足して成形品とした時の耐熱性が不足する
ため好ましくない。予備加熱時間Dの下限値は、5C以上が好ましく、10C以上が特に
好ましい。予備加熱時間Dの上限値は、70C以下であり、60C以下が好ましく、50
C以下が特に好ましい。
予備加熱終了時のシート表面温度Eの下限値がTc未満であると、シート内部までの
加熱が困難となる時があり、上限値が2Tcを超えると予備加熱時に結晶化が促進して
しまい成形時の伸びが不足し、成形困難となることがあるため好ましくない。予備加熱終
了時のシート表面温度Eの上限値は、1.5Tc以下が好ましく、1.25Tc以下
が特に好ましい。
上記の条件で予備加熱したポリエステルシートを成形するにあたり、金型温度条件は式
(3)で示される範囲である。
Tc≦F≦Tm ……(3)
ここで、Fは金型温度(℃)であり、Tmはポリエステルシートの融点(℃)である。
金型温度Fの下限値がTc未満であると成形時の結晶化が不十分となり、ポリエステ
ル成形品とした時の耐熱性が不足することがあり、また、金型温度Fの上限値がTmを超
えると成形時に金型への貼り付き、離型時の変形が起こる事があるため好ましくない。金
型温度Fの下限値は、(Tc+20)℃以上が好ましく、(Tc+30)℃以上が特
に好ましい。また、金型温度Fの上限値は(Tm−10)℃以下が好ましく、(Tm−2
0)℃以下が特に好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
(1)ポリエステル樹脂の評価方法
(樹脂組成分析)
各ポリエステル樹脂について熱分解クロマトグラフィ−、およびアルカリ分解物につい
ての高速液体クロマトグラフィ−により、樹脂組成分析を行った。
(固有粘度)
フェノ−ル/1,1,2,2−テトラクロルエタン=1/1(質量比)の混合溶媒にポ
リエステル樹脂の粉砕物を溶解させ、ウベローデ粘度計を用いて25℃で測定した。
(2)ポリエステルシートの評価方法
(動的粘弾性)
JIS K7244−4に準拠し、セイコー電子工業(株)製DMS200を用いて、
ポリエステルシートを幅5mm、長さ40mmに切り出した試験片について、調温、調湿
の後、10Hz、毎分2℃の昇温速度にて、0℃から160℃まで測定を行い、得られた
チャートよりtanδのピークトップ値およびその温度を読みとった。
(初期ヘーズ値およびヘーズ値の変化量)
JIS K7105に準拠し、調温、調湿の後、23℃において、ポリエステルシート
の初期のヘーズ値、80℃で30分熱処理後のヘーズ値、および140℃で30分熱処理
した後のヘーズ値を測定した。また、次式により、80℃で30分熱処理後のヘーズ値に
対する140℃で30分熱処理した後のヘーズ値の変化量(%)を算出した。
ヘーズ値の変化量(%)=
(140℃で30分熱処理後のヘーズ値) /(80℃で30分熱処理後のヘーズ値)
×100−100
(酸素透過係数)
JIS K7126に準拠し、Mocon社製酸素透過度測定装置を用いて、ポリエス
テルシートから切り出した試験片について、調温、調湿の後、23℃において測定を行っ
た。
(昇温結晶化温度および融点)
セイコー電子工業社製熱流速示差走査熱量計DSC220を用いて、ポリエステルシー
トから切り出したサンプルを窒素気流中260℃(比較例2のみ280℃)でメルトクエ
ンチを行った後、10℃/分の速度で0℃から280℃まで昇温して得られたチャ−トか
ら、昇温結晶化温度、融点、それぞれのピ−クトップ部より求めた。
ポリエステル樹脂(A−1)の製造例
ジメチルテレフタレート(以下、DMTと略す)95モル部、ジメチルイソフタレート
(以下、DMIと略す)5モル部、テトラメチレングリコ−ル(以下、BDOと略す)1
37.6モル部、数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール(以下、PTM
Gと略す)2.4モル部、およびテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t-ブチル−4−
ヒドロキシハイドロシンナメート)]メタンを対ポリマー0.5質量%となるように、精
留塔および攪拌装置を備えた反応容器に入れ、攪拌を行いながら220℃まで徐々に昇温
した。220℃となったところでテトラブトキシチタンを対酸成分に対して600ppm
(1.5質量%BDO溶液)を追加し、留出するメタノールを系外に排出しながらエステ
ル交換反応を行った後、重縮合反応容器に移し真空度−99kPa以下、245℃で3時
間縮合重合を行い所定の攪拌トルクに至ったところで、ストランド状で水槽中に吐出した
。吐出したストランドを、ストランドカッターにてチップ化し、これを所定の温度、時間
にて乾燥してポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂(A−1)の固有粘度は、1.
04dl/gであった。
ポリエステル樹脂(A−2)の製造例
DMT90モル部、DMI10モル部、BDO138.8モル部、PTMG1.2モル
部、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメ
ート)]メタンを対ポリマー0.25質量%とした以外は、ポリエステル樹脂(A−1)
の製造例と同様にしてポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂(A−2)の固有粘度
は、0.98dl/gであった。
ポリエステル樹脂(A−3)の製造例
DMT70モル部、DMI30モル部、BDO138.8モル部とした以外は、ポリエ
ステル樹脂(A−2)の製造例と同様にしてポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂
(A−3)の固有粘度は、0.97dl/gであった。
ポリエステル樹脂(A−4)の製造例
DMT87モル部、DMI13モル部、BDO131.9モル部、PTMG9.1モル
部、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメ
ート)]メタンを対ポリマー1.5質量%とした以外は、ポリエステル樹脂(A−1)の
製造例と同様にしてポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂(A−4)の固有粘度は
、1.14dl/gであった。
ポリエステル樹脂(A−5)の製造例
DMT100モル部とし、DMIを添加せず、BDO140モル部、PTMGを添加せ
ず、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメ
ート)]メタンを添加せずとした以外は、ポリエステル樹脂(A−1)の製造例と同様に
してポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂(A−5)の固有粘度は、1.01dl
/gであった。
ポリエステル樹脂(A−6)の製造例
DMT95モル部、DMI5モル部、BDO138.8モル部、TMG1.2モル部、
トラキス[メチレン(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)
]メタンを対ポリマー0.25質量%とした以外は、ポリエステル樹脂(A−1)の製造
例と同様にしてポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂(A−6)の固有粘度は、1
.15dl/gであった。
ポリエステル樹脂(A−7)の製造例
DMT100モル部とし、DMIを添加せず、BDO133.8モル部、1,4−シク
ロヘキサンジメタノール(以下、CHDMと略す)5モル部、PTMG1.2モル部、テ
トラキス[メチレン(3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)
]メタンを対ポリマー0.25質量%とした以外は、ポリエステル樹脂(A−1)の製造
例と同様にしてポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂(A−7)の固有粘度は、1
.09dl/gであった。
ポリエステル樹脂(B−1)の製造例
テレフタル酸(以下、TPAと略す)84モル部、イソフタル酸(以下、IPA)16
モル部、エチレングリコ−ル(以下、EGと略す)150モル部を精留塔および攪拌装置
を備えた反応容器に入れ、攪拌を行いながら窒素で加圧した状態で徐々に260℃まで昇
温した。留出する水を系外に排出しながらエステル化を行い、重縮合反応容器に移した後
、リン酸トリエチルを対酸成分にして30ppm(10質量%EG溶液)添加した。5分
経過後、重合触媒として3酸化アンチモンを対酸成分にして350ppm(1.5質量%
EG溶液)添加し、重縮合反応容器に移し真空度−99kPa以下、285℃で3時間縮
合重合を行い所定の攪拌トルクに至ったところで、ストランド状で水槽中に吐出した。吐
出したストランドを、ストランドカッターにてチップ化し、これを所定の温度、時間にて
乾燥してポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂(B−1)の固有粘度は、0.77
dl/gであった。
ポリエステル樹脂(B−2)の製造例
TPA100モル部とし、IPAを添加せず、EG140モル部、CHDM 10モル
部とした以外はポリエステル樹脂(B−1)の製造例と同様にしてポリエステル樹脂を得
た。ポリエステル樹脂(B−2)の固有粘度は、0.76dl/gであった。
ポリエステル樹脂(B−3)の製造例
TPA100モル部とし、IPAを添加せず、EG135モル部、ネオペンチルグリコ
ール(以下、NPGと略す) 15モル部とした以外はポリエステル樹脂(B−1)の製
造例と同様にしてポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂(B−3)の固有粘度は、0.78d
l/gであった。
ポリエステル樹脂(B−4)の製造例
TPA100モル部とし、IPAを添加せず、EG150モル部とした以外はポリエス
テル樹脂(B−1)の製造例と同様にしてポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂(
B−4)の固有粘度は、0.78dl/gであった。
ポリエステル樹脂(B−5)の製造例
TPA100モル部とし、IPAを添加せず、EG134モル部、CHDM16モル部
とした以外はポリエステル樹脂(B−1)の製造例と同様にしてポリエステル樹脂を得た
。ポリエステル樹脂(B−5)の固有粘度は、0.77dl/gであった。
表1に、ポリエステル樹脂(A−1)〜(A−7)および(B−1)〜(B−5)の樹
脂組成、固有粘度を示す。
Figure 2005112978
(実施例1)
ポリエステル樹脂(A−1)/ポリエステル樹脂(B−1)を60質量%/40質量%
の比率でドライブレンドした後、押出製膜機(日立造船(株)製、80mm2軸押出機)
にて樹脂温度260℃、チルロール温度18℃にて製膜し、厚さ600μmのポリエステ
ルシートを得た。
ポリエステルシートのtanδピークトップ温度は70℃であり、ピークトップ値は0
.58であった。また、昇温結晶化温度は70℃であり、融点Tmは209℃であった。
また、ポリエステルシートの初期ヘーズ値は2.7であり、熱処理後のヘーズ変化量も1
.5%と小さく良好であった。また、ポリエステルシートの酸素透過係数は2.4cm3・c
m/m2・day・MPaと小さく良好であった。
このシートを真空成形機にて、シート加熱時間10秒でシート表面温度が76℃になる
様に予備過熱し、金型温度140℃で、上部径80mm、底面部径42mm、高さ40m
mの半球面カップ形状の成形品を得た。この成形品は、酸素透過係数が2.4cm3・cm/m
2・day・MPaと小さく良好であった。
(実施例2〜4)
樹脂比率を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステルシー
トを得た。シートの初期ヘーズ値、熱処理後のヘーズ変化量、および酸素透過係数度は表
2に示すように小さく、良好であった。
さらにこのシートを、実施例1と同様にして表2に示した条件で成形し、カップ形状の
成形品を得た。この成形品は、酸素透過係数が小さく良好であった。
(実施例5)
樹脂比率を表2に示すように変更し、シート厚を700μmとしたこと以外は、実施例
1と同様にしてポリエステルシートを得た。シートの初期ヘーズ値、熱処理後のヘーズ変
化量、および酸素透過係数度は表2に示すように小さく、良好であった。
さらにこのシートを、実施例1と同様にして表2に示した条件で成形し、カップ形状の
成形品を得た。この成形品は、酸素透過係数が小さく良好であった。
(実施例6)
イーストマンケミカル社製PETG#6763からのシート層に対して、実施例5のシ
ート層が1/4になるように比率を調整したサブ押出機(日立造船(株)製、57mm2
軸押出機)を併用して樹脂温度260℃、チルロール温度18℃にて製膜し、厚さ600
μmのポリエステルシートを得た。シートの初期ヘーズ値、熱処理後のヘーズ変化量、お
よび酸素透過係数度は表2に示すように小さく、良好であった。
さらにこのシートを実施例1と同様にして表2に示した条件で成形し、カップ形状の成
形品を得た。この成形品は、酸素透過係数が小さく良好であった。
(実施例7、8)
樹脂比率を表2に示すように変更し、シート厚を700μmとしたこと以外は、実施例
1と同様にしてポリエステルシートを得た。シートの初期ヘーズ値、熱処理後のヘーズ変
化量、および酸素透過係数度は表2に示すように小さく、良好であった。
さらにこのシートを、実施例1と同様にして表2に示した条件で成形し、カップ形状の
成形品を得た。この成形品は、酸素透過係数が小さく良好であった。
(比較例1)
樹脂比率をポリエステル樹脂(A−5)100質量%とした以外は、実施例1と同様に
して、ポリエステルシートを得た。シートは、初期のヘーズ値が高く透明性が劣り、ta
nδのピークトップ温度が低く、ピークトップ値も低かった。
さらにこのシートを真空成形機にて、実施例1と同様にしてカップ形状の成形品の成形
を試みたが、伸度不足のため良好な成形品を得ることはできず、シート温度を下げても良
好な成形品を得ることはできなかった。
(比較例2)
樹脂比率をポリエステル樹脂(A−5)/ポリエステル樹脂(B−4)が40質量%/
60質量%とし,樹脂温度を280℃、シート厚を700μmとしたこと以外は、実施例
1と同様にして、ポリエステルシートを得た。シートの熱処理後のヘーズ変化量が大きく
、tanδピークトップ値が低く、酸素透過係数も大きかった。
さらにこのシートを真空成形機にて、実施例1と同様にしてカップ形状の成形品の成形
を試みたが、金型離型せず、金型温度を下げても良好な成形品を得ることはできなかった
(比較例3)
樹脂比率をポリエステル樹脂(A−3)/ポリエステル樹脂(B−1)が60質量%/
40質量%とし、シート厚を700μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリ
エステルシートを得た。シートのtanδピークトップ値が高く、酸素透過係数が高かっ
た。
さらにこのシートを真空成形機にて、シート表面温度を80℃とした以外は、実施例1
と同様にしてカップ形状の成形品の成形を試みたが、金型離型が困難であり、良好な成形
品を得ることはできなかった。
(比較例4)
樹脂比率をポリエステル樹脂(A−4)/ポリエステル樹脂(B−1)が70質量%/
30質量%とした以外は、実施例1と同様にして、ポリエステルシートを得た。シートは
、初期のヘーズ値が高く、tanδピークトップ値が低かった。
さらにこのシートを真空成形機にて、実施例1と同様にしてカップ形状の成形品の成形
を試みたが、伸度不足のため良好な成形品を得ることはできなかった。
Figure 2005112978


Claims (4)

  1. 損失正接(tanδ)ピークトップ温度が55℃以上であり、該ピークトップ値が0.
    50〜0.85である動的粘弾性を有し、厚さ1mm以下での初期ヘーズ値が20%以下で
    あり、80℃で30分熱処理した後のヘーズ値に対する140℃で30分熱処理した後の
    ヘーズ値の変化量が20%以下であり、20℃における酸素透過係数が4.0cm3・cm/m
    2・day・MPa以下であるポリエステルシート。
  2. 請求項1記載のポリエステルシートを熱成形して得られるポリエステル成形品であって
    、酸素透過係数が4.0cm3・cm/m2・day・MPa以下であるポリエステル成形品。
  3. 請求項2記載のポリエステル成形品が食品用容器であるポリエステル成形品。
  4. 式(1)および(2)で示される条件で請求項1記載のポリエステルシートを予備加熱
    し、その予備加熱したポリエステルシートを式(3)で示される金型温度条件で成形する
    ポリエステル成形品の製造方法。
    3.3C≦D≦70C ……(1)
    Tc≦E≦2Tc ……(2)
    Tc≦F≦Tm ……(3)
    C:シート厚さ(mm)
    D:予備加熱時間(sec)
    E:予備加熱終了時のシート表面温度(℃)
    F:金型温度(℃)
    Tc:ポリエステルシートの昇温結晶化温度(℃)
    Tm:ポリエステルシートの融点(℃)


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