JP2005112883A - 熱可塑性樹脂及びそれを用いてなる容器 - Google Patents

熱可塑性樹脂及びそれを用いてなる容器 Download PDF

Info

Publication number
JP2005112883A
JP2005112883A JP2003344992A JP2003344992A JP2005112883A JP 2005112883 A JP2005112883 A JP 2005112883A JP 2003344992 A JP2003344992 A JP 2003344992A JP 2003344992 A JP2003344992 A JP 2003344992A JP 2005112883 A JP2005112883 A JP 2005112883A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
semiconductor
resin
container
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003344992A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Kurata
貴志 蔵田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Techno UMG Co Ltd
Original Assignee
Techno Polymer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Techno Polymer Co Ltd filed Critical Techno Polymer Co Ltd
Priority to JP2003344992A priority Critical patent/JP2005112883A/ja
Publication of JP2005112883A publication Critical patent/JP2005112883A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/54Improvements relating to the production of bulk chemicals using solvents, e.g. supercritical solvents or ionic liquids

Abstract

【課題】 不純物として含まれるオリゴマー等の含有量が少なく、半導体関連部品等を収容する容器の成形に用いられる熱可塑性樹脂、及びそれを用いてなる容器を提供する。
【解決手段】 本発明の熱可塑性樹脂は、超臨界流体(二酸化炭素等からなる。)を用いて精製され、不純物として含有される沸点又は分解点が400℃以下の化合物(残留モノマー、残留オリゴマー、残留脂肪酸等)の含有量が1.0質量%以下の熱可塑性樹脂(ABS樹脂等)であって、半導体関連部品(半導体ウェハー等)及び半導体関連機器(光学的な処理の際に用いられるマスク等)のうちの少なくとも一方を収容する容器の成形に用いられることを特徴とする。また、本発明の容器は、本発明の熱可塑性樹脂を用いて成形され、且つ半導体関連部品及び半導体関連機器のうちの少なくとも一方が収容されることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は熱可塑性樹脂及びそれを用いてなる容器に関する。更に詳しくは、従来になく高純度に精製され、特に沸点又は分解点が高い、例えば、オリゴマー等の不純物が除去され、半導体ウェハー等の半導体関連部品などを収容する容器の成形に用いられる熱可塑性樹脂及びそれを用いてなる容器に関する。
本発明は、ウェハーボックス、チップトレー等の半導体関部品を収容する各種の容器、及びマスクボックス等の半導体関連機器を収容する各種の容器、の分野において利用することができる。
近年、化学工業の進歩により、市場は、化学的、物理的に優れた特性を有する工業材料を要求するようになっている。特に電子材料の分野においては、高純度に精製された樹脂が必要とされている。例えば、半導体ウェハー等の搬送に用いられるウェハーボックス、半導体チップ等の搬送、加工等に用いられるチップトレーなどの成形に用いられる樹脂は、ポリプロピレン等の従前の樹脂からポリカーボネート、更にはポリブチレンテレフタレート等の純度が高い樹脂へと置き換わっている。
通常、樹脂には、未反応モノマー、オリゴマー、金属イオン、溶媒、助剤として配合された化合物及びこの助剤に由来する化合物等が残留しており、この樹脂を精製する各種の方法が知られている。例えば、揮発性物質を重合体物質の水性分散液からストリッピングする方法(特許文献1参照。)、ラテックスを小滴に分割し、スチームを供給することによって、単量体を揮発させる方法(特許文献2参照。)、タンク内に蒸気を流通させ、このタンクの壁面に蒸気の薄膜を形成するとともに、減圧下、加熱処理し、ラテックスから単量体を取り除く方法(特許文献3参照。)等が知られている。しかし、これらの方法では、樹脂が高温に長時間曝されるため、品質劣化の問題がある。
また、樹脂の精製方法として、ベント付き押出機を用いて脱揮精製する方法も知られている。しかし、このベント付き押出機を用いた脱揮では、樹脂を溶融させるための加熱が必要であり、この加熱により樹脂が酸化劣化し、物性の低下及び着色等の問題が生じることがある。
一方、超臨界流体を用いて樹脂を精製する方法も知られている。例えば、ベント付き押出機に、超臨界流体を導入して、熱可塑性樹脂から揮発成分を除去する方法(特許文献4参照。)、又は環状共役ジエン系重合体と超臨界流体とを接触させることにより、この重合体を精製する方法(特許文献5参照。)等が知られている。
特開昭50−58184号公報 特公昭43−6065号公報 特公昭44−844号公報 特開平11−292921号公報 特開平9−291119号公報
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、従来になく高純度に精製され、特に沸点又は分解点が高い、例えば、オリゴマー等の不純物が除去され、半導体ウェハー等の半導体関連部品などを収容する容器の成形に用いられる熱可塑性樹脂及びそれを用いてなる容器を提供することを目的とする。
容器に残存する不純物が原因で、収容されるウェハー等が汚染されることのない容器を成形するための熱可塑性樹脂について、鋭意研究を重ねた。その結果、超臨界流体を用いて精製処理された熱可塑性樹脂により目的を達成し得ることが見出された。本発明は、このような知見に基づきなされたものである。
本発明は以下のとおりである。
1.超臨界流体を用いて精製された熱可塑性樹脂であって、半導体関連部品及び半導体関連機器のうちの少なくとも一方を収容する容器の成形に用いられることを特徴とする熱可塑性樹脂。
2.不純物として含有される沸点又は分解点が400℃以下の化合物の含有量が1.0質量%以下である上記1.に記載の熱可塑性樹脂。
3.上記化合物の沸点又は分解点が50℃以上であり、該化合物の含有量が1.0質量%以下である上記2.に記載の熱可塑性樹脂。
4.上記化合物がオリゴマーであり、該オリゴマーの含有量が1.0質量%以下である上記2.又は3.に記載の熱可塑性樹脂。
5.上記熱可塑性樹脂が、ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物、若しくは芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含有する単量体組成物を重合させてなるグラフト重合体、又は該グラフト重合体とビニル系重合体との混合物である上記1.乃至4.のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂。
6.表面固有抵抗が1013Ω以下である上記1.乃至5.のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂。
7.上記半導体関連部品が半導体ウェハーである上記1.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂。
8.上記1.乃至7.のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂を用いて成形され、且つ半導体関連部品及び半導体関連機器のうちの少なくとも一方が収容されることを特徴とする容器。
9.一の樹脂層と他の樹脂層との積層体により形成され、半導体関連部品及び半導体関連機器のうちの少なくとも一方が収容される容器であって、該一の樹脂層は上記1.乃至7.のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂からなることを特徴とする容器。
本発明の熱可塑性樹脂は、高純度に精製されており、半導体関連部品等を収容する容器の成形に好ましく用いられる。
また、不純物として含有される沸点又は分解点が400℃以下の化合物の含有量が1.0質量%以下である場合は、半導体関連部品等を収容する容器の成形により好ましく用いられる。
更に、化合物の沸点又は分解点が50℃以上であり、化合物の含有量が1.0質量%以下である場合は、沸点又分解点の低い不純物も高い不純物もともに十分に除去されており、半導体関連部品等を収容する容器の成形により好ましく用いることができる。
また、化合物がオリゴマーであり、オリゴマーの含有量が1.0質量%以下である場合も、半導体関連部品等を収容する容器の成形により好ましく用いることができる。
更に、半導体製品に不具合を生じさせるNa、K等の金属イオンも著しく除去することができるので半導体関連部品等を収容する容器の成形材料として好ましい。
また、熱可塑性樹脂が、ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物、若しくは芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含有する単量体組成物を重合させてなるグラフト重合体、又はグラフト重合体とビニル系重合体との混合物である場合は、このような種類の樹脂を半導体関連部品等を収容する容器の成形に用いることができる。
更に、表面固有抵抗が1013Ω以下である場合は、塵埃、即ち、パーティクル等の容器への付着を十分に抑えることができる。
また、半導体関連部品が半導体ウェハーである場合は、この半導体ウェハーへの不純物の付着による汚染を抑えることができる。
本発明の容器、及び積層体からなる本発明の他の容器によれば、収容される半導体ウェハー等の半導体関連部品などへの不純物の付着による汚染を十分に抑えることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
上記「超臨界流体」は特に限定されず、臨界温度、臨界圧力、反応性、毒性等を考慮して適宜選択することが好ましい。この超臨界流体としては、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、酸素、亜酸化窒素、アセチレン、メタノール、メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン、ジフルオロクロルメタン、ジフルオロジクロルメタン、アンモニア、ベンゼン、トルエン及び水等が超臨界状態になった流体が挙げられる。これらの超臨界流体は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この超臨界流体となる流体としては、常温(20〜30℃)で気体であり、安全性にも優れ、ボンベ等の加圧容器に充填された状態で容易に入手することができる二酸化炭素が特に好ましい。
この超臨界流体とは、流体が、その臨界温度及び臨界圧力を越えた状態のものをいう。例えば、二酸化炭素の場合は、31℃以上且つ7.38MPa以上、アセチレンの場合は、36.5℃以上且つ6.24MPa以上、亜酸化窒素の場合は、31.2℃以上且つ7.39MPa以上、酸素の場合は、−118℃以上且つ5.05MPa以上、窒素の場合は、−147.2℃以上且つ3.40MPa以上、アルゴンの場合は,−122.4℃以上且つ4.68MPa以上、水素の場合は、−239.9℃以上且つ1.32MPa以上、水の場合は、374.2℃以上且つ22.1MPa以上の流体のことをいう。
上記「熱可塑性樹脂」(この熱可塑性樹脂には、熱可塑性エラストマーも含まれるものとする。)として具体的には、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6、ナイロン66、及びナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、フッ素樹脂、ポリスルフォン、PPS、液晶ポリマー、PMMA樹脂、並びに下記のスチレン系樹脂等の1種又は2種以上が挙げられる。好ましい上記熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、及びPMMA樹脂の1種又は2種以上である。更に好ましい上記熱可塑性樹脂は、スチレン系樹脂又はスチレン系樹脂を30重量%以上含有する熱可塑性樹脂である。
上記スチレン系樹脂は、ゴム質重合体存在下又は非存在下に、芳香族ビニル化合物、又は芳香族ビニル化合物及び該芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル系単量体からなる単量体成分を重合して得られる樹脂である。ここで、上記ゴム質重合体として具体的には、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、スチレン−ブタジエン共重合体(スチレン含量5〜60重量%が好ましい)、スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体、シリコンゴム、アクリルゴム、ブタジエン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化ブタジエン系重合体、エチレン系アイオノマー等の1種又は2種以上が挙げられる。また、上記スチレン−ブタジエンブロック共重合体、及び上記スチレン−イソプレンブロック共重合体には、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロック型の構造を有するもの等が含まれる。更に、上記水素化ブタジエン系重合体は、上記ブロック共重合体の水素化物のほかに、スチレンブロックとスチレン−ブタジエンランダム共重合体のブロックの水素化物、ポリブタジエン中の1,2−ビニル結合含有量が20重量%以下のブロックと1,2−ビニル結合含量が20重量%を超えるポリブタジエンブロックからなる重合体の水素化物が含まれる。
また、上記芳香族ビニル化合物としてとして具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、及びブロムスチレン等のハロゲン化スチレン等が挙げられる。この中で、特にスチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。上記芳香族ビニル化合物は、1種単独又は2種以上混合して用いられる。
上記芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体として具体的には、例えば、アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等のビニルシアン化合物;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、及び2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、並びにマレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、及びN−シクロヘキシルマレイミド等のα,β−不飽和ジカルボン酸のマレイミド化合物;グリシジルメタクリレート及びアリルグリシジルエーテル等の不飽和エポキシ化合物;アクリルアミド及びメタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、アクリルアミン、メタクリル酸アミノメチル、メタクリル酸アミノエチル、メタクリル酸アミノプロピル、及びアミノスチレン等のアミノ基含有不飽和化合物;ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシ−1−プロペン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、シス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、トランス−4−ヒドロキシ−2−ブテン、3−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロペン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の水酸基含有不飽和化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、及びマレイン酸等の不飽和酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、及び無水シトラコン酸等の酸無水物基含有不飽和化合物、並びにビニルオキサゾリン等のオキサゾリン基含有不飽和化合物等が挙げられる。上記芳香族ビニル化合物と共重合可能なビニル単量体は、1種又は2種以上で使用される。
上記スチレン系樹脂は、ゴム質重合体存在下に上記各種単量体を重合したグラフト重合体、ゴム質重合体非存在下に上記各種単量体を重合した重合体、及びこれらの混合物がある。上記スチレン系樹脂としては、耐衝撃性の面からゴム質重合体が存在するものが好ましくい。上記スチレン系樹脂中のゴム量は、好ましくは3〜80質量%、更に好ましくは5〜60質量%、特に好ましくは10〜40質量%である。また、本発明の目的を達成する上で、上記ゴム質重合体存在下に重合されたスチレン系樹脂のゴム量は、通常30〜70質量%、好ましくは40〜65質量%のものを用い、更に適宜ゴム質重合体非存在下に重合されたスチレン系樹脂と混合したものが特に好ましい。また、上記スチレン系樹脂のメチルエチルケトン可溶部の固有粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、0.3〜1.5が好ましい。上記スチレン系樹脂成分は、公知の重合法である乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等により製造することができる。グラフト共重合体のグラフト率は好ましくは5〜200質量%、更に好ましくは5〜150質量%である。
また、熱可塑性エラストマーとして具体的には、例えば、ポリオレフィン系エラストマー(TPO)、スチレン−ブタジエン系のブロック共重合体又はその水素化物、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー等の1種又は2種以上が挙げられる。
超臨界流体と熱可塑性樹脂とを接触させて精製する場合、熱可塑性樹脂の形状、寸法等は特に限定されないが、粉末状、薄膜状等であることが好ましい。粉末状、薄膜状等であれば、超臨界流体と熱可塑性樹脂との接触面積を大きくすることができ、効率よく精製することができる。また、樹脂粉末としては、ラテックスを凝固、水洗、乾燥して、又はラテックスを乾燥してなる一次粒子が凝集した凝集粉末、樹脂のペレット等を粉砕してなる破砕粉末、又は破砕粉末を造粒してなる略球形の粉末等を用いることができる。効率よく精製するためには超臨界流体と樹脂粉末等との接触面積が大きいことが好ましいが、この観点から樹脂粉末としてはラテックスを凝固させてなる粉末のように一次粒子が凝集した凝集粉末が特に好ましい。
樹脂粉末の嵩密度は特に限定されないが、0.2〜0.56g/cmとすることがき、0.22〜0.54g/cm、特に0.25〜0.5g/cmとすることが好ましい。この嵩密度が0.2〜0.56g/cmであれば、樹脂粉末の比表面積が大きいため、超臨界流体と樹脂粉末との接触時間が短くても効率よく十分に精製することができる。更に、樹脂粉末の取り扱いが容易であり、半導体関連部品等を収容する容器を効率よく、容易に成形することができる。
また、樹脂粉末の平均粒径も特に限定されないが、超臨界流体と樹脂粉末とを十分に接触させ、効率よく精製するためには、粉末の比表面積が大きいことが好ましく、即ち、平均粒径は小さいことが好ましい。この平均粒径は50〜2500μmとすることができ、100〜2200μmとすることが好ましい。樹脂粉末の平均粒径が50〜2500μmであれば、超臨界流体と樹脂粉末との接触時間が短くても効率よく十分に精製することができる。更に、樹脂粉末の取り扱いが容易であり、半導体関連部品等を収容する容器を効率よく、容易に成形することができる。
尚、樹脂粉末は、嵩密度が0.2〜0.56g/cmであり、且つ平均粒径が50〜2500μmであることが好ましく、嵩密度が0.22〜0.54g/cmであり、且つ平均粒径が100〜2200μmであることが特に好ましく、嵩密度が0.25〜0.5g/cmであり、且つ平均粒径が130〜2000μmであることが更に好ましい。
熱可塑性樹脂に不純物として含有される上記「化合物」は特に限定されず、例えば、未反応単量体、オリゴマー、残留溶媒及び残留乳化剤に由来する脂肪酸等が挙げられる。未反応単量体としては、熱可塑性樹脂の種類によって、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル等のビニル系単量体、塩化ビニル等が挙げられる。また、オリゴマーとしては、上記の各種の単量体の2量体及び3量体等が挙げられる。更に、残留溶媒としては、ペンタン、ブタン、ベンゼン及び塩化エチル等が挙げられる。また、乳化剤に由来する脂肪酸としては、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、ラウリン酸等が挙げられる。
熱可塑性樹脂を100質量%とした場合に、この熱可塑性樹脂に不純物として含有される沸点又は分解点が400℃以下の化合物の含有量は1.0質量%以下であり、0.9%以下、特に0.8%以下、更に0.7%以下であることが好ましい。この含有量が1.0質量%以下であれば、成形機及び金型等の汚染、成形品である半導体関連部品等を収容する容器の変色、物性の低下、耐熱性の低下及び残留臭気の発生等を生じることがなく好ましい。この熱可塑性樹脂は、高純度の熱可塑性樹脂を必要とする半導体関連部品等を収容する容器の成形に用いられ、成形時の成形機及び金型等の汚染が低減され、容器の変色が少なく、物性及び耐熱性等が低下し難く、且つ容器から発生する揮発分、所謂、アウトガス及び臭気等が低減され、収容される半導体関連部品等の歩留まりの低下が抑えられる。
超臨界流体により精製した場合、精製前の熱可塑性樹脂に不純物として含有される化合物のうち特に沸点又は分解点が50℃以上の化合物を十分に除去することができる。また、沸点又は分解点が100℃以上、特に150℃以上、更に200℃以上の一般に容易に除去することができない化合物をも十分に除去することができる。この沸点又は分解点が50℃以上の化合物としては、オリゴマー、脂肪酸等が挙げられ、特に超臨界流体による精製では、熱可塑性樹脂を100質量%とした場合に、沸点又は分解点が50℃以上の化合物を1.0質量%以下とすることができ、0.8質量%以下、特に0.5質量%以下、更に0.3質量%以下とすることができる。更に、オリゴマーの含有量は1.0質量%以下とすることができ、0.8質量%以下、特に0.5質量%以下、更に0.3質量%以下とすることができる。また、Na、K等の残留金属イオンも除去することができる。
精製前の熱可塑性樹脂に不純物として含有される化合物としては、未反応単量体、溶媒等の沸点又は分解点が低く、除去が容易なものと、オリゴマー、脂肪酸等の沸点又は分解点が高く、除去し難いものとがある。加熱等の通常の方法では、沸点又は分解点が低い化合物は十分に除去することができるが、沸点又は分解点が高い化合物は多くが精製後も残留し易い。また、半導体関連部品等が収容される容器は、成形後、洗浄されるが、この洗浄により沸点又は分解点が低い化合物は比較的容易に除去することができるが、オリゴマー等の沸点又は分解点が高い化合物は、洗浄により除去することが容易でなく、従って、少量でも容器に付着した場合は、長期に渡って半導体ウェハー等の半導体関連部品などを汚染することがある。本発明の熱可塑性樹脂では、超臨界流体との接触により不純物である化合物が除去されるため、沸点又は分解点が低い化合物ばかりでなく、沸点又は分解点が高い化合物も十分に除去される。従って、アウトガスの付着による半導体ウェハー等の汚染をより確実に防止、又は少なくとも低減することができる。
また、半導体関連部品等が収容される容器の成形に用いられる本発明の熱可塑性樹脂は、その表面固有抵抗が1013Ω以下、特に10〜1013Ωであることが好ましい。このように表面固有抵抗の低い樹脂を用いた容器であれば、パーティクル等の付着を十分に防止することができる。この表面固有抵抗は、半導体関連部品等の搬送、加工作業等が清浄なクリーンルーム内でなされ、パーティクル等の付着が大きな問題にならない場合は1011〜1013Ωであればよい。一方、特に十分な帯電防止性を必要とする場合は10〜10Ωであることがより好ましい。
熱可塑性樹脂の表面固有抵抗は樹脂に表面固有抵抗低減物質を配合することで低下させることができ、この表面固有抵抗低減物質としては、導電性カーボンブラック、導電性カーボンファイバー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。尚、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の場合、塩化リチウム、臭化リチウム等のリチウム化合物を添加することで、表面固有抵抗をより低減させることができる。
超臨界流体と熱可塑性樹脂とを接触させる際の温度は特に限定されないが、通常、接触温度が高いほど精製効率は高くなる。しかし、過度に高温であると熱可塑性樹脂の劣化等により不純物である沸点等の低い化合物が生成することがある。そのため、この接触温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移点以下であることが好ましい。このガラス転移点は、例えば、ポリメチルメタクリレートは106℃、ポリスチレンは100℃、ポリ塩化ビニルは82℃、ナイロン6は60℃、AS樹脂は105℃、ABS樹脂は2点あり、高温側が105℃、ポリ塩化ビニリデンは−7℃、ポリプロピレンは−20℃である。なお、2以上のガラス転移点を有する熱可塑性樹脂では、接触温度は最も高いガラス転移点以下であることが好ましい。例えば、ABS樹脂の場合、接触温度は、高温側のガラス転移点である105℃以下とすることが好ましい。
ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン6、ABS樹脂等のガラス転移点が30℃以上と高い熱可塑性樹脂の場合は、超臨界流体として二酸化炭素、アセチレン、亜酸化窒素等を用いることができ、二酸化炭素を用いることが特に好ましい。また、超臨界流体の臨界温度が0℃以上である場合は、接触温度は熱可塑性樹脂のガラス転移点以下であり、且つ臨界温度以上で臨界温度より80℃高い温度以下、特に臨界温度以上で臨界温度より60℃高い温度以下、更に臨界温度以上で臨界温度より40℃高い温度以下であることが好ましい。更に、臨界温度以上で臨界温度より20℃高い温度以下とすることがより好ましい。臨界温度より80℃高い温度以下であれば、加熱による熱可塑性樹脂の劣化等を十分に抑えることができる。
一方、熱可塑性樹脂が、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン等である場合は、これらのガラス転移点が30℃未満であるため、より臨界温度の低い窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、酸素等を用いることが好ましい。更に、超臨界流体の臨界温度が0℃未満である場合は、接触温度は熱可塑性樹脂のガラス転移点以下であり、且つ臨界温度以上で臨界温度より150℃高い温度以下、特に臨界温度以上で臨界温度より130℃高い温度以下、更に臨界温度以上で臨界温度より110℃高い温度以下とすることが好ましい。
また、超臨界流体と熱可塑性樹脂とを接触させる際の圧力は、超臨界状態であれば特に限定はされないが、通常、圧力が高いほど精製効率は高くなる。しかし、過度に高圧であると、副反応等が懸念されるため、この接触圧力は、臨界圧力の5倍以下、特に4.5倍以下、更に4倍以下とすることが好ましい。更に、臨界圧力の3.5倍以下とすることがより好ましい。
超臨界流体の臨界温度が0℃以上である場合は、(1)接触温度がガラス転移温度以下であり、臨界温度以上で臨界温度より80℃高い温度以下、且つ接触圧力が臨界圧力の5倍以下であることが好ましく、(2)接触温度がガラス転移温度以下であり、臨界温度以上で臨界温度より60℃高い温度以下、且つ接触圧力が臨界圧力の4.5倍以下であることが特に好ましく、(3)接触温度がガラス転移温度以下であり、臨界温度以上で臨界温度より40℃高い温度以下、且つ接触圧力が臨界圧力の4倍以下であることが更に好ましい。また、(4)接触温度がガラス転移温度以下であり、臨界温度以上で臨界温度より20℃高い温度以下、且つ接触圧力が臨界圧力の3.5倍以下であることがより好ましい。
一方、臨界温度が0℃未満の場合は、(1)接触温度がガラス転移温度以下であり、臨界温度以上で臨界温度より150℃高い温度以下、且つ接触圧力が臨界圧力の5倍以下であることが好ましく、(2)接触温度がガラス転移温度以下であり、臨界温度以上で臨界温度より130℃高い温度以下、且つ接触圧力が臨界圧力の4.5倍以下であることが特に好ましく、(3)接触温度がガラス転移温度以下であり、臨界温度以上で臨界温度より110℃高い温度以下、且つ接触圧力が臨界圧力の4倍以下であることが更に好ましい。
超臨界流体と熱可塑性樹脂とを接触させる際の時間も特に限定されず、熱可塑性樹脂の種類、形状、粉末状である場合の平均粒径、嵩密度、超臨界流体の種類、温度、圧力、及び除去される化合物の種類等によって、適宜設定することが好ましい。生産性等の観点からは、0.5〜300分とすることができ、1〜120分、特に1〜60分とすることが好ましい。
超臨界流体と熱可塑性樹脂とを接触させる際、超臨界流体に必要に応じて水、アルコール類、炭化水素類、エーテル類及びケトン類等のエントレーナを配合することもできる。これらのエントレーナのうちでは、炭素数1〜10の飽和脂肪族アルコールが好ましく、炭素数1〜5の飽和脂肪族アルコールがより好ましい。炭素数1〜10、特に炭素数1〜5の飽和脂肪族アルコールは、精製前の熱可塑性樹脂から除去すべき未反応単量体、オリゴマー、残留溶媒及び残留乳化剤に由来する脂肪酸等との親和性がよく、除去効率をより高くすることができる。このエントレーナは、除去すべき化合物によって適宜選択することが好ましい。
エントレーナの具体例としては、メタノ−ル、エタノ−ル、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ル、1−ブタノ−ル、2−ブタノ−ル、1−ヘプタノ−ル、2−ヘプタノ−ル等のアルコ−ル類、n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のエ−テル類、アセトン、プロパノン、2−ブタノン、メチルエチルケトン等のケトン類などが挙げられる。このエントレーナとしては、安価であり、毒性が少なく、取り扱い易く、更には親水性及び親油性の化合物のいずれにも親和性があるエタノールが特に好ましい。これらのエントレーナは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以下、図1の製造装置を用いて熱可塑性樹脂を精製する方法を説明する。
所定の温度に調温されている水槽3に浸漬された圧力容器2に粉末状等の熱可塑性樹脂を封入する。一方、ボンベ4に収容された超臨界流体となる流体を、熱交換器5により所定温度に調温し、その後、ポンプ6により所定圧力まで昇圧させて流体を超臨界流体とする。次いで、この超臨界流体を圧力容器2に導入し、所定流量で熱可塑性樹脂と接触させる。この場合、除去すべき化合物の種類により、バルブ71からエントレーナを注入することができる。熱可塑性樹脂と接触した後の超臨界流体は、バルブ72から分離器8へと導入され、除去された化合物とともに回収される。また、バルブ74を開放して大気圧まで減圧し、その後、精製された熱可塑性樹脂を圧力容器2から取り出す。このようにして本発明の純度の高い熱可塑性樹脂を得ることができる。
更に、上記の方法以外に、超臨界流体を接触させて熱可塑性樹脂から不純物を除去する方法としては、ベント付き押出機に超臨界流体を導入し、溶融混練りしながら不純物を除去する方法等が挙げられる。
上記「半導体関連部品」としては、シリコンウェハー等の半導体ウェハー、ハードディスク、光磁器ディスク等の記憶ディスク、ディスク基板、ICチップ、LCD用ガラス基板、有機EL用ガラス基板等のガラス基板などの表示材用基板、LCDカラーフィルタ、ハードディスクの磁器抵抗ヘッド等が挙げられる。また、上記「半導体関連機器」としては、リソグラフィの際に用いられる原画マスク等が挙げられる。
上記「容器」としては、シリコンウェハー等の半導体ウェハーを収容するウェハーボックス、リソグラフィの際に用いられる原画マスク等のマスクボックス等の蓋を備え、密閉可能な容器が挙げられる。また、半導体チップ等を載せる半導体トレー等の蓋がなく、容器本体のみの容器が挙げられる。尚、これらの容器には、半導体ウェハー、半導体チップ等を固定し、保持するためのキャリア等が収納又は配置されることが多いが、本発明の容器には、このキャリア等も含めるものとする。蓋を備え、密閉可能な容器は、密閉された状態で、収容された半導体ウェハー、原画マスク等を工場間、工場内の建屋間、工程間等を搬送する際に用いられる。更に、クリーンルーム内における搬送の場合も、この密閉可能な容器を用いることができる。一方、蓋がなく、容器本体のみの容器は、特に設備の整ったクリーンルーム内における半導体チップ等の搬送、及び容器内でチップ等を加工する作業の際等に用いられる。
また、容器は、一の樹脂層と他の樹脂層との積層体により形成することもできる。この容器では、一の樹脂層は本発明の熱可塑性樹脂により形成される。この積層体により形成された容器としては、以下の各種の構成及び用途を有する容器が挙げられる。
この容器としては、一の樹脂層を本発明の熱可塑性樹脂により形成し、他の樹脂層をポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、更にはポリエーテルエーテルケトン等の純度の高い樹脂により形成した容器が挙げられる。この場合、一の樹脂層と他の樹脂層とは全面で積層されていてもよいし、一部で積層されていてもよい。このように容器全体が純度の高い樹脂からなる場合は、蓋を備える密閉可能な容器としても、蓋がなく本体のみからなる容器としても用いることができる。更に、工場間等の搬送並びにクリーンルーム内における搬送及び加工作業等のいずれにも用いることができる。
更に、この容器としては、一の樹脂層を本発明の熱可塑性樹脂により形成し、他の樹脂層を前記のポリオレフィン系樹脂、(ゴム強化)スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂等により形成した容器が挙げられる。この容器では、一の樹脂層と他の樹脂層とは全面で積層されていてもよいし、他の樹脂層の一部、特に半導体ウェハー等が接触する部分のみに一の樹脂層が積層されていてもよい。この容器も、蓋を備える密閉可能な容器としても、蓋がなく本体のみからなる容器としても用いることができる。また、工場間等の搬送並びにクリーンルーム内における搬送及び加工作業等のいずれにも用いることができる。この場合、蓋を備える密閉可能な容器である場合は一の樹脂層を容器内面とすることが好ましく、蓋がなく本体のみからなる容器である場合は一の樹脂層を半導体チップ等と接触する面とすることが好ましい。
他の樹脂層がポリオレフィン系樹脂、(ゴム強化)スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂等からなる場合、この他の樹脂層を形成する樹脂としてリサイクル品を用いることもできる。このリサイクル品を用いるときは、蓋を備える密閉可能な容器では、一の樹脂層と他の樹脂層とを全面で積層させ、通常、一の樹脂層が容器内面となるように形成される。更に、蓋がなく本体のみからなる容器では、他の樹脂層の両面の全面に一の樹脂層を積層させ、通常、全表面が一の樹脂層からなる容器として形成される。
これらの容器の成形方法は特に限定されないが、例えば、射出成形法、真空成形法等の各種の方法により成形することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
[1]熱可塑性樹脂(ABS樹脂)の製造
撹拌機を備えた内容積7リットルのガラス製フラスコに、イオン交換水100質量部(以下、「部」と略記する。)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ブタジエンゴムラテックス15部(固形分換算)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を投入し、撹拌しながら昇温させた。温度が45℃となった時点で、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第一鉄0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート・2水和物0.2部及びイオン交換水15部からなる活性剤水溶液、並びにジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド0.1部を添加し、1時間反応を続けた。
その後、イオン交換水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルヒドロパーオキサイド0.2部、スチレン48部及びアクリロニトリル17部からなるインクレメンタル重合成分を3時間かけて連続的に添加し、重合反応を継続した。添加終了後、更に1時間攪拌を継続した。次いで、冷却し、その後、2,2−メチレン−ビス(4−エチレン−6−t−ブチルフェノール)を0.2部添加し、反応を停止させて反応生成物をフラスコより取り出した。
次いで、反応生成物であるラテックスを40℃の0.5%硫酸水溶液で凝固させ、得られたスラリーを90℃まで昇温させて5分間保持した。その後、これを水洗し、次いで、脱水した後、75℃で24時間乾燥し、粉末状のABS樹脂を得た。このABS樹脂の平均粒径は350μm、嵩密度は0.31g/cmであった。このABS樹脂を実施例1〜4及び比較例1の条件で精製し、精製後の樹脂を分析に供した。また、実施例1〜4及び比較例1の各々の精製後のABS樹脂を用いて射出成形し、半導体ウェハーを収容するための容器、所謂、ウェハーボックスを作製した。
[2]ABS樹脂の精製
実施例1〜4及び比較例1
[1]で製造した嵩密度0.31g/cmのABS樹脂100gを図1の内容積1リットルの圧力容器2に密封し、この圧力容器を40℃に調温された水槽3に浸漬した。一方、二酸化炭素を熱交換器5により40℃に調温し、ポンプ6により圧力15MPaとなるように調圧して臨界状態とし、この超臨界流体を1000リットル/時間の流量で圧力容器2に1時間供給してABS樹脂と接触させ、精製した。その後、圧力バルブ74を開放して30分で大気圧まで減圧させ、次いで、精製されたABS樹脂を圧力容器から取り出して分析に供した。
また、表1に記載の精製条件で同様にして実施例2〜4及び比較例1の精製ABS樹脂を得、同様に分析に供した。
[3]評価
表1に記載の実施例1〜4及び比較例1の精製ABS樹脂を以下のようにして評価した。
(1)残留揮発分総量(以下、「TVM」という。)の測定
内部標準物質としてnブチルベンゼンを溶解したジメチルホルムアミド溶液に、特定量の被測定物質を溶解させ、ガスクロマトグラフ測定装置(島津製作所製、型式「GC−14BPF」)により測定し、較正曲線を求め、この較正曲線を用いてTVM(トルエン、エチルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−プロピルベンゼン、スチレン、アクリロニトリル)を求めた。
(2)オリゴマーの測定
内部標準物質としてp−エチルニトルベンゼンを使用し、特定量の被測定物質をメチルエチルケトンに溶解し、ガスクロマトグラフ測定装置(島津製作所製、型式「GC−14APF」)により測定し、較正曲線を求め、この較正曲線を用いて、オリゴマー量(スチレンダイマー、スチレントリマー)を求めた。
(3)遊離脂肪酸の測定
内部標準物質としてアラギン酸メチルを使用し、特定量の被測定物質を1−4ジオキサンに溶解し、ジアゾメタンにより含有される脂肪酸をエステル化し、その後、ガスクロマトグラフ測定装置(柳本製作所製、型式「G−3810PTF」)により測定し、較正曲線を求め、この較正曲線を用いて、脂肪酸(パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸)量を求めた。
(4)臭気
試料をポリエチレン製の袋に投入し、70℃で8時間放置した後、臭いを嗅いだ。評価基準は、○;ほとんど臭わない、×;強く臭う、である。
(5)嵩密度
JIS K 6721に基づいて測定した。
(6)精製前のABS樹脂の平均粒径
セイシン企業社製、型式「ロボットシフタ−RPS−85」を使用し、粉体20gを5分間振動させて分級し、質量累積分布より50%ポイントの粒径を求め、これを平均粒径とした。
(7)表面固有抵抗の測定
直径100mm、厚さ2mmの円板を成形し、温度23℃、相対湿度50%で7日間状態調節した後、超絶縁抵抗計(横河ヒューレット・パッカード社製、型式「4329A」)を用いて表面固有抵抗を測定した。
実施例1〜4及び比較例1の結果を表1に併記する。
Figure 2005112883
表1の結果によれば、超臨界流体とABS樹脂とを接触させなかった比較例1では、残留化合物が1.74%と多く、残留臭気も強い。一方、実施例1及び2では、残留化合物はそれぞれ0.51%、0.48%と少なく、臭気もほとんどなかった。また、接触温度が90℃と臨界温度を大きく越えて高い実施例3では、残留化合物は0.64%とやや多いものの、比較例1よりは優れている。更に、エントレーナとしてエタノールを使用した実施例4では、残留化合物は0.24%と極めて少なく、非常に純度が高く、臭気もほとんどないABS樹脂であることが分かる。このように、このABS樹脂では、特に沸点等の高いオリゴマー、脂肪酸も含め、不純物が大きく低減されており、半導体関連部品等を収容する容器の成形に好適である。
(4)ウェハーボックス及びウェハートレーの作製及びその評価
実施例1の精製ABS樹脂を使用して調製した表2の実験例1の容器成形材料を用いて、射出成形機により金型温度を50℃として図2のウェハーボックス100及び図3のウェハートレー103を作製した。このウェハーボックス100は、直径8インチのウェハーを25枚収容することができる大きさである。更に、内部には、図3のような、ウェハートレー103が収納されており、このウェハートレーの内面の横方向の壁面には、相対向して25個のリブ1031が突設されており、このリブにより半導体ウェハーを固定することができる。
尚、実施例2〜4及び比較例1の精製ABS樹脂を使用して調製した表2の実験例2〜4及び比較実験例1の容器成形材料を用いて実験例1の場合と同様にして同形状、同寸法のウェハーボックス及びウェハートレーを作製した。
Figure 2005112883
尚、ポリアミドエラストマーの欄のPAE−1は、ε−カプロラクタンの開環重合により得られたポリアミド−6の両末端をアジピン酸によりカルボキシル基とした後、分子量1500のポリエチレングリコールを添加してエステル化して得られたものである。また、PAE−2は、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを縮合重合させて得られたポリブチレンテレフタレートの両末端をアジピン酸によりカルボキシル基とした後、分子量1500のポリエチレングリコールを添加してエステル化して得られたものである。
実験例及び比較実験例の各々の容器成形材料を用いて作製したそれぞれのウェハートレーに8インチのシリコンウェハーを25枚収納し、これを各々のウェハーボックスに収容し、蓋をして密閉した。その後、このウェハーボックスを85℃で25時間静置し、次いで、各々のシリコンウェハーを用いて、回路印刷されたチップを作製し、作動確認評価を行った。その結果、実験例1〜4の容器成形材料を用いたウェハーボックスでは、すべてのシリコンウェハーを用いたチップで作動不良が発生しなかった。一方、比較実験例1の容器成形材料を用いて作製したウェハーボックスに収容されたシリコンウェハーを用いたチップでは、作動不良が発生した。
超臨界流体との接触により熱可塑性樹脂を精製する装置の説明図である。 実験例及び比較実験例の容器成形材料を用いて作製したウェハーボックスの外観を示す斜視図である。 図2のウェハーボックス内に収納されるウェハートレーを示す斜視図である。
符号の説明
1;精製装置、2;圧力容器、3;水槽、4;超臨界流体となる流体が収容されたボンベ、5;熱交換器、6;ポンプ、71、72、73、74;バルブ、8;分離器9;シリコンウェハー、100;ウェハーボックス、101;蓋、102;容器本体、103;ウェハートレー、1031;リブ。

Claims (9)

  1. 超臨界流体を用いて精製された熱可塑性樹脂であって、半導体関連部品及び半導体関連機器のうちの少なくとも一方を収容する容器の成形に用いられることを特徴とする熱可塑性樹脂。
  2. 不純物として含有される沸点又は分解点が400℃以下の化合物の含有量が1.0質量%以下である請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
  3. 上記化合物の沸点又は分解点が50℃以上であり、該化合物の含有量が1.0質量%以下である請求項2に記載の熱可塑性樹脂。
  4. 上記化合物がオリゴマーであり、該オリゴマーの含有量が1.0質量%以下である請求項2又は3に記載の熱可塑性樹脂。
  5. 上記熱可塑性樹脂が、ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物、若しくは芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含有する単量体組成物を重合させてなるグラフト重合体、又は該グラフト重合体とビニル系重合体との混合物である請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂。
  6. 表面固有抵抗が1013Ω以下である請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂。
  7. 上記半導体関連部品が半導体ウェハーである請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂。
  8. 請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂を用いて成形され、且つ半導体関連部品及び半導体関連機器のうちの少なくとも一方が収容されることを特徴とする容器。
  9. 一の樹脂層と他の樹脂層との積層体により形成され、半導体関連部品及び半導体関連機器のうちの少なくとも一方が収容される容器であって、該一の樹脂層は請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂からなることを特徴とする容器。
JP2003344992A 2003-10-02 2003-10-02 熱可塑性樹脂及びそれを用いてなる容器 Pending JP2005112883A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003344992A JP2005112883A (ja) 2003-10-02 2003-10-02 熱可塑性樹脂及びそれを用いてなる容器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003344992A JP2005112883A (ja) 2003-10-02 2003-10-02 熱可塑性樹脂及びそれを用いてなる容器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005112883A true JP2005112883A (ja) 2005-04-28

Family

ID=34538431

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003344992A Pending JP2005112883A (ja) 2003-10-02 2003-10-02 熱可塑性樹脂及びそれを用いてなる容器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005112883A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005097905A1 (ja) 2004-03-31 2005-10-20 Techno Polymer Co., Ltd. 熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形体
JP2012082316A (ja) * 2010-10-12 2012-04-26 Mitsubishi Chemicals Corp 接着性樹脂及び接着性樹脂組成物並びに積層体
CN114014960A (zh) * 2021-10-21 2022-02-08 金聚合科技(宁波)有限公司 一种用于聚烯烃提纯的系统和方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005097905A1 (ja) 2004-03-31 2005-10-20 Techno Polymer Co., Ltd. 熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形体
US8563106B2 (en) 2004-03-31 2013-10-22 Techno Polymer Co., Ltd. Thermoplastic resin composition and resin molding
JP2012082316A (ja) * 2010-10-12 2012-04-26 Mitsubishi Chemicals Corp 接着性樹脂及び接着性樹脂組成物並びに積層体
CN114014960A (zh) * 2021-10-21 2022-02-08 金聚合科技(宁波)有限公司 一种用于聚烯烃提纯的系统和方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US8563106B2 (en) Thermoplastic resin composition and resin molding
JP4194494B2 (ja) 高分子基材の処理方法
AU2003227484A1 (en) Amorphous polyester chip and method for production thereof, and method for storage of amorphous polyester chip
US10174193B2 (en) Method for preparing modified acrylonitrile-butadiene-styrene resin, and modified acrylonitrile-butadiene-styrene resin prepared thereby
TWI357422B (ja)
CN102432905A (zh) 低温等离子体引发聚乙烯薄膜表面气相接枝改性方法
KR20080066092A (ko) 제전성 조성물 및 그 제조방법
JP2005112883A (ja) 熱可塑性樹脂及びそれを用いてなる容器
Kaneko et al. Morphological changes in ultraviolet-nanoimprinted resin patterns caused by ultraviolet-curable resins absorbing pentafluoropropane
JP2007056172A (ja) ゴム強化樹脂、成形体及び積層体
MX2007001223A (es) Preparacion de articulos polimericos ultrapuros.
JP2006052378A (ja) 熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形体
TWI293934B (en) Container using for clean room
JP2004051752A (ja) 精製高分子粉体組成物及びその製造方法
JP2002309006A (ja) 炭素繊維強化ゴム強化スチレン系樹脂射出成形品
TW574303B (en) Flon-resistant rubber modified polystyrene composition
NL2025153B1 (en) Surface with an antibiofouling and/or antimicrobial layer
Lee et al. Low‐Temperature Plasma‐Assisted Nanotransfer Printing between Thermoplastic Polymers
EP3763757B1 (en) Method of preparing graft polymer
JPH1087759A (ja) ゴム変性スチレン系樹脂及びその組成物
JPH0586112A (ja) マレイミド系共重合体の製造方法
JPH10101887A (ja) ゴム変性スチレン系樹脂組成物及びその成形品
JP2005146251A (ja) スチレン系樹脂の低分子量成分除去法及び低分子量成分の少ないスチレン系樹脂
JP2003026833A (ja) 防曇性ゴム変性スチレン系樹脂シート及びその成形品
JPH05178381A (ja) 精密ガラスの透明搬送用容器

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20050606

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060301

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080417

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080507

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080930