JP2005112883A - 熱可塑性樹脂及びそれを用いてなる容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明の熱可塑性樹脂は、超臨界流体(二酸化炭素等からなる。)を用いて精製され、不純物として含有される沸点又は分解点が400℃以下の化合物(残留モノマー、残留オリゴマー、残留脂肪酸等)の含有量が1.0質量%以下の熱可塑性樹脂(ABS樹脂等)であって、半導体関連部品(半導体ウェハー等)及び半導体関連機器(光学的な処理の際に用いられるマスク等)のうちの少なくとも一方を収容する容器の成形に用いられることを特徴とする。また、本発明の容器は、本発明の熱可塑性樹脂を用いて成形され、且つ半導体関連部品及び半導体関連機器のうちの少なくとも一方が収容されることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
本発明は、ウェハーボックス、チップトレー等の半導体関部品を収容する各種の容器、及びマスクボックス等の半導体関連機器を収容する各種の容器、の分野において利用することができる。
1.超臨界流体を用いて精製された熱可塑性樹脂であって、半導体関連部品及び半導体関連機器のうちの少なくとも一方を収容する容器の成形に用いられることを特徴とする熱可塑性樹脂。
2.不純物として含有される沸点又は分解点が400℃以下の化合物の含有量が1.0質量%以下である上記1.に記載の熱可塑性樹脂。
3.上記化合物の沸点又は分解点が50℃以上であり、該化合物の含有量が1.0質量%以下である上記2.に記載の熱可塑性樹脂。
4.上記化合物がオリゴマーであり、該オリゴマーの含有量が1.0質量%以下である上記2.又は3.に記載の熱可塑性樹脂。
5.上記熱可塑性樹脂が、ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物、若しくは芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含有する単量体組成物を重合させてなるグラフト重合体、又は該グラフト重合体とビニル系重合体との混合物である上記1.乃至4.のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂。
6.表面固有抵抗が1013Ω以下である上記1.乃至5.のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂。
7.上記半導体関連部品が半導体ウェハーである上記1.乃至6.のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂。
8.上記1.乃至7.のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂を用いて成形され、且つ半導体関連部品及び半導体関連機器のうちの少なくとも一方が収容されることを特徴とする容器。
9.一の樹脂層と他の樹脂層との積層体により形成され、半導体関連部品及び半導体関連機器のうちの少なくとも一方が収容される容器であって、該一の樹脂層は上記1.乃至7.のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂からなることを特徴とする容器。
また、不純物として含有される沸点又は分解点が400℃以下の化合物の含有量が1.0質量%以下である場合は、半導体関連部品等を収容する容器の成形により好ましく用いられる。
更に、化合物の沸点又は分解点が50℃以上であり、化合物の含有量が1.0質量%以下である場合は、沸点又分解点の低い不純物も高い不純物もともに十分に除去されており、半導体関連部品等を収容する容器の成形により好ましく用いることができる。
また、化合物がオリゴマーであり、オリゴマーの含有量が1.0質量%以下である場合も、半導体関連部品等を収容する容器の成形により好ましく用いることができる。
更に、半導体製品に不具合を生じさせるNa、K等の金属イオンも著しく除去することができるので半導体関連部品等を収容する容器の成形材料として好ましい。
また、熱可塑性樹脂が、ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物、若しくは芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含有する単量体組成物を重合させてなるグラフト重合体、又はグラフト重合体とビニル系重合体との混合物である場合は、このような種類の樹脂を半導体関連部品等を収容する容器の成形に用いることができる。
更に、表面固有抵抗が1013Ω以下である場合は、塵埃、即ち、パーティクル等の容器への付着を十分に抑えることができる。
また、半導体関連部品が半導体ウェハーである場合は、この半導体ウェハーへの不純物の付着による汚染を抑えることができる。
本発明の容器、及び積層体からなる本発明の他の容器によれば、収容される半導体ウェハー等の半導体関連部品などへの不純物の付着による汚染を十分に抑えることができる。
上記「超臨界流体」は特に限定されず、臨界温度、臨界圧力、反応性、毒性等を考慮して適宜選択することが好ましい。この超臨界流体としては、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、酸素、亜酸化窒素、アセチレン、メタノール、メタン、エチレン、エタン、プロピレン、プロパン、ジフルオロクロルメタン、ジフルオロジクロルメタン、アンモニア、ベンゼン、トルエン及び水等が超臨界状態になった流体が挙げられる。これらの超臨界流体は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この超臨界流体となる流体としては、常温(20〜30℃)で気体であり、安全性にも優れ、ボンベ等の加圧容器に充填された状態で容易に入手することができる二酸化炭素が特に好ましい。
熱可塑性樹脂の表面固有抵抗は樹脂に表面固有抵抗低減物質を配合することで低下させることができ、この表面固有抵抗低減物質としては、導電性カーボンブラック、導電性カーボンファイバー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。尚、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の場合、塩化リチウム、臭化リチウム等のリチウム化合物を添加することで、表面固有抵抗をより低減させることができる。
所定の温度に調温されている水槽3に浸漬された圧力容器2に粉末状等の熱可塑性樹脂を封入する。一方、ボンベ4に収容された超臨界流体となる流体を、熱交換器5により所定温度に調温し、その後、ポンプ6により所定圧力まで昇圧させて流体を超臨界流体とする。次いで、この超臨界流体を圧力容器2に導入し、所定流量で熱可塑性樹脂と接触させる。この場合、除去すべき化合物の種類により、バルブ71からエントレーナを注入することができる。熱可塑性樹脂と接触した後の超臨界流体は、バルブ72から分離器8へと導入され、除去された化合物とともに回収される。また、バルブ74を開放して大気圧まで減圧し、その後、精製された熱可塑性樹脂を圧力容器2から取り出す。このようにして本発明の純度の高い熱可塑性樹脂を得ることができる。
更に、上記の方法以外に、超臨界流体を接触させて熱可塑性樹脂から不純物を除去する方法としては、ベント付き押出機に超臨界流体を導入し、溶融混練りしながら不純物を除去する方法等が挙げられる。
この容器としては、一の樹脂層を本発明の熱可塑性樹脂により形成し、他の樹脂層をポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、更にはポリエーテルエーテルケトン等の純度の高い樹脂により形成した容器が挙げられる。この場合、一の樹脂層と他の樹脂層とは全面で積層されていてもよいし、一部で積層されていてもよい。このように容器全体が純度の高い樹脂からなる場合は、蓋を備える密閉可能な容器としても、蓋がなく本体のみからなる容器としても用いることができる。更に、工場間等の搬送並びにクリーンルーム内における搬送及び加工作業等のいずれにも用いることができる。
これらの容器の成形方法は特に限定されないが、例えば、射出成形法、真空成形法等の各種の方法により成形することができる。
[1]熱可塑性樹脂(ABS樹脂)の製造
撹拌機を備えた内容積7リットルのガラス製フラスコに、イオン交換水100質量部(以下、「部」と略記する。)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ブタジエンゴムラテックス15部(固形分換算)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を投入し、撹拌しながら昇温させた。温度が45℃となった時点で、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第一鉄0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート・2水和物0.2部及びイオン交換水15部からなる活性剤水溶液、並びにジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド0.1部を添加し、1時間反応を続けた。
実施例1〜4及び比較例1
[1]で製造した嵩密度0.31g/cm3のABS樹脂100gを図1の内容積1リットルの圧力容器2に密封し、この圧力容器を40℃に調温された水槽3に浸漬した。一方、二酸化炭素を熱交換器5により40℃に調温し、ポンプ6により圧力15MPaとなるように調圧して臨界状態とし、この超臨界流体を1000リットル/時間の流量で圧力容器2に1時間供給してABS樹脂と接触させ、精製した。その後、圧力バルブ74を開放して30分で大気圧まで減圧させ、次いで、精製されたABS樹脂を圧力容器から取り出して分析に供した。
また、表1に記載の精製条件で同様にして実施例2〜4及び比較例1の精製ABS樹脂を得、同様に分析に供した。
表1に記載の実施例1〜4及び比較例1の精製ABS樹脂を以下のようにして評価した。
(1)残留揮発分総量(以下、「TVM」という。)の測定
内部標準物質としてnブチルベンゼンを溶解したジメチルホルムアミド溶液に、特定量の被測定物質を溶解させ、ガスクロマトグラフ測定装置(島津製作所製、型式「GC−14BPF」)により測定し、較正曲線を求め、この較正曲線を用いてTVM(トルエン、エチルベンゼン、i−プロピルベンゼン、n−プロピルベンゼン、スチレン、アクリロニトリル)を求めた。
(2)オリゴマーの測定
内部標準物質としてp−エチルニトルベンゼンを使用し、特定量の被測定物質をメチルエチルケトンに溶解し、ガスクロマトグラフ測定装置(島津製作所製、型式「GC−14APF」)により測定し、較正曲線を求め、この較正曲線を用いて、オリゴマー量(スチレンダイマー、スチレントリマー)を求めた。
(3)遊離脂肪酸の測定
内部標準物質としてアラギン酸メチルを使用し、特定量の被測定物質を1−4ジオキサンに溶解し、ジアゾメタンにより含有される脂肪酸をエステル化し、その後、ガスクロマトグラフ測定装置(柳本製作所製、型式「G−3810PTF」)により測定し、較正曲線を求め、この較正曲線を用いて、脂肪酸(パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸)量を求めた。
(4)臭気
試料をポリエチレン製の袋に投入し、70℃で8時間放置した後、臭いを嗅いだ。評価基準は、○;ほとんど臭わない、×;強く臭う、である。
(5)嵩密度
JIS K 6721に基づいて測定した。
(6)精製前のABS樹脂の平均粒径
セイシン企業社製、型式「ロボットシフタ−RPS−85」を使用し、粉体20gを5分間振動させて分級し、質量累積分布より50%ポイントの粒径を求め、これを平均粒径とした。
(7)表面固有抵抗の測定
直径100mm、厚さ2mmの円板を成形し、温度23℃、相対湿度50%で7日間状態調節した後、超絶縁抵抗計(横河ヒューレット・パッカード社製、型式「4329A」)を用いて表面固有抵抗を測定した。
実施例1〜4及び比較例1の結果を表1に併記する。
実施例1の精製ABS樹脂を使用して調製した表2の実験例1の容器成形材料を用いて、射出成形機により金型温度を50℃として図2のウェハーボックス100及び図3のウェハートレー103を作製した。このウェハーボックス100は、直径8インチのウェハーを25枚収容することができる大きさである。更に、内部には、図3のような、ウェハートレー103が収納されており、このウェハートレーの内面の横方向の壁面には、相対向して25個のリブ1031が突設されており、このリブにより半導体ウェハーを固定することができる。
尚、実施例2〜4及び比較例1の精製ABS樹脂を使用して調製した表2の実験例2〜4及び比較実験例1の容器成形材料を用いて実験例1の場合と同様にして同形状、同寸法のウェハーボックス及びウェハートレーを作製した。
Claims (9)
- 超臨界流体を用いて精製された熱可塑性樹脂であって、半導体関連部品及び半導体関連機器のうちの少なくとも一方を収容する容器の成形に用いられることを特徴とする熱可塑性樹脂。
- 不純物として含有される沸点又は分解点が400℃以下の化合物の含有量が1.0質量%以下である請求項1に記載の熱可塑性樹脂。
- 上記化合物の沸点又は分解点が50℃以上であり、該化合物の含有量が1.0質量%以下である請求項2に記載の熱可塑性樹脂。
- 上記化合物がオリゴマーであり、該オリゴマーの含有量が1.0質量%以下である請求項2又は3に記載の熱可塑性樹脂。
- 上記熱可塑性樹脂が、ゴムの存在下に、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物、若しくは芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物を含有する単量体組成物を重合させてなるグラフト重合体、又は該グラフト重合体とビニル系重合体との混合物である請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂。
- 表面固有抵抗が1013Ω以下である請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂。
- 上記半導体関連部品が半導体ウェハーである請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂。
- 請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂を用いて成形され、且つ半導体関連部品及び半導体関連機器のうちの少なくとも一方が収容されることを特徴とする容器。
- 一の樹脂層と他の樹脂層との積層体により形成され、半導体関連部品及び半導体関連機器のうちの少なくとも一方が収容される容器であって、該一の樹脂層は請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂からなることを特徴とする容器。
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