JP2005112447A - 基板収納用梱包材 - Google Patents

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Abstract

【課題】製品基板の保管、搬送用梱包材において、吸湿を防止でき、かつ輸送時の振動による発塵も防止できる梱包材を提供する。
【解決手段】基板を収納する梱包材において、水蒸気透過率が10g/24hr以下であり、かつ該梱包材内空間に防塵性及び透湿性を有する材料を介して除湿剤を具備することを特徴とする基板収納用梱包材。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基板の保管、搬送を目的とした基板収納用梱包材に関する。特に、基板上に樹脂等の有機物をコーティングしたもの、例えば液晶表示素子に使用されるカラーフィルター基板等を保管、搬送するために好適に用いる梱包材に関する。
素ガラス、カラーフィルター、デバイス基板等の保管、搬送のために、樹脂製の基板収納用梱包箱が使用されている。この基板収納用梱包箱は、典型的には、有底の梱包箱本体と蓋体とからなり、梱包箱本体の相対向する1対の側板には、基板を縦姿勢でかつ互いに接触しないように保持するために縦溝を形成してある。この基板収納用梱包箱には、搬送時の重量も考慮して、例えば、10〜30枚程度の基板が収容できる。
従来の基板収納用梱包箱は、気密性が十分でなく、基板を梱包箱に収納して長期間保管すると、外気に含まれる水蒸気によって、基板が吸湿するという問題があった。すなわち、蓋と本体の隙間があり、気密性が十分ではないと、湿気を含む外気が容易に梱包箱内に入り、基板を吸湿せしめる。
また、梱包箱の係合部をゴムパッキング等でシール性を改善することにより、基板を密閉状態で保管、搬送することができるが、元々梱包箱内の空気に含まれていた湿気や輸送中の気温変化による結露等によって、製品での吸湿が進行したり、長期にわたる保管においては、吸湿による製品基板の品質劣化が生じる場合があった。
これらの対策として、梱包箱の中に、シリカゲル等の吸湿剤を設け、梱包箱内の水分を除去する方法が提案されているが、吸湿剤は粉体であり、クリーン性を必要とする精密機器用の基板の場合、輸送中での発塵により、製品欠点を生じせしめ、好ましくない。
吸湿に伴なう製品基板の品質劣化については、例えば液晶用カラーフィルタを例に挙げると、液晶表示パネル組立時にカラーフィルター膜が剥がれたり、組立工程での熱によりITOのクラックが発生する等の問題や、液晶表示パネルでの液晶注入工程おいて気泡が発生し易くなる。また、これらの問題により、液晶パネルを表示させた時に、表示ムラを発生せしめたりするなどの種々の問題が生じる。
本発明は、製品基板の保管、搬送用梱包材において、吸湿を防止でき、かつ輸送時の振動による発塵も防止できる梱包材を提供することを目的とするものである。
かかる本発明の目的は、以下の基板収納用梱包材によって達成できる。
(1)基板を収納する梱包材において、水蒸気透過率が10g/24hr以下であり、かつ該梱包材内空間に防塵性及び透湿性を有する材料を介して除湿剤を具備することを特徴とする基板収納用梱包材。
(2)該防塵性を有する材料の捕集効率が30%以上であることを特徴とする(1)記載の基板収納用梱包材。
(3)該基板が、少なくとも基板上に着色剤を樹脂中に分散させてなる複数色の画素、オーバーコート、透明電極をこの順に有してなる液晶用カラーフィルタ基板であることを特徴とする(1)又は(2)記載の基板収納用梱包材。
本発明の基板収納用梱包材を用いると、製品基板の吸湿を防止でき、吸湿に伴なう品質劣化を防止できる。さらには、製品基板の輸送時の振動による発塵も防止できる、塵埃起因の製品欠点も防止できる。
以下、本発明を詳細に説明する。基板の収納、運搬において使用する梱包材料は、一般に、高アクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、PEEK樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリイミド樹脂などを用いて、箱型に組み立てたケースが用いられている。一例を図1に示す。基板は、梱包箱本体の内側両サイドに設けられた縦溝付き側板(図示せず)に沿って、順に収納できる。また、基板を出し入れするために、本体の上に蓋がある。基板収納用梱包箱は、本体1 および蓋体2の2つの主要部材からなる。
本体1 は、前板、背板および左右の縦溝付き側板、の4つの側壁、及び底板でできており、上方は開放されている。本体1 は、射出成形により一挙に成形することができるが、場合によっては前板、背板、縦溝付き側板、及び底板を別々に成形してから、それぞれを接着させて組み立ててもよい。
縦溝付き側板、の溝は、基板のエッジ部を挿入できる深さ、長さおよび幅とし、かつ基板を挿入した状態で若干の余裕があるように設定する。溝数は任意に設定できるが、基板の収容数や基板を収容した状態での重量も考慮して、1枚当り10〜30条あるいはその前後の溝数とすることが多い。溝構造の山部の形状は、基板との接触を小さくするため、アールやテーパーを付したり、ドット状の膨みや線条の膨みを設けたりするなど、種々の工夫をこらすことができる。テーパーを付することは、梱包箱内に収容する基板のアソビを小さくする点でも有利である。
蓋体2は、浅底のボックス状のものとする。底板内方及び蓋体2 の天板内方の少なくとも一方(通常は、蓋体もしくは双方)には、収容したガラス基板のがたつきを防止する押え部材(図示せず) を装着することが望ましい。押え部材の例としては、ポリテトラフルオロエチレンや各種のゴムまたはエラストマーの成形物(フィルム、シート、板、柱状物、筒状物等)などがあげられる。
本体と蓋体により梱包材内空間10が形成される。この空間のサイズは好ましくは高さ10〜200cm、幅10〜200cm、高さ10〜200cmである。
本体1および蓋体2 は、通常樹脂成形体で形成されており、透視性を有していても有していなくてもよい。また、本体1、および蓋体2 は、帯電防止性を有する樹脂成形体で形成されていることが望ましい。帯電防止性の付与は、吸水性を有する樹脂の使用、成形時に帯電防止剤を内添する方法、成形後に帯電防止剤をコーティングする方法などによりなされる。
係合手段3 としては、バックル方式、ファスナー方式、嵌合方式、鈎方式、押し込み方式をはじめ任意の機構のものを採用することができ、係合および係合解除をワンタッチで行うことができるものの方が有利である。この係合手段3は、自動装置によりロックまたは/およびアンロック可能な機構とすることが望ましい。
梱包箱内の基板の吸湿を防ぐためには、まず、外気からの湿気を防止する必要がある。、外気からの湿気の流入を防止するために、本体1と蓋体2との係合状態を密にし、梱包箱の水蒸気透過率が10(g/24hr)以下にする必要がある。好ましくは5(g/24hr)以下、さらに好ましくは1(g/24hr)以下である。梱包箱の水蒸気透過率(透湿度)は、JISL−1099(A−1法)に従って、梱包箱中に塩化カルシウムを入れた後、40±2℃、90±5%RH、風速0.8m/s以下のの環境化に放置し、透湿した水分量を、塩化カルシウムの重量増加から測定する。
梱包箱の気密性を向上せしめる一例として、本体1と蓋体2と係合部において、ゴムパッキンにより密閉せしめる方法がある。具体的には、図2に示すように、本体1と蓋体2の重なり部において、片方(通常本体側)に溝を設け、その中にOリングゴムをはめ込み、係合時にOリングゴムがシールとして作用するように工夫する。また別の方法としては、図3に示すよう、本体1に蓋体2をはめ込む様な構造において、やや摩擦力を持たせてはめ込むようにするため、本体1の外寸と蓋体2の内寸の遊びをほとんど無くすようにする。このためには、十分な加工精度を持たせるなどの工夫を行なう必要がある。その他にも、本体1と蓋体2と係合させた後、係合部の外側を粘着テープを巻いて密閉せしめたりする。
一方、本体1と蓋体2との係合状態が甘く、通気性を有する場合は、梱包箱を防湿フィルムにより梱包する必要がある。この場合、前記防湿フィルムは、本発明の梱包材の一部と見なされる。この防湿フィルムの面積をS(m2)とすると、防湿フィルムの水蒸気透過率としては、10/S(g/m2・24hr)以下である必要があるが、より好ましくは5/S(g/m2・24hr)以下、さらに好ましくは1/S(g/m2・24hr)以下である。防湿フィルムの水蒸気透過率(透湿度、温度40℃)は、JISZ−0208に従って行うことができる。この特性を満足するものとして、例えばナイロンフィルム、ポリエステプフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等にアルミニウム、金属酸化物を蒸着、スパッタリング等の真空薄膜形成したもの、ポリビニルアルコールフィルムなどが好適に用いることができるが、これらに限定されない。
このようにして、梱包した後、防湿フィルムの開口部を、ヒートシール等により密閉する。本構成では、本体1に蓋体2での厳密な加工精度は不要となり、より簡易な設計が可能となり、梱包箱にかかる費用を低減することができる。蓋体2の内寸と、本体1の外寸その差(遊び)を1〜5mm程度設け、隙間を設ける。さらに、本体には、溝などを設ける必要もなく、簡易的にOリングをセットすることで十分である。
さらに、梱包箱内に防塵性及び透湿性を有する材料を介して除湿剤を具備することにより、梱包箱内の基板の吸湿を防ぐことが可能となる。その具体的な態様としては、梱包箱の内側に防塵性及び透湿性を有する袋に包まれた除湿剤を、テープ等で貼り付けたり、収納するポケットを設けるのが好ましい。あるいは、梱包材内壁に防塵性及び透湿性を有する材料を貼り付けて小閉空間を形成して、そこに除湿剤を配置する形態であっても良い。あるいは、該梱包箱と該防湿フィルムの間に防塵性及び透湿性を有する袋で包まれた除湿剤を具備することにより、梱包箱内の基板の吸湿を防ぐことが可能となる。梱包箱と防湿フィルムの間にこの除湿剤を投げ入れておいてもよいが、梱包箱の本体と蓋体との防塵性が低い場合、運送時の発塵を可能な限り防止するため、梱包箱の外側にテープ等で貼り付けるか、梱包箱の外側に防塵性及び透湿性を有する除湿剤を収納するポケットを設けるのが好ましい。
次に、除湿剤について説明する。除湿剤としては、特に限定されないが、固形のシリカゲル、モレキュラーシーブ、活性アルミナ、五酸化燐(P2O5)、生石灰(CaO)等の粉末が好適に使用できる。除湿剤の量は、除湿剤の種類により相違するが、好ましくは10〜10000(より好ましくは50〜1000)gである。前記数値範囲の下限値を下回ると除湿効果不足となり、上限値を上回ると発塵が多くなり、いずれも好ましくない。
塵埃を捕獲する防塵性を有する材料としては、種々のフィルター材を用いることができる。セルロース繊維からなる濾紙、極微細な硼珪酸塩ガラス、シリカ等による繊維やこれらを有機バインダーで固め力学的強度を持たせたもの、さらにはセルロースアセテート、ポリカーボーネート、セルロース混合ポリエステル、四フッ化エチレン樹脂等からなる多孔質メンブレンフィルター等がある。これらは、力学的強度を向上させるため、穴あきフィルムと貼り合わせて用いてもよい。フィルムとしては、厚み10〜500μmのポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドフィルムが好適に用いられる。
この他には、繊維基布を利用するも好ましい。例えば、直径1〜2μm程度の超微細合成繊維で、0.3〜0.5μm以上の微細塵埃粒子を捕捉できる濾過性を有する不織布で、ポリエステル、ポリプロピレン、伸縮性を有する熱可塑性エラストマー等の各種合成繊維である。この不織布を、圧着、接着、あるいは包み込むようにして袋状にして用いる。あるいは、このような不織布の代わりに、織物(ポリエステル等)の上に、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリアミド系、ポリ塩化ビニル系、フッ素系樹脂層をコーティングまたは、ラミネートしたものを用いてもよい。このコーティングまたはラミネート層は、微細塵埃粒子を外部に流失しないよう遮断する。厚みとしては50μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以下である。これらの基材(繊維基布等)の力学的な補強として、穴あきフィルムを接着剤で接合させてもよい。また、フィルター材と繊維基布とを組み合わせて用いてもよい。
捕集効率とは、JISZ8901に従って、0.3μmのフタル酸ジオクチル粒子を分散した大気を5cm/sの速度で濾過したときの捕集効率(以下、単に捕集効率という)をいい、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは90%以上であり、最も好ましいものとしては、99%以上である。
また、粒径4μm以上の大きな粒子に対しては、90%以上の捕集するのが好ましく、より好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.9%以上で、最も好ましいものとしては、99.99%以上である。
プレフィルターとして、捕獲効率の低いもので除湿剤を包み、その周囲をさらに捕集効率の高いもので包むような多層構成を取るのがより好ましい。これらのフィルターや繊維基布を、袋状、筒状、ディスク状に成型し、その中に除湿剤を入れる。
もちろん、除湿を目的とするため、防塵性を有する材料は透湿できる必要があり、その水蒸気透過率は、高くする必要がある。少なくとも100g/m2・24hr以上であることが好ましく、より好ましくは500g/m2・24hr以上、さらに好ましくは1000g/m2・24hr以上である。水蒸気透過率(透湿度)は、JISL−1099(A−1法)に従って測定することができる。
また、防塵性を有する材料の有効面積(一方の面が除湿剤(この除湿剤はさらに別の防塵性を有する材料に覆われていても良い)の存在する空間に接し、かつ、もう一方の面が梱包材内空間に接している部分の面積)は好ましくは10〜5000(より好ましくは100〜1000)cm2である。前記数値範囲の下限値を下回ると吸湿性不足となり、上限値を上回ると発塵が多くなり、いずれも好ましくない。
なお、防塵性を有する材料についてプレフィルターがある場合は、前記防塵性を有する材料の諸特性(防塵性など)は、除湿剤から見てプレフィルターよりも外部にある梱包材内空間と直接接しているフィルターの方の諸特性と等しいと判断するのが妥当である。
このようにして、本発明の梱包材で基板を収納した後、必要に応じて、さらに、プラスチックダンボールや緩衝材からなる外梱包箱にこれらを収納するのがより好ましい。
本発明は、基板の防湿を目的としたものであり、該基板が、少なくとも基板上に、樹脂をコーティングしてなるものに対して、特に有効である。本発明は、その中でも、ガラス基板上に、着色剤を樹脂中に分散させてなる複数色の画素、オーバーコート、透明電極をこの順に有してなるカラーフィルタ基板等の電子材料に対して、特に有効である。
一般に、液晶表示素子用カラーフィルタは、光透過性基板上に形成された赤、青、緑の三原色を一絵素として多数の絵素から構成されている。そして各画素間には、表示コントラストを高めるために遮光領域(画面上では、一般に黒色に見えることから、ブラックマトリクスと称されている)が形成されている。
本発明の梱包材に好適に収納される基板の一例として液晶表示用カラーフィルターがあり、これについて一例を示し、説明する。まず最初に、カラーフィルタに用いられる基板としては、特に限定されるものではなく、光透過性を有する石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラスなどの無機ガラス類、有機プラスチックのフィルムまたはシートなどが好ましく用いられる。
光透過性基板上に必要に応じてブラックマトリクスを形成しても良い。ブラックマトリックスとしては、特に限定されないが、Cr等の金属薄膜、あるいはカーボンブラック、チタンブラック等の遮光剤により着色された樹脂をパターンニングすることにより形成することができる。また、遮光剤により着色された樹脂としては、特に限定されず、エポキシ系樹脂、アクリル系、ポリアミドイミドを含むポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂などの感光性、または非感光性の材料を用いることができる。別の方法として、画素の一部を重ね合わせることにより、ブラックマトリックスを形成することもできる。金属薄膜からなるブラックマトリックスに対して、これら樹脂ブラックマトリックスや色重ねブラックマトリックスの方が、環境面から好ましい。
次に、複数色の画素をブラックマトリクスの開口部に形成する。通常、画素は、赤、青、緑の3色であり、着色剤を樹脂中に分散、または溶解させた着色ペーストを、光透過性基板上に塗布、熱乾燥した後、フォトグラフィー法により、ブラックマトリックスの開口部に位置合わせしてパターンニングして設けるのが一般的である。画素に用いられる着色剤としては、有機顔料、無機顔料などを好適に用いることができる。有機顔料としては、フタロシアニン系、アジレーキ系、縮合アゾ系、キナクリドン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系などが好適に用いられる。画素に用いられる樹脂としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミドイミドを含むポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂などの感光性、または非感光性の材料が用いられている。カラーフィルタは、複数色の画素からなるので、不必要な部分をフォトリソグラフィ法で除去し、所望の第1色目の画素パターンを形成する。不必要な部分とは、後工程で形成予定の画素部や画素以外の光透過性基板の周辺部などである。同様の方法で、第2、第3の画素を形成させる。
その後、必要に応じて、画素パターン上にオーバーコートを形成させる。オーバーコートに用いられる樹脂としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミドイミドを含むポリイミド系樹脂、アクリル−エポキシ系樹脂などの感光性、または非感光性の材料が用いられている。
さらに、この上に透明導電膜を形成させて、液晶表示素子用カラーフィルタ基板を製造する。透明電極としては、通常、ITO、酸化亜鉛等が用いられており、スパッタリング、真空蒸着などの真空薄膜形成法を用いて積層する。
このようにして製造された液晶表示素子用カラーフィルタは、一旦吸湿すると脱水が困難であり、また経時変化により、各層の密着力を劣化させたり、水酸化物化させたりして好ましくない。また、本発明の防湿効果は、樹脂ブラックマトリックスやオーバーコートを用いたカラーフィルタにその効果が顕著に現れる。これは発明者の推測であるが、これらのカラーフィルタは有機樹脂層の膜厚が厚く、多層にわたるため、吸湿の影響が顕著に現れるものと考えられる。
実施例
次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
図1は、ガラス基板収納用梱包箱を示した斜視図である。この梱包箱は高アクリロニトリル樹脂の射出成形品からなり、透視性を有している。梱包材内空間は43cm×42cm×26cmである。本体1と蓋体2の間は、いずれもSUS製のバックル方式の係合手段3によって係合および切り離し自在に構成されている。
本ガラス基板収納用梱包箱中に400×500×0.7mmの液晶表示用カラーフィルターを20シート収納した。カラーフィルターは、無アルカリガラス上に、1μm厚みの樹脂ブラックマトリックスパターン、1.5μm厚みの赤、青、緑画素パターン、1μm厚みのオーバーコート、0.15μm厚みのITO膜を、この順に積層したものである。
本構造のガラス基板収納用梱包箱の係合部は気密性に乏しく、数ヶ月に及ぶ保管では、吸湿が生じる。このため、まず、シリカゲルを300gを捕集効率が70%、水蒸気透過率7000g/m2・24hrの繊維状四フッ素エチレン樹脂フィルター(不織布)で包み周辺を接着剤でシールして有効面積が200cm2とし、さらにその周囲を捕集効率が99.9%以上、水蒸気透過率5000g/m2・24hrの繊維状四フッ素エチレン樹脂フィルター(不織布)で包みシールして有効面積が250cm2となるようにした。この除湿剤を、ボックスの外側にテープで貼り付け、その後全体を水蒸気透過率1g/m2・24hrのアルミ蒸着したポリエチレンとポリエステルフィルムをラミネート袋で梱包した。袋の面積は1.2m2であった。梱包袋内を十分脱気した後、袋の口をヒートシールして閉じた。
この後、保管倉庫まで貨物車で輸送し、平均気温25℃で相対湿度80%の環境下で4ヶ月保管した。カラーフィルター基板をTFT基板と張り合わせ液晶表示パネルを作製したが、液晶注入時の気泡発生はなく、特に不良も発生しなかった。また、カラーフィルターを260℃1時間熱風オーブンで耐熱試験をしたと特に異常はなかった。
実施例1に用いたガラス基板収納用梱包箱の本体1と蓋体2の係合部の設計のみを変更した。すなわち図2に係合部の断面を示すが、本体の係合部には、幅4mm、深さ2.5mm溝を設け、その中に直径4mmのOリングゴム4を設けた。そして、本体1と蓋体2は、いずれもSUS製のバックル方式の係合手段3によって係合され、密閉性が向上した構成となっている。 この箱の水蒸気透過率は0.5g/24hrであった。 本ガラス基板収納用梱包箱中に、実施例1と同じ400×500×0.7mmの液晶表示用カラーフィルターを20シート収納した。
次に、シリカゲルを300gを捕集効率が10%、水蒸気透過率が10000g/m2・24hrのポリエステル不織布で包み、さらにその周囲を捕集効率が99.9%以上、水蒸気透過率が6000g/m2・24hrの防塵性基布で包んだ。有効面積は実施例1と同じとした。防塵性基布は、70デニールのポリエステルを経糸密度165/吋、緯糸密度115/吋にしてウォータージェットルームで製織した高密度織物生地、無空タイプの高級収ポリウレタン樹脂フィルムをローラーで押圧して接着剤で接着し、ナイロントリコット編織物を点接着法で接着したものである。この除湿剤を、ボックスの内側にテープで貼り付けた。このようにして、ボックス内の水蒸気を除去した。
この後、保管倉庫まで貨物車で輸送し、平均気温25℃で相対湿度80%の環境下で4ヶ月保管した。カラーフィルター基板をTFT基板と張り合わせ液晶表示パネルを作製したが、液晶注入時の気泡発生はなく、特に不良も発生しなかった。また、カラーフィルターを260℃1時間熱風オーブンで耐熱試験をしたと特に異常はなかった。
比較例1
実施例1と同様にして、図1に示すガラス基板収納用梱包箱中に400×500×0.7mmの液晶表示用カラーフィルターを20シート収納した。
本構造のガラス基板搬送用ボックスの係合部は気密性に乏しい。シリカゲルを300gを捕集効率が5%、水蒸気透過率10000g/m2・24hrのポリエステル不織布で包み周辺を接着剤でシールしたもので包んだ。有効面積は、250cm2とした。この除湿剤を、ボックスの内側にテープで貼り付た。本梱包箱の水蒸気透過率は、30g/24hrであった。 この後、保管倉庫まで貨物車で輸送し、平均気温25℃で相対湿度80%の環境下で4ヶ月保管した。カラーフィルター基板をTFT基板と張り合わせ液晶表示パネルを作製したが、液晶注入時に気泡が残り、異物による黒点不良も多発した。また、カラーフィルターを260℃1時間熱風オーブンで耐熱試験をしたところ、画素パターンの端部において、弱いITOクラックが生じた。
本発明は、基板の保管、搬送を目的とした基板収納用梱包材に利用可能である。特に、基板上に樹脂等の有機物をコーティングしたもの、例えば液晶表示素子に使用されるカラーフィルター基板等を保管、搬送するために好適に用いる梱包材に利用可能である。
ガラス基板収納用梱包箱の一例を示した斜視図である。 ガラス基板収納用梱包箱の係合部の断面図である。 別の態様のガラス基板収納用梱包箱の係合部の断面図である。 乾燥剤の断面図である。
符号の説明
1:本体
2:蓋体、
3:係合手段
4:Oリングゴム
10:梱包材内空間
21:捕集効率の小さい材料
22:捕集効率の大きい材料
23:乾燥剤

Claims (3)

  1. 基板を収納する梱包材において、水蒸気透過率が10g/24hr以下であり、かつ該梱包材内空間に防塵性及び透湿性を有する材料を介して除湿剤を具備することを特徴とする基板収納用梱包材。
  2. 該防塵性を有する材料の捕集効率が30%以上であることを特徴とする請求項1記載の基板収納用梱包材。
  3. 該基板が、少なくとも基板上に着色剤を樹脂中に分散させてなる複数色の画素、オーバーコート、透明電極をこの順に有してなる液晶用カラーフィルタ基板であることを特徴とする請求項1又は2記載の基板収納用梱包材。
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