JP2005111960A - 透明樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
高光沢な白色性や黒色性、メタリック性、その他の各種の色材を混合した不透明性、或はこれらを背景として、各種の意匠性の高い絵柄模様を有する浴槽等を簡便に作製する方法を提供する。
【解決手段】
透明樹脂板に着色材及び樹脂成分を含有するインキ組成物により着色層が設けられ、さらにFRP層を設けた透明樹脂成形品であって、着色層が110〜200℃の範囲において200%以上の伸び率を有することを特徴とする透明樹脂成形品。

Description

本発明は、改良された模様入り浴槽や洗面ボール等に好適な透明樹脂成形品及びその製造に関する。
近年、住宅の高級志向に伴い、バスルームの色調、柄と、浴槽の色調、柄とを合せたいとのニーズが増加している。このような要望に対応し、これら浴槽や洗面台へ模様を施すには従来より、不飽和ポリエステル樹脂等の樹脂成分及び顔料を含有するチキソトロピー性の塗料組成物である、いわゆるゲルコート塗料を用いて透明アクリル樹脂成形体の裏面から吹き付け塗装することにより、単色あるいは多色の模様を付加することが行われている。
その他、例えば、バスルーム全体を大理石模様に統一する観点から、透明アクリル樹脂板の片面に、大理石模様の印刷を施し、この大理石模様が裏面になるように浴槽の形状に熱成形し、当該裏面上に大理石模様を浮き出させるために白色顔料を含有したFRPの補強層を設けた大理石模様入り浴槽が知られている(特許文献1)。
また、透明アクリル樹脂板の片面に印刷された装飾模様をアクリル樹脂系フィルムで被覆してなるアクリル樹脂複合板を、前記透明アクリル樹脂板が裏側表面となるように所定の形状に成形し、その背面にFRPの裏打ち層を設けた構造も知られている(特許文献2)。アクリル樹脂系フィルムで被覆することにより、FRP裏打ち層に対する模様面の保護、ブタジエン含有アクリル樹脂フィルム使用による耐衝撃強度の増大、隠蔽性の付与などを目的としたものである。
また、裏面上に前もって合成樹脂系インキで印刷して大理石模様を施した浴槽・洗面ボール等所望の形状の透明アクリル樹脂成形品の該裏面上に、厚み0.3mm程度の不透明なプライマー層を設け、さらにその上にFRPの補強層を設けてなる大理石模様入り浴槽等が知られている(特許文献3)。プライマー層を設けることにより、FRP補強層を設ける際の亀裂、気泡の除去、耐衝撃性のアップを図っている。
しかしながら、ゲルコートを用いた従来の方法や特許文献1記載のようにFRPの補強層中に白色顔料等を含有させる方法では、高光沢な白色性や黒色性、或はこれらを背景として各種の意匠性の高い絵柄模様を作製することができず、得られる白度や漆黒性にも限界がある。
特に、特許文献1の方法では、模様を浮き出させるための白色層をFRP層が兼ね備えている構造なので、必然的に成形体の表側からFRP層中のガラス目が見えてしまうことになる。また、特許文献1には、模様を形成するために使用するインキと印刷方法についてはごく一般的な説明しかないが、一般的な合成樹脂インキで印刷された模様部は、浴槽等としての高温の使用条件下では、アクリル板との密着性、耐熱性も十分でなく経時により損なわれていくという問題がある。
また、ゲルコートを用いて加飾する方法では、ゲルコートをスプレー塗装するのにかなりの手間、熟練、時間を要し、さらに加熱してゲルコートを硬化させる工程を要する。また、アクリル板を浴槽等の形に成型した後に加飾するため、不良が発生した場合の損失も大きくなる。
また、以上説明した従来技術による浴槽等の成形品では、アクリル樹脂板の成形前に施された模様はいずれも大理石模様である。これは、大理石模様の場合、成形時にアクリル板の形状変化に追随して模様が変化してもやはり大理石模様のままであり、成形時の成形条件等で製品ごとにアクリル樹脂板の伸びが異なり微妙に印刷模様が変わっても、天然の大理石に近い模様が得られることには変わりなく、都合が良いからである。これに対し、花柄や幾何学模様の場合、浴槽の成形前に印刷すると、特に浴槽のような深絞りの場合、成形中に模様の形が崩れてしまう。従って花柄や幾何学模様の印刷は浴槽の成形後に行わなければならないが、成形後は、浴槽の曲面的形状のゆえに、印刷が困難である。
そこで、例えば特許文献4には、花柄や幾何学模様が印刷された浴槽を提供する方法として、所定の形状に成形された透明のアクリル樹脂成形品の裏側のほぼ平坦な面と、該平坦な面の上に貼着されたフィルムとの間に位置づけられ、前記平坦な面上に設けられた接着剤層、該接着剤層の上に所定の模様が形成された印刷層、該印刷層を含む前記アクリル樹脂成形品の裏側の面に形成された不透明なプライマー層と、さらにその上に形成されたFRPの補強層からなる浴槽の構造、あるいは浴槽の形状に成形された透明のアクリル樹脂成形品の浴槽フランジ部や浴槽内上部周縁などの裏側のほぼ平坦な面に前記印刷層を含むフィルムを接着剤層を介して貼着し、前記フィルムの上から熱圧着により所定の模様を前記平坦な面に熱転写し、前記接着剤に前記印刷層を固定させた上、不透明なプライマー層を設ける工程からなる浴槽に模様を閉じこめ浮き出させる方法が提案されている。
しかし、一般に絵柄模様の平均的な印刷画素面積は40%程度であり、FRPのガラス繊維が見えたりする欠点がある点では特許文献1〜4記載の方法ともに共通している。
かといって、FRP層が見えなくなる程に模様層を厚くしたり隠蔽性を持たせようとした場合、一般にはインキ中の顔料比率がバインダー樹脂に対して高くなる傾向にあり、アクリル板を熱真空成型する場合、特に浴槽等のように大きな深絞り適性が要求される成型品のような場合には、塗膜層が熱成型時にひび割れてしまうような問題を生じる。このようなひび割れは、たとえ目に見えないようなものであっても、FRPの補強層を設けた場合、その中のスチレンなどにより、更なるひび割れを増大させてしまうという問題があった。
また、特許文献4の方法のように、透明アクリル樹脂板の片面に絵柄模様の印刷を施し、この絵柄模様が裏面になるように浴槽の形状に熱成形し、当該裏面上にFRPの補強層を設けた場合、一般にFRP中に含有するスチレンにより、非絵柄模様部であるアクリル部や深絞り成型により非常に薄膜化された絵柄模様が侵食され、クラックなどが発生し、現実には使用に耐えられるものではない。
また、特許文献3記載の方法は、プライマー層を設けることにより特許文献1の方法の欠点の多くを改良するものであるが、厚み0.3mm程度のプライマー層を成型された後のアクリル基板の全体に均一に設ける必要があり、高度な技術が要求される上、該プライマー液塗工後の乾燥過程でプライマー液中の成分がアクリル板や絵柄模様層を侵食することがある。
このように特許文献1〜3に記載のような、アクリル板の成型前に加飾する方法ではいずれも問題があることから実用化は困難であり、現実には、多色模様を形成する場合であっても、前述した、成型後にゲルコートをスプレー塗装して加飾する方法が、広く行われているのが実情である。
特公昭56−28533号公報 実公昭55−47431号公報 特公昭56−27259号公報 特開平10−168号公報
本発明は、以上各種の従来技術の欠点を解決し、高光沢な白色性や黒色性、メタリック性、或いはこれらと各種色材を混合した不透明性、或はこれらを背景として各種の意匠性の高い絵柄模様その他各種の色彩や模様を有する浴槽等を簡便に作製する方法に関するものである。更に、FRPの補強層を設ける際にアクリル基板や色材含有層にクラックなどのひび割れを防止することを目的とする。
本発明者らは上記の課題に鑑みて鋭意検討を行い本発明に到達した。すなわち本発明は、
(1)透明樹脂板に着色材及び樹脂成分を含有するインキ組成物により着色層が設けられ、さらにFRP層を設けた透明樹脂成形品であって、着色層が110〜200℃の範囲において200%以上の伸び率を有することを特徴とする透明樹脂成形品、
(2)透明樹脂板に着色層を設けた後に成型を行い、さらにFRP層を設けたものである上記(1)記載の透明樹脂成形品、
(3)透明樹脂板に顔料及び樹脂成分を含有するインキ組成物により着色層を設け、成型を行い、さらにFRP層を設ける透明樹脂成形品の製造方法であって、着色層が110〜200℃の範囲において200%以上の伸び率を有することを特徴とする透明樹脂成形品の製造方法、
(4)透明樹脂成形品が浴槽または洗面ボールであることを特徴とする上記(3)記載の透明樹脂成形品の製造方法、
(5)着色層が転写フィルムにより設けられたことを特徴とする上記(3)又は(4)に記載の透明樹脂成形品の製造方法、
(6)フィルム状基材上に、顔料及び樹脂成分を含有し且つ110〜200℃の範囲において200%以上の伸び率を有する着色層を設けてなる転写シート、
(7)着色層上に接着層を有する上記(6)記載の転写シート、
(8)上記(6)又は(7)記載の転写シートを用い透明樹脂板に転写して着色層を設け、その後、該透明樹脂板を成型することを特徴とする透明樹脂成形品の製造方法、
(9)透明樹脂板上に一部に印刷されていない部分を有する着色層を施し、成型後、前記印刷されていない部分に、転写法により絵柄模様を転写し、さらに、FRP層を設けることを特徴とする透明樹脂成形品の製造方法、
(10)上記(1)記載の透明樹脂成形品であって、該着色層とFRP層の間にゲルコート層を設けていることを特徴とする透明樹脂成形品、
(11)透明樹脂板に、着色材及び樹脂成分を含有するインキ組成物を用いて110〜200℃の範囲において200%以上の伸び率を有する着色層を設けた後、成型を行い、さらに透過率が3.5%以下である着色層を設け、さらにFRP層を設ける透明樹脂成形品の製造方法、
(12)透過率が3.5%以下の着色層を設けてなる透明樹脂板、
(13)透過率が3.5%以下の着色層を設けた透明樹脂成形品、
(14)透明樹脂板に、透過率が3.5%以下の着色層を設けた後に、成型を行うことを特徴とする透明樹脂成形品の製造方法、
(15)着色層が、110〜200℃の範囲で200%以上の伸び率を有することを特徴とする上記(14)記載の透明樹脂成形品の製造方法、
に存する。
本発明によれば、高光沢な白色性や黒色性を有する成形品や、その他各種の意匠性の高い絵柄模様を有する成形品を簡便に作製することができる。更に、FRPの補強層を設けてもアクリル基板や色材含有層にクラックなどのひび割れが発生しないようにすることができる。
特に、ゲルコートを用いずに遮蔽性の層まで成形前に施しておく態様により、大幅な工程の簡略化が可能である。例えば、浴槽一台当たりの工程で見た場合、ゲルコートスプレー工程に10〜15分、常温セッティング時間に約10分、ゲルコート(加熱)硬化時間に40〜60分要していたが、本発明ではこれらを大幅に短縮できる。
また、予めアクリル樹脂板への直接印刷あるいは転写フィルムによる印刷を行ったものを使用して成形すれば、成形品メーカーは、着色工程に関する全ての設備、時間、スペースが不用となりメリットは大きい。
また、本発明は、浴槽、洗面ボールなどに限らず、浴室及び洗面カウンター、外壁、内壁用、タイル、家電製品、カヤックなどの各種FRP成型品、看板、自動車等車両の内装部品の高意匠化に展開が可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔透明樹脂成形品〕
本発明の透明樹脂成形品とは、次に説明する透明樹脂板を形成してなる各種の成形品であって、代表的には浴槽、洗面ボールが挙げられるがこれらに限られない。また、成形品自体は一部又は全部が着色されているものである。
〔透明樹脂板〕
本発明で好適に使用される透明樹脂板としては代表的には透明アクリル樹脂板、例えばポリメチルメタアクリル酸エステル製板が挙げられる。このような透明アクリル樹脂板は,一般に注型重合板,連続重合板,及び押出板などに分類されるが、いずれも好適に使用できる。また板厚は浴槽の場合で3〜7mm程度,洗面ボールの場合で2〜4mm程度のもので充分な強度を有し、傷がついたり、割れたりする心配はない。このような透明アクリル樹脂板は光線透過率が92%と通常ガラスより優れており、屈折率は入射角が42度以上になると殆どの光線が樹脂板内を進行していくため模様自体の深みを生じ鮮明に見える。このように透明アクリル樹脂板は優れた性能を有しており好ましく用いられ、通常はアクリル樹脂板自体は無色透明であるが、たとえ一部若しくは全部を着色したものであっても、裏面に着色層を設けることにより表側からそれを見ることができる透明性を有していれば、本発明に使用することは差し支えない。
〔インキ組成物〕
本発明はこのような透明の樹脂板に着色して、着色された成形品を得るものである。
着色に際し、特定の組成物を用いる。すなわち少なくとも着色材と特定の樹脂成分を含有するインキ組成物である。着色材としては、樹脂成形品の表面に着色を施すのに用いうるものであれば、特に制限なく使用でき、染料、顔料が挙げられるが、顔料が耐候性の面からは好ましい。また顔料は後述する隠蔽性付与の面からも好ましい。顔料としては、従来公知の白色顔料、黒色顔料、金属顔料、その他の各種の着色顔料、およびこれらの混合系顔料などを適宜使用することができる。白色系、黒色系、メタリック系の顔料も好適に用いられる。
白色系の顔料としては酸化チタンが代表的であり、黒色系の顔料としてはカーボンブラックが代表的であり、メタリック系の顔料としてはパール顔料が挙げられる他、アゾ顔料、フタルシアニン顔料、縮合多環顔料等も用いられる。
樹脂成分は、バインダー機能を有するものを用いるが、本発明では特に、110〜200℃の範囲での伸び率が200%以上となる着色層を形成しうるインキ組成物とする。
着色層の伸び率の測定は以下の方法で行うことができる。ポリメチルメタアクリル酸エステルシート1mm、5cm×10cmを試験片として用いこれにインキを30μmの膜厚(乾燥後の厚み)に塗工する。塗工方法は限定されないがスクリーン印刷によれば簡便に30μmの膜厚を形成できる。この試験片の5cmの一片を固定することにより長手方向に垂直に設置して下端に2Kgの重りを付けた状態(図1)で、電気炉にて110〜200℃で20分加熱後の伸びを測定しこの伸びの長さの元の長さに対する割合を伸び率とする。測定中に透明樹脂板が千切れた時はその時点での伸びの長さの元の長さに対する割合を伸び率とする。こうして得られる伸び率が200%以上となるような、インキ組成物を、本発明では用いて透明樹脂板を着色する。着色層の膜厚の測定は、膜厚計で行うことができる。
着色層の伸び率は200%とするが、通常は200〜1500%とすればよく、好ましくは300〜1500%である。また目的とする成形品の形状に要求される型の絞りの程度にもより、浴槽を代表とする深絞りの形状であれば800〜1500%が好適であり、さらに900〜1500%が一層好適であり、さらに1000〜1500%が最も好適である。一方、洗面ボールといった絞りのやや浅い形状であれば800%未満のものでも十分である。
樹脂成分としては熱可塑性樹脂が好ましい。より具体的には、例えばアクリル樹脂系、塩ビ樹脂系、ウレタン樹脂系、ナイロン樹脂系、ブチラール樹脂系、アイオノマー樹脂系及びこれらの共重合系などから適宜選択して用いられる。特に、アクリル樹脂系、塩ビ樹脂系、ブチラール樹脂系は浴槽のような深絞り成型品を作成する場合にも樹脂板への追従性、密着性等に優れ、さらに熱変色、耐スチレン性等の物性も総合的に優れる。特に、水酸基等密着性向上に寄与する官能基を20モル%以上、特に30モル%以上含有する樹脂であって熱可塑性が高く加熱時の伸び率の高いものが好ましい。特に、水酸基及び/又はカルボキシル基を20モル%以上含有する熱可塑性樹脂、さらには水酸基及び/又はカルボキシル基を30モル%以上含有する熱可塑性樹脂がより好ましい。このような樹脂を含有し且つ前述した伸び率を有するインキ組成物として用いるのが好ましい。
樹脂成分の重量平均分子量は通常8,000〜10万、好ましくは1万〜5万、さらに好ましくは20,000〜31,000である。
樹脂成分と顔料の配合比率は限定されないが通常、顔料100重量部に対し樹脂成分(固形分換算)10〜60重量部、特に好ましくは20〜50重量部、さらに好ましくは30〜50重量部である。本発明においてはこのように比較的高い顔料比率で伸び率の高い樹脂成分と組み合わせることにより隠蔽率が高く意匠性の高い成形体が、効率良く製造できるという効果を達成できる。
インキ組成物は上述した着色材と樹脂成分とを含有するものであって前述した特定の温度で特定の伸び率を有するものであればよいが、使用する印刷方法に応じて適宜溶剤を配合して粘度を調整してインキ組成物として用いる。
〔着色層の物性及び着色層の形成方法〕
着色層の柄は特に限定されず白色系、黒色系、メタリック調等単色層の他、花柄模様、石目模様等各種の模様を施してもよい。
着色層としては隠蔽性を有するものが望ましい。ここで隠蔽性とは、成形品の裏側が透けない程目隠しする機能を指し、以下に説明する方法により求められる透過率が3.5%以下のものであれば望ましいレベルの隠蔽性がある。より好ましくは3.0%以下のものである。
透過率は、アクリル板の着色層とは反対側の面を表側とし、表側から、分光光度計(DCI株式会社製「SF-600」あるいはこれと同等の精度を有する測定装置)により透過光を測定することにより求める。
成形品に模様を施す場合、模様の層が十分な隠蔽性を有するのであれば着色層としてはこの模様の層で十分であり、模様の層を施した後に成形を行い、その後FRP補強層を設ければよい。この場合は、この模様の層のみを、上述した特定の伸び率の着色層を供するインキ組成物で形成すれば足りる。しかし、模様の層の隠蔽性が十分でない場合には、さらに隠蔽性の高い無地の着色層を設けて隠蔽性を確保した上で成形を行うことが好ましい。この場合には、模様の層と無地の層との両方を、上述した特定の伸び率の着色層を供するインキ組成物で形成する必要がある。図4に、このように複数層の着色層を設けた状態を示す。図3は、透明樹脂板上に隠蔽性の着色層一層をを設けた状態を示す。
なお上述した特定の伸び率の着色層を供するインキ組成物での着色は、透明樹脂板全面にわたって行うことが作業効率上は好ましいが、少なくとも成形により変型する度合いの大きい箇所、例えば成形品の底面と側面の間や側面と側面の間の局率の大きい部分にこのインキ組成物を用いる。
模様の形成方法は限定されず直接透明樹脂板に印刷してもよいが、その他、例えば樹脂板表面の一部に、印刷されていない部分を設け、その部分に、より複雑な模様を直接印刷したり転写シート等により転写することもできる。図2にこのような実施態様を示す。図2−aは、透明樹脂板に着色層を印刷し、真空成型する様子を示す概念図である。図2−a’は、図2−aにおける成型後の、底面の断面図の概念図である。図2−bは、成型後の底面に転写シートで模様を付与する様子を示す概念図である。図2−b’は、転写シートの絵柄部の断面の概念図である。
このように本発明により透明樹脂板に隠蔽性の着色層を設けることによる効果の一つの効果として、前述した特定の伸び率を有する着色層を供するインキ組成物を用いることにより成型時の着色層の微細なひび割れを防止できる点が挙げられる。
また、他の効果として、従来技術のように透明樹脂板の裏面の一つには、FRP補強層に白色顔料、黒色顔料や他の顔料を含有させた場合や、裏面にゲルコート層を設けた場合に比べて非常に高光沢で白度、漆黒性に優れた、意匠性の高い成型品が得られることが挙げられる。例えば本発明の方法で白色顔料を用いれば琺瑯引きのような意匠性が得られる。この理由は完全には明らかではないが、本発明により白色顔料と樹脂成分とを含有するインキにより前述した特定の伸び率を有する白色の着色層を設けた成形品は、例えば、L*≧79、a*≦−0.45、b*≦1.0というような白度の高く青味がある美観に優れた白色成形品を得ることができることが分かった。
本発明の他の一つの効果として、従来技術におけるFRP層のガラス繊維などが透明樹脂板を通して外部から見えるため極めて見苦しいという問題や、FRP中に一般に含有されるスチレンなどにより、アクリル基板そのものが侵食されたり、インキを溶解したり溶解まで至らなくともクラックを発生させるなどの種々の問題点が解決できる点がある。更に他の一つの効果として、例えば特公昭56−27259号公報記載の発明のように成型後に成型品に追従させて厚いプライマー層を設ける方法に比べ、より薄膜で、非常に簡便に高意匠性の成形品を作製できることが挙げられる。
なお、着色層の形成方法は特に限定されない。各種の印刷方法、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、ロールコーターによる印刷等、公知の印刷方法を用いることができる。
着色層の膜厚は特に限定されないが、通常、2〜500μmである。2〜30μmもあれば遮蔽性の面でも十分である。500μmを超えても実用不可能なわけではないが、あまり厚すぎると塗膜からの泡抜けが十分でなくボイドが発生する危険がある。グラビア印刷やスクリーン印刷による場合は2〜30μmが一般的であるが、ロールコーターを用いた場合はより厚膜となる。2μm未満だと、FRP補強層中のスチレンなどに対して耐性に欠け、クラックが入ることがある。
また、耐スチレン性という観点からすれば、スチレンに溶解しないものが、より好ましいが、スチレンの硬化するまで耐性があればよく、スチレンに溶解性を有する樹脂であっても、適正な膜厚の選択により対処可能である。
〔転写法による着色層の形成〕
着色層の形成方法としては前述したようなスクリーン印刷、グラビヤ印刷、ロールコーター等で直接樹脂板面に形成する他、転写法を利用して着色層を設けることもできる。転写法の利用は同一の意匠の浴槽などを大部数作製したいような場合には、特に有効な方法である。転写法は、転写シートにおいて一般に用いられる種々の公知のフィルム状基材上に、グラビア印刷法など各種の印刷方法により、前述したインキ組成物を用いて所定の膜厚及び伸び率を有する着色層を形成して転写シートを得る。
フィルム状基材としては一般にはPET(ポリエチレンテレフタレート)が安価であり好ましいが、その他、アクリル樹脂製フィルムであれば剥離することなくそのままの状態で熱成型を行っても良い。着色層としては前述したような実質的なベタ印刷層とする他、ベタ印刷層に一部印刷していない部分を設けてその部分に絵柄模様を施したものでもよい。フィルム状基材上への絵柄模様の形成に際しては、スクリーン印刷、グラビア印刷の他、溶融転写や昇華転写法、電子写真法、インクジェット法など各種の方法を制限なく用いることができる。
着色層の上にさらに必要に応じて接着剤層を設けてもよい。この転写シートの着色層側あるいは接着剤層側の面を、透明樹脂板の表面に重ね合わせ、熱ラミネータ等により熱転写をおこない、透明樹脂板上に着色層を転写する。転写後は、転写シートのフィルム状基材は剥離して構わないが、転写シートがアクリルフィルム等のように伸び率が高く成形体に追従しうる材料であれば、剥離することなくそのままの状態で、以下に説明するように成型工程を行ってもよい。
図5に、転写法による実施態様を示す。
また、全体的に更に耐スチレン性を増す為に、前記転写シートにおいて、不透明顔料の着色層とPETフィルムの間に、110℃から200℃の範囲において200%以上の伸び率を有し、耐スチレン性を有するPETフィルムと剥離性を有する樹脂を膜厚1〜20μm設けてもよい。図6に、このような耐スチレン層を設けた実施態様を示す。
〔透明樹脂板の成型〕
本発明の製造方法では、透明樹脂板に、所定の物性を有する着色層を設け、その後、成型する。さらにその後、FRP層等の補強層を設ける。
このような順序で着色・成型する本発明の製造方法によれば、代表的な深絞り成形品である浴槽などにおいても微細なクラックなども発生せず、耐スチレン性などを満足できるが、成形品によっては急峻な角度を有する場合がある。このような場合であってもその急峻な角度を有するコーナー部のみを部分的にアルコール可溶性ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂や無溶剤硬化性インキで刷毛塗りなどをすることにより保護できる。
透明樹脂板の成型は、真空成型、ブロー成型、圧空成型、プレス成型などの熱成型手段等、公知の各種の成型手段を用い、所望の浴槽や洗面ボールなどの成型品に成型する。
成型条件に関しては、用いるアクリル樹脂板の板厚及び合成樹脂インキの性質などを考慮して適宜、温度、処理時間などを決めればよい。かかる成型時においては、本発明の場合成型性が極めて優れている為、成型不良がほとんどなく、きわめて有利に成型される。
花柄模様などの複雑な模様を変形なく浴槽に設ける場合には、図2のように、透明樹脂板表面の一部に印刷されていない部分を設けた状態で成型を行い、成型後に転写法で複雑な模様を転写することができる。転写法に用いる転写シートを得るには前述した方法によればよい。しかし、ここで用いる転写シートへの絵柄印刷には、従来より公知のインキを使用してもよいが、前述した所定の伸び率のインキ組成物で絵柄模様を作製することがより好ましい。なぜならこのようなインキ組成物は伸び率及び密着性、隠蔽性にも優れているので高い意匠性の成形品を得るのに好都合だからである。
この場合、転写面は接着剤を介して成形品に接触させればラミネート法のように加熱する必要がないので、成型後の転写には好都合である。
以上のように透明樹脂板を成型し、さらに、公知の手段によりFRPの補強層が設けられる。例えば、不飽和ポリエステル樹脂、スチレンモノマー及び硬化剤に、さらに補強剤としてガラス繊維、充填剤としての各種顔料などを配合した系がFRP層として一般的である。また最近はノンスチレンタイプの不飽和ポリエステル樹脂系のFRPが市販されているがこのようなものも使用可能である。
転写法により着色層を設ける場合には熱転写法により着色層を接着させる他、接着剤を用いてもよい。この場合の接着剤は限定されないが、例えば従来いわゆるプライマーとして知られているものの他、FRPに含まれる不飽和ポリエステル等の樹脂、特にノンスチレンタイプの不飽和ポリエステル樹脂が、スチレンによる塗膜浸食の問題もなく好適に用いられる。
なお、以上説明したように、裏面のFRP等の補強層を見えなくする機能を有する遮蔽性の着色層を透明樹脂板上に設けた後に成形することにより、成形後にゲルコート塗装で加飾する従来の方法に比べ、非常に大幅な工程の簡略化、作業時間の短縮化、不良発生時の損失の低減が可能である。しかし、着色層のうち模様の層であって隠蔽性が十分でない層のみを設けた後、成形し、さらにゲルコート塗装でゲルコート層を設けこれにより補強層を見えなくする隠蔽機能を負わせても構わない。成形前に隠蔽性の層まで施す方法に比べればゲルコート塗装と硬化という工程は要するものの、模様の形成までゲルコートで行う従来の方法に比べれば模様の形成は容易でありゲルコート塗布装置も簡略化でき製造プロセスの改善効果は大きい。
以上のようにして透明樹脂成形品を得ることができる。成形品の表面は、公知の超親水化剤や、抗菌化剤等により処理することもできる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明する。なお「部」及び「%」は特にことわりのない限り「重量部」及び「重量%」を示す。
〔実施例1〕
塩化ビニル/酢酸ビニル/マレイン酸を86/13/1(部)で共重合してなる樹脂(重量平均分子量31,000、180℃での伸び率1000%)と、白色顔料として酸化チタンとを樹脂/顔料:20/40(部)で含有し、溶剤としてシクロヘキサノン及びPMAの混合物を用いた白色インキ組成物(固形分濃度60%、粘度300ポイズ)を調製した。この同じ樹脂を用い黒色顔料としてカーボンブラックを用いた、樹脂/顔料:27/10(部)で含有し、溶剤としてシクロヘキサノン及びPMAの混合物を用いた黒色インキ組成物(固形分濃度63%、粘度200ポイズ)を調製した。
厚み5mmの真空成型用透明アクリル板の一方の面に、スクリーン印刷により各々のインキ組成物で、それぞれベタ印刷を施し、着色層の膜厚12μm(確認)の白色アクリル基板、黒色アクリル基板を得た。
〔透過率の測定〕
こうして得た白色アクリル基板の透過率をアクリル板側から測定した。測定には、分光光度計(DCI社製「SF-600」)により透過光を測定し、透過率を求めたところ2.7%であった。
〔成形品の作製〕
この後、印刷された各アクリル基板を、着色した面が裏面となるようにして、180℃で20分加熱して真空成型し、アクリル成型品を得た。成形品の形状は、最も薄くなった部分が1mmになるようにした。
その後、着色層を設けた側の面に厚さ5mmのFRP補強層(不飽和ポリエステル/スチレン/硬化剤、その他補強剤としてガラス繊維を含む)を設けて、透明アクリル樹脂製成形品を得た。この成型品は、FRP補強層の密着も良好であり、目視観察したところ地じれ、クラックなども発生せず、FRP補強層のガラス繊維が透けて見えることもなかった。また白色成型品では琺瑯びきのような感じ、黒色成型品では漆ぬりのような感じが得られ、ともに従来品では得られなかった高光沢で、高級感があるものが得られた。
〔比較例1、2〕
実施例1の白色インキを用い膜厚を変えて透過率(実施例1〔透過率の〕測定同様の方法による)が各々4.0%と12.0%となるように着色層を設けた以外は同様にして成形品を得たが、いずれも、成形品の表側からFRP補強層のガラス繊維が透けて見えてしまい、美観上問題があった。
〔比較例3〕
実施例1で用いたのと同じアクリル樹脂板を実施例1同様に成形し、その後、裏面から、ビニルエステル樹脂系ゲルコートホワイト(御国色素(株)製「ゲルコートZ」(商品名))を用いて白色塗装した。この白色成形品の白度を測定した。結果を表−1に示す。
〔白度の測定〕
実施例1で得た白色成形品と、ゲルコート塗料を用いた比較例3の成形品について、成形品の表側から、分光光度計(DCI社製 機種SF-600)の反射光(10deg)により、標準光源D65にて白度を測定した。結果を表−1に示す。実施例1の白色成形品は、ゲルコート塗料を用いた比較例1のものに比べて白度の高く、青味のあるより白く見える特徴のある物が得られたことがわかる。なお表−1中、△は比較例3の値との差違を示す。



〔透明樹脂板との密着性評価〕
実施例1の白色インキと比較例3で用いた「ゲルコートホワイトZタイプ」(御国色素(株)製)を用い、5mmのアクリル板に塗工した。このアクリル板を真空成型した後のアクリル板の厚みは1mmとなった。これら5mmと1mmのアクリル板に対し、引っ張り試験を行った。ゲルコートを塗工したアクリル板は、180℃、20分で加熱して硬化させた後に試験した。(なおゲルコートを塗工したアクリル板は真空成型できないので1mm厚のものについての試験結果はない。)
引張試験機としてアドヒージョンテスター(ELCOMETER社製)を用い、以下の(1)〜(6)の方法で、引張り試験方法を行い密着性を調べた。
(1)塗工面を#100ペーパーにてサンディング
(2)アセトンにて表面を洗浄
(3)エポキシ系硬化剤(「アラルダイトスタンダード・12時間ゆっくりタイプ」(ニチバン(株)製))にて治具と塗工面を接着する
(4)25℃×12時間放置
(5)治具と塗工面に基材が見えるまで切り込みを入れる
(6)引張り試験にて剥離時の数値を読む
試験結果は以下の表−2の通りであり、実施例1のインキは、真空成型後も、ゲルコートと同等以上の、優れた密着性があることがわかる。
〔耐熱水性評価〕
実施例1の白色インキ組成物と、比較例3で用いたゲルコートホワイトZタイプとを各々、5mm厚のアクリル板の片面に塗工した(厚みは各々表−3に示す通り)。さらに各々を表−3の条件で乾燥し、各塗工面にさらに表−3の通り第一積層及び第二積層を行い、さらにキュアーを行って試験片とし、予め色相を測定した。
これら試験片を、80±1℃で500時間煮沸した。その後、各々の試験片の、煮沸前との色差を求めた。結果を表−4に示す。目視で観察したところ、実施例1の白色インキ組成物を用いた試験片はクラック、膨れもなく、また表−4からわかるように、ゲルコートを用いたものに比べて色差は少なく耐熱水性に優れていることがわかった。
〔比較例4〕
アクリル樹脂版を浴槽形状(一般的な1600サイズ浴槽)に真空成形し、裏面にゲルコートを塗布した。塗布にはスプレーガンは口径2mm・霧化エアー圧4kg/cmを使用し、ゲルコート厚み0.5mm(乾燥前)を目標に吹き付けたところ、約15分要した。
ゲルコート塗布後、不具合検査・常温セッティングとして10分放置した後、50℃×40分の加温を行った。以上は浴槽のゲルコート塗装として一般的な工程であるが、トータル65分の時間を要した。実施例1〜6の方法では、成型後はゲルコート塗布工程を完全に省略することもでき、成型後の工程が大幅に短縮されることがわかる。
〔実施例2〕
実施例1において用いた樹脂成分に代えて、重量平均分子量60〜70万の超高重合度のPMMA樹脂(180℃での伸び率1000%)を用いた以外は実施例1と同様にして白色インキ組成物及び黒色インキ組成物を得た。白色インキ組成物の粘度は300ポイズ、固形分含有量は60%であった。黒色インキ組成物の粘度は200ポイズ、固形分濃度は63%であった。
これらのインキ組成物を用いて実施例1と同様にして各々、黒色成形品及び白色成形品を得た。これらの成形品も、FRP補強層の密着は良好であり、目視観察では地じれ、クラックなども発生せず、また白色成型品では琺瑯びきのような感じ、黒色成型品では漆ぬりのような感じが得られ、ともに従来品では得られなかった高光沢で、高級感があるものが得られた。
〔実施例3〕
実施例1で用いた樹脂成分を用い、実施例1同様に黒色インキ組成物及び白色インキ組成物を得た。さらに、実施例1で用いた樹脂成分を用いて、赤色顔料としてノバパームレッド、青色顔料としてシアニンブルーを用い、実施例1の黒色インキ組成物と同様の顔料対樹脂成分比率及び溶剤で配合して各々、赤色インキ組成物及び青色インキ組成物を得た。赤色インキ組成物の粘度は230ポイズ、固形分濃度は63%、青色インキ組成物の粘度は250ポイズ、固形分濃度は63%であった。
これら4色のインキを用いて、実施例1で用いたと同様の透明アクリル板上に大理石絵柄模様をスクリーン印刷した後、さらに白色インキ組成物を用いて一面にベタ印刷を施した。こうして着色層を設けた透明アクリル板を、実施例1同様に成型した。その後、実施例1と同様にFRP補強層を設けて透明アクリル樹脂製成型品を得た。この成形品は、FRP補強層の密着も良好であり、目視観察によれば地じれ、クラックなども発生せず、従来品では得られなかった高光沢で、高級感がある大理石調の製品が得られた。
〔実施例4〕
本実施例においては、転写法によるアクリル基板への印刷例を説明する。
厚さ25μmのPETフィルム上にグラビア印刷法により、実施例1で用いた白色インキ組成物を乾燥膜厚12μmになるように塗工した。
その後、この塗工面上にポリビニールアセタール樹脂(アセチル基3モル%、水酸基34〜37モル%、重量平均分子量9,000、180℃での伸び率1000%)を用い溶剤としてシクロヘキサノン及びIPAの混合物を用いた以外は実施例3の青色インキ組成物の調製と同様にして青色インキ組成物を調製した。得られた青色インキ組成物の固形分濃度は63%、粘度は250ポイズであった。この青色インキ組成物でスクリーン印刷により乾燥厚み2μmの水玉絵柄模様を塗工した。
その後十分に乾燥した後、塗工面を厚み5mmの真空成型用アクリル基板と重ね、ラミネーターにより熱転写を行った(140℃、0.4m)。この後、PETフィルムのみを剥離してアクリル基板上に印刷層を設け、その後は実施例1に従ってFRP補強されたアクリル成型品を作製した。FRP補強層の密着も良好であり、目視観察では地じれ、クラックなどが発生せず、また従来品では得られなかった高光沢で、高級感があるものが得られた。
〔実施例5〕
実施例4で用いたPETフィルム上に、まずアルコール可溶性N-メトキシメチル化ナイロンを乾燥膜厚2μmになるように塗工した(130℃での伸び率900%)。その上に、実施例4同様の方法で白色層、絵柄層を設けて転写シートを作製した。この転写シートを用い、実施例4と同様の方法により、成型品のコーナー角度が略80度以上になるような成型品を作製し、FRPの補強を行ったが、スチレンによるクラックは発生しなかった。
〔実施例6〕
実施例1で調製した白色インキ組成物を用い、実施例1同様の方法で透明アクリル板に白色印刷を行った。この際、図2に示すように、板の中心部に直径3cmの円形に、印刷されていない部分を有する着色層を設け、実施例1同様の方法で真空成形を行った。
一方、厚さ50μmのPETフィルムに、実施例3で調製した白色インキ組成物を用いて乾燥膜厚12μmになるように全面塗工した。さらに、この白色塗工面の上に、市販のカラーレーザープリンターを用い、菖蒲の花柄模様を印刷して転写シートとした。
その後、上記の真空成形した後のアクリル板の白色印刷が施されていない円形の透明部に、ノンスチレンタイプの硬化剤入り不飽和ポリエステル樹脂をスプレイ塗り(厚み14μm)し、この樹脂が半硬化の状態で、上記の転写シートの絵柄部を、透明部と重ねて転写した。上記の不飽和ポリエステル樹脂よりなる接着層が硬化した後、転写シートからPETフィルムのみを剥離した。その後、実施例1と同様にFRP補強層を設けて成形品を得た。
本実施例によっても実施例1と同様に、FRP補強層の密着も良好であり、目視観察でも地じれ、クラックなどが発生せず、また従来品では得られなかった高光沢で、高級感があるものが得られたのみならず、非常に高意匠性の成形品を得ることができた。
伸び率の測定法法を示す図 樹脂板表面の一部に、印刷されていない部分を設け、その部分に、より複雑な模様を転写シート等により転写する実施態様を示す図 透明樹脂板上に隠蔽性の着色を設けた状態を示す図 複数層の着色層を設けた状態を示す図 転写法による実施態様を示す図 耐スチレン層を設けた実施態様を示す図

Claims (15)

  1. 透明樹脂板に着色材及び樹脂成分を含有するインキ組成物により着色層が設けられ、さらにFRP層を設けた透明樹脂成形品であって、着色層が110〜200℃の範囲において200%以上の伸び率を有することを特徴とする透明樹脂成形品。
  2. 透明樹脂板に着色層を設けた後に成型を行い、さらにFRP層を設けたものである請求項1記載の透明樹脂成形品。
  3. 透明樹脂板に顔料及び樹脂成分を含有するインキ組成物により着色層を設け、成型を行い、さらにFRP層を設ける透明樹脂成形品の製造方法であって、着色層が110〜200℃の範囲において200%以上の伸び率を有することを特徴とする透明樹脂成形品の製造方法。
  4. 透明樹脂成形品が浴槽または洗面ボールであることを特徴とする請求項3記載の透明樹脂成形品の製造方法。
  5. 着色層が転写フィルムにより設けられたことを特徴とする請求項3又は4に記載の透明樹脂成形品の製造方法。
  6. フィルム状基材上に、顔料及び樹脂成分を含有し且つ110〜200℃の範囲において200%以上の伸び率を有する着色層を設けてなる転写シート。
  7. 着色層上に接着層を有する請求項6記載の転写シート。
  8. 請求項6又は7記載の転写シートを用い透明樹脂板に転写して着色層を設け、その後、該透明樹脂板を成型することを特徴とする透明樹脂成形品の製造方法。
  9. 透明樹脂板上に一部に印刷されていない部分を有する着色層を施し、成型後、前記印刷されていない部分に、転写法により絵柄模様を転写し、さらに、FRP層を設けることを特徴とする透明樹脂成形品の製造方法。
  10. 請求項1記載の透明樹脂成形品であって、該着色層とFRP層の間にゲルコート層を設けていることを特徴とする透明樹脂成形品。
  11. 透明樹脂板に、着色材及び樹脂成分を含有するインキ組成物を用いて110〜200℃の範囲において200%以上の伸び率を有する着色層を設けた後、成型を行い、さらに透過率が3.5%以下である着色層を設け、さらにFRP層を設ける透明樹脂成形品の製造方法。
  12. 透過率が3.5%以下の着色層を設けてなる透明樹脂板。
  13. 透過率が3.5%以下の着色層を設けた透明樹脂成形品。
  14. 透明樹脂板に、透過率が3.5%以下の着色層を設けた後に、成型を行うことを特徴とする透明樹脂成形品の製造方法。
  15. 着色層が、110〜200℃の範囲で200%以上の伸び率を有することを特徴とする請求項14記載の透明樹脂成形品の製造方法。
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