JP2005110723A - 加湿器 - Google Patents

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直樹 本間
Toshio Otomo
敏夫 大友
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Abstract

【解決手段】液体を霧化した霧が気体と混合される混合用内部空間26に配置される中空構造の少量霧化用ガイド部材27を備えている。この少量霧化用ガイド部材27の下部および上部には、第1および第2の気体導入用開口35、39が設けられている。また、上記少量霧化用ガイド部材27は、下側のほぼ倒立カップ形状のカバー部31aと上側のガイド筒部31bとを備えている。さらに、このガイド筒部31bは、カバー部31a内に突出している突出筒部40を有している。また、この突出筒部40の下端部は閉塞部36で閉塞され、この突出筒部40の周側面には混合気体導入用開口37が設けられている。
【効果】少量霧化の場合には、液体の霧化を必要以上に促進することなく、比較的多量の混合気体を得ることができる。また、細かい霧のみが含まれる混合気体を得ることができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、霧化液槽などから構成される混合用内部空間の底部に貯留される薬液、水などの液体を霧化した霧を上記混合用内部空間において空気などの気体と混合することにより混合気体を得るようにした、医療用、その他の用途に供する加湿器に関するものである。
従来から、薬液などの液体を霧化した霧を空気などの気体と混合した混合気体を供給することができる医療用などの加湿器が知られている。このように構成された加湿器は、例えば実願昭53−172080号(実開昭55−87240号)のマイクロフィルムに開示されているように、薬液が貯留される霧化液槽と、この霧化液槽の底部を構成するダイヤフラムと、この霧化液槽の上部空間からなる混合用内部空間に空気を導入する空気導入用パイプとを備えている。そして、送風ファンを駆動して空気導入用パイプを通して混合用内部空間に空気を導入するとともに、超音波振動子を振動動作させることによりこの振動をダイヤフラムを介して薬液に伝播させることによって、この薬液を加振させて霧化させるようにしている。
実願昭53−172080号(実開昭55−87240号)のマイクロフィルム
上記公知の加湿器においては、少量の薬液(一般的には、患者に対する刺激および効き目が強い高価な薬液)を霧化させる場合には、少量霧化用ガイド筒を混合用内部空間に配置するようにしている。また、この少量霧化用ガイド筒は、霧化液槽よりもかなり径小であって、混合用内部空間の中心部に立設した状態で配置される。そして、少量霧化用ガイド筒は、筒状体と、この筒状体の上端部に設けられた半円形状の翼と、筒状体の下端部付近に設けられた通気孔とから成っている。なお、上記翼は、筒状体内を上昇して来る混合気体を霧化液放出用パイプから外部に良好に放出させる機能を有している。そして、この霧化液放出用パイプの入口には、混合気体が偏向してからこの霧化液放出用パイプに流入するように、ガイドバネが設けられている。また、上記通気孔は、空気導入用パイプから混合用内部空間に導入された空気を霧との混合のために筒状体内に導入させる機能を有している。
実願昭53−172080号(実開昭55−87240号)のマイクロフィルム
しかし、上述のように構成された公知の加湿器の場合には、霧化液放出用パイプから外部に放出される混合気体中の空気の実質的に総てが筒状体の下端部付近に設けられた通気孔から少量霧化用ガイド筒内に導入されるので、高価で刺激および効き目の強い薬液の含有量が必要以上に多い混合気体が外部に放出される。
また、少量霧化用ガイド筒の下端部の径が霧化液槽よりもかなり小さいので、薬液の液面のうちの外周囲部分は筒状体の外側にはみ出している。このために、少量霧化用ガイド筒の外側においても多少とも薬液の霧化が行われるので、この霧化によって発生した霧が霧化液槽の内周壁に付着して無駄になり易い。
しかも、筒状体の下端部付近で発生した混合気体はこの筒状体内を何らの障害もなく上昇して翼から霧化液放出用パイプに向かって流出するが、霧化液放出用パイプの入口付近にはガイドバネが設けられているので、この混合気体中に含まれている大粒の液滴はこのガイドバネに衝突して上昇を阻止される。このために、大粒の薬液が混合気体中に含まれたままで霧化液放出用パイプを通して患者に供給されることによって、高価な薬液の一部が患者の肺まで良好に到達しないで無駄に浪費されたり、また、刺激の強い薬液が患者に強い刺激を与えて患者が不快感を覚えたりすることがない。しかし、この場合には、ガイドバネに衝突した大粒の液滴が少量霧化用ガイド筒の内部に確実に戻るとは限らず、ガイドバネと少量霧化用ガイド筒との間隙から少量霧化用ガイド筒の内部以外の混合用内部空間を移動して霧化液槽の内周壁に付着し易いから、高価な薬液の一部が無駄に浪費されるおそれがある。また、少量霧化用ガイド筒が取り除かれている多量霧化の場合にも、少量霧化の場合と同様に、ガイドバネが混合気体の霧化液放出用パイプへの良好な流出を阻害するので、比較的安価で患者に対する刺激および効き目が比較的弱い薬液を用いている多量霧化の場合には、霧化液放出用パイプへの混合気体の良好な流出が必要以上に阻害される。
本発明は、上記公知の加湿器の上述のような欠点を比較的簡単な構成により効果的に是正し得るようにしたものである。
本発明は、その第1の観点によれば、混合用内部空間の底部に貯留される薬液、水などの液体を霧化した霧を上記混合用内部空間において空気などの気体と混合することにより混合気体を得るようにした加湿器において、上記混合用内部空間に配置することができる中空構造の少量霧化用ガイド部材を備え、上記少量霧化用ガイド部材が第1の気体導入用開口と第2の気体導入用開口とを備え、上記第1の気体導入用開口が上記混合用内部空間に送り込まれる上記気体の一部を上記少量霧化用ガイド部材内の下部に導入するように構成し、上記第2の気体導入用開口が上記混合用内部空間に送り込まれる上記気体の他の一部を上記少量霧化用ガイド部材内の上部に導入するように構成したものである。この場合、上記少量霧化用ガイド部材は、ほぼ倒立カップ形状のカバー部と、このカバー部の上端部付近にその下端部付近を連設されて上記カバー部の上記上端部付近からほぼ上方に延びているガイド筒部とを備え、上記第1の気体導入用開口が上記カバー部に設けられ、上記第2の気体導入用開口が上記ガイド筒部に設けられるように構成することができる。
本発明は、その第2の観点によれば、混合用内部空間の底部に貯留される薬液、水などの液体を霧化した霧を上記混合用内部空間において空気などの気体と混合することにより混合気体を得るようにした加湿器において、上記混合用内部空間に配置することができる中空構造の少量霧化用ガイド部材を備え、上記少量霧化用ガイド部材は、ほぼ倒立カップ形状のカバー部と、このカバー部の上端部付近にその下端部付近を連設されて上記カバー部の上記上端部付近からほぼ上方に延びているガイド筒部とを備え、上記ガイド筒部は、上記カバー部内に突出している突出筒部を備え、上記突出筒部は、その下端部を閉塞している閉塞部と、上記突出筒部内と上記カバー部内とを互いに連通させるようにその周側面に形成された混合気体導入用開口とを備えたものである。この場合、上記カバー部の外周面に設けられた位置決め用突出板部をさらに備え、上記位置決め用突出板部が上記混合用内部空間の周面に当接することによって、上記カバー部が上記混合用内部空間におけるそのほぼ水平方向を位置保持されるように構成することができる。
本発明によれば、加湿器に少量霧化用ガイド部材を装着しない場合には、多量霧化を行うことができ、また、装着した場合には、少量霧化を行うことができるから、多量霧化と少量霧化との切り換えを簡単な操作でもって行うことができる。
また、請求項1に係る発明によれば、少量霧化の場合には、混合用内部空間に送り込まれる気体流の一部が第1の気体導入用開口から少量霧化用ガイド部材内の下部に導入されるとともに、別の一部が第2の気体導入用開口から少量霧化用ガイド部材内の上部に導入されるので、霧化された液体が必要以上に多量に少量霧化用ガイド部材の上部まで流動せず、また、得られる混合気体の単位時間当たりの量を多量霧化の場合と同様に多量にすることができる。
また、請求項2に係る発明によれば、カバー部の平均的な内径をガイド筒部の平均的な内径に較べて十分大きくすることができるので、カバー部で覆うことができる液体の液面が比較的大きくなり、このために、少量霧化ガイド部材内での液体の霧化を効率的に行うことができる。しかも、少量霧化用ガイド部材全体の内周面の大きさを比較的小さくすることができるので、この内周面に無駄に付着する液滴の量を少なくすることができる。
また、請求項3に係る発明によれば、少量霧化の場合には、混合気体中に含まれる大粒の液体がガイド筒部の突出筒部の閉塞部に衝突して上昇を阻止されるので、実質的に細かい霧のみが含まれる混合気体がカバー部内から混合気体導入用開口を通してガイド筒部内に流入し、このために、実質的に細かい霧のみが含まれる混合気体を得ることができる。
さらに、請求項4に係る発明によれば、少量霧化用ガイド部材を混合用内部空間に配置するときには、カバー部の比較的大きなリング状の下端部が混合用内部空間の周面に当接するとともに、位置決め用突出板部が混合用内部空間の周面に当接するので、少量霧化用ガイド部材を混合用内部空間に安定した状態で位置保持させることができる。
つぎに、本発明を医療用加湿器に適用した一実施例を、「(1)加湿器全体の概略的構成」、「(2)少量霧化用ガイド部材の構成」および「(3)加湿器の作用効果」に項分けして、図面を参照しつつ説明する。
(1)加湿器全体の概略的構成
本発明による医療用加湿器1は、図1〜図3に示すように、底板部2と、この底板部2がその下面開口3に取付けられた外筺部4と、作用水5が貯留される作用水槽6と、この作用水槽6にその槽本体7aが収納されかつ薬液8が貯留される霧化液槽7とを備えている。なお、図示の実施例においては、作用水槽6のほぼカップ形状の槽本体6aは、外筺部4と一体に成形されているが、別体に構成されて外筺部4に接着、ねじ止め、嵌め込みなどにより一体的に取付けられていてもよい。
外筺部4内には、図3などに示すように、作用水槽6と送風機ユニット11とが取付け収納されている。また、外筺部4の前面には、図1に示すように、操作ボタン(図示せず)などが設けられた操作盤12や、上記操作ボタンなどによる操作内容などを表示する表示パネル13が設けられている。そして、霧化液槽7の底部には、図2などに示すように、超音波振動子などの振動子14が配設されている。具体的には、作用水槽6の槽本体6aの底部に中央開口15が設けられ、この中央開口15において振動子14がリング状の取付け部材16を介して槽本体6aに取付けられている。
霧化液槽7の上面は、図3などに示すように、ほぼ倒立カップ形状のカバー部材17によって覆われている。また、このカバー部材17の周側面には、図3などに示すように、空気導入用のパイプ部17aが設けられている。そして、このパイプ部17aは、外筺部4に設けられた接続用のパイプ部4aを介して送風機ユニット11の空気導出用のパイプ部11aに連通している。さらに、カバー部材17の上端部には、混合気体導出用のパイプ部17bが設けられている。
カバー部材17の空気導入用パイプ部17aは、図6、図7などに示すように、その先端部から基端部にかけて、断面がほぼ四角でほぼ水平に延びている先端側の部分21と、この先端側部分21と連通しかつ多少下方に向きながら湾曲して延びている基端側の部分22とから成っている。そして、先端側部分21の先端には、空気先導用開口21aが設けられ、基端側部分22の基端には、空気導入用開口22aが設けられている。また、この空気導入用開口22aは、多少下方に向くとともにカバー部材17の軸心からずれた方向に向いている(図示の実施例においては、カバー部材17の円周方向にほぼ沿っているが多少下方に向いている)。さらに、カバー部材17には、このような空気導入用パイプ部17aを設けるのに適するように、その径方向の一部分に段部17cが形成されている。
霧化液槽7は、図2などに示すように、支持部材23、リング状のパッキン24およびほぼカップ形状のダイヤフラム(すなわち、振動板)25とから成っている。そして、ダイヤフラム25は、その底部中央においてほぼ下方に向かってほぼ半球状に膨出する膨出部25aを有している。また、ダイヤフラム25の上端部(すなわち、自由端部)は、支持部材23とリング状パッキン24との間で挾着されて支持されている。
霧化液槽7の槽本体7aとカバー部材17とによって包囲されるほぼ卵形状の混合用内部空間26には、図5、図6などに示すように、中空構造で上下両端が開口している少量霧化用ガイド部材27が着脱自在に装着されることができる。なお、この少量霧化用ガイド部材27の具体的構成は、次項において詳述する。
(2)少量霧化用ガイド部材の構成
少量霧化用ガイド部材27は、図6および図7に示すように、ガイド部材本体31と、このガイド部材本体31の上端部に取付けられたほぼ筒状の圧着部材32とから成っている。そして、ガイド部材本体31は、ほぼ倒立カップ形状のカバー部31aと、このカバー部31aの上端部にその下端部を連設されてほぼ上方に延びているガイド筒部31bとから成っている。なお、カバー部31aは、ガイド筒部31bとほぼ同心状であってよく、また、ガイド筒部31bと一体成形されていてよい。
カバー部31aの外周面には、図7などに示すように、好ましくは3枚以上(図示の実施例においては、ほぼ90°間隔で4枚)の位置決め用突出板部33が好ましくは一体成形されて配設されている。そして、これらの突出板部33は、後述のように混合用内部空間26を上方から下方に向かうほぼ螺旋状に流れる空気流34を良好な流れにするために、多少傾斜しかつ多少湾曲している。また、カバー部31aの下端には、空気導入用開口としての1個または複数個(図示の実施例においては、1個)の縦長のスリット形状の切り込み35が形成されている。なお、この切り込み35は三角形状、四角形状、円形状などであってもよく、また、切り込み35の代わりに、カバー部31aの下端付近に同様の開孔が形成されていてもよい。
ガイド筒部31bは、図6などに示すように、カバー部31aの上端部からさらに下方に延びていて、カバー部31a内に突出している突出筒部40を有している。そして、このガイド筒部31bの突出筒部40の下端部は、閉塞部36によってほぼ全体にわたってまたは部分的に覆われている。なお、この閉塞部36は、ガイド筒部31bと一体成形されることができ、また、ほぼ板状であってよい。さらに、ガイド筒部31bの突出筒部40には、閉塞部36の上側に隣接して1個または複数個(図示の実施例においては、互いに対向する2個)の混合気体導入用開口37がカバー部31a内とガイド筒部31b内とを連通させるように設けられている。具体的には、ガイド筒部31bのほぼ下端からカバー部31aのほぼ上端まで延びる2個のスリット状混合気体導入用開口37がガイド筒部31bに形成されている。
ガイド部材本体31のガイド筒部31bの外周囲の上端付近には、図6および図7に示すように、空気導入用パイプ部17aからの空気流34が混合用内部空間26の上方に回り込むのをある程度防止するためのほぼリング状の邪魔板部(すなわち、外向きフランジ部)38が突設されている。また、この邪魔板部38の少し下方には、ガイド筒部31bの内部と混合用内部空間26(すなわち、ガイド筒部31bの外部)とを連通させるための1個または複数個(図示の実施例においては、互いに対向する2個)の空気導入用開口39が設けられている。
圧着部材32は、ゴムなどの弾性材料から成っていて、ガイド部材本体31のガイド筒部31bの上端部にその下端部を嵌合させるためのほぼ筒状の嵌合用スリット41が設けられている。また、ガイド筒部31bの上端部には、圧着部材32の下端部に設けたほぼリング状の内側屈曲部42(すなわち、内向きフランジ部)を嵌合させるためのほぼリング状の嵌合溝43が設けられている。
少量霧化用ガイド部材27については、実用性の観点から見て一般的に、つぎの(イ)項〜(ヘ)項に記載する数値範囲の1つまたは複数もしくは全部が満足されているのが好ましい。
(イ)カバー部31aの最大内径(図示の実施例の場合には、下端の内径)に対するカバー部31aの内側面の最大高さの比:0.3〜1.5、さらに好ましくは、0.4〜1(図示の実施例の場合には、約0.63)、
(ロ)筒状部分の長さ(すなわち、圧着部材32の上端からガイド筒部31bの突出筒部40の下端までの距離)に対するこの筒状部分の平均内径の比:0.08〜0.6、さらに好ましくは、0.12〜0.4(図示の実施例の場合には、約0.19)、
(ハ)上記筒状部分の長さに対する突出筒部40の突出長さの比:0.06〜0.4、さらに好ましくは、0.1〜0.25(図示の実施例の場合には、約0.14)、
(ニ)突出筒部40の突出長さに対するこの突出筒部40の平均内径の比:0.3〜1.8、好ましくは、0.5〜1.2(図示の実施例の場合には、約0.7)、
(ホ)混合用内部空間26の最大高さ(すなわち、ダイヤフラム25の膨出部25aの内側底面からカバー部材17の混合気体導出用パイプ部17bの下端までの距離)に対する少量霧化用ガイド部材27の全長の比:0.4〜1、さらに好ましくは、0.6〜0.95(図示の実施例の場合には、約0.85)、および
(ヘ)混合用内部空間26の最大内径に対するカバー部31aの最大内径の比:0.3〜1、さらに好ましくは、0.5〜0.95(図示の実施例の場合には、約0.8)。
さらに、空気導入用開口(すなわち、第1の気体導入用開口)35は、実用性の観点から見て一般的に、カバー部31aの高さ方向における下端とこの下端から上方に向かって1/2の高さの地点との間の領域に設けられているのが好ましく、上記下端とこの下端から上方に向かって1/3の高さの地点との間の領域に設けられているのがさらに好ましい。また、空気導入用開口(すなわち、第2の気体導入用開口)39は、実用性の観点から見て一般的に、少量霧化用ガイド部材27の上記筒状部分の長さ方向における上端から下方に向かって1/6の長さの地点とこの上端から下方に向かって3/4の地点との間の領域に設けられているのが好ましく、上記上端から下方に向かって1/4の地点と上記上端から下方に向かって2/3の地点との間の領域に設けられているのがさらに好ましい。
上述のように構成された少量霧化用ガイド部材27は、少量の薬液8を霧化させたいときには、図5および図6に示すように、加湿器1の混合用内部空間26に配置される。
(3)加湿器の作用効果
つぎに、上述のように構成された本発明による医療用加湿器1の作用効果を図面を参照しつつ説明する。
図1〜図8に示す医療用加湿器1を使用する際には、予め、少量でない(換言すれば、多量の)薬液8を霧化したいのか、あるいは、少量の薬液8を霧化したいのかに応じて、加湿器1に少量霧化用ガイド部材27を装着しないか、あるいは、装着するかを決定する。そして、多量霧化の場合には、図2に示すように、霧化液槽7の槽本体7a内に多量の薬液8を注入する。また、少量霧化の場合には、図5に示すように、槽本体7a内に少量の薬液8を注入するとともに、図5および図6に示すように、加湿器1の混合用内部空間26に少量霧化用ガイド部材27を装着する。また、これと相前後して、混合気体移送用ホース(図示せず)をカバー部材17の混合気体導出用パイプ部17bに接続する。そして、上記混合気体移送用ホースの先端部(すなわち、自由端部)に取付けられたマスク、マウスピースなど(図示せず)を患者の口部に装着させる。
ついで、操作盤12の操作ボタンなどを操作することにより電源を投入して、振動子14を振動動作させるとともに、送風機ユニット11内の送風機(図示せず)を回転駆動させる。この結果、振動子14の振動が作用水槽6の槽本体6a内の作用水5および霧化液槽7のダイヤフラム25を介して槽本体7a内の薬液8に伝播されるので、この薬液8が加振されて霧化される。
一方、上記送風機が回転すると、外筺部4に形成されている空気導入用開口(図示せず)からこの送風機の吸引力によって空気が外筺部4内に導入される。そして、この導入された空気の流れ34は、送風機ユニット11を通ってから、その空気導出用パイプ部11a、外筺部4の接続用パイプ部4aおよびカバー部材17の空気導入用パイプ部17aを通して空気導入用開口22aから混合用内部空間26に送り込まれる。
つぎに、加湿器1の作用効果を、「(i)多量霧化の場合」および「(ii)少量霧化の場合」に項分けして、図面を参照しつつ説明する。
(i)多量霧化の場合
多量霧化の場合には、少量霧化用ガイド部材27は、加湿器1の混合用内部空間26から取り外されている。したがって、まず、カバー部材17を支持部材23から取り外してから、多量(換言すれば、通常量)の薬液8を霧化液槽7の槽本体7aに注入する。ついで、上述のように、送風機ユニット11からの空気流34が空気導入用開口22aから混合用内部空間26に送り込まれると、この空気流34は、空気導入用開口22aが向いている方向に流れようとするので、この混合用内部空間26を上方から下方に向かうほぼ螺旋状に流れようとする。
一方、上述のように加振された薬液8は、図4に示すように混合用内部空間26で噴流8aとなって霧化されることによって、この混合用内部空間26において霧44になる。そして、この混合用内部空間26において、この送り込まれてきた空気流34がここにおいて発生した上記薬液8の霧44と混合されて混合気体(すなわち、医療用ミスト)になる。ついで、混合用内部空間26において発生したこの混合気体は、カバー部材17の混合気体導出用パイプ部17b、前記混合用気体移送用ホースおよび前記マスク、マウスピースなどを通して患者に吸引される。
(ii)少量霧化の場合
少量霧化の場合には、少量の薬液8が加湿器1の槽本体7aに注入されるとともに、少量霧化用ガイド部材27が加湿器1の混合用内部空間26に装着される。この注入および装着に際しては、まず、カバー部材17を支持部材23から取り外してから、少量の薬液8を槽本体7aに注入し、ついで、少量霧化用ガイド部材27をカバー部31a側から霧化液槽7の槽本体7a内に挿入する。この場合、図5および図6に示すように、位置決め用突出板部33が槽本体7aのダイヤフラム25の内周面の周側面に当接するとともに、カバー部31aの下端部がこの内周面の底面に当接する。したがって、少量霧化用ガイド部材27は、槽本体7a内に安定した状態で位置保持される。そして、この状態においては、少量霧化用ガイド部材27のカバー部31aは、図5に示すように、少量の薬液8を上方からほぼ覆っている。
ついで、カバー部材17を支持部材23に再び取付ける。この場合、図5および図6に示すように、少量霧化用ガイド部材27の圧着部材32は、カバー部材17の混合気体導出用パイプ部17bの下端部付近に圧着する。したがって、この圧着部分においては、混合用内部空間26と混合気体導出用パイプ部17bの内部との気密性は、ほぼ保持されている。
ついで、多量霧化の場合と同様に、送風機ユニット11からの空気流34が空気導入用開口22aから混合用内部空間26に送り込まれる。この場合、混合用内部空間26には、少量霧化用ガイド部材27が配置されているので、この空気流34は、少量霧化用ガイド部材27を除くほぼ筒状の混合用内部空間26を上方から下方に向かうほぼ螺旋状に流れようとする。そして、この空気流34の一部は、複数の位置決め用突出板部33の間を通過してから、切り込み(換言すれば、空気導入用開口)35を通して少量霧化用ガイド部材27のカバー部31a内に流入する。また、上記空気流34の一部は、上方へも移動するので、空気導入用開口39を通して少量霧化用ガイド部材27のガイド筒部31b内に流入する。なお、このほぼ筒状の混合用内部空間26には、薬液8の霧44が実質的に存在しないので、このほぼ筒状の混合用内部空間26は、少量霧化の場合には、単に空気流入空間として機能するにすぎない。
一方、上述のように加振された薬液8は、図8に示すようにカバー部31a内で噴流8aとなって霧化されることによって、このカバー部31a内において霧44になる。そして、このカバー部31a内において、空気導入用開口35を通してこのカバー部31a内に送り込まれてきた空気流34がここにおいて発生した上記薬液8の霧44と混合されて混合気体(すなわち、医療用ミスト)になる。ついで、カバー部31a内において発生したこの混合気体は、霧導入用開口37からガイド筒部31b内に導入されてこのガイド筒部31b内を上昇し、空気導入用開口39からガイド筒部31b内に導入される空気流34とこのガイド筒部31b内でさらに混合される。そして、この混合気体は、ガイド筒部31b内をさらに上昇して、圧着部材32の内部、カバー部材17の混合気体導出用パイプ部17b、前記混合用気体移送用ホースおよび前記マスク、マウスピースなどを通して患者に吸引される。
この場合、ガイド筒部31bの下端部には閉塞部36が設けられているので、混合気体に混じって上昇しようとする大粒の液滴はこの閉塞部36に衝突して上昇を阻止される。しかし、混合気体中の細かな霧44は、上昇する際にカバー部31a内で十分に拡散し、また、閉塞部36に衝突しても方向を変えてさらに上昇しようとするので、混合気体導入用開口37から円滑にガイド筒部31b内に進入する。したがって、少量霧化の場合には、一般的に高価で効き目が強くかつ刺激の強い薬液8が用いられるが、患者は実質的に細かい霧44のみが含まれる混合気体を吸引することができる。そして、この混合気体中に含まれる霧が細かいために、この霧44は患者の肺まで良好に到達することができる。
また、空気導入用開口35からカバー部31a内に導入される空気流34は、空気導入用開口22aから混合用内部空間26内に導入される空気流34の一部であり、残部は、空気導入用開口39からガイド筒部31b内に導入されて混合気体に混合される。したがって、空気導入用開口35からカバー部31a内に導入される空気流34の単位時間当たりの量を多量霧化の場合に較べて少量にすることができるから、カバー部31a内で霧化された薬液8が必要以上に多量にガイド筒部31b内に導入されず、このために、単位時間内にガイド筒部31b内に導入される霧44の量を比較的少量にすることができる。しかも、このカバー部31a内で発生した霧44は、空気導入用開口35からカバー部31a内に導入される空気流34に混合されるだけでなく、空気導入用開口39からガイド筒部31b内に導入される空気流34にも混合されてから患者に供給されるので、患者に吸引される混合気体の単位時間当たりの量は、ほぼ一定である。したがって、薬液8として刺激の強いものが用いられていても、上記混合気体中の薬液8の濃度が小さいので、患者に対する刺激を比較的少なくすることができる。
図示の実施例においては、送風機ユニット11の送風機の駆動回路および振動子14の作動回路(図示せず)にそれぞれ供給する電力が少量霧化の場合も多量霧化の場合も実質的に同一になるように構成されている。したがって、上記送風機駆動回路および上記振動子作動回路の構成および操作がいずれも簡単である。しかし、必要に応じて、少量霧化の場合には、上記送風機駆動回路および/または上記振動子作動回路に供給する電圧および/または電流を多量霧化の場合に較べて減少させることなどによって、空気導入用開口22aからの空気流34の量を減少させたり、また、薬液8が霧化されて発生する霧44の量を減少させたりすることも可能である。
上述のとおりであるから、本発明による図示の加湿器1によれば、つぎの(a)項〜(f)項に記載の効果を奏する。
(a)加湿器1に少量霧化用ガイド部材27を装着しない場合には、多量霧化を行うことができ、また、装着した場合には、少量霧化を行うことができるから、空気導入用開口22aから混合用内部空間26に導入される空気流34の単位時間当たりの量と、超音波振動子14の振動状態とを特に変更しなくても、多量霧化と少量霧化との切り換えを簡単な操作でもって行うことができる。また、多量霧化の場合には、霧44や混合気体の上昇を妨げる閉塞部36などが存在しないので、多量霧化が良好に行われ、しかも、少量霧化の場合には、高価で刺激および効き目の強い薬液8が無駄に浪費されることがない。
(b)少量霧化の場合には、空気導入用開口22aから混合用内部空間26に導入される空気流34の一部が空気導入用開口35からカバー部31a内に導入されるとともに、別の一部が空気導入用開口39からガイド筒部31b内に導入されるので、カバー部31a内で霧化された薬液8が必要以上に多量にガイド筒部31b内に導入されず、また、患者に供給される混合気体の単位時間当たりの量を多量霧化の場合と実質的に同一にすることができる。
(c)少量霧化用ガイド部材27の下部にはその下端の径が比較的大きいカバー部31aが設けられているので、少量霧化の場合には、薬液8がカバー部31aによってほぼ完全に覆われている。このために、少量霧化用ガイド部材27の外側においては薬液8の霧化は実質的に行われないから、このような霧化によって発生した霧が混合用内部空間26の内周壁に付着して無駄になることがない。
(d)少量霧化の場合には、混合気体中に含まれる大粒の薬液8がガイド筒部31bの突出筒部40の閉塞部36に衝突して上昇を阻止されるので、細かい霧44のみが含まれる混合気体がカバー部31a内から混合気体導入用開口37を通してガイド筒部31b内に流入し、このために、薬液8は患者の肺まで良好に到達することができる。
(e)少量霧化用ガイド部材27を混合用内部空間26に配置するときには、カバー部31aの比較的大きなリング状の下端部がダイヤフラム25の内周面に当接するとともに、位置決め用突出板部33がダイヤフラム25の内周面に当接するので、少量霧化用ガイド部材27が混合用内部空間26に安定した状態で位置保持される。また、少量霧化用ガイド部材27の圧着部材32は、弾性材料から成っていて、カバー部材17の混合気体導出用パイプ部17bの下端部付近に圧着するので、少量霧化用ガイド部材27が混合用内部空間26にさらに安定した状態で位置保持され、また、上記圧着部分の気密性が保持される。
(f)ガイド筒部31bの空気導入用開口39の少し上方には、ほぼリング状の邪魔板部38が設けられているので、空気導入用開口22aから混合用内部空間26に流入する空気流34がこの空気導入用開口39からガイド筒部31b内に良好に導入される。
以上において、本発明の一実施例につき詳細に説明したが、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に基づいて各種の変更および修正が可能である。
例えば、上述の実施例においては、本発明を医療用加湿器1に適用したが、本発明は、室内の空気を加湿する室内用加湿器やその他の用途に供する加湿器にも適用することができる。
本発明を医療用加湿器に適用した一実施例における加湿器全体の、少量霧化用ガイド部材を取り外した状態における正面図である。(実施例1) 図1のII−II線に沿った断面図である。(実施例1) 図2のIII−III線に沿った断面図である。(実施例1) 図2に示す加湿器の使用状態における断面図である。(実施例1) 図2に示す加湿器の、少量霧化用ガイド部材を装着した状態における断面図である。(実施例1) 図5に示すカバー部材、少量霧化用ガイド部材および霧化液槽の拡大した状態における断面斜視図である。(実施例1) 図5に示すカバー部材、少量霧化用ガイド部材および霧化液槽の分解した状態における拡大斜視図である。(実施例1) 図5に示す加湿器の使用状態における断面図である。(実施例1)
符号の説明
1 医療用加湿器
7 霧化液槽
7a 槽本体
8 薬液(液体)
17 カバー部材
25 ダイヤフラム
26 混合用内部空間
27 少量霧化用ガイド部材
31 ガイド部材本体
31a カバー部
31b ガイド筒部
33 位置決め用突出板部
34 空気流(気体)
35 切り込み(第1の気体導入用開口)
36 閉塞部
37 混合気体導入用開口
39 空気導入用開口(第2の気体導入用開口)
40 突出筒部
44 霧

Claims (4)

  1. 混合用内部空間の底部に貯留される液体を霧化した霧を上記混合用内部空間において気体と混合することにより混合気体を得るようにした加湿器において、
    上記混合用内部空間に配置することができる中空構造の少量霧化用ガイド部材を備え、
    上記少量霧化用ガイド部材が第1の気体導入用開口と第2の気体導入用開口とを備え、
    上記第1の気体導入用開口が上記混合用内部空間に送り込まれる上記気体の一部を上記少量霧化用ガイド部材内の下部に導入するように構成し、
    上記第2の気体導入用開口が上記混合用内部空間に送り込まれる上記気体の他の一部を上記少量霧化用ガイド部材内の上部に導入するように構成したことを特徴とする加湿器。
  2. 上記少量霧化用ガイド部材は、ほぼ倒立カップ形状のカバー部と、このカバー部の上端部付近にその下端部付近を連設されて上記カバー部の上記上端部付近からほぼ上方に延びているガイド筒部とを備え、
    上記第1の気体導入用開口が上記カバー部に設けられ、
    上記第2の気体導入用開口が上記ガイド筒部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の加湿器。
  3. 混合用内部空間の底部に貯留される液体を霧化した霧を上記混合用内部空間において気体と混合することにより混合気体を得るようにした加湿器において、
    上記混合用内部空間に配置することができる中空構造の少量霧化用ガイド部材を備え、
    上記少量霧化用ガイド部材は、ほぼ倒立カップ形状のカバー部と、このカバー部の上端部付近にその下端部付近を連設されて上記カバー部の上記上端部付近からほぼ上方に延びているガイド筒部とを備え、
    上記ガイド筒部は、上記カバー部内に突出している突出筒部を備え、
    上記突出筒部は、その下端部を閉塞している閉塞部と、上記突出筒部内と上記カバー部内とを互いに連通させるようにその周側面に形成された混合気体導入用開口とを備えていることを特徴とする加湿器。
  4. 上記カバー部の外周面に設けられた位置決め用突出板部をさらに備え、
    上記位置決め用突出板部が上記混合用内部空間の周面に当接することによって、上記カバー部が上記混合用内部空間におけるそのほぼ水平方向を位置保持されるように構成したことを特徴とする請求項3に記載の加湿器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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