JP2005106488A - 車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置 - Google Patents

車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 低コストで構成でき、経年変化や組み付け誤差に拘らず、ハブ2と外輪1との間に作用する荷重を正確に求められる構造を実現する。
【解決手段】 1対の公転速度検出用センサ23a、23bと、各保持器24a、24bに組み付けた公転速度検出用エンコーダ25a、25bとにより、各列を構成する転動体9a、9bの公転速度を検出する。演算器は、これら各公転速度検出用センサ23a、23bの検出信号に基づき、上記荷重を算出する。又、上記演算器は、車両の安定走行時に、上記車体に加わる加速度、走行速度、ヨーレート等から荷重を推定する。そして、この推定値と上記公転速度検出用センサ23a、23bの検出信号から算出した荷重とを比較し、算出の為のゲイン特性や零点の自己学習及び補正を行なう。
【選択図】 図10

Description

この発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置は、自動車、鉄道車両等の車両の車輪を支持する為の転がり軸受ユニットに負荷される荷重(ラジアル荷重とアキシアル荷重との一方又は双方)を測定し、上記車両の走行安定性確保を図る為に利用する。
例えば自動車の車輪は懸架装置に対し、複列アンギュラ型の転がり軸受ユニットにより回転自在に支持する。又、自動車の走行安定性を確保する為に、アンチロックブレーキシステム(ABS)やトラクションコントロールシステム(TCS)、更にはビークルスタビリティコントロールシステム(VSC)等の車両用走行安定装置が使用されている。この様な各種車両用走行安定装置を制御する為には、車輪の回転速度、車体に加わる各方向の加速度等の信号が必要になる。そして、より高度の制御を行なう為には、車輪を介して上記転がり軸受ユニットに加わる荷重(ラジアル荷重とアキシアル荷重との一方又は双方)の大きさを知る事が好ましい場合がある。
この様な事情に鑑みて、特許文献1には、ラジアル荷重を測定自在な、荷重測定装置付転がり軸受ユニットが記載されている。この従来構造の第1例の荷重測定装置付転がり軸受ユニットは、ラジアル荷重を測定するもので、図8に示す様に構成している。懸架装置に支持される外輪1の内径側に、車輪を結合固定するハブ2を支持している。このハブ2は、車輪を固定する為の回転側フランジ3をその外端部(車両への組み付け状態で幅方向外側となる端部)に有するハブ本体4と、このハブ本体4の内端部(車両への組み付け状態で幅方向中央側となる端部)に外嵌されてナット5により抑え付けられた内輪6とを備える。そして、上記外輪1の内周面に形成した複列の外輪軌道7、7と、上記ハブ2の外周面に形成した複列の内輪軌道8、8との間に、それぞれ複数個ずつの転動体9a、9bを配置して、上記外輪1の内径側での上記ハブ2の回転を自在としている。
上記外輪1の軸方向中間部で複列の外輪軌道7、7の間部分に、この外輪1を直径方向に貫通する取付孔10を、この外輪1の上端部にほぼ鉛直方向に形成している。そして、この取付孔10内に、荷重測定用のセンサである、円杆状(丸棒状)の変位センサ11を装着している。この変位センサ11は非接触式で、先端面(下端面)に設けた検出面は、ハブ2の軸方向中間部に外嵌固定したセンサリング12の外周面に近接対向させている。上記変位センサ11は、上記検出面と上記センサリング12の外周面との距離が変化した場合に、その変化量に対応した信号を出力する。
上述の様に構成する従来の荷重測定装置付転がり軸受ユニットの場合には、上記変位センサ11の検出信号に基づいて、転がり軸受ユニットに加わる荷重を求める事ができる。即ち、車両の懸架装置に支持した上記外輪1は、この車両の重量により下方に押されるのに対して、車輪を支持固定したハブ2は、そのままの位置に止まろうとする。この為、上記重量が嵩む程、上記外輪1やハブ2、並びに転動体9a、9bの弾性変形に基づいて、これら外輪1の中心とハブ2の中心とのずれが大きくなる。そして、この外輪1の上端部に設けた、上記変位センサ11の検出面と上記センサリング12の外周面との距離は、上記重量が嵩む程短くなる。そこで、上記変位センサ11の検出信号を制御器に送れば、予め実験等により求めた関係式或はマップ等から、当該変位センサ11を組み込んだ転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重を求める事ができる。この様にして求めた、各転がり軸受ユニットに加わる荷重に基づいて、ABSを適正に制御する他、積載状態の不良を運転者に知らせる。
尚、図8に示した従来構造は、上記転がり軸受ユニットに加わる荷重に加えて、上記ハブ2の回転速度も検出自在としている。この為に、前記内輪6の内端部にセンサロータ13を外嵌固定すると共に、上記外輪1の内端開口部に被着したカバー14に回転速度検出用センサ15を支持している。そして、この回転速度検出用センサ15の検知部を、上記センサロータ13の被検出部に、測定隙間を介して対向させている。
上述の様な回転速度検出装置を組み込んだ転がり軸受ユニットの使用時、車輪を固定したハブ2と共に上記センサロータ13が回転し、このセンサロータ13の被検知部が上記回転速度検出用センサ15の検知部の近傍を走行すると、この回転速度検出用センサ15の出力が変化する。この様にして回転速度検出用センサ15の出力が変化する周波数は、上記車輪の回転数に比例する。従って、この回転速度検出用センサ15の出力信号を図示しない制御器に送れば、ABSやTCSを適切に制御できる。
上述の様な従来構造の第1例の荷重測定装置付転がり軸受ユニットは、転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重を測定する為のものであるが、転がり軸受ユニットに加わるアキシアル荷重を測定する構造も、特許文献2等に記載されて、従来から知られている。図9は、この特許文献2に記載された、アキシアル荷重を測定する為の荷重測定装置付転がり軸受ユニットを示している。この従来構造の第2例の場合、ハブ2aの外端部外周面に、車輪を支持する為の回転側フランジ3aを固設している。又、外輪1aの外周面に、この外輪1aを懸架装置を構成するナックル16に支持固定する為の、固定側フランジ17を固設している。そして、上記外輪1aの内周面に形成した複列の外輪軌道7、7と、上記ハブ2aの外周面に形成した複列の内輪軌道8、8との間に、それぞれ複数個ずつの転動体9a、9bを転動自在に設ける事により、上記外輪1aの内径側に上記ハブ2aを回転自在に支持している。
更に、上記固定側フランジ17の内側面複数個所で、この固定側フランジ17を上記ナックル16に結合する為のボルト18を螺合する為のねじ孔19を囲む部分に、それぞれ荷重センサ20を添設している。上記外輪1aを上記ナックル16に支持固定した状態でこれら各荷重センサ20は、このナックル16の外側面と上記固定側フランジ17の内側面との間で挟持される。
この様な従来構造の第2例の転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合、図示しない車輪と上記ナックル16との間にアキシアル荷重が加わると、上記ナックル16の外側面と上記固定側フランジ17の内側面とが、上記各荷重センサ20を、軸方向両面から強く押し付け合う。従って、これら各荷重センサ20の測定値を合計する事で、上記車輪と上記ナックル16との間に加わるアキシアル荷重を求める事ができる。又、図示はしないが、特許文献3には、一部の剛性を低くした外輪相当部材の振動周波数から転動体の公転速度を求め、更に、転がり軸受に加わるアキシアル荷重を測定する方法が記載されている。
前述の図8に示した従来構造の第1例の場合、変位センサ11により、外輪1とハブ2との径方向に関する変位を測定する事で、転がり軸受ユニットに加わる荷重を測定する。但し、この径方向に関する変位量は僅かである為、この荷重を精度良く求める為には、上記変位センサ11として、高精度のものを使用する必要がある。高精度の非接触式センサは高価である為、荷重測定装置付転がり軸受ユニット全体としてコストが嵩む事が避けられない。
又、上述の図9に示した従来構造の第2例の場合、ナックル16に対し外輪1aを支持固定する為のボルト18と同数だけ、荷重センサ20を設ける必要がある。この為、荷重センサ20自体が高価である事と相まって、転がり軸受ユニットの荷重測定装置全体としてのコストが相当に嵩む事が避けられない。又、特許文献3に記載された方法は、外輪相当部材の一部の剛性を低くする必要があり、この外輪相当部材の耐久性確保が難しくなる可能性がある。
この様な事情に鑑みて本発明者等は先に、複列アンギュラ型玉軸受である転がり軸受ユニットを構成する1対の列の転動体(玉)の公転速度に基づいて、この転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重又はアキシアル荷重を測定する、転がり軸受ユニットの荷重測定装置に関する発明を行なった(特願2003−171715号、172483号)。図10は、この先発明の転がり軸受ユニットの荷重測定装置を示している。この先発明に係る構造の場合、外輪1(外輪相当部材)の軸方向中間部で複列の外輪軌道7、7の間部分に形成した取付孔10aにセンサユニット21を挿通し、このセンサユニット21の先端部に設けた検出部22を、上記外輪1の内周面から突出させている。この検出部22には、1対の公転速度検出用センサ23a、23bと、1個の回転速度検出用センサ15aとを設けている。
そして、このうちの各公転速度検出用センサ23a、23bの検出部を、複列に配置された各転動体9a、9bを回転自在に保持した各保持器24a、24bに設けた、公転速度検出用エンコーダ25a、25bに近接対向させて、各転動体9a、9bの公転速度を検出自在としている。又、上記回転速度検出用センサ15aの検出部を、内輪相当部材であるハブ2の中間部に外嵌固定した回転速度検出用エンコーダ26に近接対向させて、このハブ2の回転速度を検出自在としている。この様な構成を有する先発明に係る転がり軸受ユニットの荷重測定装置によれば、上記ハブ2の回転速度の変動に拘らず、上記外輪1と上記ハブ2との間に加わる荷重(ラジアル荷重及びアキシアル荷重)を求められる。
即ち、上述の様な先発明に係る転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合、図示しない演算器が、上記各センサ23a、23b、15aから送り込まれる検出信号に基づいて、上記外輪1と上記ハブ2との間に加わるラジアル荷重とアキシアル荷重とのうちの一方又は双方の荷重を算出する。例えば、このラジアル荷重を求める場合に上記演算器は、上記各公転速度検出用センサ23a、23bが検出する各列の転動体9a、9bの公転速度の和を求め、この和と、上記回転速度検出用センサ15aが検出する上記ハブ2の回転速度との比に基づいて、上記ラジアル荷重を算出する。又、上記アキシアル荷重は、上記各公転速度検出用センサ23a、23bが検出する各列の転動体9a、9bの公転速度の差を求め、この差と、上記回転速度検出用センサ15aが検出する上記ハブ2の回転速度との比に基づいて算出する。この点に就いて、図11を参照しつつ説明する。尚、以下の説明は、アキシアル荷重Fyが加わらない状態での、上記各列の転動体9a、9bの接触角αa 、αb が互いに同じであるとして行なう。
図11は、上述の図10に示した車輪支持用の転がり軸受ユニットを模式化し、荷重の作用状態を示したものである。複列の内輪軌道8、8と複列の外輪軌道7、7との間に複列に配置された転動体9a、9bには予圧F0 、F0 を付与している。又、使用時に上記転がり軸受ユニットには、車体の重量等により、ラジアル荷重Fzが加わる。更に、旋回走行時に加わる遠心力等により、アキシアル荷重Fyが加わる。これら予圧F0 、F0 、ラジアル荷重Fz、アキシアル荷重Fyは、何れも上記各転動体9a、9bの接触角α(αa 、αb )に影響を及ぼす。そして、この接触角αa 、αb が変化すると、これら各転動体9a、9bの公転速度nc が変化する。これら各転動体9a、9bのピッチ円直径をDとし、これら各転動体9a、9bの直径をdとし、上記各内輪軌道8、8を設けたハブ2の回転速度をni とし、上記各外輪軌道7、7を設けた外輪1の回転速度をno とすると、上記公転速度nc は、次の式で表される。
c ={1−(d・cosα/D)・(ni /2)}+{1+(d・cosα/D)・(no /2)}
この式から明らかな通り、上記各転動体9a、9bの公転速度nc は、これら各転動体9a、9bの接触角α(αa 、αb )の変化に応じて変化するが、上述した様にこの接触角αa 、αb は、上記ラジアル荷重Fz及び上記アキシアル荷重Fyに応じて変化する。従って上記公転速度nc は、これらラジアル荷重Fz及びアキシアル荷重Fyに応じて変化する。本例の場合、上記ハブ2が回転し、上記外輪1が回転しない為、具体的には、上記ラジアル荷重Fzに関しては、大きくなる程上記公転速度nc が遅くなる。又、アキシアル荷重Fyに関しては、このアキシアル荷重Fyを支承する列の公転速度が速くなり、このアキシアル荷重Fyを支承しない列の公転速度が遅くなる。従って、この公転速度nc に基づいて、上記ラジアル荷重Fz及びアキシアル荷重Fyを求められる事になる。
但し、上記公転速度nc の変化に結び付く上記接触角αは、上記ラジアル荷重Fzと上記アキシアル荷重Fyとが互いに関連しつつ変化するだけでなく、上記予圧F0 、F0 によっても変化する。又、上記公転速度nc は、上記ハブ2の回転速度ni に比例して変化する。この為、これらラジアル荷重Fz、上記アキシアル荷重Fy、予圧F0 、F0 、ハブ2の回転速度ni を総て関連させて考えなければ、上記公転速度nc を正確に求める事はできない。このうちの予圧F0 、F0 は、運転状態に応じて変化するものではないので、初期設定等によりその影響を排除する事は容易である。これに対して上記ラジアル荷重Fz、アキシアル荷重Fy、ハブ2の回転速度ni は、運転状態に応じて絶えず変化するので、初期設定等によりその影響を排除する事はできない。
この様な事情に鑑みて先発明の場合には、前述した様に、ラジアル荷重Fzを求める場合には、前記各公転速度検出用センサ23a、23bが検出する各列の転動体9a、9bの公転速度の和を求める事で、上記アキシアル荷重Fyの影響を少なくしている。又、アキシアル荷重Fyを求める場合には、上記各列の転動体9a、9bの公転速度の差を求める事で、上記ラジアル荷重Fzの影響を少なくしている。更に、何れの場合でも、上記和又は差と、前記回転速度検出用センサ15aが検出する上記ハブ2の回転速度ni との比に基づいて上記ラジアル荷重Fz又は上記アキシアル荷重Fyを算出する事により、上記ハブ2の回転速度ni の影響を排除している。但し、上記アキシアル荷重Fyを、上記各列の転動体9a、9bの公転速度の比に基づいて算出する場合には、上記ハブ2の回転速度ni は、必ずしも必要ではない。
尚、上記各公転速度検出用センサ23a、23bの信号に基づいて上記ラジアル荷重Fzとアキシアル荷重Fyとのうちの一方又は双方の荷重を算出する方法は、他にも各種存在するが、この様な方法に就いては、前述の特願2003−171715号、172483号に詳しく説明されているし、本発明の要旨とも関係しないので、詳しい説明は省略する。
何れにしても、上述の様な先発明に係る転がり軸受ユニットの荷重測定装置により、上記外輪1と上記ハブ2との間に加わる荷重を求める為には、ハブ2の回転速度ni 及び上記各列の転動体9a、9bの公転速度nca、ncbと上記ラジアル荷重Fz又は上記アキシアル荷重Fyとの関係(ゲイン特性並びに零点)を正確に把握しておく必要がある。この点に関し、基本的には、転がり軸受ユニットを工場から出荷するのに先立ち、無負荷状態(荷重零の状態)で回転させて、公転速度の零点、即ち、上記ラジアル荷重Fz及びアキシアル荷重Fyが零である場合に於ける上記各列の転動体9a、9bの公転速度nca、ncbを把握しておく。
又、上記各列の転動体9a、9bの公転速度nca、ncbの変化量と上記ラジアル荷重Fz及びアキシアル荷重Fyとの関係である荷重ゲインに関しても、工場から出荷するのに先立って求めておく。この場合、例えば、上記転がり軸受ユニットに既知の荷重を負荷させた状態で上記ハブ2を回転させて上記公転速度nca、ncbを計測し、これら荷重と公転速度nca、ncbとの関係(荷重ゲイン)を予め把握しておく。或は、荷重を負荷しない状態での公転速度nca、ncbから接触角αa 、αb の初期値を算出し、この初期値から、転がり軸受ユニットの分野で広く知られているヘルツの理論等を利用して、上記公転速度nca、ncbの変化量と転がり軸受ユニットに加わる荷重Fz、Fyとの関係(荷重ゲイン:荷重に基づく公転速度の変化特性)を、予め設計的に規定しておく。更には、上述の様な方法により求めた、荷重ゲインと零点とが予め設定しておいた範囲に納まっている転がり軸受ユニットだけを選別して出荷する。
何れの方法を採用した場合でも、転がり軸受ユニットが設計通り組み付けられ、且つ、荷重が加わらない状態での接触角αa 、αb が工場で出荷に先立って計測されたままであれば、上記公転速度nca、ncbに基づいて上記荷重Fz、Fyを、自動車の安定性確保の為の制御に必要な精度で求められる。但し、自動車の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合、上記荷重が加わらない状態での接触角αa 、αb は、長期間に亙る走行に伴う予圧の低下等により変化する可能性がある。又、駆動輪(FR車、RR車、MR車の後輪、FF車の前輪、4WD車の全輪)用として使用する車輪支持用転がり軸受ユニットには、内輪相当部材であるハブを構成するハブ本体と内輪との結合固定が、このハブを等速ジョイントに結合固定した状態で初めて完了する構造のものがある。この様な構造の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合、各転動体に付与する予圧の値は、上記ハブを等速ジョイントに結合固定した状態で確定する。そして、このハブを等速ジョイントに結合固定する作業は、上記車輪支持用転がり軸受ユニットの製造工場ではなく、自動車の組立工場で行なう。従って、車輪支持用転がり軸受ユニットの製造工場で前記ゲイン特性並びに零点を把握していても、実際に自動車に組み付けられた状態でのゲイン特性並びに零点はこれと異なる事態も考えられる。何れにしても、その時点でのゲイン特性並びに零点が、初期に把握していたゲイン特性並びに零点と異なると、上記車輪支持用転がり軸受ユニットに加わる荷重を正確には求められなくなる。
特開2001−21577号公報 特開平3−209016号公報 特公昭62−3365号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、長期間に亙る使用に伴って、車輪支持用転がり軸受ユニットの特性が変化した場合でも、この車輪支持用転がり軸受ユニットに加わる荷重を正確に求められる荷重測定装置を実現すべく発明したものである。
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置は、外輪相当部材と、内輪相当部材と、複数個の転動体と、公転速度検出用センサと、演算器とを備える。
このうちの外輪相当部材は、内周面に外輪軌道を有する。
又、上記内輪相当部材は、上記外輪相当部材の内径側にこの外輪相当部材と同心に配置されたもので、外周面に内輪軌道を有する。
又、上記各転動体は、この内輪軌道と上記外輪軌道との間に、接触角を付与した状態で設けられている。
又、上記公転速度検出用センサは、上記各転動体の公転速度を検出する。
又、上記演算器は、この公転速度検出用センサから送り込まれる検出信号に基づいて、上記外輪相当部材と上記内輪相当部材との間に加わる荷重を算出する。
更に、上記演算器は、この荷重を算出する機能に加えて、上記外輪相当部材及び内輪相当部材と上記各転動体とから成る転がり軸受ユニットを装着した車体に加わる横加速度と、ヨーレートと、走行速度と、舵角とを含む、上記荷重に影響する複数種類の状態値から選択される1乃至複数の状態値に基づいて上記外輪相当部材と上記内輪相当部材との間に加わる荷重を推定する機能と、この推定された荷重と上記検出信号に基づいて算出した荷重とを比較する事で、この検出信号に基づいてこの荷重を算出する際のゲイン特性と零点とを自己学習する機能とを有する。
上述の様に構成する本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置は、転動体の公転速度を検出する事により、転がり軸受ユニットに負荷される荷重を測定できる。即ち、玉軸受の如き転がり軸受ユニットに荷重が負荷されると、転動体(玉)の接触角が変化し、これら各転動体の公転速度が変化する。そこで、この公転速度を検出すれば、外輪相当部材と内輪相当部材との間に作用する荷重を求められる。
更に、本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置は、演算器が荷重を算出する際のゲイン特性と零点とを自己学習する為、車輪支持用転がり軸受ユニットの特性が変化した場合でも、この車輪支持用転がり軸受ユニットに加わる荷重を正確に求められる。
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、自己学習したゲイン特性と零点との少なくとも一方が、演算器に記憶されたゲイン特性又は零点と異なる場合に、この記憶されたゲイン特性又は零点を補正する機能を、上記演算器が有する。
この様に構成すれば、次に始動した直後から、車輪支持用転がり軸受ユニットに加わる荷重を正確に求められる。即ち、補正したゲイン特性又は零点を、上記演算器に内蔵したEEPROM等のメモリに記憶させておき、車両停止(イグニッションOFF)後、再始動(イグニッションON)した際に、車両停止以前に自己学習して補正したゲイン特性又は零点を継続して使用すれば、再始動直後のゲイン特性及び零点に基づき、転がり軸受ユニットに加わる荷重を正確に求められる。
又、好ましくは、請求項3に記載した様に、車体に加わる横加速度と、ヨーレートと、走行速度と、舵角とを含む、上記荷重に影響する複数種類の状態値から選択される1乃至複数の状態値に基づいて車両が安定状態(車両が運転者のコントロール通りになっている状態)にあると判断される場合にのみ、1乃至複数の状態値(安定状態を判断する状態値と同じとは限らない)に基づいて荷重を推定する。
車両が安定状態にある場合には、車輪支持用転がり軸受ユニットに加わる荷重を予め分かった値に基づいて求められる。例えば、車両が停止状態又は定速直進状態の場合には、ラジアル荷重に就いては車両重量に基づくものとなるし、アキシアル荷重に就いては零になる。又、加速状態、減速状態、旋回状態でも、車輪のグリップが喪失していない安定走行状態である場合には、上記予め分かった値と上記状態値とから、車輪支持用転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重及びアキシアル荷重を求められる。
従って、安定状態で荷重の推定を行なえば、特に面倒な演算処理を行なわなくても、上記ゲイン特性又は零点の補正を正確に行なえる。
又、好ましくは、請求項4に記載した様に、1乃至複数の状態値に基づいて舵角が大きくないと判断される場合にのみ、1乃至複数の状態値に基づいて荷重を推定する。この様に構成すれば、左右の車輪の舵角の相違に基づいて車輪支持用転がり軸受の内部に発生するアキシアル荷重の影響を抑え、上記ゲイン特性又は零点の補正を正確に行なえる。この理由は、次の通りである。
車両の操舵装置はリンク機構で構成されており、操舵輪の舵角が或る程度以上大きく(旋回時の回転半径が小さく)なると、左右の操舵輪同士の間で舵角に差を生じる。この様な左右の舵角の相違は、リンク機構上の制約から生じる場合もあるし、旋回時に加わる荷重の左右両輪同士の間での配分を適正化させる目的で、意図的に設定する場合もある。
何れにしても、舵角が大きくなる場合に、左右の操舵輪同士の間で舵角に(アッカーマン旋回の為に必要な差以外の)差を生じる。左右の操舵輪同士の間に、この様な舵角の差が生じると、これら両操舵輪同士が、お互いに突っ張り合ったり、或は引っ張り合う状態となって、横方向の内力が発生する。この内力は、上記両操舵輪同士の間で、作用・反作用の関係で発生するので、左右の操舵輪の荷重を加算すれば零となるが、各操舵輪単独では、(互いに逆方向で同じ大きさの)アキシアル荷重が発生する。そして、このアキシアル荷重は、車両の横加速度やヨーレート等の状態量とは関連性のない荷重である為、この様なアキシアル荷重が生じている状態では、ゲイン特性や零点の補正を正確に行なう事はできない。そこで、舵角が予め設定した値以下で、上記横方向の内力が発生していないか、仮に発生していても無視できる程度に小さい場合に荷重の推定を行なえば、ゲイン特性や零点の補正を精度良く行なえる。この場合に、舵角は、操舵装置に組み込んだ舵角センサから直接求める事もできるし、車速とヨーレートとの比較、或は車速と横加速度との比較から推定する事もできる。尚、上記ゲイン特性や零点の補正を行なえる舵角の大きさは、車両毎に設計的に定めるが、一般的には車両の旋回半径(旋回時内側の操舵輪の軌跡の半径)が20m以上となる値とする。この旋回半径が5〜10m程度の場合には、車両が低速走行している場合でも、操舵輪を支持している転がり軸受ユニットには、無視できない程の内力が発生する。これに対して、上記旋回半径が20mを越えれば、この内力は殆ど発生しなくなる。
又、好ましくは、請求項5に記載した様に、外輪相当部材として内周面に複列の外輪軌道を有するものを、内輪相当部材として外周面に複列の内輪軌道を有するものを、それぞれ使用する。そして、これら各外輪軌道と各内輪軌道との間に複列に分けて各列毎にそれぞれ複数個ずつの転動体を、これら各列同士の間で接触角の方向を互いに逆にして、1対の保持器により転動自在に保持した状態で設ける。又、特性を円周方向に関して交互に且つ等間隔で変化させた1対の公転速度検出用エンコーダを上記各保持器の一部に設け、上記各列の転動体の公転速度をこれら各保持器の回転速度としてそれぞれ検出する為の1対の公転速度検出用センサを、それぞれの検出部を上記各公転速度検出用エンコーダの被検出面に対向させた状態で設ける。そして、演算器は、上記各公転速度検出用センサから送り込まれる検出信号に基づいて、上記外輪相当部材と上記内輪相当部材との間に加わる荷重を算出する。
この場合に、好ましくは、請求項6に記載した様に、各転動体として玉を使用し、使用時に回転しない外輪相当部材の内周面に形成された複列アンギュラ型の外輪軌道と、使用時に回転する内輪相当部材の外周面に形成された複列アンギュラ型の内輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ設けられた玉に、背面組み合わせ型の接触角を付与する。
この様な構成を採用すれば、乗用車用として一般的な独立懸架式サスペンションに車輪を支持する転がり軸受ユニットで、接触角の方向が互いに異なる1対の列の転動体の公転速度をそれぞれ検出する事により、上記転がり軸受ユニットを構成する外輪相当部材と内輪相当部材との間に加わる荷重(ラジアル荷重及びアキシアル荷重)を正確に求められる。即ち、複列アンギュラ型の玉軸受の如き転がり軸受ユニットに荷重が負荷されると、各列の転動体(玉)の接触角が変化し、これら各列の転動体の公転速度が変化する。そこで、この公転速度を、保持器の回転速度として検出すれば、外輪相当部材と内輪相当部材との間に作用する荷重を求められる。
尚、半浮動式懸架装置等、非独立懸架式のサスペンションに使用されている様な、単列の転がり軸受ユニットでも、各転動体に接触角を付与した構造であれば、この接触角の変化に伴うこれら各転動体の公転速度の変動に基づき、上記単列の転がり軸受ユニットに加わる荷重を求める事は可能である。但し、この場合には、上記複列アンギュラ型の玉軸受の如き転がり軸受ユニットの場合に比べて、測定精度を確保する事が難しい。
又、好ましくは、請求項7、8に記載した様に、内輪相当部材の一部にこの内輪相当部材と同心に設けられた回転速度検出用エンコーダの被検出面に、外輪相当部材の一部に支持された回転速度検出用センサの検出部を対向させる事で、上記内輪相当部材の回転速度を検出自在とする。
そして、演算器は、一方の列の転動体の公転速度と他方の列の転動体の公転速度との和と、上記内輪相当部材の回転速度との比に基づいて、上記外輪相当部材と上記内輪相当部材との間に加わるラジアル荷重を算出する(請求項7に記載した発明の場合)。或は、一方の列の転動体の公転速度と他方の列の転動体の公転速度との差と、上記内輪相当部材の回転速度との比に基づいて、上記外輪相当部材と上記内輪相当部材との間に加わるアキシアル荷重を算出する(請求項8に記載した発明の場合)。
この様に構成すれば、上記内輪相当部材の回転速度の変動に拘らず、転がり軸受ユニットに加わる荷重(ラジアル荷重及びスラスト荷重)を、正確に求められる。尚、1対の列の転動体の公転速度の比に基づいて上記アキシアル荷重を算出すれば(請求項9に記載した発明の場合)、上記内輪相当部材の回転速度を求めなくても、この回転速度変化に拘らず、上記アキシアル荷重を正確に求められる。
本発明の実施例に就いて、図1〜7を参照しつつ説明する。尚、本実施例の特徴は、前述の図10に示した先発明の構造の様に、複列に配置された各転動体9a、9bの公転速度、延いては転がり軸受ユニットに加わる荷重を、長期間に亙る使用後、或は自動車の組立工場での組み付け後にも正確に求められる、転がり軸受ユニットの荷重測定装置を実現すべく、転がり軸受ユニットの経年変化或は組み付け誤差の影響を排除する点にある。その他の部分の構成及び作用は、前述の図10〜11で説明した先発明の場合と同様であるから、同等部分に関する図示並びに説明は省略し、以下、本実施例の特徴である、上記経年変化或は組み付け誤差の影響を排除する点に就いて説明する。
本実施例の場合、これら経年変化或は組み付け誤差の影響を排除すべく、ラジアル荷重Fz及びアキシアル荷重Fyを算出する際のゲイン特性と零点とを自己学習する際に、先ず、1乃至複数の状態値に基づいて車両が安定走行状態にある否か(必要に応じて舵角が大きいか否か)を判定する。この1乃至複数の状態値は、転がり軸受ユニットを装着した車体に加わる横加速度と、ヨーレートと、走行速度と、舵角とを含む、上記荷重に影響する複数種類の状態値から選択する。上記安定走行状態であるか否かは、例えば図1と図2との一方又は双方に示す様な手順で判断する。
このうちの図1のフローチャートに示した判定手順では、旋回中の旋回角速度ωを、車体の走行速度vと、横加速度y″と、旋回半径rとから、下記の(1)式を用いて推定する。
Figure 2005106488
同時に、車体に設置したヨーレートセンサの出力に基づいて、実際の旋回角速度を求める。そして、上記走行速度vと横加速度y″と旋回半径rとから求めた旋回角速度ωと、上記ヨーレートの出力から求めた実際の旋回角速度とを比較し、これら両旋回角速度同士の差が予め設定しておいた閾値よりも小さければ、安定走行状態と判断する。
又、図2のフローチャートに示した判定手順では、操舵装置の一部に設けた舵角センサの出力信号に基づいて求められる舵角と、走行速度vとから、旋回中の旋回角速度ωを推定する。そして、この推定した旋回角速度ωと、図1と同様に車体に設置したヨーレートセンサの出力に基づいて求めた実際の旋回角速度とを比較する。そして、これら両旋回角速度同士の差が予め設定しておいた閾値よりも小さければ、安定走行状態と判断する。
この様に、ゲイン特性と零点とを自己学習する際に、先ず車両の走行状態が安定状態であるか否かを判定する理由は、オーバーステアやアンダーステア等、車両の走行状態が不安定である場合には、転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重Fz及びアキシアル荷重Fyを正確に推定できない為である。即ち、走行中の車体横加速度と、ヨーレートと、走行速度と、舵角とを含む、上記荷重に影響する複数種類の状態値から選択される1乃至複数の状態値に基づいて、上記転がり軸受ユニットに加わる荷重(外輪相当部材と内輪相当部材との間に加わる荷重)を求められる(推定できる)のは、車輪(タイヤ)と路面との接触部に過大な滑りが発生していない(限界グリップ力を超えていない)状態に限られる。従って、上記ゲイン特性と零点とを自己学習する際に、先ず、図1と図2とに示した少なくとも一方(好ましくは両方)の手順で、車両が安定状態であるか否かを判断する。
そして、安定状態にある場合(必要に応じて舵角が大きくない場合)にのみ、後述する様にして推定した荷重と、1対の公転速度検出用センサ23a、23b及び回転速度検出用センサ15a(図10参照)の出力に基づいて求めた、外輪相当部材(外輪1)と内輪相当部材(ハブ2)との間に加わる荷重とを比較する。更に、上記1対の公転速度検出用センサ23a、23b及び回転速度検出用センサ15aの出力に基づいて、上記推定した荷重を算出できる様に、演算器中にインストールしたソフトウェア中の式のゲイン特性と零点とを自己学習する。そして、この学習したゲイン特性と零点とが、それまで上記ソフトウェア中の式に設定されていた値に対し、予め設定した閾値を越えて異なる場合に、上記ゲイン特性と零点との少なくとも一方を補正する。即ち、ゲイン特性と零点とのうち、閾値を越えて異なったものに就いて、上記推定した荷重を算出できる値に置き換える。
尚、車体に加わる横加速度と、ヨーレートと、走行速度と、舵角とを含む、前記荷重に影響する複数種類の状態値から選択される1乃至複数の状態値に基づいて上記外輪相当部材と上記内輪相当部材との間に加わる荷重を推定する方法は複数種類存在するし、何れの方法に就いても、本発明を実施する場合に利用できる。以下に、その1例に就いて、図3を参照しつつ説明する。
車両27が定常円で旋回(舵角を一定としたまま旋回)する間は、前輪28、28と後
輪29、29とに作用するラジアル荷重Fz(右前輪:Fz(F-RH)、左前輪:Fz(F-LH)、右後輪:Fz(R-RH)、左後輪:Fz(R-LH))はそれぞれ次の(2)〜(5)式で示される。尚、旋回方向は反時計回り(左旋回)とし、右方向への横加速度をプラスとする(右輪が旋回外側、左輪が旋回内側)。
Figure 2005106488
Figure 2005106488
Figure 2005106488
Figure 2005106488
これら(2)〜(5)式中、Mは車体質量を、gは重力加速度(9.8m/s2)を、それぞれ表している。又、y″は、前述した通り、旋回時に車両27の横方向に加わる横加速度である。更に、LF は車体30の重心から前輪28の中心までの距離を、LR は車体30の重心から後輪29の中心までの距離(LF +LR =ホイールベース)を、Tr は車両27の幅方向に関する車輪28、29の設置面の中心同士の距離(トレッド)を、Hは上記車体30の重心の路面31からの高さを、それぞれ表している。
又、前輪28、28と後輪29、29とに作用するアキシアル荷重の合計値(左右両輪に加わるアキシアル荷重の合計)は、それぞれ次の(6)(7)式で表される。
Figure 2005106488
Figure 2005106488
次に、旋回走行時に車体27に加わる遠心力により、接地面(路面31とタイヤとの接触部)で発生するアキシアル荷重Fy(コーナリングフォース)を定式化する。
各車輪28、29に加わるアキシアル荷重Fyとラジアル荷重Fzと各車輪28、29の横滑り角βとの関係は、例えば図4、5に示す様になる。そして、図6に示す様に、縦軸をアキシアル荷重Fyと横滑り角βとの比(Fy/β:コーナリングパワーK)とし、横軸をラジアル荷重Fzとして、これら両者K、Fz同士の関係を表すと、負の2次曲線となる。そして、これら両者K、Fzの関係を式で表すと、下記の(8)式の様になる。
Figure 2005106488
ラジアル荷重Fzが零(Fz=0)の場合にはコーナリングパワーKも零(K=0)になる(遠心力に打ち勝つ摩擦力が接地面に生じない)から、次の(9)式が導かれる。
Figure 2005106488
ここで、図6に破線で示した楕円部分に相当する、コーナリングパワーKが最大となるラジアル荷重Fz_maxは、タイヤのロードインデックス(タイヤ横面に刻印されている、タイヤの最大負荷能力を表す指標値)で代用する。又、上記コーナリングパワーKが最大になるのは、このコーナリングパワーKを、上記アキシアル荷重Fyで微分した場合にゼロとなる場合に於けるラジアル荷重Fzであるから(極値の考え方)、次の(10)式が成り立つ。
Figure 2005106488
そして、この(10)式にFz=Fz_maxを代入すると、次の(11)式を得られる。
Figure 2005106488
この(11)式を前記(9)式に代入すると、次の(12)式を得られる。
Figure 2005106488
又、一方で各車輪28、29に加わるアキシアル荷重Fy(コーナリングフォース)は、K×βで表されるから、上記(12)式を使って、例えば両前輪28、28に就いて表すと、次の(13)(14)式の様になる。
Figure 2005106488
Figure 2005106488
これら(13)(14)両式を前記(6)式に代入すると、次の(15)式を得られる。
Figure 2005106488
この(15)式と、前記(2)(3)式と、車体30に設置した加速度センサの検出信号に基づいて求められる横加速度と、各車輪28、29のスリップ角(横滑り角)βとより、前記接地面で発生しているアキシアル荷重Fy{(13)(14)両式に表したコーナリングフォース}を算出できる。尚、上記各車輪28、29のスリップ角βの算出方法に就いては、後述する。
同様に、後車輪29、29に就いては、次の(16)(17)(18)式により、アキシアル荷重Fy(コーナリングフォース)及びゲイン特性Aを算出できる。尚、後車輪29、29のタイヤ特性が前車輪28、28と異なる場合は、タイヤインデックスに相当するFz_maxは、別の値を用いる。
Figure 2005106488
Figure 2005106488
Figure 2005106488
一方、上記各車輪28、29のスリップ角βは、車両状態量から車体30のスリップ角を算出し、この車体30のスリップ角から各車輪28、29のタイヤスリップ角を算出する。この点に就いて、図7を参照しつつ説明する。一定速度の定常円旋回の様に、車体30のロール角が変化しない場合には、上記各車輪28、29のスリップ角βに関しては、左右の車輪28、28(29、29)同士の間のトレッドは無視して、トレッド中央(車体中央)に等価輪が存在する、図7に示す様な、2輪モデルとして考える事ができる。この図7は、タイヤがスリップしない様な、極低速で定常円旋回を行なう場合のイメージ図である。この様な条件の下で、前後方向(車両の進行方向)の加速度と横方向の加速度とを利用して車体30のスリップ角β´を求める場合、次の様に考える。
車体姿勢に応じた旋回遠心加速度が、前後方向の加速度x″を検出する前後方向加速度センサと、横方向の加速度y″を検出する横方向加速度センサとに出力される。そして、加減速動作をしない、一定速の定常円旋回を前提として考えた場合には、上記両加速度センサの検出する加速度の比率{正接値=tan(y″/x″)}から、車体姿勢を推定できる。上記車体30のスリップ角β´は、車体速度のベクトルと車体30の中心線とのなす角度であり、上記両加速度センサの設置位置によって変化するが、これら両加速度センサの設置位置で定義する事ができる。この場合、上記車体30のスリップ角β´は、単純に、次の(19)式で表せる。
Figure 2005106488
この(19)式により車体30のスリップ角β´を算出できれば、各車輪28、29のスリップ角βは、車体30と各車輪28、29との間の幾何学的関係から、次の様に表される。
先ず、後車輪29のスリップ角β(R) は、次の(20)式の様になる。
Figure 2005106488
又、この(20)式中のφ2 は、次の(21)式で表わされる。
Figure 2005106488
一方、縦方向の速度vx と、ヨー角速度ωRzと、旋回半径Rとの関係は、次の(22)式で表される。
Figure 2005106488
この(22)式を上記(21)に代入し、更にこの(21)式を上記(20)式に代入すると、次の(23)式を得られる。
Figure 2005106488
尚、前車輪28にのスリップ角β(F) 関しては、上述した後車輪29のスリップ角β(R) を求める方法に加えて、舵角δを考慮して、次の(24)式により求める。
Figure 2005106488
この様に(23)(24)両式により求められる、前後両車輪28、29のスリップ角β(F) 、β(R) を、前記(13)〜(18)に代入すれば、各車輪28、29に加わるアキシアル荷重Fy(コーナリングフォース)を算出できる。
前記演算器は、この様にして求めたアキシアル荷重Fyに基づき、前記各センサ23a、23b、15aから送り込まれる検出信号に基づいて荷重を算出する際のゲイン特性と零点とを自己学習する。そして、自己学習したゲイン特性と零点との一方又は双方が、それまで利用していたゲイン特性又は零点に対し、予め設定しておいた閾値を越えて異なった場合に、このゲイン特性又は零点を補正する。この為、長期間に亙る使用に伴って、或は組立工場での組み付け誤差等により、車輪支持用転がり軸受ユニットの特性が初期若しくは設計状態から変化した場合でも、この車輪支持用転がり軸受ユニットに加わる荷重を正確に求められる。ラジアル荷重にしても、同様にして、ゲイン特性及び零点の自己学習及び補正を行なう。
車両が荷重推定を行なうに足りる安定状態にあるか否かを判定する為の手順の第1例を示すフローチャート。 同第2例を示すフローチャート。 荷重推定を行なう為の条件を説明する為の、車両の模式図。 アキシアル荷重とラジアル荷重と各車輪の横滑り角との関係の第1例を示す線図。 同第2例を示す線図。 コーナリングパワーとラジアル荷重との関係の1例を示す線図。 車両状態量から車輪のスリップ角を算出する状態を説明する為、車両を上方から見た状態で示す模式図。 従来から知られている、ラジアル荷重測定用のセンサを組み込んだ転がり軸受ユニットの断面図。 従来から知られている、アキシアル荷重測定用のセンサを組み込んだ転がり軸受ユニットの断面図。 先発明に係る転がり軸受ユニットの荷重測定装置の断面図。 転がり軸受ユニットに加わる荷重を求められる理由を説明する為の模式図。
符号の説明
1、1a 外輪
2、2a ハブ
3、3a 回転側フランジ
4 ハブ本体
5 ナット
6 内輪
7 外輪軌道
8 内輪軌道
9a、9b 転動体
10、10a 取付孔
11 変位センサ
12 センサリング
13 センサロータ
14 カバー
15、15a 回転速度検出用センサ
16 ナックル
17 固定側フランジ
18 ボルト
19 ねじ孔
20 荷重センサ
21 センサユニット
22 検出部
23a、23b 公転速度検出用センサ
24a、24b 保持器
25a、25b 公転速度検出用エンコーダ
26 回転速度検出用エンコーダ
27 車輪
28 前輪(前車輪)
29 後輪(後車輪)
30 車体
31 路面

Claims (9)

  1. 内周面に外輪軌道を有する外輪相当部材と、この外輪相当部材の内径側にこの外輪相当部材と同心に配置された、外周面に内輪軌道を有する内輪相当部材と、この内輪軌道と上記外輪軌道との間に接触角を付与した状態で設けられた複数個の転動体と、これら各転動体の公転速度を検出する為の公転速度検出用センサと、この公転速度検出用センサから送り込まれる検出信号に基づいて上記外輪相当部材と上記内輪相当部材との間に加わる荷重を算出する演算器とを備え、この演算器は、この荷重を算出する機能に加えて、上記外輪相当部材及び内輪相当部材と上記各転動体とから成る転がり軸受ユニットを装着した車体に加わる横加速度と、ヨーレートと、走行速度と、舵角とを含む、上記荷重に影響する複数種類の状態値から選択される1乃至複数の状態値に基づいて上記外輪相当部材と上記内輪相当部材との間に加わる荷重を推定する機能と、この推定された荷重と上記検出信号に基づいて算出した荷重とを比較する事で、この検出信号に基づいてこの荷重を算出する際のゲイン特性と零点とを自己学習する機能とを有する車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
  2. 自己学習したゲイン特性と零点との少なくとも一方が、演算器に記憶されたゲイン特性又は零点と異なる場合に、この記憶されたゲイン特性又は零点を補正する機能を上記演算器が有する、請求項1に記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
  3. 1乃至複数の状態値に基づいて車両が安定状態にあると判断される場合にのみ、1乃至複数の状態値に基づいて荷重を推定する、請求項1〜2の何れかに記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
  4. 1乃至複数の状態値に基づいて舵角が大きくないと判断される場合にのみ、1乃至複数の状態値に基づいて荷重を推定する、請求項1〜3の何れかに記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
  5. 外輪相当部材が内周面に複列の外輪軌道を有し、内輪相当部材が外周面に複列の内輪軌道を有し、転動体がこれら各外輪軌道と各内輪軌道との間に複列に分けて各列毎にそれぞれ複数個ずつ、これら各列同士の間で接触角の方向を互いに逆にして設けられた状態で、1対の保持器により転動自在に保持されており、特性を円周方向に関して交互に且つ等間隔で変化させた1対の公転速度検出用エンコーダが上記各保持器の一部に設けられており、上記各列の転動体の公転速度をこれら各保持器の回転速度としてそれぞれ検出する為の1対の公転速度検出用センサが、それぞれの検出部を上記各公転速度検出用エンコーダの被検出面に対向させた状態で設けられており、演算器は、上記各公転速度検出用センサから送り込まれる検出信号に基づいて上記外輪相当部材と上記内輪相当部材との間に加わる荷重を算出するものである、請求項1〜4の何れかに記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
  6. 各転動体が玉であり、使用時に回転しない外輪相当部材の内周面に形成された複列アンギュラ型の外輪軌道と、使用時に回転する内輪相当部材の外周面に形成された複列アンギュラ型の内輪軌道との間にそれぞれ複数個ずつ設けられた玉に、背面組み合わせ型の接触角が付与されている、請求項5に記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
  7. 内輪相当部材の一部にこの内輪相当部材と同心に設けられた回転速度検出用エンコーダの被検出面に、外輪相当部材の一部に支持された回転速度検出用センサの検出部を対向させる事で、上記内輪相当部材の回転速度を検出自在とし、演算器は、一方の列の転動体の公転速度と他方の列の転動体の公転速度との和と、上記内輪相当部材の回転速度との比に基づいて、上記外輪相当部材と上記内輪相当部材との間に加わるラジアル荷重を算出する、請求項6に記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
  8. 内輪相当部材の一部にこの内輪相当部材と同心に設けられた回転速度検出用エンコーダの被検出面に、外輪相当部材の一部に支持された回転速度検出用センサの検出部を対向させる事で、上記内輪相当部材の回転速度を検出自在とし、演算器は、一方の列の転動体の公転速度と他方の列の転動体の公転速度との差と、上記内輪相当部材の回転速度との比に基づいて、上記外輪相当部材と上記内輪相当部材との間に加わるアキシアル荷重を算出する、請求項6に記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
  9. 演算器は、一方の列の転動体の公転速度と他方の列の転動体の公転速度との比に基づいて、外輪相当部材と内輪相当部材との間に加わるアキシアル荷重を算出する、請求項6に記載した車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置。
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