JP4356499B2 - スタビリティコントロール装置 - Google Patents

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Description

この発明は、車両(自動車)の走行安定性を確保する為のスタビリティコントロール装置の改良に関する。具体的には、ヨーレートや加速度センサ等、車体の姿勢を乱す方向に作用する力に関する状態量を測定する為のセンサの出力値の信頼性向上を図るべく発明したものである。
車両の走行時に何れか又は総ての車輪のグリップが低下若しくは喪失すると、車両の走行安定性が損なわれて、事故の原因となる。この為従来から、車両のスタビリティ(stability =standing ability=走行安定性)を確保する為に各種構造のスタビリティコントロール装置が考えられ、その一部は実用化されている。この様なスタビリティコントロール装置は、何れか又は総ての車輪のグリップが低下若しくは喪失した場合に、アクセルペダルの踏み込み量に関係なくエンジンの出力を低下させると共に、ブレーキペダル操作の有無に関係なく各車輪に付属したブレーキ装置のうちの少なくとも1個のブレーキ装置により当該車輪に制動力を付与する事で、スタビリティを確保するものである。
図2〜4は、この様なスタビリティコントロール装置のうち、非特許文献1に記載されたものの構造及び機能を表している。このスタビリティコントロール装置では、図2に示す様に、車両に設けた前後左右4個の車輪1FL、1FR、1RL、1RRの回転速度を、それぞれ回転速度センサ2FL、2FR、2RL、2RRにより検出自在としている。又、上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRに付属のブレーキ装置3FL、3FR、3RL、3RRに導入する油圧を、ブレーキペダル4の操作に基づいて制御する他、このブレーキペダル4の操作とは関係なく、互いに独立して調節自在としている。この為に、このブレーキペダル4の踏み込みに伴って圧油を送り出すマスタシリンダ5と、上記各ブレーキ装置3FL、3FR、3RL、3RRに付属のホイルシリンダとの間に、油圧制御ユニット6を設けている。そして、マイクロコンピュータを内蔵した制御器7からの信号に基づいて上記油圧制御ユニット6が、上記各ブレーキ装置3FL、3FR、3RL、3RRに導入する油圧を制御する様にしている。尚、各符号のうち「FL」は左前輪に、「FR」は右前輪に、「RL」は左後輪に、「RR」は右後輪に、それぞれ対応する。
上記制御器7には、上記各回転速度センサ2FL、2FR、2RL、2RRの検出信号の他、舵角センサ9の検出信号と、加速度センサ10の検出信号と、ヨーレートセンサ11の検出信号とを入力している。このうちの舵角センサ9は、ステアリングホイール8の操作に基づいて操舵輪(左右1対の前輪)に付与する舵角の大きさと付与する速度とを検出する。又、上記加速度センサ10は、車体に対し幅方向(左右方向)に加わる加速度を検出する為に、この車体に設けている。又、上記ヨーレートセンサ11は、この車体に加わる旋回モーメントを検出する為に、この車体に設けている。
この様な上記各センサ2FL、2FR、2RL、2RR、9、10、11の検出信号を受け入れた上記制御器7は、上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRと路面との接触面で車両の走行安定性を阻害する滑りが発生しない場合に、上記ステアリングホイール8の操作に基づいて車体が運動すると考えられる標準状態を算出する。そして、この標準状態と、上記加速度センサ10或は上記ヨーレートセンサ11の検出信号に基づいて求められる、実際に車体が運動している実状態との間に差が生じた場合に、上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRと路面との接触面で、車両の走行安定性を阻害する滑りが発生していると判定する。そして、この場合に上記制御器7は、図3に示す様に、図示しないエンジンの出力を低下させたり、前記各ブレーキ装置3FL、3FR、3RL、3RRに導入する油圧を制御する。この様にして行なわれる、スタビリティコントロール装置による制御が必要な典型的な状態として、車両の向きが上記ステアリングホイール8の操作量以上に変化するオーバーステア(スピン)の場合と、同じく操作量に見合うだけ変化しないアンダーステア(ドリフトアウト)とがある。又、何れの状態を修正する制御にしても、各種方法が知られている。
例えば上記制御器7は、図5の(A)に示す様にして(第1例の制御方法)、上記各状態を修正する。この場合に上記制御器7は、上記各回転速度センサ2FL、2FR、2RL、2RRの検出信号から、或は図示しないトランスミッションに組み込んだ車速センサの検出信号から、車体速度(車両の走行速度)を算出する。そして、この車体速度と、上記加速度センサ10が検出した、車両の横方向に加わる加速度(横G)とに基づいて、上記標準状態に対応してこの車両に加わる標準旋回角速度ω1 を算出する。又、上記制御器7は、上記ヨーレートセンサ11の検出信号から、実際に上記車両に加わる実旋回角速度(スピン角速度)ω2 を算出する。次いで、上記制御器7は、この実旋回角速度ω2 と上記標準旋回角速度ω1 とから、上記車両の滑り角速度dβ/dt(=ω2 −ω1 )を求め、更にこの滑り角速度から、この車両の滑り角度β(=∫dβ/dt)を求める。
そして、この滑り角度βが、この車両の走行安定性を損なう程大きいと判断した場合に上記制御器7は、この走行安定性を確保すべく、前記エンジン及び前記各ブレーキ装置3FL、3FR、3RL、3RRの制御を行なう。例えば、図4(A)に示す様に、右方への進路変更時にオーバーステアが発生した場合には、左前の車輪1FLに付属のブレーキ装置3FLに、比較的大きな制動力を発生させる。他の車輪1FR、1RL、1RRに付属のブレーキ装置3FR、3RL、3RRには、制動力を発生させないか、発生させた場合でも比較的小さな制動力のみを発生させる。この結果、上記左前の車輪1FLから車体12に、図4(A)に矢印イで示す方向の力が作用し、この力に基づいてこの車体12に、矢印ロで示す方向の修正旋回モーメントが加わる。この修正旋回モーメントの方向は、オーバーステア時に上記車体12を旋回させる方向{図4(A)の矢印ハ方向}と逆方向に加わるので、オーバーステアの状態が解消され、車両(車体12)は、前記ステアリングホイール8の操作に基づいて車輪1FL、1FRに付与された舵角に応じた分だけ進路変更する。
反対に、図4(B)に示す様に、右方への進路変更時にアンダーステアが発生した場合には、左後の車輪1RLに付属のブレーキ装置3RLが発生する制動力を零若しくは小さくする。他の車輪1FR、1FL、1RRに付属のブレーキ装置3FR、3FL、3RRには、比較的大きな制動力を発生させる。この結果、上記車体12の左後部が前方に移動しようとする力が、他の部分が前方に移動しようとする力よりも大きくなり、上記車体12に、図4(B)に矢印ニで示す方向の修正旋回モーメントが加わる。この修正旋回モーメントの方向は、上記車体12をより大きく旋回させる方向に加わるので、アンダーステアの状態が解消され、車両(車体12)は、上記ステアリングホイール8の操作に基づいて車輪1FL、1FRに付与された舵角に応じた分だけ進路変更する。
尚、オーバーステア、アンダーステアの何れの場合でも、上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRに付属の前記各回転速度センサ2FL、2FR、2RL、2RRの検出信号に基づいて制御されるアンチロックブレーキシステム(ABS)の制御信号から分かる、制動時の滑り率や、前記ヨーレートセンサ11の検出信号に基づいて、上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRと路面との接触面の摩擦抵抗(路面μ値)を推定する。そして、前記各ブレーキ装置3FL、3FR、3RL、3RRに導入する油圧の値を、互いに独立した状態で微調節する。又、図3に示す様に、これら各ブレーキ装置3FL、3FR、3RL、3RRに導入する油圧を調節すると同時に、エンジンの一部のシリンダへの燃料の供給を低減若しくは停止する事により、このエンジンの出力を低下させて、駆動輪から上記車体12に、それ以上オーバステア或はアンダーステアに繋がる力が加わらない様にする。
次に、図5の(B)に示した第2例の制御方法では、前記制御器7は、上述の第1例の場合と同様にして求めた車体速度と、前記舵角センサ9の検出信号とから、前記標準状態に対応して前記車両に加わる標準ヨーレートを算出する。又、上記制御器7は、前記ヨーレートセンサ11の検出信号から、実際に上記車両に加わる実ヨーレートを算出する。次いで、上記制御器7は、この実ヨーレートと上記標準ヨーレートとの偏差(ヨーレート偏差)及びその方向を求め、上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRと路面との接触面の滑り量を求める。そして、この滑りを解消すべく、上述の第1例の場合と同様にして、上記各ブレーキ装置3FL、3FR、3RL、3RRに導入する油圧の制御及び上記エンジンの出力制御を行なって、オーバステア或はアンダーステアの状態を解消する。尚、第1例の方法が特にオーバステアの修正に好適であるのに対して、第2例の方法は、特にアンダーステアの修正に好適である。
上述の様な、従来から知られているスタビリティコントロール装置の場合、走行安定性を確保する為の適切な制御を行なわせる為には、前記加速度センサ10や上記ヨーレートセンサ11の検出値が正確である事が必要である。一方、これら加速度センサ10やヨーレートセンサ11は、経時変化や温度変化によって零点が変化(ドリフト)し易い。そして、変化した場合には、上記各センサ10、11の検出信号に基づいて求められる、前記加速度(横G)や前記実旋回角速度(スピン角速度)ω2 が不正確になり、上記走行安定性を確保する為の制御を適切に行なえなくなる可能性がある。
この様な事情に鑑みて特許文献1には、車両が停止している状態で加速度センサの零点を補正する発明が、特許文献2には車両が停止している状態でヨーレートセンサの零点を補正する方法が、それぞれ記載されている。車両が平坦路に停止している限り、車両に加速度やヨーレートが加わる事はない為、上記加速度センサやヨーレートセンサの零点補正を正しく行なえる。但し、上記各特許文献に記載された方法では、車両が停止した状態でしか、上記各センサの零点補正を行なえない。従って、例えば高速道路を長時間連続走行する事に伴う温度変化等によって上記各センサの零点が変化(ドリフト)しても、スタビリティコントロール装置の制御器は、この零点が変化した事実を認識できない。この結果、上記各センサの検出信号に基づく、姿勢安定化の為の制御を、必ずしも適切に行なえなくなる可能性を生じる。加速度センサやヨーレートセンサのゲイン特性が変化した場合も同様である
一方、本発明者は先に、走行安定性をより向上させるべく、スタビリティコントロール装置の制御の応答性を向上させる発明をなした(特願2003−311092号=第一の先発明)。この第一の先発明では、各車輪を懸架装置に回転自在に支持する為の車輪支持用転がり軸受ユニット部分に設けたセンサにより、上記各車輪と路面との間に作用するグリップ力に関連して変化する状態値を測定し、このグリップ力に基づいて上記不安定状態を修正する為の制御を行なう。スタビリティコントロール装置をこの様に構成すれば、車体側に設けた加速度センサやヨーレートセンサの検出信号のみで姿勢安定化の為の制御を行なう場合に生じる、制御開始の遅れを解消できると考えられる。上記グリップ力に関連して変化する状態値を測定するセンサを備えた車輪支持用転がり軸受ユニットとして従来から、例えば特許文献3に記載されたものが知られている。
図6は、上記特許文献3に記載された車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置を示している。この従来構造の場合、回転しない外輪13の外周面に設けた固定側フランジ14の内側面複数個所で、この固定側フランジ14を懸架装置のナックル15に結合する為のボルト16を螺合する為のねじ孔17を囲む部分に、それぞれ荷重センサ18を添設している。上記外輪13を上記ナックル15に支持固定した状態でこれら各荷重センサ18は、このナックル15の外側面と上記固定側フランジ14の内側面との間で挟持される。
この様な従来から知られている車輪支持用転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合、図示しない車輪を結合固定したハブ19aと上記ナックル15との間にアキシアル荷重が加わると、このナックル15の外側面と上記固定側フランジ14の内側面とが、上記各荷重センサ18を、軸方向両面から強く押し付け合う。従って、これら各荷重センサ18の測定値を合計する事で、上記車輪と上記ナックル15との間に加わるアキシアル荷重を求める事ができる。
更に、未公知ではあるが、前記グリップ力に関連して変化する状態値を測定するセンサを備えた車輪支持用転がり軸受ユニットとして特願2004−7655号には、図7〜8に示す様な構造で、車輪に加わるラジアル荷重或はアキシアル荷重を測定する、転がり軸受ユニットの荷重測定装置が開示されている。この第二の先発明に係る転がり軸受ユニットの荷重測定装置は、回転輪であるハブ19の外周面に設けた、それぞれが回転側軌道である複列アンギュラ型の内輪軌道20、20と、静止輪である外輪13aの内周面に設けた、それぞれが静止側軌道である複列アンギュラ型の外輪軌道21、21との間に転動体(玉)22a、22bを、複列(2列)に分けて、各列毎にそれぞれ複数個ずつ、保持器23a、23bにより保持した状態で転動自在に設けている。そして、上記外輪13aの内径側に上記ハブ19を、回転自在に支持している。この状態で上記両列の転動体22a、22bには、互いに逆方向で、且つ、同じ大きさの接触角αa 、αb (図8参照)が付与されて、背面組み合わせ型の、複列アンギュラ型玉軸受を構成する。上記各列の転動体22a、22bには、使用時に加わるアキシアル荷重によって喪失する事がない程度に、十分な予圧を付与している。
上述の様な転がり軸受ユニットを構成する上記外輪13aの軸方向中間部で上記複列の外輪軌道21、21の間部分に取付孔24を、この外輪13aを径方向に貫通する状態で形成している。そして、この取付孔24にセンサユニット25を、上記外輪13aの径方向外方から内方に挿通し、このセンサユニット25の先端部26を、上記外輪13aの内周面から突出させている。この先端部26には、1対の公転速度検出用センサ27a、27bと、1個の回転速度検出用センサ28とを設けている。
このうちの各公転速度検出用センサ27a、27bは、上記複列に配置された転動体22a、22bの公転速度を測定する為のもので、上記先端部26のうち、上記ハブ19の軸方向(図7の左右方向)に関する両側面に、それぞれの検出面を配置している。本例の場合、上記両公転速度検出用センサ27a、27bは、上記複列に配置された各転動体22a、22bの公転速度を、前記各保持器23a、23bの回転速度として検出する。この為に本例の場合には、これら各保持器23a、23bを構成するリム部29、29を、互いに対向する側に配置している。そして、これら各リム部29、29の互いに対向する面に、それぞれが円輪状である公転速度検出用エンコーダ30a、30bを、全周に亙り添着支持している。これら各エンコーダ30a、30bの被検出面の特性は、円周方向に関して交互に且つ等間隔で変化させて、上記各保持器23a、23bの回転速度を上記両公転速度検出用センサ27a、27bにより検出自在としている。第二の先発明の場合には、上記両公転速度検出用エンコーダ30a、30bとして、被検出面である軸方向側面にS極とN極とを交互に且つ等間隔で配置した、円輪状の永久磁石を使用している。
一方、上記回転速度検出用センサ28は、前記ハブ19の回転速度を測定する為のもので、上記先端部26の先端面、即ち、上記外輪13aの径方向内端面に、その検出面を配置している。又、上記ハブ19の中間部で前記複列の内輪軌道20、20同士の間に、円筒状の回転速度検出用エンコーダ31を外嵌固定している。上記回転速度検出用センサ28の検出面は、この回転速度検出用エンコーダ31の被検出面である、外周面に対向させている。この回転速度検出用エンコーダ31の被検出面の特性は、円周方向に関して交互に且つ等間隔で変化させて、上記ハブ19の回転速度を上記回転速度検出用センサ28により検出自在としている。
上述の様な第二の先発明に係る転がり軸受ユニットの荷重測定装置の場合、上記各センサ27a、27b、28の検出信号は、図示しない演算器に入力する。そして、この演算器が、これら各センサ27a、27b、28から送り込まれる検出信号に基づいて、上記外輪13aと上記ハブ19との間に加わるアキシアル荷重を算出する。例えば上記演算器は、上記両公転速度検出用センサ27a、27bが検出する両列の転動体22a、22bの公転速度の差を求め、この差と、上記回転速度検出用センサ28が検出する上記ハブ19の回転速度との比に基づいて、上記アキシアル荷重を算出する。この様に構成する事により、前記両列の転動体22a、22bに付与されている予圧、並びに、転がり軸受ユニットに加わるラジアル荷重の影響を少なく抑えて、上記アキシアル荷重を精度良く求められる。この点に就いて、図8〜10を参照しつつ説明する。
図8は、前述の図7に示した車輪支持用の転がり軸受ユニットを模式化し、荷重の作用状態を示したものである。複列の内輪軌道20、20と複列の外輪軌道21、21との間に複列に配置された転動体22a、22bには予圧F0 、F0 を付与している。又、使用時に上記転がり軸受ユニットには、車体の重量等により、ラジアル荷重Fr が加わる。更に、旋回走行時に加わる遠心力等により、アキシアル荷重Fa が加わる。これら予圧F0 、F0 、ラジアル荷重Fr 、アキシアル荷重Fa は、何れも上記各転動体22a、22bの接触角αa 、αb に影響を及ぼす。そして、この接触角αa 、αb が変化すると、これら各転動体22a、22bの公転速度nc (nca、ncb)が変化する。これら各転動体22a、22bのピッチ円直径をDとし、これら各転動体22a、22bの直径をdとし、上記各内輪軌道20、20を設けたハブ19の回転速度をni とし、上記各外輪軌道21、21を設けた外輪13aの回転速度をno とすると、上記公転速度nc は、次の(1)式で表される。
c ={1−(d・cos α/D)・(ni /2)}+{1+(d・cos α/D)・(no /2)} −−− (1)
この(1)式から明らかな通り、上記各転動体22a、22bの公転速度nc は、これら各転動体22a、22bの接触角α(αa 、αb )の変化に応じて変化するが、上述した様にこの接触角αa 、αb は、上記ラジアル荷重Fr 及び上記アキシアル荷重Fa に応じて変化する。従って上記公転速度nc は、これらラジアル荷重Fr 及びアキシアル荷重Fa に応じて変化する。本例の場合、上記ハブ19が回転し、前記外輪13aが回転しない為、具体的には、上記ラジアル荷重Fr に関しては、図9に示す様に、大きくなる程上記公転速度nc が遅くなる。この図9中、実線イは、ラジアル荷重Fr を支承する割合の大きい側の転動体22b、22bに関する、破線ロは同じくラジアル荷重Fr を支承する割合の小さい側の転動体22a、22aに関する、それぞれの公転速度(とハブ19の回転速度との比)とラジアル荷重Fr との関係を示している。又、アキシアル荷重Fa に関しては、図10に示す様に、このアキシアル荷重Fa を支承する列の転動体22a、22aの公転速度が速くなり(図10の破線ハ参照)、このアキシアル荷重Fa を支承しない列の転動体22b、22bの公転速度が遅くなる(図10の実線ニ参照)。従って、上記各列の転動体22a、22bの公転速度nc に基づいて、上記ラジアル荷重Fr 及びアキシアル荷重Fa を求められる事になる。
但し、上記公転速度nc の変化に結び付く上記接触角αは、上記ラジアル荷重Fr と上記アキシアル荷重Fa とが互いに関連しつつ変化するだけでなく、上記予圧F0 、F0 によっても変化する。又、上記公転速度nc は、上記ハブ19の回転速度ni に比例して変化する。この為、これらラジアル荷重Fr 、アキシアル荷重Fa 、予圧F0 、F0 、ハブ19の回転速度ni を総て関連させて考えなければ、上記公転速度nc を正確に求める事はできない。このうちの予圧F0 、F0 は、運転状態に応じて変化するものではないので、初期設定等によりその影響を排除する事は容易である。これに対して上記ラジアル荷重Fr 、アキシアル荷重Fa 、ハブ19の回転速度ni は、運転状態に応じて絶えず変化するので、初期設定等によりその影響を排除する事はできない。
この様な事情に鑑みて第二の先発明では、前述した様に、ラジアル荷重Fr を求める場合には、前記各公転速度検出用センサ27a、27bが検出する各列の転動体22a、22bの公転速度の和を求める事により、上記アキシアル荷重Fa の影響を少なくしている。又、アキシアル荷重Fa を求める場合には、上記各列の転動体22a、22bの公転速度の差を求める事により、上記ラジアル荷重Fr の影響を少なくしている。更に、何れの場合でも、上記和又は差と、前記回転速度検出用センサ28が検出する上記ハブ19の回転速度ni との比に基づいて上記ラジアル荷重Fr 又は上記アキシアル荷重Fa を算出する事により、上記ハブ19の回転速度ni の影響を排除している。尚、上記アキシアル荷重Fa を、上記各列の転動体22a、22bの公転速度の比に基づいて算出する場合には、上記ハブ19の回転速度ni は、必ずしも必要ではない。
尚、上記各公転速度検出用センサ27a、27bの検出信号に基づいて上記ラジアル荷重Fr とアキシアル荷重Fa とのうちの一方又は双方の荷重を算出する方法は、他にも各種存在するが、この様な方法に就いては、前述の特願2004−7655号に詳しく説明されているし、本発明の要旨とも関係しないので、詳しい説明は省略する。
又、図7に示した構造は、上記各公転速度検出用センサ27a、27bと上記回転速度検出用センサ28とを、単一のセンサユニット25の先端部26に保持した構造であるが、これら各センサ27a、27b、28は、別々に設置しても良い。又、例えば、図11に示す様に、1対の公転速度検出用センサ27a、27bを、センサユニット25aの先端部26aに保持し、回転速度検出用センサ28aを、外輪13aの内端部に嵌合固定したカバー32に保持しても良い。この場合、回転速度検出用エンコーダ31aは、ハブ19の内端部に嵌合固定する。
何れにしても、上述の様な転がり軸受ユニットの荷重測定装置により測定した荷重(ラジアル荷重とアキシアル荷重との一方又は双方)は、路面と車輪(タイヤ)との接触面で生じている荷重と等価である。従って、上記測定した荷重に基づいて車両の走行状態を安定化させる為の制御を行なえば、車両の姿勢が不安定になる事を予防できてフィードフォワード制御が可能になる等、車両の走行安定性確保の為の高度な制御が可能になる。
以上に述べた、第二の先発明に係る転がり軸受ユニットの荷重測定装置は、比較的低コストで造れて、しかも、転がり軸受ユニットを構成するアキシアル荷重Fa 或はラジアル荷重Fr を正確に求められるものである。本発明者は、前述の特許文献3に記載された様な転がり軸受ユニットの荷重測定装置、或は上記第二の先発明に係る転がり軸受ユニットの荷重測定装置を利用する事により、スタビリティコントロール装置の制御の応答性を向上させて車両の走行安定性をより向上させる事が可能であると考えて、前記第一の先発明をなした。この第一の先発明の場合には、車体に対して各車輪を回転自在に支持する為の車輪支持用転がり軸受ユニットのそれぞれに、当該車輪支持用転がり軸受ユニットにより支持された車輪と路面との接触面に作用する、車輪の滑りを阻止する方向に加わるグリップ力に基づいて出力を変化させるグリップ力検知手段を設ける。そして、このグリップ力検知手段の検出信号を入力した制御器が、車両の走行安定性を確保する為の制御を行なう。このグリップ力検知手段として、上記特許文献3に記載された、或は上記第二の先発明に係る転がり軸受ユニットの荷重測定装置を利用する。
上述の様に構成する、上記第一の先発明に係るスタビリティコントロール装置によれば、車輪と路面との接触面に実際に作用しているグリップ力に基づいて、車両の走行安定性を確保する為の制御を行なえる。この制御は、制御開始の為の信号(トリガー)として上記グリップ力を利用する為、この制御を、車体と車輪との間に設けた、懸架装置用のばねの伸縮に基づく時間的遅れの影響を受ける事なく、上記グリップ力が不足した瞬間から開始させられる。この結果、制御の応答性を高めて、車両の走行安定性をより向上させる事ができる。
上述の様な第一の先発明を実施する場合には、グリップ力を表す信号のみで走行状態安定化の為の制御を行なうのではなく、前記図2に示した従来構造で制御の為に利用していた、加速度センサ10やヨーレートセンサ11の信号と組み合わせて、上記制御を行なう事が好ましい。即ち、上記グリップ力を制御開始の為のトリガーとして利用する事により、制御開始の際の時間的遅れを僅少に抑えて、車両の走行安定性をより向上させる事ができるが、一度車両の姿勢が不安定になった後は、上記加速度センサ10やヨーレートセンサ11の信号に基づく制御を行なう事が、不安定状態の解消を効果的に行なう為には好ましい。
従って、上記第一の先発明を実施する場合にも、上記加速度センサ10やヨーレートセンサ11を使用する事になる。この為、これら両センサ10、11の零点補正を行なう必要が生じる。この場合に、上記グリップ力を表す信号が存在するので、この信号に基づいて、車両が走行している状態でも、上記両センサ10、11の零点補正を行なう事が可能になる。
特開平7−301641号公報 特開2000−121664号公報 特開平3−209016号公報 青山元男、「レッドバッジシリーズ/245/スーパー図解/クリマの最新メカがわかる本」、(株)三推社/(株)講談社、平成13年12月20日
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、上述した第一の先発明に係るスタビリティコントロール装置を実施する場合に、ヨーレートセンサや加速度センサ等の、車体の姿勢を乱す方向に作用する力に関する状態量を測定する為の状態量測定センサの零点やゲイン特性の補正を、車両が走行している状態でも行なえる様にすべく発明したものである。
本発明のスタビリティコントロール装置は何れも、車体の姿勢を乱す方向に作用する力に関する状態量を測定する為に、この車体の一部に設置された状態量測定センサと、この状態量測定センサの測定値に基づいて車両の走行安定性を確保する為の制御を行なわせる制御器とを備える。
特に、本発明のスタビリティコントロール装置に於いては、車輪と上記車体との間に加わるアキシアル荷重を求める為の荷重測定手段を備える。そして、上記制御器は、この荷重測定手段の測定値に基づいて、上記状態量測定センサの零点とゲイン特性とのうちの少なくとも一方を補正する。
具体的には、上記制御器は、上記荷重測定手段が測定したアキシアル荷重が予め設定した閾値よりも小さい場合に、上記車体に対し姿勢を乱す方向に作用している状態量が零であると判定し、この場合に於ける状態量測定センサの測定値に基づいて状態量測定センサの零点補正を行なう。
更に、上記制御器は、上記閾値を、車両の走行速度に応じて変化させる。
上述の様に構成する本発明のスタビリティコントロール装置によれば、車両が走行中でも、荷重測定手段の測定値を基に、加速度センサやヨーレートセンサ等の状態量測定センサの零点やゲイン特性の補正を行なえる。
即ち、各車輪と車体との間に加わるアキシアル荷重が零若しくは僅少である場合には、この車体に加わる横方向の加速度やヨーレート等の、車体の姿勢を乱す方向に作用する力に関する状態量は零若しくは僅少であると考えられる。従って、アキシアル荷重が零若しくは僅少である際には、車両が走行状態であっても、状態量測定センサの零点補正を行なえる。
又、上記荷重測定手段の測定値と上記状態量測定センサの測定値との間には相関関係があるので、この荷重測定手段の測定値変動に基づいて、この状態量測定センサのゲイン特性を補正する事ができる。
この結果、上記状態量測定センサの零点やゲイン特性を常に適正値にして、車両の走行状態を安定化させる制御の信頼性向上を図れる。
特に、荷重測定手段の測定値は、走行速度に応じて変化する(走行速度が速くなる程アキシアル荷重に関する測定値が大きくなる)が、閾値を車両の走行速度に応じて変化させる事により、この走行速度の変動に拘らず、上記状態量測定センサの零点補正を、効果的に、且つ、高い信頼性で行なえる。
本発明を実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した様に、制御器は、荷重測定手段が測定したアキシアル荷重が予め設定した閾値よりも小さい場合で、状態量測定センサの測定値が予め設定した所定値よりも大きい場合に、この状態量測定センサと上記荷重測定手段との何れか(又は双方)が故障していると判定する。
この様に構成すれば、故障した状態量測定センサ又は荷重測定手段の測定値に基づいて、車両の走行状態を安定化させる為の制御を行なう事を防止できる。即ち、上記状態量測定センサの零点やゲイン特性は、温度により或は経時的に変化するが、この状態量測定センサが正常である(故障していない)限り、その変化量は極く限られ、それぞれの補正値も僅少である。従って、これら各補正値が、それぞれに関する閾値を超える値になった場合には、上記状態量測定センサと上記荷重測定手段との何れかが故障している可能性が高い。そこで、この様な場合には、これら状態量測定センサと荷重測定手段との何れかが故障していると判定し、これら状態量測定センサと荷重測定手段とによる制御を停止すると共に、これら状態量測定センサと荷重測定手段との何れかが故障した旨を運転席に設けた警告灯等の警告手段により表示する等を行なう。この様にすれば、信頼性の低い測定値に基づいて車両の走行状態を安定化させる制御を継続し、この走行状態が却って不安定になる事を防止できる。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した様に、荷重測定手段は、内周面に複列の外輪軌道を有する外輪相当部材と、外周面に複列の内輪軌道を有する内輪相当部材と、これら両列の外輪軌道と両列の内輪軌道との間に、各列毎に複数個ずつ転動自在に設けられた転動体とを備え、車体に対し車輪を回転自在に支持する車輪支持用転がり軸受ユニットに組み込まれたものとする。そして、上記両列の転動体の公転速度と、上記外輪相当部材と上記内輪相当部材とのうちの一方の部材で車輪と共に回転する回転輪の回転速度とのうちから選択される複数の速度の変動に基づいて、上記外輪相当部材と上記内輪相当部材との間に作用するアキシアル荷重を求める。
この様に、上記荷重測定手段として、前述の第二の先発明に係る転がり軸受ユニットの荷重測定装置を使用すれば、比較的低コストで、車輪と車体との間に加わるアキシアル荷重を、実用上十分な精度で求める事ができる。
尚、請求項1〜3に記載した荷重測定手段には、前述の図6に示した、特許文献3に記載された構造も含む。
又、本発明を実施する場合に、前記車体の姿勢を乱す方向に作用する力に関する状態量を測定する為に、この車体の一部に設置された状態量測定センサとは、請求項4に記載した様に、この車体に加わる状態量の一種であるヨーレートを測定する為のヨーレートセンサと、同じく横方向の加速度を測定する為の加速度センサとの一方又は双方とする。
本発明は、前述の第一の先発明に係るスタビリティコントロール装置を実施する場合に、前述の図2〜4に示した従来構造と組み合わせる事により、車両の走行状態を安定化させる制御を効果的に行なえる様にするものである。上記従来構造に就いては先に説明したので、上記第一の先発明の実施例に就いて、図1により説明する。制御器7(図2参照)は、車両に設けた前後左右4個の車輪1FL、1FR、1RL、1RR(図2参照)に付属させた各回転速度センサ2FL、2FR、2RL、2RR(図2参照)の検出信号から、或は図示しないトランスミッションに組み込んだ車速センサの検出信号から、車体速度(車両の走行速度)を算出する。そして、この車体速度と、加速度センサ10(図2参照)が検出した、車両の横方向に加わる加速度(横G)とに基づいて、上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRと路面との接触面で車両の走行安定性を阻害する滑りが発生しない標準状態に対応して、上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRと路面との接触面に加わる標準グリップ力を算出する。この標準グリップ力は、これら各車輪1FL、1FR、1RL、1RRの軸方向に加わるアキシアル荷重として求める事が、後の処理(実グリップ力との比較)を容易にする面から、有利である。
又、上記制御器7は、上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRを回転自在に支持する為、これら各車輪1FL、1FR、1RL、1RRと懸架装置との間に設けた、前述の図6或は図7、11に示す様な転がり軸受ユニットの荷重測定装置からの検出信号に基づいて、実際に上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRに加わる実グリップ力を算出する。例えば、上記図7、11に示した転がり軸受ユニットの荷重測定装置で、回転輪であるハブ19と静止輪である外輪13aとの間に作用するアキシアル荷重は、上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRと路面との接触面でこれら各車輪1FL、1FR、1RL、1RRの軸方向{車体12(図4参照)の幅方向}に加わるグリップ力に対応(比例)する。従って、上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRに付属の荷重測定装置からの検出信号に基づいて、実際に上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRに加わる実グリップ力を、容易、迅速、且つ正確に算出できる。
上記制御器7は、上述の様にして標準グリップ力と実グリップ力とを算出した後、これら標準グリップ力と実グリップ力との偏差(グリップ力偏差)を求める。そして、このグリップ力偏差が、車両の走行安定性を損なう程大きいと判断した場合に上記制御器7は、この走行安定性を確保すべく、前記エンジン及び上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRに付属の各ブレーキ装置3FL、3FR、3RL、3RR(図2参照)の制御を行なう。本実施例は、オーバーステア時に車両の安定性確保を図る場合に有効な制御である。従って、例えば、前述の図4(A)に示す様に、右方への進路変更時にオーバーステアが発生した場合に、左前の車輪1FLに付属のブレーキ装置3FLに、比較的大きな制動力を発生させ、他の車輪1FR、1RL、1RRに付属のブレーキ装置3FR、3RL、3RRには、制動力を発生させないか、発生させた場合でも比較的小さな制動力のみを発生させる。この結果、上記左前の車輪1FLから車体12に、図4(A)に矢印ロで示す方向の修正旋回モーメントを加えて、オーバーステアの状態を解消する。
尚、上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRに付属の前記各回転速度センサ2FL、2FR、2RL、2RRの検出信号に基づいて制御されるアンチロックブレーキシステム(ABS)の制御信号から分かる、制動時の滑り率、或は別途車体12(図4参照)に設けたヨーレートセンサ11(図2参照)の検出信号に基づいて、上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRと路面との接触面の摩擦抵抗(路面μ値)を推定する。そして、上記各ブレーキ装置3FL、3FR、3RL、3RRに導入する油圧の値を、互いに独立した状態で微調節する。又、前述の図3に示す様に、これら各ブレーキ装置3FL、3FR、3RL、3RRに導入する油圧を調節すると同時に、前記エンジンの一部のシリンダへの燃料の供給を低減若しくは停止する事により、このエンジンの出力を低下させて、駆動輪から上記車体12に、それ以上オーバステアに繋がる力が加わらない様にする。更には、舵角センサ9と速度センサとの検出信号に基づく計算値と、上記ヨーレートセンサ11の信号に基づく計算値とから上記摩擦抵抗を推定し、この摩擦抵抗に基づき得られるグリップ力と、その時点での実グリップ力とを比較して、車両の安定性が失われない様にする、フィードフォワード制御も可能になる。
前記第一の先発明に係るスタビリティコントロール装置は、例えば上述の様にして、車両の走行状態が不安定になる事を防止する。上述の説明から明らかな通り、上記第一の先発明に係るスタビリティコントロール装置を実施する場合にも、前記加速度センサ10やヨーレートセンサ11が必要になる場合がある。又、路面が極端に滑り易かったり、或はコーナへの進入スピードが過度に高い場合には、車両の走行状態が不安定になる事を防止し切れない場合が生じる。この様に車両の走行状態が不安定になった後は、前述の図2〜4に示した従来構造により、この不安定状態を解消する為、この面からも上記加速度センサ10やヨーレートセンサ11は必要になる。そして、前述した通りこれら加速度センサ10やヨーレートセンサ11の零点やゲイン特性は変動し易い為、車両が走行状態であっても、これらを補正する事が好ましい。
そこで、本実施例の場合には、次の様に、前記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRに付属の荷重測定装置からの検出信号に基づいて、上記加速度センサ10やヨーレートセンサ11の零点やゲイン特性を補正する様にしている。
先ず、車両が安定状態で走行している場合、上記各車輪1FL、1FR、1RL、1RRで発生している横方向の路面グリップ力の合計値Fy(これら4個の車輪1FL、1FR、1RL、1RRに付属した荷重測定装置が測定したアキシアル荷重Fa の合計値)[N]とヨーレートω[rad/s]との間には、次の(2)(3)式の関係が成り立つ。
Fy=m・ω・v −−− (2)
ω=Fy/m・v −−− (3)
これら(2)(3)式中のmは車体質量[kg]、vは車速[m/s]である。
これら(2)(3)式中の車体質量mは予め把握できる。又、車速vは、速度計の為の車速センサの検出信号に基づいて求められる。そして、これら容易に求められる車体質量m及び車速vを上記(3)式に代入すれば、上記路面グリップ力の合計値Fyから上記ヨーレートωを推定できる。又、この路面グリップ力の合計値Fyが零若しくは僅少である場合には、上記ヨーレートωも零若しくは僅少である事が分かる。従って、前述の図6に示した、特許文献3に記載された構造により求めた、或は 前述の図7、11に示した第二の先発明に係る構造により求めた、上記路面グリップ力の合計値Fyが予め設定した閾値(零に近い僅少値)よりも小さくなったならば、その瞬間に於けるヨーレートωが零であると判断する。そして、その瞬間での上記ヨーレートセンサ11の出力値をチェックし、その出力値分を、このヨーレートセンサ11の零点のドリフト量とする。そこで、この様にして求めたドリフト量をこのヨーレートセンサ11の出力値から差し引いたり、或は上記瞬間でのこのヨーレートセンサ11の出力値を、前記制御器7に零点として認識させる等により、このヨーレートセンサ11の零点補正を行なえる。
車体の横方向に加わる加速度を検出する為の、前記加速度センサ10の零点補正の為の作業も、同様にして行なえる。即ち、車両が安定状態で走行している場合、横方向の路面グリップ力の合計値Fy[N]と上記横方向に加わる加速度y″との間には、次の(4)(5)式の関係が成り立つ。
Fy=m・y″ −−− (4)
y″=Fy/m −−− (5)
この(5)式から明らかな通り、上記路面グリップ力の合計値Fyが予め設定した閾値(零に近い僅少値)よりも小さくなった瞬間での、上記加速度センサ10の出力値を、この加速度センサ10の零点のドリフト量とし、この加速度センサ10の出力値から差し引いたり、或は上記制御器7に零点として認識させる等により、この加速度センサ10の零点補正を行なえる。
更に、前記(3)式や上記(5)式から、ほぼ同様にして、上記ヨーレートセンサ11や上記加速度センサ10のゲイン特性を補正する事もできる。即ち、車両の走行状態が不安定になっていない状態下で、上記路面グリップ力の合計値Fyが予め設定した一定の大きさになった瞬間に、この路面グリップ力の合計値Fyに基づいて、前記ヨーレートωや上記横方向の加速度y″を推定する。そして、この推定値と、この推定値を求めた瞬間に於ける上記ヨーレートセンサ11や上記加速度センサ10の出力値とを比較する。そして、これら各センサ11、10の出力値が上記推定値とずれていた場合に、これら各センサ11、10の出力値がこの推定値と一致する方向に、これら各センサ11、10のゲインを補正する。
尚、前記(2)(3)式や上記(4)(5)式では、路面グリップ力の合計値Fyに基づいて、上記ヨーレートωや上記横方向の加速度y″を推定する様にしている。但し、これらヨーレートωや横方向の加速度y″を推定し、上記ヨーレートセンサ11や上記加速度センサ10の零点やゲイン特性を補正する事は、前側2輪の路面グリップ力の合計値や、後側2輪の路面グリップ力の合計値によっても行なえる。但し、この場合には、上記(2)(3)式や上記(4)(5)式中の車体質量mとして、前2輪或は後2輪に加わる値を使用する。従って、この場合には、車両の走行状態が安定しており、且つ、制動や加速に伴う荷重移動が生じていない状態で、上記零点やゲイン特性の補正を行なう。
本発明の実施例の機能の一部を説明する為のフローチャート。 従来から知られているスタビリティコントロール装置の1例を示す略平面図。 このスタビリティコントロール装置の作動時に於ける各部の制御状態を示す線図。 このスタビリティコントロール装置の作動状態の2例を説明する為の、車両の略平面図。 このスタビリティコントロール装置の機能の2例を示すフローチャート。 従来から知られている荷重センサ付車輪支持用転がり軸受ユニットの1例を示す断面図。 先発明に係る荷重測定装置付車輪支持用転がり軸受ユニットの第1例を示す断面図。 各列の転動体の公転速度に基づいて荷重測定を行なえる理由を説明する為の模式図。 ラジアル荷重と各列の転動体の公転速度との関係を示す線図。 アキシアル荷重と各列の転動体の公転速度との関係を示す線図。 先発明に係る荷重測定装置付車輪支持用転がり軸受ユニットの第2例を示す断面図。
符号の説明
FL、1FR、1RL、1RR 車輪
FL、2FR、2RL、2RR 回転速度センサ
FL、3FR、3RL、3RR ブレーキ装置
4 ブレーキペダル
5 マスタシリンダ
6 油圧制御ユニット
7 制御器
8 ステアリングホイール
9 舵角センサ
10 加速度センサ
11 ヨーレートセンサ
12 車体
13、13a 外輪
14 固定側フランジ
15 ナックル
16 ボルト
17 ねじ孔
18 荷重センサ
19 ハブ
20 内輪軌道
21 外輪軌道
22a、22b 転動体
23a、23b 保持器
24 取付孔
25、25a センサユニット
26、26a 先端部
27a、27b 公転速度検出用センサ
28、28a 回転速度検出用センサ
29 リム部
30a、30b 公転速度検出用エンコーダ
31、31a 回転速度検出用エンコーダ
32 カバー

Claims (4)

  1. 車体の姿勢を乱す方向に作用する力に関する状態量を測定する為に、この車体の一部に設置された状態量測定センサと、この状態量測定センサの測定値に基づいて車両の走行安定性を確保する為の制御を行なわせる制御器とを備えたスタビリティコントロール装置に於いて、車輪と上記車体との間に加わるアキシアル荷重を求める為の荷重測定手段を備え、上記制御器は、この荷重測定手段の測定値に基づいて、上記状態量測定センサの零点とゲイン特性とのうちの少なくとも一方を補正するものであって、上記荷重測定手段が測定したアキシアル荷重が予め設定した閾値よりも小さい場合に、上記車体に対し姿勢を乱す方向に作用している状態量が零であると判定し、この場合に於ける状態量測定センサの測定値に基づいて状態量測定センサの零点補正を行なうものであり、且つ、上記閾値を、車両の走行速度に応じて変化させる事を特徴とするスタビリティコントロール装置。
  2. 制御器は、荷重測定手段が測定したアキシアル荷重が予め設定した閾値よりも小さい場合で、状態量測定センサの測定値が予め設定した所定値よりも大きい場合に、この状態量測定センサと上記荷重測定手段との何れかが故障していると判定する、請求項1に記載したスタビリティコントロール装置。
  3. 荷重測定手段は、内周面に複列の外輪軌道を有する外輪相当部材と、外周面に複列の内輪軌道を有する内輪相当部材と、これら両列の外輪軌道と両列の内輪軌道との間に、各列毎に複数個ずつ転動自在に設けられた転動体とを備え、車体に対し車輪を回転自在に支持する車輪支持用転がり軸受ユニットに組み込まれたものであり、上記両列の転動体の公転速度と、上記外輪相当部材と上記内輪相当部材とのうちの一方の部材で車輪と共に回転する回転輪の回転速度とのうちから選択される複数の速度の変動に基づいて、上記外輪相当部材と上記内輪相当部材との間に作用するアキシアル荷重を求めるものである、請求項1〜2の何れかに記載したスタビリティコントロール装置。
  4. 状態量測定センサが、車体に加わる状態量の一種であるヨーレートを測定する為のヨーレートセンサと、同じく横方向の加速度を測定する為の加速度センサとの一方又は双方である、請求項1〜3の何れかに記載したスタビリティコントロール装置。
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