JP2005106152A - 流体封入式防振装置および流体封入式防振装置の製造方法 - Google Patents

流体封入式防振装置および流体封入式防振装置の製造方法 Download PDF

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剛史 高崎
Atsushi Muramatsu
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Abstract

【課題】 本体ゴム弾性体の外周面に加硫接着された金属スリーブに対して、局部的な変形を回避しつつ、大きな縮径率で縮径加工を施し、それによって、本体ゴム弾性体に有効な予圧縮を及ぼすことが出来る、流体封入式防振装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 軸方向一方の端部にかしめ部46が設けられた金属スリーブ22において、一対の窓部32,32を挟んで軸方向両側に位置せしめられた二つの嵌着筒部34a,34bを軸方向で相互に連結するようにして、各一対の連結部36,36と補強連結部38,38を設けた。そして、本体ゴム弾性体16の加硫成形後に、該金属スリーブ22に対して、かしめ筒部46が形成された軸方向一方の側よりも軸方向他方の側のほうが大きな縮径率となるように縮径加工を施して、本体ゴム弾性体16に予圧縮を加えるようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内部に封入された非圧縮性流体の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置に係り、特に互いに直交する二方向の入力振動に対して何れも非圧縮性流体の流動作用に基づく有効な防振効果が発揮され得る流体封入式防振装置の新規な構造および新規な製造方法に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体としての防振装置の一種として、内部に封入された非圧縮性流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式防振装置が知られている。また、流体封入式防振装置の使用状況によっては、複数の方向から入力される振動に対してそれぞれ防振効果が要求される場合があり、例えば、自動車用エンジンマウントにおいては、パワーユニットに対するエンジンマウントの配設形態等に応じてエンジンシェイクやアイドリング振動等が各種方向に入力されることになると共に、良好な乗心地と安定した走行安定性の両立等を目的として各種方向で異なるばね特性が要求されることとなる。
このような要求に対して、従来から、特許文献1,2に示されているように、互いに直交する二方向から入力される振動に対して、それぞれ、流体の流動作用に基づく防振効果が発揮されるようにすると共に、それら二方向で流体の流動作用に基づいて発揮される防振効果を各別にチューニングできるようにした構造の流体封入式防振装置が、提案されている。かかる流体封入式防振装置は、パワーユニットに取り付けられるインナ金具に対して、車両ボデーに取り付けられるアウタ筒金具を径方向外方に離隔配置せしめて、それらインナ金具とアウタ筒金具を本体ゴム弾性体で連結したゴムマウントにおいて、軸方向の振動入力時に流体流動が生ぜしめられる第一の流体封入領域と、軸直角方向の振動入力時に流体流動が生ぜしめられる第二の流体封入領域を形成した構造とされている。
そこにおいて、第一の流体封入領域は、本体ゴム弾性体の軸方向一方の側に可撓性膜を備えた蓋部材を配設して、本体ゴム弾性体と蓋部材の対向面間に形成されている。一方、第二の流体封入領域は、本体ゴム弾性体の軸直角方向両側に一対の作用室を形成すると共に、それら一対の作用室をオリフィス通路で相互に連通せしめることによって形成されている。また、第一及び第二の流体封入領域の形成と非圧縮性流体の封入を含む製造作業を容易とするために、本体ゴム弾性体の外周面には金属スリーブが加硫接着されている。そして、この金属スリーブの軸方向端部に蓋部材を固定して組み付けることによって第一の流体封入領域が画成されるようになっていると共に、本体ゴム弾性体に設けた一対のポケット部を金属スリーブに設けた窓部を通じて外周面に開口せしめて、金属スリーブにアウタ筒金具を外嵌固定することにより、金属スリーブの窓部をアウタ筒金具で覆蓋して一対の作用室を含む第二の流体封入領域が画成されるようになっている。
ところで、特許文献1,2に開示された流体封入式防振装置では、円筒形状の金属スリーブが採用されていると共に、軸方向一方の開口周縁部に内向きフランジ状の環状支持片が一体形成されたアウタ筒金具が採用されており、かかるアウタ筒金具の環状支持片に対して可撓性膜としてのダイヤフラムゴムが加硫接着されることによって蓋部材が構成されている。
しかしながら、このように蓋部材を一体的に構成したアウタ筒金具においては、軸方向一方の端部に環状支持片が形成されていることから、金属スリーブに外挿せしめた後に八方絞り等の縮径加工を施してアウタ筒金具を金属スリーブに対して嵌着固定する際、環状支持片が形成された軸方向端部側の縮径加工が困難となり、アウタ筒金具の縮径が不十分となったり局部的な変形が発生してしまうおそれがある。そのために、アウタ筒金具を金属スリーブの外周面に対して強固に嵌着固定することが難しくなり、流体封入領域の流体密性を確保するために高度な加工技術や労力のかかる管理体制が要求されるという問題があった。
このような問題に対処するために、例えば、金属スリーブの軸方向一方の開口端部にかしめ筒部を設け、該かしめ筒部に対して蓋部材をかしめ固定して組み付けることが考えられる。このように蓋部材を金属スリーブに固定するようにすれば、円筒形状のアウタ筒金具を採用することが可能となり、アウタ筒金具に対して有効な縮径加工を容易に施すことが出来るのであり、流体封入領域の流体密性を有利に且つ安定して得ることが可能となるのである。
ところが、流体封入式防振装置における要求特性やサイズ、使用する本体ゴム弾性体の材料等によっては、本体ゴム弾性体の加硫成形後、本体ゴム弾性体の外周面に被着された金属スリーブに絞り加工等の縮径加工を施して、本体ゴム弾性体に予圧縮を加えることが望ましい場合がある。その場合には、上述の如く金属スリーブの軸方向一方の端部にかしめ筒部を設けたことによって、金属スリーブへの縮径加工が難しくなってしまうという不具合が、新たに発生してしまうこととなるのである。
特開2002−327787号公報 特開2002−327788号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、軸方向一方の開口端部にかしめ筒部が設けられた金属スリーブに対して縮径加工を安定して施すことが出来、それによって、該金属スリーブが被着された本体ゴム弾性体に対して有効な予圧縮を及ぼすことが出来る、新規な構造の流体封入式防振装置を提供すること、および流体封入式防振装置の新規な製造方法を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することが出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
(流体封入式防振装置の製造方法に関する発明)
本発明の第一の態様は、インナ部材の外方に略円筒形状の金属スリーブを離隔配置せしめてそれらインナ部材と金属スリーブを本体ゴム弾性体で連結し、該本体ゴム弾性体の軸直角方向両側に一対のポケット部を設けると共に該金属スリーブの軸直角方向両側に一対の窓部を設けて該各ポケット部を該各窓部を通じて開口させる一方、該金属スリーブの軸方向一方の開口端部にかしめ筒部を設け、該かしめ筒部によって蓋部材をかしめ固定して該金属スリーブの軸方向一方の開口部を覆蓋することにより、該本体ゴム弾性体の軸方向一方の側に位置して軸方向振動入力時に封入流体の流動作用に基づく防振効果が発揮される第一の流体封入領域を画成すると共に、該金属スリーブにアウタ筒部材を外嵌固定して該金属スリーブの該窓部を覆蓋することにより、軸直角方向で対向位置せしめられてオリフィス通路によって相互に接続された一対の作用室からなり軸直角方向の振動入力時に封入流体の流動作用に基づく防振効果が発揮される第二の流体封入領域を画成した流体封入式防振装置を製造する方法であって、前記金属スリーブとして、前記各窓部の周方向中間部分において前記各ポケット部の開口部を跨いで軸方向に延びる補強連結部が設けられて、それら補強連結部により該窓部の軸方向両側に位置して周方向に連続して延びる二つの嵌着筒部が一体的に連結せしめられてなるものを採用し、前記本体ゴム弾性体の加硫成形後に、該本体ゴム弾性体の外周面に加硫接着せしめた該金属スリーブに対して、前記かしめ筒部が形成された軸方向一方の側よりも軸方向他方の側のほうが大きな縮径率となるように縮径加工を施して、該本体ゴム弾性体に予圧縮を加えることを、特徴とする。
このような本態様においては、金属スリーブに対して、かしめ筒部が形成された軸方向一方の側よりも軸方向他方の側に大きな縮径率で縮径加工が施されることから、かしめ筒部を設けたことに起因する金属スリーブの縮径加工に際しての不具合、即ち金属スリーブの局部的な変形等を回避せしめつつ、本体ゴム弾性体に対して有効な予圧縮を加えることが可能となる。
そこにおいて、金属スリーブには一対の窓部が形成されていることから、縮径加工に際しての局部的な変形が、特に縮径率の大きい軸方向他方の側で懸念されるが、本態様では、各窓部に補強連結部を設けた特定構造の金属スリーブを採用したことにより、縮径加工に際しての金属スリーブにおける局部的な変形が防止される。それ故、金属スリーブに対して、十分な縮径率での縮径加工を安定して施すことが出来るのであり、それに基づいて、本体ゴム弾性体に対して有効な予圧縮を安定して加えることが出来るのである。
なお、本態様において、好ましくは、金属スリーブの外径寸法が、かしめ筒部が設けられたほうと反対側の軸方向端部から少なくとも窓部を越えて軸方向の所定長さに亘る領域において、縮径加工が施された後に略一定となるようにされる。これにより、金属スリーブに対するアウタ筒部材の外嵌固定を容易に行うことが出来、金属スリーブの窓部をアウタ筒部材によって一層有利に覆蓋せしめることが可能となる。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に係る流体封入式防振装置の製造方法であって、前記金属スリーブとして、一対の前記窓部を挟んだ両側に設けられた二つの前記嵌着筒部のうち前記かしめ筒部の設けられた側に位置する該嵌着筒部よりも軸方向反対側に位置する該嵌着筒部のほうが大径とされたものを採用し、前記本体ゴム弾性体の加硫成形後に縮径加工を施すことによって、それら二つの嵌着筒部が略同じ外径寸法となるようにすることを、特徴とする。このような本態様に従えば、周方向に連続した形状を有することにより縮径加工に対しても優れた形状安定性を発揮し得る嵌着筒部を利用して、特に、窓部に対してかしめ筒部と反対側に位置する該嵌着筒部を巧く利用して、本体ゴム弾性体に対する予圧縮を一層効率的に且つ安定して及ぼすことが出来るのである。
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に係る流体封入式防振装置の製造方法であって、前記金属スリーブとして、周方向で隣接する前記一対の窓部間を軸方向に延びる部分と、前記二つの補強連結部とにおいて、それぞれ、内周側に向かって湾曲乃至は屈曲して突出するくびれ状部が形成されたものを採用することを、特徴とする。このような本態様に従えば、金属スリーブにおいて窓部が形成されている部位と形成されていない部位の相対的な強度差を軽減することが出来るのであり、縮径加工に際して、かかる強度差に起因して金属スリーブに惹起される局部的な変形や歪を、一層効果的に抑えることが可能となる。
すなわち、金属スリーブに縮径加工を施す際に二つの嵌着筒部は絞り型等によってそのままの位置に強制的に位置決め保持されるが、これら二つの嵌着筒部は、一対の窓部間を軸方向に延びる部分と二つの補強連結部とによって、軸方向で相互に連結されている。そして、縮径加工に際して、嵌着筒部には、これら一対の窓部間を軸方向に延びる部分と二つの補強連結部がそれぞれ接続された位置において、軸方向の伸長力が作用せしめられることとなる。そのために、嵌着筒部において、一対の窓部間を軸方向に延びる部分と二つの補強連結部がそれぞれ接続された位置と、それ以外の窓部が開口せしめられた位置との間に、応力や歪が集中して局部的な変形が生ぜしめられるおそれがあるのである。そこにおいて、本態様では、二つの嵌着筒部間で軸方向の伸長力を伝達せしめる、一対の窓部間を軸方向に延びる部分と二つの補強連結部に対して、それぞれくびれ状部を形成することにより、軸方向荷重の作用時に容易に変形するようにした特定構造の金属スリーブを採用するようにしたことから、それら一対の窓部間を軸方向に延びる部分と二つの補強連結部による軸方向の伸長力の伝達が軽減乃至は回避され得ることとなる。従って、金属スリーブに対する縮径加工を、金属スリーブにおける局部的な変形等を回避せしめつつ、一層大きな縮径率で施すことが可能となるのであり、本体ゴム弾性体に対してより有効な予圧縮を加えることが可能となる。
本発明の第四の態様は、前記第一乃至第三の何れかの態様に係る流体封入式防振装置の製造方法であって、前記金属スリーブとして、一対の前記窓部に対して前記かしめ筒部の設けられた側と反対側に位置する前記嵌着筒部における該窓部側の端縁部において、内周側に突出して周方向に延びる補強リブが形成されたものを採用することを、特徴とする。このような本態様に従えば、縮径率が大きくされることから特に局部的な変形が発生し易い、かしめ筒部が設けられたほうと反対側の嵌着筒部が、窓部に沿って周方向に形成された補強リブによって補強されて、安定した縮径加工が一層有利に実現され得るのである。
本発明の第五の態様は、前記第一乃至第四の何れかの態様に係る流体封入式防振装置の製造方法であって、前記金属スリーブとして、一対の前記窓部に対して前記かしめ筒部の設けられた側に位置する前記嵌着筒部において、軸方向中間部分を周方向に延びる環状段差部が形成されて、該環状段差部を挟んで該かしめ筒部側の外径寸法よりも該窓部側の外径寸法が小さくされたものを採用することを、特徴とする。このような本態様に従えば、例えば、環状段差部よりもかしめ筒部側の大径部分において、金属スリーブに対するアウタ筒部材の嵌着強度を十分に確保しつつ、環状段差部よりも窓部側の小径部分において、金属スリーブとアウタ筒部材の間にシールゴム層を介在せしめて第二の流体封入領域の流体密性を一層高度に実現することが可能となるのである。
(流体封入式防振装置に関する発明)
さらに、本発明は、インナ部材の外方に略円筒形状の金属スリーブを離隔配置せしめてそれらインナ部材と金属スリーブを本体ゴム弾性体で連結し、該本体ゴム弾性体の軸直角方向両側に一対のポケット部を設けると共に該金属スリーブの軸直角方向両側に一対の窓部を設けて該各ポケット部を該各窓部を通じて開口させる一方、該金属スリーブの軸方向一方の開口端部にかしめ筒部を設け、該かしめ筒部によって蓋部材をかしめ固定して該金属スリーブの軸方向一方の開口部を覆蓋することにより、該本体ゴム弾性体の軸方向一方の側に位置して軸方向振動入力時に封入流体の流動作用に基づく防振効果が発揮される第一の流体封入領域を画成すると共に、該金属スリーブにアウタ筒部材を外嵌固定して該金属スリーブの該窓部を覆蓋することにより、軸直角方向で対向位置せしめられてオリフィス通路によって相互に接続された一対の作用室からなり軸直角方向の振動入力時に封入流体の流動作用に基づく防振効果が発揮される第二の流体封入領域を画成した流体封入式防振装置において、前記金属スリーブとして、前記各窓部の周方向中間部分において前記各ポケット部の開口部を跨いで軸方向に延びる補強連結部が設けられて、それら補強連結部により該窓部の軸方向両側に位置して周方向に連続して延びる二つの嵌着筒部が一体的に連結せしめられてなるものが採用されており、該金属スリーブが縮径されることによって、前記本体ゴム弾性体に対して、前記かしめ筒部が形成された軸方向一方の側よりも軸方向他方の側のほうが大きな圧縮歪をもって軸直角方向の予圧縮が及ぼされている流体封入式防振装置も特徴とする。
このような本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、円筒形状のアウタ筒部材を採用することにより、金属スリーブに対してアウタ筒部材を容易に且つ有利に嵌着固定することが可能となり、アウタ筒金具と金属スリーブの嵌着性を高めて第二の流体封入領域の流体密性を高度に且つ安定して得ることが出来るのである。
しかも、金属スリーブの縮径によって本体ゴム弾性体に及ぼされる縮径率が軸方向で異ならせられており、金属スリーブにおいて縮径加工が難しいかしめ筒部側の軸方向端部では縮径率を小さくする一方、縮径加工が比較的に容易な反対側の軸方向端部では縮径率を大きくした構造とされている。それ故、本発明に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、かしめ筒部を備えた金属スリーブに対する縮径加工を含む製造作業が容易となって生産効率の向上が図られ得ると共に、本体ゴム弾性体に対して有効な予圧縮を安定して及ぼすことが出来るのであり、予圧縮に基づく耐久性の向上やばね特性のチューニング自由度の向上などが有利に達成され得るのである。
上述の説明から明らかなように、流体封入式防振装置に関する本発明の製造方法或いは構造に従えば、軸方向一方の端部にかしめ筒部を備えた金属スリーブを採用することにより、円筒形状のアウタ筒部材の該金属スリーブへの嵌着固定による第二の流体封入領域の流体密性の確保を高度に実現せしめつつ、本体ゴム弾性体に対して予圧縮を容易に且つ有効に作用せしめることが可能となる。
それ故、本発明に従えば、互いに直交する二方向で何れも流体の流動作用に基づく防振効果が発揮される流体封入式防振装置を、優れた耐久性および流体密性をもって、容易に且つ安定した品質で製造することが出来るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、インナ部材としてのインナ金具12とアウタ筒部材としてのアウタ筒金具14が本体ゴム弾性体16で弾性連結された構造を有しており、インナ金具12が自動車のパワーユニットに取り付けられる一方、アウタ筒金具14が自動車の車両ボデーに取り付けられることにより、パワーユニットを車両ボデーに対して防振支持せしめるようになっている。なお、本実施形態のエンジンマウント10は、図1中の上下方向が略鉛直方向となる状態で装着されるようになっており、以下の説明中、上下方向とは、原則として、図1中の上下方向をいうものとする。
より詳細には、インナ金具12は、略矩形ブロック形状の上部18に対して、略逆円錐台形状の下部19が一体形成された中実のブロック構造を有している。また、上部18には、上面に開口するねじ穴20が設けられている。そして、図示はされていないが、ねじ穴20に螺着される取付ボルトによって、インナ金具12が自動車のパワーユニットに取り付けられるようになっている。
また、インナ金具12の外周側には、金属スリーブとしての連結スリーブ22が配設されている。この連結スリーブ22は、鉄等の金属材によって形成されており、全体として大径の略円筒形状を有している。そして、連結スリーブ22は、インナ金具12の径方向外方に所定距離を隔てて、インナ金具12の周囲を囲むようにして略同一中心軸上に配設されている。なお、インナ金具12は、連結スリーブ22の上側開口部から、その下部19の先端部分が入り込んだ状態で配設されており、インナ金具12の上部18は、連結スリーブ22から上方に向かって突出せしめられている。
更にまた、連結スリーブ22の内部には、本体ゴム弾性体16が充填されるようにして配されており、この本体ゴム弾性体16によってインナ金具12と連結スリーブ22が弾性連結されている。本体ゴム弾性体16は、全体として円形ブロック形状を有しており、その外周面全体を覆うようにして連結スリーブ22が加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16には、インナ金具12が、その下部19の先端部分を本体ゴム弾性体16の上端面から中心軸上に差し込むようにして加硫接着されている。即ち、本実施形態では、本体ゴム弾性体16は、インナ金具12と連結スリーブ22を備えた一体加硫成形品24として形成されている。
さらに、本体ゴム弾性体16には、一対のポケット部としてのポケット凹所26,26が設けられている。これらのポケット凹所26,26は、何れも、本体ゴム弾性体16の外周面に開口する有底穴形状を有しており、周方向に半周に満たない周方向長さと、本体ゴム弾性体16の外径寸法の略1/4程度の深さをもって径方向一方向で対向するように形成されている。また、一対のポケット凹所26,26を周方向で隔てている隔壁部28,28は、それぞれ、一対のポケット凹所26,26の対向方向と直交する方向で対向位置せしめられている。なお、本体ゴム弾性体16の下端面には、略すり鉢状の凹所30が形成されている。
また、上述の連結スリーブ22には、径方向一方向で対向位置する部位において、周方向で半周に満たない程度の周方向長さでもって開口する一対の窓部としての開口窓32,32が形成されている。これにより、連結スリーブ22には、一対の開口窓32,32を挟んだ軸方向両側において、それぞれ周方向に連続して延びる二つの嵌着筒部としての上下の環状部34a,34bが形成されている。そして、これら上下の環状部34a,34bは、一対の開口窓32,32の周方向端縁部間を軸方向に延びる一対の連結部36,36によって一体的に連結されている。なお、上下の環状部34a,34bは、相互に略同じ外径寸法を有している。
そして、連結スリーブ22は、本体ゴム弾性体16の外周面において、各開口窓32,32がポケット凹所26,26の開口部に位置するように、位置決めされており、それによって、本体ゴム弾性体16に形成された一対のポケット凹所26,26が、一対の開口窓32,32を通じて、連結スリーブ22の外周面に開口せしめられている。
さらに、連結スリーブ22には、各開口窓32の周方向中間部分において、ポケット凹所26の開口部分を跨ぐようにして軸方向に延びる補強連結部38が設けられている。これにより、一対の開口窓32,32の軸方向両側に設けられた上下の環状部34a,34bは、各一対の連結部36,36と補強連結部38,38とによって、一体的に連結されている。これらの補強連結部38,38は、何れも、本体ゴム弾性体16の成形時の脱型に悪影響を及ぼさないように、連結スリーブ22の中心軸回りで5〜30度の周方向長さで形成されることが望ましい。特に、本実施形態では、連結部36と補強連結部38は互いに略同一の形状および大きさとされており、周方向で90度ずつ離隔した位置に交互に設けられている。
また、連結部36,36および補強連結部38,38は、何れも、全体として内周側に突出する略V字形断面で周方向に延びる凹溝形状を有している。即ち、本実施形態では、連結部36,36および補強連結部38,38は、何れも、その全体によってくびれ状部を形成している。更に、一対の開口窓32,32よりも軸方向上方に位置せしめられた上環状部34aにおける開口窓32側の端縁部は、内方に向かって折り曲げられており、上環状部34aの内周縁部を周方向に連続して延びる補強リブ40が形成されている。
更にまた、一対の開口窓32,32よりも軸方向下方に位置する下環状部34bには、軸方向下方に行くに従って次第に拡径する環状段差部としての傾斜部42が形成されている。これにより、下環状部34bは、その開口窓32側の端部のほうが他端側、即ち、軸方向下端側に比して小径とされている。また、下環状部34bの軸方向下端部には、径方向外方に突出して筒状のかしめ部46が一体形成されている。
一方、アウタ筒金具14は、大径の円筒形状を有している。そして、かかるアウタ筒金具14は、一体加硫成形品24の連結スリーブ22に外挿されており、連結スリーブ22の外周面に対して、かしめ筒部46を除く略全体に亘って外嵌固定されている。なお、アウタ筒金具14の上端縁部には、かしめ加工が施されて、連結スリーブ22の上端縁部に係止された係止部48が設けられている。
また、アウタ筒金具14の内周面には、薄肉のシールゴム層50が略全面に亘って被着形成されており、連結スリーブ22とアウタ筒金具14の間、実質的には連結スリーブ22における上下の環状部34a,34bとアウタ筒金具14の嵌着面間でシールゴム層50が挟圧されて、かかる嵌着面間が流体密にシールされている。これにより、一対の開口窓32,32が流体密に覆蓋されて、一対の作用室としての作用液室52,52が、本体ゴム弾性体16の内部において軸直角方向一方向で対向位置して形成されている。なお、これら一対の作用液室52,52には、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の非圧縮性流体が封入されている。
さらに、連結スリーブ22に形成された凹溝形状の連結部36,36の外周開口部がアウタ筒金具14で覆蓋されており、それによって、一対の作用液室52,52を相互に連通して両液室52,52間での非圧縮性流体の流動を許容する第一のオリフィス通路54,54が形成されている。即ち、本実施形態では、一対の作用液室52,52および第一のオリフィス通路54,54によって第二の流体封入領域が構成されているのである。
また、連結スリーブ22の軸方向下側の開口部には、蓋部材56が組み付けられており、それによって、連結スリーブ22の軸方向下側の開口部が覆蓋されている。この蓋部材56は、ダイヤフラム58と固定金具60によって構成されている。ダイヤフラム58は、十分な弛みをもたせて変形容易とした略ドーム形状の薄肉ゴム膜で形成されている。一方、固定金具60は、全体として有底円筒形状を有しており、その底壁部62の中央に大径の透孔66が形成されている一方、上方の開口周縁部には固定フランジ部68が一体形成されている。そして、固定金具60の底壁部62に設けられた透孔66の開口周縁部に対して、ダイヤフラム58の外周縁部が加硫接着されており、透孔66がダイヤフラム58で流体密に閉塞されている。なお、本実施形態では、固定金具60の筒壁部の内周面が、ダイヤフラム58と一体形成されたゴム層70により、略全面に亘って覆われている。そして、このような構造とされた蓋部材56は、固定金具60に設けられた固定フランジ部68が連結スリーブ22の下端開口部に形成されたかしめ筒部46にかしめ固定されることによって、連結スリーブ22に組み付けられている。
かくの如くして、アウタ筒金具14が外嵌固定された連結スリーブ22は、その軸方向上側の開口部が本体ゴム弾性体16で流体密に覆蓋されると共に、軸方向下側の開口部が蓋部材56で流体密に覆蓋されている。これにより、本体ゴム弾性体16と蓋部材56の軸方向対向面間には、外部に対して密閉された封入領域72が形成されている。なお、この封入領域72には、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の非圧縮性流体が封入されている。
また、かかる封入領域72には、全体として略円板形状を有する仕切部材74が軸直角方向に広がって配設されている。この仕切部材74は、厚肉の略円板形状を有する仕切部材本体76と、全体として浅底の皿を逆さにした形状を有する蓋体78が軸方向に重ね合わされることで構成されている。なお、蓋体78には、開口窓100が形成されており、それによって、仕切部材本体76に形成された凹所94(後述する)が仕切部材74の上方に開口せしめられている。
そして、仕切部材本体76が、蓋部材56の固定金具60に嵌め入れられていると共に、仕切部材本体76を上から押し付けるように蓋体78が重ね合わされている。蓋体78の外周面には、径方向外方に突出する環状片80が一体形成されており、この環状片80が、固定金具60の固定フランジ部68と共に、かしめ部46によって連結スリーブ22に対して流体密にかしめ固定されている。なお、仕切部材本体76は、連結スリーブ22にかしめ固定された蓋体78と固定金具60の底壁部62の間で固定的に挟持されている。
これにより、封入領域72が仕切部材74によって流体密に上下に二分されており、その結果、仕切部材74の上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて、振動入力時に本体ゴム弾性体16の弾性変形に基づいて圧力変動が生ぜしめられる受圧室82が形成されている一方、仕切部材74の下側には、壁部の一部がダイヤフラム58で構成されて、ダイヤフラム58の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室84が形成されている。
また、仕切部材本体76の上端外周縁部には、周方向に一周弱の長さで延びる切欠周溝86が形成されており、この切欠周溝86の開口部分が全周に亘って蓋体78によって流体密に覆蓋されて第二のオリフィス通路92が形成されている。即ち、かかる第二のオリフィス通路92は、仕切部材74の外周部分を周方向に延びて、周方向一端部が蓋体78に形成された連通孔88を通じて受圧室82に接続されていると共に、周方向他端部が仕切部材本体76に形成された連通孔90を通じて平衡室84に接続されている。そして、第二のオリフィス通路92を通じて、受圧室82と平衡室84の間での流体流動が許容されるようになっている。なお、本実施形態では、受圧室82と平衡室84に加えて第二のオリフィス通路92を含んで、第一の流体封入領域が構成されている。
更にまた、仕切部材本体76には、軸方向上側に円形断面で開口する凹所94が形成されており、かかる凹所94には、加振ゴム板96が収容配置されている。この加振ゴム板96は、盆を伏せたように僅かに上方に向かって凸となる所定厚さの略円板形状を有している。また、加振ゴム板96の外周面には、嵌着リング98が加硫接着されており、かかる嵌着リング98が凹所94に圧入されて、凹所94の内周面に対して流体密に固定されることにより、加振ゴム板96が凹所94内で軸直角方向に広がって配設されている。
これにより、凹所94が加振ゴム板96を挟んで底部側と開口部側に流体密に二分されており、その結果、加振ゴム板96の軸方向下側には、密閉状の作用空気室102が形成されている一方、加振ゴム板96の上側には、受圧室82が位置せしめられている。即ち、本実施形態では、受圧室82の壁部の一部が加振ゴム板96で構成されている。更に、仕切部材本体76には、凹所94の底面に開口して径方向外方に延びる給排通路104が形成されており、かかる給排通路104に対して外部の空気通路(図示せず)が接続されるようになっている。
そして、この空気通路を通じて作用空気室102を空気圧制御することが出来るようになっている。これにより、例えば、受圧室82を介して本体ゴム弾性体16のばね特性を調節したり、受圧室82を介して本体ゴム弾性体16に加振力を及ぼすことにより、防振特性を能動的に制御することが出来るようになっている。
上述の如き構造とされたエンジンマウント10は、例えば、インナ金具12がパワーユニットに取り付けられる一方、アウタ筒金具14が図示しないブラケットを介して車両ボデーに取り付けられることにより、パワーユニットをボデーに対して防振支持せしめるようにして、マウント中心軸となるアウタ筒金具14の中心軸が略鉛直方向となり、一対の作用液室52,52が略車両前後方向で対向位置せしめられる状態で、装着される。そして、かくの如き装着状態下、インナ金具12とアウタ筒金具14の間には、静的なパワーユニットの分担支持荷重と、動的な防振すべき振動荷重が、及ぼされることとなる。
そこにおいて、インナ金具12とアウタ筒金具14の間に略軸方向の振動荷重が入力されると、受圧室82内に内圧変動が生ぜしめられることとなる。そして、入力振動がエンジンシェイク等の低周波大振幅振動の場合には、第二のオリフィス通路92を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて有効な防振効果が発揮されるのであり、また、入力振動がこもり音等の高周波小振幅振動の場合には、作用空気室102を適当に空気圧制御して受圧室82の内圧変動を吸収乃至は軽減することにより有効な防振効果が発揮される。
また一方、インナ金具12とアウタ筒金具14の間に車両前後方向に向かう略水平方向の振動荷重が入力されると、一対の作用液室52,52間に相対的な圧力差が生ぜしめられることとなり、第一のオリフィス通路54,54を通じて流動せしめられる流体の共振作用に基づいて、エンジンシェイク等の低周波大振幅振動に対して有効な防振効果が発揮されるのである。
以下、このような構造とされたエンジンマウント10の製造方法について、説明を加える。
先ず、インナ金具12と連結スリーブ22を準備する。そこにおいて、本実施形態において準備する連結スリーブ22は、図4において、その単体図が示されているように、上環状部34aが、全体として略一定の断面形状で軸方向にストレートに延びる円筒形状とされている一方、下環状部34bが、全体として軸方向上方に向かって次第に拡開するテーパ付きの円筒形状とされている。また、これら上下の環状部34a,34bは、何れも、図1に示された最終製品形状での外径寸法よりも大きな外径寸法をもって形成されている。なお、連結スリーブ22は、例えば、金属板材を用いたプレス加工および溶接加工や、金属管体を用いた打抜きおよび絞り加工などによって、製作することが出来る。
そして、これらインナ金具12および連結スリーブ22に対して、必要に応じて化成処理を施した後、これらインナ金具12と連結スリーブ24を、本体ゴム弾性体16用の成形金型106にセットする。
かかる成形金型106は、図5に示されているように、互いに鉛直方向に重ね合わされる下型108,中型110a,110bおよび上型112から構成されている。中型110a,110bは、図6に示されているように、連結スリーブ22における一対の連結部36,36の対向方向で型開閉されるようになっており、その型合わせ面は、径方向一方向で対向位置せしめられる補強連結部38,38の周方向中心をそれぞれ通るようになっている。そして、これら下型108,中型110a,110bおよび上型112が相互に型合わせされることにより、成形金型106内に、本体ゴム弾性体16用の成形キャビティ113が形成されるようになっている。
続いて、下型108,中型110a,110bおよび上型112を図示しない型締装置で型締保持せしめた状態下で、所定のゴム材料を下型108に形成されたランナ(図示せず)を通じて成形キャビティ113に射出充填する。なお、本実施形態では、ランナは下型108に設けられているが、必ずしも下型108に設けられている必要はなく、成形金型106の構造等に応じて、任意の位置に設けられる。
その後、成形金型106を所定時間加熱保持してゴム材料を架橋すると共に、インナ金具12および連結スリーブ22に対してゴム材料を加硫接着せしめる。その後、上型112を金型中心軸方向に型開きすると共に、中型110a,110bを金型中心軸に直交する方向、具体的には、連結スリーブ22における連結部36,36の対向方向で分割型開きし、更に、下型108から加硫成形された本体ゴム弾性体16を脱型することにより、図7に示されているように、インナ金具12と連結スリーブ22を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品24を得る。
さらに、このようにして得られた一体加硫成形品24を絞り型にセットして、一体加硫成形品24の連結スリーブ22に縮径加工を施すことにより、本体ゴム弾性体16に対して軸直角方向に予圧縮を及ぼす。
そこにおいて、本実施形態では、縮径加工前の当初形状において、上環状部34aの全体が、下環状部34bよりも大きな外径寸法とされており、これら上下環状部34a,34bに八方絞り加工等の縮径加工を施すことによって、上下環状部34a,34bの全体を略一定の外径寸法を有する円筒形状とする。即ち、下環状部34bよりも上環状部34aのほうが大きな縮径率となるように、一体加硫成形品24の連結スリーブ22に縮径加工を施す。なお、下環状部34bだけにおいても、初期のテーパ形状からストレートな円筒形状とされることにより、軸方向上方に行くに従って大きな縮径率となる。
これにより、連結スリーブ22に対して充填されるように加硫接着された本体ゴム弾性体16に対して、軸方向上側が軸方向下側よりも大きな圧縮歪をもって軸直角方向の予圧縮を作用せしめる。そして、図8に示されるように、連結スリーブ22の外径寸法が、下環状部34bの傾斜部42よりも上方に位置する全体において略同じとされた一体加硫成形品24を得る。
また、このように連結スリーブ22への縮径加工は、連結部36,36および補強連結部38,38における内周側への突出方向の変形を許容せしめた状態下で行う。これにより、連結スリーブ22の軸方向への延びを拘束せしめた状態下で施される縮径加工に際して、連結部36,36および補強連結部38,38を通じて上下の環状部34a,34bに伝達される局所的応力を軽減せしめて、かかる伝達応力に起因する、上下の環状部34a,34b、特に、上環状部34aにおける局部的な変形を抑えることが可能となる。
その後、縮径加工した一体加硫成形品24を非圧縮性流体中に浸漬せしめて、別途に準備したシールゴム層50が内周面に被着されたアウタ筒金具14を連結スリーブ22に外挿し、アウタ筒金具14に縮径加工を施すことにより、図9に示されているように、アウタ筒金具14を連結スリーブ22に対して外嵌固定する。これにより、連結スリーブ22における一対の開口窓32,32をアウタ筒金具14によって流体密に覆蓋せしめて、一対の作用液室52,52および第一のオリフィス通路54を形成すると同時に、それらの各領域に非圧縮性流体を充填封入する。なお、アウタ筒金具14に対する最終的な縮径加工は、非圧縮性流体から取り出した後、大気中で行うようにしても良い。
さらに、仕切部材74と蓋部材56を、それぞれ準備する。なお、仕切部材74は、予め、仕切部材本体76に対して加振ゴム板96や蓋体78を組み付けることによって準備する。そして、蓋部材56に仕切部材74を組み付けた後、蓋部材56の固定金具60を貫通して開口せしめられた給排通路104の外方開口部を、図示しない封止部材によって封止しておく。
そして、このように仕切部材74を組み付けた蓋部材56を一体加硫成形品24と共に非圧縮性流体に浸漬せしめて、非圧縮性流体中で、連結スリーブ22のかしめ部46に対して、蓋部材56の固定フランジ部68と仕切部材74の環状片80を重ね合わせてかしめ固定する。これにより、連結スリーブ22に対して仕切部材74と蓋部材56を組み付けて、受圧室82,平衡室84および第二のオリフィス通路92を形成すると同時に、それらの各領域に非圧縮性流体を充填封入する。
その後、仕切部材74や蓋部材56を組み付けた一体加硫成形品24を大気中に取り出して、給排通路104に嵌め込んだ封止部材を取り外すことにより、図1に示されているような、目的とするエンジンマウント10を得る。なお、連結スリーブ22に対するアウタ筒金具14の組み付けによる作用液室52,52等の形成と、連結スリーブ22に対する仕切部材74および蓋部材56の組み付けによる受圧室82および平衡室84等の形成は、何れも先にすることも可能であり、或いは一体加硫成形品24を非圧縮性流体中に浸漬せしめたままの状態で両方を連続的に行うことも可能である。
このような本実施形態の製造方法に従えば、連結スリーブ22において一対の大きな開口窓32,32が形成されていても、各一対の連結部36,36と補強連結部38,38が設けられていることによって、局部的な変形等の不具合を回避しつつ、連結スリーブ22の特に上環状部34aに対して大きな縮径率で縮径加工を施すことが可能となる。
それ故、本体ゴム弾性体16に対して、連結スリーブ22の縮径による予圧縮を有効に及ぼすことが出来るのであり、かかる予圧縮に基づく耐久性の向上やチューニング自由度の向上等の効果が達成され得るのである。
特に、連結スリーブ22に対する縮径率が軸方向で異ならされて設定されることから、連結スリーブ22の軸方向一方の端部にかしめ部46が形成されていても、連結スリーブ22に対して有効な縮径加工を容易に施すことが出来る。
それ故、円筒形状のアウタ筒金具14を採用して連結スリーブ22に外嵌固定することが出来るのであり、アウタ筒金具14の縮径加工によるシール性の確保が高度に且つ容易に達成され得るのである。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
例えば、前記実施形態では、加振ゴム板96によって作用空気室102が形成された仕切部材74が採用されていたが、そのような作用空気室102や加振ゴム板96は、マウント要求特性に応じて採用されるものであって、本発明において必須ではない。また、マウント要求特性等によっては、仕切部材74も必須ではなく、そのような仕切部材74を備えていない構成の流体封入式防振装置にも、本発明は適用可能である。
また、第一および第二のオリフィス通路54,92のチューニング周波数は、前記実施形態のものに限定されることなく、例えば、第一および第二のオリフィス通路54,92の少なくとも一方をアイドリング振動等の中周波数域にチューニングすることも可能である。
更にまた、連結スリーブ22に形成される開口窓32,32や本体ゴム弾性体16に形成されるポケット凹所26,26の形状や大きさは、要求される防振特性等に応じて適宜に設定されるものであって、何等、限定されるものでない。また、連結スリーブ22において、傾斜部42は必須のものでなく、最終製品形状において、連結スリーブ22とアウタ筒金具14が、かしめ部46や係止部48を除く円筒状部の全長に亘って一定の内外径寸法とされていても良い。
また、連結部36および補強連結部38として、屈曲乃至は湾曲することなく略平板形状で軸方向に延びる構成のものを採用することも可能である。また、前記実施形態では、連結部36および補強連結部38が、内周側に向かって屈曲する形状とされていたが、内周側に向かって湾曲する形状であっても良い。更に、前記実施形態では、連結部36および補強連結部38の全体によってくびれ状部が形成されていたが、くびれ状部は必ずしも全体によって形成されている必要はない。更にまた、くびれ状部の形状も前記実施形態のものに限定されず、例えば、コ字状に屈曲せしめられた形状であっても良い。
加えて、前記実施形態では、自動車のエンジンマウントに対して本発明を適用したものの一具体例が示されていたが、本発明は、その他、ボデーマウントや自動車以外の各種振動体の防振装置に対して、何れも、適用可能であることは、言うまでもない。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
本発明の一実施形態としてのエンジンマウントを示す縦断面図であって、図2におけるI−I断面図である。 図1におけるII−II断面図である。 図1に示されたエンジンマウントの一部の断面図であって、図2におけるIII−III方向の断面に相当する図である。 図1に示されたエンジンマウントに採用されている連結スリーブの縦断面図である。 図1に示されたエンジンマウントを構成する一体加硫成形品の加硫成形工程を説明するための断面図であって、図6におけるV−V断面に相当する図である。 図5におけるVI−VI断面図である。 一体加硫成形品の縮径加工前の状態を示す縦断面図であって、図2におけるI−I方向に相当する断面図である。 一体加硫成形品の縮径加工後の状態を示す縦断面図であって、図2におけるI−I方向に相当する断面図である。 一体加硫成形品の連結スリーブに対してアウタ筒金具が外嵌固定された状態を示す縦断面図であって、図2におけるI−I方向に相当する断面図である。
符号の説明
10 エンジンマウント
12 インナ金具
14 アウタ筒金具
16 本体ゴム弾性体
22 連結スリーブ
26 ポケット凹所
32 開口窓
34 環状部
36 連結部
38 補強連結部
46 かしめ部
52 作用液室
54 第一のオリフィス通路
56 蓋部材
72 封入領域
82 受圧室
84 平衡室
92 第二のオリフィス通路

Claims (6)

  1. インナ部材の外方に略円筒形状の金属スリーブを離隔配置せしめてそれらインナ部材と金属スリーブを本体ゴム弾性体で連結し、該本体ゴム弾性体の軸直角方向両側に一対のポケット部を設けると共に該金属スリーブの軸直角方向両側に一対の窓部を設けて該各ポケット部を該各窓部を通じて開口させる一方、該金属スリーブの軸方向一方の開口端部にかしめ筒部を設け、該かしめ筒部によって蓋部材をかしめ固定して該金属スリーブの軸方向一方の開口部を覆蓋することにより、該本体ゴム弾性体の軸方向一方の側に位置して軸方向振動入力時に封入流体の流動作用に基づく防振効果が発揮される第一の流体封入領域を画成すると共に、該金属スリーブにアウタ筒部材を外嵌固定して該金属スリーブの該窓部を覆蓋することにより、軸直角方向で対向位置せしめられてオリフィス通路によって相互に接続された一対の作用室からなり軸直角方向の振動入力時に封入流体の流動作用に基づく防振効果が発揮される第二の流体封入領域を画成した流体封入式防振装置を製造する方法であって、
    前記金属スリーブとして、前記各窓部の周方向中間部分において前記各ポケット部の開口部を跨いで軸方向に延びる補強連結部が設けられて、それら補強連結部により該窓部の軸方向両側に位置して周方向に連続して延びる二つの嵌着筒部が一体的に連結せしめられてなるものを採用し、前記本体ゴム弾性体の加硫成形後に、該本体ゴム弾性体の外周面に加硫接着せしめた該金属スリーブに対して、前記かしめ筒部が形成された軸方向一方の側よりも軸方向他方の側のほうが大きな縮径率となるように縮径加工を施して、該本体ゴム弾性体に予圧縮を加えることを特徴とする流体封入式防振装置の製造方法。
  2. 前記金属スリーブとして、一対の前記窓部を挟んだ両側に設けられた二つの前記嵌着筒部のうち前記かしめ筒部の設けられた側に位置する該嵌着筒部よりも軸方向反対側に位置する該嵌着筒部のほうが大径とされたものを採用し、前記本体ゴム弾性体の加硫成形後に縮径加工を施すことによって、それら二つの嵌着筒部が略同じ外径寸法となるようにする請求項1に記載の流体封入式防振装置の製造方法。
  3. 前記金属スリーブとして、周方向で隣接する一対の前記窓部間を軸方向に延びる部分と、前記二つの補強連結部とにおいて、それぞれ、内周側に向かって湾曲乃至は屈曲して突出するくびれ状部が形成されたものを採用する請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置の製造方法。
  4. 前記金属スリーブとして、一対の前記窓部に対して前記かしめ筒部の設けられた側と反対側に位置する前記嵌着筒部における該窓部側の端縁部において、内周側に突出して周方向に延びる補強リブが形成されたものを採用する請求項1乃至3の何れかに記載の流体封入式防振装置の製造方法。
  5. 前記金属スリーブとして、一対の前記窓部に対して前記かしめ筒部の設けられた側に位置する前記嵌着筒部において、軸方向中間部分を周方向に延びる環状段差部が形成されて、該環状段差部を挟んで該かしめ筒部側の外径寸法よりも該窓部側の外径寸法が小さくされたものを採用する請求項1乃至4の何れかに記載の流体封入式防振装置の製造方法。
  6. インナ部材の外方に略円筒形状の金属スリーブを離隔配置せしめてそれらインナ部材と金属スリーブを本体ゴム弾性体で連結し、該本体ゴム弾性体の軸直角方向両側に一対のポケット部を設けると共に該金属スリーブの軸直角方向両側に一対の窓部を設けて該各ポケット部を該各窓部を通じて開口させる一方、該金属スリーブの軸方向一方の開口端部にかしめ筒部を設け、該かしめ筒部によって蓋部材をかしめ固定して該金属スリーブの軸方向一方の開口部を覆蓋することにより、該本体ゴム弾性体の軸方向一方の側に位置して軸方向振動入力時に封入流体の流動作用に基づく防振効果が発揮される第一の流体封入領域を画成すると共に、該金属スリーブにアウタ筒部材を外嵌固定して該金属スリーブの該窓部を覆蓋することにより、軸直角方向で対向位置せしめられてオリフィス通路によって相互に接続された一対の作用室からなり軸直角方向の振動入力時に封入流体の流動作用に基づく防振効果が発揮される第二の流体封入領域を画成した流体封入式防振装置において、
    前記金属スリーブとして、前記各窓部の周方向中間部分において前記各ポケット部の開口部を跨いで軸方向に延びる補強連結部が設けられて、それら補強連結部により該窓部の軸方向両側に位置して周方向に連続して延びる二つの嵌着筒部が一体的に連結せしめられてなるものが採用されており、該金属スリーブが縮径されることによって、前記本体ゴム弾性体に対して、前記かしめ筒部が形成された軸方向一方の側よりも軸方向他方の側のほうが大きな圧縮歪をもって軸直角方向の予圧縮が及ぼされていることを特徴とする流体封入式防振装置。
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