JP2005105417A - Tbc用溶射原料およびその製造方法、ガスタービン部材並びにガスタービン - Google Patents

Tbc用溶射原料およびその製造方法、ガスタービン部材並びにガスタービン Download PDF

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Abstract

【課題】 TBC用溶射原料として、イットリア等の希土類酸化物粒子とジルコニア粒子とが均一に混合された安定化度の高い安定化ジルコニア粉末を提供する。
【解決手段】 比表面積10m2/g以上のジルコニア粉体と比表面積10m2/g以上の希土類酸化物の粉体を添加してなるTBC用溶射原料を提供し、比表面積10m2/g以上のジルコニア粉体と比表面積10m2/g以上の希土類酸化物の粉体とをバインダー又は分散剤とともに混合し、スラリー状にした後、平均粒径10〜100μmに造粒し、1300〜1600℃で1〜10時間の条件で熱処理することを特徴とするTBC用溶射原料の製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、遮熱コーティング材およびその製造方法、遮熱コーティング材を適用したガスタービン部材、並びにガスタービンに関し、例えば産業用ガスタービンの動翼、静翼または燃焼器などの高温環境下で使用される部品の遮熱コーティングに適用して有用な技術に関する。
産業用ガスタービンの動翼や静翼、あるいは燃焼器の内筒や尾筒あるいは分割環などの高温部品は、高温環境下にて使用されるため、一般に、その表面に遮熱コーティングが施されている。
図11は、従来の遮熱コーティング膜の構成を示す断面図である。
従来、遮熱コーティング膜は、動翼等の基材11上にMCrAlY合金よりなる金属結合層12が積層され、さらにその上にトップコートとしてZrO2(ジルコニア)系セラミックス層13、例えばY23を6〜8wt%の割合で添加した部分安定化ZrO2(以下、YSZとする。)層、が積層された構成となっている。ここでMCrAlYのMは、NiやCoやFe等の単独元素またはそれらの2種類以上の元素の組み合わせである。
ところで、近時、ガスタービンのタービン入口温度はより高温化してきており、トップコートに対してより高い遮熱性が要求されている。また、タービン入口温度の高温化にともなって、金属製の基材11とZrO2系セラミックス層13との熱膨張差に起因する熱応力がより大きくなっている。この熱応力によって、トップコートの剥離がひき起こされ、遮熱コーティング膜の耐久性が劣化する。したがって、トップコートの剥離を防ぐための改善が必要となる。
そこで、従来、トップコートのセラミックス層13を積層する際に電子ビーム物理蒸着法を用いて、柱状晶のZrO2系セラミックスを生成する試みがなされている。また、溶射法によりZrO2系セラミックスを生成しながらその厚さ方向に微細なき裂を生じさせる試みがなされている。これらの試みによれば、基材11とセラミックス層13との間に生じる熱応力が緩和されるため、トップコートの剥離を防ぐことが可能となる。
また、YSZよりも熱伝導率が、約20%低いセラミックスとして、Y23の代わりにDy23を添加した部分安定化ZrO2(以下、DySZとする)が注目されている。
しかしながら、電子ビーム物理蒸着法では、その施工に長時間を要するため、大型のガスタービンなどへの適用はコスト的に困難であり、また、熱伝達率が多孔質セラミックスに比べて、約30%大きいために、膜厚を大きくせざるを得ず、やはり適用が困難である。さらにまた、溶射法によりき裂を生じさせながらセラミックス層を積層する方法では、き裂を生じさせるためにセラミックスを緻密に生成させる必要があり、そのためトップコートの熱伝導率が大きくなって遮熱性が低下するという問題点がある。また、き裂が厚さ方向のみならず、層方向にも生じることが多く、セラミックス層が層状に剥離してしまうという問題点もある。
また、DySZはYSZよりも約10%線膨張係数が小さい。そのため、遮熱コーティング膜のトップコートをDySZで構成した場合、YSZの場合と比べてより高い遮熱性が得られるが、耐剥離性が低いおそれがある。
さらに、遮熱コーティング(TBC: thermal barrier coating)用溶射原料として安定化ジルコニアを用いる場合、ジルコニアとイットリアの粉末を2500℃以上で電融した後、得られたインゴットを平均粒径40〜80μmに粉砕して安定化ジルコニアの溶射用粉体を得る方法や、ジルコニアとイットリアの粉末をスラリー混合し、スプレードライヤーを用いて球状に造粒した後、熱処理して安定化ジルコニアの溶射用粉体を得る方法が知られている。しかし、これらの方法では、ジルコニアの拡散速度が遅い等の理由により、ジルコニアとイットリアの混合が均一でないため、完全な安定化ジルコニアの製造は困難である。即ち、完全な安定化ジルコニアは正方晶となるはずであるが、単斜晶ジルコニアが残る問題がある。単斜晶ジルコニアは、1000℃で相変態を起こし正方晶に変化するが、
この場合に単斜晶と正方晶の熱膨張率の違いにより、内部に熱応力を生ずる問題
がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、本発明の第一の態様は、遮熱コーティング膜のトップコートを多孔質でかつ厚さ方向に伸びる微細なき裂を有するセラミックス層で構成し、それによってより高い遮熱性とより高い耐剥離性とを兼ね備えた遮熱コーティング材およびその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明の第一の態様の他の目的は、より高い遮熱性とより高い耐剥離性とを兼ね備えた遮熱コーティング材を適用することによって、温度環境が従来よりも高温であっても十分な耐久性を有するガスタービン部材を提供することである。
本発明の第二の態様は、トップコートにYSZを用いた場合と比べてより高い遮熱性とより高い耐剥離性とを兼ね備えた遮熱コーティング材を提供することを目的とする。
また、本発明の第二の態様の他の目的は、トップコートにYSZを用いた場合と比べてより高い遮熱性とより高い耐剥離性とを兼ね備えた遮熱コーティング材を適用することによって、温度環境が従来よりも高温であっても十分な耐久性を有するガスタービン部材を提供することである。
本発明の第三の態様は、TBC用溶射原料として、イットリア等の希土類酸化物粒子とジルコニア粒子とが均一に混合された安定化度の高い安定化ジルコニア粉末を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者は、より高い遮熱性を確保するためには、トップコートを多孔質のセラミックスで構成することが有効であると考えた。また、より高い耐剥離性を確保するためには、そのセラミックス層に厚さ方向に伸びる微細なき裂を生じさせることが有効であると考え、鋭意研究を重ねた結果、本発明の第一の態様の完成に至った。
また、本発明者は、Yb23で部分安定化させたZrO2(以下、YbSZとする)に着目した。YbSZは、YSZやDySZよりも線膨張係数が、10〜20%大きいため、高い耐剥離性が得られる可能性がある。つまり、本発明者は、YSZよりも遮熱効果が高いDySZと、YSZよりも耐剥離性が高いYbSZとの複合材料をトップコートに用いることが有効であると考え、鋭意研究を重ねた結果、本発明の第二の態様の完成に至った。
さらに、TBC用溶射原料として、組み合わせるジルコニウム粉末と希土類酸化物粉末の比表面積に着目し、本発明の第三の態様の完成に至った。
すなわち、本発明の第一の態様にかかる遮熱コーティング材は、基材の上に金属結合層を積層し、前記金属結合層の上に、多孔質でかつ厚さ方向に伸びる微細なき裂を有する部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を積層したことを特徴とする。この発明において、前記セラミックス層の多孔質部分における気孔率は、1%以上30%以下であってもよい。また、その多孔質部分における密度は、4g/mm3以上6.5g/mm3以下であってもよい。また、前記セラミックス層の熱伝導率は、0.5w/m・K以上5w/m・K以下であってもよいし、前記セラミックス層の断面における単位長さ(1mm)あたりの前記き裂の数は、1本以上10本以下であってもよい。
この遮熱コーティング材によれば、トップコートが、多孔質でかつ厚さ方向に伸びる微細なき裂を有する部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層でできているため、従来の多孔質のものと同等の高い遮熱効果を有しつつ、かつ、電子ビーム物理蒸着法と同等の高い耐剥離性が得られる。したがって、温度環境が従来よりも高温であっても十分な遮熱効果と耐久性を有する遮熱コーティング材が得られる。
また、本発明第一の態様にかかる遮熱コーティング材の製造方法は、基材の表面に金属結合層を積層する工程と、前記金属結合層の表面にセラミックス層を積層する工程と、前記基材の裏面を冷却しながら、前記セラミックス層の表面にレーザービームを照射して加熱することにより、前記セラミックス層に、その厚さ方向に伸びる微細なき裂を生じさせる工程と、を含むことを特徴とする。この発明において、前記セラミックス層の表面に前記レーザービームを10mm以上40mm以下の径で照射する構成としてもよい。また、前記レーザービームの照射により、前記セラミックス層の表面を1000℃以上1700℃以下の温度に加熱するようにしてもよい。前記レーザービームを、部分安定化ZrO2の相変態や焼結が起こらない範囲で、5回以上1000回以下の回数で照射する構成としてもよい。
また、本製造方法において、セラミックス層を積層する際に、気孔率が、1%以上30%以下、または密度が、4g/mm3以上6.5g/mm3以下となるようにしてもよい。あるいは、熱伝導率が、0.5w/m・K以上5w/m・K以下であったり、前記セラミックス層の断面における単位長さ(1mm)あたりの前記き裂の数が、1本以上10本以下となるように前記き裂を生じさせるようにしてもよい。
この遮熱コーティング材の製造方法によれば、セラミックス層を積層した後、レーザービームの照射によりセラミックス層に微細なき裂を生じさせるため、極めて簡便かつ短時間/低コストで遮熱コーティング材を形成することができる。また、ガスタービン部材などの熱的に厳しい箇所にのみ選択的に本方法を適用することができる。
また、本発明の第一の態様にかかるガスタービン部材は、基材の上に金属結合層が積層され、前記金属結合層の上に、多孔質でかつ厚さ方向に伸びる微細なき裂を有する部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層が積層されてなる遮熱コーティング膜で被覆されていることを特徴とする。この発明において、前記セラミックス層の多孔質部分における気孔率は、1%以上30%以下であってもよい。また、密度は、4g/mm3以上6.5g/mm3以下であってもよい。また、前記セラミックス層の熱伝導率は、0.5w/m・K以上5w/m・K以下であってもよいし、前記セラミックス層の断面における単位長さ(1mm)あたりの前記き裂の数は、1本以上10本以下であってもよい。
このガスタービン部材によれば、遮熱コーティング膜のトップコートが、多孔質でかつ厚さ方向に伸びる微細なき裂を有する部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層でできており、その遮熱コーティング膜により被覆されているため、温度環境が従来よりも高温であっても十分な遮熱効果と耐久性を有するガスタービン部材が得られる。
また、本発明の第一の態様にかかるガスタービンは、圧縮機で圧縮された後、燃焼器で燃焼させた流体をタービンの静翼と動翼とで膨張させることによって動力を発生するガスタービンにおいて、前記静翼および前記動翼の一方または両方が、翼の基材の上に金属結合層が積層され、前記金属結合層の上に、多孔質でかつ厚さ方向に伸びる微細なき裂を有する部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層が積層されてなる遮熱コーティング膜で被覆されており、好ましくは、前記セラミックス層はつぎの(1)〜(4)の条件を1または2以上満たすことを特徴とする。
(1)前記セラミックス層の多孔質部分における気孔率は、1%以上30%以下であること。
(2)前記セラミックス層の多孔質部分における密度は、4g/mm3以上6.5g/mm3以下であること。
(3)前記セラミックス層の熱伝導率は、0.5w/m・K以上5w/m・K以下であること。
(4)前記セラミックス層の断面における単位長さ(1mm)あたりの前記き裂の数は、1本以上10本以下であること。
本発明の第二の態様にかかる遮熱コーティング材は、基材の上に金属結合層を積層し、前記金属結合層の上に、添加剤としてDy23およびYb23を添加して部分安定化させた部分安定化ジルコニアよりなるセラミックス層を積層したことを特徴とする。この発明において、前記Dy23の添加割合は、0.01wt%以上16.00wt%以下であり、前記Yb23の添加割合は、0.01wt%以上17.00wt%以下であり、かつDy23の添加割合とYb23の添加割合との合計は10wt%以上20wt%以下であり、ZrO2の添加割合は、80wt%以上90wt%以下となっていてもよい。また、前記セラミックス層は、ZrO2粉末、Dy23粉末およびYb23粉末を混合し、それを固溶化させてなるZrO2−Dy23−Yb23粉末の溶射により形成された皮膜により構成されていてもよい。
この遮熱コーティング材によれば、トップコートが、YSZよりも遮熱効果が高いDySZと、YSZよりも耐剥離性が高いYbSZとの複合材料により構成されているため、従来よりも高い遮熱効果と高い耐剥離性が得られる。したがって、温度環境が従来よりも高温であっても十分な耐久性を有する遮熱コーティング材が得られる。
また、本発明の第二の態様にかかるガスタービン部材は、基材の上に金属結合層が積層され、前記金属結合層の上に、添加剤としてDy23およびYb23を添加して部分安定化させた部分安定化ジルコニアよりなるセラミックス層が積層されてなる遮熱コーティング膜で被覆されていることを特徴とする。この発明において、前記Dy23の添加割合は、0.01wt%以上16.00wt%以下であり、前記Yb23の添加割合は、0.01wt%以上17.00wt%以下であり、かつDy23の添加割合とYb23の添加割合との合計は10wt%以上20wt%以下であり、ZrO2の添加割合は、80wt%以上90wt%以下となっていてもよい。また、前記セラミックス層は、ZrO2粉末、Dy23粉末およびYb23粉末を混合し、それを固溶化させてなるZrO2−Dy23−Yb23粉末の溶射により形成された皮膜、または電子ビーム物理蒸着法により形成された皮膜により構成されていてもよい。また、最後にアンダーコートと母材とを良好に密着させるための真空熱処理を行っても良い。
このガスタービン部材によれば、遮熱コーティング膜のトップコートが、YSZよりも遮熱効果が高いDySZと、YSZよりも耐剥離性が高いYbSZとの複合材料で構成されており、その遮熱コーティング膜により被覆されているため、温度環境が従来よりも高温であっても十分な耐久性を有するガスタービン部材が得られる。
また、本発明の第二の態様にかかるガスタービンは、圧縮機で圧縮された後、燃焼器で燃焼させた流体をタービンの静翼と動翼とで膨張させることによって動力を発生するガスタービンにおいて、前記静翼および前記動翼の一方または両方が、翼の基材の上に金属結合層が積層され、前記金属結合層の上に、添加剤としてDy23およびYb23を添加して部分安定化させた部分安定化ジルコニアよりなるセラミックス層が積層されてなる遮熱コーティング膜で被覆されており、好ましくは、つぎの(1)〜(3)の条件を1または2以上満たすことを特徴とする。
(1)前記Dy23の添加割合は、0.01wt%以上16.00wt%以下であり、前記Yb23の添加割合は、0.01wt%以上17.00wt%以下であり、かつDy23の添加割合とYb23の添加割合との合計は10wt%以上20wt%以下であり、安定化剤以外のZrO2の添加割合は、80wt%以上90wt%以下であること。
(2)前記セラミックス層は、ZrO2粉末、Dy23粉末およびYb23粉末を混合し、それを固溶化させてなるZrO2−Dy23−Yb23粉末の溶射により形成された皮膜であること。
(3)前記セラミックス層は、所定の組成を有するインゴットを電子ビーム物理蒸着により形成された皮膜であること。
本発明の第三の態様は、比表面積が10m2/g以上であるジルコニア粉体と、比表面積が10m2/g以上である希土類酸化物の粉体を添加してなるTBC用溶射原料を提供する。また、比表面積10m2/g以上のジルコニア粉体と比表面積10m2/g以上の希土類酸化物の粉体とを適当なバインダー又は分散剤とともに混合し、スラリー状にした後、平均粒径10〜100μmに造粒し、1300〜1600℃で1〜10時間の条件で熱処理することを特徴とするTBC用溶射原料の製造方法を提供する。さらに、このTBC用溶射原料を溶射して得られる被膜を有するガスタービン部材、該ガスタービン部材を有するガスタービンを提供する。
本発明の第一の態様にかかる遮熱コーティング材によれば、トップコートが、多孔質でかつ厚さ方向に伸びる微細なき裂を有する部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層でできているため、従来の多孔質の遮熱コーティングと同等の高い遮熱効果と電子ビーム物理蒸着による遮熱コーティングと同等の高い耐剥離性が得られる。したがって、温度環境が従来よりも高温であっても十分な耐久性を有する遮熱コーティング材が得られる。
また、本発明の第一の態様にかかる遮熱コーティング材の製造方法によれば、セラミックス層を積層した後、レーザービームのパルス照射によりセラミックス層に微細な縦割れき裂を生じさせるため、極めて簡便かつ低コストで遮熱コーティング材を形成することができる。また、ガスタービン部材などの熱的に厳しい箇所にのみ選択的に本方法を適用することができる。
また、本発明の第一の態様にかかるガスタービン部材によれば、遮熱コーティング膜のトップコートが、多孔質でかつ厚さ方向に伸びる微細なき裂を有する部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層でできており、その遮熱コーティング膜により被覆されているため、温度環境が従来よりも高温であっても十分な耐久性を有するガスタービン部材が得られる。なお、微細な縦割れを導入する方法は、CO2ガスレーザを用いたが、これ以外にプラズマ炎、YAGレーザ、電子ビームなどの加熱源を用いることができるのは、自明の理である。
本発明の第一の態様にかかるガスタービンは、上記高耐久・高遮熱コーティングを適用することにより、ガスタービンのタービン入口温度を上昇させること、および冷却空気量を低減することが可能となり、ガスタービンの熱効率向上に寄与することができる。また、既設のガスタービンに適用した場合、遮熱コーティングの遮熱効果や耐久性が高いことから、高温部品のより一層の長寿命化を図ることができる。
本発明の第二の態様にかかる遮熱コーティング材によれば、トップコートが、YSZよりも遮熱効果が高いDySZと、YSZよりも耐剥離性が高いYbSZとの複合材料により構成されているため、従来よりも高い遮熱効果と高い耐剥離性が得られる。したがって、温度環境が従来よりも高温であっても十分な耐久性を有する遮熱コーティング材が得られる。
また、本発明の第二の態様にかかるガスタービン部材によれば、遮熱コーティング膜のトップコートが、YSZよりも遮熱効果が高いDySZと、YSZよりも耐剥離性が高いYbSZとの複合材料で構成されており、その遮熱コーティング膜により被覆されているため、温度環境が従来よりも高温であっても十分な耐久性を有するガスタービン部材が得られる。
本発明の第二の態様にかかるガスタービンは、上記高耐久・高遮熱コーティングを適用することにより、ガスタービンのタービン入口温度を上昇させること、および冷却空気量を低減することが可能となり、ガスタービンの熱効率向上に寄与することができる。また、既設のガスタービンに適用した場合、遮熱コーティングの遮熱効果や耐久性が高いことから、高温部品のより一層の長寿命化を図ることができる。
また、本発明の第三の態様にかかるガスタービン部材によれば、遮熱コーティング膜のトップコートが、比表面積が10m2/g以上のジルコニアと、比表面積が10m2/g以上の希土類酸化物とを混合してなるTBC用溶射原料を溶射して得られるZrO2−希土類酸化物層により構成されているため、従来よりも安定化度の高い安定化ジルコニア層となっている。したがって、温度環境が従来よりも高温であっても十分な耐久性を有するガスタービン部材が得られる。
本発明の第三の態様にかかるガスタービンは、上記高耐久・高遮熱コーティングを適用することにより、ガスタービンのタービン入口温度を上昇させること、および冷却空気量を低減することが可能となり、ガスタービンの熱効率向上に寄与することができる。また、既設のガスタービンに適用した場合、遮熱コーティングの遮熱効果や耐久性が高いことから、高温部品のより一層の長寿命化を図ることができる。
本発明の第一の態様にかかる遮熱コーティングの実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第一の態様にかかる遮熱コーティング材を適用した遮熱コーティング膜の構成を示す断面図である。
遮熱コーティング膜は、動翼等の基材21の上に、耐食性および耐酸化性に優れた金属結合層22としてMCrAlY合金層が積層され、さらにその上にトップコートとして、たとえば、Y23、Dy23もしくはYb23のいずれか一つまたは2つ以上で部分安定化させたZrO2系セラミックス層23が積層された構成となっている。このセラミックス層23は多孔質であり、かつセラミックス層23には厚さ方向に伸びる微細なき裂24が生じている。
金属結合層22は、基材21と多孔質ZrO2 系セラミックス層23との熱膨張係数の差を小さくして熱応力を緩和する機能を有し、セラミックス層23が基材21から剥離するのを防いでいる。ここで、MCrAlY合金のMは、NiやCoやFe等の単独元素または2種類以上の元素の組み合わせである。
多孔質ZrO2系セラミックス層23において、多孔質部分における気孔率は、好ましくは、1%以上30%以下である。その理由は、1%より気孔率が少ないと著しく熱伝達率が高くなり、遮熱効果が低くなる場合があり、また、30%より気孔率が多くなるとセラミックス層の機械的強度が大幅に低下する場合があるため耐熱サイクル性に劣るようになるからである。気孔率は、断面ミクロ組織から画像解析を行うことにより測定できる。
また、セラミックス層23の多孔質部分における密度は、好ましくは、4g/mm3以上6.5g/mm3以下である。その理由は、密度が4g/mm3よりも小さいと皮膜の機械的強度が低くなる場合があり、一方、密度が6.5g/mm3以上では皮膜が、ち密で熱伝達率が大きく、遮熱性に劣る場合があるからである。
また、セラミックス層23の熱伝導率は、好ましくは、0.5w/m・K以上5w/m・K以下である。その理由は、熱伝達率が5w/m・K以上では、遮熱コーティングとしての効果が充分ではない場合があり、一方、0.5w/m・K以下の皮膜の場合、気孔が多く導入されることとなり、皮膜の機械的強度が低く、耐熱サイクル性に劣る場合があるからである。熱伝導率は、レーザフラッシュ法に基づき測定できる。これは、この種の熱伝導率測定法としては一般的なものである。
また、セラミックス層23の断面における単位長さ(1mm)あたりのき裂24の数は、好ましくは、1本以上10本以下である。その理由は、1mm当たり1本未満では、線膨張係数差に起因する熱応力と緩和することができず、従来のものと大差ない場合があり、また、10本を超えると割れが互いに連結し易くなり、耐熱サイクル性が悪くなる場合があるからである。き裂の数は、断面ミクロ組織から基材に並行な単位長さ当たりのき裂の本数を測定することによって得ることができる。
また、セラミックス層23の厚さは、好ましくは、0.05mm〜1.5mmである。その理由は、膜厚が0.05mm以下では遮熱効果が低くなる場合があり、1.5mm以上では耐久性が低くなる場合があるからである。
金属結合層の厚さは、基材21とZrO2系セラミックス層23との熱膨張係数の差を小さくして熱応力を緩和する機能を有する厚さであればよい。
つぎに、本発明にかかる遮熱コーティング材を適用した遮熱コーティング膜の製造方法について説明する。
図2は、遮熱コーティング膜の製造手順の一例を示すフローチャートである。
図3〜図5は、それぞれ、その遮熱コーティング膜の製造段階の一状態を示す断面図である。
まず、基材21の表面に金属結合層22を積層する(ステップS1、図3参照)。金属結合層22の積層方法としては、好ましくは低圧プラズマ溶射法または電子ビーム物理蒸着法が用いられる。つづいて、金属結合層22の表面に、たとえば溶射法により多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層23を積層する(ステップS2、図4参照)。この後、ボンドコートと基材とを良好に密着させるために、真空熱処理を行ってもよい。
つづいて、図5に示すように、基材21の裏面21aを冷却しながら、セラミックス層23の表面23aにレーザービーム25を照射してセラミックス層23の表面温度を、好ましくは1000℃〜1700℃とする(ステップS3)。この温度範囲の限定理由は、1000℃未満では微細な縦割れを作るのに、レーザーの照射回数が非常に多くなり、経済的でなくなる場合があり、また、1700℃を超えるとセラミックス層に相変態や焼結が短時間で生じたり、縦割れ以外に横割れも生じるようになってくるからである。
また、レーザー照射時に、好ましくは、レーザービーム径がセラミックス層23の表面において10mm以上40mm以下の径となるように調整する。その理由は、10mm未満ではレーザーを走査させるのに多くの時間を有するようになり、不経済である場合があり、一方、40mmを超えるとレーザーのスポット内に大きな温度分布が生じ、割れの形態、本数のコントロールが難しくなる場合があるからである。レーザー源として、たとえば炭酸ガスレーザーを用いることができる。
レーザービーム25の照射回数は、セラミックス層23を構成する部分安定化ZrO2が相変態や焼結を起こさない範囲で5回以上1000回以下であるのが好ましい。その理由は、5回未満ではレーザー出力を大きくする必要が生じる場合があり、セラミックス層の表面温度を著しく上げることとなるし、また、1000回を超えると不経済となるからである。
このようにレーザービーム25を照射することによって、図1に示すように、セラミックス層23に、その厚さ方向に伸びる微細なき裂24が生じ(図2のステップS4)、遮熱コーティング膜が完成する。
上述した構成の遮熱コーティング材は、産業用ガスタービンの動翼や静翼、あるいは燃焼器の内筒や尾筒などの高温部品に適用して有用である。また、産業用ガスタービンに限らず、車やジェット機などのエンジンの高温部品の遮熱コーティング膜にも適用できる。
本発明の第二の態様にかかる遮熱コーティングの実施の形態について説明する。
図6は、本発明にかかる遮熱コーティング材を適用した遮熱コーティング膜の構成を示す断面図である。
遮熱コーティング膜は、動翼等の基材121の上に、耐食性および耐酸化性に優れた金属結合層としてMCrAlY合金層122が積層され、さらにその上にトップコートとして、Dy23およびYb23で部分安定化させたZrO2(以下、ZrO2−(Dy23+Yb23)とする)層123が積層された構成となっている。ここでMCrAlYのMは、NiやCoやFe等の単独元素またはそれらの2種類以上の元素の組み合わせである。
MCrAlY合金層122は、基材121とZrO2−(Dy23+Yb23)層123との熱膨張係数の差を小さくして熱応力を緩和する機能を有し、ZrO2−(Dy23+Yb23)層123が基材121から剥離するのを防いでいる。MCrAlY合金層122のMは、NiやCoやFe等の単独元素または2種類以上の元素の組み合わせである。MCrAlY合金層122は低圧プラズマ溶射法または電子ビーム物理蒸着法により積層される。
ZrO2−(Dy23+Yb23)層123において、各成分の好ましい添加割合は以下である。Dy23の添加割合は、0.01wt%以上16.00wt%以下である。また、Yb23の添加割合は、0.01wt%以上17.00wt%以下である。それらDy23とYb23は、合計で10wt%以上20wt%以下の割合で添加される。ZrO2は、80wt%以上90wt%以下の割合で添加される。Dy23とYb23の添加割合が上述したように限定される理由は、合計で10wt%未満では、ZrO2セラミックスの部分安定化が充分でなく高温長時間安定性に劣る場合があり、また、合計で20wt%を超えると結晶構造が準安定正方晶から立方晶主体となり、セラミックス層の強度や靭性が大幅に低下して、耐熱サイクル性が低下する場合があるからである。また、ZrO2−(Dy23+Yb23)層123の厚さは、0.1〜1.5mmであるのが好ましい。その理由は、0.1mmより薄いと遮熱性が充分でない場合があり、1.5mmより厚いと耐久性が著しく低下する場合があるからである。金属結合層の厚さは、基材121とZrO2−(Dy23+Yb23)層123との熱膨張係数の差を小さくして熱応力を緩和する機能を有する厚さであればよく、好ましくは0.03〜1.0mmである。
ZrO2−(Dy23+Yb23)層123は、ZrO2−Dy23−Yb23粉末を用いて、大気圧プラズマ溶射法もしくは電子ビーム物理蒸着法により積層される。大気圧プラズマ溶射で使用されるZrO2−Dy23−Yb23粉末は、例えば、以下の手順により製造される。
図7は、ZrO2−Dy23−Yb23粉末の製造手順を示すフローチャートである。
まず、ZrO2粉末と所定の添加割合のDy23粉末と所定の添加割合のYb23粉末を用意し(ステップS1)、適当なバインダーや分散剤とともにボールミルに入れて混合し(ステップS2)、スラリー状にする(ステップS3)。それをスプレードライヤーにより粒状にして乾燥させた後(ステップS4)、拡散熱処理により固溶化させ(ステップS5)、ZrO2−Dy23−Yb23の複合粉末を得る(ステップS6)。この複合粉末をMCrAlY合金層122上に溶射することによって、本発明にかかる遮熱コーティング材を適用した遮熱コーティング膜が得られる。
用いるバインダーとしては、特に限定されないが、水系や樹脂系バインダーが挙げられる。用いる分散剤としては、粉体を分散できるものであればよい。混合手段としては、ボールミルに限られず、アトライター等の通常の方法を用いることができる。造粒手段としては、スプレードライヤーに限られず、溶融、粉砕等の通常の方法を用いることができる。また、電子ビーム物理蒸着で用いるインゴットは、所定の組成を有する原料を焼結または電融固化して使用する。
上述した構成の遮熱コーティング材は、産業用ガスタービンの動翼や静翼、あるいは燃焼器の内筒や尾筒などの高温部品に適用して有用である。また、産業用ガスタービンに限らず、車やジェット機などのエンジンの高温部品の遮熱コーティング膜にも適用できる。
本発明の第三の態様にかかるTBC用溶射原料の実施の形態について説明する。
図8は、本発明にかかるTBC用溶射原料を溶射した遮熱コーティング膜の構成の一例を示す断面図である。
遮熱コーティング膜は、動翼等の基材221の上に、耐食性および耐酸化性に優れた金属結合層として、例えばMCrAlY合金層222が積層され、さらにその上にトップコートとして、希土類酸化物で安定化させたZrO2(以下、ZrO2−希土類酸化物とする)層223が積層された構成となっている。ここでMCrAlYのMは、NiやCoやFe等の単独元素またはそれらの2種類以上の元素の組み合わせである。
ZrO2−希土類酸化物層223の厚さは、好ましくは0.1〜1.5mmである。0.1mmより薄いと遮熱性が充分でない場合があり、1.5mmより厚いと耐久性が著しく低下する場合があるからである。金属結合層の厚さは、基材221とZrO2−希土類酸化物層223との熱膨張係数の差を小さくして熱応力を緩和する機能を有する厚さであればよく、好ましくは0.03〜1.0mmである。
MCrAlY合金層222は、基材221とZrO2−希土類酸化物層223との熱膨張係数の差を小さくして熱応力を緩和する機能を有し、ZrO2−希土類酸化物層223が基材221から剥離するのを防いでいる。MCrAlY合金層222のMは、NiやCoやFe等の単独元素または2種類以上の元素の組み合わせである。MCrAlY合金層222は低圧プラズマ溶射法または電子ビーム物理蒸着法により積層される。
ZrO2−希土類酸化物層223は、BET法の測定に基づく比表面積において、比表面積10m2/g以上のジルコニア粉体と比表面積10m2/g以上の希土類酸化物の粉体を添加してなる。比表面積10m2/g以上の粉体とは、平均粒径がサブミクロンの粉体である。サブミクロンの粉体は、従来の粉体と大きく異なる特徴を有しており更なる検討が必要であるが、比表面積の大きいジルコニア粉体と希土類酸化物の粉体を使用するため、粒子同士が効果的に付着し、均一な混合が可能となると考えられる。
比表面積10m2/g以上のジルコニア粉体は、市販されている。現在、比表面積の最大のものとして50m2/gまでのジルコニア粉体が製造されており、好適に使用できる。
比表面積10m2/g以上の希土類酸化物の粉体は、希土類の炭酸塩を熱分解して得られることが知られている。現在、比表面積の最大のものとして30m2/gまでの希土類酸化物の粉体が製造されており、好適に使用できる。例えば、炭酸イットリウムや炭酸ジスプロシウム等の希土類の炭酸塩を700〜1000℃で熱分解して得る。1000℃を超えると粒子成長して粒径が大きくなり比表面積が小さくなる場合があり、700℃未満では炭酸塩の分解が不十分である場合がある。また、希土類酸化物の製造方法としては、希土類のシュウ酸塩の熱分解が一般的であるが、シュウ酸塩の熱分解では比表面積が数m2/g程度の希土類酸化物しか得られない。
希土類酸化物としては、好ましくは、イットリア(Y23)、ジスプロシア(Dy23)、イッテルビア(Yb23)、ネオジア(Nd23)、サマリア(Sm23)、ユーロピア(Eu23)、ガドリア(Gd23)、エルビア(Er23)、ルテシア(Lu23)等が挙げられ、単独またはこれらの混合物として用いることができる。さらに好ましくは、イットリア、ジスプロシア、イッテルビアである。
ZrO2−希土類酸化物層223において、希土類酸化物の含有量は、好ましくは3〜8モル%であり、ZrO2の含有量は、好ましく92〜97モル%である。これは、この組成領域では準安定正方晶T'相と呼ばれる結晶構造が主体となり、これが高い耐久性を示すからである。希土類酸化物の含有量が3モル未満であると結晶構造的に単結晶が生じ、これが加熱冷却過程で体積変化を起こし、耐久性が低下する場合があり、8モル%を超えると結晶構造が立方晶となり耐久性が不足する場合がある。
ZrO2−希土類酸化物層223は、ZrO2−希土類酸化物粉末を溶射することにより積層される。溶射法としては、通常の方法が用いられ特に限定されないが、例えば、大気圧プラズマ溶射法、超高速フレーム溶射法、低圧プラズマ溶射法等が挙げられる。溶射に使用されるZrO2−希土類酸化物粉末は、以下の手順により製造される。
図9は、ZrO2−希土類酸化物粉末の製造手順の一例を示すフローチャートである。
まず、それぞれ所定の比表面積を有するZrO2粉末と希土類酸化物粉末とを所定の添加割合で用意し(ステップS1)、適当なバインダーや分散剤とともにボールミル等に入れて混合し(ステップS2)、スラリー状にする(ステップS3)。それをスプレードライヤー等により平均粒径10〜100μmに造粒した後(ステップS4)、1300〜1600℃で1〜10時間の条件で熱処理し(ステップS5)、ZrO2−希土類酸化物の複合粉末を得る(ステップS6)。この複合粉末をMCrAlY合金層222上に溶射することによって、本発明にかかるTBC用溶射原料を溶射した遮熱コーティング膜が得られる。
用いるバインダーとしては、特に限定されないが、水系や樹脂系バインダーが挙げられる。用いる分散剤としては、粉体を分散できるものであればよい。混合手段としては、ボールミルに限られず、アトライター等の通常の方法を用いることができる。造粒手段としては、スプレードライヤーに限られず、溶融、粉砕等の通常の方法を用いることができる。
上述した構成の遮熱コーティング材は、産業用ガスタービンの動翼や静翼、あるいは燃焼器の内筒や尾筒などの高温部品に適用して有用である。また、産業用ガスタービンに限らず、車やジェット機などのエンジンの高温部品の遮熱コーティング膜にも適用できる。
図12および図13は、それぞれ上述した本発明の第一、第二及び第三の態様の実施の形態にかかる遮熱部材を適用可能なタービン翼を示す斜視図である。
図12に示すガスタービン動翼4は、デイスク側に固定されるダブテイル41、プラットフォーム42、翼部43等を備えている。
また、図13に示すガスタービン静翼5は、内シュラウド51、外シュラウド52、翼部53等を備えており、翼部53には、シールフィン冷却孔54、スリット55等が形成されている。
これらガスタービン動翼4およびガスタービン静翼5は、いずれも図10に示すガスタービンに適用可能なものである。
図14に示すガスタービンについて簡単に説明する。
このガスタービン6は、互いに直結された圧縮機61とタービン62とを備える。圧縮機61は例えば軸流圧縮機として構成されており、大気または所定のガスを吸込口から作動流体として吸い込んで昇圧させる。この圧縮機61の吐出口には、燃焼器63が接続されており、圧縮機61から吐出された作動流体は、燃焼器63によって所定のタービン入口温度まで加熱される。そして所定温度まで昇温された作動流体は、タービン62に供給される。図10に示すように、タービン62のケーシング内部には、上述したガスタービン静翼5が数段(図では4段)固定されている。また、上述したガスタービン動翼4が各静翼5と一組の段を形成するように主軸64に取り付けられている。主軸64の一端は、圧縮機61の回転軸65に接続されており、その他端には、図示しない発電機の回転軸に接続されている。
このような構成により、燃焼器63からタービン62のケーシング内に高温高圧の作動流体を供給すれば、ケーシング内で作動流体が膨張することにより、主軸64が回転し、図示しない発電機が駆動される。すなわち、ケーシングに固定されている各静翼5によって圧力降下させられ、これにより発生した運動エネルギは、主軸64に取付けられた各動翼4を介して回転トルクに変換される。そして、発生した回転トルクは、主軸64に伝達され、発電機が駆動される。
一般に、ガスタービン動翼に用いられる材料は、耐熱合金(たとえば、CM247LC=キャノン マスケゴン社の市販の合金材料)であり、ガスタービン静翼に用いられる材料は、同様に耐熱合金(たとえばIN939=インコ社の市販の合金材料)である。すなわち、タービン翼を構成する材料は、本発明による遮熱部材において基材として採用可能な耐熱合金が使用されている。したがって、本発明による遮熱部材をタービン翼へ被覆すれば、遮熱効果と耐剥離性の高いタービン翼を得ることができ、温度環境をより高くしかも耐久性の良いものとなり、ロングライフ化が可能となる。また、作動流体の温度を高めることにより、ガスタービン効率を向上させることも可能となる。
上述した本発明の第一の態様にかかる実施の形態によれば、トップコートが、多孔質でかつ厚さ方向に伸びる微細なき裂24を有する部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層23でできているため、従来よりも高い遮熱効果と高い耐剥離性が得られる。したがって、温度環境が従来よりも高温であっても十分な耐久性を有する遮熱コーティング材が得られる。
また、上述した本発明の第一の態様にかかる実施の形態によれば、セラミックス層23を積層した後、レーザービーム25の照射によりセラミックス層23に微細なき裂24を生じさせるため、極めて簡便かつ低コストで遮熱コーティング材を形成することができる。また、ガスタービン部材などの熱的に厳しい箇所にのみ選択的に本方法を適用することができる。
また、ガスタービンの高温部品などをこの遮熱コーティング材で被覆することによって、温度環境が従来よりも高温であっても十分な耐久性を有するガスタービン部材等を得ることができる。
上述した本発明の第二の態様にかかる実施の形態によれば、トップコートが、YSZよりも遮熱効果が高いDySZと、YSZよりも耐剥離性が高いYbSZとの複合材料であるZrO2−(Dy23+Yb23)層123により構成されているため、従来よりも高い遮熱効果と高い耐剥離性が得られる。したがって、温度環境が従来よりも高温であっても十分な耐久性を有する遮熱コーティング材が得られる。
また、ガスタービンの高温部品などをこの遮熱コーティング材で被覆することによって、温度環境が従来よりも高温であっても十分な耐久性を有するガスタービン部材等を得ることができる。
上述した本発明の第三の態様にかかる実施の形態によれば、トップコートが、比表面積が10m2/g以上、好ましくは10〜50m2/gのジルコニアと、比表面積が10m2/g以上、好ましくは10〜30m2/gの希土類酸化物とを均一に混合してなるTBC用溶射原料を溶射して得られるZrO2−希土類酸化物層223により構成されているため、従来よりも安定化度の高い安定化ジルコニア層となっている。したがって、温度環境が従来よりも高温であっても十分な耐久性を有する遮熱コーティング材が得られる。
また、ガスタービンの高温部品などをこの遮熱コーティング材で被覆することによって、温度環境が従来よりも高温であっても十分な耐久性を有するガスタービン部材等を得ることができる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明の特徴とするところを明らかとする。
以下の各実施例および各比較例では、基材である耐熱合金としてNi基合金(Ni−16Cr−8.5Co−1.7Mo−2.6W−1.7Ta−0.9Nb−3.4Al−3.4Ti)を用いた。基材のサイズは30mm角で厚さ5mmとした。また、金属結合層はCoNiCrAlY(Co−32Ni−21Cr−8Al−0.5Y)とした。
実施例1〜15
以下に示すNo.1〜15の試料を作製した。
(試料No.1)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、添加剤として8wt%のY23を用いて部分安定化させた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。その後、基材の裏面を冷却しながら、セラミックス層の表面に、炭酸ガスレーザーによるレーザービームを1回あたり30秒間ずつ100回照射し、繰り返しの熱サイクルを与えた。その際、セラミックス層の表面は最高で1400℃に加熱した。レーザービームの1箇所あたりの照射面積は、177mm2(ビーム径15mm)であった。その後、試料全体を室温まで冷却した。
(試料No.2)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、安定化剤として8wt%のY23を用いて部分安定化させた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。その後、基材の裏面を冷却しながら、セラミックス層の表面に、炭酸ガスレーザーによるレーザービームを1回あたり30秒間ずつ800回照射し、セラミックス層の表面を1000℃に加熱した。レーザービームの1箇所あたりの照射面積は、177mm2(ビーム径φ15mm)であった。その後、試料全体を室温まで冷却した。
(試料No.3)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、安定化剤として8wt%のY23を用いて部分安定化させた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。その後、基材の裏面を冷却しながら、セラミックス層の表面に、炭酸ガスレーザーによるレーザービームを1回あたり30秒間ずつ5回照射し、セラミックス層の表面を1700℃に加熱した。レーザービームの1箇所あたりの照射面積は、177mm2(ビーム径φ15mm)であった。その後、試料全体を室温まで冷却した。
(試料No.4)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、安定化剤として10wt%のDy23を用いて部分安定化させた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。その後、基材の裏面を冷却しながら、セラミックス層の表面に、炭酸ガスレーザーによるレーザービームを1回あたり30秒間ずつ100回照射し、セラミックス層の表面を1400℃に加熱した。レーザービームの1箇所あたりの照射面積は、177mm2(ビーム径φ15mm)であった。その後、試料全体を室温まで冷却した。
(試料No.5)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、安定化剤として10wt%のDy23を用いて部分安定化させた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。その後、基材の裏面を冷却しながら、セラミックス層の表面に、炭酸ガスレーザーによるレーザービームを1回あたり30秒間ずつ800回照射し、セラミックス層の表面を1000℃に加熱した。レーザービームの1箇所あたりの照射面積は、177mm2(ビーム径φ15mm)であった。その後、試料全体を室温まで冷却した。
(試料No.6)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、安定化剤として10wt%のDy23を用いて部分安定化させた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。その後、基材の裏面を冷却しながら、セラミックス層の表面に、炭酸ガスレーザーによるレーザービームを1回あたり30秒間ずつ5回照射し、セラミックス層の表面を1700℃に加熱した。レーザービームの1箇所あたりの照射面積は、177mm2(ビーム径φ15mm)であった。その後、試料全体を室温まで冷却した。
(試料No.7)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、安定化剤として12wt%のDy23を用いて部分安定化させた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。その後、基材の裏面を冷却しながら、セラミックス層の表面に、炭酸ガスレーザーによるレーザービームを1回あたり30秒間ずつ100回照射し、セラミックス層の表面を1400℃に加熱した。レーザービームの1箇所あたりの照射面積は、177mm2(ビーム径φ15mm)であった。その後、試料全体を室温まで冷却した。
(試料No.8)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、安定化剤として12wt%のDy23を用いて部分安定化させた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。その後、基材の裏面を冷却しながら、セラミックス層の表面に、炭酸ガスレーザーによるレーザービームを1回あたり30秒間ずつ800回照射し、セラミックス層の表面を1000℃に加熱した。レーザービームの1箇所あたりの照射面積は、177mm2 (ビーム径φ15mm)であった。その後、試料全体を室温まで冷却した。
(試料No.9)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、安定化剤として12wt%のDy23 を用いて部分安定化させた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。その後、基材の裏面を冷却しながら、セラミックス層の表面に、炭酸ガスレーザーによるレーザービームを1回あたり30秒間ずつ5回照射し、セラミックス層の表面を1700℃に加熱した。レーザービームの1箇所あたりの照射面積は、177mm2(ビーム径φ15mm)であった。その後、試料全体を室温まで冷却した。
(試料No.10)
基材の表面をAl23 粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、安定化剤として14wt%のYb23を用いて部分安定化させた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。その後、基材の裏面を冷却しながら、セラミックス層の表面に、炭酸ガスレーザーによるレーザービームを1回あたり30秒間ずつ100回照射し、セラミックス層の表面を1400℃に加熱した。レーザービームの1箇所あたりの照射面積は、177mm2 (ビーム径φ15mm)であった。その後、試料全体を室温まで冷却した。
(試料No.11)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、安定化剤として14wt%のYb23 を用いて部分安定化させた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。その後、基材の裏面を冷却しながら、セラミックス層の表面に、炭酸ガスレーザーによるレーザービームを1回あたり30秒間ずつ800回照射し、セラミックス層の表面を1000℃に加熱した。レーザービームの1箇所あたりの照射面積は、177mm2 (ビーム径φ15mm)であった。その後、試料全体を室温まで冷却した。
(試料No.12)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、安定化剤として14wt%のYb23を用いて部分安定化させた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。その後、基材の裏面を冷却しながら、セラミックス層の表面に、炭酸ガスレーザーによるレーザービームを1回あたり30秒間ずつ5回照射し、セラミックス層の表面を1700℃に加熱した。レーザービームの1箇所あたりの照射面積は、177mm2(ビーム径φ15mm)であった。その後、試料全体を室温まで冷却した。
(試料No.13)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、安定化剤として16wt%のYb23を用いて部分安定化させた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。その後、基材の裏面を冷却しながら、セラミックス層の表面に、炭酸ガスレーザーによるレーザービームを1回あたり30秒間ずつ100回照射し、セラミックス層の表面を1400℃に加熱した。レーザービームの1箇所あたりの照射面積は、177mm2(ビーム径φ15mm)であった。その後、試料全体を室温まで冷却した。
(試料No.14)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、安定化剤として16wt%のYb23 を用いて部分安定化させた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。その後、基材の裏面を冷却しながら、セラミックス層の表面に、炭酸ガスレーザーによるレーザービームを1回あたり30秒間ずつ800回照射し、セラミックス層の表面を1000℃に加熱した。レーザービームの1箇所あたりの照射面積は、177mm2 (ビーム径φ15mm)であった。その後、試料全体を室温まで冷却した。
(試料No.15)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、安定化剤として16wt%のYb23 を用いて部分安定化させた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。その後、基材の裏面を冷却しながら、セラミックス層の表面に、炭酸ガスレーザーによるレーザービームを1回あたり30秒間ずつ5回照射し、セラミックス層の表面を1700℃に加熱した。レーザービームの1箇所あたりの照射面積は、177mm2(ビーム径φ15mm)であった。その後、試料全体を室温まで冷却した。
比較例1
比較として、つぎのNo.16の試料を作製した。
(試料No.16)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、安定化剤として8wt%のY23を用いて部分安定化褪せた多孔質の部分安定化ZrO2よりなるセラミックス層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
上述したNo.1〜15の試料のトップコートの組成、厚さおよびレーザー照射条件を表1に示す。
Figure 2005105417
つぎに、上述したNo.1〜16の試料について、図10に示す燃焼ガス式熱サイクル試験による耐久性評価試験を実施した。この装置では、燃焼ガスバーナ31により試験片32の遮熱コーティング膜33の表面を約1200℃以上に加熱するとともに、金属結合層とトップコートとの界面の温度を800〜900℃と、実機ガスタービンと同様の温度条件に設定することができる。
耐久性評価試験では、各試料について、遮熱コーティング膜33の表面温度を1400℃とした。加熱パターンは、室温から1400℃まで5分間で昇温させ、1400℃で5分間保持し、その後、燃焼ガスを止めて10分間冷却するパターンを1サイクルとした。冷却時の試験片の温度は100℃以下である。この熱サイクル試験でトップコートに剥離が生じるまでの回数により耐久性を評価した。
試験結果を表2に示す。
Figure 2005105417
表2より明らかなように、実施例の各試料No.1〜15は、いずれも1500回の熱サイクルでは剥離しなかった。それに対して、比較例の試料No.16は475回の熱サイクルで剥離した。したがって、トップコートを微細なき裂を有する多孔質ZrO2 系セラミックス層で構成することにより、より高温での耐久性に優れることが確認された。
また、実施例の各試料No.1〜15について、セラミックス層の気孔率、密度、熱伝導率、およびセラミックス層の断面における単位長さ(1mm)あたりのき裂の数を調べた。その結果を表3に示す。
Figure 2005105417
実施例101〜136
以下に示すNo.101〜136の試料を作製した。
(試料No.101)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−10wt%Dy23−0.1wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.102)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−10wt%Dy23−6wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.103)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−10wt%Dy23−10wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.104)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−12wt%Dy23−0.1wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.105)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−12wt%Dy23−6wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.106)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−12wt%Dy23−8wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.107)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−14wt%Dy23−0.1wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.108)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−14wt%Dy23−4wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.109)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−14wt%Dy23−6wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.110)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−0.1wt%Dy23−12wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.111)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−6wt%Dy23−12wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.112)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−8wt%Dy23−12wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.113)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−0.1wt%Dy23−14wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.114)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−4wt%Dy23−14wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.115)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−6wt%Dy23−14wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.116)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−0.1wt%Dy23−16wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.117)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−2wt%Dy23−16wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.118)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−4wt%Dy23−16wt%Yb23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.119)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−10wt%Dy23−0.1wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.120)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−10wt%Dy23−6wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.121)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−10wt%Dy23−10wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.122)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−12wt%Dy23−0.1wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.123)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−12wt%Dy23−6wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.124)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−12wt%Dy23−8wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.125)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−14wt%Dy23−0.1wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.126)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−14wt%Dy23−4wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.127)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−14wt%Dy23−6wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.128)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−0.1wt%Dy23−12wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.129)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−6wt%Dy23−12wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.130)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−8wt%Dy23−12wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.131)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−0.1wt%Dy23−14wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.132)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−4wt%Dy23−14wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.133)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−6wt%Dy23−14wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.134)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−0.1wt%Dy23−16wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.135)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−2wt%Dy23−16wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
(試料No.136)
基材の表面をAl23粒でグリッドブラスト処理して、低圧プラズマ溶射に適した状態にした。ついで、CoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、表面研磨をおこない電子ビーム物理蒸着法に適した状態とした後に、ZrO2−4wt%Dy23−16wt%Yb23層を電子ビーム物理蒸着法により0.5mmの厚さで成膜した。
比較例101
比較として、つぎのNo.137の試料を作製した。
(試料No.137)
基材上にCoNiCrAlY合金層を低圧プラズマ溶射法により0.1mmの厚さで成膜した。ついで、ZrO2−8wt%Y23層を大気圧プラズマ溶射法により0.5mmの厚さで成膜した。
以上の試料No.101〜137はいずれも成膜後、850℃で24時間、真空熱処理を行っている。
上述したNo.101〜137の試料のトップコートの組成、積層方法および厚さを表4に示す。
Figure 2005105417
つぎに、上述したNo.101〜137の試料について、図10に示す燃焼ガス式熱サイクル試験による耐久性評価試験を実施した。この装置では、燃焼ガスバーナ31により試験片32の遮熱コーティング膜33の表面を約1200℃以上に加熱するとともに、金属結合層とトップコートとの界面の温度を800〜900℃と、実機ガスタービンと同様の温度条件に設定することができる。
耐久性評価試験では、各試料について、遮熱コーティング膜33の表面温度を1400℃とし、遮熱コーティング膜33の金属結合層とトップコートとの界面温度を900℃に設定した。加熱パターンは、室温から1400℃まで5分間で昇温させ、1400℃で5分間保持し、その後、燃焼ガスを止めて10分間冷却するパターンを1サイクルとした。冷却時の試験片の温度は100℃以下である。この熱サイクル試験でトップコートに剥離が生じるまでの回数により耐久性を評価した。
試験結果を表5に示す。
Figure 2005105417
表5より明らかなように、実施例の各試料No.101〜136は、いずれも1500回の熱サイクルでは剥離しなかった。それに対して、比較例の試料No.137は475回の熱サイクルで剥離した。したがって、トップコートをZrO2−(Dy23+Yb23)層で構成することにより、より高温での耐久性に優れることが確認された。
本発明の第一の態様にかかる遮熱コーティング膜の構成を示す断面図である。 本発明にかかる遮熱コーティング膜の製造手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第一の態様にかかる遮熱コーティング膜の製造段階の一状態を示す断面図である。 本発明の第一の態様にかかる遮熱コーティング膜の製造段階の一状態を示す断面図である。 本発明の第一の態様にかかる遮熱コーティング膜の製造段階の一状態を示す断面図である。 本発明の第二の態様にかかる遮熱コーティング膜の構成の一例を示す断面図である。 ZrO2−Dy23−Yb23粉末の製造手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第三の態様にかかる遮熱コーティング膜の構成の一例を示す断面図である。 ZrO2−希土類酸化物粉末の製造手順の一例を示すフローチャートである。 実施例および比較例について実施した燃焼ガス式熱サイクル試験の概略を示す図である。 従来の遮熱コーティング膜の構成を示す断面図である。 本発明にかかる遮熱コーティング膜を適用したガスタービン動翼の斜視図である。 本発明にかかる遮熱コーティング膜を適用したガスタービン静翼の斜視図である。 本発明にかかる遮熱コーティング膜を適用したガスタービンを示す概略構成図である。
符号の説明
11 基材
12 金属結合層
13 セラミックス層
21 基材
22 金属結合層
23 多孔質ZrO2系セラミックス層
24 微細縦割れき裂
25 レーザービーム
121 基材
122 金属結合層(MCrAlY合金層)
123 ZrO2−(Dy23+Yb23)層
221 基材
222 金属結合層(MCrAlY合金層)
223 ZrO2−希土類酸化物層
4 動翼
41 ダブテイル
42 プラットフォーム
43 翼部
5 静翼
51 内シュラウド
52 外シュラウド
53 翼部
54 シールフィン冷却孔
55 スリット
6 ガスタービン
61 圧縮機
62 タービン
63 燃焼器
64 主軸

Claims (4)

  1. 比表面積10m2/g以上のジルコニア粉体と比表面積10m2/g以上の希土類酸化物の粉体を添加してなるTBC用溶射原料。
  2. 比表面積10m2/g以上のジルコニア粉体と比表面積10m2/g以上の希土類酸化物の粉体とをバインダー又は分散剤とともに混合し、スラリー状にした後、平均粒径10〜100μmに造粒し、1300〜1600℃で1〜10時間の条件で熱処理することを特徴とするTBC用溶射原料の製造方法。
  3. 請求項1に記載のTBC用溶射原料を溶射して得られる被膜を有するガスタービン部材。
  4. 請求項3に記載のガスタービン部材を有するガスタービン。
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