JP2005104761A - 疎水性沈降シリカの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
疎水性沈降シリカを一工程で得ることができる上に、特に耐食性の高い製造設備を必要としない生産性の高い疎水性沈降シリカ製造方法を提供する。
【解決手段】
(a)水ガラス、(b)無機酸および(c)ハロゲン原子を含有しない有機ケイ素化合物を水性媒体中で接触させる段階と、得られた反応混合液のpH値を最終的に7以下に調整して、疎水性沈降シリカを水性懸濁液状態で生成させる段階とを有する疎水性沈降シリカの製造方法。
【選択図】 なし
疎水性沈降シリカを一工程で得ることができる上に、特に耐食性の高い製造設備を必要としない生産性の高い疎水性沈降シリカ製造方法を提供する。
【解決手段】
(a)水ガラス、(b)無機酸および(c)ハロゲン原子を含有しない有機ケイ素化合物を水性媒体中で接触させる段階と、得られた反応混合液のpH値を最終的に7以下に調整して、疎水性沈降シリカを水性懸濁液状態で生成させる段階とを有する疎水性沈降シリカの製造方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、疎水性沈降シリカを一工程で得ることができる、生産性の高い疎水性沈降シリカの製造方法に関する。
疎水性沈降シリカの製造方法としては、例えば、粉末状沈降シリカを攪拌により流動させながら、200〜300℃の温度に加熱し、オルガノシラン蒸気と接触させ疎水化処理すること(特許文献1)、水と溶媒和する有機溶剤の存在下に粉末状沈降シリカを有機ハロゲン化ケイ素化合物と反応させる撥水シリカの製造方法(特許文献2)、補強性シリカを有機溶媒中でケイ素原子1個当り0.1〜2個の水酸基、アルコキシ基を含むオルガノシランまたは低分子量シロキサンとアミン、第4級アンモニウムオルガノ金属(少量)で疎水化処理する方法(特許文献3)、最初に酸性シリカヒドロゾル(強鉱酸pH1以下で)を50〜250℃で加熱してシリカ構造を生じさせ、次いで有機溶媒中で酸性触媒の下、シラン、シロキサンで疎水化処理を行う方法(特許文献4)が知られている。これらの方法はいずれも一度生成した粉末状沈降シリカを高温条件や有機溶媒を用いてオルガノゾルに変換して、オルガノシラン等で疎水化処理を行うものである。
また、別の疎水性沈降シリカの製造方法としては、公知の沈降シリカ製造工程で得られる沈降シリカ水性懸濁液または既に製造された沈降シリカ水性懸濁液に、オルガノシラノールアルカリ金属塩を前記水性懸濁液のpHを6〜10に保ちながら添加する工程を有する疎水性沈降シリカの製造方法(特許文献5)が知られている。
しかし、上記の方法は、まず沈降シリカを生成させて置く必要があり、その後にその沈降シリカを有機ケイ素化合物で疎水化するものであって、しかもこれらの工程を連続して行うことのできない方法である。即ち、非連続的な複数工程(プロセス)からなるので、操作が煩雑でコストもかかるという問題を有する。
上記問題を解決するために、水ガラスの水溶液と、無機酸ならびにオルガノクロロシランおよびオルガノジクロロシランからなる群から選ばれる有機ケイ素化合物を含有する混合溶液とを接触させ、得られる反応混合液のpHを最終的に7以下に調整して反応を進行させ、疎水性沈降シリカを生成せしめる疎水性沈降シリカの製造方法が提案されている(特許文献6)。
この方法では、沈降シリカの生成とその疎水化が一連の湿式処理段階からなる一工程の中で進行するが、オルガノクロロシランおよび/またはオルガノジクロロシランを使用するため、耐食性の高い高価な製造設備を使用しなければならないという不都合がある。
本発明の課題は、上記の問題および不都合を解決・解消し、疎水性沈降シリカを一工程で得ることができる上に、特に耐食性の高い製造設備を必要としない疎水性沈降シリカ製造方法を提供することである。
本発明は、上記の課題を解決するために、(a)水ガラス、(b)無機酸および(c)ハロゲン原子を含有しない有機ケイ素化合物を水性媒体中で接触させる段階と、得られた反応混合液のpHを最終的に7以下に調整して、疎水性沈降シリカを水性懸濁液状態で生成させる段階とを有する疎水性沈降シリカの製造方法を提供する。
本発明の製造方法では、水ガラスを原料として沈降シリカを生成する際に、ハロゲン原子を含有しない有機ケイ素化合物を同時に反応させるため、一工程で疎水性沈降シリカを得ることができ、生産性が高い。この方法は、特に耐食性の高い製造設備を必要としないので簡便である。得られた疎水性沈降シリカは十分な疎水性を有し、例えば補強性シリカとしてゴム、例えばシリコーンゴムなどの充填剤として有用である。
以下、本発明についてより詳しく説明する。初めに使用する原材料について説明する。
〔(a)水ガラス〕
水ガラスの代表的な例としては、式:Na2O・xSiO2(式中、xは2〜4の数である)で表される組成を有するもの(即ち、ケイ酸ナトリウム)が挙げられる。前記ケイ酸ナトリウムは二酸化ケイ素とアルカリとを融解して得られることが公知であり、通常、下記のいずれかの手順で製造される。
〔(a)水ガラス〕
水ガラスの代表的な例としては、式:Na2O・xSiO2(式中、xは2〜4の数である)で表される組成を有するもの(即ち、ケイ酸ナトリウム)が挙げられる。前記ケイ酸ナトリウムは二酸化ケイ素とアルカリとを融解して得られることが公知であり、通常、下記のいずれかの手順で製造される。
本発明の製造方法を実施するには、通常、水ガラスは水溶液状態で使用すると操作し易い。上記のようにして得られたケイ酸ナトリウムを水に溶解し適宜希釈したものを、水ガラスの水溶液として用いることができる。この水ガラスの水溶液の濃度は任意でよいが、通常、水ガラスの水溶液中のSiO2濃度が0.1〜15mol/lの範囲であり、重合終了時の懸濁液の濃度がゲル化防止上好ましい約5〜10質量%程度となる点で実用的かつ有用な疎水性沈降シリカを生成するには0.5〜8.0mol/lの範囲であることが好ましく、1.0〜3.0mol/lの範囲であることがより好ましい。
〔(b)無機酸〕
無機酸は、特に限定されないが、水ガラス水溶液が強アルカリ性であるため反応性の点から、強酸性の無機酸が好ましい。具体的には、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、ベンゼンスルホン酸、リン酸等が挙げられ、より好ましくは塩酸または硫酸、特に好ましくは硫酸が挙げられる。
無機酸は、特に限定されないが、水ガラス水溶液が強アルカリ性であるため反応性の点から、強酸性の無機酸が好ましい。具体的には、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、ベンゼンスルホン酸、リン酸等が挙げられ、より好ましくは塩酸または硫酸、特に好ましくは硫酸が挙げられる。
〔(c)有機ケイ素化合物〕
有機ケイ素化合物は、得られる疎水性沈降シリカに疎水性を付与する成分である。
有機ケイ素化合物は、得られる疎水性沈降シリカに疎水性を付与する成分である。
有機ケイ素化合物は、特に限定されないが、腐食性のあるハロゲン原子を有しないものであり、分子中にシラノール基を少なくとも1個有することが好ましく、例えば、片末端水酸基封鎖ジオルガノポリシロキサン、両末端水酸基封鎖ジオルガノポリシロキサン等が挙げられ、それぞれの代表的なものとして片末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサンが挙げられる。
沈降性シリカの疎水化が効果的に達成される点で両末端水酸基封鎖ジオルガノポリシロキサンが好ましく、具体的には、一般式(1):
一般式(1)中、Rは同一または異なり、炭素原子数1〜12、好ましくは1〜6の一価炭化水素基または水酸基である。Rで表される一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基が挙げられる。Rで表される一価炭化水素基または水酸基の中でも、入手の容易な、メチル基、エチル基、ビニル基、水酸基が好ましく、メチル基が特に好ましい。また、nは、(c)成分の使用量を少なくできるため、好ましくは1〜50の整数である。
上述の有機ケイ素化合物は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述の有機ケイ素化合物は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(c)有機ケイ素化合物の粘度は特に限定されないが、取り扱いおよび攪拌・混合のし易さの点で、通常、25℃における粘度が1〜1,000mPa・s、好ましくは10〜100mPa・sである。
〔製造方法の実施形態〕
次に、本発明の疎水性沈降シリカの製造方法を具体的に説明する。
まず、上記の(a)水ガラス、(b)無機酸および(c)ハロゲン原子を含有しない有機ケイ素化合物を水性媒体中で接触させる。ここで、接触の方法は特に限定されない。例えば、この接触を、短時間で行ってもよいし、徐々に行ってもよい。
比較的短時間で接触させるには、これら三成分を水中に同時にないしは並行して、好ましくは攪拌下で、投与することが挙げられる。
次に、本発明の疎水性沈降シリカの製造方法を具体的に説明する。
まず、上記の(a)水ガラス、(b)無機酸および(c)ハロゲン原子を含有しない有機ケイ素化合物を水性媒体中で接触させる。ここで、接触の方法は特に限定されない。例えば、この接触を、短時間で行ってもよいし、徐々に行ってもよい。
比較的短時間で接触させるには、これら三成分を水中に同時にないしは並行して、好ましくは攪拌下で、投与することが挙げられる。
ところで、沈降性シリカは水ガラスと無機酸との反応によりケイ酸が生成し、このケイ酸がpH8以下において沈降性シリカとして生成すると考えられる。有機ケイ素化合物はこのようなケイ酸の生成および/または沈降性シリカの生成の過程で作用し沈降性シリカの疎水化を達成する。そこで、このプロセスを制御するために水ガラス、無機酸および有機ケイ素化合物の三成分が徐々に接触し上記の生成反応が漸進的に進行することが好ましい。
そこで、本発明の三成分の接触過程は、特に水ガラスと無機酸との接触が徐々に行われることが好ましい。これら成分を徐々に接触させるには、これら両成分を少しずつ混合する方法や、水ガラスと無機酸を同時に水溶媒中に少しずつ混合する方法が挙げられ、少しずつ混合するには、例えば流量計を用いて流量を制御するとか、一方に他方を液体状態で滴下することができる。
この好ましい実施形態のより具体的な方法としては例えば、前記の水ガラスと無機酸との接触が、水ガラスを含む水溶液に無機酸を徐々に混合することにより行われる方法が挙げられる。
水ガラスを含む水溶液は通常当初アルカリ性であるが、無機酸の混合が進むにつれてpHが低下していく。最終的にはpHを7以下に低下させる。最終的なpH値への調整は必要に応じて無機酸を添加することにより行うことができる。
水ガラス水溶液に徐々に混合される無機酸はそのままの状態でもよいし、水溶液状態でもよい。
水ガラスを含む水溶液は通常当初アルカリ性であるが、無機酸の混合が進むにつれてpHが低下していく。最終的にはpHを7以下に低下させる。最終的なpH値への調整は必要に応じて無機酸を添加することにより行うことができる。
水ガラス水溶液に徐々に混合される無機酸はそのままの状態でもよいし、水溶液状態でもよい。
第三の成分である有機ケイ素化合物は様々な形で反応系に導入することができる。例えば、前記の水ガラスを含む水溶液に有機ケイ素化合物を含ませてもよい。無機酸を上記のように水溶液状態で使用する場合にはこの水溶液の溶質成分として導入してもよい。また該無機酸水溶液とは別途前記の水ガラスを含む水溶液に混合してもよい。その際には、有機ケイ素化合物はそのままでも溶液状態でもよいが、好ましくは、溶液状態である。さらに、これらの2以上の導入方法を組み合わせてもよい。
さらに、様々なバリエーションがあり得る。例えば、前記の水ガラスを含む水溶液に無機酸を添加しつつ、別の水ガラス水溶液を該無機酸とは別途または並行して、好ましくは徐々に、混合してもよい。
さらに、様々なバリエーションがあり得る。例えば、前記の水ガラスを含む水溶液に無機酸を添加しつつ、別の水ガラス水溶液を該無機酸とは別途または並行して、好ましくは徐々に、混合してもよい。
無機酸を含む溶液の添加と共に水ガラス溶液の系内のpHが低下し始め、pHが8以下になるとシリカの生成・析出が見られるが、終了点としてpHが7以下、好ましくは2〜6、より好ましくは3.5〜5の範囲となるまで前記溶液の滴下を継続する。
本発明の方法において、上記の接触は、効率よく速やかに進行することが望ましいので、攪拌下で行うことがより好ましい。したがって、用いる容器には攪拌装置が付設されていることが好ましい。
また、上記接触の際の温度は、通常、0〜100℃の間であり、速やかに反応が進行する点で、40〜100℃であることが好ましい。
また、上記接触の際の温度は、通常、0〜100℃の間であり、速やかに反応が進行する点で、40〜100℃であることが好ましい。
本発明の方法において、反応の媒体である水性溶媒は上で説明したように水のみからなってもよく一定量以下の親水性有機溶媒を含んでいてもよい。該水性溶媒は実施の形態により様々な形で反応系に導入されうる。一部または全部を予め反応容器に入れておいてもよいし、その場合反応成分の一種または二種を含む水溶液として入れておいてもよい。他の一部は反応過程で外部から例えば希釈水として導入されてもよいし、反応成分の一種または二種を含む水溶液として導入されてもよい。いずれの場合でも、使用される水の合計量はこの方法に使用される全水ガラス中のSiO2の割合が5〜10質量%となる範囲、好ましくは6〜8質量%となる範囲である。
本発明の方法に使用される無機酸の量は、この方法により反応混合溶液のpHが最終的に7以下の目的とするpHとなるのに必要な量である。
また、本発明の方法に使用される有機ケイ素化合物の量は、生成する沈降性シリカを疎水化するのに十分な量である。具体的には、所望の疎水化度に応じて、前記終了点において、生成した疎水性沈降シリカの炭素含有率が0.5〜10.0質量%、好ましくは2〜6質量%、より好ましくは3〜5質量%の範囲となるのに十分な量である。
また、本発明の方法に使用される有機ケイ素化合物の量は、生成する沈降性シリカを疎水化するのに十分な量である。具体的には、所望の疎水化度に応じて、前記終了点において、生成した疎水性沈降シリカの炭素含有率が0.5〜10.0質量%、好ましくは2〜6質量%、より好ましくは3〜5質量%の範囲となるのに十分な量である。
上記方法により、疎水性沈降シリカが水性懸濁液の状態で得られる。必要に応じて、該水性懸濁液から濾過、遠心分離または他の適切な手段によって水を分離除去し、疎水性沈降シリカを回収してもよく、また、汚染物を減少させるために得られた疎水性沈降シリカを洗浄してもよい。その後、前記操作後に回収した疎水性沈降シリカまたは洗浄済の疎水性沈降シリカを加熱等することにより乾燥し、さらに粉砕して、例えば、BET比表面積が50〜400m2/gの微粒子状で疎水性沈降シリカを得ることもできる。
また、本発明の方法を適用して製造される疎水性沈降シリカの疎水化度は、特に限定されないが、通常25〜75であり、典型的には55〜65である。ここで、疎水化度とは、水50mlと疎水性沈降シリカ200mgからなる混合物にメタノールを添加し、攪拌下で混合して均質懸濁液を形成するのに必要な最少量のメタノールの容積V(ml)としたときに、下記式により定義される:
以下、本発明について、実施例を用いてより詳細に説明する。これらの実施例は、本発明を何ら限定するものではない。なお、実施例中の粘度は、25℃において測定したものである。
<実施例1>
水2200mL、水ガラス(JIS K1408 3号)(Na2O含有率:9.0%、SiO2含有率:29.0%、SiO2含有量:6.8mol/l)73gおよび両末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサン50g(粘度:75mPa・s、一般式(1)においてn=34)を反応容器に仕込んだ。次に、前記混合液を撹拌しながら100℃まで昇温した。そこに予め水1393gと上記と同じ水ガラス1007gから調製した混合液2400gおよび硫酸(濃度:47%)294gを同時に100分間かけて滴下した。この間、反応混合液の温度は100℃に保った。滴下終了後、前記反応混合液の温度を4時間、100℃に保持した。その後、さらに硫酸(濃度:47%)35gを添加し、最終的にpHが2.8となるまで攪拌下で滴下を継続した。以上のようにして、シリカの水性懸濁液を得た。
得られたシリカの水性懸濁液を濾過、洗浄、乾燥および粉砕することにより、微粒子状疎水性沈降シリカ300gを得た。この疎水性沈降シリカの炭素原子含有率は2.4質量%であり、疎水化度は55.4であった。また、BET比表面積を測定したところ、70m2/gであった。
<実施例1>
水2200mL、水ガラス(JIS K1408 3号)(Na2O含有率:9.0%、SiO2含有率:29.0%、SiO2含有量:6.8mol/l)73gおよび両末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサン50g(粘度:75mPa・s、一般式(1)においてn=34)を反応容器に仕込んだ。次に、前記混合液を撹拌しながら100℃まで昇温した。そこに予め水1393gと上記と同じ水ガラス1007gから調製した混合液2400gおよび硫酸(濃度:47%)294gを同時に100分間かけて滴下した。この間、反応混合液の温度は100℃に保った。滴下終了後、前記反応混合液の温度を4時間、100℃に保持した。その後、さらに硫酸(濃度:47%)35gを添加し、最終的にpHが2.8となるまで攪拌下で滴下を継続した。以上のようにして、シリカの水性懸濁液を得た。
得られたシリカの水性懸濁液を濾過、洗浄、乾燥および粉砕することにより、微粒子状疎水性沈降シリカ300gを得た。この疎水性沈降シリカの炭素原子含有率は2.4質量%であり、疎水化度は55.4であった。また、BET比表面積を測定したところ、70m2/gであった。
<実施例2>
実施例1において、両末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサンの量を50gから100gに変更し、最終的にpHが3.5となるまで滴下を行った以外は同様にして、微粒子状の疎水性沈降シリカ300gを得た。この疎水性沈降シリカの炭素原子含有率は6.4質量%であり、疎水化度は56.9であった。また、BET比表面積を測定したところ、40m2/gであった。
実施例1において、両末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサンの量を50gから100gに変更し、最終的にpHが3.5となるまで滴下を行った以外は同様にして、微粒子状の疎水性沈降シリカ300gを得た。この疎水性沈降シリカの炭素原子含有率は6.4質量%であり、疎水化度は56.9であった。また、BET比表面積を測定したところ、40m2/gであった。
<実施例3>
実施例1において、前記反応混合液の温度を4時間、100℃に保持する操作を、硫酸(濃度:47%)35gを添加する前に行わず、その代わりに硫酸(濃度:47%)35gを添加した後に行った以外は同様にして、微粒子状疎水性沈降シリカ300gを得た。この疎水性沈降シリカの炭素原子含有率は4.3質量%であり、疎水化度は73.0であった。また、BET比表面積を測定したところ、57m2/gであった。
実施例1において、前記反応混合液の温度を4時間、100℃に保持する操作を、硫酸(濃度:47%)35gを添加する前に行わず、その代わりに硫酸(濃度:47%)35gを添加した後に行った以外は同様にして、微粒子状疎水性沈降シリカ300gを得た。この疎水性沈降シリカの炭素原子含有率は4.3質量%であり、疎水化度は73.0であった。また、BET比表面積を測定したところ、57m2/gであった。
<実施例4>
実施例1で得られた疎水性沈降シリカを用いて、下記の条件で硬化シリコーンゴム組成物を調製し、その特性を評価した。まず、分子鎖両末端がCH2=CH(CH3)2SiO1/2で封鎖された、主鎖中にCH2=CH(CH3)SiO単位を0.15mol%含有するジメチルシリコーン生ゴム100質量部と、実施例1で得られた疎水性沈降シリカ40質量部とをニーダーにより均質に混練・配合し、その後、110℃で20分加熱・混練し、ベースコンパウンドを得た。
次に、上記ベースコンパウンド100質量部に対し、加硫剤として、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.5質量部を加え、2本ロールミルで混練した後、170℃で10分間の加硫条件で厚さ2mmのシートを作成した。その後、200℃で4時間、2次キュアーを行った。得られたシートについて、JIS K 6249(未硬化および硬化シリコーンゴムの試験方法)に準じて、硬化前のコンパウンドの可塑度、硬化シートの硬さ、引張強さおよび切断時伸びの評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1で得られた疎水性沈降シリカを用いて、下記の条件で硬化シリコーンゴム組成物を調製し、その特性を評価した。まず、分子鎖両末端がCH2=CH(CH3)2SiO1/2で封鎖された、主鎖中にCH2=CH(CH3)SiO単位を0.15mol%含有するジメチルシリコーン生ゴム100質量部と、実施例1で得られた疎水性沈降シリカ40質量部とをニーダーにより均質に混練・配合し、その後、110℃で20分加熱・混練し、ベースコンパウンドを得た。
次に、上記ベースコンパウンド100質量部に対し、加硫剤として、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.5質量部を加え、2本ロールミルで混練した後、170℃で10分間の加硫条件で厚さ2mmのシートを作成した。その後、200℃で4時間、2次キュアーを行った。得られたシートについて、JIS K 6249(未硬化および硬化シリコーンゴムの試験方法)に準じて、硬化前のコンパウンドの可塑度、硬化シートの硬さ、引張強さおよび切断時伸びの評価を行った。その結果を表1に示す。
<実施例5、6>
実施例1で得られた疎水性沈降シリカの代わりに実施例2および3で得られた疎水性沈降シリカをそれぞれ用いた以外は実施例4と同様にして硬化シートを作成し、それらの各シートについて、特性(硬化前のコンパウンドの可塑度、硬化シートの硬さ、引張強さおよび切断時伸び)の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1で得られた疎水性沈降シリカの代わりに実施例2および3で得られた疎水性沈降シリカをそれぞれ用いた以外は実施例4と同様にして硬化シートを作成し、それらの各シートについて、特性(硬化前のコンパウンドの可塑度、硬化シートの硬さ、引張強さおよび切断時伸び)の評価を行った。その結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1で得られた疎水性沈降シリカの代わりに市販の親水性沈降シリカ(商品名:ニプシルLp、日本シリカ社製)40質量部を用いた以外は実施例4と同様にしてベースコンパウンドの調製を試みた。しかし、意図したシリカ全量を配合する前にコンパウンドが小塊状態となり、それ以上シリカを配合することができなくなり、ベースコンパウンドを作成することはできなかった。
実施例1で得られた疎水性沈降シリカの代わりに市販の親水性沈降シリカ(商品名:ニプシルLp、日本シリカ社製)40質量部を用いた以外は実施例4と同様にしてベースコンパウンドの調製を試みた。しかし、意図したシリカ全量を配合する前にコンパウンドが小塊状態となり、それ以上シリカを配合することができなくなり、ベースコンパウンドを作成することはできなかった。
Claims (10)
- (a)水ガラス、(b)無機酸および(c)ハロゲン原子を含有しない有機ケイ素化合物を水性媒体中で接触させ、得られた反応混合液のpHを最終的に7以下に調整して疎水性沈降シリカを水性懸濁液状態で生成せしめることを特徴とする疎水性沈降シリカの製造方法。
- 前記(c)成分がシラノール基を含有する有機ケイ素化合物である請求項1に記載の製造方法。
- 前記の水ガラスと無機酸との接触が徐々に行われる請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記の水ガラスと無機酸との接触が、水ガラスを含む水溶液に無機酸を徐々に混合することにより行われる請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記の徐々に混合される無機酸が水溶液状態である請求項5に記載の製造方法。
- 前記の水ガラスを含む水溶液がさらにハロゲン原子を含有しない有機ケイ素化合物を含む請求項5または6に記載の製造方法。
- 別の水ガラス水溶液が前記無機酸水溶液とは別途または並行して前記の水ガラスを含む水溶液に混合される請求項6または7に記載の製造方法。
- 前記の生成した疎水性沈降シリカが、炭素含有率0.5〜10.0重量%である請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記の水性懸濁液から前記疎水性沈降シリカを分離し、乾燥と粉砕を行って、BET比表面積50〜400m2/gの微粒子状で疎水性沈降シリカを得る、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
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JP2010527889A (ja) * | 2007-05-23 | 2010-08-19 | イーエム−パワー カンパニー リミテッド | 超疎水性シリカ系粉末の製造方法 |
JP2010540385A (ja) * | 2007-09-28 | 2010-12-24 | イーエム−パワー カンパニー リミテッド | 超疎水性シリカ系粉末の製造方法 |
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CN105366977A (zh) * | 2015-11-09 | 2016-03-02 | 西安建筑科技大学 | 一种水泥增强剂、制备方法及其应用 |
-
2003
- 2003-09-30 JP JP2003339235A patent/JP2005104761A/ja active Pending
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