JP2005103755A - Tダイキャストフィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 押出成形加工性と押出成形品の臭気や味覚等の品質とのバランスに優れたTダイキャストフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】 エチレンから誘導される構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位を有し、流動の活性化エネルギーが50kJ/mol以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体を含むTダイキャストフィルムの製造方法であって、ダイギャップにおける溶融温度が200℃以下である条件で、前記エチレン−α−オレフィン共重合体を成形するTダイキャストフィルムの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エチレン−α−オレフィン共重合体を含むTダイキャストフィルムの製造方法に関するものである。さらに詳細には、押出成形加工性と押出成形品の臭気や味覚等の品質とのバランスに優れたエチレン−α−オレフィン共重合体を含むTダイキャストフィルムの製造方法に関するものである。
エチレン系重合体やその組成物は、汎用樹脂として多くの分野に用いられており、例えば、フィルムやシートなどの押出成形品に用いられている。そして、押出成形品については、押出しトルクや溶融張力などの成形加工性、さらには、フィルムやシートの臭気や味覚等の品質に優れていることが要求されている。
エチレン系重合体やその組成物を用いたフィルムは、インフレーションフィルム成形法やTダイキャストフィルム成形法によって製造されるが、比較的低温(180℃〜220℃)で成形可能なインフレーション成形法に対し、Tダイキャスト成形法では、ダイスでの圧力損失等が大きく、そのために220℃〜260℃の高温で成形するのが一般的である。このため、Tダイキャスト成形法ではフィルムの酸化が起こりやすく、臭気や味覚成分の移行性が大きいことや、高温で成形するために加工機内での樹脂の劣化(例えば、樹脂の架橋)によるフィッシュアイの増加や加工機内での滞留による加工機の汚染などの問題があった。
例えば、特開平10−329195号公報には、特定のエチレン系重合体または該エチレン系重合体を含有する樹脂組成物を低温で成形するフィルムの製造方法が記載されている。しかし、押出成形性とフィルムの臭気や味覚等の品質バランスについては、さらなる改良が求めらていた。
また、特開平4−213309号公報には、溶融張力に優れかつ組成分布の狭いエチレン−α−オレフィン共重合体として、メタロセン触媒系の長鎖分岐を有するエチレン−α−オレフィン共重合体、具体的には、エチレンから導かれる構成単位および炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位からなるエチレン共重合体であって、密度が0.86〜0.95g/cm3であり、MFRが0.001〜50g/10分であり、溶融張力とMFRとが特定の関係を満たし、DSCにより測定した吸熱曲線における最大ピーク位置の温度と密度とが特定の関係を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体が記載されているが、該エチレン系共重合体は、高い溶融張力を有するものの、押出成形加工性や押出成形品の臭気や味覚等の品質のバランスについては、必ずしも要求を満足するものとは言えず、エチレン系共重合体の押出成形加工性と押出成形品の臭気や味覚等の品質とのバランスについて、さらなる改良が望まれていた。
特開平10−329195号公報 特開平4−213309号公報
本発明の目的は、押出成形加工性と押出成形品の臭気や味覚等の品質とのバランスに優れたTダイキャストフィルムの製造方法を提供することにある。
本発明者等は、上記のとおりの実情において、検討の結果、本発明が上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
エチレンから誘導される構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位を有し、流動の活性化エネルギーが50kJ/mol以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体を含むTダイキャストフィルムの製造方法であって、ダイギャップにおける溶融温度が200℃以下である条件で、前記エチレン−α−オレフィン共重合体を成形するTダイキャストフィルムの製造方法に係るものである。
本発明の製造方法によれば、押出成形加工性と押出成形品の臭気や味覚等の品質とのバランスに優れたTダイキャストフィルムを得ることができる。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体は、エチレンから誘導される構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位を含むエチレン−α−オレフィン共重合体である。
エチレンから誘導される構成単位とは、単量体であるエチレンから誘導され、エチレン−α−オレフィン共重合体に含有される単位である。炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位とは、単量体である炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導され、エチレン−α−オレフィン共重合体に含有される単位である。炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等が挙げられる。より好ましくは、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンである。
エチレンから誘導される構成単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常50〜99重量%である。炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位の含有量は、エチレン−α−オレフィン共重合体の全重量(100重量%)に対して、通常1〜50重量%である。
本発明のエチレン重合体組成物を構成するエチレン−α−オレフィン共重合体は、上記のエチレンから誘導される構成単位および炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位以外の他の単量体から誘導される構成単位を含有していても良い。他の単量体としては、例えば、共役ジエン(例えばブタジエンやイソプレン)、非共役ジエン(例えば1,4−ペンタジエン)、アクリル酸、アクリル酸エステル(例えばアクリル酸メチルやアクリル酸エチル)、メタクリル酸、メタクリル酸エステル(例えばメタクリル酸メチルやメタクリル酸エチル)、酢酸ビニル等が挙げられる。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体として好ましくは、エチレンと炭素数4〜10のα−オレフィンとの共重合体であり、より好ましくは、エチレンと炭素数5〜10のα−オレフィンとの共重合体であり、さらに好ましくは、エチレンと炭素数6〜10のα−オレフィンとの共重合体である。例えば、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等が挙げられ、好ましくはエチレン−1−ヘキセン共重合体である。また、エチレンと炭素数6〜10のα−オレフィンと1−ブテンとの3元共重合体も好ましく、例えばエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ブテン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ブテン−1−オクテン共重合体等が挙げられ、より好ましくはエチレン−1−ブテン−1−ヘキセン共重合体である。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR、単位はg/10分である。)は、通常0.01〜100であり、好ましくは0.05〜20であり、より好ましくは0.1〜10であり、さらに好ましくは0.1〜6である。
本発明において、メルトフローレート(MFR、単位はg/10分である。)は、JIS K7210−1995に規定された方法に従い、190℃において、荷重21.18N(2.16Kg)で測定された値である。そして、上記のメルトフローレートの測定には、予め酸化防止剤を1000ppm配合した重合体を用いる。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、通常、890〜970kg/m3であり、JIS K6760−1981に規定された方法に従って、測定された値である。上記の密度として、好ましくは、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体から得られるフィルムの剛性と衝撃強度のバランスの観点から、905〜940kg/m3であり、より好ましくは907〜930kg/m3である。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有するような溶融張力に優れたエチレン−α−オレフィン共重合体であり、このようなエチレン−α−オレフィン共重合体は従来知られた通常のエチレン−α−オレフィン共重合耐に比して、流動の活性化エネルギーがより高い。
このような長鎖分岐を有するようなエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea、単位はkJ/molである。)は、通常50kJ/mol以上である。従来から知られている通常のエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギーは、通常50kJ/molよりも低く、押出負荷の上昇や加工安定性の不良を招くなど押出成形加工性に劣る。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギー(Ea)として、より好ましくは55kJ/mol以上であり、さらに好ましくは60kJ/mol以上である。また、高温で溶融粘度を低下させずに十分な成形性を得るという観点や、フィルム等の押出成形品の表面が荒れ、外観が損なわれないようにするという観点から、Eaは、好ましくは100kJ/mol以下であり、より好ましくは90kJ/mol以下である。
流動の活性化エネルギー(Ea)は、粘弾性測定装置を用いて、130℃、150℃、170℃、190℃の各温度における動的粘弾性データを、温度−時間重ね合わせ原理に基づいてシフトさせて190℃での動的粘度(η;単位はPa・secである。)の剪断速度(ω:単位はrad/secである。)依存性を示すマスターカーブを作成する際のシフトファクター(aT)からアレニウス型方程式により算出される数値であって、成形性の指標となるものである。
シフトファクター(aT)のアレニウス型方程式
log(aT)=Ea/R(1/T−1/T0
(Rは気体定数であり、T0は基準温度(463K)である。)
上記のアレニウス型プロットlog(aT)vs.(1/T)において、直線近似をした時に得られるEa値を、本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の流動の活性化エネルギーとする。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体として、好ましくは、メルトフローレート(MFR、単位はg/10分である。)と190℃の剪断速度100rad/secにおける溶融粘度(η、単位はPa・secである。)とが、下記の式(1)の関係を満たすものである。
η<1550×MFR-0.25−420 式(1)
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体の190℃の剪断速度100rad/secにおける溶融粘度ηとは、前述の粘弾性測定において測定される剪断溶融粘度である。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体の190℃の剪断速度100rad/secにおける溶融粘度ηが式(1)の関係を満たすと、押出成形加工時の負荷がより低下し、押出成形加工性がより良好になる。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体が満たすメルトフローレート(MFR)と190℃の剪断速度100rad/secにおける溶融粘度ηとの関係として、式(1)の関係より好ましい関係は、
η<1500×MFR-0.25−420 式(1’)
であり、さらに好ましい関係は、
η<1450×MFR-0.25−420 式(1”)
であり、もっとも好ましい関係は、
η<1350×MFR-0.25−420 式(1''')
である。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体の分子量分布としては、押出負荷、押出成形加工性、押出成形加工時の発煙や流動性の観点から、好ましくは7.0〜25であり、より好ましくは7.5〜20であり、さらに好ましくは8.5〜17である。上記の分子量分布とは、前記ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によって得られたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とを算出し、MwをMnで除した値(Mw/Mn)である。
一般的に、エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)と溶融張力の間には関係があり、MFRが増大するにつれて、溶融張力が低下することが知られている。
本発明のエチレン重合体組成物を構成するエチレン−α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有するような溶融張力の高いエチレン−α−オレフィン共重合体であり、好ましくはメルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と190℃における溶融張力(MT;単位はcNである。)とが下記式(2)の関係を満たすものである。
2×MFR-0.59<MT<40×MFR-0.59 式(2)
従来の通常のエチレン−α−オレフィン共重合体は、式(2)の左辺を通常満たさない。
溶融張力が低すぎると、押出成形加工性が悪化することがあり、溶融張力が高すぎると、高速での引取り加工が困難となることがある。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体が満たすメルトフローレート(MFR)と溶融張力(MT)の関係として、式(2)の関係より好ましい関係は、
2.2×MFR-0.59<MT<25×MFR-0.59 式(2’)
であり、さらに好ましい関係は、
2.5×MFR-0.59<MT<15×MFR-0.59 式(2”)
である。
一般的に、エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)と極限粘度の間には関係があり、MFRが増大するにつれて、極限粘度が低下することが知られている。
本発明のエチレン重合体組成物を構成するエチレン−α−オレフィン共重合体は、長鎖分岐を有するようなエチレン−α−オレフィン共重合体であり、その極限粘度は、従来から知られている通常のエチレン−α−オレフィン共重合体の極限粘度よりも通常低く、極限粘度([η];単位はdl/gである。)と前記MFRとが下記式(3)の関係を満たすと、押出しトルクがより低く、押出成形加工性により優れるため、好ましい。
1.02×MFR-0.094<[η]<1.50×MFR-0.156 式(3)
極限粘度([η])が低すぎると、衝撃強度が低下することがあり、極限粘度([η])が高すぎると、押出しトルクが高くなって、押出成形加工性が劣ることがある。
本発明のエチレン重合体組成物を構成するエチレン−α−オレフィン共重合体が満たすメルトフローレート(MFR)と極限粘度([η])の関係として、式(3)の関係より好ましい関係は、
1.05×MFR-0.094<[η]<1.47×MFR-0.156 式(3’)
であり、さらに好ましい関係は、
1.08×MFR-0.094<[η]<1.42×MFR-0.156 式(3”)
である。
本発明で用いられる好ましいエチレン−α−オレフィン共重合体は、冷キシレン可溶部割合(CXS)が若干多いにもかかわらず、その冷キシレン可溶部の結晶性が高いエチレン−α−オレフィン共重合体である。
密度が低いとCXSは通常多くなるし、MFRが高くてもCXSは通常多くなる。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体の冷キシレン可溶部割合として、好ましくは、下記の式(4)の関係を満たすものである。
10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)<CXS<20 式(4)
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体の冷キシレン可溶部割合とは、ポリマー試料5g程度を、酸化防止剤を含む沸騰したキシレン1リットル中で溶解した後、2時間程度をかけて室温まで冷却しさらに25℃に20時間静置して不溶部を析出させ、ろ別回収したろ液部から溶媒を除去することによって可溶部を取り出し、取り出された可溶部を下記の式によって補正した値をいう。
冷キシレン可溶部割合=[〔可溶部(g)×(1/ろ液量(リットル))〕/ポリマー資料全量(5g)]×100(重量%)
CXSが多すぎると、耐ブロッキング性が悪化する。本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体においては、CXSは20未満である。
一般的に、従来から知られているメタロセン触媒系を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体のCXSは少なく、式(4)の左辺を通常は満たさない。本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体は式(4)の左辺を満たし、押出トルクが低く押出成形加工性に優れる。
また、四塩化チタンを用いて調製したような従来から知られているチーグラー・ナッタ触媒系を用いて製造されたエチレン−α−オレフィン共重合体のCXSはやや多いが、その冷キシレン可溶分の結晶性は低いため、得られるフィルムやシートがべとつき、耐ブロッキング性に劣る。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレート比(MFRR)としては、流動性の観点から高いほどよく、好ましくは60以上であり、この場合、押出負荷がより低く、押出成形加工性により優れる。
上記のメルトフローレート比(MFRR)は、JIS K7210−1995に規定された方法に従い、190℃、荷重211.82N(21.60kg)で測定されたメルトフローレート値を、荷重21.18N(2.16kg)で測定されたメルトフローレート値で除した値である。なお、上記のメルトフローレート測定には、予め酸化防止剤を1000ppm配合した重合体を用いる。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造方法は、下記のメタロセン系オレフィン重合用触媒を用いて、水素の共存下でエチレンとα−オレフィンとを共重合する方法である。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体の製造に用いられるメタロセン系オレフィン重合用触媒は、助触媒担体(A)、架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)および有機アルミニウム化合物(C)を接触させて得られる触媒であり、前記助触媒担体(A)はジエチル亜鉛(a)、フッ素化フェノール(b)、水(c)、シリカ(d)および(e)トリメチルジシラザン(((CH33Si)2NH)を接触させて得られる担体である。
上記(a)、(b)、(c)各化合物の使用量は特に制限はないが、各化合物の使用量のモル比率を(a):(b):(c)=1:y:zのモル比率とすると、yおよびzが下記の式を満足することが好ましい。
|2−y−2z|≦1
上記の式におけるyとして好ましくは0.01〜1.99の数であり、より好ましくは0.10〜1.80の数であり、さらに好ましくは0.20〜1.50の数であり、最も好ましくは0.30〜1.00の数である。
また、(a)に対して使用する(d)の量としては、(a)と(d)との接触により得られる粒子に含まれる(a)に由来する亜鉛原子が、得られる粒子1gに含まれる亜鉛原子のモル数にして、0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。(d)に対して使用する(e)の量としては、(d)1gにつき(e)0.1mmol以上となる量であることが好ましく、0.5〜20mmolとなる量であることがより好ましい。
架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)として、好ましくはラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシドである。
また、有機アルミニウム化合物(C)として、好ましくはトリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウムである。
架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)の使用量は、助触媒担体(A)1gに対し、好ましくは5×10-6〜5×10-4molである。また有機アルミニウム化合物(C)の使用量として、好ましくは、架橋型ビスインデニルジルコニウム錯体(B)のジルコニウム原子モル数に対する有機アルミニウム化合物(C)のアルミニウム原子のモル数の比(Al/Zr)で表して、1〜2000である。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体の重合方法として、好ましくは、エチレン−α−オレフィン共重合体の粒子の形成を伴う重合方法であり、例えば、気相重合、スラリー重合、バルク重合であり、好ましくは、気相重合である。
気相重合反応装置としては、通常、流動層型反応槽を有する装置であり、好ましくは、拡大部を有する流動層型反応槽を有する装置である。反応槽内に攪拌翼が設置されていてもよい。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体の製造に用いられるメタロセン系オレフィン重合用触媒の各成分を反応槽に供給する方法としては、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス、水素、エチレン等を用いて、水分のない状態で供給する方法、各成分を溶媒に溶解または稀釈して、溶液またはスラリー状態で供給する方法が用いられる。触媒の各成分は個別に供給してもよく、任意の成分を任意の順序にあらかじめ接触させて供給してもよい。
また、本重合を実施する前に、予備重合を実施し、予備重合された予備重合触媒成分を本重合の触媒成分または触媒として使用することが好ましい。
重合温度としては、通常、共重合体が溶融する温度未満であり、好ましくは0〜150℃であり、より好ましくは30〜100℃である。
また、共重合体の溶融流動性を調節する目的で、水素を分子量調節剤として添加してもよい。そして、混合ガス中に不活性ガスを共存させてもよい。
本発明で用いられる好ましいエチレン−α−オレフィン共重合体は、通常、ペレットとして加工機に投入される。ペレット化においては、前記のメタロセン系オレフィン重合用触媒を用いて、水素の条件下でエチレンとα−オレフィンとを共重合した後に、次の連続押出造粒方法で混練する方法によって、製造することができる。
方法の一つは、米国特許5、451、106号公報に記載されているUtracki等が開発した伸長流動混練(EFM)ダイを備えた押出機を用いて連続的にストランドを成形し、そのストランドを連続的にカットし、ペレットとして製造する方法である。また、方法の一つは、ギアポンプを有する異方向二軸スクリューを備えた押出機を用いて連続的にストランドを成形し、そのストランドを連続的にカットし、ペレットとして製造する方法である。後者は、スクリュー部からダイまでの間に滞留部があることが好ましい。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体には、必要に応じて、公知の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、抗ブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、無滴剤、顔料、フィラー等が挙げられる。これらの添加剤は単独で用いてもよく、少なくとも2種類を併用してもよい。
本発明で用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体には、加工時の酸化劣化等による品質低下を抑えるため、市販の酸化防止剤を添加してもよい。本発明は、ダイギャップでの樹脂温度が200℃以下であるため、通常のTダイキャストフィルム成形法に比べ臭気や味覚成分の素となる酸化物の発生が少なく、酸化防止剤の添加量を削減することが可能である。これらの酸化防止剤の添加量は、エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対して、好ましくは0.02重量部以下であり、より好ましくは0.01重量部以下である。
本発明で用いられる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤等が挙げられる。それぞれ単独で用いても良く、少なくとも2種を併用しても良い。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(商品名Irganox1076、チバスペシャルティケミカルズ社製)、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(商品名Irganox1010、チバスペシャルティケミカルズ社製)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(商品名Irganox3114、チバスペシャルティケミカルズ社製)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス〔2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5・5〕ウンデカン(商品名Sumilizer GA80、住友化学工業社製)等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト(商品名アデカスタブPEP8)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名Irgafos168、チバスペシャルティケミカルズ社製)、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンジフォスフォナイト(商品名Sandostab P−EPQ、クラリアントシャパン社製)、ビス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる
抗ブロッキング剤としては、無機系抗ブロッキング剤、有機系抗ブロッキング剤が挙げられる。無機系抗ブロッキング剤としては、例えば、シリカ、珪藻土、タルク、アルミノ珪酸塩、カオリン、炭酸カルシウム等が挙げられる。有機系抗ブロッキング剤としては、例えば、エポスタ-MA(株式会社日本触媒製)が挙げられる。
滑剤としては、例えば、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル等が挙げられる。顔料としては、例えば、白色顔料、カーボンブラック等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、炭素数8〜22の脂肪酸のグリセリンエステルやソルビタン酸エステル、炭素数8〜22の脂肪酸のアルキルジアルカノールアミド、ポリエチレングリコールエステル、アルキルジエタノールアミン等が挙げられる。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体を含むフィルムは、エチレン−α−オレフィン共重合体または該エチレン−α−オレフィン共重合体を含有する樹脂組成物を溶融し、Tダイから押出し、フラットな溶融膜を冷却ロールで冷却固化させるTダイキャスト成形法によって製造される。
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体を含むフィルムを成形する方法において、ダイギャップでの溶融温度は200℃以下であり、より好ましくは130℃〜200℃であり、さらに好ましくは130℃〜180℃であり、最も好ましくは130℃〜160℃である。130℃を下回る場合には、エチレン−α-オレフィン共重合体および該エチレン−α−オレフィン共重合体を含有する樹脂組成物の融解が起こりにくく、押出機の負荷が著しく増大することがある。
本発明によって得られたフィルムは、単独で用いても良く、また、基材にラミネートして複合フィルムとして利用することもできる。
基材としては、例えば、セロハン、紙、板紙、織物、アルミニウム箔、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、中密度直鎖状ポリエチレン等が挙げられる。
本発明のフィルムを基材にラミネートする方法としては、例えば、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、サンドラミネート法、ホットメルトラミネート法等が挙げられる。
次に本発明を実施例および比較冷に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
以下、本発明を実施例および比較例に基づき詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
(1)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
JIS K 6922−1に規定された方法に従って測定した。荷重2.16kg、温度190℃で行った。
(2)密度(単位:Kg/m3)
JIS K 7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って、測定した。
(3)分子量分布
分子量分布曲線は、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフを用い、以下の条件(1)〜(6)により求めた。なお、分子量分布(Mw/Mn)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によって得ることができる。
(1)装置:Water製Waters150C
(2)分離カラム:TOSOH TSKgelGMH−HT
(3)測定温度:145℃
(4)キャリア:オルトジクロロベンゼン
(5)流量:1.0mL/分
(6)注入量:500μL
(4)流動の活性化エネルギー(Ea、単位:kJ/mol)
粘弾性測定装置であるRheometrics社製Rheometrics Mechanical Spectrometer RMS−800を用いて、下記の条件(1)〜(4)で測定される各温度T(単位はKである。)における動的粘弾性データを測定した。得られたデータを温度−時間重ね合わせ原理に基づいてシフトさせて190℃での動的粘度(η;単位はPa・secである。)の剪断速度(ω:単位はrad/secである。)依存性を示すマスターカーブを作成し、シフトファクター(aT)を求めた。
(1)ジオメトリー:パラレルプレート、直径25mm、プレート間隔:1.5〜2mm
(2)ストレイン:5%
(3)剪断速度:0.1〜100rad/sec
(4)温度:190、170、150、130℃
また、サンプルには予めイルガノックス1076などの酸化防止剤を、適量(例えば1000ppm以上)配合し、測定はすべて窒素下で実施した。
次に、下記のシフトファクター(aT)のアレニウス型方程式において、アレニウス型プロットlog(aT)vs.(1/T)において、直線近似をした時に得られる相関係数r2が0.99以上であるときのEa値を流動の活性化エネルギーとして算出した。計算ソフトウェアには、Rheometrics社 Rhios V.4.4.4を使用した。
log(aT)=Ea/R(1/T−1/T0
(Rは気体定数であり、T0は基準温度(463K)である。)
(5)溶融粘度(単位:Pa・s)
上記の(4)で測定された動的粘弾性から、190℃条件で剪断速度が100rad/secにおける溶融粘度を求めた。
(6)メルトテンション(溶融張力、単位:cN)
東洋精機製作所製 メルトテンションテスターを用いて、190℃、降下速度5.5mm/分のピストンで、径2.09mmφ、長さ8mmのオリフィスから押出された溶融樹脂を、40rpm/分の巻取り上昇速度で巻き取ったときの張力値を測定した。この値が大きいほど溶融張力が大きいことを示す。
(7)極限粘度([η]、単位:dl/g)
極限粘度[η]は、熱劣化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)を5重量%含むテトラリン100mlにエチレン重合体樹脂100mgを135℃で溶解したサンプル溶液を調製し、ウベローデ型粘度計を用いて該サンプル溶液とブランク溶液の降下時間から算出される135℃での相対粘度(ηrel)を求めた後、下記式より算出した。ブランク溶液とは、熱劣化防止剤としてBHTを5重量%のみを含むテトラリンである。
[η]=23.3×log(ηrel)
(8)冷キシレン可溶部割合(CXS、単位:重量%)
米国のcode of federal regulations, Food and Drugs Administrationの§175.1520に規定された方法に従った。
(9)臭気官能評価
臭気の無い容量1リットルのガラス製広口ビンにサンプル5gを入れ、アルミ箔で蓋をし、50℃のオーブンで1時間加熱し、23℃の室内で約24時間空冷した後、8名のパネラーにより臭気の官能検査を行った。臭気の強度の評価は、各パネラーが以下に示す方法で点数をつけ、合計点数で評価した。
0点:無臭であった。
1点:弱い臭気を感じた。
2点:強い刺激臭を感じた。
実施例1
(1−1)助触媒担体(A)の調製
窒素置換した5リットルの四つ口フラスコに、テトラヒドロフラン1.5リットル、ジエチル亜鉛のヘキサン溶液(2.0mol/リットル)1.35リットル(2.7mol)を入れ、5℃に冷却した。これに、ペンタフルオロフェノール 0.2Kg(1.0mol)をテトラヒドロフラン 500mlに溶解させた溶液を60分間で滴下した。滴下終了後、5℃で60分攪拌し、28分間かけて45℃まで温度を上げ、60分間攪拌を行った。その後、氷浴で20℃まで温度を下げ、H2O 45g(2.5mol)を90分間で滴下した。その後、20℃で60分間攪拌し、24分間かけて45℃まで昇温して60分間攪拌を実施した。その後、20℃から50℃に昇温しながら、減圧にて溶媒留去を120分実施し、その後120℃にて8時間減圧乾燥実施した。その結果、固体生成物0.43Kgを得た。
窒素置換した5リットルの四つ口フラスコに、上記固体生成物 434.6g、テトラヒドロフラン3リットルを入れ、攪拌を行った。これに窒素流通下で300℃において加熱処理したシリカ(デビソン社製Sylopol948;平均粒子径=61μm;細孔容量=1.61ml/g;比表面積=296m2/g)0.33Kgを入れた。40℃に加熱し、2時間攪拌を行った後、静置し、固体成分を沈降させ、沈降した固体成分の層と上層のスラリー部分との界面が見えた時点で上層のスラリー部分を取り除いた。洗浄操作として、これに、テトラヒドロフラン3リットルを加え、攪拌を行った後、静置し、固体成分を沈降させ、同様に界面が見えた時点で上層のスラリー部分を取り除いた。以上の洗浄操作を計5回繰り返した。その後、減圧下、120℃で8時間乾燥を行うことにより、助触媒担体(A)0.52Kgを得た。
(1−2)予備重合
予め窒素置換した内容積210リットルの撹拌機付きオートクレーブにトリイソブチルアルミニウムを濃度2.5mmol/リットルで含んだブタン100リットルと、常温常圧の水素として30リットルを仕込んだ後、オートクレーブを40℃まで昇温した。さらにエチレンをオートクレーブ内のガス相圧力で0.25MPa分だけ仕込み、系内が安定した後、トリイソブチルアルミニウム 500mmol、ラセミ−エチレンビス(1−インデニル)ジルコニウムジフェノキシド68mmol、続いて、上記助触媒担体(A)0.45Kgを投入して重合を開始した。40℃から50℃へ昇温するとともに、エチレンと水素を連続で供給しながら、合計3.5時間の予備重合を実施した。重合終了後、エチレン、ブタン、水素ガスをパージした後に、溶媒をろ過して、生成した固体を室温にて真空乾燥し、上記助触媒担体(A)1g当り33.3gのポリエチレンが予備重合された触媒成分を得た。
(1−3)連続気相重合
上記で得た予備重合された触媒成分を用い、連続式流動床気相重合装置でエチレンとヘキセン−1の共重合を実施した。重合条件は、温度75℃、全圧2MPa、ガス線速度0.28m/s、エチレンに対する水素モル比は1.0%、エチレンに対するヘキセン−1モル比は0.8%で、重合中はガス組成を一定に維持するためにエチレン、ヘキセン−1、水素を連続的に供給した。さらに、上記予備重合済触媒成分と、トリイソブチルアルミニウムを一定の割合で連続的に供給し、流動床の総パウダー重量80kgを一定に維持するよう、平均重合時間4hr、23kg/hrの生産効率でエチレン−ヘキセン−1共重合体(PE−1)のパウダーを得た。
(1−4)エチレン−ヘキセン−1共重合体(PE−1)パウダーの造粒
上記で得たエチレン−1−ヘキセン共重合体(PE−1)パウダーに、カルシウムステアレート1000ppm、スミライザーGP(住友化学社製)1800ppmをブレンドしたものを、神戸製鋼所社製LCM100押出機を用いて、フィード速度350kg/hr、スクリュー回転数450rpm、ゲート開度4.2mm、サクション圧力0.2MPa、樹脂温度200〜230℃条件で造粒することによりエチレン−1−ヘキセン共重合体(PE−1)のペレットを得た。得られた共重合体(PE−1)のペレットの基本物性を表1に示した。
(1−5)フィルム加工
上記のエチレン−ヘキセン−1共重合体(PE−1)のペレットをスクリュー径50mmφの押出機にて溶融混練し、フィードブロック型のTダイ(ダイ幅 600mm、リップ開度1.0mm)に導入して押し出し、冷却ロール温度を75℃、加工温度(押出機およびダイ設定温度)を160℃、押出量を32Kg/hr、加工速度を21m/分で、厚み50μmのフィルムを得た。加工データとして、樹脂圧力、モーター負荷、ダイギャップ出口での溶融樹脂温度を計測した。溶融樹脂温度の計測は、熱電対温度計を用いた。加工データおよびフィルムの臭気評価結果を表2に示した。
実施例2
(2−1)予備重合
実施例1と同様にして、助触媒担体(A)1g当り16gのエチレン−1−ブテン共重合体が予備重合された予備重合触媒成分を得た。
(2−3)連続気相重合
実施例1と同様にして、重合時のエチレンに対する水素モル比を1.4%程度で調整し、エチレンに対する1−ヘキセンモル比は0.9%程度で調整し、連続式流動床気相重合装置でエチレンと1−ヘキセンの共重合を実施することによって、エチレン−1−ヘキセン共重合体(PE−2)のパウダーを得た。
(2−4)エチレン−ヘキセン−1共重合体(PE−2)パウダーの造粒
上記で得られたエチレン−ヘキセン−1共重合体(PE−2)パウダーに対して添加剤を一切添加せずに、35mmφ同方向二軸混練機(TEM−35B:東芝機械(株)製、L/D=32.8、バレル径=37mm)を用いて、窒素雰囲気下、150℃、スクリュー回転数150rpmの条件で造粒を実施して、エチレン−ヘキセン−1共重合体(PE−2)のペレットを得た。得られた共重合体(PE−2)のペレットの基本物性を表1に示した。
(2−5)フィルム加工
エチレン−ヘキセン−1共重合体(PE−2)を用いた以外は、実施例1の(1−5)と同様の方法で実施した。加工データおよびフィルムの臭気評価結果を表1に示した。
実施例3
連続気相重合においてコモノマーとして1−ブテンを用いた以外は、実施例1の(1−1)、(1−2)、(1−3)、(1−4)と同様の方法で重合を行いエチレン−ブテン−1共重合体(PE−3)のペレットを得た。得られた共重合体(PE−3)のペレットの基本物性を表1に示した。
得られたエチレン−ブテン−1共重合体(PE−3)のペレットを加工温度を160℃に設定した以外は実施例1の(1−5)と同様の方法で実施した。加工データおよびフィルムの臭気評価結果を表2に示した。
比較例1
(1−5)の加工温度を230℃に設定した以外は、実施例1と同様の方法で行った。加工データおよびフィルムの臭気評価結果を表3に示した。
比較例2
公知のメタロセン触媒を用いて重合して得られた直鎖状エチレン−ヘキセン−1共重合体であるエボリューSP2540(日本エボリュー(株)製造、三井住友ポリオレフィン(株)販売)(PE−4)を実施例1の(1−5)と同様にTダイキャスト成形を実施し、フィルムを得ることを試みた結果、樹脂圧力が押出機の限界能力の31MPaを超えたため、成形することができなかった。エボリューSP2540(PE−4)の基本物性を表1に示した。
比較例3
公知のメタロセン触媒を用いて重合して得られた直鎖状エチレン−ヘキセン−1共重合体であるエボリューSP2540(日本エボリュー(株)製造、三井住友ポリオレフィン(株)販売)(PE−4)を加工温度を230℃に設定した以外は実施例1の(1−5)と同様の方法で実施した。加工データおよびフィルムの臭気評価結果を表3に示した。
参考例1
公知の分岐状エチレン重合体であるスミカセンF200−0(住友化学工業(株)製造、三井住友ポリオレフィン(株)販売)(PE−5)を加工温度を180℃に設定した以外は実施例1の(1−5)と同様の方法で実施し、フィルムを得ることを試みた結果、ドローダウン性が不足しているため、成形時に膜切れが生じ、成形することができなかった。スミカセンF200−0(PE−5)の基本物性を表1に示した。
参考例2
公知の分岐状エチレン重合体であるスミカセンF200−0(住友化学工業(株)製造、三井住友ポリオレフィン(株)販売)(PE−5)を加工温度を230℃に設定した以外は実施例1の(1−5)と同様の方法で実施した。加工データおよびフィルムの臭気評価結果を表3に示した。
Figure 2005103755
(式1):1550×MFR-0.25−420
(式2-左辺):2×MFR-0.59
(式2-右辺):40×MFR-0.59
(式3-左辺):1.02×MFR-0.094
(式3-右辺):1.50×MFR-0.156
(式4-左辺):10(30.3-0.0327×d+0.354×logMFR)
Figure 2005103755
Figure 2005103755

Claims (5)

  1. エチレンから誘導される構成単位と炭素数3〜20のα−オレフィンから誘導される構成単位を有し、流動の活性化エネルギーが50kJ/mol以上であるエチレン−α−オレフィン共重合体を含むTダイキャストフィルムの製造方法であって、ダイギャップにおける溶融温度が200℃以下である条件で、前記エチレン−α−オレフィン共重合体を成形するTダイキャストフィルムの製造方法。
  2. メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と190℃の剪断速度100rad/secにおける溶融粘度(η;単位はPa・secである。)とが下記式(1)の関係を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体を成形する請求項1に記載のTダイキャストフィルムの製造方法。
    η<1550×MFR-0.25−420 式(1)
  3. 分子量分布が7〜25であるエチレン−α−オレフィン共重合体を成形する請求項1または2に記載のTダイキャストフィルムの製造方法。
  4. メルトフローレート(MFR;単位はg/10分である。)と190℃における溶融張力(MT;単位はcNである。)とが下記式(2)の関係を満たし、前記MFRと極限粘度([η];単位はdl/gである。)とが下記式(3)の関係を満たすエチレン−α−オレフィン共重合体を成形する請求項1〜3のいずれかに記載のTダイキャストフィルムの製造方法。
    2×MFR-0.59<MT<40×MFR-0.59 式(2)
    1.02×MFR-0.094<[η]<1.50×MFR-0.156 式(3)
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のエチレン−α−オレフィン共重合体と、当該共重合体100重量部に対して、酸化防止剤を0.02重量部以下含有する共重合体樹脂組成物を成形する請求項1〜4のいずれかに記載のTダイキャストフィルムの製造方法。
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