JP2005103436A - 含水土壌の浄化方法および含水土壌の浄化システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 有害物質を含有する含水土壌を適切に処理して安全な処理物質を得る。
【解決手段】 先ず、採取した含水土壌を液体成分と固体成分とに分離する。液体成分は吸着回収槽を通過させて有害物質を吸着剤に吸着させて浄化する。その後、有害物質を吸着した吸着剤と固体成分とを混合し、これに脱塩素剤を添加して、加熱処理施設で間接加熱処理を行うことにより浄化する。
【選択図】 図1
【解決手段】 先ず、採取した含水土壌を液体成分と固体成分とに分離する。液体成分は吸着回収槽を通過させて有害物質を吸着剤に吸着させて浄化する。その後、有害物質を吸着した吸着剤と固体成分とを混合し、これに脱塩素剤を添加して、加熱処理施設で間接加熱処理を行うことにより浄化する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ダイオキシン類その他の有害有機塩素化合物により汚染された含水土壌を浄化する技術に係り、特に、含水土壌を分離して得た固体成分と液体成分との両方を浄化する技術に関する。
近年、工場跡地もしくは解体焼却場跡の土壌、または海洋、港湾、湖沼、もしくは河川の底土壌の有害有機塩素化合物による汚染が社会問題となっている。このため、汚染された土壌を浄化して再利用に供する技術が数多く開示されている。これらの技術について例示して下記に説明する。
(1)ダイオキシン類、PCBまたは油分等に汚染された土壌に有機溶媒を添加して、前記有害物質を有機溶媒に抽出し、その後、固液分離により土壌と有機溶媒とを分離することで土壌の浄化を行う技術(例えば、特許文献1または2参照。)。
(2)工場跡地または海洋、湖沼、もしくは河川の底土壌の浄化システムであって、土壌を含有する汚水に試薬を添加して、土壌中の有害物質(ダイオキシン類、環境ホルモン等)を汚水中に放出させ、この有害物質をアクリル系樹脂からなる吸着剤に吸着させる技術(例えば、特許文献3参照。)。
(3)ダイオキシン類などの有害物質を含むスラリー化した汚染土壌から、活性炭または銅フタロシアニンなどの多環芳香族物質を吸着剤として含有する吸着子により有害物質を吸着除去する技術(例えば、特許文献4参照。)。
(4)ダイオキシン類などの有害物質を含む海洋、港湾、河川または湖沼の底のヘドロ(含水軟弱土)を塩酸と接触させて有害物質を分解する技術(例えば、特許文献5参照。)。
また、ダイオキシン類またはPCBなどの有害有機塩素化合物により汚染された水を浄化する技術も数多く開示されており、これらの技術について例示して下記に説明する。
(5)ダイオキシン類その他のハロゲン化有機化合物を含有する汚水に対して紫外線照射とオゾン処理と行うことにより有害物質を分解する技術(例えば、特許文献6参照。)。
(6)ダイオキシン類を含有する汚水(ごみ埋め立て理侵出水、産業廃水など)をオゾン、過酸化水素および紫外線で分解する技術(例えば、特許文献7参照。)。
(7)生物処理設備または凝集処理設備で発生したダイオキシン類を含有する汚泥にダイオキシン類溶離液を添加して、ダイオキシン類を溶離液中に移行させてから汚泥を脱水して、回収した水をオゾンと紫外線とにより処理する技術(例えば、特許文献8参照。)
(8)ダイオキシン類を含有する水をケラチンを主成分とする吸着手段により処理して水中よりダイオキシン類を除去する技術(例えば、特許文献9参照。)。
(8)ダイオキシン類を含有する水をケラチンを主成分とする吸着手段により処理して水中よりダイオキシン類を除去する技術(例えば、特許文献9参照。)。
(9)微細な細孔を有する活性炭または活性コークスを充填した固定床吸着層にダイオキシン類を含有する水を接触させて吸着除去する技術(例えば、特許文献10参照。)。
(10)多孔性構造の架橋ポリエスチレン吸着剤にダイオキシン類を含有する水を接触させて吸着除去し、アルコールなどの極性溶媒で吸着剤からダイオキシン類を脱離させてから回収する技術(例えば、特許文献11参照。)。
(11)繊維状活性炭にダイオキシン類を含有する水を接触させて吸着除去し、アルコールなどの極性溶媒で吸着剤からダイオキシン類を脱離させてから触媒を用いて分解する技術(例えば、特許文献12参照。)。
(12)酸性白土または活性白土を含む吸着剤にダイオキシン類を含有する水を接触させて吸着除去し、吸着させたダイオキシン類を紫外線を用いて分解する技術(例えば、特許文献13参照。)。
特開2003−145130号公報
特開2001−334251号公報
特開2002−282833号公報
特開2002−233859号公報
特開2001−25756号公報
特開2001−54795号公報
特開平11−33570号公報
特開平10−296299号公報
特開2003−211158号公報
特開2002−219454号公報
特開2001−79539号公報
特開2000−301142号公報
特開平10−128315号公報
前記特許文献1〜5では、ダイオキシン類などの有害物質を含有する含水土壌に対して吸着剤、または吸着剤とともに溶媒を作用させて有害物質を除去または分解する技術が開示されている。しかし、土壌に吸着するなどして有害物質が残存する可能性があり、処理後の土壌が安全とは言えない。
また、処理対象である含水土壌は多量の水分を含んでいることから、固液分離手段により固体成分と液体成分とに分離してから浄化処理を行うことがある。一方、有害物質はSS(懸濁物質)分内に取り込まれていることが多く、固液分離の際にSS分は固体側に残存するものと、液体側に移行するものとがあり、特に微小なものは液体成分に移行すること等から、分離後の液体成分は多くの有害物質を含有することになる。前記技術では液体成分に関して、吸着剤による浄化処理等が開示されているが、有害物質を吸着する吸着剤の処理については開示がない等の理由から液体成分の浄化処理が十分とは言えない。
そこで、前記特許文献6〜13に開示のように、ダイオキシン類等の有害物質を含有する水に対して吸着剤による処理または紫外線等による処理を行い、有害物質を除去または分解する技術を適用することが考えられる。
しかし、前記特許文献6〜8に開示の紫外線照射等による処理は、除去効率および処理費用の面で有害物質を適切に処理する技術とは言えない。
また、前記特許文献9〜13に開示の吸着剤による処理は、液体成分に吸着剤等が残存する可能性が有り、処理後の液体成分が安全であるとは言えない。
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、その目的は、含水土壌を固液分離して、液体成分を吸着剤により浄化処理し、有害物質を吸着した吸着剤と固体成分とを添加混合した脱塩素剤とともに加熱処理することで前記問題を解決して、安全な浄化処理物質を得ることができる含水土壌の浄化方法および含水土壌の浄化システムを提供することにある。
出願人はダイオキシン類等の有害物質で汚染された固体成分(灰類、土壌など)を処理する技術を特開2002−28609号公報および特開2002−205049号公報に開示している。これらの技術は、被処理物を加熱して、被処理物が含有する有害物質を熱分解し、熱分解により生じる塩素成分を添加混合している脱塩素剤(例えば、アルカリ金属化合物もしくはアルカリ土類金属化合物またはこれらの混合物)と接触反応させて、塩化物を生成させることで有害物質を除去するものである。これらの技術によれば、有害物質を含有する固体成分を浄化処理して安全な浄化物を得ることができる。
そこで、含水土壌を液体成分と固体成分とに分離して、液体成分中の有害物質を吸着剤により除去し、固体成分と有害物質を含む吸着剤とを脱塩素剤を混合添加して間接加熱分解による処理を行うことで、前記課題の解決を図った。
前記課題を解決するための、請求項1の含水土壌の浄化方法は、有害物質を含有する含水土壌を液体成分と固体成分とに分離し、前記液体成分を吸着剤に接触させて該液体成分中の有害物質を吸着除去し、有害物質を吸着した吸着剤と前記固体成分とを添加混合した脱塩素剤とともに間接加熱処理して浄化土壌を得ることを特徴とする。
また、請求項2の含水土壌の浄化方法は、含水土壌を固液分離装置で処理して液体成分と固体成分とに分離する分離工程と、前記液体成分を吸着剤に接触させて該液体成分中の有害物質を該吸着剤に吸着させる吸着工程と、有害物質を吸着した吸着剤と前記固体成分とを添加混合した脱塩素剤とともに間接加熱処理して浄化土壌を得る間接加熱工程とからなることを特徴とする。
また、請求項3の含水土壌の浄化方法は、請求項2において前記含水土壌は、工場跡地もしくは解体焼却場跡の土壌、または海洋、港湾、湖沼、もしくは河川の底土壌であることを特徴とする。
また、請求項4の含水土壌の浄化方法は、請求項2または3において、前記吸着工程は、流路に吸着剤カートリッジを備える吸着回収槽に前記分離水を通過させて行うことを特徴とする。
また、請求項5の含水土壌の浄化方法は、請求項4において、前記吸着剤カートリッジは前記吸着回収槽に対して着脱自在な枠体であって、この枠体内部に吸着剤を充填した透水性の袋状部材を備えることを特徴とする。
また、請求項6の含水土壌の浄化方法は、請求項4において、前記吸着剤カートリッジは前記吸着回収槽に対して着脱自在な枠体であって、この枠体内部に吸着剤を具備することを特徴とする。
また、請求項7の含水土壌の浄化方法は、請求項2〜6において、前記脱塩素剤はアルカリ物質を含んでなることを特徴とする。
また、請求項8の含水土壌の浄化方法は、請求項2〜7において、前記間接加熱処理は、被処理物を投入する投入手段と、被処理物の攪拌と搬送とを行いながら間接加熱により乾燥および熱分解浄化を行う回転炉と、前記間接加熱により発生したガスを燃焼させるガス燃焼炉と、前記間接加熱により得た浄化土壌を回収する回収手段とを備える施設により行うことを特徴とする。
また、請求項9の含水土壌の浄化システムは、固液分離装置と吸着回収槽と間接加熱施設とからなり、有害物質を含有する含水土壌を液体成分と固体成分とに分離し、前記液体成分を吸着剤に接触させて該液体成分中の有害物質を吸着除去し、有害物質を吸着した吸着剤と前記固体成分とを添加混合した脱塩素剤とともに間接加熱処理して浄化土壌を得る含水土壌の浄化システムであって、前記固液分離装置は前記含水土壌を液体成分と固体成分とに分離し、前記吸着回収槽は流路に吸着剤カートリッジを備えており、前記固液分離装置により得た液体成分を槽の内部に導入して該液体成分を前記吸着剤カートリッジと接触させることで有害物質を吸着除去し、前記間接加熱施設は前記有害物質を吸着した吸着剤と前記固液分離装置により得た固体成分と添加混合した脱塩素剤との混合物を投入する投入手段と、投入された混合物の攪拌と搬送とを行いながら間接加熱により乾燥および熱分解浄化を行う回転炉と、前記間接加熱により発生したガスを燃焼させるガス燃焼炉と、前記間接加熱により得た浄化土壌を回収する回収手段とを備えることを特徴とする。
また、請求項10の含水土壌の浄化システムは、請求項9において前記回転炉は単一の回転炉または乾燥を行う回転炉と熱分解を行う回転炉との二つの回転炉からなることを特徴とする。
請求項1において、有害物質としては、ダイオキシン類その他の有害有機塩素化合物または有害有機化合物が考えられるが、間接加熱処理により無害化された浄化土壌を得ることができればよい。また、脱塩素剤としては、有害物質が熱分解して塩素成分が発生した場合に、塩素成分と接触反応して安定な塩化物を生成するものであればよい。請求項1によれば、液体成分と固体成分とのそれぞれについて最適な浄化処理を行うことができる。また、有害物質を含有する吸着剤についても固体成分と同時に処理することができ、処理工程、コストの増加が生じない。また、処理汚染された土壌を浄化土壌として再利用できる。
請求項2において、有害物質としては、ダイオキシン類その他の有害有機塩素化合物または有害有機化合物が考えられるが、間接加熱処理により無害化された浄化土壌を得ることができればよい。また、脱塩素剤としては、有害物質が熱分解して塩素成分が発生した場合に、塩素成分と接触反応して安定な塩化物を生成するものであればよい。請求項2によれば、液体成分と固体成分とのそれぞれについて最適な浄化処理を行うことができる。また、有害物質を含有する吸着剤についても固体成分と同時に処理することができ、処理工程、コストの増加が生じない。また、処理汚染された土壌を浄化土壌として再利用できる。
請求項3において、採取した含水土壌に水分を添加して含水比の調整を行ってもよい。また、含水土壌ではない土壌、飛灰等に水分を添加して含水土壌として処理することが可能である。請求項3によれば、特に汚染が問題となっている土壌を浄化して浄化土壌として再利用できる。
請求項4によれば、吸着回収槽に分離水を通過させるときに吸着剤カートリッジ中の吸着剤に分離水中の有害物質が吸着される。
請求項5によれば、吸着剤カートリッジが吸着回収槽に対して着脱自在であるので吸着剤カートリッジ中の吸着剤が吸着飽和になった場合にも容易に交換することができる。また、吸着剤が袋状部材の中に充填されているので、浄化処理後の分離水中に吸着剤が残存しない。
請求項6によれば、吸着剤カートリッジが吸着回収槽に対して着脱自在であるので吸着剤カートリッジ中の吸着剤が吸着飽和になった場合にも容易に交換することができる。また、吸着剤が吸着剤カートリッジから流れ出ないようにすることで、浄化処理後の分離水中に吸着剤が残存しない。
請求項7おいて、アルカリ物質としてはアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などがある。アルカリ金属化合物には、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムまたはフランシウムの、酸化物、水酸化物、炭酸水素塩、炭酸塩、ケイ酸塩、アルミン酸塩、硝酸塩または硫酸塩等が挙げられる。具体的に、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、天然ソーダ、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムカリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。尚、炭酸水素ナトリウムは、酸性炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸ソーダと別称される。炭酸ナトリウムは、炭酸ソーダ、ソーダ、ソーダ灰、洗濯ソーダまたは結晶ソーダと別称される。セスキ炭酸ナトリウムは、二炭酸一水素ナトリウム、三炭酸二水素ナトリウムまたはナトリウムセスキカーボネートと別称される。天然ソーダは、トロナと別称される。アルカリ土類金属化合物には、カルシウム、ストロンチウム、バリウムまたはラジウム等の、酸化物、水酸化物、炭酸水素塩または炭酸塩等が挙げられる。具体的に、例えば、石灰(CaO)、消石灰(Ca(OH)2)、炭酸カルシウム(CaCO3)またはドロマイド(CaCO3・MgCO3)等が挙げられる。
請求項8において、回転炉での加熱により有害物質を熱分解し、熱分解で塩素成分が発生した場合には、脱塩素剤と接触反応して安定な塩化物を生成する。
請求項9において、有害物質としては、ダイオキシン類その他の有害有機塩素化合物または有害有機化合物が考えられるが、間接加熱処理により無害化された浄化土壌を得ることができればよい。また、脱塩素剤としては、有害物質が熱分解して塩素成分が発生した場合に、塩素成分と接触反応して安定な浄化土壌を生成するものであればよい。請求項9によれば、液体成分と固体成分とのそれぞれについて最適な浄化処理を行うことができる。また、有害物質を含有する吸着剤についても固体成分と同時に処理することができ、処理工程、コストの増加が生じない。また、処理汚染された土壌を浄化土壌として再利用できる。
請求項10において、回転炉での加熱により有害物質を熱分解し、熱分解で塩素成分が発生した場合には、脱塩素剤と接触反応して安定な塩化物を生成する。
本発明によれば、ダイオキシン類に汚染された含水土壌の液体成分と個体成分との両方を安全、確実、且つ低いコストで浄化処理することができ、浄化土壌は土木用資材 (例えば、再び土壌として用いるなど)等として再利用することができる。
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の処理手順を示すフローチャートである。
図1において、先ず、処理対象である含水土壌を採取する(S1)。採取場所としては、工場跡地もしくは解体焼却場跡、または海洋、港湾、湖沼、もしくは河川の底が考えられるがこれらに限定されるものではない。なお、前記含水土壌または含有する水分量が少ない土壌(前記場所で採取したもの、飛灰等)に水を添加して本発明の処理に供してもよい。また、含水土壌の含水比は例えば50%〜1000%等の広い範囲で本発明を適用できる。
採取した含水土壌はスクリーンで処理して夾雑物、小石等の後の処理の妨げになるものを除去する(S2)。
スクリーン処理後、粉砕機により含水土壌の粉砕処理を行う(S3)。これは、後段の固液分離を行う行程で固液分離装置を損傷させないために行うものである。このため、土壌を数mmレベル以下に粉砕するのが好ましい。
粉砕処理を行った含水土壌を攪拌してスラリー化する(S4)。ここで含水土壌中のSS分が微小である場合には、凝集剤を添加してSS分を凝集させて大きくしてもよい。なお、必要に応じてpH調整剤を添加してpH調整を行ってもよい。凝集剤としては、アニオン系またはノニオン系凝集剤と、カチオン系凝集剤との組み合わせ、アニオン系またはノニオン系凝集剤と、無機塩類との組み合わせ、アニオン系またはノニオン系凝集剤と、カチオン系凝集剤と、無機塩類との組み合わせのいずれかによるのがよい。ノニオン系またはアニオン系凝集剤としては、天然系のものとして、グアーガム、ローストグアガム、ローカストビンガムなどの種子多糖類、アラビノガラクタンガム、アラビヤガムなどの樹脂多糖類、アルギン酸、寒天などの海藻多糖類、ペクチン、サイリュームガムなどの果実多糖類、澱粉、コンニャクなどの根茎多糖類、セルロースなどの繊維多糖類、微生物系のザンサンガム、ザンコート、ザンフロー、カードラン、サクシノグルカンなど、動物系のゼラチン、カゼイン、アルブミン、シュラックなどがある。また、澱粉、グアーガム、ローストグアガム、セルロース、アルギン酸などを酸化、メチル化、カルボキシメチル化、ヒドロキシエチル化、リン酸化、カチオン化などの処理をすることによって得られる澱粉誘導体、グアーガム誘導体、ローストグアガム誘導体、セルロース誘導体、アルギン酸誘導体などがある。セルロース誘導体としては、たとえば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどがある。アルギン酸誘導体としては、アルギン酸塩類、アルギン酸プロピレングリコールエステルなどがある。アニオン系またはノニオン系凝集剤としては、合成系のものとして、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸重合物、ポリアクリル酸エステル、アクリルアミドとアクリル酸塩の重合物、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリマレイン酸などの重合物などがある。カチオン系凝集剤としては、天然系のものとしてキトサンなどがある。カチオン系凝集剤としては、合成系のものとして、ポリアクリル酸エステル系、ポリメタクリル酸エステル系、ポリアミン系、ジシアンジアミド系、ポリアクリルアミド系、ビニルホルムアルデヒド系のポリマーなどがある。合成系のアニオン、ノニオン系凝集剤の分子量は、1000万〜2500万、望ましくは、1200万〜1800万であり、合成系のカチオン系凝集剤の分子量は、1万〜900万の範囲である。ポリマー凝集剤は、逆相エマルジョンタイプの液体をそのまま原液で加えても、粉末または液体を水に溶解して加えても、どちらでもよい。無機塩類としては、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸バンド、硫酸第一鉄、塩化カルシウム、アルミン酸ソーダ、ホウ酸ソーダ、ケイ酸ソーダなど、二価以上の金属の水溶性塩類を、単独もしくは数種混合して用いることができる。
このようにして得たスラリーを固液分離装置により、液体成分である分離水と固体成分である脱水ケーキとに分離する(S5)。なお、固液分離装置にはベルトプレス、フィルタープレス、ロールプレス、スクリープレスまたは遠心脱水等を用いることができ、処理するスラリーの性状または得たい脱水ケーキの性状により適宜選択することができる。
S5で得た液体成分である分離水はSS分中に吸着された状態でダイオキシン類等の有害物質を含有している。そこでこの有害物質を吸着除去するために、分離水を図2に示す吸着回収槽を通過させる(S6)。
ここで吸着回収槽について説明する。図2に示すように、吸着回収槽10は分離水導入口11と、流路形成用堰12と、吸着剤カートリッジ13と、排出口14とを備えている。
流路形成用堰12は分離水の流路を形成するための部材で、流路形成用堰12の数を増やすことで分離水の流路を長くすることができ、分離水と吸着剤カートッリッジ13との接触効率を向上できる。
吸着剤カートリッジ13は分離水の流路に着脱自在に設置される枠体(例えば、透水性の箱状部材、格子状部材、網状部材など)で、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースエステル、その他の合成樹脂、または天然樹脂等の高分子、その他ステンレス、FRP等の無機材料により構成することができる。この枠体の内部には袋状部材、板状部材、球状部材棒状部材、円筒状部材等を保持することができる。このような構成では、吸着剤カートリッジ13内部を分離水が通過しても保持した部材が流れ出ないようにすることが可能である。
袋状部材はポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースエステル、その他の合成樹脂、または天然樹脂等からなる透水性部材で、袋内にアクリル系の樹脂、微細孔を有する活性炭、微細孔を有する活性コークス、繊維状活性炭、多環芳香族吸収剤、ケラチンまたは多孔性構造の架橋ポリスチレン等の吸着剤を充填する。
その他の板状部材、球状部材、棒状部材、円筒状部材等はアクリル系の樹脂、微細孔を有する活性炭、微細孔を有する活性コークス、繊維状活性炭、多環芳香族吸収剤、ケラチンまたは多孔性構造の架橋ポリスチレン等の吸着剤で構成する。
板状部材は流路の流れ方向に対して平面を略平行に設置することで、水流の抵抗を低減することができる。また、板状部材の複数枚を略平行に並べて設置してもよい。
なお、板状部材、球状部材、棒状部材、円筒状部材等の表面を改質して多孔性の表面にすることで部材の表面積を増大させて、吸着性を向上させることも可能である。
この吸着回収槽10に分離水を導入すると、吸着剤カートリッジ13を通過する際に有害物質を含有するSS分が吸着剤に接触し吸着除去される。SS分とともに有害物質が除去された分離水は浄化水として排出口14から排出される。また、必要に応じてpH調整などの処理を行ってから排出を行うこともできる。なお、有害物質を吸着した吸着剤カートリッジ13は抜き取り除去し、有害物質を吸着している吸着剤を後段のS6に供する。この際、流路上流の吸着剤カートリッジ13は流路下流の吸着剤カートリッジ13より多量の有害物質を吸着しているので、下流の吸着剤カートリッジ13を上流に装着し、下流には吸着剤を詰め替えた吸着剤カートリッジ13または新たな吸着剤カートリッジ13を装着する。
S6で分離水処理後に回収した吸着剤とS5でスラリーを分離して得た有害物質を含有する脱水ケーキとを混合し、さらに脱塩素剤(例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などのアルカリ物質)を添加する。添加する脱塩素剤の量は吸着剤(例えば、吸着回収槽から取り外した後に脱水処理を行ったもの、または吸着回収槽から取り外してそのままの状態のもの)と脱水ケーキとに対して3〜10wt%が好ましい。このようにして得た混合物(脱水ケーキ、吸着剤および脱塩素剤)を解砕機により破砕処理して加工原料を得る(S7)。これは、脱水ケーキを細分化するための処理で、後段の間接加熱による浄化処理の際に効率よく有害物質を無害化するために行う。
このようにして得た加工原料を図3に示す熱分解処理施設にて間接加熱により浄化処理を行い、無害化した浄化土壌を得る(S8)。
ここで熱分解処理施設について詳しく説明する。図3において、乾燥炉2は、加工原料を乾燥処理するための手段である。このとき、加工原料は、計量されながら定量的に供給される。
乾燥炉2は、回転キルン方式を採用し、回転自在の回転炉21と、回転炉21の外周にガスダクトを形成し、熱風ガスを導入して回転炉21を外部から加熱する外部加熱手段としての加熱ジャケット22と、回転炉21を両端側で回転自在に支承する支持ローラと、回転炉21を回転駆動する回転駆動源と、を具備する。尚、熱風ガスは、後述の熱風炉24から導入している。
回転炉21は、その一端側に加工原料を搬入する供給口を、また他端側に排出口を設け、円筒体内部には搬送物を攪拌搬送するための送り羽根を複数枚具備する。そして、供給ダクト20から供給された加工原料を、供給口側から回転炉21に導入し、回転炉21の回転によって、加工原料を撹拌しながらの排出口側への移送を可能とさせている。また、供給ダクト20には、加工原料を投入するホッパー設備201が設けられる。尚、脱塩素剤は、加工原料を乾燥処理した後に、連絡ダクト30において、添加してもよい((B)ライン)。
熱分解炉4は、乾燥炉2にて乾燥処理した加工原料を熱分解処理し、ダイオキシン類などの有害物質を除去浄化処理するための手段で、回転キルン方式を採用し、乾燥炉2と同様の構成をなし、回転炉41と加熱ジャケット42とを備える。なお、乾燥炉2と熱分解炉41とを単一の炉として構成することも可能である。
乾燥炉2と熱分解炉4は、図示されたように、熱分解炉4の供給口が乾燥炉2の排出口と連絡するように配置される。このとき、乾燥炉2の排出口と熱分解炉4の供給口には、これら排出口と供給口を覆って連通する連絡ダクト30が設けられる。連絡ダクト30には、乾燥炉2で乾燥処理した加工原料を解砕する解砕手段3と、解砕処理した加工原料を熱分解炉4に搬送するための搬送手段31が具備される。
図3において、熱風炉24は、熱風ガスを供給するための手段で、熱風ガスを発生させるための燃焼バーナー240を備えている。発生した熱風ガスは、先ず、熱分解炉4の加熱ジャケット42に供され、回転炉41を加熱した後に、乾燥炉2の加熱ジャケット22内に供給され、回転炉21を加熱する。加熱ジャケット22から排出された熱風ガスは排気するが、一部のガスはガス燃焼炉6におけるエゼクタ駆動ガスとして利用している。
また、熱風ガスは、温度調整用の空気が注入され、ガス温度が適宜調整される。例えば、乾燥炉2においては、回転炉21を350〜450℃で加熱するように調節される。尚、熱分解炉4においては、回転炉41を450〜850℃で加熱している。このようにして、乾燥炉1内に導入された加工原料は、間接加熱によって乾燥処理される。また、熱分解炉4内に導入された加工原料は、間接加熱によって熱分解処理される。
粉砕移送手段5は、熱分解炉4で得た浄化土壌を粉砕し回収するための手段である。粉砕移送手段5は、搬送物(浄化土壌)を搬送する胴体50内に、回転速度可変な駆動源Mを備えたスクリューを具備している。胴体50は水冷ジャケット51を付帯し、浄化土壌は冷却処理されながら粉砕移送される。
ガス燃焼炉6は、乾燥炉2で発生した水蒸気及び熱分解炉4で発生した熱分解ガスを、一定の雰囲気及び滞留時間のもとで(例えば、約850℃の雰囲気で、2秒以上の滞留時間)燃焼し、無害化処理する。水蒸気及び熱分解ガスは、経路301,302を介してエゼクタブロアによって導入される。このとき、いずれの被処理ガスにも、系外から空気が適宜導入される。
ガス燃焼炉6は、導入したガスを燃焼するガス燃焼室を備える。ガス燃焼室においては、水蒸気及び熱分解ガスを、それぞれエゼクタ61a,61bを介して導入し、燃焼バーナー60によって混合燃焼する。このとき、熱分解ガスが充分発生している場合には、燃焼バーナー60による燃焼は、燃料の供給を絞ることにより適宜制限される。また、ガス燃焼炉6にて燃焼処理したガスは、空気を冷却媒体とする気体−気体熱交換方式の熱交換器62によって冷却処理し、さらにバグフィルタ63に供した後、ブロア64によって煙突65から大気に開放している。尚、熱交換器62にて、加熱された空気は、熱風炉24での熱風ガスの生成に供される。
10…吸着回収槽、11…分離水導入口、12…流路形成用堰、13…吸着剤カートリッジ、14…排出口
2…乾燥炉
3…解砕手段
4…熱分解炉
5…粉砕移送手段
6…ガス燃焼炉
2…乾燥炉
3…解砕手段
4…熱分解炉
5…粉砕移送手段
6…ガス燃焼炉
Claims (10)
- 有害物質を含有する含水土壌を液体成分と固体成分とに分離し、前記液体成分を吸着剤に接触させて該液体成分中の有害物質を吸着除去し、有害物質を吸着した吸着剤と前記固体成分とを添加混合した脱塩素剤とともに間接加熱処理して浄化土壌を得ることを特徴とする含水土壌の浄化方法。
- 含水土壌を固液分離装置で処理して液体成分と固体成分とに分離する分離工程と、
前記液体成分を吸着剤に接触させて該液体成分中の有害物質を該吸着剤に吸着させる吸着工程と、
有害物質を吸着した吸着剤と前記固体成分とを添加混合した脱塩素剤とともに間接加熱処理して浄化土壌を得る間接加熱工程とからなることを特徴とする含水土壌の浄化方法。 - 前記含水土壌は、工場跡地もしくは解体焼却場跡の土壌、または海洋、港湾、湖沼、もしくは河川の底土壌であることを特徴とする請求項2の含水土壌の浄化方法。
- 前記吸着工程は、流路に吸着剤カートリッジを備える吸着回収槽に前記分離水を通過させて行うことを特徴とする請求項2または3の含水土壌の浄化方法。
- 前記吸着剤カートリッジは前記吸着回収槽に対して着脱自在な枠体であって、この枠体内部に吸着剤を充填した透水性の袋状部材を備えることを特徴とする請求項4の含水土壌の浄化方法。
- 前記吸着剤カートリッジは前記吸着回収槽に対して着脱自在な枠体であって、この枠体内部に吸着剤を具備することを特徴とする請求項4の含水土壌の浄化方法。
- 前記脱塩素剤はアルカリ物質を含んでなることを特徴とする請求項2〜6の含水土壌の浄化方法。
- 前記間接加熱処理は、被処理物を投入する投入手段と、
被処理物の攪拌と搬送とを行いながら間接加熱により乾燥および熱分解浄化を行う回転炉と、
前記間接加熱により発生したガスを燃焼させるガス燃焼炉と、
前記間接加熱により得た浄化土壌を回収する回収手段とを備える施設により行うことを特徴とする請求項2〜7の含水土壌の浄化方法。 - 固液分離装置と吸着回収槽と間接加熱施設とからなり、有害物質を含有する含水土壌を液体成分と固体成分とに分離し、前記液体成分を吸着剤に接触させて該液体成分中の有害物質を吸着除去し、有害物質を吸着した吸着剤と前記固体成分とを添加混合した脱塩素剤とともに間接加熱処理して浄化土壌を得る含水土壌の浄化システムであって、
前記固液分離装置は前記含水土壌を液体成分と固体成分とに分離し、
前記吸着回収槽は流路に吸着剤カートリッジを備えており、前記固液分離装置により得た液体成分を槽の内部に導入して該液体成分を前記吸着剤カートリッジと接触させることで有害物質を吸着除去し、
前記間接加熱施設は前記有害物質を吸着した吸着剤と前記固液分離装置により得た固体成分と添加混合した脱塩素剤との混合物を投入する投入手段と、投入された混合物の攪拌と搬送とを行いながら間接加熱により乾燥および熱分解浄化を行う回転炉と、前記間接加熱により発生したガスを燃焼させるガス燃焼炉と、前記間接加熱により得た浄化土壌を回収する回収手段とを備えることを特徴とする含水土壌の浄化システム。 - 前記回転炉は単一の回転炉または乾燥を行う回転炉と熱分解を行う回転炉との二つの回転炉からなることを特徴とする請求項9の含水土壌の浄化システム。
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JP2003339883A JP2005103436A (ja) | 2003-09-30 | 2003-09-30 | 含水土壌の浄化方法および含水土壌の浄化システム |
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JP (1) | JP2005103436A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014035193A (ja) * | 2012-08-07 | 2014-02-24 | Kobelco Eco-Solutions Co Ltd | 飛灰の洗浄方法、処理方法、洗浄装置及び処理装置 |
CN115502195A (zh) * | 2022-09-16 | 2022-12-23 | 浙江乾精新材料科技有限责任公司 | 一种盐碱地土壤快速修复方法 |
JP7481140B2 (ja) | 2020-03-24 | 2024-05-10 | 前田建設工業株式会社 | 汚染土壌の湿式清浄方法及び汚染土壌の湿式清浄システム |
-
2003
- 2003-09-30 JP JP2003339883A patent/JP2005103436A/ja active Pending
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