JP2005102843A - 便座装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 腰掛便器上面に枢着される便座は、主に硬質樹脂材料で構成されている。したがって、長時間着座した場合、痛みや痺れが生じてしまうものであった。そこで、一般発泡体からなるクッション材を表面に形成した便座が考案されたが、柔らかすぎるために着座時に底づきが発生したり、硬すぎて緩衝機能が充分でないなどの問題点があった。さらに、暖房便座では便座ヒーターの位置により、暖房性能が低下したり、座り心地が犠牲になる場合があった。本発明の目的は、底づきをすることのない、充分な座圧分散機能を有した省エネルギー型便座装置を提供することにある。
【解決手段】 腰掛便器上面に設けられ、ヒンジ係合部を介して回動自在に枢着した便座を有する便座装置において、使用者の皮膚と接触する上面から表皮材、外径2mm以下の紐状発熱体からなる、クッション層、合成樹脂基材の順に構成した。
【選択図】 図2


Description

本発明は、腰掛便器上面に設けられ、ヒンジ係合部を介して回動自在に枢着した便座を有する便座装置に関する。
従来、図8に示す便座装置Aにおいて、内部に制御装置や熱交換器や温風乾燥装置や洗浄ノズルなどを収納した本体ケース3に便座1や便蓋2が回動自在に枢着されている。便座1は、使用者が着座したときの荷重に耐えうる強度を有する樹脂、主にABS樹脂やポリプロピレン等が使用されている。前者は表面硬度が高いため傷付きにくい反面、洗剤等によるソルベントクラックに弱い。従って、耐薬品処方を施したものが一般的に用いられる。後者は、ソルベントクラックに強い反面、比較的表面硬度が低いため傷付きやすい。従って、添加剤や結晶化度制御等により表面硬度を上げて「傷付きにく」する対処や、緩衝材等を利用して「傷付けにくく」する対処がとられる。便座1は、内部に図示しない耐熱塩ビ被覆チューブヒーターが内蔵されており、使用者が着座したときに冷たさを感じないように、表面を暖房する機能を有している。
しかしながら、上記のようなABS樹脂、ポリプロピレンを始め、便座に使用される樹脂は一般的に硬質樹脂であるため、非常に座り心地が悪いものであった。また、座面の端面は皮膚を圧迫し血流の流れを阻害するため、長時間着座した場合は、痺れや痛みが生じてしまうこともあった。特に、高齢者あるいは障害者の方の中には、便意が明確でなく、用をたすまで1時間以上便座に着座される方もあり、問題となっていた。
そこで、硬質樹脂で形成された便座本体の上面に発泡体からなるクッション層を設けた便座が考案された。このような構成にすることにより、着座時の荷重はクッション層が吸収するため座り心地が向上する一方、基材としての硬質樹脂製便座本体が使用者の荷重を保持ため、強度的な問題は無い。発泡体ではなく、ゴム弾性を有したエラストマーをクッション層としている便座も考案されている。この便座では、便座本体とクッション層の間には便座ヒーターが配設されており、暖房便座の機能も有している。(例えば、特許文献1参照)。
特開平4−338429号公報
ところが、一般的な高硬度の発泡材をクッション層として用いた場合、例えば単独で車椅子から移乗する場合のように、動的衝撃が加わるような着座を行う場合には緩衝層として役割を果たすが、静かに着座する場合には変形量が小さいため、着座状態においては、座圧のかかり方は従来の硬質樹脂製便座とほぼ同等であり、痺れや痛みを回避することはできない。
これとは逆に、低硬度の発泡材をクッション層として用いた場合、体重の重い使用者の場合は底づきをしてしまう可能性がある。肉厚を厚くすることで回避することはできるが、むやみに厚くすると、床から便器上面までの高さはほぼ370mmから380mmと一定であるため、便座の高さが高くなった分だけ、床から便座上面までの高さが高くなってしまう。その場合、座り心地が変化するだけでなく、身長の低い使用者では着座時に脚が床から浮く可能性があり、着座状態の維持が難しくなる。
また、便座ヒーターがクッション層と表皮材の間に配設される場合、着座時に表面が便座ヒーターの凹凸に倣ってしまうため、使用者にごつごつとした感覚を与えてしまう。この問題を回避するために、便座本体とクッション層の間に便座ヒーターを配設すると、クッション層が断熱材として働いてしまい、便座表面の温度上昇速度が遅くなる。そのため表面温度を一定に保つには、常に便座ヒーターに通電して暖房しておく必要があり、省エネルギーの観点から問題である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、着座時の衝撃を吸収して座り心地も良く、かつ省エネルギーな便座装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、腰掛便器上面に設けられ、ヒンジ係合部を介して回動自在に枢着した便座を有する便座装置において、前記便座を、使用者の皮膚と接触する上面から表皮材、便座ヒーター、クッション層、合成樹脂基材の順に構成するとともに、前記便座ヒーターを紐状発熱体とした。
これにより、クッション層により座り心地を確保しつつ、表皮材下に便座ヒーターを設けることで、熱の伝達がよく小エネルギーな便座装置とすることができる。
暖房便座用のヒーター線としては、一般的に絶縁体に耐熱性軟質塩化ビニル樹脂を用いたチューブヒーターが用いられる。この軟質塩化ビニルは硬度が90°前後と比較的高く、絶縁体を含めたヒーター線の外径は2.5mm程度となるため、可とう性に乏しい。そのため、クッション層の上に配設した場合、着座時にその凹凸が容易に表面へ伝わってしまい、使用者はごつごつ感を感じてしまう。
ここで、紐状発熱体を用いた便座ヒーターとすることで、ヒーター線を細くかつ柔軟にすることができ、座り心地にさらに貢献する。
また、請求項2記載の発明は、クッション層を、低反発物質からなる層としたことを特徴とする。
低反発物質はスローリカバリー性物質とも呼ばれ、荷重が入力される際及び荷重が開放される際に、微小時間だけ遅れて変形する性質を有する物質である。さらに、大変形が可能であるため、様々な形状に倣うことが可能である。このため、このような性質を有する低反発物質は、素早く着座した場合には変形が追従できないために圧縮硬度が上がり、着座時の衝撃を充分吸収することができるとともに、底づきを解消して、座り心地に貢献する。
また、ゆっくり着座した場合では、一般の硬度の低い発泡物質では、使用者の予想より早く変形する結果、座面に尻もちをつくような状態となるが、低反発物質では、使用者のお尻を保持しながら変形するため、座位を安定させながら静かに着座状態に移行できる。着座状態では使用者の尻部の形状に倣って変形しているため、効率的に座圧を分散させることができる。つまり局部的に圧迫される点が生じないため、長時間座っても痺れ、痛み等を感じることが無く、非常に良好な座り心地を発現できる。
低反発性については、一定速度で一定応力あるいは一定変位まで変形させた後、初期状態まで戻した場合に、どれだけのエネルギーロスがあったか、つまりどれだけのエネルギーを物質が吸収したかを測定することで評価できる。一定荷重もしくは一定変位量になるまで一定速度でサンプルを押し込み、その後一定速度で初期状態まで戻すという圧縮特性測定を行い、そのときの変位量を横軸に、応力縦軸にプロットした場合、囲まれる面積がエネルギーロス量である。したがって、面積が大きいほどエネルギーロスが大きく、低反発性が高いといえる。当然ながら、変位量が大きいほど、印加する応力が大きいほどエネルギーロスは大きくなるため、比較評価する場合にはいずれかが一定となる条件で評価しなければならない。
なお、クッション層の表面に紐状発熱体が埋没するような凹部を設けても、よい、こうすることで、紐状発熱体の凹凸がクッション層に吸収され、ごつごつ感が低減される。
なお、低反発物質としては、連続気泡構成を持つもの、例えば、低反発発泡ポリウレタン等を用いることができる。
低反発発泡ポリウレタンは、内部のセルが側面の薄い壁に空いた穴を介してつながった連続気泡構成をとり、内部のガスの出入りにより緩衝性能を発現している。さらに、物質が軟化し始める温度であるガラス転移点を通常使用温度よりも若干低めに設定することにより、低反発性を発現している。そのため、良好な低反発性を有すると共に、非常に高い圧縮回復性を示す。したがって、ヘタリの少ない便座装置を提供することができる。
さらに、低反発物質として、独立気泡構成を持つもの、例えば低反発発泡ポリエチレン等を用いてもよい。
低反発発泡ポリエチレンは、内部の気孔が互いに独立した独立気泡構成をとり、気孔の壁の変形及び内部ガスの圧縮により、緩衝性能を発現している。そのため高い耐荷重性能を有しており、体重の重い使用者が着座する場合も底づきすることが無い。低反発発泡ポリウレタンと同様に、ガラス転移点の設計により低反発性を発現しているため、ゆっくり着座した場合は荷重にしたがってゆっくりと変形し、使用者は硬さを感じることは無い。圧縮特性測定結果を図3に示す。低反発発泡ポリウレタンよりはエネルギーロス量が少ないが、前述のように内部の気泡は独立しているため吸水性がほとんどないという特性を持つ。したがって、防水性を有した表皮材等を設けなくても汚水等は内部に新入することは無く、病院やデイケアセンターのように不特定多数が使用するトイレには、適しているといえる。
また、請求項3記載の発明は、低反発物質からなる層の厚さを、10mm以上30mm以下としたことを特徴とする。
座圧を分散させて着座時の座り心地を向上させるためには、極力厚さを厚くした方が有利である。ところが、床から便器上面までの高さは、ほぼ370mmから380mmと一定であるため、むやみに厚くしては床から便座上面までの高さが高くなり、小柄な方が使用する場合には足が床につかなくなり、座位の安定が難しくなってしまう。一方、薄くしすぎると、座圧分散できずに底づきしてしまう。そこで、低反発物質からなる層の厚さを10mmから30mmの間に設定することにより、床から便座上面までの高さが座位に影響を及ぼさない範囲内で効果的に座圧を分散させることができる。
また、請求項4記載の発明は、紐状発熱体を、外径1.0mm以上2.5mm以下、好ましくは、外径1.5mm以上2.0mm以下としたことを特徴とする。
紐状発熱体を便座ヒーターのヒーター線とした場合、座り心地をより向上させるためには、外径が小さなヒーター線が望まれることになるが、外径を2.5mm以下、好ましくは、2mm以下にした場合、クッション層の上に配設しても、便座ヒーターのごつごつ感を感じることが無い。加えて、表皮材の裏に便座ヒーターが構成されているため便座表面へも熱が伝わりやすく、便座本体の裏面に便座ヒーターが配設された既存の暖房便座よりも温度上昇速度は速くなる。つまり、便座ヒーターの制御を例えば人体検知センサーと連動させることにより、省エネルギー型便座が可能となる。
なお、他方で、線径を小さくするとワット数が小さくなるため、抵抗線の線径には下限がある。さらに、暖房便座に使用するヒーター線は、浸水絶縁性を満足しなければならないため、絶縁体の肉厚を薄くして外径を小さくする手法にも下限がある。したがって、暖房便座としての仕様を満足させながら、ごつごつ感の発生しない線径を選択する必要がある。ここで、外径1.0mm以上好ましくは、1.5mmとすることで、座り心地を損なわない程度の太さを下限として、設定できる。
また、請求項5記載の発明は、紐状発熱体を、基材上に波線状に設けたことを特徴とする。クッション層は使用者が着座した場合、使用者の尻形状に合わせて変形し座圧を分散させるが、紐状発熱体はクッション層上に配設されているため、同様の変形をしなければならない。ここで、紐状発熱体が波線状に固定されいると、屈曲されているストローク分は自由に伸びることができるため、クッション層の変形に十分追従することができる。したがって、紐状発熱体に許容引っ張り応力以上の負荷がかかることが無い。
なお、基材については、馬蹄形状あるいは略O状に裁断された柔軟性のあるものを用いるのが、クッション層の変形に十分追従するためには、よい。また、柔軟性のある基材は、網目状シートであることを特徴とする。網目状にすることにより、シート自体がより変形しやすくなるため、このように構成すると、クッション層の変形に追従して網目状シート及び紐状発熱体が変形する際、負荷が両者に分散されることになる。したがって、紐状発熱体の過負荷による断線等を回避することが可能となる。また、より大変形が可能になるため、クッション層の座圧分散性能を充分に発揮することができる。
さらに、柔軟性のある基材は、発泡体シートであることを特徴とする。こうすることにより、紐状発熱体の凹凸がより表面に伝わりにくくなり、ごつごつ感が低減される。
以上説明した本発明を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。図1は発明に係る実施例を表す便座装置の斜視図、図2は同便座の断面図、図3は同便座ヒーターの上面図、図4は肌触り測定結果、図5は冷温感測定結果、図6は昇温特性測定結果、図7は圧縮特性測定結果である。
図1に示す本発明の第1実施例を説明すると、便座装置Aは、貯湯式の温水洗浄暖房便座であって、本体ケース3内部には、図示しない熱交換器や洗浄ノズル、電磁弁、温風装置、脱臭装置、制御装置等が内蔵されており、使用者は洗浄ノズルから吐水される温水を臀部に当てることにより、用便による汚れを洗い流すことが可能で、更に内部に温風乾燥装置を備えておれば、洗浄後の湿り気を除去し乾燥させることもできるものである。
この便座装置Aは、図示しない腰掛便器の上面に便座1及び本体ケース3の下面が接するように載置される。腰掛便器の上面には、本体ケース3と係合する図示しないベースプレート固定用穴が2箇所穿設されており、図示しないゴムブッシュ及びボルトによりベースプレートは固定される。ベースプレートと本体ケース3との取付固定は、互いの爪部を嵌合させるワンタッチ取付形式を用いており、本体ケース3側方に配設されている解除ボタンを押下することにより嵌合部のロックを解除して、取り外すことができる。
次に、便座1の構成について図2を用いて説明する。図2は便座1の断面図であり、上面が使用者の皮膚と接触する面である。便座1は上面から、表皮材4、便座ヒーター5、クッション材6、上部部材7、下部部材8の4部材で構成されている。本実施例では、表皮材としてポリウレタン製合成皮革、クッション材として低反発発泡ポリウレタンを使用している。
ポリウレタン製合成皮革は、しっとりした肌触りを発現できるため、直接肌と接する便座の表皮材として好適である。また、スエード調にしたりシボ形状としたり等、表面のトポロジーを種々に変化させることができるため、便座のバリエーションが豊富になる。また、熱の伝わりにくいトポロジーとすることも可能であるため、低温期のヒヤリ感を低減することもできる。さらに、廃棄時にハロゲン元素を発生させないため、環境にも優しい素材である。
このような、着座時の肌触りやヒヤリ感は数値データで表すことができる。肌触りは、表皮材表面の凹凸及び凹凸の変化量と相関がある。しかしながら、表面粗さを測定する一般的なプローブでは、人の感覚と一致しない。そこで、人の肌を模したプローブを用いて測定した。肌触り測定結果を図4に示す。MIU(平均摩擦係数)は数値が大きいほど滑りにくく、MMD(平均摩擦係数の変動)は数値が大きいほどざらついていることを表す。したがって、便座としての機能を考慮して、滑りにくくて滑らかな材料を選定する際の指標として利用できる。また、ヒヤリ感、つまり冷温感は、表皮材表面の単位時間あたりの熱移動量と相関がある。
しかしながら、肌触りと同様に、一般的なプローブを用いても人の感覚と一致しない。これは、冷温感を感じ取る神経が皮膚の表層より0.1mmから0.2mm内部に入った部位に存在するためである。そこで、プローブが表皮材と接触してから0.2秒経過した時点の熱移動量を測定することにより、人の感覚と一致させることができた。ここで、表面を起毛にしたり、シボを設けたり等の表面トポロジー変更によってMIUとMMDを変化させた12種類(A〜M)の表皮材の冷温感測定結果を図5に示す。この数値が大きいほど、着座したときに冷たく感じることを表す。同じポリウレタン製合成皮革であっても、非常に幅が広いことがわかる。
したがって、0.2秒後の熱移動量をヒヤリ感の指標に用い、ボリウレタン製合成皮革のトポロジーを変化させて、ヒヤリ感の小さな表皮材を選定することが可能となる。
肌触りやヒヤリ感ではなく防汚性が要求される場合には、合成樹脂シート、例えばシリコーンをグラフトさせたポリプロピレンシート等を用いれば良い。このシートは水や油よりも低い臨界界面張力を有するために、汚水等は細かい水滴となり付着しにくい。また、付着した場合でも簡単なお手入れで除去できるので、常に衛生的な便座面を維持することができる。
合成皮革シートの肌触りを維持したまま防汚性を向上させたい場合には、シートの裏側に透湿防水シートをラミネートするという手法がある。この場合、表面は合成皮革のままであるため、肌触りに影響は無い。ただし、シート自体の防汚性は変わらないため、定期的なお手入れは必要である。
本実施例において使用した便座ヒーター5は、ナイロンを絶縁体として用いた外径2mmの紐状ヒーター線5−aと裏面に粘着材を塗布したアルミシート製の基材5−bとからなる。なお、便座1は暖房便座であるため、それに使用する紐状ヒーター線5−aは浸水絶縁試験をクリアしなければならない。したがって、この試験を満足する範囲内において、極力外径を小さくすれば、紐状ヒーター線5−aの凹凸を便座表面で感じることがなくなり、座り心地も向上する。
紐状ヒーター線5−aは図3に示すように、馬蹄形状にプリカットされたアルミシート製の基材5−bに、自動ミシンにて波線状に固定されている。このようにすると、紐状ヒーター線5−aは波線状に折り返された長さ分だけは伸びることができるため、便座ヒーター5は人が着座したときのクッション層の変形に追従可能である。しかしながら、低反発物質の座圧分散性能を十分発揮させるためには、便座ヒーター5がさらに大変形できることが必用条件となる。したがって、そのような場合には、基材5−bとして炭素繊維のような熱伝導性を有した糸で編み込んだメッシュシート等を用いれば良い。ただし、表皮材とヒーターとの間に不燃材が介在しないことになるため、併せて表皮材を難燃剤等へ変更して安全性を確保する必要がある。
本実施例では、便座ヒーター5を表皮材4の裏面に配設しているので、既存の便座と比較して非常に良好な昇温特性を有している。既存便座と本実施例における便座の環境温度15℃での昇温特性測定結果を図6に示す。15℃から30℃までの昇温時間を比較すると、既存便座が7分かかっているのに対し、本実施例では3.5分であり、およそ倍の立ち上がり特性を有しているといえる。一方、消費電力は同じであるため、到達温度はほぼ同等の40℃となっている。この結果から、便座ヒーター5の制御を、例えば図示しない人体検知センサと連動させて、省エネルギー型便座装置とすることが可能となる。
次に、本実施例で用いた低反発物質について説明する。図7は横軸に変位、縦軸に応力をプロットした圧縮特性測定結果である。低反発物質6として使用しているポリウレタンは、変位が小さいときは硬く、大きくなると徐々に軟らかくなるという性質を有する。つまり、座り始めは硬く感じるが、体重を乗せてしまった状態ではゆっくりと使用者のお尻の形状に変化していくのである。この性質のおかげで、例えば車椅子からの移乗のように衝撃荷重がかかる場合には硬くなって底づきを回避する一方、通常の着座時はお尻を包み込むようにゆっくりと変形していくのである。このように、ポリウレタン製の低反発材を使用することで、相反する使用を満足することができる。
なお、この低反発発泡ウレタンは、硬質樹脂から軟質樹脂へと移行する境界であるガラス転移点を室温よりも若干低めに設定することで、低反発性を発現している。通常使用する温度はガラス転移点よりも高い温度であるため、硬質樹脂の硬さを有しながらもエラストマー的な性質も有することとなり、荷重に比例して変形せず、遅れて変形し、戻るときもその温度での硬さに応じてゆっくり元の状態に戻ろうとするのである。さらに、発泡ポリウレタンは、主として内部の気泡がつながった連続気泡構造をとり、ガスの出入りが容易である。そのため、大きく変形することが可能でありながら、元の状態に戻るのも容易であり、繰り返し変形させてもヘタリにくい性質を併せ持つ。
低反発物質6の厚みは、20mmとしている。基材が上部部材7と下部部材8の2部材からなる本実施例の場合、一般の便座高さが25mmから35mmであるため、厚さ20mmの低反発材を使用すれば、ほぼ同一の高さとなる。しかしながら、一般的な低反発物質では、この厚みの範囲内では充分な座圧分散性能が得られない。そこで本実施例では、低反発物質6をモールド成形して表面に硬質のスキン層を形成すると共に、密度を一般的な低反発物質より0.03g/cm3程度高くすることで、20mmの厚さで所望の座圧分散性能を得ることができた。さらに、紐状ヒーターが配設される側には、深さ2mmの溝を設けた。この溝に紐状ヒーターを落ち込ませることにより、その凹凸が吸収され、着座時のごつごつ感を大幅に低減することが可能になる。なお、クッション材の上に紐状ヒーターをアッセンブルする際のガイドにもなるため、工程上も好ましい。
ところで、体重が非常に重い方の使用が想定される場合には、荷重によって低反発物質5の肉厚がゼロになってしまう、いわゆる底づき現象が発生する可能性がある。この現象が発生した場合、座圧分散性能は全く得られない。そのような場合には、低反発物質6と上部部材7の間に一般の硬質発泡物質を構成すればよい。この硬質発泡樹脂は、便座1のアッセンブル時に単純に積層するだけでもよいが、低反発物質6と一体成形しておけばさらに望ましい。
もちろん、低反発物質6には低反発ポリウレタンではなく、低反発ポリエチレンをを用いても良い。この場合、スローリカバリー性は低反発ポリウレタンよりも劣るものの、独立気泡構造に起因する防水性を有するため、必ずしも防水性のある表皮材4等を設ける必要がない。頻繁に汚されて清掃が必要となる公共のトイレには好適である。さらに、低反発発泡ポリウレタンよりも本質的に圧縮硬度が高いため、底づきしにくい。したがって、10mm程度の薄さでも底づきのない低反発性を有した便座装置が実現できる。
上部部材7と下部部材8の材質は、本実施例では、いずれもポリプロピレンを使用している。ポリプロピレンが高い耐薬品性能を有するための材料選定であるが、上部部材7に対して防水性を持たせるのであれば、対薬品性能が若干劣る材料を用いても問題はない。表皮材等を接着により固定するのであれば、ABS樹脂等の接着性が良好な材質で上部部材7を形成すれば好適である。
本実施例では、低反発物質6と上部部材7を一体で成形した。つまり、あらかじめ成形されたポリプロピレン製の上部部材7を低反発物質6用の型内にセットし、その後低反発物質5の原料を注入、型締めを行い、上部部材6と一体にするわけである。このようにすることにより、アッセンブル過程での低反発物質6と上部部材7の仮固定が不要となる。
本実施例とは逆に、低反発物質6と表皮材4を一体に成形することも可能である。この場合、低反発物質6を成形する型内に適当な長さにカットした表皮材4をセットし、同様の成形を行う。充填される低反発物質6の原料に押されて型の形状に変形する必要があるため、使用する表皮材4にはおよそ40%以上の伸びが要求される。
一体成形された低反発物質6及び上部部材7への表皮材4の貼り付けは、以下のように行った。およそ700mm角にプレカットされた表皮材4を載せた後、上部から低反発物質5の上面を転写した形状の治具でプレスして、表皮材を低反発物質6の形状に成形すると同時に密着させる。その後治具から外して、表皮材4の端面を上部部材6の裏面に巻き込み、ポリプロピレン用の接着剤で接着し、トリミングを行う。この際、治具を便座内周側から外周側へと接触させることにより、伸張不足により内側の表皮が足らなくなる不具合を回避できる。なお、ヒンジ部は上部部材側面のR形状が小さいため接着剤では強度不足となる。そこで、外部のみタッカー11を打ち込み補強している。
下部部材7は、便器と接する面にシリコーンをグラフトさせたポリプロピレンシート9が一体に成形されている。成形方法は、低反発物質5と上部部材6の一体成形と同様である。このポリプロピレンシート9は下部部材7よりも低い臨界界面張力を有するため、表面で水が弾かれて水滴となり、容易に付着しにくく、付着した場合でも拭き掃除程度で除去できる。該部は、便器内ボウル面からの汚水の跳ね返りで汚れやすい箇所であるため、使用者のお手入れの負荷が非常に低減される。
本実施例では、上部部材7と下部部材8の固定にはタッピンねじ13による固定方法を採用した。図2に示すように上部部材7の裏面にねじ固定用のボス12を設け、下部部材8には便座クッション10挿入用の凹部の底面に貫通穴14を設けている。従来の便座では上部部材7の表面が外観面となるため、裏面ボス形成による表面のヒケを考慮して採用することができなかった。ところが、本実施例では隠蔽されてしまうため、何ら障害はない。ねじ固定であれば、廃棄時に容易に分解できるため、環境に優しい便座となる。下部部材8においても、凹部に便座クッション10を挿入するため、タッピンねじ13は露出せず、外観が低下することはない。
本発明による便座は、特に高齢者や障害者のように,長時間着座される場合にその効果を発揮する。このような方は、小柄な方や痩せた方が多いこともあり、便座の内側への落ち込みが多く発生している。落ち込みにより肛門が両側から押される形となり、便意が催しにくくなる場合もあるようである。また、便意を催すまで1時間以上も便座に着座されることもあるため、圧迫された箇所が痺れたり、痛みが生じたりして、快適な排便が阻害されている。従来は、柔らかすぎて底づきしてしまう補助便座か、硬いために長時間座ると硬質樹脂製の便座と同様の傷みが生じる補助便座を使用していたような現場である。そこに、本発明による便座を使用すれば、座圧が分散され、使用者のお尻形状にフィットすることにより、着座姿勢も安定する。もちろん、手すり等の補助具も使用すればさらに好適であろう。
本発明に係る実施例を表す便座装置の斜視図である。 本発明に係る便座の断面図である。 本発明に係る便座ヒーターの上面図である。 本発明に係る表皮材の肌触り測定結果である。 本発明に係る表皮材の冷温感測定結果である。 本発明に係る便座の昇温特性測定結果である。 本発明に係る低反発物質の圧縮特性測定結果である。 従来の便座装置の斜視図である。
符号の説明
A…便座装置
1…便座
2…便蓋
3…本体ケース
4…表皮材
5…便座ヒーター、5−a…紐状ヒーター線、5−b…基材
6…低反発物質
7…上部部材
8…下部部材
9…シリコーングラフトポリプロピレンシート
10…便座クッション
11…タッカー
12…ボス
13…タッピンねじ
14…貫通穴

Claims (5)

  1. 腰掛便器上面に設けられ、ヒンジ係合部を介して回動自在に枢着した便座を有する便座装置において、前記便座を、使用者の皮膚と接触する上面から表皮材、便座ヒーター、クッション層、合成樹脂基材の順に構成するとともに、前記便座ヒーターを紐状発熱体としたことを特徴とする便座装置。
  2. 前記クッション層は、低反発物質からなる層であることを特徴とする請求項1記載の便座装置。
  3. 前記低反発物質からなる層の厚さは、10mm以上30mm以下であることを特徴とする請求項1,2の何れかに記載の便座装置。
  4. 前記紐状発熱体が、外径1.0mm以上2.5mm以下、好ましくは、外径1.5mm以上2.0mm以下としたことを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の便座装置。
  5. 前記紐状発熱体を、基材上に波線状に設けたことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の便座装置。


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