JP2005101489A - 圧接型半導体装置 - Google Patents

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昌弘 辰川
Masanori Saotome
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Abstract

【課題】半導体素子と外部接続電極とを加圧接触して電気的熱的接続を行う圧接型半導体装置における放熱性能を改善して半導体装置の大容量化を可能にする。
【解決手段】電気的および熱的高伝導材により形成した上下1対の外部接続電極により複
数の半導素子を挟み込み、この1対の接続電極を絶縁環を介して一体に結合し、前記接続
電極と半導体素子とを加圧接続するようにした圧接型半導体装置において、半導体素子のそれぞれと一方の外部接続電極との間にそれぞれ半導体素子を加圧するためのばね体と伸縮性を有するヒートパイプを並列に設け、半導体素子と接続電極とを電気的および熱的に接続する。
【選択図】図1

Description

この発明は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)やフリーホイーリングダイオード(FWD)などを構成する複数の半導体素子を1つの平型の容器に収め、各素子と外部接続電極とを圧接接続して使用する圧接型半導体装置に関する。
近年、半導体装置は大容量化が進み、これに伴い半導体装置に内蔵される半導体素子の発熱損失が一段と増大するようになってきた。このため、大容量の半導体装置は、パワー半導体素子の両面から放熱できる平型半導体装置が利用されている。通常、平型半導体装置は、半導体素子を平型容器に収め、この素子の上下両面の負荷電流を通す主電極と容器の外部接続電極とを圧接接続して使用している。
このような圧接型半導体装置は、1個または複数個のパワー半導体素子を、上下の外部接続電極を絶縁環により支持した容器の内部に組み込んで一体化し、冷却と通電電極とを兼ねた冷却体で容器の両面を挟み込んで加圧して使用する。
このように、圧接型半導体装置は、容器の両面から加圧して内部構成部材の電気的接続と熱的接続を行うため、内部の半導体素子とコンタクト端子との良好な接触を保持することが必要であり、そのためには、半導体素子を均等にかつ、平行に加圧することが重要になる。特に、容器のサイズが大きくなり多数の半導体素子が収容される場合、多数の半導体素子間においても均等かつ平行に加圧する必要があり、構成部材の厚さや、平行度等を許容値内に製作し、高精度にて組み立てる必要がある。
このように、高精度に組み立てた圧接型半導体装置パッケージの取り扱い時に半導体チップの位置ズレを防止するために、半導体素子上部のコンタクト端子と上部電極との間に、バネ部材を追加して所望の組立精度を保つことが知られている(特許文献1)。
しかしながら、高精度の部材は加工費の増加を招き、また高精度での組立技術が必要になる。
このような点を改善するため、前記位置ズレ防止のバネ部材より強い弾性力を有する導電性のばね部材で各半導体素子を加圧して半導体素子とコンタクト端子を導電接続するようにした圧接型半導体装置が知られている(特許文献2)。
この技術を利用した従来装置を、図10に示す。図10は従来の圧接型半導体装置の正面断面図であり、1’,2は上下に対峙して並ぶ電気的および熱的良伝導性材料、例えば銅により作成した上部および下部の外部接続電極、3は下部の外部接続電極上に配置される基板、4は耐電圧を高めるためにセラミックスで構成された絶縁環、5,6は上部の外部接続電極1および下部の外部接続電極2と絶縁環4とを結合するための可撓性金属薄板により作成した上部および下部フランジ、7は後述の半導体素子11のゲート電極(図示せず)に接続されるゲート端子、8は容器内の空気を排気し、窒素等の不活性ガスを充填するための給排気パイプである。
11はIGBTなどの半導体素子、12はフリーホイーリングダイオード(FWD)などの半導体素子、13’は上部電極1と半導体素子11,12との電気的および熱的接続のために介在する上部コンタクト端子、14は半導体素子11,12と基板3とを接続するための下部コンタクト端子であり、半導体素子11,12と下部コンタクト端子14とは半田15により接合される。
16は半導体素子11,12および上部,下部コンタクト端子13’,14の相互の配置を決める位置決めガイドであって、半導体素子11あるいは半導体素子12、上部および下部コンタクト端子13',14と共に位置決めガイド11に組み込まれて半導体ユニット10を構成する。半導体ユニット10の上面には上部コンタクト端子13’の上面が、半導体ユニット10の下面には下部コンタクト端子14の下面がそれぞれ露出している。
9は半導体素子や上部コンタクト端子を加圧し固定するとともに上部電極との電気的接続を行う導電性のばね体である。
上部の外部接続電極1の内側(半導体素子側)の面にばね体9が結合されている。このばね体9は、上部コンタクト端子13’を半導体素子に押しつけることにより上部コンタクト端子と半導体素子の電気的接続を行うとともに、上部コンタクト端子13’と上部電極1’との電気的接続を行う。
そして、外部から導電体兼冷却体を上部並びに下部の外部接続電極1’,2に押しつけて両側から加圧することにより、上部外部電極1と下部外部電極2との間に、ばね体9,上部コンタクト端子13’,半導体素子11および12,下部コンタクト端子14,基板3が圧接され、このとき、ばね体9が弾性変形して内部構成部材の製作誤差、組立誤差による平行度のずれ等を吸収する作用をするので容器内の複数の半導体素子に加わる加圧力を均一にすることができる。
特開平10-284522号公報 特開平5−211259号公報
前記した従来の圧接型半導体装置においては、容器の上下面から加圧して内部の各構成部材の電気的および熱的接続を行うとき、複数の半導体素子を均等な加圧力にて加圧することはできる。しかしながら、上部コンタクト端子と上部の外部接続電極との間に導電性のばね体が介在するため、上部コンタクト端子と上部の外部接続電極との間の熱抵抗が大きくなり、上部コンタクト端子から上部の外部接続電極への熱伝導が悪くなり、内部の半導体素子の上面側からの放熱性能が低下する。このため、個々の半導体素子が十分に電流を流す能力を備えていながら、放熱が十分でないために、その能力を使い切ることができない。
この発明は、前記のような従来の圧接型半導体装置における問題点を解決して大容量化の可能な圧接型半導体を得ることを課題とするものである。
前記の課題を解決するため、この発明は、電気的および熱的高伝導材により形成した上下一対の外部接続電極により複数の半導素子を挟み込み、この一対の接続電極を絶縁環を介して一体に結合し、前記外部接続電極と内部の構成部材とを加圧して接続するようにした圧接型半導体装置において、
(1)前記一対の外部接続電極の上部の外部接続電極と複数の半導体素子との間にそれぞれ半導体素子を加圧するためのばね体と伸縮性を有するヒートパイプとを並置し、加圧により内部の構成部材と外部の接続電極とを電気的および熱的に接続するものであり、
(2)一対のユニット電極間に伸縮性を有するヒートパイプと加圧用ばね体とを並置し、前記ユニット電極と前記ヒートパイプとを一体に結合してなる接続ユニットを、前記一方の外部接続電極と複数の半導体素子との間にそれぞれ設け、加圧により半導体素子と接続電極とを電気的および熱的に接続するものであり、
(3)伸縮性を有し内部に加圧用ばね体を備えたヒートパイプを、前記一方の外部接続電極と複数の半導体素子との間にそれぞれ設け、加圧により半導体素子と接続電極とを電気的および熱的に接続するものである。
ここで、伸縮性を有するヒートパイプとは、ヒートパイプの端面が可動しうるようにパイプ自身に伸縮性を持たせて形成したものである。パイプ自身が伸縮方向に弾性を持たせるとよい。
そして、この発明におけるヒートパイプとしては、伸縮性を持たせるためにそのパイプを金属薄板によりベローズ状に形成したものを使用することができる。また、ヒートパイプのパイプを可撓性を有する金属薄板によりダイヤフラム状に形成し、その内側にウィックを封入して構成してもよい。
更に、この発明においては、前記各ヒートパイプのパイプの中央部に伸縮性を有する補助のウィックを封入するようにしてもよい。
あるいは、加圧用ばね体を内蔵したヒートパイプにおいて、加圧用ばね体にウィックの機能を持たせてもよい。
上記のヒートパイプは、真空のパイプ内に、少量の作動液(例えばHCFC-123など)を封入して、その作動液の相変化(蒸発,凝縮)により熱を蒸発部側から凝縮部側に運搬する熱輸送体である。前記作動液は集熱部から熱を吸収して蒸気となり、ヒートパイプの内部を反対側に拡散移動した後、ヒートパイプの外部に放熱して液体に凝縮する。凝縮した作動液は、重力もしくは封入されたウィックの毛細管現象を利用して再び蒸発部(集熱部)に還流し、この蒸発/凝縮のサイクルを繰り返すことによって効率的に熱の移動を行うものである。
前記のようにこの発明は、電気的および熱的高伝導材により形成した上下一対の外部接続電極の間に複数の半導体素子を挟み、この一対の接続電極を外部から加圧して、これらの電極と半導体素子とを加圧接触させるようにした圧接型半導体装置において、前記の上下一対の外部接続電極の一方の電極と複数の半導体素子との間にそれぞれ半導体素子を加圧するためのばね体と、伸縮性を有するヒートパイプが設けられているので、個々の半導体素子が個々の加圧用ばね体により加圧されるとともに、製作誤差や組立誤差により各半導体素子とコンタクト端子との平行度に多少のずれが生じても半導体素子とコンタクト端子との接触を良好に保つことができる。また、構成部材の厚さの違いも吸収することも可能となる。更に、加圧用ばね体の設けられた上部の接続電極と半導体素子の間に伸縮性のヒートパイプが設けられることにより、半導体素子から上部の接続電極への熱伝導度高くなり、上部の接続電極からも半導体素子の発生する熱を良好に放熱することができるようになるため、半導体素子の能力を十分に活用することができる。
以下にこの発明を、図に示す実施例に基づいて説明する。
図1はこの発明の第1の実施例を示すものである。この図1の実施例において、図10に示した前記従来装置と同様の構成には、同じ符号を付して説明を省略する。図1(a)は正面断面図、同図(b)は上部の外部接続電極1を取り外した状態の平面図である。
図1では、図10の外部接続電極1’に換えて外部接続電極1を用い、半導体ユニット10における上部コンタクト端子13’に換えて、コンタクト端子13を用いて半導体ユニット101を組んでいる。
21および22は半導体素子加圧用のばね体および伸縮性を有するベローズ型ヒートパイプである。このばね体21およびヒートパイプ22は、上部の外部接続電極1と上部のコンタクト端子13との間に並列にそれぞれ設けられる。なお、上部の外部接続電極1および上部コンタクト端子13には、位置ズレを防ぐために、図1のようにばね体21と嵌合する切り欠き部や突起部あるいは凹部を備えるのが望ましい。同様に上部外部電極1にもばね体21およびヒートパイプ22との位置ズレを防ぐために切り欠き部や突起部あるいは凹部を備えるとよい。
そして、基板3の凹部に半導体ユニット101を載置して、半導体ユニット101の水平方向の位置決めがなされ、外部から導電体兼冷却体を上下部電極1,2に押しつけて両側から加圧することにより、上部外部電極1と下部外部電極2との間に、ばね体21およびヒートパイプ22,上部コンタクト端子13,半導体素子11および12,下部コンタクト端子14,電極3が圧接される。このとき、ばね体21が弾性変形して内部構成部材の製作誤差、組立誤差による平行度のずれ等を吸収する作用をするので容器内の複数の半導体素子に加わる加圧力を均一にすることができ、ヒートパイプ22により良好な放熱が得られる。
ここで、ばね体21は、コンタクト端子13を半導体素子11,12の電極面に数十〜数百kg程度の加圧力で加圧接触させることが可能なだけのばね力を有する。
このような半導体装置を使用するときは、上部および下部の外部接続電極1、2に通電導体を兼ねた冷却体を接合し、その外側から機械的締め付け装置により締め付け、内部の半導体素子に大きな加圧力を加えることにより、各接触部材間の電気的および熱的接触を良好に保つようにする。このとき、製作誤差または組立誤差により各部材間の平行度や厚みの違いが生じた場合、複数の半導体素子にそれぞれ、加圧用のばね体が設けられているので、その違いにしたがって各ばね体が変形量を変えた吸収するため、すべての半導体素子に均等に加圧力を加えることができる。
そして、ばね体21と並列に設けられたヒートパイプ22は、図2に詳細を示すように外郭のパイプ22aがばね体21の伸縮に十分追従して伸縮可能なようにベローズ型に構成され、ばね体21の変形に良好に追随する。また、内側には、作動液還流用のウィック22bが被着されている。このヒートパイプ22は、それ自身伸縮性(ばね性)を有するので、ばね体21の変形に追随しつつ、外部接続電極1とコンタクト端子13との間に圧接している。更に、伸縮型ヒートパイプ22の両端を、コンタクト端子13および外部接続電極1に半田(図示せず)により接合することにより電気的および熱的接続が良好となる。
22f、22gはヒートパイプの上部プレートおよび下部プレートである。
また、上記の半田接合は、ばね体21、ヒートパイプ22を組み込む工程においてヒートパイプの両端に半田シートを介挿しておき、半導体装置を組み立てた後、全体を加熱することにより行うことができる。この半田接合により、平行度の誤差と組立誤差とを吸収することができる。
ヒートパイプ22の外郭のパイプを導電材により構成することにより、コンタクト端子13と外部接続電極1との間が、このヒートパイプ22とばね体21とによって電気的に良好に接続する。
そして、半導体素子11,12で発生する熱は、下部側は、下部コンタクト端子14から基板3、下部の外部接続電極2を介し、図示しない外部の冷却体を介して放熱されるとともに、上部側は、上部コンタクト端子13からヒートパイプ22、上部の外部接続電極1、外部の冷却体を介して良好に放熱されることにより、半導体素子の両面から良好に放熱されるようになる。
前記したこの発明の圧接型半導体装置においては、容器の外側から冷却対を加圧接触して使用する際、内部構成部材の変位量はせいぜい数百μmであるので、コンタクト端子と外部接続電極との間に設ける伸縮性を有するヒートパイプの伸縮量もこれより少し大きなくらいでよいので、この発明においては、実施例1に示すようなベローズ型でなくとも、図3に示すような比較的伸縮力の小さいダイヤフラム型のヒートパイプを用いることも可能である。
図3のヒートパイプは、外郭のパイプ22dが可撓制を有する金属薄板で構成された皿状のダイヤフラムDを2枚向かい合わせに接合して構成され、その内面に、ウィック22bを被着している。
このようなダイヤフラム型のヒートパイプは、これを構成するダイヤフラムの変位量で伸縮量が決まるので、伸縮量は小さいが、容器内の構成部材の組立誤差等の変位量を吸収するには十分である。
このダイヤフラム型ヒートパイプを使用した場合、これが薄いため、コンタクト端子と外部接続電極とのあだの距離を短縮できるので内部インピーダンスを低減でき、圧接型半導体装置の性能を高めることが可能となる。
図4はこの発明の第2の実施例を示すものである。この図4においても同様に、図10に示した前記従来装置と同様の構成には、同じ符号を付して説明を省略する。
図4(a)は正面断面図であって、図10に示した半導体ユニット10における上部コンタクト端子13’,ばね9に換えて後述の接続ユニット30を設けた半導体ユニット102を構成した点などで相違する。
図4(b)は接続ユニット30を示す図であり、31は半導体素子加圧用のばね体、32は伸縮性を有するヒートパイプ、33は接続ユニット上部電極、34は接続ユニット下部電極である。ヒートパイプ32は、外郭のパイプ32aがばね体31の伸縮に十分追従して伸縮可能なようにベローズ型に構成され、ばね体31の変形に良好に追随する。また、内側には、作動液還流用のウィック32bが被着されている。このヒートパイプ32は、それ自身伸縮性(ばね性)を有するので、ばね体31の変形に追随して変形する。32f,32gは、ヒートパイプの上部プレートおよび下部プレートである。
ばね体31は接続ユニット上部電極33と接続ユニット下部電極34との間に嵌装し、ヒートパイプ32の上部および下部プレート32f,32gは、はんだ35によって接続ユニット上部電極33および接続ユニット下部電極34にそれぞれ接合して接続ユニット30を構成する。
ばね体31とヒートパイプ32の高さは、これらを接続ユニット下部電極34上に載置しさらに接続ユニット上部電極を組み付けたとき、ばね体31とヒートパイプ32がともに接続ユニット上部電極32に接するように選定するのが好適である。すなわち、未加圧の状態、あるいは接続ユニット上部電極の自重以外には加圧しない状態で、ばね体31,ヒートパイプ32,上下の接続ユニット電極が接していることで、組立作業が容易となる。
接続ユニット30は次のように製造するとよい。
先ず、ばね体31とヒートパイプ32を接続ユニット下部電極34上に載置する。ヒートパイプ32を載置する際には、ヒートパイプ32の下部プレート32gと接続ユニット下部電極34との間にははんだシートを介挿する。ばね体31とヒートパイプ32上に接続ユニット上部電極33を載置する。このとき、ヒートパイプ32の上部プレート32fと接続ユニット上部電極33との間にははんだシートを介挿する。
次に、上下の接続ユニット電極間を軽く加圧しながら加熱してはんだを溶融した後、冷却・硬化させて、ヒートパイプ32と上下の接続ユニット電極34とをはんだ接合する。上下方向から軽く加圧する状態もしくは真空雰囲気にてはんだを溶融させることにより、はんだ溶融時に発生する気泡を排出することができ、はんだ層35にボイドが残ることによる熱抵抗の増加を防ぐことができる。
また、ばね体31とヒートパイプ32の高さを前記のように選定しているので、はんだ接合後、圧接型半導体装置に組み込むまでの間、接続ユニットのはんだ接合部に不要なばね体の圧力が印加されることがない。
はんだ接続により上下の接続ユニット電極とヒートパイプとの間の電気的・熱的な接続が良好になる。さらに、はんだ35による接続によって上下の接続ユニット電極とヒートパイプが一体となるため、接続ユニット30の扱いが容易になり、圧接型半導体装置へ組み込む際の取り扱いが容易となる。また、接続ユニット上部電極33,接続ユニット下部電極34には、ばね体31のズレ防止部33i,34iが設けられて、ばね体31がずれて接続ユニット電極から外れることがないので、ばね体31も上下の接続ユニット電極とヒートパイプと一体となる。
上記のように、圧接型半導体装置の組立工程前に接続ユニットを組み立てておけば、事前に接続ユニットの加圧力を個々に調整したり、電気抵抗・熱抵抗を測定して特性の揃った接続ユニットを選別することができる。
次に、下部コンタクト端子14、半導体素子11,12、接続ユニット30を位置決めガイド16に組み込んで半導体ユニット102を構成する。半導体素子11,12と下部コンタクト端子14とは半田15により接合される。半導体ユニット102の上面には接続ユニット30の接続ユニット上部電極の上面が、半導体ユニット102の下面には下部コンタクト端子14の下面がそれぞれ露出している。
そして、基板3の凹部に半導体ユニット102を載置して、半導体ユニット102の水平方向の位置決めがなされ、外部から導電体兼冷却体を上下部電極1,2に押しつけて両側から加圧することにより、上部外部電極1と下部外部電極2との間に、半導体ユニット102,半導体素子11および12,下部コンタクト端子14,電極3が圧接される。このとき、ばね体31が弾性変形して内部構成部材の製作誤差、組立誤差による平行度のずれ等を吸収する作用をするので容器内の複数の半導体素子に加わる加圧力を均一にすることができ、ヒートパイプ32により良好な放熱が得られる。
実施例1と同様に、上部外部電極1にも接続ユニット30との位置ズレを防ぐために切り欠き部や突起部あるいは凹部が設けられている。半導体ユニット102に接続ユニット30が組み込まれているので、上部外部電極1と基板3との間での半導体ユニット102の位置決めも容易である。
なお、ばね体31は、接続ユニット下部電極34を半導体素子11,12の電極面に数十〜数百kg程度の加圧力で加圧接触させることが可能なだけのばね力を有する。
このような半導体装置を使用するときは、上部および下部の外部接続電極1、2に通電導体を兼ねた冷却体を接合し、その外側から機械的締め付け装置により締め付け、内部の半導体素子に大きな加圧力を加えることにより、各接触部材間の電気的および熱的接触を良好に保つようにする。このとき、製作誤差または組立誤差により各部材間の平行度や厚みの違いが生じた場合、複数の半導体素子にそれぞれ、加圧用のばね体が設けられているので、その違いにしたがって各ばね体が変形量を変えて吸収するため、すべての半導体素子に均等に加圧力を加えることができる。
図5は、この発明の第3の実施例を示すものである。この図5においても同様に、図10に示した前記従来装置と同じ構成には、同じ符号を付して説明を省略する。
図5(a)は正面断面図であって、図10に示した半導体ユニット10に対して、上部コンタクト端子13’,ばね9に換えて後述の接続ユニット40を設けた半導体ユニット103を構成した点などで相違する。
図5(b)は接続ユニット40を示す図であり、41は半導体素子加圧用のばね体、42は伸縮性を有するヒートパイプ、43は接続ユニット上部電極、44は接続ユニット下部電極である。ばね体41はヒートパイプ42内部に配置され、ヒートパイプ42の外郭のパイプ42aがばね体41の伸縮に十分追従して伸縮可能なようにベローズ型に構成され、ばね体41の変形に良好に追随する。また、外郭42aの内側には、作動液還流用のウィック42bが被着されている。
ばね体41はヒートパイプ42の内部において、接続ユニット上部電極43と接続ユニット下部電極44との間に嵌装されている。
ばね体41とヒートパイプ42の高さは、これらを接続ユニット下部電極44上に載置しさらに接続ユニット上部電極43を組み付けたとき、ばね体41が接続ユニット上部電極43に接するように選定するのが好適である。すなわち、未加圧の状態、あるいは接続ユニット上部電極の自重以外には加圧しない状態で、ばね体41が接続ユニット上部電極に接するように選定することで、次に説明する組立作業が容易となる。
接続ユニット40は次のように製造するとよい。
先ず、ヒートパイプの外郭42aと接続ユニット下部電極44を接合し、外郭42aの開口部よりばね体41を挿入する。このとき、上述のとおりヒートパイプ42の外郭42aとばね体41はほぼ伸びきった状態である。次に外郭42aの開口部に接続ユニット上部電極43を被せて両者を接合する。この状態でばね体41と接続ユニット上部電極43とがヒートパイプ内部において接するようにその寸法を選定するとよい。
接続ユニット上部電極にはヒートパイプ内部に通じる封入パイプ44jが設けられており、該封入パイプ44jよりヒートパイプ内部の空気を排気してほぼ真空した後、作動液を注入する。作動液注入後、封入パイプを封鎖する。
ばね体41とヒートパイプ外郭42aの高さを前記のように選定しているので、接続ユニット上部電極の接合後、圧接型半導体装置に組み込むまでの間、ヒートパイプ外郭と接続ユニット上部電極との接合部に不要なばね体の圧力が印加されることがない。また、接続ユニット上部電極43,接続ユニット下部電極44には、ばね体41のズレ防止部43i,44iを設けておくと、ばね体41がヒートパイプ内部でずれるのを防止することができる。
接続ユニット40を上記のように製造することによって、ヒートパイプと接続電極が一体となるだけでなく、ばね体を内蔵しているため、接続ユニット40の扱いが容易になり、圧接型半導体装置へ組み込む際の取り扱いが容易となる。
上記のように、圧接型半導体装置の組立工程前に接続ユニットを組み立てておけば、事前に接続ユニットの加圧力を個々に調整したり、電気抵抗・熱抵抗を測定して特性の揃った接続ユニットを選別することができる。
次に、下部コンタクト端子14、半導体素子11,12、接続ユニット40を位置決めガイド16に組み込んで半導体ユニット103を構成する。半導体素子11,12と下部コンタクト端子14とは半田15により接合される。接続ユニット40の下部電極44下面が半導体素子11,12に接する。半導体ユニット103の上面には接続ユニット40の接続ユニット上部電極の上面が、半導体ユニット102の下面には下部コンタクト端子14の下面がそれぞれ露出している。
そして、基板3の凹部に半導体ユニット103を載置して、半導体ユニット103の水平方向の位置決めがなされ、外部から導電体兼冷却体を上下部電極1,2に押しつけて両側から加圧することにより、上部外部電極1と下部外部電極2との間に、半導体ユニット103,半導体素子11および12,下部コンタクト端子14,電極3が圧接される。このとき、ばね体41が弾性変形して内部構成部材の製作誤差、組立誤差による平行度のずれ等を吸収する作用をするので容器内の複数の半導体素子に加わる加圧力を均一にすることができ、ヒートパイプ42により良好な放熱が得られる。
実施例1と同様に、上部外部電極1にも接続ユニット40との位置ズレを防ぐために切り欠き部や突起部あるいは凹部が設けられている。半導体ユニット103に接続ユニット40が組み込まれているので、上部外部電極1と基板3との間での半導体ユニット103の位置決めも容易である。
なお、ばね体41は、接続ユニット下部電極44を半導体素子11,12の電極面に数十〜数百kg程度の加圧力で加圧接触させることが可能なだけのばね力を有する。
このような半導体装置を使用するときは、上部および下部の外部接続電極1、2に通電導体を兼ねた冷却体を接合し、その外側から機械的締め付け装置により締め付け、内部の半導体素子に大きな加圧力を加えることにより、各接触部材間の電気的および熱的接触を良好に保つようにする。このとき、製作誤差または組立誤差により各部材間の平行度や厚みの違いが生じた場合、複数の半導体素子にそれぞれ、加圧用のばね体が設けられているので、その違いにしたがって各ばね体が変形量を変えて吸収するため、すべての半導体素子に均等に加圧力を加えることができる。
ここで、第1,第2の実施例におけるヒートパイプ22,32は加圧用のばね体21,31をヒートパイプの外部に設けているため、半導体素子ユニットの占有面積内にこれらを収めるには、加圧用ばね体21,31の内側に配置されるヒートパイプの断面積(上下の電極に接する面積)が制約を受けてしまう。これに対し、実施例3における接続ユニット40は加圧用のばね体をヒートパイプの内部に設けているため、第1,第2の実施例においてばね体21,31を配置していた領域を有効に活用でき、ヒートパイプの断面積を大きくでき、冷却効率を高めることができる。
ここで、図5に示した例において、ヒートパイプ内にコイル状のばねを封入しているが、良好な加圧力が得られるのであれば、これに限るものではない。図6は、ばね材として皿バネ51を用いて接続ユニット50を形成したものである。
図6についても、上記と同様に、ヒートパイプ52内に皿バネ51を挿入した後接続ユニット上部電極にてパイプ内を封止し、パイプ内を真空にした後作動液を注入して封止する。図6の例では、皿バネ51を用いることにより所望の加圧力を得つつ、ヒートパイプの高さを抑制することができる。従って接続ユニットを薄型化でき、圧接型半導体装置に組み込んだ際、圧接型半導体装置の薄型化を図ることができる。
前記したようにこの発明においては、圧接型半導体装置の内部のコンタクト端子と外部接続電極との間にヒートパイプを設けて、半導体素子から外部接続電極への熱伝導度を高めているが、このヒートパイプを、図7,図8,図9に示すように構成すると、ヒートパイプの熱伝導性能を更に向上することができる。
図7は、ベローズ型ヒートパイプの中央部に補助ウィックを配設した例を示すものである。蛇腹状に構成したパイプ22aの内側に主ウィック22bを被着し、内部の中央部に上下のフランジ板23f,23g間を連結するように補助ウィック22hを設ける。この補助ウィック22hは、金網にウィック材を被着して伸縮可能に構成される。
図8は、ダイヤフラム型ヒートパイプの中央部に補助ウィックを配設した例を示す。
ダイヤフラム型パイプ22c内の中央部に図7と同様に補助ウィック22hが設けられている。
また、図9(a)は、図4の構成におけるヒートパイプ32の中央部分に補助ウィック32hを設けた例である。図9(b)は図5の構成におけるヒートパイプ42に封入したばね体41の表面に粉体塗装を施してウィックの機能を持たせた例である。ばね体41の表面に粉体塗装を施す代わりにばね体41の表面に金属細線を巻きつけた構成としてもよい。図9(c)では、同図(b)の構成に更に中央部分に補助ウィック42hを設けている。
このように、ヒートパイプ内に補助ウィックを設けることにより、ヒートパイプの冷却側から発熱側への作動液の還流が促進されるため、効率よく熱を移動することが可能となる。特に、伸縮型ヒートパイプの発熱側となる半導体素子側では、作動液が外周部へ還流されて蒸発し、中央部の供給が減少するが、中央部補助ウィックを設けることにより、作動液が半導体素子側の中央部にも集まり、半導体素子の全面をほぼ均等に冷却することができるようになる。
また、上記の実施例において、ヒートパイプの端面形状や断面形状を円形として説明したが、これに限るものではない。円形、楕円形、多角形等から選択すればよい。特に、ヒートパイプの端面を半導体素子と同形状(四角形)とすると接触面積が最大となって冷却効率を高めることができる。
第1の実施例である圧接型半導体装置を示すもので、(a)は、正面断面図、(b)は、上部外部接続電極を取り外した状態の平面図である。 この発明に使用するベローズ型ヒートパイプの詳細を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。 この発明に使用するダイヤフラム型ヒートパイプの詳細を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。 第2の実施例である圧接型半導体装置を示すもので、(a)は、正面断面図、(b)は、上部外部接続電極を取り外した状態の平面図である。 第3の実施例である圧接型半導体装置を示すもので、(a)は、正面断面図、(b)は、上部外部接続電極を取り外した状態の平面図である。 第3の実施例である圧接型半導体装置の変形例を示す図である。 この発明に使用するベローズ型ヒートパイプの異なる例を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。 この発明に使用するダイヤフラム型ヒートパイプの異なる例を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。 第2,第3の実施例における接続ユニットの変形例を示すである。 従来の圧接型半導体素子を示す正面断面図である。
符号の説明
1,2:上部および下部の外部接続電極
3 :基板
4 :絶縁環
5,6:上部および下部のフランジ
11 :半導体素子(IGBT)
12 :半導体素子(FWD)
15 :半田
16 :位置決めガイド
21,31,41,51 :半導体素子加圧用ばね体
22,32,42、52 :伸縮性を有するヒートパイプ
30,40,50 :接続ユニット
10,101,102,103 :半導体ユニット

Claims (7)

  1. 電気的および熱的高伝導材により形成した上下の一対の外部接続電極により複数の半導体素子を挟み込み、この一対の接続電極を絶縁環を介して一体に結合し、前記接続電極と半導体素子とを加圧して接続するようにした圧接型半導体装置において、
    前記一方の外部接続電極と複数の半導体素子との間にそれぞれ半導体素子を加圧するためのばね体と伸縮性を有するヒートパイプとを並置し、加圧により半導体素子と接続電極とを電気的および熱的に接続したことを特徴とする圧接型半導体装置。
  2. 電気的および熱的高伝導材により形成した上下の一対の外部接続電極により複数の半導体素子を挟み込み、この一対の接続電極を絶縁環を介して一体に結合し、前記接続電極と半導体素子とを加圧して接続するようにした圧接型半導体装置において、
    一対のユニット電極間に伸縮性を有するヒートパイプと加圧用ばね体とを並置し、前記ユニット電極と前記ヒートパイプとを一体に結合してなる接続ユニットを、前記一方の外部接続電極と複数の半導体素子との間にそれぞれ設け、加圧により半導体素子と接続電極とを電気的および熱的に接続したことを特徴とする圧接型半導体装置。
  3. 電気的および熱的高伝導材により形成した上下の一対の外部接続電極により複数の半導体素子を挟み込み、この一対の接続電極を絶縁環を介して一体に結合し、前記接続電極と半導体素子とを加圧して接続するようにした圧接型半導体装置において、
    伸縮性を有し内部に加圧用ばね体を備えたヒートパイプを、前記一方の外部接続電極と複数の半導体素子との間にそれぞれ設け、加圧により半導体素子と接続電極とを電気的および熱的に接続したことを特徴とする圧接型半導体装置。
  4. 請求項3に記載の圧接型半導体装置において、
    前記加圧用ばね体をウィックとして形成することを特徴とする圧接型半導体装置。
  5. 請求項1ないし請求項3に記載の圧接型半導体装置において、前記ヒートパイプの外郭のパイプが金属薄板によりベローズ状に形成されていることを特徴とする圧接型半導体装置。
  6. 請求項1記載の圧接型半導体装置において、前記ヒートパイプの外郭のパイプが可撓性を有する金属薄板によりダイヤフラム状に形成されていることを特徴とする圧接型半導体装置。
  7. 請求項1ないし請求項6に記載の圧接型半導体装置において、前記ヒートパイプのパイプの中央部に伸縮性を有する補助ウイックを封入したことを特徴とする圧接型半導体装置。
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