JP2012059869A - 固定部材 - Google Patents

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誠治 石田
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Abstract

【課題】半導体素子を基板回路へ圧着させる固定部材提供する。
【解決手段】円筒形状を有する弾性芯体1の胴部分に、繊維形状の熱収縮連続体2を、弾性芯体1の胴部分の両端0.2mm以内を除き、コイル状に30〜500回巻き付け、弾性芯体1の胴部分の長さ方向の中央部の直径が、弾性芯体1の両端部の平均直径の10〜70%とし、熱収縮連続体2を熱収縮させて弾性芯体1を胴芯方向へ締め付けると共に胴長手方向へ形態を変化させる。
【選択図】図1

Description

本発明は熱を加えることによって伸長する棒状形状を有する固定部材に関する。更に詳しくは、連続体の熱収縮を利用し弾性芯体を胴長手方向へ伸長させる機構に関する。また、前記の部材の製造方法に関する。
従来、半導体やMEMS(「Micro Electro Mechanical Systems,微小電気機械システム」の略称)実装分野について部品の熱膨張や接着剤の収縮、膨張、締結の緩みを調整する機構として樹脂や金属の弾性を利用した方法が知られていた。(例えば特許文献1参照)。しかし掛かる従来技術は回路基板上において、
1)突起電極により電気的な導通を得て半導体素子を位置決めされた後に、
2)この半導体素子の周辺部に接合材料を供給し、
3)半導体素子の背面と接合樹脂上に板材を載置し、
4)加熱して接合樹脂を硬化させる、工程を有していた。接合樹脂の硬化により、面方向への膨張が生じ、この膨張により、板材を介して半導体素子を回路基板側へ押付けて固定されていた。このような半導体素子が回路基板に圧接する方法では、接着剤の微細部分への適正な配置が煩雑でかつ困難な課題を有していた。
更に、かかる従来技術は全ての使用部材における平行度、垂直度を調整することにより、各部材の形状、仕上げの精度を一定水準以上に保つ必要があり、使用部材が多い程、精度保持に伴うコストが向上するという問題点があった。
一方、かかる各部材の形状、仕上げの精度保持に伴うコスト向上という問題点を解消すべく、放熱構成部材を減らし、熱ストレスやたわみの発生を抑えることにより、より効率的にICを冷却するIC冷却装置という発明がなされた(例えば、特許文献2参照)。
しかし、かかる発明は冷却ブロック内の伝熱支柱をバネで押さえICパッケージと接圧させるという点では改良されたものの、組み付け中に伝熱支柱を押さえたバネが外れ、紛失や最悪の場合半導体間にまぎれ込み通電時に短絡(ショート)トラブルを生じ基板のみならず装置全体の制御機能を失うという点で問題であった。
特開2000−21927号 特開2000−338173号 なし
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、熱膨張する接着剤の使用により、微細部分への適正な配置が煩雑かつ困難である課題や金属バネの様に短絡トラブルが生じない安定した密着状態を保持することに優れた固定部材を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1.円筒形状を有する弾性芯体の胴部分に、繊維形状の連続体を30〜500回巻き付けられている固定部材。
2.弾性芯体の胴部分の両端0.2mm以内には連続体が巻き付けられていないことを特徴とする、上記1項記載の固定部材。
3.伸張処理後の弾性芯体の胴部分の長さ方向の中央部の直径が、弾性芯体両端部の平均直径と比較して、10〜70%であることを特徴とする、上記1〜2いずれか1項に記載の固定部材。
4.弾性芯体がゴム、あるいは樹脂系エラストマーから成る上記1〜3いずれか1項に記載の固定部材。
5.繊維形状の連続体が、ガラス転移点温度から5℃高い温度での熱処理により20%以上の収縮率を有することを特徴とする、上記1〜4いずれか1項に記載の固定部材
6.弾性芯体の外周へ接着樹脂を付与しつつ繊維形状の連続体を巻きつけることを特徴とする、固定部材の製造方法。
7.接着樹脂が水系エマルジョン系である上記6に記載の固定部材の製造方法。
本発明の固定部材を用いることで、半導体やMEMS実装分野において、実装後の加熱により容易に半導体素子と基板回路を圧着することができ、金属バネの様に短絡トラブルが生じない安定した密着状態を保持することに優れた固定部材を提供するものである。
以下、本発明の最良の形態例を図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係る固定部材の斜視図、図2は同部材の熱収縮処理後の斜視図、図3は同部材の縦断図及び横断面図、図4は同部材の熱収縮処理後の縦断図及び横断面図、図5は組み付け及び加熱処理後の実装時配置例図である。
図1に示す本発明に係る固定部材Aについては、弾性芯体1の胴部分へ繊維形状の連続体2を巻き付けた構造である。
弾性芯体1は、弾性力のあるゴムや樹脂系エラストマーが挙げられ、天然ゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム、TEE-PR系ゴム、フッ素樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、アクリル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、バイトン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。所定の性能を示す素材であれば特に限定されないが、耐熱性、柔軟性、電気絶縁性、平滑性に優れたシリコンゴムが特に好ましい。
弾性芯体1の横断面形状(芯体の長さ方向に垂直な断面)は、中実や中空の断面であっても、異型断面(偏平断面、楕円断面、△型断面、多角形状の断面、3〜14葉状の断面、T字断面、H字断面、V字断面、半円断面、C断面、田の字断面、井型断面、ハート型断面)であっても良いが、伸張部材を作成する作業性を考慮すると、中空丸断面が好ましい。これは、丸断面により全方向にわたり均一な力が伝達されることと、中空断面の弾性芯体を用いることで、中空部へ金属ロッドなどのガイドを通すことが可能となり、弾性芯体の位置決めが容易となり、またガイドの存在により弾性芯体の胴長手方向への形態変化を安定化させるために有利となるためである。しかし中空丸断面に限らず所定の物性が得られる形状であれば、どのような形状でもかまわない。
弾性芯体1の縦断面形状(芯体の長さ方向に平行な断面)は、一文字型、H型断面のいずれでも良い。弾性芯体の端面に案内板などの連続体の外れ止めを組み込んだり、H型断面の両端形状も円柱型、四角型、半円型など市販品の弾性芯体から切り出しや金型などに液状の弾性樹脂を流し込み硬化させた成型品でもかまわない、設置の安定性や接触する相手材よって形状を選択できる。
弾性芯体1の横断面形状(芯体の長さ方向に垂直な断面)に相当する直径は、必要な固定力から選定すれば良い。弾性芯体1の横断面の直径は0.25〜8mmが好ましく、より好ましくは0.5〜6mmであり、さらに好ましくは0.5〜4mmである。該弾性芯体の横断面形状の直径が0.25mm未満だと連続体を巻き付けた段階で弾性芯体が締め付けられ、胴長手方向へ伸長する問題が生じる。逆に8mm以上だと連続体2の熱収縮時による収縮力を弾性芯体1が吸収してしまい伸長性が出にくい問題が生じるため好ましくない。
弾性芯体1の肉厚は0.01〜3mmが好ましく、より好ましくは0.02〜2mmでさらに好ましくは0.05〜1mmである。肉厚が0.01mm未満では、芯体としての強力が十分ではなく、弾性芯体へ連続体の巻き付け工程で熱収縮連続体の巻きテンションにより弾性芯体の変形が生じてしまい、所定の伸長性が出にくくなるため好ましく無い。逆に肉厚が3mmを越えると熱収縮連続体2の収縮力を肉厚が吸収してしまい固定部材Aを胴長手方向への形態変化を阻害してしまう問題が生じるため好ましくない。
弾性芯体1の全長は連続体2の巻き幅や縦断面形状(芯体の長さ方向に平行な断面)及び使用環境の条件によって特に限定されないが、連続体2を巻き付けた両端から弾性芯体を露出させたほうが、端面に案内板などの外れ止めを用いることなく、所定の性能が得られるので好ましい。連続体2を巻きつけた両端から弾性芯体は0.2〜5mmほど露出させるのが好ましく、より好ましくは0.25〜4mmであり、さらに好ましくは0.5〜3mmである。弾性芯体の露出が0.2mm未満だと、熱収縮連続体の巻き型崩れや熱収縮された熱収縮連続体が弾性芯体を乗り越え型崩れする問題が生じる。逆に熱収縮連続体の端面から弾性芯体の両端露出が5mmを越えると、熱収縮時に弾性芯体を胴長手方向へ伸長させても露出している弾性芯体自体の弾力が伸長力を吸収してしまう、あるいは挫屈してしまうため好ましくない。
連続体2に用いられる素材は、例えば、結晶性ポリマー、非晶性ポリマーの何れであってもよいが、収縮率、収縮応力が高く、収縮後のクリープが小さい結晶性ポリマーが好ましい。芳香族ポリエステル、種々のグリコールを用いたポリエステル、芳香族ポリアミド、脂芳族ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、上記ポリマーを共重合したコポリマーが挙げあられ、特に紡糸延伸工程で高収縮糸が作りやすい観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が特に好ましい。またPETに共重合成分を加えてガラス転移点温度を調整する事も連続体の設計には有用である。
連続体2はガラス転移点温度+5℃の温度で20%以上熱収縮率を有することが好ましい。例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)のマルチフィラメント糸は、ガラス転移点温度90℃付近に対し、95℃の乾熱処理で収縮率70%を有するため好ましい。この収縮率は、製造条件において、速い紡糸速度と低温延伸させる方法により結晶化による定形化が減少し、高い熱収縮率を有することができる。このガラス転移点温度+5℃の温度での収縮率は、好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは50%以上である。
連続体2の形状は、例えば、糸(モノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、紡績糸、スリット糸、トウ)、織物(リボン)、紐(組紐、撚紐)、編み地(横編み、縦編み)、熱収縮フィルムテープ、熱収縮チューブなどが挙げられ、これらの繊維断面形状は中実断面、中空断面、丸断面、異型断面のいずれでもよく使用環境の条件によって形状を選択できる。例えば小形化を狙った固定部材には巻き嵩が小さく、熱収縮処理時に連続体が動きやすい方が好ましいため、丸断面のマルチフィラメント糸もしくはスリットテープが好ましい。
連続体2を弾性芯体1へ巻き付ける厚さは、弾性芯体1、連続体2の形状及び巻き巾、巻き量によって異なるが、例えば、弾性芯体の横断面形状(芯体の長さ方向に垂直な断面)が丸中空や丸中実の直径に対し、熱収縮連続体の巻き直径が1.1〜2.4倍が好ましい。巻き直径が1.1倍未満では、加熱処理時による連続体の熱収縮力が十分ではないため、弾性芯体が十分に伸長しない問題が生じる。逆に2.4倍を越えると巻き直径が大きくなりすぎるため、熱収縮連続体を巻く作業が煩雑になるうえ、巻き型崩れが生じ所定の形状を維持できない。好ましくは1.2〜2.2倍、さらに好ましくは1.5〜2.0倍である。
連続体2を弾性芯体1の外周に平行に巻く回数は、熱収縮連続体の繊度、素材形状や巻き巾にもよるが、30〜500回が好ましく、より好ましくは50〜400回であり、さらに好ましくは100〜200回である。重ね巻きする回数が30回未満だと弾性芯体を十分に締め付けることができず、逆に熱収縮連続体の巻き回数が500回を越えると熱収縮連続体を巻く作業が煩雑となるうえ、巻き型崩れやコスト高となる問題が生じるためである。
連続体2の巻き巾は固定部材Aを用いる用途よって特に限定されないが、例えば内径1.5mmφ×直径2.5mmφシリコンチューブの弾性芯体へ40デシテックス(dtex)12フィラメントのPPSマルチフィラメント糸の200回巻き付けた場合、巾3mmとなるように巻きつけることが好ましい。弾性芯体の胴部分の長さに対して、30〜90%の範囲で連続体2が巻きつけられていることが好ましい。
連続体2の巻きピッチは特に限定されないが、弾性芯体の直径に対し可能な限り平行に巻き付けることが好ましい。平行に巻きつけることによって、加熱処理時の連続体の収縮に伴う弾性芯体への締め付けが効率的に行われるためである。平行に巻き付けない場合、熱収縮連続体の収縮に伴い巻き崩れ現象が生じ、所定の形状を維持できない可能性があるため、好ましくない。
連続体は弾性芯体へテンションを加えながら巻き付けることが好ましい。例えば40デシテックス(dtex)12フィラメントのPPSマルチフィラメント糸では2〜40gが好ましく、より好ましくは3〜20gであり、さらに好ましくは5〜15gである。巻きテンションが2g未満では連続体の巻き付力けが弱く、弾性芯体のガタツキや位置ズレあるいは弾性芯体が抜ける問題が生じ、逆に40g以上のテンションを加えるとテンション調整用のテンサーと弾性芯体の間で糸延びや糸切れを生じてしまう。更に弾性芯体を過剰に締め付けると、加熱処理前にもかかわらず弾性芯体を僅かに伸長させたり、固定部材を実装する際にガイドの役目をするロッドへ通し難くなるなどの問題を生じるため好ましくない。使用繊度に対し0.05g/dtex〜1.0g/dtexの範囲で荷重をかければよい。
連続体2を弾性芯体1の外周に巻きつけた後、バインダー等の接着樹脂を用いることで、本発明に要求される所定の形状を維持することが可能となるため好ましい。バインダーは連続体2の巻き付け形状を保持しながら、加熱処理時に動きやすいことが求められる。バインダーとして例えばシリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、紫外線硬化樹脂が挙げられ、特に乾燥時に有機溶剤等を揮散させず弾性芯体が熱収縮しない温度でも硬化し十分な被膜を形成する水系樹脂バインダーが好ましく、本発明では水分散型ポリエステル樹脂として東洋紡績株式会社製、「バイロナール」を用いることができる。
バインダーには連続体2の収縮と弾性芯体1の伸長に差し支えない範囲で、顔料、抗菌剤、防かび剤、防虫(防ダニ)忌避剤、抗アレルゲン剤(アレルギー沈静化剤)、吸放湿剤、吸湿発熱剤、相変換型温度調節剤(MCP)、芳香剤、吸水剤、撥水剤、撥水撥油剤、防汚剤、耐光剤、耐候剤、光触媒系加工剤、柔軟剤、硬化剤、架橋剤、ダル剤などを混合しても良い。その場合も、それらの成分を含めたもの全体をバインダーの付着量と定義する。
バインダーの付与量は弾性芯体1へ巻き付ける連続体2に対し適量添加する。例えば、連続体にPPSマルチフィラメント糸を0.01g巻き付ける場合、バインダーは0.1gで、つまりPPSマルチフィラメント糸に対して10wt%である。熱収縮連続体を巻き付けと同時に余分なバインダーが滲み出た場合は、ブラシや吸い取り紙などで吸い取り除去してもかまわない。使用するバインダーによっては連続体2が熱収縮時にササクレ状の鱗片となって脱落、使用環境によっては異物混入の問題が生じるためバインダーの選定には注意が必要である。
バインダーの付与量は弾性芯体1へ巻き付ける連続体2の重量に対し1wt%〜200wt%が好ましく、より好ましくは10wt%〜150wt%であり、さらに好ましくは20wt%〜100wt%である。バインダー(接着樹脂)の付与量が1wt%以下では、連続体を巻き付けの際に巻き形状の保持が困難で巻き崩れの問題が生じ、逆に200wt%以上だとバインダー(接着樹脂)の液ダレが生じ、連続体を巻き付けた後に滲み出たバインダー(接着樹脂)の除去にブラシや吸い取り紙などで吸い取り作業が必要で、使用するバインダーによっては連続体2が熱収縮時にササクレ状の鱗片となって脱落、使用環境によっては異物混入の問題が生じるためである。
本発明の固定部材Aは連続体のガラス転移点温度より少なくとも5℃以上高い加熱処理によって連続体2が収縮し、これに伴い、弾性芯体が締め付けられる。この締め付けられた力により弾性芯体は長軸方向に変形し、伸長力が得られる。固定部材Aの伸長力は弾性芯体1の端面が相手材を押す力(cN)と弾性芯体1の横断面形状(弾性芯体の長さ方向に垂直な断面)の面積、中空の場合は直径から中空部を減じることで求めた面積(mm)により求められ、少なくとも1.7cN/mm以上、好ましくは6.5cN/mm以上、さらに好ましくは32cN/mm以上応力が得られる。例えば、内径1.5mmφ×直径2.5mmφシリコンチューブへPPSマルチフィラメント糸3mm巾×200回巻きの場合、熱処理により18cN/mm程度の伸長応力が得られる。この応力により、半導体素子等を回路基板上に固定することが出来る。
本発明の固定部材Aは連続体のガラス転移点温度より10℃以上高い加熱処理によって、弾性芯体の胴長手方向に伸長する。この際の伸長率は5〜100%であり、好ましくは10〜90%であり、さらに好ましくは20〜80%である。固定部材の伸長率が5%未満だと充分に伸長しないために、半導体素子等を十分に固定できない。逆に100%を越えると弾性芯体が伸びきってしまい、十分な伸長応力が得られない場合や弾性芯体の挫屈の問題が生じるため好ましくない。
本発明の固定部材Aは、弾性芯体1の外周へ、接着樹脂を付与しながら連続体2を所定回数巻き付ける工程と接着樹脂を硬化させる乾燥工程、及び弾性芯体の長さを調整する仕上げ工程によって製造することができる。
固定部材Aの製造方法の例として次の方法が挙げられる。弾性芯体1の外周へ連続体2を接着樹脂と共に巻き付け所定回数巻き付ける工程として、例えば一文字型の丸中空断面の弾性芯体では、弾性芯体の外形直径と同じ内径を有する、輪切りにした円筒または円盤を弾性芯体へ通し、熱収縮連続体の巻き付け巾を調整する。次いで弾性芯体の内径と同直径のロッドを通す。ロッドはテーパーのない円柱であれば材質は金属やプラスチック製のいずれでもよい。必要に応じて弾性芯体を複数個ロッドへ通し、ロッドの両端あるいは片方は、回転軸に固定する。
また、一文字型の中実丸断面の弾性芯体では、前記の弾性芯体の外形直径と同内径の円筒または円盤を弾性芯体へ通し連続体の巻き付け巾を調整する。また、弾性芯体の両端をチャックなどで固定する。連続体は弾性芯体へ結んだり端に引っ掛けたり、あるいはチャックに軽く引っ掛けるなどして仮固定させることが好ましい。
連続体の巻き付けは、テンサーなどでテンションを調整し所定の巻き数になるまで弾性芯体を回転させ巻き付ける。弾性芯体を回転させる方法は特に限定されないが手動あるいはモーターなどの動力によって回転させてもかまわない。巻き付けた連続体の端末は結ぶ、あるいは滴下した固定樹脂と共に接着させるなどして固定することが好ましい。
連続体を接着樹脂により固定した場合、乾燥工程が必要となる。乾燥工程は、弾性芯体へ滴下した接着樹脂の種別や接着樹脂の硬化具合によって、乾燥条件を設定できるが、乾燥温度は0℃〜使用する連続体の(ガラス転移点温度−10℃)の範囲であることが必要である。例えばガラス転移点温度が90℃付近のPPSマルチフィラメント糸を使用する場合は80℃以下、ガラス転移点温度が75℃付近のポリエステルマルチフィラメント糸を使用する場合は65℃以下で乾燥処理することが好ましい。
連続体のガラス転移点−10℃以上よりも高い温度で乾燥させると連続体の収縮が始まるため好ましくない。乾燥温度は例えば20℃〜(ガラス転移点温度―15℃)の範囲が好ましく、更に好ましくは40℃〜(ガラス転移点温度−20℃)の範囲である。必要に応じて減圧乾燥や昇華法を用いることもできる。0℃でも条件により時間をかけることで乾燥は可能であるが、乾燥時間が長時間となるため、好ましくは20℃、より好ましくは40℃である。乾燥時間は、連続体へ滴下したバインダーの種別やバインダーの硬化具合によって適宜調整することができる。例えばPPSマルチフィラメント糸に好適に使用される水分散型ポリエステル樹脂として東洋紡績株式会社製、「バイロナール」(登録商標)を用いた場合、60℃×3時間が挙げられる。また、シリコーン樹脂バインダーには空気中の湿気によって硬化するタイプもあるため、使用するバインダーに応じて温度×時間の最適な硬化条件を設定するのが好ましい。
仕上げ工程は、弾性芯体から熱収縮連続体の巻き付け巾を調整した円筒または円盤及びロッドを外し、熱収縮連続体の両端から露出した弾性芯体は露出長を所定の幅の位置で刃物等により切断することで固定部材Aが得られる。
固定部材Aの伸長力を得るには、図5の様に半導体や半導体やMEMS実装分野などの基板へ組み付けられた後に、(ガラス転移点温度−10℃)以上の加熱処理によって、連続体を熱収縮させることが必要である。熱源としては、熱風、沸騰水、加熱蒸気、加熱された熱媒、マイクロウエーブなどが挙げられる。特に処理が簡単で取扱いやすさから熱風、沸騰水及び過熱されたコテ等による接触加熱が好ましい。具体的には、固定部材Aを伸長させ得る加熱温度は、例えば連続体2がPPSマルチフィラメント糸なら80℃〜160℃、PETマルチフィラメント糸なら65℃〜170℃で加熱処理するのが好ましい。更に好ましくは(ガラス転移点温度−5℃)〜160℃である。加熱温度が(ガラス転移点温度−10℃)未満では連続体2が収縮しにくいため、固定部材Aの十分な伸張力が得られず、逆に160℃を超えると連続体の緩和が生じるため固定部材Aとしての所定の収縮力が得られず好ましくない。
固定部材Aの加熱時間は部材の大きさや加熱温度に依存するが1秒〜30分が好ましく、好ましくは5秒〜15分、更に好ましくは10秒〜5分である。加熱時間が1秒未満であると熱収縮連続体の収縮ムラが生じるため十分な伸張力が得られず、逆に30分を越えるとバッチ処理サイクル数の低下といった問題や連続体の緩和が進行し、所定の伸張力が得られないため、好ましくない。
固定部材Aは加熱処理よって図3から図4の様に連続体2が弾性芯体1を締め付ける。この締め付けにより、弾性芯体は締め付けられた分、胴長手方向に移動し、固定部材Aとしては伸長する。このように、連続体2の収縮と、弾性芯体の収縮、移動が、固定部材を伸張させるため、連続体2の収縮率、弾性芯体の組成、形状(断面形状や中空形状)が本願発明において非常に重要である。
固定部材Aが図3から図4の様に伸張処理によって連続体2が収縮し、弾性芯体1が伸長するが、この弾性芯体1の加熱後の両端の平均直径と、中央部の横断面(芯体の長さ方向に垂直な断面)の直径との比(直径収縮比)が10%〜70%が好ましく、更に好ましくは12%〜68%である。直径収縮比が10%以下では固定部材Aの伸長力及び伸長率が十分に得られず、逆に70%を越えると固定部材Aが実装の際に挫屈する恐れがあり、取扱い性に問題が生じるため好ましくない。この範囲になるような弾性芯体の素材、直径(中空状態)、および連続体の収縮率、収縮応力、巻き回数、巻きTN、および必要に応じ接着樹脂を選定することにより、所望の伸張率、伸張応力を有する固定部材が得られる。なお、伸張処理の方法としては加熱処理が挙げられる。
固定部材Aを加熱処理によって伸長させた後の使用温度範囲は、(ガラス転移点温度−20℃)以下が好ましく、さらに好ましくは(ガラス転移点温度−30℃)以下である。使用温度を超える温度で固定部材Aを使用すると、収縮状態である連続体2が長期使用でクリープ緩和が進み、弾性芯体の伸長が少なくなるため好ましくない。低い温度においては特に限定されないが、通常環境温度以上(−10℃以上)であれば問題はない。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(連続体の強度・伸度・弾性率)
本発明における強度、伸度、弾性率などは、オリエンティック社製「テンシロン」を用い、試料長200mm(チャック間長さ)、伸長速度100%/分の条件で歪−応力曲線測定した。測定環境は雰囲気温度20℃、相対湿度65%であった。その最大応力を繊度で割り返した値を強度(cN/dtex)として求めた。そのときの伸び率を伸度(%)とした。なお、各値は5回の測定の平均値を使用した。
熱収縮連続体に用いた糸の収縮率測定法
(熱収縮糸の熱水収縮率)
JIS L 1013 8.18.1 熱水収縮率 (B法)を用いて測定を行った。なお、湯の温度としては、50℃〜約100℃の各温度に30分浸漬した後、取り出して吸取紙又は綿布で水を拭き取り、水平状態で風乾させた。風乾後に再度、初荷重をかけて2点間の長さL1(mm)を測定した。熱水収縮率(SHW)(%)は次式により求めた。
熱水収縮率(SHW)=[(500−L1)/500]×100(%)
(熱収縮糸の乾熱収縮率)
JIS L 1013 8.18.2 乾熱収縮率 (B法)を用いて測定を行った。なお、温度として、50℃〜160℃の各温度条件で30分処理した。乾燥後冷却し、再度その長さL2(mm)を測定した。乾熱収縮率(SHD)(%)は次式により求めた。
乾熱収縮率(SHD)=[(500−L2)/500]×100(%)
(熱収縮糸のDSC測定法によるTg測定)
TAインスツルメント・ジャパン(株)製のDSC及びその解析ソフトより求めた。
冶具 : アルミパン
測定温度領域 : 30℃ 〜 130℃
昇温速度 : 10℃/min
雰囲気 : 窒素
測定に供するサンプルを、アルミパンに2.0mgとなるように調整して測定を行った。ガラス転移点温度(Tg)はDSCチャートにおいて、JIS K7121−1987で定義されるガラス転移点温度を採用した。
(固定部材に使用される弾性芯体の伸長力測定法)
弾性芯体が加熱処理された時に発現する伸長力は次のようにして求めた。
予めバネ定数が既知の金属製の圧縮コイルバネと弾性芯体とを直列に結合させた。両端を固定し、コイルバネ、弾性芯体とも所定の温度×時間での熱処理を行った。
弾性芯体が変形し、コイルバネとの変異量結合点のX(mm)から、弾性芯体の伸張力Y(cN)を算出した。さらに弾性芯体の断面積(芯体の長さ方向に垂直な断面)から面積あたりの伸長部材の伸長力を求めた値を弾性芯体の伸長度cN/mmとした。
(弾性芯体の伸長率測定方法)
弾性芯体が加熱処理された時に発現する伸長率は次のようにして求めた。
加熱処理前の弾性芯体の長さL3(mm)とし、所定の温度×時間処理後の弾性芯体の長さをL4とした。上記L3、L4を下記式に代入し弾性芯体の伸長率を求めた。
弾性芯体の伸長率=[(L4−L3)/L3]×100(%)

(弾性芯体の加熱処理方法)
棒状伸長部材と圧縮コイルバネを直列に配置し、熱水処理(95℃の沸騰水に10秒間浸漬)させた後、直ちに引き上げ、そのまま静置し、常温(25℃)まで放冷により冷却した。

(弾性芯体の横断面積の定義)
棒状伸長部材に用いられる弾性芯体の横断面積(芯体の長さ方向に垂直な断面)は、その加熱処理前の直径から求めた。なお、中空部がある場合は中空部を除いた値を断面積とした。
(連続体の巻き倍率の定義)
連続体を弾性芯体へ巻き付けた際、外形直径をL5(mm)と弾性芯体の直径L6(mm)とし、上記L5、L6を下記式に代入し熱収縮連続体の巻き倍率を求めた。
熱収縮連続体の巻き倍率=L5/L6
弾性芯体の直径に対し熱収縮連続体の巻き付け状態を確認する一つの指標である。

(弾性芯体の直径減少率の定義)
加熱処理前の弾性芯体直径をL7(mm)、熱処理によって伸長後の弾性芯体の直径をL8(mm)とした。上記L7、L8を下記式に代入し弾性芯体の直径減少率を求めた。
弾性芯体の直径減少率=[(L8−L7)/L7]×100(%)
ここで加熱処理され伸長した棒状伸長部材の弾性芯体の直径は、弾性芯体の長さの1/2の部分を横断面(芯体の長さ方向に垂直な断面)方向へカットし、露出した弾性芯体の直径をL8(mm)とした。
実施例A 熱収縮連続体;PPSマルチフィラメント糸の作成
310℃でのせん断速度1200毎秒での溶融粘度Pa・秒値によって現されるMV値が160のポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)を紡速4000m/分で溶融紡糸して引き取った後、送り速度20m/分の延伸装置で75℃に加熱した送りロールと室温の引き取りローラーとの間で1.33倍に延伸して繊度40デシテックス(dtex)/12フィラメントのPPSマルチフィラメント糸を得た。このPPSマルチフィラメント糸の繊維の特性、熱収縮挙動(乾熱収縮率、熱水収縮率)を表1、表2に示した。
実施例B 熱収縮連続体;PETマルチフィラメント糸の作成
極限粘度0.63のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を紡速3000m/分で溶融紡糸して引き取った後、送り速度400m/分の延伸装置で85℃に加熱した送りロールと室温の引き取りローラーとの間で1.5倍に延伸して繊度55デシテックス(dtex)12フィラメントのPETマルチフィラメント糸を得た。このPETマルチフィラメント糸の繊維の特性、熱収縮挙動(乾熱収縮率、熱水収縮率)を表3、表4に示した。
実施例A−1
弾性芯体の縦断面形状が一文字型、横断面形状が丸中空断面型のシリコンチューブ(内径1.5mmφ×直径2.5mmφ)を長さ6mmにカットした(販売元、アズワン株式会社)。別途、内径2.5mmφ×外径4mmφ(販売元、アズワン株式会社)のポリウレタンチューブを準備し、上記シリコンチューブの両端から同じ幅(1.5mm)差込み、連続体の巻き付け巾3mmのガイドとなるように設定した。次いで1.5mmφ金属ロッドをシリコンチューブの内径に沿わせて挿入し金属ロッドをチャックに固定した。このように連続体の巻き付け巾3mmに調整したシリコンチューブに実施例Aで作成したPPSマルチフィラメント糸の端末を巻きつけ、固定し、接着樹脂を付与しながら連続体をシリコンチューブに巻きつけた。接着樹脂としては、水分散型ポリエステル樹脂バイロナールMD1480(東洋紡績株式会社製)を使用した。巻きテンションを10g/40dtex(0.25g/dtex)でPPSマルチフィラメント糸を200回巻き付けた後に糸の端末を結んで固定した。次いでチャックから金属ロッドを外し60℃×3時間の熱風式乾燥機で接着樹脂を乾燥、固着させ、乾燥後に金属ロッド及びポリウレタンチューブを除去した。除去後、巻き付けたPPSマルチフィラメント糸の両端から0.325mmの位置でシリコンチューブをカットした。得られた固定部材は全長3.65mm、連続体を巻きつけた部分の外形(巻き直径)は4.5mmφ、巻き肉厚1mm及び巻き倍率は1.80倍であった。
実施例A−2
実施例A−1で用いた弾性芯体のシリコンチューブへ実施例Aで得られた連続体のPPSマルチフィラメント糸を400回巻き付けた以外は実施例A−1と同一条件で作成した。得られた固定部材は全長3.65mm、連続体を巻きつけた部分の外形(巻き直径)は5.9mmφ、巻き肉厚1.7mm及び巻き倍率は2.36倍であった。
実施例A−3
弾性芯体の縦断面形状が一文字型、横断面形状が丸中空断面型のシリコンチューブ(内径0.5mmφ×直径1.5mmφ)を長さ5mmにカットした(販売元、アズワン株式会社)。別途、内径1.5mmφ×外径2.5mmφ(販売元、アズワン株式会社)のポリウレタンチューブを準備し、上記シリコンチューブの両端から同じ幅(1.5mm)差込み、連続体の巻き付け巾2mmのガイドとなるように設定した。次いで0.5mmφ金属ロッドをシリコンチューブの内径に沿わせて挿入し金属ロッドをチャックに固定した。このように連続体の巻き付け巾3mmに調整したシリコンチューブに実施例Aで作成したPPSマルチフィラメント糸の端末を巻きつけ、固定し、接着樹脂を付与しながら連続体をシリコンチューブに巻きつけた。
接着樹脂としては、水分散型ポリエステル樹脂バイロナールMD1480(東洋紡績株式会社製)を使用した。巻きテンションを5g/40dtex(0.125g/dtex)でPPSマルチフィラメント糸を100回巻き付けた後に糸の端末を結んで固定した。次いでチャックから金属ロッドを外し60℃×3時間の熱風式乾燥機で接着樹脂を乾燥、固着させ、乾燥後に金属ロッド及びポリウレタンチューブを除去した。除去後、巻き付けたPPSマルチフィラメント糸の両端から0.23mmの位置でシリコンチューブをカットした。得られた固定部材は全長2.46mm、連続体を巻きつけた部分の外形(巻き直径)は1.75mmφ、巻き肉厚0.13mm及び巻き倍率は1.17倍であった。
実施例A−4
弾性芯体の縦断面形状が一文字型、横断面形状が丸中空断面型のシリコンチューブ(内径1mmφ×直径3mmφ)を長さ6mmにカットした(販売元、アズワン株式会社)。別途、内径3mmφ×直径6mmφ(販売元、アズワン株式会社)のビニールチューブを準備し、上記シリコンチューブの両端から同じ幅(2.0mm)差込み、連続体の巻き付け巾2.0mmのガイドとなるように設定した。次いで1.0mmφ金属ロッドをシリコンチューブの内径に沿わせて挿入し金属ロッドをチャックに固定した。このように連続体の巻き付け巾2mmに調整したシリコンチューブに実施例Aで作成したPPSマルチフィラメント糸の端末を巻きつけ、固定し、接着樹脂を付与しながら連続体をシリコンチューブに巻きつけた。
接着樹脂としては、水分散型ポリエステル樹脂バイロナールMD1480(東洋紡績株式会社製)を使用した。巻きテンションを10g/40dtex(0.25g/dtex)でPPSマルチフィラメント糸を50回巻き付けた後に糸の端末を結んで固定した。次いでチャックから金属ロッドを外し60℃×3時間の熱風式乾燥機で接着樹脂を乾燥、固着させ、乾燥後に金属ロッド及びポリウレタンチューブを除去した。除去後、巻き付けたPPSマルチフィラメント糸の両端から0.6mmの位置でシリコンチューブをカットした。得られた固定部材は全長3.2mm、連続体を巻きつけた部分の外形(巻き直径)は3.3mmφ、巻き肉厚0.15mm及び巻き倍率は1.10倍であった。
実施例A−5
実施例A−4で用いた弾性芯体のシリコンチューブを用い、実施例Aで得られた熱収縮連続体のPPSマルチフィラメント糸を100回巻き付けた以外は実施例A−4と同一条件で作成した。仕上げ加工として巻き付けたPPSマルチフィラメント糸の両端から1mmの位置でシリコンチューブをカットして得られた固定部材は全長4mm、連続体を巻きつけた部分の外形(巻き直径)は3.75mmφ、巻き肉厚0.38mm及び巻き倍率は1.25倍であった。
実施例A−6
実施例A−4で用いた弾性芯体のシリコンチューブへ実施例Aで得られた熱収縮連続体のPPSマルチフィラメント糸を200回巻き付けた以外は実施例A−4と同一条件で作成した。仕上げ加工として巻き付けたPPSマルチフィラメント糸の両端から0.8mmの位置でシリコンチューブをカットして得られた固定部材は全長3.6mm、連続体を巻きつけた部分の外形(巻き直径)は4.15mmφ、巻き肉厚0.58mm及び巻き倍率は1.38倍であった。
実施例A−7及びA−8
弾性芯体の縦断面形状が一文字型、横断面形状が丸中空断面型のシリコンチューブ(内径2mmφ×直径4mmφ)を長さ6mmにカットした(販売元、アズワン株式会社)。別途、内径4mmφ×直径8mmφ(販売元、アズワン株式会社)のビニールチューブを準備し、上記シリコンチューブの両端から同じ幅(2.0mm)差込み、連続体の巻き付け巾2.0mmのガイドとなるように設定した。次いで2.0mmφ金属ロッドをシリコンチューブの内径に沿わせて挿入し金属ロッドをチャックに固定した。このように連続体の巻き付け巾2mmに調整したシリコンチューブに実施例Aで作成したPPSマルチフィラメント糸の端末を巻きつけ、固定し、接着樹脂を付与しながら連続体をシリコンチューブに巻きつけた。接着樹脂としては、水分散型ポリエステル樹脂バイロナールMD1480(東洋紡績株式会社製)を使用した。
巻きテンションを10g/40dtex(0.25g/dtex)でPPSマルチフィラメント糸を200回巻き付けた後に糸の端末を結んで固定した。次いでチャックから金属ロッドを外し60℃×3時間の熱風式乾燥機で接着樹脂を乾燥、固着させ、乾燥後に金属ロッド及びポリウレタンチューブを除去した。除去後、巻き付けたPPSマルチフィラメント糸の両端から1.35mmの位置でシリコンチューブをカットした。得られた固定部材は全長4.7mm、連続体を巻きつけた部分の外形(巻き直径)は5.0mmφ、巻き肉厚0.5mm及び巻き倍率は1.25倍であった。
尚、実施例A−7は熱収縮処理時にガイドロッドなしで行った。A−8は弾性芯体の内径と同直径の金属性ロッド(SUS304)をガイドロッドへ通した状態で熱収縮処理を行った。
実施例A−9
実施例A−1において、連続体の巻き形状を保持する接着樹脂を耐水性シリコーン樹脂KE−347W(信越化学工業株式会社製)へ変更した。この耐水性シリコーン樹脂は空気中の湿気と反応し硬化するため、20℃×65%RHの雰囲気下で24時間硬化させた。それ以外は実施例A−1と同一条件で作成した。得られた棒状伸長部材は全長3.65mm、熱収縮連続体は巻き直径4.6mmφ、巻き肉厚1.00mm及び巻き倍率は1.80倍であった。
実施例A−10
弾性芯体の縦断面形状が一文字型で横断面形状が丸中実断面のシリコン丸紐硬度56(直径3mmφ)を長さ10mmにカットした(株式会社扶桑ゴム産業製)。別途、内径3mmφ×直径6mmφ(販売元、アズワン株式会社)のビニールチューブを準備し、上記シリコン丸紐硬度56の両端から同じ幅(3.0mm)差込み、連続体の巻き付け巾4.0mmのガイドとなるように設定した。次いでシリコン丸紐硬度56の両端をチャックに固定した。このように連続体の巻き付け巾4mmに調整したシリコン丸紐に実施例Aで作成したPPSマルチフィラメント糸の端末を巻きつけ、固定し、接着樹脂を付与しながら連続体をシリコンチューブに巻きつけた。接着樹脂としては、水分散型ポリエステル樹脂バイロナールMD1480(東洋紡績株式会社製)を使用した。
巻きテンションを10g/40dtex(0.25g/dtex)でPPSマルチフィラメント糸を200回巻き付けた後に糸の端末を結んで固定した。次いでチャックから金属ロッドを外し60℃×3時間の熱風式乾燥機で接着樹脂を乾燥、固着させ、乾燥後に金属ロッド及びポリウレタンチューブを除去した。除去後、巻き付けたPPSマルチフィラメント糸の両端から0.5mmの位置でシリコンチューブをカットした。得られた固定部材は全長5.0mm、連続体を巻きつけた部分の外形(巻き直径)は4.8mmφ、巻き肉厚0.90mm及び巻き倍率は1.60倍であった。
実施例B−1
連続体として実施例Bで作成したPETマルチフィラメント糸以外は、実施例A−1の条件で作成した。仕上げ加工として巻き付けたPETマルチフィラメント糸の両端から0.35mmの位置でシリコンチューブをカットした。得られた固定部材は全長4.0mm、熱収縮連続体は巻き直径5.2mmφ、巻き肉厚1.35mm及び巻き倍率は2.08倍であった。
比較例1
連続体の巻回数を10回とした以外は実施例A−1と同一条件で作成した。連続体は巻き直径2.6mmφ、巻き肉厚0.05mmφ及び巻き倍率は1.04倍であった。
比較例2
連続体の巻回数を700回とした以外は実施例A−1と同一条件で作成した。連続体は巻き直径7.3mmφ、巻き肉厚2.40mmφ及び巻き倍率は2.92倍であった。
比較例3
実施例A−1において、PPSフィラメントを巻き付けたのち、巻き付けたPPSマルチフィラメント糸の両端から0.05mmの位置でシリコンチューブをカットした以外は実施例A−1と同一条件で作成した。得られた固定部材は全長3.10mmであった。
比較例4
実施例A−1において、20mmの弾性芯体を準備し、PPSフィラメントを巻き付けたのち、巻き付けたPPSマルチフィラメント糸の両端から7.0mmの位置でシリコンチューブをカットした以外は実施例A−1と同一条件で作成した。得られた固定部材は全長17.0mmであった。
実施例、比較例で得られた棒状伸長部材を表5に示す熱処理条件を用いて熱処理を行った。熱処理を行うことで、連続体収縮することで固定部材自体が伸長する。この熱処理後の結果も表5に示した。
実施例A−1及びA−2は、熱収縮連続体の巻き回数の違いであるが、共に好ましい結果であった。
実施例A−3は、細い弾性芯体を用いることで、高い伸長力が得られることを示した。これは弾性芯体のシリコンチューブの直径が細く柔軟性があるため、PPSマルチフィラメント糸の熱収縮時の締め付け力を弾性芯体の胴長手方向へ伝えやすいため、と考えられる。
実施例A−4、A−5及びA−6では、弾性芯体の肉厚1mmに対し熱収縮連続体の巻き数を変えたが、良好な伸長力及び伸長率が得られた。
実施例A−7及びA−8は、弾性芯体の横断面形状を太くしても良好な伸長率及び伸長力が得られた。特に実施例A−8は、弾性芯体の中空部へガイドロッドを挿すことで連続体の収縮時の変形が、胴芯方向ではなく伸長方向へ変形されるため、伸長が大きくなった。固定部材の伸長にガイドロッドは有用であった。
実施例A−9は、熱収縮連続体の固定バインダーにシリコーン樹脂を用いたが、こちらも、良好な伸長率及び伸長力が得られた。
実施例A−10は、丸中実の弾性芯体を用いても、良好な伸長力及び伸長率が得られた。所定の形状であれば、中実の弾性芯体であっても棒状伸長部材として有用であった。
実施例B−1は、熱収縮連続体にPETマルチフィラメント糸を用いても良好な伸長力及び伸長率が得られる。所定の収縮力、収縮応力を有していれば、固定部材の資材に有用である。
比較例1は、実施例1の条件において、巻き回数が10回と少なくした例である。少ない巻き回数のために、連続体収縮時の締め付け力が十分ではなく、棒状伸長部材としては十分な伸長力が得られなかった。
比較例2は、実施例1の条件において、巻き回数を700回と多くした例である。多い牧回数のために、巻き付け作業後、ガイドを取り外した時点で連続体の巻き崩れが生じ、作業性が悪くなり使用困難となった。
実施例A−21は、実施例A−1に比べ連続体巻きつけ、乾燥後のカット長さを0.10mmと極端に短くしたものである。棒状伸長部材として熱収縮を行うことで身長されたが、端部でも連続体による弾性芯体の収縮が発生し、連続体の巻き崩れが生じ、実作業上取扱が困難なものであった。
実施例A−22は、実施例A−1と比べて、連続体巻きつけ、乾燥後のカット長さを7.0mmと大きくしたものである。連続体の収縮は見られるため伸長はするものの、伸長率が6.8%と少なく、実使用上では、採用される部位が限定されるものであった。
Figure 2012059869
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本発明によって得たられた棒状伸長部材は、加熱処理によって伸長することで相手材を押えることができ、冷却後もその形状を保持することが可能であり、その製造も非常に容易であることからも、電子材料、栓材、温度センサ、形状保持材料などとして、産業界に大きく寄与することができる。
本発明に係る固定部材の斜視図 同、部材の加熱処理後の斜視図 同、部材の縦断図及び横断面図 同、部材の加熱処理後の縦断図及び横断面図 実装用の配置例図
A・・本発明に係る固定部材
1・・弾性芯体
2・・熱収縮連続体
3・・棒状伸長部材支持材
4・・チップ
5・・基板

Claims (7)

  1. 円筒形状を有する弾性芯体の胴部分に、繊維形状の連続体を30〜500回巻き付けられている固定部材。
  2. 弾性芯体の胴部分の両端0.2mm以内には連続体が巻き付けられていないことを特徴とする、請求項1記載の固定部材。
  3. 伸張処理後の弾性芯体の胴部分の長さ方向の中央部の直径が、弾性芯体両端部の平均直径と比較して、10〜70%であることを特徴とする、請求項1〜2いずれか1項に記載の固定部材。
  4. 弾性芯体がゴム、あるいは樹脂系エラストマーから成る請求項1〜3いずれか1項に記載の固定部材。
  5. 繊維形状の連続体が、ガラス転移点温度から5℃高い乾熱温度での熱処理により20%以上の収縮率を有することを特徴とする、請求項1〜4いずれか1項に記載の固定部材
  6. 弾性芯体の外周へ接着樹脂を付与しつつ繊維形状の連続体を巻きつけることを特徴とする、固定部材の製造方法。
  7. 接着樹脂が水系エマルジョン系である請求項6記載の固定部材の製造方法。

































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