JP4984326B2 - 繊維巻き取りチューブ、ガラス繊維束捲体の製造方法及びガラス繊維束捲体 - Google Patents

繊維巻き取りチューブ、ガラス繊維束捲体の製造方法及びガラス繊維束捲体 Download PDF

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Description

本発明は、繊維巻き取りチューブと、この繊維巻き取りチューブにガラス−エポキシ複合材料の強化材等に利用される無機酸化物ガラス繊維が巻き取られたガラス繊維束捲体の製造方法及びこの製造方法で作製するガラス繊維束捲体に関する。
ガラス−エポキシ複合材料等の強化材として各種の用途で利用されているガラス繊維は、次のような手順で製造されている。まず、一般に均質に溶融された溶融ガラスは白金製ブッシング(白金加熱容器ともいう)と呼称されるガラス繊維を成形する装置内へと流入させ、このブッシングの底面に付設された多数の耐熱性ノズルより直径数μmから数十μmを有するガラスフィラメントを連続的に引き出す。このガラスフィラメントは数十から数千本を束ねたガラス繊維束(ストランドともいう)となし、これを回転するコレットに装着された繊維巻き取りチューブに巻き取ってケーキ(粗糸巻きまたはチーズともいう)と称されるガラス繊維束捲体とし、次いでこのケーキの外層から巻き取られたガラス繊維束を解舒しつつ加撚しながらスピンドルに固定されたボビンやビーム等に巻き取り、ガラスヤーン回巻体のパッケージとなるように製造されている。
このようなガラス繊維を巻き取る際に使用される繊維巻き取りチューブとしては、紙にデンプン、ポリビニルアルコールあるいは酢酸エマルジョン等の接着剤を塗布して何層にも捲き重ねられた紙管と呼ばれるものや、合成樹脂よりなる円筒形状のチューブが一般に用いられてきた。例えば特許文献1では、紙管からのガラス繊維束の抜き取りを容易にするため、紙管表面にシリコーン等を塗布するなどの撥水処理を施すという考案が開示されている。また特許文献2では、紙管の内装面のスパイラル状に巻回した帯状紙を引っ張るだけで容易に紙管を分解でき、内層解舒が容易となる構成の紙管が開示されている。さらに特許文献3、特許文献4そして特許文献5では、耐久性を高め、さらにガラス繊維を巻き取った状態からガラス繊維のみを容易に抜き取ることのできるものとして、樹脂製のチューブの外表面に所定の溝や凹凸を形成する発明が開示されている。
実用新案第3028733号公報 特開平11−29263号公報 特開2001−122636号公報 特開2002−037529号公報 特開2002−104739号公報
しかしながら、ガラス繊維の巻き取りに使用する繊維巻き取りチューブをさらに耐久性が高く長期に亘り使用することができ、優れた性能を有するものとするためには、これまでに行われた改善だけでは充分ではない。紙製の繊維巻き取りチューブ、いわゆる紙管は、前記したように紙を多層構造となるように巻き重ねて、層間に接着剤を使用することで円筒形状としたチューブであるので、ガラス繊維の紡糸工程での吸水によって、その弾力性(クッション性ともいう)が低下するという問題がある。この弾力性の低下を回避するために行われる紙管の交換作業や、ガラス繊維束捲体、すなわちケーキを搬送する際や取り扱う際などにチューブが裂けたり、窪んだりして破損し易いという問題点もある。また、頻繁に行われる紙管の交換作業は、繁雑なもので、経済的でもない。さらにチューブの損傷が激しいとガラス繊維の品位にも問題の発生が懸念され、近年では樹脂製のチューブも用いられている。しかし樹脂製チューブを使用する場合には、別の問題点がある。すなわちガラス繊維は非常に高い引張応力を掛けた状態で繊維巻き取りチューブ上に巻き取られるため、特に硬質の樹脂製チューブの場合にはガラス繊維束に強過ぎる引張応力が掛かり、過負荷状態になる。また、繊維巻き取りチューブ近傍のガラス繊維束には、水分が残存しやすく、そのためガラス繊維束の解舒後にガラス繊維の乾燥遅延が発生し、所望の糸質が得られないという問題もある。また、水分の残存は集束剤の偏在にも繋がる虞がある。
本発明は、上述したような様々な問題点を解消するために研究を重ねて行われたものであって、従来の紙管製チューブや樹脂製チューブの問題点を解消することができ、ガラス繊維束を効率良く巻き取ることができ、耐久性が高く、解舒時のガラス繊維束の損傷が抑止できて所望の糸質が得られ、しかも作業性にも優れた繊維巻き取りチューブと、この繊維巻き取りチューブを使用するガラス繊維束捲体の製造方法及びガラス繊維束捲体の提供を課題とする。
本発明の繊維巻き取りチューブは、樹脂製の円筒体よりなる繊維巻き取りチューブであって、前記円筒体の外周面を平面で支持し、該平面による円筒体の支持部位に対向する外周面の頂上線部から平面に向けて7.78g/mmの押圧力を印加して円筒体を変形させ、該円筒体の内周面が形成する楕円形状の長軸寸法に対する短軸寸法の比が、0.35から0.50の範囲になるものであり、円筒体の外周面に、深さ25μmから85μmの溝が、溝中心部と隣り合う溝中心部間の間隔が55μmから90μmで、かつ円筒体の開口端に略平行に形成されてなることを特徴とする。
ここで、樹脂製の円筒体よりなる繊維巻き取りチューブであって、前記円筒体の外周面を平面で支持し、該平面による円筒体の支持部位に対向する外周面の頂上線部から平面に向けて7.78g/mmの押圧力を印加して円筒体を変形させ、該円筒体の内周面が形成する楕円形状の長軸寸法に対する短軸寸法の比が、0.35から0.50の範囲になるものであるとは次のようなものである。すなわち、ガラス繊維束を巻き取るために使用される樹脂製の円筒状をなす繊維巻き取り用のチューブであって、この繊維巻き取りチューブが転がるように横倒しにしたままで繊維巻き取りチューブの外周面、すなわちチューブの外側面を、例えば下方から繊維巻き取りチューブ外周面最底線に当接して繊維巻き取りチューブが水平になるように支持した状態とし、さらに繊維巻き取りチューブの外周面の頂上、すなわちチューブの回転軸に対して対向するチューブの外側面に当接するクロスヘッドより下方へと単位mm当たり7.78gの質量を印加することによって、繊維巻き取りチューブを変形させて保持し、この荷重により生じる円筒体の変形によって、円筒体の内周面が形成する楕円形状について、楕円の長軸の寸法を1とすると、それに対する楕円の短軸の寸法が0.35から0.50の範囲内となるものであることを表している。
本発明者らは、繊維巻き取りチューブの性能を把握するため、円筒体の撓みを適正に、しかも容易に計測するための研究を重ねてきた。この研究の中で、荷重を印加する方法や荷重の大きさを変化させて検討を行い、再現性に優れ、しかも簡易な評価方法であって計測結果を明瞭に数値化できるため効率的な評価が可能となる方法として本発明に係る評価方法を見いだしたものである。そして本発明者らは、見出した評価方法を駆使することによって、ガラス繊維束にとって最も適正な硬さと弾力を有する繊維巻き取りチューブを見出し、ここに提示するものである。
繊維巻き取りチューブが転がるように横倒しにしたままで円筒体の外周面を下方から繊維巻き取りチューブの外周面最底線に当接して繊維巻き取りチューブが水平になるように支持した状態とするためには、水平な板、あるいは台座等で繊維巻き取りチューブの下方を支持するのが好ましい。この水平な板、あるいは台座等については、例えば金属板や石板、セラミックスプレートあるいは木の板等であれば採用できるが、凹凸等の表面の局所的な変位が認められず、荷重によって容易に撓んだりすることがない厚み寸法を有するものであり、室温状態でチューブを載せる箇所が乾燥した状態であり、繊維巻き取りチューブの変形に影響するようなキズ、付着物等がないものであれば使用できる。
繊維巻き取りチューブを構成する円筒体の外周面の頂上線部上に当接するクロスヘッドについては、各種材料の3点曲げや4点曲げ試験等で使用する強度試験装置の圧子形状を繊維巻き取りチューブに見合うものとする、あるいは強度試験装置が無くても所定の質量、形状を有する校正された分銅を予め準備し、人力によって円筒体上に載せることで本発明の繊維巻き取りチューブであるかどうかを評価することができる。クロスヘッドを構成する材料の種類は、金属材料であることが好ましいが、所定の形状や質量を有し、所定の硬さがあり経時的に変化し難いものであれば特に限定はされない。また、その形状については、円筒体の外周面の頂上線部に当接するようなクロスヘッドであればよい。ただし強度試験装置の圧子を使用する場合には圧子は装置に稼働可能となるように固定されているが、これを代用するために分銅などの重りを準備する場合には、対称形の形状を有し、円筒体上に載置したときに安定した状態となり、チューブが容易に動かないような形状であることが好ましい。
7.78g/mmの押圧力を印加するに際し、強度試験装置を使用する場合には、その値を任意に変更することができるが、分銅等を使用する場合には、繊維巻き取りチューブの長さ方向寸法に応じて分銅の重さを調整すればよい。例えば、繊維巻き取りチューブの長さ方向寸法が180mmであれば、それに対して1.4kgの質量の分銅を使用すればよく、繊維巻き取りチューブの長さ方向寸法が290mmならば、2.26kgの質量の分銅、また繊維巻き取りチューブの長さ方向寸法が360mmならば、2.80kgの質量の分銅を使用すればよい。すなわち分銅の質量は、kg単位で小数点3桁目を四捨五入したものを使用すればよい。この7.78g/mmの押圧力という特定の値が重要であるのは、この値での評価によって計測すると計測値の再現性、信頼性が高く、しかも繊維巻き取りチューブに過剰な負荷を加えすぎることもなく、計測の後に繊維巻き取りチューブに大きなダメージを与えることもないからである。
また、円筒体の外周面を平面で支持し、該平面による円筒体の支持部位に対向する外周面の頂上線部から平面に向けて7.78g/mmの押圧力を印加して円筒体を変形させ、該円筒体の内周面が形成する楕円形状の長軸寸法に対する短軸寸法の比が、0.35から0.50の範囲になるものであるかどうかを確認するためには、円筒全長に亘り、応圧力が均等に加わる必要があり、押圧力を加える押圧子は円筒に線接触して、円筒が均等に変形するようにすることが肝要であり、この条件を実現しにくい状況、すなわち押圧子で押圧力を加える際に円筒位置が変わり易い等の問題がある場合には、円筒位置が変わりにくくするような適当なガイド材等を使用することによって円筒が転がらないようにすればよい。
また、繊維巻き取りチューブの評価は、繊維巻き取りチューブの温度や周囲の温湿度が一定の状態で計測することが好ましく、例えば30%、25℃に保持した恒温恒湿槽中で1時間毎に質量を計測して質量計測値1%以内の変動となる程度まで充分に安定した状態になるまで保持した状態で計測することが好ましい。
変形した円筒体の内周面が形成する楕円形状の長軸寸法と短軸寸法との計測方法については、0.1mm単位まで正確に計測できる計測機器や測定具であればどのようなものであっても使用することができる。すなわち、巻き尺、ノギス、物差し(スケール)あるいはレーザー計測装置などの校正された機器を適宜使用することができる。
変形した円筒体の内周面が形成する楕円形状の長軸と短軸の寸法比が0.35より小さい値であるとガラス繊維束の巻き締りでコレットからケーキを抜き取った後に、繊維巻き取りチューブが変形し、ケーキがつぶれる危険性が高くなるので好ましくない。また、一方変形した円筒体の内周面が形成する楕円形状の長軸と短軸の寸法比が、0.50より大きくなると、繊維巻き取りチューブの撓みが小さくなりすぎ、巻き取り時にガラス繊維束に強過ぎる引張応力が掛かり、ガラス繊維束自体にキズやクラックなどの欠陥が生じやすくなり、結果として毛羽が多発する危険性があるので好ましくない。
本発明の繊維巻き取りチューブを構成する円筒体の樹脂材料については、適正な弾力性と化学的な耐久性などを有するものであればどのようなものであってもよく、所定の撓みがありさえすればガラス繊維やカーボンファイバ等で複合化されたFRP材料であってもよい。例えば、樹脂材料としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン等のポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、熱可塑性ポリエステル、ゴム系のエラストマー、塩化ビニル等の材料であれば、耐久性が高く、成形性が容易であるため好適である。
本発明者らの研究によれば、本発明の繊維巻き取りチューブについて、円筒体の外周面を平面で支持し、該平面による円筒体の支持部位に対向する外周面の頂上線部から平面に向けて7.78g/mmの押圧力を印加して円筒体を変形させ、該円筒体の内周面が形成する楕円形状の長軸寸法に対する短軸寸法の比が、0.35から0.50の範囲になるものとする条件としては、まず繊維巻き取りチューブの材質とその厚みとチューブの外径寸法、さらにそれに加えて下記に示す表面の凹凸やつかみ部の形状や材質等も変形に影響する付加条件となる場合もありうるものである。よって単純にチューブの材質を決めさえすればよいものではないが、上記した材質についてその材質の曲げ弾性率が適正な範囲となる樹脂材料としては、上述したものがよく、上述した樹脂材の内でも特に好ましくはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン等のポリオレフィンを選択する場合である。
また本発明の繊維巻き取りチューブの寸法については、上述したように繊維巻き取りチューブについての円筒体を変形に関わる要件であり、上述に加え円筒体の内径寸法が195mmから345mmの範囲であり、その厚み寸法が0.8mmから4.0mmの範囲内であるなら、上述したような観点から本発明に係る評価において、本発明を実現するための条件を満足するに足るガラス繊維巻き取りチューブとなるので好ましい。そして上記観点から、本発明の繊維巻き取りチューブの寸法についてのより好ましい寸法範囲としては、円筒体の内径寸法が185mmから330mmの範囲であり、その厚み寸法が1.0mmから3.0mmの範囲内であることである。そしてさらに好ましくは、本発明の繊維巻き取りチューブの寸法は円筒体の内径寸法が190mmから315mmの範囲であり、その厚み寸法が1.2mmから2.8mmの範囲内であることである。
また、本発明の繊維巻き取りチューブの円筒体は、どのような成型方法であっても所定の寸法精度で製造されたものであればよいので、各種製法で製造されたものを採用することができる。例えばブロー成型、押し出し成型、あるいは射出成型等の各種成型方法により製造されたものを採用することができる。
また、本発明の繊維巻き取りチューブは、上述に加え円筒体の外周面に、深さ25μmから85μmの溝が、溝中心部と隣り合う溝中心部間の間隔が55μmから90μmで、かつ円筒体の開口端に略平行に形成されてなるものであれば、チューブとガラス繊維の間に微小な空隙が形成され、この空隙のためチューブ近傍に水分が残存しにくく、均等な水分状態が維持され、ストランドの解舒時にガラス繊維への損傷を少なくすることができるので好ましい。例えば、この溝の寸法測定は、表面粗さ計:サーフコム(株式会社 東京精密社製)を用い、十点平均粗さRzと局部谷側の平均間隔Sとして求めることができる。
ここで円筒体の外周面に、深さ25μmから85μmの溝が、溝中心部と隣り合う溝中心部間の間隔が55μmから90μmで、かつ円筒体の開口端に略平行に形成されてなるものとは、円筒体の外周面に深さが25μmから85μmの大きさで、任意の1つの溝中心部と隣り合う溝中心部間の幅が55μmから90μmの範囲にあり、それが円筒体の開口端と略平行に円筒体外周面に施されていることを意味している。
円筒体の外周面に施された溝間隔は55μm未満であると、溝間隔が狭すぎて潰れ易く溝としての形態が長期に亘り保持できず溝の機能も果たさなくなる。また、溝の形態が保持できたとしても、ガラス繊維フィラメントが繊維巻き取りチューブ外周面の溝を埋めてしまい、空隙として充分な役割を果たせず、また、90μm以上の間隔を有する場合には、空隙率が下がり過ぎて、ガラス繊維束を巻き取ることにより形成されたケーキの水分率が繊維巻き取りチューブ近傍で高くなるなどの問題が発生する場合もあり好ましくない。また、深さが25μm未満の場合は、空隙率が下がり過ぎて、ガラス繊維束を巻き取ることにより形成されたケーキの水分率が繊維巻き取りチューブ近傍で高くなるなどの問題が発生する、一方、円筒体の外周面に施された溝の深さが85μm以上である場合には、ガラスフィラメントが溝に入り込むこともあり、溝に入り込んだガラス繊維束を解舒する時に、ガラスフィラメントが溝に引っ掛かり、解舒されずに切断してしまう場合もあるため好ましくない。なお、この円筒体の外周面の溝については、ガラス繊維束巻き取り時のワインド数、すなわちトラバース半往復間のコレットの回転数による綾角度の影響を考慮すれば、らせん状、波状、円弧状、もしくは千鳥状であっても構わない。
また、本発明に係る繊維巻き取りチューブでは、円筒体の外周面に施された溝の断面形状については、所望の空隙を確保することができるものであれば、どのような断面形状であってもよい。例えばV字状、U字状、コの字状あるいはW字状等が可能であり、溝の断面形状が連続的に変化するものであってもよい。また、溝内部の表面状態についても特に限定されることはない。
また、本発明に係る繊維巻き取りチューブでは、円筒体の外周面に施された溝の形成方法についても、所望の溝を得ることができるものであればどのようなものであってもよい。円筒体成形時に溝を同時に形成するような成型法を採用するものであってもよいし、いったん、溝の形成されていない円筒体を形成した後に所定の機械加工法を採用することによって円筒体外周面に溝を刻設するものであってもよい。
また、本発明の繊維巻き取りチューブは、上述に加え円筒体の外周面又は内周面の開口端近傍に、円筒体の開口端と略平行となるつかみ部が設けられているものであれば、コレットへの装着操作、脱着操作が円滑に行え、作業効率が高いものとなる。
ここで、円筒体の外周面又は内周面の開口端近傍に、円筒体の開口端と略平行となるつかみ部が設けられているとは、繊維巻き取りチューブの外周端の縁の端部、すなわち円筒体の胴部の両端部に位置する開口端とほぼ平行となるよう、チューブ外周面もしくは内周面に所定の深さ、幅を有し、チューブの装脱着作業時にチューブのハンドリングを容易にすることのできるつかみ部が形成されてなるものである。つかみ部の断面形状については、その部分が溝状に窪んだ形状であっても、逆に凸状に突起した形状であってもよく、特に限定されるものではない。また、形成方法についても所望の働きをすることのできるつかみ部を付設できるものであればどのようなものでもよい。ただ、つかみ部の形状として、満巻き状態のケーキを取り出す際に平坦なつかみ治具等を使用することによって挟持して取り出す場合等には、窪み状よりも凸状の突起した形状であることが好ましい。一方、チューブを成形するという観点からは、溝状の窪み形状の方が安価に製造することができる。よってこの両者形状の長所のどちらを優先するかは必要に応じて選択できるので、いずれの形状であっても要望に応じたものとすることができる。
つかみ部については、必要に応じてその強度を補強し、耐久性を向上するために、他の高強度材料を表面に被覆する、あるいは接合することも可能であり、溝内面に補強用の塗装を施すことも可能である。またつかみ部は、必ずしも円筒体の全周に施す必要はなく、特定箇所のみに施されているものであってもよい。
上述した本発明に係る評価で、円筒体の内周面が形成する楕円形状を評価するのは、外周面及び内周面にはつかみ部が形成されている場合であっても正確な評価を行うためである。
また、本発明の繊維巻き取りチューブは、上述に加え円筒体の内径寸法に対する円筒体の厚さ寸法の比が、0.001から0.05の範囲にあるならば、所定の撓みを確保することができるとともに、繊維巻き取りチューブに必要とされる耐久性を満たす構造とすることができる。
ここで円筒体の内径寸法に対する円筒体の厚さ寸法の比が、0.001から0.05の範囲にあるとは、繊維巻き取りチューブの厚み寸法を円筒体の繊維巻き取りチューブの内径寸法で除した値が、0.001から0.05の範囲内となるように構成することを意味している。
円筒体の内径寸法に対する円筒体の厚さ寸法の比が、0.001より小さい場合には、円筒体の厚さ寸法が内径寸法に対して小さすぎるため所望の硬さが得られなくなり好ましくない。一方、円筒体に対する円筒体の厚さ寸法の比が、0.05より大きい場合には、円筒体の撓みが小さくなりすぎ、円筒体が変形し難くなるのでガラス繊維束へ強過ぎる引張応力が掛かるので好ましくない。
本発明のガラス繊維束捲体の製造方法は、上述した本発明の繊維巻き取りチューブの円筒体の外周面に、集束剤を塗布したガラス繊維束を巻き取ることを特徴とする。
ここで上述した本発明の繊維巻き取りチューブの円筒体の外周面に、集束剤を塗布したガラス繊維束を巻き取るとは、樹脂製の円筒体よりなる繊維巻き取りチューブであって、前記円筒体の外周面を平面で支持し、該円筒体の平面による支持部位に対向する外周面の頂上線部から下方に向けて7.78g/mmの押圧力を印加して変形させた状態において、変形した円筒体の内周面が形成する楕円形状の長軸寸法に対する短軸寸法の比が0.35から0.50の範囲になる繊維巻き取りチューブの外周面上にガラス繊維用の各種の集束剤を、例えばアプリケータ等の装置により塗布したガラス繊維束を連続的に巻き取ることによって、ガラス繊維束捲体とすることを表している。
ガラス繊維用の集束剤については、どのようなものであってもガラス繊維に要求される性能を満足するものであれば使用することができ、例えば帯電防止剤、界面活性剤、重合開始剤、重合抑制剤、酸化防止剤、被膜形成剤(結束剤ともいう)、カップリング剤、あるいは潤滑剤等の各種の薬剤を適量混合して作製することが可能である。
集束剤の塗布方法についても、上記のアプリケータに限定することなく、様々な方法を単独あるいは併用して採用してもよい。
また、本発明に係るガラス繊維としては、種々のガラス材質を適用することが可能である。例えば、その材質としては、無アルカリのEガラス組成、耐アルカリ性能を実現するARガラス組成、低誘電率を実現するDガラス組成、耐酸性を実現するCガラス組成、高弾性率を実現するMガラス組成、高強度、高弾性率を実現するSガラス組成、また、Sガラスと同様の機能を有するTガラス組成、さらに高誘電率を有するHガラス組成といったガラス材質を採用することができ、さらに、他の材質であっても支障はない。
本発明のガラス繊維束捲体は、上記のガラス繊維束捲体の製造方法により形成されたものであることを特徴とする。
上記のガラス繊維束捲体の製造方法により形成され、ガラス繊維束の表面に集束剤を塗布されたものというのは、上述したように巻き取り部に樹脂製の円筒体を用いた繊維巻き取りチューブであって、前記円筒体の外周面を平面で支持し、該平面による円筒体の支持部位に対向する外周面の頂上線部から平面に向けて7.78g/mmの押圧力を印加して円筒体を変形させ、該円筒体の内周面が形成する楕円形状の長軸寸法に対する短軸寸法の比が、0.35から0.50の範囲になる繊維巻き取りチューブの外周面上にガラス繊維用の各種の集束剤を例えば、アプリケータ等の装置により塗布したガラス繊維束を連続的に巻き取ることによって製造されたガラス繊維束捲体であることを表している。
また、上述のガラス繊維束捲体から解舒して、あるいはさらに各種加工を経た後に適用される製品形態としては、特に限定されるものではない。すなわちガラス繊維製品の形態としては、一般に公知になっているものであれば何でもよく、例えばヤーン、ロービング、DWR(ダイレクトワインディングロービング)、チョップドストランド、ミルドファイバー、クロス(織布)、マット、テープ、あるいは組布等が可能である。
(1)以上のように、本発明の繊維巻き取りチューブは、樹脂製の円筒体よりなる繊維巻き取りチューブであって、前記円筒体の外周面を平面で支持し、該平面による円筒体の支持部位に対向する外周面の頂上線部から平面に向けて7.78g/mmの押圧力を印加して円筒体を変形させ、該円筒体の内周面が形成する楕円形状の長軸寸法に対する短軸寸法の比が、0.35から0.50の範囲になるものであるため、従来の紙管や樹脂製チューブに認められた様々な問題を解消することが可能であって、ガラス繊維束を効率良く巻き取る操作ができ、長期的な耐久性が高く、しかも解舒時のガラス繊維束の損傷が抑止できて所望の高い品位の糸質が得られるものである。
(2)また、本発明の繊維巻き取りチューブは、円筒体の外周面に、深さ25μmから85μmの溝が、溝中心部と隣り合う溝中心部間の間隔が55μmから90μmで、かつ円筒体の開口端に略平行に形成されてなるものであれば、繊維巻き取りチューブとガラス繊維の間に水分を逃す空隙を確保することができ、空隙があるために円筒体近傍に水分が残存しにくく、均等な水分分布状態が維持され、ガラス繊維束の解舒時にガラス繊維への損傷を少なくすることができ、均等な性能を発揮するガラス繊維束を得ることができ、安定したガラス製品を供給することに繋がる。
(3)さらに本発明の繊維巻き取りチューブは、円筒体の外周面又は内周面の開口端近傍に、円筒体の開口端と略平行となるつかみ部が設けられているものであれば、コレットへの装脱着操作が簡易で、迅速に装脱着操作を行うことが可能なものとなるので、満捲き状態となったケーキの交換作業を従来よりも高速化することができ、作業効率を大幅に向上することができる。
(4)また、本発明の繊維巻き取りチューブは、円筒体の内径寸法に対する円筒体の厚さ寸法の比が0.001から0.05の範囲にあるならば、繊維巻き取りチューブに必要となる撓みと長期的な耐久性とを併せ持つ安定した品位のチューブとなっているため、このチューブに巻き取られたガラス繊維も優れた品位を維持することができる。
(5)本発明のガラス繊維束捲体の製造方法は、上記の繊維巻き取りチューブの円筒体の外周面上に、集束剤を塗布したガラス繊維束を巻き取るものであるため、ガラス繊維を巻き取る際に発生する虞のある欠陥の発生を抑制することができ、それだけ優れた品位のガラス繊維を製造することが可能となるものである。
(6)本発明のガラス繊維束捲体は、上記のガラス繊維束捲体の製造方法により形成されたものであるため、集束剤の成分を調整することによって、各種用途に見合うべく高い性能を有するガラス繊維製品を得ることができるものである。
以下に本発明の繊維巻き取りチューブとこの繊維巻き取りチューブにガラス繊維が巻き取られたガラス繊維束捲体の製造方法、さらにこのような方法により得られたガラス繊維束捲体に関して、実施例に基づいて説明する。
[実施例1]図1には、本発明のガラス繊維束を巻き取るために使用される繊維巻き取りチューブの具体例について示す。図1の繊維巻き取りチューブ10は、ポリプロピレン製で射出成型によって成型された後に切断加工等の各種機械加工で精密な寸法精度を有するものである。そしてこの繊維巻き取りチューブ10の形状寸法は、内径Lが300mm、厚み寸法Tが2mmであり、長さ方向寸法は180mmである。この繊維巻き取りチューブ10の外周面11上には、図1(C)に示すように65μm間隔で50μmの溝が刻設してあり、さらにそれとは別に図1(B)に示すようにコレットへの装着に使用されるつかみ部12が、繊維巻き取りチューブ10開口端から10mmの位置に繊維巻き取りチューブ10の開口端とほぼ平行に4本形成されている。このつかみ部は、切削加工によって形成されたものであるが、リング状の部材等を接着剤等でチューブ外周面に貼り付けて形成してもよい。
この図1の繊維巻き取りチューブ10に関して行った各種評価の結果を表1の実施例1の欄に示す。まず繊維巻き取りチューブ10の撓みの評価について、図2にその概念図を示すような方法で評価を行った。図2の(A)は、水平な金属板P上に横転状態で保持した繊維巻き取りチューブ10の頂上線上へ荷重Kを引加しようとしている状態を表していて、この時の繊維巻き取りチューブ10の内周面が形成する円形状の縦軸をD1、横軸をW1として表している。これに対して図2の(B)は、繊維巻き取りチューブ10の外側面頂上線上に、クロスヘッドKにより下方へ7.78g/mmの押圧する荷重を印加した状態を表していて、この時の繊維巻き取りチューブ10の内周面が形成する楕円形状の縦軸をD2、横軸をW2として表している。クロスヘッドKの押圧力により繊維巻き取りチューブ10が変形し、W2はW1より大きくなり、D2はD1より小さくなっている。そして図2の(B)の状態で、W2に対するD2の大きさをそれぞれスケールによって計測し、その比率を算出することができる。こうして横軸に対する縦軸の比率を算出したところ、実施例1についてはガラス繊維束としてEガラスのガラス繊維表面に集束剤を塗布したガラス繊維束(繊維直径5μm、200本)の巻き取り操作を行う前は0.4であり、10回以上巻き取り操作を行った上で同様の評価で調査したところ、その値は変化せず0.4であった。
ちなみに本発明の繊維巻き取りチューブの評価の際に使用したEガラスのガラス組成を有するガラス繊維は、通常のガラス繊維の溶融工程によって製造され、ブッシングより紡糸することにより得られたものであり、集束剤の塗布についてはアプリケータを使用して均等に塗布することにより製造したものである。
また、この繊維巻き取りチューブ10の外周面にガラス繊維束を巻き取ることにより形成されたケーキをコレットから抜き取る操作を行った後にケーキ形状が維持されているかどうかを肉眼で判定し、問題のないものを「良」、繊維巻き取りチューブ10の撓みが大きすぎて明らかに変形が認められる場合を「否」と判定し、その結果を表1に示す。実施例1の試料No.1の繊維巻き取りチューブ10については、全く変形を認めないものであった。
さらに表1のハンドリング性については、ケーキを巻き取った状態でコレットからケーキを抜き取る操作が円滑に行えるかどうかを、この作業を3年以上に亘り日常行っている作業者に委ねて、判定を実施し、ケーキが円滑に抜き取ることのできる場合について「優」、円滑には抜き取り難い場合には「劣」と判定を行った。実施例1の試料NO.1については、この評価の結果、「優」の判定であった。
また、表1のケーキ解舒性としては、ケーキ外層部からのガラス繊維束の解舒が問題なく行えるかどうか、すなわち、ガラス繊維束がケーキ外層部から極度にはがれ落ちやすかったり、ずれやすくなっていたり、解舒中に毛羽が多発したりして円滑な解舒が阻害されないかどうかについても、前記したように経験豊富な作業者が対象となる繊維巻き取りチューブを使用した作業中の状況から判定を行い、問題のないものを「正」、問題のあるものを「悪」とした。実施例1である試料No.1については、巻き取り操作を行った回数につれて変化がないかどうかを評価するため、使用1回目と使用6回目について評価を行ったが、いずれについても問題が認められず「正」であった。
そして巻き取ったケーキからガラス繊維束を外層解舒しながら、撚糸機により1Zの撚りを掛けて、即ち、右ねじ方向に1回/inchの撚りを掛けて作製したガラスヤーンの糸質について、JIS R3420(2006)に規定された27項のロービング硬さに関する評価を応用し、所定太さ(D450の場合、ガラス繊維束800本を引き揃えた太さ)のガラスヤーンを500mm長に切りそろえて、切り揃えられたヤーンの中央部分をフックにかけて、いずれの側にも等しい長さになるように垂らし、両端間をスケール計測してn=5の測定を行い、その差が20%以上あるものを「×」、20%以内であるものを「〇」と判定した。実施例1の試料No.1については、ケーキ解舒性と同様に巻き取り操作を行った回数につれて変化がないかどうかを評価するため、使用1回目と使用6回目について評価を行ったが、使用1回目と使用6回目とについて、計測値は20%以内であり「〇」の判定となった。
巻き取ったケーキからガラス繊維束を外層解舒しながら、撚糸機により1Zの撚りを掛けて作成したガラスヤーンのパーン外層ヤーン毛羽量についての評価は、図3にその概念図を示したように真鍮製の3本のテンションバーNを使用して、その内2本の水平保持されたテンションバーNの間隔Zを60mmで固定し、その2本から互いに30mmにある位置を起点としてその起点から3本目のテンションバーまでの寸法Cを20mm離れた状態で固定した状態とし、3本のテンションバーNを、ガラスヤーン走行Vの方向に300mm/分で7500m分だけガラスヤーンGを走行させて、その間に発生した毛羽Mの毛羽発生数が5本以上である場合を「不」、5本未満である場合を「合」と判定した。実施例1の試料No.1の繊維巻き取りチューブ10に関しては、毛羽発生数は5本未満であり、「合」の判定となった。
Figure 0004984326
[実施例2]本発明の他の実施例として、繊維巻き取りチューブ10を構成する材質としてポリプロピレンの代わりにポリエチレンを使用した以外は全て同じ形状のチューブとして試料No.2を作製し、この繊維巻き取りチューブ10を使用して一連の評価を実施したところ、縦軸と横軸の比は0.35であり、ケーキ形状維持性、ハンドリング性、ケーキ解舒性、ヤーン糸質及びパーン外層ヤーン毛羽量の評価のいずれについても問題がなく、「優」の判定であった。
[実施例3]実施例2と同じ材質で、繊維巻き取りチューブ10の厚み寸法Tのみを3mmにした試料No.3についても評価したところ、縦軸と横軸の比は0.4であり、ケーキ形状維持性、ハンドリング性、ケーキ解舒性、ヤーン糸質及びパーン外層ヤーン毛羽量の評価のいずれについても問題がなく、ケーキ形状維持性については「良」、ハンドリング性については「優」、ケーキ解舒性については「正」、ヤーン糸質については「〇」、パーン外層ヤーン毛羽量の評価については「合」の評価結果であった。
[実施例4]実施例1と同じ材質で、繊維巻き取りチューブ10の厚み寸法Tのみを2.5mmにした試料No.4についても評価したところ、縦軸と横軸の比は0.45であり、ケーキ形状維持性、ハンドリング性、ケーキ解舒性、ヤーン糸質及びパーン外層ヤーン毛羽量の評価のいずれについても問題がなく、ケーキ形状維持性については「良」、ハンドリング性については「優」、ケーキ解舒性については「正」、ヤーン糸質については「〇」、パーン外層ヤーン毛羽量の評価については「合」の判定となった。
[実施例5]繊維巻き取りチューブ10の外周面の側縁部近傍につかみ部を施さないという点以外については、実施例1と同様の構成となるように作製した試料No.5の繊維巻き取りチューブについて評価を行った。その結果、ハンドリング性について他の実施例より劣る以外には実施例1と同様の性能を有する繊維巻き取りチューブであることが判明した。
[比較例1]比較例1として、つかみ部や外周面の溝を施さない厚み寸法が2.5mmの紙製の巻き取りチューブとして試料No.6を作製し、実施例と同様の評価を実施した。試料No.6の繊維巻き取りチューブについて、実施例と同様の評価を行ったところ、使用前には縦軸と横軸の比は0.4であったが、使用した後には水分を吸収したため実質上計測することが困難な状態となった。また、このチューブについては、巻き取り操作を繰り返し、使用6回目の時点で、ケーキ解舒性について円滑な解舒ができない状態となった。さらに使用6回目の時点でヤーン糸質も劣悪なものであった。そしてパーン外層ヤーン毛羽量についても、この時点で25本の発生数を越えるものとなった。
[比較例2]実施例1と同様のポリプロピレンを使用して、厚み寸法が4mmとなる試料No.7の繊維巻き取りチューブを作製して評価を行った場合については、縦軸と横軸の比は0.6であり、解舒性とヤーン糸質については使用1回目の評価時点で問題があり、6回目でも同様であった。さらにパーン外層ヤーン毛羽量についても、使用6回目の時点で25本の発生数を越える状態であった。
[比較例3]ポリプロピレンを使用して、比較例2である試料No.7とは逆に厚み寸法が1mmと薄くなる試料No.8の繊維巻き取りチューブを作製して評価したところ、縦軸と横軸の比は、0.2であり、ヤーン糸質は良好であったが、ケーキ形状維持性については問題が認められ、ケーキ解舒性については使用1回目の評価時点で問題があり、使用6回目でも同様であった。また、パーン外層ヤーン毛羽量についても、使用6回目の時点で25本の発生数を越える状態で「不」判定となった。
[比較例4]ポリプロピレンを使用して、厚み寸法が1.8mmで円筒体の外周面に溝を施さない試料No.9を作り評価したところ、縦軸と横軸の比は0.38であり、ハンドリング性やケーキ形状維持性については問題がなかったが、ケーキ解舒性やヤーン糸質については使用1回目の時点から問題が認められ、当然使用6回目でも問題があった。またパーン外層ヤーン毛羽量についても、使用6回目の時点で25本の発生数を越える状態で「不」判定であった。
以上のように本発明の繊維巻き取りチューブは、ガラス繊維束を効率良く巻き取ることができ、耐久性が高く、解舒時のガラス繊維の損傷が抑止できて所望の糸質が得られ、作業性にも優れた繊維巻き取りチューブであることが明瞭なものとなった。
本発明の繊維巻き取りチューブの説明図であって、(A)は斜視図、(B)は長さ方向の部分断面図、(C)は(B)のX領域についての長さ方向の部分拡大断面図を表す。 繊維巻き取りチューブの弾性評価についての説明図であって(A)は、荷重を引加する前の状態を表し、(B)は荷重を印加した後の状態を表す。 パーン外層ヤーン毛羽量の判定についての評価方法に関する説明図。
符号の説明
10 繊維巻き取りチューブ
11 円筒体の外周面
12 つかみ部
13 外周面の溝
14 円筒体の内周面
L 円筒体内径寸法
T 円筒体の厚み寸法
K クロスヘッド
P 金属板
1 荷重印加前の横軸寸法
2 荷重印加Pの状態での横軸寸法
1 荷重引加前の縦軸寸法
2 荷重印加Pの状態での縦軸寸法
N テンションバー
Z 水平保持されたテンションバーの間隔
C 3本目のテンションバーまでの寸法
M テンションバーによるしごき操作で発生する毛羽
V ガラスヤーン走行方向
G ガラスヤーン
X 円筒体の外周面の一部領域

Claims (5)

  1. 樹脂製の円筒体よりなる繊維巻き取りチューブであって、
    前記円筒体の外周面を平面で支持し、該平面による円筒体の支持部位に対向する外周面の頂上線部から平面に向けて7.78g/mmの押圧力を印加して円筒体を変形させ、該円筒体の内周面が形成する楕円形状の長軸寸法に対する短軸寸法の比が、0.35から0.50の範囲になるものであり、円筒体の外周面に、深さ25μmから85μmの溝が、溝中心部と隣り合う溝中心部間の間隔が55μmから90μmで、かつ円筒体の開口端に略平行に形成されてなることを特徴とする繊維巻き取りチューブ。
  2. 円筒体の外周面又は内周面の開口端近傍に、円筒体の開口端と略平行となるつかみ部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の繊維巻き取りチューブ。
  3. 円筒体の内径寸法に対する円筒体の厚さ寸法の比が、0.001から0.05の範囲にあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の繊維巻き取りチューブ。
  4. 請求項1から請求項の何れかに記載の繊維巻き取りチューブの円筒体の外周面に、集束剤を塗布したガラス繊維束を巻き取ることを特徴とするガラス繊維束捲体の製造方法。
  5. 請求項に記載のガラス繊維束捲体の製造方法により形成されたものであることを特徴とするガラス繊維束捲体。
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