JP4462115B2 - ガラス繊維ストランドの製造方法 - Google Patents
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しかも、1つのギャザリングシューで束ねるガラス繊維フィラメントを150本以下とすることで、ガラス繊維フィラメントを十分に密に束ね、ガラス繊維ストランドの解舒性及び切断性を向上することができる。
同様に、本発明に係るガラス繊維ストランドの製造方法は、扁平率1.5〜7の扁平断面を有する多数本のガラス繊維フィラメントを複数段のギャザリングシューで束ねてなるガラス繊維ストランドの製造方法において、1段目で束ねるガラス繊維フィラメントを1つのギャザリングシュー当たり150本以下として、複数個の1段目のギャザリングシューでガラス繊維フィラメントを束ね、最終段のギャザリングシューでガラス繊維フィラメントを1本に束ね、
上述したガラス繊維ストランドの製造方法によれば、フィラメント占有率αが0.6以上とされているので、ガラス繊維ストランドにおいてガラス繊維フィラメントが密に配置されており、ガラス繊維フィラメント間に形成される隙間は少ない。ここで、ガラス繊維ストランドの表面に着目すると、ガラス繊維ストランドの表面においても多数本のガラス繊維フィラメントが密に並んでいるので、ガラス繊維フィラメント間に形成される隙間は少ない。このため、ガラス繊維ストランドがコレットに巻き取られた際に、ガラス繊維フィラメント間の隙間にガラス繊維フィラメントが挟まり込むことが少ない。よって、本実施形態のガラス繊維ストランドでは、ケーキ(巻体)からガラス繊維ストランドを引き出すときの抵抗が小さくされており、ガラス繊維ストランドの解舒性が向上されている。また、ガラス繊維ストランドの表面の毛羽立ちが抑制されている。
また、上述したガラス繊維ストランドの製造方法によれば、既述のとおり、フィラメント占有率αが0.6以上とされているので、ガラス繊維ストランドにおいてガラス繊維フィラメントが密に配置されている。このため、ガラス繊維ストランドを切断するために、ガラス繊維ストランドの表面にカッター刃を接触させたときでも、各ガラス繊維フィラメントはほとんど移動することがない。よって、ガラス繊維ストランドは切断しやすく、ガラス繊維ストランドの切断性が向上されている。
しかも、1段目の複数個のギャザリングシューで、ガラス繊維フィラメントを1つのギャザリングシュー当たり150本以下として束ねることで、ガラス繊維フィラメントを十分に密に束ね、ガラス繊維ストランドの解舒性及び切断性を向上することができる。
ガラス繊維ストランド10は、数μm〜数十μm程度の太さの繊維状のガラス繊維フィラメント12を多数本束ねて紐状に形成されたものである。図1には、ガラス繊維ストランド10を切断した断面の模式図が示されており、ガラス繊維ストランド10は紙面に垂直な方向に延伸している。また、図2には、図1の一部Rを拡大した拡大断面図が示されている。ガラス繊維ストランド10は、多数本のガラス繊維フィラメント12を束ねることにより、全体として略凸レンズ状の断面形状となっている。ガラス繊維ストランド10がこのような形状となるのは、後述するように、ガラス繊維ストランド10の製造工程において、ガラス繊維フィラメント12がギャザリングシューにより束ねられるためである。
ここで、ガラス繊維フィラメント12の配向係数βが大きいほど、ガラス繊維フィラメント12の方向がそろっていないことを示し、ガラス繊維フィラメント12の配向係数βが小さいほどガラス繊維フィラメント12の方向がそろっていることを示す。
上式のとおり、ガラス繊維ストランド10の扁平率γは、ガラス繊維ストランド10の断面の長径Aと短径Bの比である。ガラス繊維ストランド10の扁平率γが大きいほどガラス繊維ストランド10の断面形状が扁平であることを示し、扁平率γが小さいほどガラス繊維ストランド10の断面形状が半径が一定の真円形に近いことを示す。なお、ガラス繊維ストランド10の長径A及び短径Bの計測方法は、既述したとおりである。
次に、上述したガラス繊維ストランド10の製造方法について説明する。図3には、ガラス繊維ストランド10の製造装置20が示されている。
次に、ガラス繊維ストランド10の実施例及び比較例について説明する。実施例及び比較例に係るガラス繊維ストランド10に関するデータを、次表に示す。
実施例1では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、短径が6μmであり長径が24μmの長円形の扁平断面を有するガラス繊維フィラメント12を用いた。このガラス繊維フィラメント12の断面面積に対して、同じ断面積を有する真円形の直径に算出すると13μmであった。一段目のギャザリングシューを3つ用意し、各ギャザリングシューで108本のガラス繊維フィラメント12を束ね、さらに二段目のギャザリングシューで束ねることにより、324本のガラス繊維フィラメント12からなるガラス繊維ストランド10を形成した。ガラス繊維ストランド10の短径は95μmであり長径は924μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約2270μmと算出される。また、ガラス繊維ストランド10の番手は110texであった。なお、ガラス繊維の番手(tex)は、ガラス繊維フィラメント12の1000m当たりのグラム数に相当する。
実施例2では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、短径が6μmであり長径が24μmの長円形の扁平断面を有するガラス繊維フィラメント12を用いた。このガラス繊維フィラメント12の断面面積に対して、同じ断面積を有する真円形の直径に算出すると13μmであった。一段目のギャザリングシューを6つ用意し、各ギャザリングシューで108本のガラス繊維フィラメント12を束ね、さらに二段目のギャザリングシューで束ねることにより、648本のガラス繊維フィラメント12からなるガラス繊維ストランド10を形成した。ガラス繊維ストランド10の短径は113μmであり長径は1412μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約4439μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は220texであった。
実施例3では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、短径が7μmであり長径が28μmの長円形の扁平断面を有するガラス繊維フィラメント12を用いた。このガラス繊維フィラメント12の断面面積に対して、同じ断面積を有する真円形の直径に算出すると15μmであった。一段目のギャザリングシューを3つ用意し、各ギャザリングシューで108本のガラス繊維フィラメント12を束ね、さらに二段目のギャザリングシューで束ねることにより、324本のガラス繊維フィラメント12からなるガラス繊維ストランド10を形成した。ガラス繊維ストランド10の短径は97μmであり長径は1344μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約4679μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は145texであった。
実施例4では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、短径が10.5μmであり長径が21μmのまゆ型の扁平断面を有するガラス繊維フィラメント12を用いた。このガラス繊維フィラメント12の断面面積に対して、同じ断面積を有する真円形の直径に算出すると15μmであった。一段目のギャザリングシューを2つ用意し、各ギャザリングシューで100本のガラス繊維フィラメント12を束ね、さらに二段目のギャザリングシューで束ねることにより、200本のガラス繊維フィラメント12からなるガラス繊維ストランド10を形成した。ガラス繊維ストランド10の短径は94μmであり長径は874μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約2055μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は90texであった。
実施例5では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、短径が10.5μmであり長径が21μmのまゆ型の扁平断面を有するガラス繊維フィラメント12を用いた。このガラス繊維フィラメント12の断面面積に対して、同じ断面積を有する真円形の直径に算出すると15μmであった。一段目のギャザリングシューを4つ用意し、各ギャザリングシューで100本のガラス繊維フィラメント12を束ね、さらに二段目のギャザリングシューで束ねることにより、400本のガラス繊維フィラメント12からなるガラス繊維ストランド10を形成した。ガラス繊維ストランド10の短径は118μmであり長径は1217μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約3167μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は180texであった。
比較例1では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、直径が14μmの真円形断面のガラス繊維フィラメント12を用いた。ガラス繊維ストランド10は、このガラス繊維フィラメント12を200本束ねることにより形成された。ガラス繊維ストランド10の短径は107μmであり長径は647μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約1004μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は80texであった。
比較例2では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、直径が15μmの真円形断面のガラス繊維フィラメント12を用いた。ガラス繊維ストランド10は、このガラス繊維フィラメント12を200本束ねることにより形成された。ガラス繊維ストランド10の短径は110μmであり長径は932μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約2001μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は95texであった。
比較例3では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、直径が15μmの真円形断面のガラス繊維フィラメント12を用いた。ガラス繊維ストランド10は、このガラス繊維フィラメント12を400本束ねることにより形成された。ガラス繊維ストランド10の短径は135μmであり長径は1338μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約3349μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は190texであった。
比較例4では、ガラス繊維ストランド10を形成するために、短径が10.5μmであり長径が21μmのまゆ型の扁平断面を有するガラス繊維フィラメント12を用いた。ガラス繊維ストランド10は、このガラス繊維フィラメント12を400本束ねることにより形成された。ガラス繊維ストランド10の短径は135μmであり長径は1338μmであった。ガラス繊維ストランド10の曲率半径は約3349μmであった。また、ガラス繊維ストランド10の番手は190texであった。
(1)〜(5)の実施例に対して(6)〜(9)の比較例は、ガラス繊維フィラメント12の断面積、ガラス繊維フィラメント12の集束数、ガラス繊維ストランド10の番手などのパラメータはほぼ同程度であり、比較の対象として適当であることがわかる。よって、(1)〜(9)のガラス繊維ストランド10に対して、切断性、解舒性、毛羽立ち性を検査するための試験(a),(b),(c)を行った。各試験(a),(b),(c)は、次の手順で行った。
複数本のガラス繊維ストランド10を束ねることで約4800texの繊維束を10本用意した。それぞれの繊維束をゴム製の台に置き、カッター刃付きのオートグラフで切断し、切断時の最大荷重を測定した。そして、10本の繊維束の切断荷重から近似法(最小2乗法)を用いて、4800texにおける切断荷重を算出した。比較例の切断荷重が5.5〜6.4であるのに対して、実施例の切断荷重は4.5〜5.3と小さな値となっている。よって、従来技術によれば、扁平断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドの切断性は、真円形断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドの切断性より劣っていたが、本実施例によれば、扁平断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドの切断性が向上し、真円形断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドよりも切断性が優れるようになったことがわかる。
ガラス繊維ストランド10のケーキから1000mの繊維束を速度100m/分で引き出し、テンションメータで0.1秒ごとに引き出しに必要な荷重を測定することで、多数の引き出し荷重の測定値を得た。これらの引き出し荷重の平均値を、解舒抵抗として算出した。比較例の解舒荷重が12.1〜17.1であるのに対して、実施例の解舒荷重は7.5〜12.2と小さな値となっている。よって、従来技術によれば、扁平断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドの解舒性は、真円形断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドの解舒性より劣っていたが、本実施例によれば、扁平断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドの解舒性が向上し、真円形断面のフィラメントを用いたガラス繊維ストランドよりも解舒性が優れるようになったことがわかる。
複数本のガラス繊維ストランド10を束ねることで約4800texの繊維束を10本用意した。それぞれの繊維束について、繊維束の一方の端に500gの錘を固定してから、繊維束の他方の端を手で持ち、繊維束を直径15mmの真鍮製の棒に引っ掛けて、繊維束を持った手を50cm程度繰り返し上下させることで繊維束を棒でしごく。繊維束を引っ張る時の手の感触をたよりに、繊維束が毛羽立って摩擦が増加することによる引っ掛かりの感触があるまで、手の上下動を往復回数を計数した。10本の繊維束における往復回数の平均値を、毛羽立ち回数とした。実施例の毛羽立ち回数は22〜38であり、真円形断面のガラス繊維フィラメントを用いた比較例1〜3に対しては毛羽立ち性が同程度又は劣るものの、実施例と同じく扁平断面のガラス繊維フィラメントを用いた比較例4に対しては毛羽立ち性が遥かに向上されていることがわかる。
Claims (5)
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の製造方法により製造されたガラス繊維ストランドを巻き取って形成された巻体。
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