JP2005101486A - 固体撮像素子及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】固体撮像素子の感度、飽和出力を落とすことなく、暗電流の発生を抑制する。また、固体撮像素子を用いた撮像で得られる情報電荷のノイズを低減する。
【解決手段】半導体基板の表面上に配置される複数の転送電極24を備え、半導体基板に入射される光に応答して発生した情報電荷を、転送電極24の作用により形成されるポテンシャル井戸に蓄積する固体撮像素子であって、転送電極24の近傍下に埋め込み形成されたフォトダイオード26を有する固体撮像素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、情報電荷へのノイズを低減できる固体撮像素子及びその制御方法に関する。より詳しくは、半導体基板に入射される光に応答して発生する情報電荷を、半導体基板上に配置される複数の転送電極の作用により基板の表面領域に形成されるポテンシャル井戸に蓄積する固体撮像素子及びその制御方法に関する。
CCD(Charge CoupleD−D’evice)固体撮像素子は情報電荷を一塊の信号パケットとして、外部クロックパルスに同期した速度で一方向に順序良く移動させることのできる電荷転送素子である。
フレーム転送方式のCCD固体撮像素子は、図14に示すように、撮像部2i、蓄積部2s、水平転送部2h及び出力部2dを有する。撮像部2iは、垂直方向(図14の縦方向)に互いに平行に延伸された複数のシフトレジスタからなる垂直シフトレジスタを含み、各シフトレジスタの各ビットはそれぞれ2次元行列として配置されている。蓄積部2sも、垂直方向(図14の縦方向)に互いに平行に延伸された複数のシフトレジスタからなる垂直シフトレジスタを含んで構成される。蓄積部2sに含まれる垂直シフトレジスタは遮光され、各シフトレジスタの各ビットが情報電荷を蓄積する蓄積画素として機能する。水平転送部2hは、水平方向(図14の横方向)に延伸して配置される水平シフトレジスタを含んで構成され、水平シフトレジスタの各ビットに蓄積部2sの各シフトレジスタの出力が接続される。出力部2dは、水平転送部2hの水平シフトレジスタから転送されてくる電荷を一時的に蓄積する容量及びその容量に蓄積された電荷を排出するリセットトランジスタを含んで構成される。
撮像部2iに入射された光が撮像部2iの各ビットで光電変換されて情報電荷が生成される。撮像部2iにおいて生成された情報電荷の2次元配列は、撮像部2iの垂直シフトレジスタにより蓄積部2sに高速で転送される。これにより、1フレーム分の情報電荷が蓄積部2sの垂直シフトレジスタに保持される。その後、情報電荷は1行分ずつ蓄積部2sから水平転送部2hへ転送される。さらに、情報電荷は1画素単位で水平転送部2hから出力部2dへ転送される。出力部2dは1画素毎の電荷量を電圧値に変換し、その電圧値の変化がCCD出力とされる。
撮像部2i及び蓄積部2sは、図15(a)〜(c)に示すように、半導体基板10の表面領域に形成された複数のシフトレジスタから構成される。図15(a)は従来の撮像部2iの一部を示す模式的な平面図、図15(b)及び図15(c)はそれぞれA−A線及びB−B線に沿った側断面図である。
図15(b)において、N型半導体基板9内にPウェル(PW)11が形成され、その上にNウェル12が形成される。すなわち、N型の半導体基板9に、P型の不純物が添加されたPウェル11が形成される。このPウェル11の表面領域に、N型の不純物が高濃度に添加されたNウェル12が形成される。
また、垂直シフトレジスタのチャネル領域間を分離するために分離領域14が設けられる。Nウェル12に、所定の間隔をもって互いに平行にP型の不純物をイオン注入することによってP型不純物領域からなる分離領域14が形成される。Nウェル12は、隣接する分離領域14によって電気的に区画され、分離領域14に挟まれた領域が情報電荷の転送経路であるチャネル領域22となる。分離領域14は、隣接するチャネル領域の間にポテンシャル障壁を形成し、各チャネル領域22を電気的に分離する。
半導体基板9の表面上には絶縁膜13が成膜される。この絶縁膜13を介してチャネル領域22の延伸方向に直交するように、ポリシリコン膜からなる複数の転送電極24が互いに平行に配置される。また、転送電極24の抵抗成分を低減するために、転送電極24の所定の本数毎に開口部を介して接続されるタングステンシリサイド膜から成る裏打ち配線15がチャネル領域22の延伸方向に平行に設けられる。隣接する3つの転送電極24−1,24−2,24−3の組が1つの画素に相当する。
図16に、撮像時におけるチャネル領域22に沿ったNウェル12内のポテンシャル分布の様子を示す。撮像時には、1組の転送電極24のうち1つの転送電極24−2をオン状態にしてその転送電極24−2下のチャネル領域22にポテンシャル井戸50を形成し、残りの転送電極24−1,24−3をオフ状態にすることによりオン状態の転送電極下のポテンシャル井戸50に情報電荷を蓄積する。転送時には、例えば、隣接する3つの転送電極24−1,24−2,24−3の組み合わせ毎に3相の転送クロックφ1〜φ3が印加され、転送電極24−1,24−2,24−3の下にあるチャネル領域22のポテンシャルが制御されて情報電荷が転送される。
特開2001−166284号公報 特開平6−112467号公報
上記従来のCCD固体撮像素子では、電荷蓄積時において転送電極24の一部をオン状態とするために、オン状態とされた転送電極24下の絶縁膜13とNウェル12との界面に存在する欠陥準位の影響により暗電流が発生する。この欠陥準位による暗電流は、撮像部2iで発生される情報電荷に対するノイズとなるので、CCD固体撮像素子で撮像される画像に悪影響を及ぼす。特に、暗電流の発生はCCD固体撮像素子の温度が上がったときや、長時間露光を行ったときに顕著になる。
また、情報電荷の転送時においても、オン状態とされた転送電極24下のNウェル12において光電変換が起こり、電荷が発生する。この転送時に発生する電荷は、転送される画像上に垂直方向に伸びるスミアを発生させる。このスミアもCCD固体撮像素子で撮像される画像の品質を低下させる一因となる。
本発明は、上記従来技術の問題を鑑み、上記課題の少なくとも1つを解決すべく、情報電荷へのノイズを低減できる固体撮像素子及びその制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、外部からの光を受けて情報電荷を発生させる撮像部を備え、前記撮像部は半導体基板の表面に形成され、前記半導体基板の表面領域に所定の間隔を設けてほぼ均一な幅で平行に配置され、その表面領域が一導電型を有する複数のチャネル領域と、前記半導体基板の表面上に前記複数のチャネル領域と交差する方向に延在し互いに平行に配置される複数の転送電極とを含み、前記半導体基板に入射される光に応答して発生した情報電荷を、前記転送電極の作用により形成されるポテンシャル井戸に蓄積する固体撮像素子であって、前記チャネル領域に埋め込み形成され、その表面領域が前記チャネル領域と逆導電型を有するフォトダイオードが設けられ、前記フォトダイオードの前記転送電極の延在方向の長さは前記チャネル領域の幅に比べ短いものであって、前記フォトダイオードの設けられた部分を開口部とするように、前記転送電極に切り欠き領域が設けられ、前記チャネル領域と前記フォトダイオードとの間を、前記転送電極の作用により情報電荷を移動させることを特徴とする。
ここで、前記フォトダイオードを形成する一導電型を有する領域の不純物濃度は、前記チャネル領域の不純物濃度よりも高いことが好適である。
さらに、前記複数のチャネル領域の間に配置され、その表面領域が前記チャネル領域とは逆導電型を有する分離領域、を含み、前記フォトダイオードが形成された領域は、前記分離領域が形成された前記半導体基板の領域の近傍に形成されてなることが好適である。また、前記分離領域の少なくとも1つと、前記フォトダイオードが形成された領域の表面と、の電位を等しくできる構成を有することが好適である。
また、前記半導体基板の表面における前記フォトダイオードが形成された領域以外の領域に外部からの光が入射しない構成とすることが好適である。例えば、前記フォトダイオードが形成された領域のみに外部からの光を入射させるレンズを含むようにする。
また、本発明の別の態様は、外部からの光を受けて情報電荷を発生させる撮像部を備え、前記撮像部は半導体基板の表面に形成され、前記半導体基板の表面領域に所定の間隔を設けてほぼ均一な幅で平行に配置され、その表面領域が一導電型を有する複数のチャネル領域と、前記半導体基板の表面上に前記複数のチャネル領域と交差する方向に延在し互いに平行に配置される複数の転送電極とを含み、前記半導体基板に入射される光に応答して発生した情報電荷を、前記転送電極の作用により形成されるポテンシャル井戸に蓄積する固体撮像素子であって、前記チャネル領域に埋め込み形成され、その表面領域が前記チャネル領域と逆導電型を有するフォトダイオードが設けられ、前記フォトダイオードの前記転送電極の延在方向の長さは前記チャネル領域の幅に比べ短いものであって、前記フォトダイオードの設けられた部分を開口部とするように、前記転送電極に切り欠き領域が設けられた固体撮像素子の制御方法であって、前記チャネル領域と前記フォトダイオードとの間を、前記転送電極の作用により情報電荷を移動させることを特徴とする。このとき、前記半導体基板の電位を変更することが好適である。
本発明によれば、感度、飽和出力を落とすことなく、暗電流の発生を抑制することができる。また、本発明によれば、固体撮像素子を用いた撮像で得られる情報電荷のノイズを低減することができる。
従って、固体撮像素子で撮影された画像の品質を向上することができる。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態におけるCCD固体撮像素子は、図14に既に示したように、撮像部2i、蓄積部2s、水平転送部2h及び出力部2dを含んで構成される。なお、従来構造と同等の構成については同一の符号を付して説明を簡略する。
図1は、本発明の固体撮像素子の撮像部2iの一部を示す模式的な平面図、図2は断面図、図3は固体撮像素子のポテンシャル関係を示す図である。
図1及び図2において、例えば、N型半導体基板9内にP型層としてPウェル11が形成され、その上にN型層としてのNウェル12が形成されている。また、前記基板9上にゲート絶縁膜13を介してポリシリコン膜からなる複数の転送電極24が形成されている。
より具体的には、撮像部2iは、N型の半導体基板9の表面に形成される。半導体基板9としては、砒素(As)、燐(P)、アンチモン(Sb)等のN型の不純物が添加されたシリコン基板等の一般的な半導体材料を用いることができる。半導体基板9としては、1×1014/cm3以上1×1015/cm3以下のドーピング濃度を有するシリコン基板を用いることが好適である。
N型の半導体基板9に、P型の不純物が添加されたPウェル(PW)11が形成される。P型の不純物としては、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)等を用いることができる。Pウェル11のドーピング濃度は、半導体基板9のドーピング濃度よりも高くすることが好ましく、5×1014/cm3以上5×1016/cm3以下とすることが好適である。このPウェル11の表面領域に、N型の不純物が高濃度に添加されたNウェル(NW)12が形成される。N型の不純物としては、砒素(As)、燐(P)、アンチモン(Sb)等を用いることができる。Nウェル12のドーピング濃度は、Pウェル11のドーピング濃度よりも高くすることが好ましく、1×1016/cm3以上1×1017/cm3以下とすることが好適である。
半導体基板9の表面上には絶縁膜13が成膜される。絶縁膜13は、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化膜(SiN)等の半導体集積装置に用いられる絶縁材とすることができる。
この絶縁膜13を介してチャネル領域22の延伸方向に直交するように複数の転送電極24が互いに平行に配置される。転送電極24は、ポリシリコン膜、金属膜、又はこれらの組み合わせを材料とすることができる。隣接する3つの転送電極24−1,24−2,24−3の組が1つの画素に相当する。
また、垂直シフトレジスタのチャネル領域22を電気的に分離するために分離領域14が設けられている。
より具体的には、Nウェル12に、所定の間隔をもって互いに平行にP型の不純物が高濃度に添加される。このP型不純物領域が分離領域14となる。この分離領域14のドーピング濃度は、1×1016/cm3以上5×1017/cm3以下とすることが好適である。分離領域14は、隣接するチャネル領域の間にポテンシャル障壁を形成し、各チャネル領域22を電気的に分離する。このチャネル領域は、半導体基板9の表面領域に所定の間隔を設けてほぼ均一な幅で平行に配置され、複数の転送電極24と交差する方向に延在し互いに平行に配置される。
また、タングステンシリサイド膜等の金属膜からなる裏打ち配線15がチャネル領域22の延伸方向に平行に設けられることも好適である。転送電極24の所定の本数毎に開口部を設け、それらの開口部を介して転送電極24を裏打ち配線15により接続することによって転送電極24の抵抗成分を低減することができる。
本発明の特徴は、埋め込み型のフォトダイオード26が設けられていることである。図1及び図2に示すように、隣り合う転送電極24に切り欠き領域28を設けて形成した開口部を利用して、表面にP型の不純物をイオン注入して、半導体基板9の表面に高濃度のP+型領域16を形成している。なお、本工程では、例えばP型の不純物としてボロンイオンを用いて、20keVの加速電圧で1×1012/cm2の注入条件でイオン注入している。なお、切り欠き領域28を設けることなく、転送電極24の近傍下にフォトダイオード26を形成するものであっても良い。この場合、フォトダイオード26には、CCD固体撮像素子の外部の光が入射できるようにすることが必要である。
また、図1では、各転送電極24に対して切り欠き領域28を設け、それぞれの切り欠き領域28にフォトダイオード26を形成したが、図4の平面図及び図5の側断面図に示すように、切り欠き領域28は、1画素を画定する複数の転送電極24の組み合わせ毎に少なくとも1つの開口部を有するように形成されれば良い。ここで、図5は、図4のM−M線に沿った側断面図である。各転送電極24は、途中で分断されないようにその形状が決められる。転送電極24をマスクとして、切り欠き領域28の開口部の表面領域にP型の不純物を添加することによりP+型領域16を形成することができる。
例えば、図17のように、1画素を画定する複数の転送電極24の1つに完全に含まれるように切り欠き領域28を設け、その切り欠き領域28にフォトダイオード26を形成しても良い。さらに、図18のように、1画素を画定する複数の転送電極24の1つにおいて、転送電極24とフォトダイオード26とを交互に配列し、転送電極24同士を導電性のバイパス42で接続する構成としても良い。このとき、バイパス42は、多層配線技術を用いて、転送電極24を覆う絶縁膜上に設けられ、転送電極24に対するコンタクトホール44を介して転送電極24を接続する構造とすることができる。このとき、フォトダイオード26の転送電極24の延在方向の長さはチャネル領域22の幅に比べ短くすることが好適である。
ここで、P+型領域16のドーピング濃度は、1×1016/cm3以上5×1017/cm3以下に調整されることが好適である。
ここで、フォトダイオード26に情報電荷を蓄積するときは、総ての転送電極24−1〜24−3に負電位を供給してオフ動作させることで、図3(a),(b)に示すように、転送電極24直下の絶縁膜13(SiO2)/Nウェル12(Si)の界面に正孔が集まる。このとき、界面で発生する電荷(暗電流)が界面に集まった正孔と再結合するため、暗電流の発生を抑制できる。また、絶縁膜13(SiO2)/P+型領域16(Si)の界面においては、界面で発生する電荷がP+型領域16に集まった正孔と再結合するため、暗電流の発生を抑制できる。よって、絶縁膜13/半導体基板9の界面での暗電流の発生を抑制することができる。
そして、いずれか1つ選択された転送電極24をオン動作させることで、図1の矢印Aで示すようにフォトダイオード26内の情報電荷が選択された転送電極24に転送される。また、オン動作させていた転送電極24をオフ動作させ、次の転送電極24をオン動作させることで、次に選択された転送電極24に情報電荷が転送される。この動作が逐次繰り返されて、情報電荷をクロックパルスφ1〜φ3に同期した速度で一方向に順序良く移動させることができる。
以上のように、埋め込み型のフォトダイオード26に情報電荷を蓄積する方法を採用したことで、従来の転送電極に情報電荷を蓄積する方式に比べて蓄積能力を高めることができる。すなわち、撮像部2iにおいて、露光期間に情報電荷を蓄積する際に、すべての転送電極24へ印加するクロックパルスを立ち上げてオフ状態にするAGP(All Gate Pinning)駆動をゲートのみの構造で行おうとした場合、蓄積電荷量を多くすることが難しかったが、フォトダイオード方式ではゲート方式に比べそのような問題は少ないといった利点がある。
なお、AGP駆動方式に関する出願としては、本発明者が既に出願した特願2002−340875号等がある。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態におけるCCD固体撮像素子も、図14に既に示したように、撮像部2i、蓄積部2s、水平転送部2h及び出力部2dを含んで構成される。本実施の形態におけるCCD固体撮像素子は、その撮影部2iに従来と異なる特徴を有する。従って、以下では撮像部2iに限定して説明を行う。
図6は本発明の固体撮像素子の撮像部2iの一部を示す模式的な平面図、図7はC−C線に沿った側断面図を示している。なお、従来構造と同等の構成については同一の符号を付して説明を簡略する。
本発明の第2の実施の形態における撮像部2iは、図6及び図7に示すように、半導体基板9の表面領域に形成された複数のシフトレジスタから構成される。
撮像部2iは、N型の半導体基板9の表面に形成される。半導体基板9としては、砒素(As)、燐(P)、アンチモン(Sb)等のN型の不純物が添加されたシリコン基板等の一般的な半導体材料を用いることができる。半導体基板9としては、1×1014/cm3以上1×1015/cm3以下のドーピング濃度を有するシリコン基板を用いることが好適である。
N型の半導体基板9に、P型の不純物が添加されたPウェル(PW)11が形成される。Pウェル11のドーピング濃度は、半導体基板9のドーピング濃度よりも高くすることが好ましく、5×1014/cm3以上5×1016/cm3以下とすることが好適である。このPウェル11の表面領域に、N型の不純物が高濃度に添加されたNウェル(NW)12が形成される。Nウェル12のドーピング濃度は、Pウェル11のドーピング濃度よりも高くすることが好ましく、1×1016/cm3以上1×1017/cm3以下とすることが好適である。Nウェル12には、所定の間隔をもって互いに平行にP型の不純物が高濃度に添加されたP型不純物領域からなる分離領域14が形成される。この分離領域14のドーピング濃度は、1×1016/cm3以上5×1017/cm3以下とすることが好適である。分離領域14は、Nウェル12内にポテンシャル障壁を形成する。チャネル領域22は、このポテンシャル障壁によって電気的に区画される。このチャネル領域は、半導体基板9の表面領域に所定の間隔を設けてほぼ均一な幅で平行に配置され、複数の転送電極24と交差する方向に延在し互いに平行に配置される。
半導体基板9の表面上には絶縁膜13が成膜される。この絶縁膜13を介して分離領域14の延伸方向に直交するように複数の転送電極24が互いに平行に配置される。隣接する3つの転送電極24−1,24−2,24−3の組が1つの画素に相当する。
隣接する分離領域14に挟まれた領域のNウェル12にはP型の不純物が高濃度に添加されたP+型領域16及びN+型領域17が設けられる。このP+型領域16とN+型領域17とのPN接合はフォトダイオード26を構成する。フォトダイオード26は、1つの画素に相当する3つの転送電極24−1,24−2,24−3の組に少なくとも1つ設けられる。
例えば、絶縁膜13上に転送電極24を形成する際に、図6に示すように、フォトリソグラフィ等のパターンニングにより転送電極24に切り欠き領域28を設け、転送電極24をマスクとして利用することができる。切り欠き領域28は、1画素を画定する複数の転送電極24の組み合わせ毎に少なくとも1つの開口部を有するように形成される。このとき、各転送電極24が途中で切断されないようにその形状が決められる。このとき、フォトダイオード26の転送電極24の延在方向の長さはチャネル領域22の幅に比べ短くすることが好適である。
まず、隣り合う転送電極24に切り欠き領域28を設けて形成した開口部をマスクとして利用して、Pウェル11とNウェル12とに跨るようにN型の不純物をイオン注入する。これにより、N+型領域17が形成される。N+型領域17のドーピング濃度は、Nウェル12のドーピング濃度よりも高くすることが好ましく、1×1016/cm3以上5×1017/cm3以下とすることが好適である。このN+型領域17の表面領域にP型の不純物を高濃度にイオン注入して、基板表層に高濃度のP+型領域16を形成している。P+型領域16のドーピング濃度は、N+型領域17のドーピング濃度よりも高くすることが好ましく、1×1016/cm3以上5×1017/cm3以下とすることが好適である。なお、切り欠き領域28を設けることなく、転送電極24の近傍下に埋め込み型のフォトダイオード26を形成するものであっても良い。この場合、フォトダイオード26には、CCD固体撮像素子の外部の光が入射できるようにすることが必要である。
フォトダイオード26を構成するP+型領域16は、図7に示すように、分離領域14と接触するように形成されることが好適である。これにより、分離領域14とP+型領域16とを常に同電位に維持することができる。分離領域14は、転送電極24とは独立に、外部から常時一定の電位に保たれているため、P+型領域16も同時に一定電位に保たれる。従って、フォトダイオード26内とチャネル領域22内とを異なるポテンシャル分布に制御することができる。
また、フォトダイオード26を構成するP+型領域16は、分離領域14より半導体基板9の表面から浅く形成することが好適である。これにより、CCD固体撮像素子の外部からフォトダイオード26へ入射してくる光を高い変換効率で光電変換することができる。
このように、P+型領域16及びN+型領域17を配置することにより、転送電極24の切り欠き領域28にフォトダイオード26を形成することができる。
撮像部2iは、CCD固体撮像素子の外部から入射してくる光を受け、光電変換によりその外部光の強度に応じた情報電荷を発生させる。フォトダイオード26は、画素毎に発生された情報電荷を蓄積するために用いられる。
分離領域14に挟まれた領域のうち、フォトダイオード26が形成されていない領域が情報電荷の転送経路であるチャネル領域22となる。各チャネル領域22は分離領域14によって電気的に隔てられる。
本実施の形態では、絶縁膜13及び転送電極24の上には透明な中間層18を介してインナーレンズ40が設けられる。インナーレンズ40は、CCD固体撮像素子の外部から入射される光を各フォトダイオード26が形成された領域に導くように形成される。すなわち、インナーレンズ40は、CCD固体撮像素子の外部から入射してくる光を屈折させ、フォトダイオード26が形成された領域に光を集光させ、情報電荷を効率良く発生させると共に、半導体基板9の表面におけるフォトダイオード26が形成された領域以外の領域には光が入射しないように制限する。
なお、フォトダイオード26が形成された領域以外の領域に外部からの光が入射しないようにするものであればインナーレンズ40に限定されるものではない。例えば、CCD固体撮像素子の表面に転送電極24の切り欠き領域28に合わせた開口部を有する遮光マスクを設けても本実施の形態と同様の効果を得ることができる。ただし、集光率は、インナーレンズ40を用いた方が高くすることができる。
次に、本実施の形態におけるCCD固体撮像素子の制御方法について説明する。撮像時及び蓄積部2sへの転送時以外の制御については従来のCCD固体撮像素子と同様に行うことができる。そこで、図8に撮像時、ゲート転送時及び転送時のタイミングチャートを示し、撮像時及び転送時の制御についてのみ説明を行う。クロックパルスφ1〜φ3は、それぞれ転送電極24−1〜24−3に印加される。N型基板(N−SUB)10には、基板電位Vsubが印加される。
図9及び図10に撮像時、ゲート転送時及び転送時の各期間におけるD−D’線及びE−E’線(図7参照)に沿った深さ方向のポテンシャル分布をそれぞれ示す。横軸は半導体基板9の表面からの深さを示し、また縦軸が各位置でのポテンシャルを示し、下が正電位側、上が負電位側となる。
時刻t0〜t1では、撮像部2iは外部からの光を受けて撮像を行う。撮像時には、転送電極24−1〜24−3のいずれにも負電位が印加され、N型基板10にも負電位が印加される。そのため、D−D’線に沿ったポテンシャル分布は、図9のラインGのようになり、P+型領域16から徐々に低下し、N+型領域17内で極小値となり、Pウェル11に向かって再び上昇し、Pウェル11内で極大値となり、N型基板10に向かって再び減少するものとなる。その結果、N+型領域17内にポテンシャル井戸30が形成される。一方、E−E’線に沿ったポテンシャル分布は、図10のラインJのようになり、Nウェル12からN型基板10の深部に向かって徐々に低下する。その結果、E−E’線に沿った領域にはポテンシャル井戸が形成されないか、又は、極浅いポテンシャル井戸が形成されるに過ぎない。
図11に、撮像時におけるD’−X−Y−E’線(図7参照)に沿ったポテンシャル分布を示す。図11において、横軸はD’−X−Y−E’線に沿った位置を示し、縦軸はポテンシャルを示している。図9のラインG及び図10のラインJにも示したように、撮像時においてはN+型領域17内にポテンシャル井戸30が形成される。従って、撮像時において、フォトダイオード26の周囲に照射された光によって発生した電荷はポテンシャル井戸30に情報電荷32として蓄積される。
また、フォトダイオード26が形成された領域以外の領域に外部からの光が入射しないようにインナーレンズ40や遮光マスクを設けておくことにより、フォトダイオード26が形成された領域以外での電荷の発生がなくなる。従って、フォトダイオード26の領域のみで情報電荷が生成され、スミアの影響をより抑制することができる。
時刻t1〜t2では、フォトダイオード26の領域に蓄積された情報電荷32がチャネル領域22へとゲート転送される。このとき、切り欠き部が設けられた転送電極24−1又は24−2のいずれか1つに正電位が印加され、N型基板10は負電位に維持される。図8のタイミングチャートでは転送電極24−2に印加されるクロックパルスφ2が正電位にされている。このとき、転送電極24−2に近接するD−D’線に沿ったポテンシャル分布は、図9のラインHのようになり、P+型領域16から徐々に低下し、N+型領域17内で極小値となり、Pウェル11に向かって再び上昇し、Pウェル11内で極大値となり、N型基板10に向かって再び減少するものとなる。その結果、N+型領域17には撮像時と同様にポテンシャル井戸34が形成される。一方、転送電極24−2に近接するE−E’線に沿ったポテンシャル分布は、図10のラインKのようになり、Nウェル12の深部に向かって徐々に低下し、Nウェル12内で極小値となり、Pウェル11に向かって再び上昇し、Pウェル11内で極大値となり、N型基板10に向かって再び減少するものとなる。その結果、Nウェル12内にフォトダイオード26の領域のポテンシャル井戸34よりも深いポテンシャル井戸36が形成される。
図12に、ゲート転送時におけるD’−X−Y−E’線(図7参照)に沿ったポテンシャル分布を示す。図12において、横軸はD’−X−Y−E’線に沿った位置を示し、縦軸はポテンシャルを示している。図9のラインH及び図10のラインKにも示したように、N+型領域17内に形成されるポテンシャル井戸34は浅く、Nウェル12内に形成されるポテンシャル井戸36は深い。撮像時にフォトダイオード26に形成されたポテンシャル井戸30に蓄積されていた情報電荷32はチャネル領域22に形成されたポテンシャル井戸36に向かって転送される。
時刻t2以降では、チャネル領域22に転送された情報電荷32がチャネル領域22に沿って垂直転送される。転送電極24−1〜24−3には、図8に示すように、互いに位相がずれたクロックパルスφ1〜φ3が印加される。それと同時に、N型基板10には正電位が印加される。このとき、D−D’線に沿ったポテンシャル分布は、図9のラインIのようになり、P+型領域16からN型基板10に向かって徐々に低下する。その結果、N+型領域17内にはポテンシャル井戸は形成されない。一方、負電位が印加された転送電極24に近接するE−E’線に沿ったポテンシャル分布は、図10のラインL1のようになり、Nウェル12からN型基板10に向かって徐々に低下する。その結果、Nウェル12内にはポテンシャル井戸は形成されない。一方、正電位が印加された転送電極24に近接するE−E’線に沿ったポテンシャル分布は、図10のラインL2のようになり、Nウェル12の深部に向かって徐々に低下し、Nウェル12内で極小値となり、Pウェル11に向かって再び上昇し、N型基板10に向かって再び減少するものとなる。その結果、Nウェル12内にポテンシャル井戸38が形成される。
図13に、正電位が印加された転送電極24付近におけるD’−X−Y−E’線(図7参照)に沿ったポテンシャル分布を示す。図13において、横軸はD’−X−Y−E’線に沿った位置を示し、縦軸はポテンシャルを示している。図9のラインI及び図10のラインL2にも示したように、Nウェル12内にはポテンシャル井戸38が形成され、情報電荷32が蓄積される。情報電荷32は、転送電極24−1〜24−3へ順次印加されるクロックパルスφ1〜φ3の変化に伴ってチャネル領域22の延伸方向へと転送される。
一方、N+型領域17内にはポテンシャル井戸は形成されず、転送時においてフォトダイオード26付近で生成された電荷はN型基板10の深部へ排出される。
このとき、フォトダイオード26が形成された領域以外の領域に外部からの光が入射しないようにインナーレンズ40や遮光マスクを設けておくことにより、フォトダイオード26が形成された領域以外での電荷の発生を防ぐことができる。また、フォトダイオード26の領域で発生した電荷はN型基板10の深部へ排出することができる。従って、転送時に受光により新たに発生する電荷による情報電荷32への影響を防ぐことができる。すなわち、転送時におけるスミアの発生を抑制できる。
以上のように、埋め込み型のフォトダイオード26に情報電荷を蓄積する方法を採用したことで、従来の転送電極に情報電荷を蓄積する方式に比べて蓄積能力を高めることができる。すなわち、撮像部2iにおいて、露光期間に情報電荷を蓄積する際に、すべての転送電極24へ印加するクロックパルスを立ち上げてオフ状態にするAGP(All Gate Pinning)駆動をゲートのみの構造で行おうとした場合、蓄積電荷量を多くすることが難しかったが、フォトダイオード方式ではゲート方式に比べそのような問題は少ないといった利点がある。
また、情報電荷を蓄積する際に絶縁膜13/半導体基板9の界面に正孔が集まる領域を設けることで、界面で発生する電荷は正孔と再結合するため、暗電流の発生を抑制することができる。また、転送時の受光によって新たに発生する電荷をN型基板10の深部へ排出することができ、転送時における画像上のスミアの発生を防ぐことができる。すなわち、感度、飽和出力を落とすことなく、固体撮像素子の画質を向上することができる。
なお、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得る。
本発明の第1の実施の形態における固体撮像素子の撮像部の平面図を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における固体撮像素子の撮像部の側断面図を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における固体撮像素子の撮像部のポテンシャル分布を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における固体撮像素子の撮像部の別の例を表した平面図を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における固体撮像素子の撮像部の別の例を表した側断面図を示す図である。 本発明の第2の実施の形態における固体撮像素子の撮像部の平面図を示す図である。 本発明の第2の実施の形態における固体撮像素子の撮像部の側断面図を示す図である。 固体撮像素子の制御方法におけるタイミングチャートを示す図である。 本発明の第2の実施の形態における固体撮像素子の撮像部のポテンシャル分布を示す図である。 本発明の第2の実施の形態における固体撮像素子の撮像部のポテンシャル分布を示す図である。 撮像時における固体撮像素子の撮像部のポテンシャル分布を示す図である。 ゲート転送時における固体撮像素子の撮像部のポテンシャル分布を示す図である。 転送時における固体撮像素子の撮像部のポテンシャル分布を示す図である。 固体撮像素子の構成を示す概念図である。 従来の固体撮像素子の構成を示す平面図及び側断面図である。 固体撮像素子における電荷の蓄積の様子を説明する図である。 固体撮像素子の撮像部の平面図を示す別の例を示す図である。 固体撮像素子の撮像部の平面図を示す別の例を示す図である。
符号の説明
2d 出力部、2i 撮像部、2h 水平転送部、2s 蓄積部、9 半導体基板、10 N型基板、11 Pウェル、12 Nウェル、13 絶縁膜、14 分離領域、16 P+型領域、17 N+型領域、18 中間層、22 チャネル領域、24 転送電極、26 フォトダイオード、28 切り欠き領域、30,34,36,38,50 ポテンシャル井戸、32 情報電荷、40 インナーレンズ、42 バイパス(電極)、44 コンタクトホール。

Claims (8)

  1. 外部からの光を受けて情報電荷を発生させる撮像部を備え、
    前記撮像部は半導体基板の表面に形成され、前記半導体基板の表面領域に所定の間隔を設けてほぼ均一な幅で平行に配置され、その表面領域が一導電型を有する複数のチャネル領域と、前記半導体基板の表面上に前記複数のチャネル領域と交差する方向に延在し互いに平行に配置される複数の転送電極とを含み、
    前記半導体基板に入射される光に応答して発生した情報電荷を、前記転送電極の作用により形成されるポテンシャル井戸に蓄積する固体撮像素子であって、
    前記チャネル領域に埋め込み形成され、その表面領域が前記チャネル領域と逆導電型を有するフォトダイオードが設けられ、前記フォトダイオードの前記転送電極の延在方向の長さは前記チャネル領域の幅に比べ短いものであって、
    前記フォトダイオードの設けられた部分を開口部とするように、前記転送電極に切り欠き領域が設けられ、
    前記チャネル領域と前記フォトダイオードとの間を、前記転送電極の作用により情報電荷を移動させる
    ことを特徴とする固体撮像素子。
  2. 請求項1に記載の固体撮像素子において、
    前記フォトダイオードを形成する一導電型を有する領域の不純物濃度は、前記チャネル領域の不純物濃度よりも高いことを特徴とする固体撮像素子。
  3. 請求項1又は2に記載の固体撮像素子において、
    前記複数のチャネル領域の間に配置され、その表面領域が前記チャネル領域とは逆導電型を有する分離領域、を含み、
    前記フォトダイオードが形成された領域は、前記分離領域が形成された前記半導体基板の領域の近傍に形成されてなることを特徴とする固体撮像素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の固体撮像素子において、
    前記半導体基板の表面における前記フォトダイオードが形成された領域以外の領域に外部からの光が入射しない構成を有することを特徴とする固体撮像素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の固体撮像素子において、
    前記フォトダイオードが形成された領域のみに外部からの光を入射させるレンズを含むことを特徴とする固体撮像素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の固体撮像素子において、
    前記分離領域の少なくとも1つと、前記フォトダイオードが形成された領域の表面と、の電位を等しくできる構成を有することを特徴とする固体撮像素子。
  7. 外部からの光を受けて情報電荷を発生させる撮像部を備え、
    前記撮像部は半導体基板の表面に形成され、前記半導体基板の表面領域に所定の間隔を設けてほぼ均一な幅で平行に配置され、その表面領域が一導電型を有する複数のチャネル領域と、前記半導体基板の表面上に前記複数のチャネル領域と交差する方向に延在し互いに平行に配置される複数の転送電極とを含み、
    前記半導体基板に入射される光に応答して発生した情報電荷を、前記転送電極の作用により形成されるポテンシャル井戸に蓄積する固体撮像素子であって、
    前記チャネル領域に埋め込み形成され、その表面領域が前記チャネル領域と逆導電型を有するフォトダイオードが設けられ、前記フォトダイオードの前記転送電極の延在方向の長さは前記チャネル領域の幅に比べ短いものであって、
    前記フォトダイオードの設けられた部分を開口部とするように、前記転送電極に切り欠き領域が設けられた固体撮像素子の制御方法であって、
    前記チャネル領域と前記フォトダイオードとの間を、前記転送電極の作用により情報電荷を移動させることを特徴とする固体撮像素子の制御方法。
  8. 請求項7に記載の固体撮像素子の制御方法において、
    前記半導体基板の電位を変更することを特徴とする固体撮像素子の制御方法。

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