JP2005100822A - 燃料電池、該燃料電池の製造方法、該燃料電池又は該製造方法により製造された燃料電池を備える電子機器 - Google Patents

燃料電池、該燃料電池の製造方法、該燃料電池又は該製造方法により製造された燃料電池を備える電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 小面積で多量の電流を取り出すことができる燃料電池を提供する。
【解決手段】 2つの電解質膜・電極集合体が積層されて構成される燃料電池において、上下に隣接する前記電解質膜・電極集合体において、上部を燃料極とし下部を空気極として形成された下側に位置する前記電解質膜・電極集合体74及び下部を燃料極とし上部を空気極として形成された上側に位置する前記電解質膜・電極集合体76と、前記燃料極の燃料極側電極に接続する燃料極側集電部78と、前記空気極の空気極側電極に接続する空気極側集電部79とを備える。
【選択図】 図2

Description

この発明は、携帯機器などの小型機器に利用可能な燃料電池、該燃料電池の製造方法、該燃料電池又は該製造方法により製造された燃料電池を備える電子機器に関するものである。
従来、イオンを通す性質を持つ電解質膜を、電子を通す性質を持つ多孔質の電極で挟んだMEA(電解質膜・電極集合体)により構成される燃料電池が存在する。この燃料電池の中には、水素又はアルコール等を燃料として発電するものが存在する。このような燃料電池のうち、例えば、水素を燃料として用いる燃料電池では、一方の電極(燃料極)に水素を含む第1の反応ガスを供給し、他方の電極(空気極)に酸素を含む第2の反応ガスを供給し、第1の反応ガスに含まれている水素と第2の反応ガスに含まれている酸素とに基づく反応により発電が行われる。一般に燃料電池においては、複数の単位燃料電池を直列又は並列に接続して、要求される電圧及び電流を発生させている。また単位燃料電池内には、特許文献1に開示されているように、複数の部分電池が含まれており、複数の部分電池は、セパレ-ション(隔離)され、並列に接続されて構成されている。若しくは、特許文献2のように、セパレータが導電性の時のみ、直列構造となっている。特許文献1の構造では、部分電池同士が隔離されているため、単位電池の厚みが増す。
特開平9-223507 特開平6-310158
ところで、アナログ系の回路を駆動する場合には、多量の電流が必要になる場合があるが、部分電池が特許文献2のように直列に接続されている単位燃料電池を複数用いて所望の値の電流を得ようとする場合には、複数の単位燃料電池を配置するための面積が大きくなり、燃料電池が大型化してしまう。また、特許文献1の構造では、部分電池同士が隔離されているため、単位電池の厚みが増す。この発明の課題は、薄くかつ小面積で多量の電流を取り出すことができる燃料電池、該燃料電池の製造方法、該燃料電池又は該製造方法により製造された燃料電池を備える電子機器を提供することである。
この発明に係る燃料電池は、少なくとも2つの電解質膜・電極集合体が積層されて構成される燃料電池において、上下に隣接する前記電解質膜・電極集合体において、上部を燃料極とし下部を空気極として形成された下側に位置する前記電解質膜・電極集合体及び下部を燃料極とし上部を空気極として形成された上側に位置する前記電解質膜・電極集合体又は、上部を空気極とし下部を燃料極として形成された下側に位置する前記電解質膜・電極集合体及び下部を空気極とし上部を燃料極として形成された上側に位置する前記電解質膜・電極集合体と、前記燃料極の燃料極側電極に接続する燃料極側集電部と、前記空気極の空気極側電極に接続する空気極側集電部とを備えることを特徴とする。
この発明に係る燃料電池によれば、積層された電解質膜・電極集合体を並列に接続することができる。従って、小面積で多量の電流を取り出すことができる。
この発明に係る燃料電池は、前記燃料極側電極が積層される前記電解質膜・電極集合体の一方の外縁部に張出して形成され、前記空気極側電極は、積層される前記電解質膜・電極集合体の他方の外縁部に張出して形成されることを特徴とする。
この発明に係る燃料電池によれば、積層される電解質膜・電極集合体の一方の外縁部に燃料極側電極が張出して形成され、他方の外縁部に空気極側電極が張出して形成されているため、積層される電解質膜・電極集合体の並列接続を容易に行うことができる。
この発明に係る燃料電池は、前記電解質膜・電極集合体は、少なくとも1層の集電層、少なくとも1層のガス拡散層、少なくとも1層の反応層及び電解質層を備え、前記集電層、前記ガス拡散層、前記反応層、前記電解質層のうち、少なくとも1つの層は、吐出装置を用いて形成されていることを特徴とする。
この発明に係る燃料電池によれば、少なくとも1つの層が吐出装置を用いて形成されているため、例えば、微細なガス流路を備える小型の燃料電池を製造することができ、燃料電池の製造コストを低減することができる。
この発明に係る燃料電池の製造方法は、少なくとも2つの電解質膜・電極集合体が積層されて構成される燃料電池の製造方法において、上下に隣接する下側の前記電解質膜・電極集合体を形成する下部電解質膜・電極集合体形成工程と、上下に隣接する上側の前記電解質膜・電極集合体を形成する上部電解質膜・電極集合体形成工程と、前記下部電解質膜・電極集合体及び前記上部電解質膜・電極集合体の空気極の空気極側電極を空気極側集電部に接続する第1接続工程と、前記下部電解質膜・電極集合体及び前記上部電解質膜・電極集合体の燃料極の燃料極側電極を燃料極側集電部に接続する第2接続工程とを含み、前記下部電解質膜・電極集合体形成工程において、該下部電解質膜・電極集合体の下部に位置する空気極又は燃料極の空気極側電極又は燃料極側電極を積層される前記電解質膜・電極集合体の一方の外縁部に張出して形成すると共に、該下部電解質膜・電極集合体の上部に位置する燃料極又は空気極の燃料極側電極又は空気極側電極を積層される前記電解質膜・電極集合体の他方の外縁部に張出して形成し、前記上部電解質膜・電極集合体形成工程において、該上部電解質膜・電極集合体の下部に位置する燃料極又は空気極の燃料極側電極又は空気極側電極を積層される前記電解質膜・電極集合体の前記他方の外縁部に張出して形成すると共に、該上部電解質膜・電極集合体の上部に位置する空気極又は燃料極の空気極側電極又は燃料極側電極を積層される前記電解質膜・電極集合体の前記一方の外縁部に張出して形成することを特徴とする。
この発明に係る燃料電池の製造方法によれば、積層された電解質膜・電極集合体が並列に接続された燃料電池を容易に製造することができる。この燃料電池によれば、小面積で多量の電流を取り出すことができる。
この発明に係る燃料電池の製造方法は、前記電解質膜・電極集合体は、少なくとも1層の集電層、少なくとも1層のガス拡散層、少なくとも1層の反応層及び電解質層を備え、前記集電層、前記ガス拡散層、前記反応層、前記電解質層のうち、少なくとも1つの層を形成する工程において吐出装置を用いることを特徴とする。
この発明に係る燃料電池の製造方法によれば、少なくとも1つの層が吐出装置を用いて形成されているため、例えば、微細なガス流路を備える小型の燃料電池を製造することができ、燃料電池の製造コストを低減することができる。
この発明に係る電子機器は、この発明に係る燃料電池を電力供給源として備えることを特徴とする。また、この発明に係る電子機器は、この発明に係る製造方法により製造された燃料電池を電力供給源として備えることを特徴とする。
この発明に係る電子機器によれば、小面積で多量の電流を取り出すことができる燃料電池を備えるため、電子機器の小型化を実現することができる。
以下、図面を参照して、この発明に実施の形態に係る燃料電池について説明する。図1は、実施の形態に係る単位燃料電池の平面図、図2は、図1に示すA−A断面図、図3は、図1に示すB−B断面図である。
単位燃料電池70は、下側ガラス基板71上に、下部部分電池及び上部部分電池が積層されており、上部部分電池の上に上側ガラス基板72が配置されて構成されている。下部部分電池は、シリコン基板73、電解質膜・電極集合体(MEA)74及びシリコン基板75により構成されている。電解質膜・電極集合体74は、シリコン基板73側が空気極、シリコン基板75側が燃料極となるように形成されており、シリコン基板73の上面に空気極側電極が、シリコン基板75の下面に燃料極側電極が形成されている。
上部部分電池は、シリコン基板75、電解質膜・電極集合体(MEA)76及びシリコン基板77により構成されている。電解質膜・電極集合体76は、シリコン基板75側が燃料極、シリコン基板77側が空気極となるように形成されており、シリコン基板75の上面に燃料極側電極が、シリコン基板77の下面に空気極側電極が形成されている。
シリコン基板73の上面に形成された空気極側電極及びシリコン基板77の下面に形成された空気極側電極は、積層される電解質膜・電極集合体74,76の一方の外縁部(図2における右側)に張出して形成されており、空気極側集電部79に接続されている。また、シリコン基板75の上面、下面に形成された燃料極側電極は、積層される電解質膜・電極集合体74,76の他方の外縁部(図2における左側)に張出して形成されており、燃料極側集電部78に接続されている。更に、下部部分電池を構成するシリコン基板73、電解質膜・電極集合体74及びシリコン基板75、上部部分電池を構成するシリコン基板75、電解質膜・電極集合体76及びシリコン基板77の側壁部は、ポリイミド等の絶縁体により覆われている。
次に、図4に示すフローチャート、図5に示す説明図を参照して、単位燃料電池70の製造方法の説明を行う。
まず、下側ガラス基板71上に下部部分電池を形成する(ステップS1)。即ち、下側ガラス基板71上にシリコン基板73側を配置し、シリコン基板73上に電解質膜・電極集合体74をシリコン基板73が空気極となるように形成し、電解質膜・電極集合体74上にシリコン基板75を配置する。なお、電解質膜・電極集合体74は、後述する電解質膜・電極集合体の製造方法により製造される。
ここでシリコン基板73の上面には、空気極側電極が形成されており、空気極側電極は、電解質膜・電極集合体74の一方の外縁部から張り出すように電解質膜・電極集合体74が形成される。また、シリコン基板75の下面には、燃料極側電極が形成されており、燃料極側電極が電解質膜・電極集合体74の他方の外縁部から張り出すようにシリコン基板75が配置される。図5(a)は、下側ガラス基板71上に下部部分電池が形成された状態を示す図である。
次に、インクジェット式の吐出装置などを用いて、シリコン基板73、電解質膜・電極集合体74及びシリコン基板75の側壁を覆うようにポリイミドなどの絶縁物質80aを吐出してシリコン基板73、電解質膜・電極集合体74及びシリコン基板75の側壁の周囲に絶縁体を積層させる(ステップS2)。図5(b)は、リコン基板73、電解質膜・電極集合体74及びシリコン基板75の側壁の周囲に絶縁体を積層させた状態を示す図である。
次に、下部部分電池上に上部部分電池を形成する(ステップS3)。即ち、シリコン基板75上に電解質膜・電極集合体76をシリコン基板75側が燃料極となるように形成し、電解質膜・電極集合体76上にシリコン基板77を配置する。なお、電解質膜・電極集合体76は、後述する電解質膜・電極集合体の製造方法により製造される。
ここでシリコン基板75の上面には、燃料極側電極が形成されており、燃料極側電極が電解質膜・電極集合体76の他方の外縁部から張り出すように電解質膜・電極集合体76が形成される。また、シリコン基板77の下面には、空気極側電極が形成されており、空気極電極が電解質膜・電極集合体74の一方の外縁部から張り出すようにシリコン基板77が配置される。図5(c)は、下部部分電池上に上部部分電池を形成した状態を示す図である。
次に、インクジェット式の吐出装置などを用いて、電解質膜・電極集合体76及びシリコン基板77の側壁を覆うようにポリイミドなどの絶縁物質80bを吐出して,電解質膜・電極集合体76及びシリコン基板77の側壁の周囲に絶縁体を積層させる(ステップS4)。
次に、シリコン基板77上に上側ガラス基板72を配置し(ステップS5)、燃料極側集電部78、空気極側集電部79を形成するための燃料極側集電部用穴及び空気極側集電部用穴を形成する(ステップS6)。即ち、エッチングにより上側ガラス基板72、絶縁物質80b、シリコン基板75、絶縁物質80aを貫通して下側ガラス基板71に到達する穴を形成することにより燃料極側集電部用穴を形成すると共に、上側ガラス基板72、シリコン基板77、絶縁物質80b、絶縁物質80a、シリコン基板73を貫通して下側ガラス基板71に到達する穴を形成することにより空気極側集電部用穴を形成する。
ここで、シリコン基板73の上面に形成されている空気極側電極と、シリコン基板77の下面に形成されている空気極側電極とは、電解質膜・電極集合体74,76に対して一方(同一方向)に張り出すように形成されているため、エッチングなどの処理により容易に空気極側集電部用穴を形成することができる。また、シリコン基板75の上面、下面に形成されている燃料極側電極は、電解質膜・電極集合体74,76に対して他方に張り出すように形成されているため、エッチングなどの処理により容易に燃料極側集電部用穴を形成することができる。
次に、燃料極側集電部用穴及び空気極側集電部用にアルミニウムなどの導電性物質を充填することにより燃料極側集電部78及び空気極側集電部79を形成する。これにより電解質膜・電極集合体74と電解質膜・電極集合体76とが並列に接続される。図5(d)は、上述の製造方法により製造された単位燃料電池を示す図である。
この実施の形態に係る単位燃料電池によれば、積層された電解質膜・電極集合体74,76を並列に接続することができる。従って、小面積で多量の電流を取り出すことができる。また、積層される電解質膜・電極集合体74,76の一方の外縁部に燃料極側電極が張出して形成され、他方の外縁部に空気極側電極が張出して形成されているため、積層される電解質膜・電極集合体の並列接続を容易に行うことができる。
また、シリコン基板73、電解質膜・電極集合体74及びシリコン基板75の側壁を覆うようにポリイミドなどの絶縁物質80aを積層させると共に、電解質膜・電極集合体76及びシリコン基板77の側壁を覆うようにポリイミドなどの絶縁物質80b積層させているため、各部分電池からの漏電などを確実に防止することができる。また、絶縁物質80a,80bの積層をインクジェット式の吐出装置などを用いて行っていることから、複雑な形状を有する各部分電池の側壁部の絶縁を確実に行うことができる。また、この実施の形態に係る燃料電池の製造方法によれば、積層された電解質膜・電極集合体74,76が並列に接続された燃料電池を容易に製造することができる。
なお、上述の実施の形態においては、単位燃料電池内に2つの電解質膜・電極集合体を積層させているが、3つ以上の電解質膜・電極集合体を積層させるようにしても良い。また、上述の実施の形態においては、単位燃料電池を構成する下部部分電池の電解質膜・電極集合体をシリコン基板73上に、シリコン基板73側が空気極となるように形成しているが、燃料極となるように形成しても良い。この場合には、上部部分電池の電解質膜・電極集合体76をシリコン基板75上に、シリコン基板75側が空気極となるように形成する。
次に、この発明の実施の形態に係る単位燃料電池を構成する部分電池の製造方法について説明する。図6は、実施の形態に係る単位燃料電池に含まれる部分電池の製造工程を実行する燃料電池製造ラインの構成の一例を示す図である。この図6に示すように、燃料電池製造ラインは、各工程においてそれぞれ用いられる吐出装置20a〜20m、吐出装置20a〜20kを接続するベルトコンベアBC1、吐出装置20l、20mを接続するベルトコンベアBC2、ベルトコンベアBC1、BC2を駆動させる駆動装置58、燃料電池の組み立てを行う組立装置60及び燃料電池製造ライン全体の制御を行う制御装置56により構成されている。
吐出装置20a〜20kは、ベルトコンベアBC1に沿って所定の間隔で一列に配置されており、吐出装置20l、20mはベルトコンベアBC2に沿って所定の間隔で一列に配置されている。また、制御装置56は、各吐出装置20a〜20k、駆動装置58及び組立装置60に接続されている。制御装置56からの制御信号に基づいてベルトコンベアBC1を駆動させ、燃料電池の基板(以下、単に「基板」とする。)を各吐出装置20a〜20kに搬送して各吐出装置20a〜20kにおける処理を行う。同様に、制御装置56からの制御信号に基づいてベルトコンベアBC2を駆動させ、基板を吐出装置20l、20mに搬送してこの吐出装置20l、20mにおける処理を行う。また、組立装置60においては、制御装置56からの制御信号に基づいてベルトコンベアBC1及びベルトコンベアBC2を介して搬入された基板により燃料電池の組み立てを行う。
この燃料電池製造ラインにおいては、吐出装置20aにおいて基板に対してガス流路を形成するためのレジスト溶液を塗布する処理が行われ、吐出装置20bにおいて、ガス流路を形成するためのエッチング処理が行われ、吐出装置20cにおいて、集電層を支持するための支持用カーボンを塗布する処理が行われる。
また、吐出装置20dにおいて、集電層を形成する処理が行われ、吐出装置20eにおいて、ガス拡散層を形成する処理が行われ、吐出装置20fにおいて、反応層を形成する処理が行われ、吐出装置20gにおいて、電解質膜を形成する処理が行われる。更に、吐出装置20hにおいて、反応層を形成する処理が行われ、吐出装置20iにおいて、ガス拡散層を形成する処理が行われ、吐出装置20jにおいて、集電層を形成する処理が行われ、吐出装置20kにおいて、支持用カーボンを塗布する処理が行われる。
また、吐出装置20lにおいて、基板に対してガス流路を形成するためのレジスト溶液を塗布する処理が行われ、吐出装置20mにおいて、ガス流路を形成するためのエッチング処理が行われる。なお、吐出装置20a〜20kにおいて第1の基板に対して処理を施す場合には、吐出装置20l、20mにおいては、第2の基板に対してガス流路を形成する処理が施される。
図7は、この発明の実施の形態に係る単位燃料電池に含まれる部分電池を製造する際に用いられるインクジェット式の吐出装置20aの構成の概略を示す図である。この吐出装置20aは、基板上に吐出物を吐出するインクジェットヘッド22を備えている。このインクジェットヘッド22は、ヘッド本体24及び吐出物を吐出する多数のノズルが形成されているノズル形成面26を備えている。このノズル形成面26のノズルから吐出物、即ち、反応ガスを供給するためのガス流路を基板上に形成する際に、基板に塗布されるレジスト溶液が吐出される。また、吐出装置20aは、基板を載置するテーブル28を備えている。このテーブル28は、所定の方向、例えば、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動可能に設置されている。また、テーブル28は、図中矢印で示すようにX軸に沿った方向に移動することにより、ベルトコンベアBC1により搬送される基板をテーブル28上に載置して吐出装置20a内に取り込む。
また、インクジェットヘッド22には、ノズル形成面26に形成されているノズルから吐出される吐出物であるレジスト溶液を収容しているタンク30が接続されている。即ち、タンク30とインクジェットヘッド22とは、吐出物を搬送する吐出物搬送管32によって接続されている。また、この吐出物搬送管32は、吐出物搬送管32の流路内の帯電を防止するための吐出物流路部アース継手32aとヘッド部気泡排除弁32bとを備えている。このヘッド部気泡排除弁32bは、後述する吸引キャップ40により、インクジェットヘッド22内の吐出物を吸引する場合に用いられる。即ち、吸引キャップ40によりインクジェットヘッド22内の吐出物を吸引するときは、このヘッド部気泡排除弁32bを閉状態にし、タンク30側から吐出物が流入しない状態にする。そして、吸引キャップ40で吸引すると、吸引される吐出物の流速が上がり、インクジェットヘッド22内の気泡が速やかに排出されることになる。
また、吐出装置20aは、タンク30内に収容されている吐出物の収容量、即ち、タンク30内に収容されているレジスト溶液の液面34aの高さを制御するための液面制御センサ36を備えている。この液面制御センサ36は、インクジェットヘッド22が備えるノズル形成面26の先端部26aとタンク30内の液面34aとの高さの差h(以下、水頭値という)を所定の範囲内に保つ制御を行う。液面34aの高さを制御することで、タンク30内の吐出物34が所定の範囲内の圧力でインクジェットヘッド22に送られることになる。そして、所定の範囲内の圧力で吐出物34を送ることで、インクジェットヘッド22から安定的に吐出物34を吐出することができる。
また、インクジェットヘッド22のノズル形成面26に対向して一定の距離を隔てて、インクジェットヘッド22のノズル内の吐出物を吸引する吸引キャップ40が配置されている。この吸引キャップ40は、図7中に矢印で示すZ軸に沿った方向に移動可能に構成されており、ノズル形成面26に形成された複数のノズルを囲むようにノズル形成面26に密着し、ノズル形成面26との間に密閉空間を形成してノズルを外気から遮断できる構成となっている。なお、吸引キャップ40によるインクジェットヘッド22のノズル内の吐出物の吸引は、インクジェットヘッド22が吐出物34を吐出をしていない状態、例えば、インクジェットヘッド22が、退避位置等に退避しており、テーブル28が破線で示す位置に退避しているときに行われる。
また、この吸引キャップ40の下方には、流路が設けられており、この流路には、吸引バルブ42、吸引異常を検出する吸引圧検出センサ44及びチューブポンプ等からなる吸引ポンプ46が配置されている。また、この吸引ポンプ46等で吸引され、流路を搬送されてきた吐出物34は、廃液タンク48内に収容される。
なお、吐出装置20b〜20mの構成は、吐出装置20aと同様の構成であるため説明を省略するが、以下の説明において、吐出装置20b〜20mの各構成には、吐出装置20aの説明において各構成に用いたのと同一の符号を用いて説明を行う。なお、吐出装置20b〜20mにそれぞれ備えられているタンク30には、各吐出装置20b〜20mにおいて行われる所定の処理に必要な吐出物が収容されている。例えば、吐出装置20b及び吐出装置20mのタンク30には、ガス流路を形成する際に行われるエッチング用の吐出物が、吐出装置20c及び吐出装置20kのタンク30には、支持用カーボンを形成するための吐出物が、吐出装置20d及び吐出装置20jのタンク30には、集電層を形成するための吐出物がそれぞれ収容されている。また、吐出装置20e及び吐出装置20iのタンク30には、ガス拡散層を形成するための吐出物が、吐出装置20f及び吐出装置20hのタンク30には、反応層を形成するための吐出物が、吐出装置20gのタンク30には、電解質膜を形成するための吐出物がそれぞれ収容されている。また、吐出装置20lのタンク30には、吐出装置20aのタンク30に収容されている基板に対してガス流路を形成するための吐出物と同様の吐出物が収容されている。
次に、図8のフローチャート及び図面を参照して、実施の形態に係る吐出装置20a〜20mを用いた部分電池の製造方法について説明する。
まず、基板に反応ガスを供給するためのガス流路を形成する(ステップS10)。即ち、まず、図9(a)に示すように矩形平板形状であって、例えば、シリコン素材の基板(第1の基板)2をベルトコンベアBC1により吐出装置20aまで搬送する。ベルトコンベアBC1により搬送された基板2は、吐出装置20aのテーブル28上に載置され、吐出装置20a内に取り込まれる。吐出装置20aにおいては、ノズル形成面26のノズルを介してタンク30内に収容されているレジスト溶液を吐出し、テーブル28上に載置されている基板2の上面の所定の位置に塗布する。ここで、レジスト溶液は、図9(b)に示すように、図中、手前方向から奥に向かって所定の間隔をおいて直線状に塗布される。即ち、基板2において、例えば、水素を含有する第1の反応ガスを供給するためのガス流路(第1のガス流路)を形成する部分を残して、それ以外の部分に対してのみレジスト溶液が塗布される。
次に、所定の位置にレジスト溶液が塗布された基板2(図9(b)参照)は、ベルトコンベアBC1により吐出装置20bまで搬送され、吐出装置20bのテーブル28上に載置されて吐出装置20b内に取り込まれる。吐出装置20bにおいては、タンク30内に収容されているガス流路を形成するために行われるエッチング用の溶剤、例えば、フッ酸水溶液をノズル形成面26のノズルを介して吐出し、テーブル28上に載置されている基板2の上面の全体に塗布する。
ここで、基板2には、ガス流路を形成する部分以外の部分にレジスト溶液が塗布されているため、レジスト溶液が塗布されていない部分がフッ酸水溶液によりエッチングされ、図10(a)に示すように、ガス流路が形成される。即ち、基板2の一方の側面から他方の側面に延びる断面コ字形状のガス流路が形成される。また、図10(a)に示すようにガス流路が形成された基板2は、図示しない洗浄装置においてレジストの洗浄が行われる。そして、図10(b)に示すように、ガス流路が形成された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へと移され、ベルトコンベアBC1により吐出装置20cへと搬送される。
次に、ステップS10において基板2に形成されたガス流路が、集電層により塞がれるのを防止すべく、集電層を支持する支持用カーボン(第1の支持部材)をガス流路内に塗布する(ステップS11)。即ち、まず、ベルトコンベアBC1により吐出装置20cまで搬送された基板2を、テーブル28上に載置して吐出装置20c内に取り込む。吐出装置20cにおいては、タンク30内に収容されている支持用カーボン4をノズル形成面26のノズルを介して吐出し、基板2に形成されているガス流路内に塗布する。ここで、支持用カーボン4として、所定の大きさ、例えば、直径1〜5ミクロン程度の粒子径の多孔質カーボンが用いられる。即ち、集電層によりガス流路が塞がれることを防止すると共に、反応ガスがガス流路内を確実に流れることができるように、支持用カーボン4として所定の大きさの多孔質カーボンが用いられる。
図11は、支持用カーボン4が塗布された基板2の端面図である。この図11に示すように、支持用カーボン4がガス流路内に塗布されることにより、基板2上に形成される集電層のガス流路内への落下が防止される。なお、支持用カーボン4が塗布された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へと移され、ベルトコンベアBC1により吐出装置20dへと搬送される。
次に、基板2上に、反応ガスが反応することにより発生した電子を集めるための燃料極側の集電層(第1の集電層)を形成する(ステップS12)。即ち、まず、ベルトコンベアBC1により吐出装置20dまで搬送された基板2を、テーブル28上に載置して吐出装置20d内に取り込む。吐出装置20dにおいては、タンク30内に収容されている集電層6を形成する材料、例えば、銅等の導電性物質をノズル形成面26のノズルを介してテーブル28上に載置されている基板2上に吐出する。この時、導電性物質は、ガス流路に供給された反応ガスの拡散を妨げることがない形状に、例えば、網目形状等になるように吐出され集電層6が形成される。
図12は、集電層6が形成された基板2の端面図である。この図12に示すように、集電層6は、基板2上に形成されているガス流路内の支持用カーボン4により支持され、ガス流路内への落下が防止されている。なお、集電層6が形成された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へと移され、ベルトコンベアBC1により吐出装置20eへと搬送される。
次に、ステップS12において形成された集電層6の上に、基板2に形成されたガス流路を介して供給される反応ガスを拡散させるためのガス拡散層を形成する(ステップS13)。即ち、まず、ベルトコンベアBC1により吐出装置20eまで搬送された基板2を、テーブル28上に載置して吐出装置20e内に取り込む。吐出装置20eにおいては、タンク30内に収容されているガス拡散層8を形成するための材料、例えば、カーボンを集電層6上にノズル形成面26のノズルを介して吐出し、ガス流路を介して供給された反応ガス(第1の反応ガス)を拡散させるためのガス拡散層8を形成する。
図13は、ガス拡散層8が形成された基板2の端面図である。この図13に示すように、例えば、電極としての機能も有するカーボンを集電層6上に吐出し、反応ガスを拡散させるためのガス拡散層8が形成される。ここで、ガス拡散層8を構成するカーボンとしては、ガス流路を介して供給された反応ガスを十分に拡散させることができる程度の大きさであって、かつ、多孔質のカーボンが用いられる。例えば、支持用カーボン4よりも小さく、直径0.1〜1ミクロン程度の粒子径の多孔質カーボンが用いられる。なお、ガス拡散層8が形成された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へと移され、ベルトコンベアBC1により吐出装置20fへと搬送される。
次に、ステップS13において形成されたガス拡散層8の上に、基板2に形成されたガス流路を介して供給される反応ガスに基づいて反応する反応層(第1の反応層)を形成する(ステップS14)。即ち、ベルトコンベアBC1により吐出装置20fまで搬送された基板2を、テーブル28上に載置して吐出装置20f内に取り込む。吐出装置20fにおいては、タンク30内に収容されている反応層を形成する材料、例えば、粒子径が数nm〜数十nmの触媒用の白金微粒子を担持したカーボンをガス拡散層8上に吐出して反応層10を形成する。ここで、白金微粒子を担持しているカーボンは、ガス拡散層8を構成するカーボンと同様のカーボン、即ち、同様の粒径であって、かつ、多孔質のカーボンが用いられる。なお、溶媒に分散剤を添加することにより白金微粒子を分散させてガス拡散層8上に塗布した後に、例えば、窒素雰囲気中で200℃に基板2を加熱することにより、分散剤を除去し、反応層10を形成するようにしてもよい。この場合には、ガス拡散層8を構成するカーボンの表面上に触媒として白金微粒子を付着させることによって反応層10が形成される。
図14は、反応層10が形成された基板2の端面図である。この図14に示すように、触媒としての白金微粒子を担持したカーボンがガス拡散層8上に塗布されることにより反応層10が形成される。なお、図14において、反応層10とガス拡散層8とを容易に識別することができるように、反応層10としては白金微粒子のみを示している。また、以下の図においても反応層は、図14と同様に示すものとする。反応層10が形成された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へと移され、ベルコトンベアBC1により吐出装置20gへと搬送される。
次に、ステップS14で形成された反応層10上にイオン交換膜等の電解質膜を形成する(ステップS15)。即ち、まず、ベルトコンベアBC1により吐出装置20gまで搬送された基板2を、テーブル28上に載置して吐出装置20g内に取り込む。吐出装置20gにおいては、タンク30内に収容されている電解質膜を形成する材料、例えば、Nafion(登録商標)、タングスト燐酸、モリブド燐酸等のセラミックス系固体電解質を所定の粘度に調整した材料を、ノズル形成面26のノズルを介して反応層10上に吐出して電解質膜12を形成する。
図15は、電解質膜12が形成された基板2の端面図である。この図15に示すように、反応層10上に所定の厚さを有する電解質膜12が形成される。なお、電解質膜12が形成された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へと移され、ベルトコンベアBC1により吐出装置20hへと搬送される。
次に、ステップS15において形成された電解質膜12上に反応層(第2の反応層)を形成する(ステップS16)。即ち、ベルトコンベアBC1により吐出装置20hまで搬送された基板2を、テーブル28上に載置して吐出装置20h内に取り込む。吐出装置20hにおいては、吐出装置20fにおいて行われた処理と同様の処理により触媒としての白金微粒子を担持したカーボンを吐出し、反応層10´を形成する。
図16は、電解質膜12上に反応層10´が形成された基板2の端面図である。この図16に示すように、電解質膜12上に触媒としての白金微粒子を担持したカーボンが塗布されることによって、反応層10´が形成される。ここで、反応層10´は、第2の反応ガス、例えば、酸素を含有する反応ガスに基づいて反応する層である。
次に、ステップS16において形成された反応層10´上に反応ガス(第2の反応ガス)を拡散させるためのガス拡散層を形成する(ステップS17)。即ち、反応層10´が形成された基板2は、ベルトコンベアBC1により吐出装置20iまで搬送され、吐出装置20iにおいて、吐出装置20eにおいて行われた処理と同様の処理により所定の粒径の多孔質のカーボンが塗布され、ガス拡散層8´が形成される。
図17は、反応層10´上にガス拡散層が形成された基板2の端面図である。この図17に示すように、反応層10´上に多孔質のカーボンが塗布されることによって、ガス拡散層8´が形成される。
次に、ステップS17において形成されたガス拡散層8´上に空気極側の集電層(第2の集電層)を形成し(ステップS18)、集電層上にこの集電層を支持するための支持用カーボン(第2の支持部材)を塗布する(ステップS19)。即ち、ベルトコンベアBC1により吐出装置20jまで搬送された基板2を、テーブル28上に載置して吐出装置20j内に取り込み、吐出装置20dにおいて行われた処理と同様の処理により、集電層6´がガス拡散層8´上に形成される。また、ベルトコンベアBC1により吐出装置20kまで搬送された基板2を、テーブル28上に載置して吐出装置20k内に取り込み、吐出装置20cにおいて行われた処理と同様の処理により、支持用カーボン4´が塗布される。なお、支持用カーボン4´が塗布された基板2は、テーブル28からベルトコンベアBC1へと移され、組立装置60へと搬送される。
図18は、ガス拡散層8´上に集電層6´及び支持用カーボン4´が塗布された基板2の端面図である。この図18に示すように、上述のステップS18の処理により集電層6´が形成され、上述のステップS19の処理により支持用カーボン4´が塗布される。ここで、支持用カーボン4´は、支持用カーボン4と同様に、即ち、基板2に形成されているガス流路に沿って塗布される。
次に、ステップS19において支持用カーボンが塗布された基板(第1の基板)上にガス流路が形成された基板(第2の基板)を配置することによって部分電池を組み立てる(ステップS20)。即ち、組立装置60において、ベルトコンベアBC1を介して搬入された基板2(第1の基板)上にベルトコンベアBC2を介して搬入された基板2´(第2の基板)を配置することにより部分電池の組立を行う。ここで、基板2´には、上述のステップS10〜ステップS19における処理とは別に、第2のガス流路が形成されている。即ち、吐出装置20l及び吐出装置20mにおいて、吐出装置20a及び吐出装置20bにより行われる処理と同様の処理により、第2のガス流路が形成されている。従って、基板2に形成されている一方の側面から他方の側面へと延びる断面コ字形状のガス流路と、基板2´に形成されている断面コ字形状のガス流路とが平行になるように基板2´を配置して部分電池の組立を行い、部分電池の製造を完了する。
図19は、製造された部分電池の端面図である。この図19に示すように、第2のガス流路が形成された基板2´を基板2の所定の位置に配置することによって基板2と基板2´の間に、集電層6、ガス拡散層8、反応層10、電解質膜12、反応層10´、ガス拡散層8´、集電層6´により構成される電解質膜・電極集合体(MEA)が形成された部分電池の製造が完了する。この部分電池においては、第1の基板に形成された第1のガス流路を介して第1の反応ガスを供給し、第2の基板に形成された第2のガス流路を介して第2の反応ガスを供給することにより発電が行われる。
なお、上述の製造方法により製造された部分電池により構成される単位燃料電池は、電子機器、特に携帯用電子機器、例えば、携帯電話等に電力供給源として組み込むことができる。例えば、携帯電話等の小型電子機器に電力供給源として組み込むことができる。
この実施の形態に係る部分電池の製造方法によれば、インクジェット式の吐出装置を用いて基板上にガス流路を形成し、部分電池を製造している。従って、半導体プロセスに用いられるMEMS等の微細加工技術を利用することなく、基板上に微細なガス流路を形成することができるため、低コストで高性能な燃料電池を製造することができる。
また、この実施の形態に係る部分電池の製造方法によれば、インクジェット式の吐出装置を用いて反応層を形成して部分電池を製造している。従って、触媒の材料として白金のように高価な物質を用いている場合であっても、必要な分量を所定の位置に正確に吐出することができ、不必要に触媒の使用量が増加することを防止して低コストで燃料電池の製造を行うことができる。また、インクジェット式の吐出装置を用いて触媒を塗布することにより、触媒をガス拡散層上に均一に塗布することができ、燃料電池の性能を向上させることができる。
また、この実施の形態に係る部分電池の製造方法によれば、インクジェット式の吐出装置を用いて電解質膜を形成して部分電池を製造している。従って、電解質膜を圧着する必要がなく、電解質膜の破損を防止することができる。また、反応層上に電解質膜を形成するための材料を塗布して電解質膜を形成しているため、簡易な作業工程により燃料電池を製造することができる。
なお、上述の実施の形態に係る部分電池の製造方法においては、全ての工程においてインクジェット式の吐出装置を用いているが、部分電池を製造する何れかの工程においてインクジェット式の吐出装置を用いて製造するようにしてもよい。例えば、インクジェット式の吐出装置を用いてガス流路を形成し、その他の工程においては従来と同様の工程により燃料電池を製造するようにしてもよい。この場合であっても、MEMSを用いることなくガス流路を形成することができるため、燃料電池の製造コストを低く抑えることができる。
また、上述の実施の形態に係る部分電池の製造方法においては、基板上にレジスト溶液を塗布し、フッ酸水溶液を塗布してエッチングを行うことによりガス流路を形成しているが、レジスト溶液を塗布することなくガス流路を形成するようにしてもよい。例えば、インクジェット式の吐出装置により、基板上の所定の位置にフッ酸水溶液を吐出してガス流路を形成してもよい。また、フッ素雰囲気中に基板を載置し、基板上の所定の位置に水を吐出することによりガス流路を形成するようにしてもよい。この場合には、フッ素雰囲気中において水が吐出されることにより、フッ酸水溶液となって基板に塗布され、ガス流路を形成することができる。
また、上述の実施の形態に係る部分電池の製造方法においては、第1の反応ガスが供給される第1の基板側(燃料極側)から製造を行っているが、第2の反応ガスが供給される第2の基板側から製造を行うようにしてもよい。即ち、酸素を含有する第2の反応ガスが供給される側(空気極側)の基板から燃料電池の製造を開始するようにしてもよい。
また、上述の実施の形態に係る部分電池の製造方法においては、第2のガス流路を第1の基板に形成されている第1のガス流路と同様に第2の基板に形成しているが、第1のガス流路と交差するような方向に形成するようにしてもよい。即ち、レジスト溶液を、例えば、第1の基板に形成されているガス流路と直角に交差するように、例えば、図14(b)において図中右側面から左側面へと延びる方向に塗布するようにしてもよい。この場合には、第2の基板に形成されている第2のガス流路と、第1の基板に形成されている第1のガス流路とが、直角に交差するように第2の基板が配置される。
また、上述の実施の形態に係る部分電池の製造方法においては、ガス流路が形成された第1の基板上に集電層、反応層、電解質膜、反応層及び集電層を形成しているが、第1の基板と第2の基板のそれぞれに集電層、反応層及び電解質膜を形成するようにしてもよい。即ち、まず、第1の基板上に第1の反応ガスを供給するための第1のガス流路を形成し、第1のガス流路が形成された第1の基板上に第1の集電層を形成する。次に、第1の集電層上に第1の反応層を形成し、第1の反応層の上に電解質膜を形成する。また、第2の基板についても、第2のガス流路を形成して第2の集電層を形成し、第2の集電層上に第2の反応層を形成して、第2の反応層上に電解質膜を形成する。そして、第1のガス流路、第1の集電層、第1の反応層及び電解質膜が形成された第1の基板と、第2のガス流路、第2の集電層、第2の反応層及び電解質膜が形成された第2の基板とを、形成されている電解質膜を挟むようにして接合させ、燃料電池を製造するようにしてもよい。ここで、第1の基板に処理を施す第1製造ラインと第2の基板に処理を施す第2製造ラインとを設け、それぞれの製造ラインにおける処理を平行して行うようにしてもよい。この場合には、第1の基板への処理と第2の基板への処理を平行して行うことができるため、迅速に燃料電池を製造することができる。
実施の形態に係る単位燃料電池の平面図である。 図1のA−A断面図である。 図1のB−B断面図である。 実施の形態に係る単位燃料電池の製造方法のフローチャートである。 実施の形態に係る単位燃料電池の製造方法の説明図である。 実施の形態に係る部分電池の製造ラインの一例を示す図である。 実施の形態に係るインクジェット式吐出装置の概略図である。 実施の形態に係る部分電池の製造方法のフローチャートである。 実施の形態に係るガス流路の形成処理を説明する図である。 実施の形態に係るガス流路の形成処理を説明する他の図である。 実施の形態に係る部分電池の製造過程の基板の端面図である。 実施の形態に係る部分電池の製造過程の基板の端面図である。 実施の形態に係る部分電池の製造過程の基板の端面図である。 実施の形態に係る部分電池の製造過程の基板の端面図である。 実施の形態に係る部分電池の製造過程の基板の端面図である。 実施の形態に係る部分電池の製造過程の基板の端面図である。 実施の形態に係る部分電池の製造過程の基板の端面図である。 実施の形態に係る部分電池の製造過程の基板の端面図である。 実施の形態に係る部分電池の基板の端面図である。
符号の説明
2、2´…基板、4、4´…支持用カーボン、6、6´…集電層、8、8´…ガス拡散層、10、10´…反応層、12…電解質膜、20a〜20m…吐出装置、BC1、BC2…ベルトコンベア、70…単位燃料電池、71,72…ガラス基板、73,75,77…シリコン基板、74,76…電解質膜・電極集合体、78…燃料極側集電部、79…空気極側集電部。

Claims (7)

  1. 少なくとも2つの電解質膜・電極集合体が積層されて構成される燃料電池において、
    上下に隣接する前記電解質膜・電極集合体において、
    上部を燃料極とし下部を空気極として形成された下側に位置する前記電解質膜・電極集合体及び下部を燃料極とし上部を空気極として形成された上側に位置する前記電解質膜・電極集合体又は、上部を空気極とし下部を燃料極として形成された下側に位置する前記電解質膜・電極集合体及び下部を空気極とし上部を燃料極として形成された上側に位置する前記電解質膜・電極集合体と、
    前記燃料極の燃料極側電極に接続する燃料極側集電部と、
    前記空気極の空気極側電極に接続する空気極側集電部と
    を備えることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記燃料極側電極は、積層される前記電解質膜・電極集合体の一方の外縁部に張出して形成され、
    前記空気極側電極は、積層される前記電解質膜・電極集合体の他方の外縁部に張出して形成されることを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  3. 前記電解質膜・電極集合体は、少なくとも1層の集電層、少なくとも1層のガス拡散層、少なくとも1層の反応層及び電解質層を備え、
    前記集電層、前記ガス拡散層、前記反応層、前記電解質層のうち、少なくとも1つの層は、吐出装置を用いて形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の燃料電池。
  4. 少なくとも2つの電解質膜・電極集合体が積層されて構成される燃料電池の製造方法において、
    上下に隣接する下側の前記電解質膜・電極集合体を形成する下部電解質膜・電極集合体形成工程と、
    上下に隣接する上側の前記電解質膜・電極集合体を形成する上部電解質膜・電極集合体形成工程と、
    前記下部電解質膜・電極集合体及び前記上部電解質膜・電極集合体の空気極の空気極側電極を空気極側集電部に接続する第1接続工程と、
    前記下部電解質膜・電極集合体及び前記上部電解質膜・電極集合体の燃料極の燃料極側電極を燃料極側集電部に接続する第2接続工程と
    を含み、
    前記下部電解質膜・電極集合体形成工程において、
    該下部電解質膜・電極集合体の下部に位置する空気極又は燃料極の空気極側電極又は燃料極側電極を積層される前記電解質膜・電極集合体の一方の外縁部に張出して形成すると共に、該下部電解質膜・電極集合体の上部に位置する燃料極又は空気極の燃料極側電極又は空気極側電極を積層される前記電解質膜・電極集合体の他方の外縁部に張出して形成し、
    前記上部電解質膜・電極集合体形成工程において、
    該上部電解質膜・電極集合体の下部に位置する燃料極又は空気極の燃料極側電極又は空気極側電極を積層される前記電解質膜・電極集合体の前記他方の外縁部に張出して形成すると共に、該上部電解質膜・電極集合体の上部に位置する空気極又は燃料極の空気極側電極又は燃料極側電極を積層される前記電解質膜・電極集合体の前記一方の外縁部に張出して形成することを特徴とする燃料電池の製造方法。
  5. 前記電解質膜・電極集合体は、少なくとも1層の集電層、少なくとも1層のガス拡散層、少なくとも1層の反応層及び電解質層を備え、
    前記集電層、前記ガス拡散層、前記反応層、前記電解質層のうち、少なくとも1つの層を形成する工程において吐出装置を用いることを特徴とする請求項4記載の燃料電池の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の燃料電池を電力供給源として備えることを特徴とする電子機器。
  7. 請求項4又は請求項5に記載の製造方法により製造された燃料電池を電力供給源として備えることを特徴とする電子機器。
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