JP2005098637A - 冷蔵庫並びに真空断熱材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 真空断熱材の外被材の稜線部の剛性と耐衝撃性を増大すると共に、真空断熱材のコア材の隅部にシール皺が発生することを防止し、信頼性の高い冷蔵庫とする。
【解決手段】 冷蔵庫は、外箱1の裏側に真空断熱材30を配設すると共に、外箱1と内箱6との間に発泡断熱材7を充填して箱体100を構成している。真空断熱材30は、稜線部を有するコア材31と、これに密着してこれを覆う外被材32とを備える。外被材32は、コア材31を覆う2枚の外被材で構成すると共に、コア材31よりはみ出した部分を溶着して耳部33としている。耳部33は、その両側がコア材31の隅部より中央側に折り曲げられると共に、外被材32の稜線部を覆うようにコア材31の表面側に折り曲げられている。
【選択図】 図6

Description

本発明は、真空断熱材を使用した冷蔵庫、並びに真空断熱材、及びその製造方法に関する。
冷蔵庫に用いられる従来の真空断熱材としては、特開2002−213683号公報(特許文献1)に示されているように、コア材を2枚の合成樹脂フィルムからなる外被材で両側から被覆して外被材端縁をシールし、コア材の側面に設けられた凹溝内にシールした外被材端縁を収納すると共に、凹溝の大きさを所定の寸法に設定することにより、コア材の4隅に形成される外被材のシール皺の方向を規制するようにしたものがある。
また、冷蔵庫に用いられる従来の真空断熱材としては、コア材を2枚の合成樹脂フィルムからなる外被材で両側から被覆して外被材端縁をシールし、コア材よりはみ出した耳部を図23に示すように、コア材を包み込むように折り返し、冷蔵庫を製造する際の発泡断熱材の充填を阻害しないようにしたものがある。
特開2002−213683号公報(図2、図8)
しかしながら、特許文献1の真空断熱材では、コア材の側面に凹溝を設けるため、コア材の製作が面倒となり、原価高を招くという問題がある。また、コア材はガラス繊維等の高硬度材料でしかも比較的に脆い材料で構成する場合が多いので、凹溝を加工するときにコア材自身が破損し易く、凹溝の形成が困難である場合が多い。さらには、凹溝を設けるためにコア材の厚さを相当厚くとる必要があるが、家庭用冷蔵庫等の発泡断熱材中に配設する真空断熱材ではその厚さを確保できない場合が多い。即ち、一般家庭用冷蔵庫等の発泡断熱材を充填した箱体の壁厚は30mmから40mm程度であるため、冷蔵庫壁体強度などから箱体中に配設で真空断熱材の厚さは箱体壁厚の二分の一の20mm程度以下に制限され、凹溝を形成しても支障のない真空断熱材の厚さを確保できない場合が多い。
また、特許文献1を含む一般的な真空断熱材は、その内部を所定の真空度に減圧する際、真空断熱材の外表面を形成する外被材が大気圧によりコア材表面に密着するように圧着されるが、そのとき真空断熱材の稜線部の外被材には引張り力が加わり、稜線部の外被材内に内部応力が残留する。内部応力が残留した真空断熱材の稜線部に外力が加わって損傷すると、その損傷は期間の経過と共に次第に大きくなり、ついには外被材の破壊に至る場合がある。特に、冷蔵庫外箱は鋼板製薄板を使用して形成される場合が多いので、鋼板製薄板にて形成される部材の切断端面に真空断熱材の稜線部が当接すると、その稜線部が損傷を受け易く、その損傷が原因となってガスバリア性が次第に劣化し、長期間経過後には真空断熱材の熱伝導率の低下を招くおそれがあった。
一方、図23の真空断熱材では、コア材を包み込むように耳部を折り返す際に、図23に示すように、耳部の端面がコア材の平面投影面外にはみ出す場合が多い。この場合には、はみ出した耳部の端面により、他の部材あるいは隣り合わせの真空断熱材自体を損傷したり、はみ出した耳部の端部が他の部材により損傷されたりするおそれがあった。
さらには、特許文献1及び図23に示す真空断熱材では、コア材より突出した耳部を折り込んだり、折り返したりした際に、真空断熱材の隅部にシール皺が発生する。このシール皺によって、他の部材を損傷したり、他の部材によって損傷されたりするおそれがあった。このシール皺は、外被材が2枚重合されているのでかなりな剛性を有している。従って、このシール皺が、電気品の軟質配線或いは隣り合わせの真空断熱材自体に当接した場合は、前記配線や真空断熱材自身を傷つけてしまう。また、冷蔵庫の冷凍サイクルを形成する銅管やアルミ管等の冷媒戻り配管に当接した場合は、シール皺自身に傷がつき、その傷が僅かでも長期間の間に外被材のガスバリア性が劣化して、真空断熱材中の真空度の低下を招き熱伝導率の低下を招くおそれがあった。
なお、真空断熱材中の真空度を長期間保持するために、前記の外被材中にガスバリア性の良好な金属箔をラミネートした場合は、前記のシール皺は、さらに強固な剛性を有するため、前述した配線や隣り合わせに設置された真空断熱材自身の傷付きはより大きく成ってしまう。
本発明の目的は、真空断熱材の外被材の稜線部の剛性と耐衝撃性を増大すると共に、真空断熱材のコア材の隅部にシール皺が発生することを防止し、信頼性の高い冷蔵庫並びに真空断熱材及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、コア材の表面側に折り曲げた真空断熱材の耳部の端部による他の部材の損傷の防止及び他の部材による耳部の端部の損傷防止を図り、信頼性の高い冷蔵庫並びに真空断熱材及びその製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明は外箱の裏側に真空断熱材を配設すると共に前記外箱と内箱との間に発泡断熱材を充填して箱体を構成した冷蔵庫において、前記真空断熱材は、稜線部を有するコア材と、これに密着してこれを覆う外被材とを備え、前記外被材は、前記コア材を覆う2枚の外被材で構成すると共に、前記コア材よりはみ出した部分を溶着して耳部とし、前記耳部は、その両側が前記コア材の隅部より中央側に折り曲げられると共に、前記外被材の稜線部を覆うように前記コア材の表面側に折り曲げられている構成としたことにある。
また、本発明は、外箱の裏側に真空断熱材を配設すると共に前記外箱と内箱との間に発泡断熱材を充填して箱体を構成した冷蔵庫において、前記真空断熱材はコア材とこれを覆う外被材とを備え、前記外被材は、前記コア材を覆う2枚の外被材で構成すると共に、前記コア材よりはみ出した部分を溶着して耳部とし、前記耳部は前記コア材の表面側にその平面投影面内に位置するように折り曲げられている構成としたことにある。
上述した本発明において好ましくは、アルミニウム等の金属箔とその表面側に設けられた表面保護フィルムとその内側に設けられた熱溶着可能な内層フィルムとを有して前記外被材を構成したことにある。
また、本発明は、稜線部を有するコア材とこれに密着してこれを覆う外被材とを備えた真空断熱材において、前記外被材は、前記コア材を覆う2枚の外被材で構成すると共に、前記コア材よりはみ出した部分を溶着して耳部とし、前記耳部の各辺は、その両側が前記コア材の隅部より中央側に折り曲げられると共に、その各辺が前記外被材の稜線部を覆うように前記コア材の表面側に折り曲げられている構成したことにある。
また、本発明は、コア材とこれを覆う外被材とを備えた真空断熱材の製造方法において、2枚の外被材で前記コア材を覆うと共に前記コア材よりはみ出した部分を溶着して耳部とした後、前記耳部の両側を前記コア材の隅部より中央側に折り曲げ、さらにその耳部を前記外被材の稜線部を覆うように前記コア材の表面側に折り曲げるようにしたことにある。
また、本発明は、コア材とこれを覆う外被材とを備えた真空断熱材の製造方法において、2枚の外被材で前記コア材を覆うと共に前記コア材よりはみ出した部分を溶着して耳部とした後、前記コア材の両側の前記耳部を前記コア材の表面側に折り曲げた後、前記コア材の残りの両側の耳部を前記コア材の隅部より中央側に折り曲げ、さらにその耳部を前記コア材の表面側にその平面投影面内に位置するように折り曲げるようにしたことにある。
本発明によれば、真空断熱材の耳部の両側をコア材の隅部より中央側に折り曲げると共に、外被材の稜線部を覆うように耳部をコア材の表面側に折り曲げているので、外被材の稜線部の剛性と耐衝撃性を増大することができ、他の部材、例えば外箱の切断端面や冷媒戻り配管などに当接しても外被材の稜線部の損傷を防止することができると共に、コア材の隅部にシール皺が発生することを防止でき、シール皺による他の部材、例えば他の真空断熱材や冷媒戻り配管や電気配線などの損傷、或は他の部材によるシール皺の損傷を防止することができる冷蔵庫並びに真空断熱材及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、真空断熱材の耳部をコア材の表面側にその平面投影面内に位置するように折り曲げているので、耳部の端部による他の部材、例えば他の真空断熱材や電気配線などの損傷を防止することができると共に、他の部材、例えば外箱の切断端面や冷媒戻り配管などが耳部の端部に接触することを防止できる冷蔵庫並びに真空断熱材及びその製造方法を提供することができる。
そして、好ましい例によれば、アルミニウム等の金属箔とその表面側に設けられた表面保護フィルムとその内側に設けられた熱溶着可能な内層フィルムとを有して外被材を構成しているので、より確実に前記効果を得ることができる。
以下、本発明の複数の実施例を、図1から図21を用いて説明する。
最初に、本発明の第1実施例を図1から図11を参照しながら説明する。
まず、本実施例の冷蔵庫の全体構成に関して図1を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施例を示す冷蔵庫の縦断面図である。
冷蔵庫の箱体100は、鋼板製の外箱1の裏側(即ち、発泡断熱材7側)に複数の真空断熱材30を配設すると共に、外箱1と合成樹脂製の内箱6との間に発泡断熱材7を充填して構成されている。外箱1は、鋼板製薄板を使用して形成された側板2、天井板3、背面板4及び底板5を組み合わせることにより構成されている。発泡断熱材7はそれ自身が接着力を持ったウレタン等により構成されている。
真空断熱材30は、側板2、天井板3及び背面板4の裏側の所定位置に密着して設置されている。真空断熱材30は、側板2、天井板3及び背面板4の切断端面や冷媒戻り配管15と当接するおそれがあるため、真空断熱材30の稜線部及び稜線近傍の表面部を耳部で補強して真空断熱材30の外被材の損傷を防止するように構成されている。なお、背面板4の裏側には真空断熱材30が複数に分割されて配置されている。真空断熱材30は必要に応じて底板5の裏側にも配置される。
箱体100は、両側壁、上壁、底壁及び背壁の各壁部を有して構成され、その内部に前面を開口した複数の貯蔵室を形成している。これらの貯蔵室は内箱6及び仕切り壁によって形成される。これらの貯蔵室は上下に配置され、上から冷蔵室11、野菜室10、製氷室9及び冷凍室8の順に4段にそれぞれが区画形成されている。これらの貯蔵室8〜11は、冷却器12によりそれぞれに適した所定の低温温度に冷却される。なお、箱体100の各面の壁厚は、30mm〜40mm程度である。
扉19〜22は貯蔵室8〜10の前面開口を開閉するように設けられている。最上部に位置する冷蔵室11の前面開口を開閉可能に閉鎖する扉22は、箱体100の一側に設けられたヒンジを上下に介して回動可能に取り付けられている。野菜室10、製氷室9及び冷凍室8の開口前面を開閉可能に閉鎖する引き出し式扉21、20及び19は、それぞれその背面に食品貯蔵容器を装着している。扉19〜22内にも必要に応じて真空断熱材が設置される。
冷凍サイクルは、圧縮機13、凝縮器14、高温冷媒配管16、露付き防止パイプ、ドライヤ、減圧装置、冷却器12、冷媒戻り配管15等を順次接続することにより構成されている。圧縮機13、凝縮器14は、箱体100の背面下部に設けられた機械室内に配置されている。高温冷媒配管16は、冷凍サイクルの高温冷媒の熱を外箱1を通して放熱するために外箱1の側面裏側に熱的に接触して配設されると共に、真空断熱材30に近接して配置されている。冷却器12は冷蔵庫の庫内に配置されている。冷媒戻り配管15は、冷却器12から圧縮機13へ冷媒を戻すためのものであり、銅管やアルミ管等で形成されている。この冷媒戻り配管15は、発泡断熱材7中を通って配管されており、真空断熱材30に近接する部分を有している。
送風機17は、貯蔵室8〜11を冷却するためのものであり、冷蔵庫の庫内に配置されている。この送風機17の軟質電気配線18は発泡断熱材7中を通って配線されている。従って、この軟質電気配線18はその配線時や発泡断熱材7の充填時に真空断熱材30と接触するおそれがある。このため、真空断熱材30は、軟質電気配線18の損傷防止策として、隅部にシール皺等の障害部分が発生しないように形成されると共に、真空断熱材30の耳部の折り返し部がコア材の平面投影面より外方に突出しないように形成されている。
次に、真空断熱材30の外被材構成について図2を参照しながら説明する。図2は図1の真空断熱材に用いる外被材の端部拡大断面図である。
真空断熱材30の外被材32は、ガスバリア性の良好なアルミニウム等の金属箔32dと、その表面側に設けられた表面保護フィルム32aと、その内側に設けられた熱溶着可能な内層フィルム32eとを一体に備えて構成されている。表面保護フィルム32aは、外被材表面の保護、即ち、金属箔32dの保護を図ることができるように、ポリエチレンテレフタレート樹脂やナイロン樹脂で形成されている。内層フィルム32eは、他の外被材32の内層フィルム32eと熱溶着できるように、高密度ポリエチレン樹脂やポリアクリロニトリル樹脂等で形成されている。
なお、本実施例では、表面保護フィルム32aと金属箔32dとの間に、ポリプロピレン樹脂等の支持層32cにアルミニウム等の金属を蒸着した金属蒸着膜32bを介在させて、ガスバリア性をより良好なものとしてある。この金属蒸着膜32bは必要に応じて用いられる。
次に、真空断熱材30の製造方法について図3から図5を参照しながら説明する。図3から図5は図1の冷蔵庫に用いる真空断熱材30の各製造工程の断面図である。
まず、図3に示すように、前述の外被材32を2枚準備し、その熱溶着可能な内層フィルム32e面同士を対向させ、その間にコア材31を内包するように配置する。コア材31は、薄い矩形の直方体に形成され、ガラス繊維等に珪酸ソーダまたは硼酸等のバインダー材を配合したもので構成されている。コア材31の前後両側面による稜線部はほぼ直角に形成されている。外被材32の大きさは、コア材31の表面31aや底面31bより所定の寸法だけ大きく形成されている。
2枚の外被材32のコア材31からはみ出した部分を重ね合わせ、その3辺の端部を内層フィルム32eを介して熱溶着し袋状とする。なお、外被材32の端部3辺を予め熱溶着して袋状に形成した後、コア材31を挿入するようにしてもよい。係る状態の真空断熱材を真空槽内に配置し、真空槽内を減圧することにより外被材32及びコア材31の内部を真空に近づけ、外被材32の残りの1辺の端部を内層フィルム32eを介して熱溶着する。
係る状態の真空断熱材を大気圧下でコア材31及び外被材32内を所定の真空度に減圧することにより、外被材32はコア材31に密着するように圧着されて図4に示す形状に成形される。そのとき外被材32の稜線部30aには引張り力が加わり、この稜線部30aにおける外被材32内に内部応力が残留する場合がある。内部応力が残留した外被材32の稜線部30aは弱くなっている。なお、外被材32の周縁部33は、コア材31の側面より外方にはみ出した部分である(以下、このはみ出した部分を耳部と表記する)。この耳部33は、金属箔を内包した多層樹脂フィルムであるため、かなりの剛性と耐衝撃性を有している。
次いで耳部33を図5に示すようにコア材表面31a側に折り返して真空断熱材の稜線部30aを覆うようにする。これにより、耳部33で覆われた稜線部30a近傍はかなりの剛性と耐衝撃性を有する構成となる。換言すれば、真空断熱材30の強度的弱点である外被材稜線部30aを、かなりの剛性と耐衝撃性を有する耳部33で覆うことにより、稜線部30a近傍はかなりの剛性と耐衝撃性を有する構成となる。耳部33は全ての稜線部30aを覆うように折り返され、この折り返された耳部33の先端部は断熱性テープなどで固定される。
次に、真空断熱材30の設置に関して図6及び図7を参照しながら説明する。図6は図1のA−A要部断面図、図7は図1のB−B要部断面図である。
外箱1を構成する側板2、天井板3、背面板4及び底板5は、図6及び図7に示すように、相互の組み合わせや内箱6との組み合わせなどのために、周縁にフランジ部が形成されている。これらのフランジ部の切断端面2a、2b、3aなどは、一般に鋭利な端面状態となっており、側板2、天井板3、背面板4の単独状態では外部に露出されている。なお、これらの切断端面2a、2b、3aなどは、発泡断熱材7が発泡された状態では発泡断熱材7中に埋設される。
真空断熱材30は、側板2、天井板3及び背面板4が単独の状態で(相互の組み合わせ及び内箱との組み合わせの前の状態で)、それぞれのフランジ部の内側に挿入され、端部が切断端面2a、2b、3aなどに近接した状態に設置される。そして、真空断熱材30が設置された側板2、天井板3及び背面板4は、積み重ねられたりして保管・搬送などが行なわれる。従って、これらの設置作業や、保管・搬送作業などの際に、真空断熱材30の端部が切断端面2a、2b、3aなどに接触するおそれがある。しかし、本実施例では、上述したように、外被材稜線部30aをかなりの剛性と耐衝撃性を有する耳部33で覆って稜線部30a近傍がかなりの剛性と耐衝撃性を有する構成になっているので、切断端面2a、2b、3aなどによる稜線部30aの損傷を防止することができる。
なお、真空断熱材30は、耳部33で覆った稜線部30aの反対側の面を側板2、天井板3及び背面板4に密着させているので、耳部33に邪魔されることなく、これらにぴったりと密着させることができる。
真空断熱材30を設置した側板2、天井板3、背面板4、底板5及び内箱6は、図6及び図7に示すように、それぞれが組み合わされる。これによって、真空断熱材30の端部は、図6に示すように、冷却器12から出た冷媒戻り配管15と近接して配置される。従って、組み合わせ作業の際に、真空断熱材30の端部が冷媒戻り配管15に接触するおそれがある。しかし、本実施例では、上述したように、外被材稜線部30aをかなりの剛性と耐衝撃性を有する耳部33で覆って稜線部30a近傍がかなりの剛性と耐衝撃性を有する構成になっているので、冷媒戻り配管15による稜線部30aの損傷を防止することができる。
次に、前述の耳部33の折り返しの具体例に関して図8から図10を参照しながら説明する。図8から図10は図1の冷蔵庫に用いる真空断熱材30の耳部33の各折り返し加工工程の説明図である。
まず、図8に示すように、耳部33の隅部33aをコア材31の隅部31cに沿ってコア材表面側に折り返す。換言すれば、コア材31から突出する耳部33の各辺の両側がコア材31の隅部31cより中央側に位置するように折り返す。本実施例では、耳部33の四隅部33aをコア材31の四隅部31cに沿ってコア材表面側に略45度の角度で折り返しているので、コア材31から突出する耳部33の全辺の両側がコア材31の隅部31cより中央側に位置するようになる。
次いで、図9に示すように、前述の折り返した四隅部33aを含む耳部33の長辺33bをコア材31の長辺部31dに沿ってコア材表面側に折り返す。この折り返えされた耳部33の両側はコア材31の平面投影面の範囲内に位置される。
次いで、図10に示すように、残った耳部33の短辺33cをコア材31の短辺部31eに沿ってコア材表面側に折り返す。この折り返えされた耳部33の両側もコア材31の平面投影面の範囲内に位置される。これによって、全ての耳部33はコア材31の平面投影面の範囲内に位置される。
本実施例によれば、コア材31から突出する耳部33の各辺の両側がコア材31の隅部31cより中央側に位置するように折り返し、このコア材31から突出する耳部33をコア材表面側に折り返した構造としたので、隅部33aのシール皺の発生を防止することができる。従って、真空断熱材30の隅部33aのシール皺による他の部材、例えば他の真空断熱材30や電気配線などの損傷を防止することができると共に、他の部材、例えば側板2、天井板3及び背面板4の切断端面2a、2b、3aなどや、冷媒戻り配管15などがシール皺に接触することによる損傷を防止することができる。
また、耳部33をコア材31の平面投影面の範囲内に位置させているので、耳部33の端部による他の部材、例えば他の真空断熱材30や電気配線などの損傷を防止することができると共に、他の部材、例えば側板2、天井板3及び背面板4の切断端面2a、2b、3aなどや、冷媒戻り配管15などが耳部33の端部に接触することによる損傷を防止することができる。
なお、本実施例の折り返し方法はコア材31の厚さが比較的薄い場合、例えば、図5に示すT寸法が略15mm以下の場合に、好適な方法である。
次に、本発明の第2実施例を図11から図16を参照しながら説明する。図11から図16は本発明の第2実施例の冷蔵庫に用いる真空断熱材の耳部の折り返し加工工程説明図である。図11から図16の(a)には、それぞれの加工工程における真空断熱材の平面図を示し、(b)には、その加工工程での部分斜視図を示す。なお、第2実施例は、真空断熱材の製造方法を除いて第1実施例と同じであるので、第2実施例の説明では真空断熱材の製造方法の異なる点についてのみを説明する。
図11はコア材41を収納した真空断熱材40内部を所定の真空度に減圧して、その周縁部を溶着して耳部43を形成したときの状態である(第1実施例の図4に示す状態に相当する)。
次いで、図12に示すように、耳部43の長辺をコア材長辺41aに沿って、立ち上げ部43aのように立ち上げ、さらに折り曲げ部43bのように真空断熱材の稜線部40aを覆いながらコア材表面側に折り返す。
次いで、図13に示すように、立ち上げ部43aに連続する耳部短辺43cを、その下辺43dが所定の角度θに、その上辺43eが所定の角度θに成るように折り曲げる。なお、所定の角度θは、後述するように下辺43dをコア材表面側に折り返した時に、該折り返し部分がコア材41の平面投影面内になるような角度に設定されている。また、所定の角度θは、前述の角度θより大きく、かつ、後述するように上辺43eをコア材表面側に折り返した時に、該折り返し部分が、長辺の折り返し部43bと重複するように設定されている。
次いで、図14に示すように、前述の上辺43eをコア材短辺に沿うように立ち上げて立ち上げ部43fのように形成する。同時に、下辺43d及び耳部短辺43cを、立ち上げ部43fにより引き込んで、図14に示すように弓なりに変形して折り曲げ部43g及び耳部短辺43hとする。
次いで、図15に示すように、耳部短辺43hをコア材短辺41aに沿って立ち上げ部43jを形成する。
次いで、図16に示すように、折り曲げ部43kによって真空断熱材の稜線部40aを覆いながらコア材表面に折り返す。
第2実施例のように耳部43を折り返すことによって、コア材41の厚さが比較的厚い場合、例えば15mm〜20mm程度の場合であっても、隅部のシール皺の発生を抑制することができる。また、真空断熱材40の稜線部40aが、かなりの剛性と耐衝撃性を有する耳部43の折り返し部43b、43kで覆われるので、稜線部40aに前述した側板2の内箱挟持部端面部2aや側板2の背面板挟持部端面部2bが当接しても、真空断熱材40自身の損傷を防止できる。
次に、本発明の第3実施例を図17から図19を参照しながら説明する。図17から図19は本発明の第3実施例の冷蔵庫に用いる真空断熱材の耳部の折り返し加工工程の説明図である。図17から図19の(a)には、それぞれの加工工程における真空断熱材の平面図を示し、(b)には、その加工工程での断面図を示す。なお、第3実施例は、真空断熱材の製造方法を除いて第1実施例と同じであるので、第3実施例の説明では真空断熱材の製造方法の異なる部分のみを説明する。
先ず、図17に示すように、平板状の略矩形状外被材52を2枚重ね合わせ、外被材52の3辺54を熱溶着して袋状とする。この袋の1辺を形成する開口部55の内法寸法Lをコア材51の外法寸法Lより大きく形成し、この開口部55よりコア材51を挿入する。なお、コア材51を容易に挿入できるように、かつ、外被材素材を出来るだけ節約できるようにする為には、前記袋の開口部55の内法寸法Lは、コア材の外法寸法Lにコア材51の厚さ寸法Tの2倍から3倍を加えた寸法程度であることが望ましい。
次いで、図18に示すように、前述の熱溶着した外被材の3辺のうち、任意の連続する2辺54a及び54bを、コア材51の2辺51a及び51bに密着させる。この状態で、コア材51及び袋状外被材内部を所定の真空度に減圧した後、前述の開口部55の端部55aを熱溶着して密封する。
次いで、図19に示すように、コア材51よりはみ出した2辺の耳部53a、53bを、折り返し部分がコア材51の平面投影面内になるように、かつ、真空断熱材の稜線部50aを覆うように、コア材表面側に折り返して折り返し部53c、53dを形成する。
第3実施例によれば、真空断熱材50の稜線部50aが、かなりの剛性と耐衝撃性を有する耳部の折り返し部53c、53dで覆われるので、稜線部50aに前述した側板2の内箱挟持部端面部2aや側板2の背面板挟持部端面部2bが当接しても、真空断熱材50自身の損傷を防止できる。また、折り返し部53c、53dが2辺のみであるため製造工程上効率向上となる。
次に、本発明の第4実施例を図20から図22を参照しながら説明する。図20から図22は本発明の第4実施例の冷蔵庫に用いる真空断熱材の各製造工程の断面図である。なお、第4実施例は、真空断熱材の製造方法を除いて第1実施例と同じであるので、第4実施例の説明では真空断熱材の製造方法の異なる部分のみを説明する。
第4実施例では、大きさの異なる外被材62a、62bを準備し、図20に示すように、コア材61の表面61a側の外被材62aの大きさWをコア材の底面61b側の外被材62bの大きさWより大きくして、外被材62aのみで、コア材61の端面61cを覆えるように構成する。換言すれば、コア材61の大きさをWとすると、外被材62bの大きさWを「W+溶着代+余裕寸法」とし、外被材62aの大きさWを「W+コア材の厚さT+コア材の厚さT」とする。
コア材61を外被材62a上に載置し、さらにその上に外被材62bを載置し、外被材62a側のみで、図21に示すように、コア材61の端面61c、61dを覆うようにする。
次いで、図22に示すように、真空断熱材60の稜線部60aを覆うと共に、真空断熱材60の端面部60b、60cを覆うように、耳部63を折り返す。
本実施例によれば、真空断熱材60の稜線部60aと端面部60b、60cとが、剛性と耐衝撃性を有する耳部63の折り返し部で覆われるので、該稜線部60aや端面部60b、60cに、前述した側板2の内箱挟持部端面部2aや側板2の背面板挟持部端面部2bなどが当接しても、真空断熱材自身の損傷を少なく出来る。
本発明の第1実施例を示す冷蔵庫の縦断面図である。 図1の真空断熱材に用いる外被材の端部拡大断面図である。 図1の冷蔵庫に用いる真空断熱材の製造工程の断面図である。 図3に続く製造工程の断面図である。 図4に続く製造工程の断面図である。 図1のA−A要部断面図である。 図1のB−B要部断面図である。 図1の冷蔵庫に用いる真空断熱材の耳部の折り返し加工工程の説明図である。 図8に続く折り返し加工工程の説明図である。 図9に続く折り返し加工工程の説明図である。 本発明の第2実施例の冷蔵庫に用いる真空断熱材の耳部の折り返し加工工程説明図である。 図11に続く折り返し加工工程の説明図である。 図12に続く折り返し加工工程の説明図である。 図13に続く折り返し加工工程の説明図である。 図14に続く折り返し加工工程の説明図である。 図15に続く折り返し加工工程の説明図である。 本発明の第3実施例の冷蔵庫に用いる真空断熱材の耳部の折り返し加工工程の説明図である。 図17に続く折り返し加工工程の説明図である。 図18に続く折り返し加工工程の説明図である。 本発明の第4実施例の冷蔵庫に用いる真空断熱材の各製造工程の断面図である。 図20に続く製造工程の断面図である。 図21に続く製造工程の断面図である。 従来の真空断熱材の外被材の耳部を折り返した状態の平面図である。
符号の説明
1…外箱、2…外箱の側板、3…外箱の天井板、4…外箱の背面板、5…外箱の底板、6…内箱、7…発泡断熱材、8…冷凍室、9…製氷室、10…野菜室、11…冷蔵室、12…冷却器、13…圧縮機、14…凝縮器、15…冷媒戻り配管、16…高温冷媒配管、17…送風機、18…電気配線、19…冷凍室扉、20…製氷室扉、21…野菜室扉、22…冷蔵室扉、30…真空断熱材、31…コア材、32…外被材、33…耳部、40…真空断熱材、41…コア材、42…外被材、43…耳部、50…真空断熱材、51…コア材、52…外被材、53…耳部、54…外被材熱溶着部、55…外被材開口部、60…真空断熱材、61…コア材、62…外被材、63…耳部、70…真空断熱材、71…コア材、72…耳部。

Claims (7)

  1. 外箱の裏側に真空断熱材を配設すると共に前記外箱と内箱との間に発泡断熱材を充填して箱体を構成した冷蔵庫において、
    前記真空断熱材は、稜線部を有するコア材と、これに密着してこれを覆う外被材とを備え、
    前記外被材は、前記コア材を覆う2枚の外被材で構成すると共に、前記コア材よりはみ出した部分を溶着して耳部とし、
    前記耳部は、その両側が前記コア材の隅部より中央側に折り曲げられると共に、前記外被材の稜線部を覆うように前記コア材の表面側に折り曲げられている
    ことを特徴とする冷蔵庫。
  2. 外箱の裏側に真空断熱材を配設すると共に前記外箱と内箱との間に発泡断熱材を充填して箱体を構成した冷蔵庫において、
    前記真空断熱材はコア材とこれを覆う外被材とを備え、
    前記外被材は、前記コア材を覆う2枚の外被材で構成すると共に、前記コア材よりはみ出した部分を溶着して耳部とし、
    前記耳部は前記コア材の表面側にその平面投影面内に位置するように折り曲げられている
    ことを特徴とする冷蔵庫。
  3. 前記真空断熱材は、稜線部を有するコア材と、これに密着してこれを覆う外被材とを備え、前記耳部の各辺は、その両側が前記コア材の隅部より中央側に折り曲げられると共に、その各辺が前記外被材の稜線部を覆うように前記コア材の表面側に折り曲げられていることを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
  4. 前記外被材はアルミニウム等の金属箔とその表面側に設けられた表面保護フィルムとその内側に設けられた熱溶着可能な内層フィルムとを有して構成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の冷蔵庫。
  5. 稜線部を有するコア材とこれに密着してこれを覆う外被材とを備えた真空断熱材において、
    前記外被材は、前記コア材を覆う2枚の外被材で構成すると共に、前記コア材よりはみ出した部分を溶着して耳部とし、
    前記耳部の各辺は、その両側が前記コア材の隅部より中央側に折り曲げられると共に、その各辺が前記外被材の稜線部を覆うように前記コア材の表面側に折り曲げられている
    ことを特徴とする真空断熱材。
  6. コア材とこれを覆う外被材とを備えた真空断熱材の製造方法において、
    2枚の外被材で前記コア材を覆うと共に前記コア材よりはみ出した部分を溶着して耳部とした後、
    前記耳部の両側を前記コア材の隅部より中央側に折り曲げ、さらにその耳部を前記外被材の稜線部を覆うように前記コア材の表面側に折り曲げた
    ことを特徴とする真空断熱材の製造方法。
  7. コア材とこれを覆う外被材とを備えた真空断熱材の製造方法において、
    2枚の外被材で前記コア材を覆うと共に前記コア材よりはみ出した部分を溶着して耳部とした後、
    前記コア材の両側の前記耳部を前記コア材の表面側に折り曲げた後、
    前記コア材の残りの両側の耳部を前記コア材の隅部より中央側に折り曲げ、さらにその耳部を前記コア材の表面側にその平面投影面内に位置するように折り曲げた
    ことを特徴とする真空断熱材の製造方法。
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