JP2005097696A - スパッタリングターゲットとそれを用いたNb酸化膜の製造方法 - Google Patents

スパッタリングターゲットとそれを用いたNb酸化膜の製造方法 Download PDF

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【課題】光学薄膜に好適なNb酸化膜をスパッタ成膜するにあたって、Nb酸化膜の成膜速度を向上させることによって、Nb酸化膜ひいては光学薄膜等の生産効率を高めることを可能にしたスパッタリングターゲットを提供する。
【解決手段】Nb材からなるスパッタリングターゲットである。スパッタリングターゲットを構成するNb材は1〜1000ppmの範囲の水素を含有する。さらに、ターゲット全体としての水素含有量のバラツキは20%以下とされている。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば反射防止膜のような光学薄膜の形成に好適に用いられるスパッタリングターゲットとそれを用いたNb酸化膜の製造方法に関する。
ディスプレイ装置としては陰極線管(CRT)を使用した装置が広く使用されてきたが、CRTはある程度以上の設置スペースが必要とされることから、軽量・薄型のディスプレイ装置として液晶表示装置が急速に普及している。液晶表示装置は携帯電話やPDA等の表示部、パソコン用モニタ、家庭用テレビを始めとする各種家電製品等に使用されている。また、自発光タイプのディスプレス装置としては、プラズマディスプレイパネル(PDP)が実用化されている。さらに、電界放出型冷陰極等の電子放出素子を用いた表示装置、いわゆる電界放出型表示装置(FED)の実用化も進められている。
上述したような各種のディスプレイ装置には、当然ながら見やすさが第一に要求される。このため、コントラストの低下要因となる背景の映り込みを防止するために、画面の表面反射を抑制する必要がある。そこで、ディスプレイ装置の表面には一般に反射防止処理が施されている。反射防止膜は高低の屈折率の異なる薄膜を光学設計により交互に積層することで、反射光を干渉させて反射率を減衰させるものである。このような反射防止膜の成膜方法としては主に蒸着法やゾル・ゲル法が採用されてきたが、最近では生産能力と膜厚の制御性の観点からスパッタリング法が採用され始めている。
反射防止膜の構成材料には、高屈折率膜としてNbの酸化膜が、また低屈折率膜としてSiの酸化膜が主に用いられている(例えば特許文献1や特許文献2等参照)。Nb酸化膜の成膜方法としては、(1)Nbターゲットを用いてArとO2の混合ガス雰囲気中で反応性スパッタする方法、(2)Nbターゲットを用いて形成したNb膜をプラズマ酸化する方法、(3)Nb酸化物ターゲットを用いてスパッタ成膜する方法、等が知られており、主として(1)と(2)の成膜方法が採用されている。
ところで、反射防止膜用薄膜等の光学薄膜にとっては、特に屈折率が重要となる。しかも、反射防止膜等が適用されるディスプレス装置、さらに携帯電話、自動車、建築材料等の分野は大量生産が必要とされるため、同レベルの屈折率を有する薄膜を効率よくかつ安定的に形成することが求められる。すなわち、反射防止膜を有する各種装置等の量産性を満足させるためには、Nb酸化膜の成膜速度を高めることが重要である。しかしながら、従来のNbターゲットを用いたNb酸化膜の成膜速度は遅く、これがNb酸化膜ひいては反射防止膜等を有する各種装置の生産効率の低下要因となっている。
さらに、薄膜の屈折率はその膜厚に強く依存するため、反射防止膜用のNb酸化膜の成膜工程においては膜厚の安定性を高めることが重要となる。特に、Nbターゲットのライフエンドまで膜厚のバラツキを抑えること、つまり成膜速度の安定化が重要になる。しかしながら、現状ではNbターゲットのライフエンドに近くなるにしたがって成膜速度が低下していく傾向があり、この成膜速度の変化に伴う膜厚のバラツキ、すなわち屈折率の変動が問題となっている。
特開平11-171596号公報 特開2002-338354号公報
上述したように、従来のNbターゲットを用いた成膜工程においては、Nb酸化膜の成膜速度が遅いことが問題になっている。特に、Nb酸化膜等を使用した反射防止膜は、大量生産が必要とされるディスプレイ装置、携帯電話、自動車、建築材料等の分野に適用されることから、量産性を満足させる上でNb酸化膜の成膜速度を高めることが強く求められている。さらに、従来のNbターゲットはライフエンドに近くなるにしたがって成膜速度がさらに低下していく傾向があることから、この成膜速度の変化に伴う膜厚のバラツキを抑えることが望まれている。
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、反射防止機能等の光学薄膜に好適なNb酸化膜をスパッタ成膜するにあたって、Nb酸化膜の成膜速度並びにその安定性を向上させたスパッタリングターゲットを提供することを目的としている。さらに、そのようなスパッタリングターゲットを使用することによって、Nb酸化膜の生産効率を高めると共に、経時的な膜厚のバラツキ等を抑えることを可能にしたNb酸化膜の製造方法を提供することを目的としている。
本発明のスパッタリングターゲットは、水素を1〜1000ppmの範囲で含有するNb材からなるスパッタリングターゲットであって、ターゲット全体としての前記水素含有量のバラツキが20%以下であることを特徴としている。また、本発明のNb酸化膜の製造方法は、上記した本発明のスパッタリングターゲットを用いて、酸素を含む雰囲気中でスパッタ成膜してNb酸化膜を形成する工程を具備することを特徴としている。
本発明においては、Nb酸化膜等を形成する際に用いられるスパッタリングターゲット(Nbターゲット)中に、質量比で1〜1000ppmの範囲の水素を含有させている。Nbターゲット中に適量の水素を含有させることによって、酸素を含有する雰囲気中でのスパッタ成膜時に水素が酸素と優先的に反応する。このため、ターゲット表面における局所的な酸化物の生成が抑制されることから、Nb酸化膜の成膜速度を高めることが可能となる。さらに、ターゲット全体としての水素含有量のバラツキを低減しているため、成膜速度の変動、特にライフエンド近くにおける成膜速度の低下を抑制することができる。
本発明のスパッタリングターゲットによれば、ターゲットを構成するNb材中に含まれる水素に基づいて、Nb酸化膜の成膜速度を向上させることができると共に、成膜速度の経時的な安定性を高めることが可能となる。このようなスパッタリングターゲットを用いたNb酸化膜の製造方法によれば、光学薄膜等に好適なNb酸化膜の生産効率を高めた上で、経時的な膜厚のバラツキを抑えることができる。
発明を実施するための形態
以下、本発明を実施するための形態について説明する。本発明の一実施形態によるスパッタリングターゲットはNb材からなり、例えば反射防止機能、波長分離機能、波長合成機能等を有する光学薄膜もしくはその構成膜として好適なNb酸化膜(Nb25膜等)の形成等に使用されるものである。反射防止機能を有する光学薄膜としては、高屈折率膜と低屈折率膜とを光学設計に基づいて交互に積層した多層膜が挙げられる。このような反射防止膜の構成膜において、Nb酸化膜は高屈折率膜として利用されるものである。
スパッタリングターゲットを構成するNb材は、質量比で1〜1000ppmの範囲の水素を含有している。このような水素含有のNb材でスパッタリングターゲットを構成することによって、Nb酸化膜の成膜速度を向上させることができると共に、成膜速度の経時的な安定性を高めることが可能となる。すなわち、Nb酸化膜はNbターゲットを用いて、例えばArとO2の混合ガス雰囲気中で反応性スパッタを実施することにより得られる。この際、Nbターゲットの表面近傍には酸素イオンが存在し、この酸素イオンとNbターゲットとの局部的な反応が成膜速度の低下原因と考えられる。
これに対して、水素含有のNb材からなるスパッタリングターゲットにおいては、このNbターゲット中の水素がスパッタ雰囲気中の酸素と優先的に反応する。水素と反応した酸素は、例えばH2O(蒸気)となって雰囲気中に揮散する。あるいは、Nbターゲット表面の反応生成物(酸化物)をH2Oとして揮散させることで、ターゲット表面の酸化物を除去することができる。さらに、ターゲット表面には通常非エロージョン領域が存在し、その部分にスパッタ粒子(酸化物粒子)の再付着が生じるが、この再付着物についてもNbターゲット中の水素と反応させることで除去ないしは低減することができる。
上記したように、Nbターゲット中の水素を雰囲気中の酸素と優先的に反応させることで、Nbターゲットの表面にはミクロに見ると非酸化部が現出する。この非酸化部(メタル面)にArイオンが衝突することで、メタル状態でのスパッタ蒸発が起こる。このようなメタル状態でのスパッタを実現することによって、従来のNb元素単体で構成したスパッタリングターゲットに比べて成膜速度を向上させることが可能となる。もちろん、スパッタされたNbの原子もしくは原子集団は基板に到達する過程で酸化されるため、所望のNb酸化物の膜を得ることができる。さらに、スパッタ粒子の再付着の抑制は、パーティクルの混入や異常放電等に起因する不良発生率の低減に寄与する。
Nb酸化膜等の成膜速度を高める上で、Nbターゲットには質量比で1〜1000ppmの範囲の水素を含有させる。水素の含有量が1ppm未満であると、水素によるターゲット表面の酸化物の生成抑制効果や除去効果を安定して得ることができない。Nbターゲットの水素含有量は10ppm以上とすることがより好ましい。特に、成膜速度の向上効果等をより効果的に得るために、Nbターゲットの水素含有量は100pm以上とすることが望ましい。一方、Nbターゲット中の水素含有量が多すぎると、Nbの格子間に侵入した水素により体積膨張を起こし、いわゆる水素脆化によりNbターゲットの破損等が生じる。このため、Nbターゲットの水素含有量は1000ppm以下とする。Nbターゲットの水素含有量は700ppm以下とすることが望ましい。
上述したように、質量比で1〜1000ppmの範囲の水素を含有するNb材からなるスパッタリングターゲットを用いることによって、Nb酸化膜等の成膜速度を高めることができる。ただし、Nbターゲット全体として水素含有量にバラツキが生じていると、ターゲット全体として平均的にスパッタが進行せず、成膜した膜の面内膜厚にバラツキが生じたり、また成膜速度が変動しやすくなる。そこで、Nbターゲット全体としての水素含有量のバラツキを20%以下としている。
Nbターゲット全体としての水素含有量のバラツキを20%以下とすることによって、成膜速度や膜厚の安定性を高めることができる。特に、Nbターゲットのライフエンド近くにおける成膜速度の低下を抑制することが可能となる。これは、スパッタが進行するにつれてスパッタ部位のバラツキが成膜速度の低下に繋がるが、ターゲット全体として平均的にスパッタを進行させることで、ライフエンド近くにおいても成膜速度を安定に保つことができる。すなわち、成膜速度の経時的な変動を抑制することが可能となる。Nbターゲット全体としての水素含有量のバラツキを10%以下とすることがより好ましい。
上述したように、この実施形態のスパッタリングターゲットは、Nbターゲットの水素含有量を質量比で1〜1000ppmの範囲とすると共に、ターゲット全体としての水素含有量のバラツキを20%以下としている。このような構成に基づいて、酸素を含む雰囲気中での成膜速度を高めることができると共に、そのような成膜速度をターゲットのライフエンド近くまで安定に保つことが可能となる。これらによって、Nb酸化膜の生産効率を高めると共に、経時的な膜厚のバラツキ等を抑えることができる。これは、反射防止膜の構成膜等として用いられるNb酸化膜の成膜コストの低減や特性の向上等に寄与する。
ここで、Nbターゲットの水素含有量およびそのバラツキは、以下のようにして求めた値を指すものである。すなわち、例えばターゲットが円盤状の場合、ターゲットの中心部と、中心部を通り円周を均等に分割した4本の直線上の中心部から50%の距離の各位置(計8個所)、および中心部から90%の距離の各位置(計8個所)の合計17個所からそれぞれ試験片を採取し、これら17個の試験片の水素含有量をそれぞれ測定し、これらの測定値の平均値をNbターゲットの水素含有量とする。水素含有量のバラツキは、各試験片の水素含有量(各測定値)の最大値と最小値から、[{(最大値−最小値)/(最大値+最小値)}×100(%)]の式に基づいて求めるものとする。なお、水素含有量は一般的な不活性ガス融解・赤外線吸収法により測定した値とする。
なお、スパッタリングターゲットを構成するNb材には、反射防止膜等の光学薄膜としての使用用途を考慮して、例えば純度が99%以上のNb材を使用することが好ましい。ここで言うNbの純度とは、不純物元素としてのFe、Ni、Cr、Al、Cu、Na、K等の各含有量(質量%)の合計を100%から引いた値を示すものである。特に、純度が99〜99.99%の範囲の高純度Nbを用いることが好ましい。なお、不純物としてFe、Ni、Cr、Cu、Na、Kを挙げたのは、これらの元素は原料粉末や製造工程中に不可避的に含まれるもの、あるいは光学薄膜中に含まれると悪影響を与えるためである。
本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、特定の加工条件や熱処理条件等を満足させる以外は特に限定されるものではなく、公知の製造方法を適用して作製することができる。まず、EB溶解等によりNbインゴット(例えば直径200〜250mm)を作製する。例えば、市販のEB溶解材は通常3回程度EB溶解を実施しているが、さらに純度を高めるために、1×10-3Pa以下の真空雰囲気中でEB溶解を繰返し実施することが好ましい。EB溶解の繰返し回数は2回以上とすることが好ましい。
次に、上記したようなNbインゴット(例えば直径200〜250mm)の外周に酸化防止剤を塗布した後、もしくはNbインゴットを真空キャニングした後、600〜1200℃の温度で熱間押出しする。熱間押出し温度が600℃未満であると、変形抵抗が大きすぎるために所望サイズのNb材を得ることができない。一方、熱間押出し温度が1200℃を超えると、Nbの再結晶化が進行しすぎて結晶粒径が粗大化したり、また酸化防止剤の許容温度を超えてしまうため、表面が酸化して割れやクラック等が生じてしまう。
このような熱間押出し材を必要に応じて鍛造した後、水素雰囲気中で熱処理することによって、所望量の水素を含有するターゲット素材(Nb素材)を作製する。この際、水素雰囲気中にて100〜500℃の温度で熱処理を実施することが重要である。熱処理温度が100℃未満ではNb材に効率よく水素を含有させることができない。一方、熱処理温度が500℃を超えると比較的多量の水素が短時間で侵入するため、水素含有量が増加しすぎたり、さらには水素含有量のバラツキが大きくなる。また、熱処理時間は熱処理温度にもよるが、少なくとも1時間以上とすることが好ましい。熱処理時間が短すぎると、水素含有量のバラツキが大きくなる傾向がある。
上述したような加工条件および熱処理条件でNbターゲットの基となるターゲット素材を作製することによって、水素含有量が質量比で1〜1000ppmの範囲であると共に、水素含有量のバラツキが20%以下のNbターゲット素材を再現性よく得ることができる。このようにして得たNbターゲット素材を所定の形状に機械加工し、さらに例えばAlやCuからなるバッキングプレートと接合することで、目的とするスパッタリングターゲット(Nbターゲット)が得られる。バッキングプレートとの接合には一般的な拡散接合やソルダー接合が適用される。
本発明の酸化膜形成用スパッタリングターゲットは、上述したように反射防止機能、波長分波機能、波長合成機能等を有する光学薄膜もしくはその構成膜として好適なNb酸化膜(NbOx膜(xは基本的には化学量論組成比に基づく値であるが、それから外れた値であってもよい))の形成等に好適に使用されるものである。このようなNb酸化膜は、水素含有のスパッタリングターゲットを用いて、例えばArとO2の混合ガスのような酸素含有雰囲気中で反応性スパッタを行うことにより得ることができる。なお、Nb酸化膜はDCスパッタを適用して成膜することで、成膜コストの低減や成膜効率の向上等を図ることができるが、RFスパッタの適用を除外するものではない。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
実施例1
まず、純度2NのEB溶解製Nb材に対して、さらに2回EB溶解を行ってインゴット(直径230mm×L)を作製した。このNbインゴットの外周を切削し、さらに酸化防止剤を外周全面に塗布した後、900℃に加熱した状態で2000tonの圧力を付加して熱間押出しすることによって、外径100mm×内径80mmのNbパイプを作製した。このNbパイプを切断、鍛造して、幅140mm×長さ5000mm×厚さ15mmのNb板材を作製した。このNb板材に水素雰囲気中にて200℃×5hrの条件で熱処理を施すことによって、ターゲット用Nb素材を作製した。
このようにして得たターゲット用Nb素材を、直径120mm×厚さ6mmの形状に機械加工した後、ソルダー接合法を用いて無酸素銅製バッキングプレートと接合して、目的とするNbスパッタリングターゲットを作製した。このNbスパッタリングターゲットの水素含有量およびそのバラツキを前述した方法にしたがって測定した。その結果、水素含有量は5.5ppmであり、また水素含有量のバラツキは2.4%であった。このNbスパッタリングターゲットを後述する特性評価に供した。
実施例2〜3
上記した実施例1において、Nb板材に対する水素雰囲気中での熱処理条件を変更する以外は、実施例1と同様にしてNbスパッタリングターゲットを作製した。熱処理条件は表1に示す通りである。また、各Nbスパッタリングターゲットの水素含有量およびそのバラツキは、実施例2の水素含有量が35ppm、そのバラツキが5.6%であり、実施例3の水素含有量が98ppm、そのバラツキが7.4%であった。これらのNbスパッタリングターゲットを後述する特性評価に供した。
実施例4
まず、純度2NのEB溶解製Nb材に対して、さらに2回EB溶解を行ってインゴット(直径230mm×L)を作製した。このNbインゴットの外周を切削し、SUS材を用いて真空キャニングした後、このキャニングした材料を1100℃に加熱した状態で2000tonの圧力を付加して熱間押出しすることによって、幅140mm×長さ5000mm×厚さ15mmのNb板材を作製した。このNb板材に水素雰囲気中にて400℃×5hrの条件で熱処理を施すことによって、ターゲット用Nb素材を作製した。
このようにして得たターゲット用Nb素材を、直径120mm×厚さ6mmの形状に機械加工した後、ソルダー接合法を用いて無酸素銅製バッキングプレートと接合して、目的とするNbスパッタリングターゲットを作製した。このNbスパッタリングターゲットの水素含有量およびそのバラツキを前述した方法にしたがって測定した。その結果、水素含有量は170ppmであり、また水素含有量のバラツキは9.1%であった。このNbスパッタリングターゲットを後述する特性評価に供した。
実施例5〜6
上記した実施例4において、Nb板材に対する水素雰囲気中での熱処理条件を変更する以外は、実施例4と同様にしてNbスパッタリングターゲットを作製した。熱処理条件は表1に示す通りである。また、各Nbスパッタリングターゲットの水素含有量およびそのバラツキは、実施例5の水素含有量が580ppm、そのバラツキが13.4%であり、実施例6の水素含有量が920ppm、そのバラツキが18.7%であった。これらのNbスパッタリングターゲットを後述する特性評価に供した。
比較例1〜3
上記した実施例1において、Nb板材に対する熱処理条件を、真空中にて1000℃×5hr(比較例1)、水素雰囲気中にて室温(20℃)×5hr(比較例2)、水素雰囲気中にて1000℃×5hr(比較例3)とする以外は、実施例1と同様にしてNbスパッタリングターゲットを作製した。これら各Nbスパッタリングターゲットの水素含有量およびそのバラツキは表1に示す通りである。これらのNbスパッタリングターゲットを後述する特性評価に供した。
次に、上述した実施例1〜6および比較例1〜3による各Nbスパッタリングターゲットを用いて、スパッタ方式:DCスパッタ、基板−ターゲット間距離:20mm、DC出力:2kW、Ar:50sccm、O2:10sccm、背圧:1×10-5Paの条件下で基板上にNb酸化膜(NbOx膜)を成膜し、それぞれ積算電力が1kwhの時点での成膜速度と積算電力が100kwhの時点での成膜速度を測定した。成膜時間(nm/min)は、各測定時におけるNb酸化膜の膜厚を測定し、それらを成膜時間で割ることにより求めた。これらの測定・評価結果を表1に併せて示す。
Figure 2005097696
表1から明らかなように、所定量の水素を含有するNbターゲットは、Nb単体のターゲットに比べて成膜速度が向上していることが分かる。さらに、成膜終期における成膜速度の低下も少なく、膜厚の安定性に優れることが分かる。これは、例えばNb酸化膜を反射防止膜の高屈折率膜等に適用する際に、膜厚ひいては屈折率の安定性に優れたNb酸化膜が効率よく得られることを示している。なお、1000ppmを超える水素を含有するNbターゲット(比較例3)は加工時に割れが発生し、Nbターゲットとしての特性を評価することができなかった。

Claims (6)

  1. 水素を1〜1000ppmの範囲で含有するNb材からなるスパッタリングターゲットであって、ターゲット全体としての前記水素含有量のバラツキが20%以下であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 請求項1記載のスパッタリングターゲットにおいて、
    前記Nb材は前記水素を10〜1000ppmの範囲で含有することを特徴とするスパッタリングターゲット。
  3. 請求項1または請求項2記載のスパッタリングターゲットにおいて、
    酸化膜形成用ターゲットであることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項記載のスパッタリングターゲットにおいて、
    光学薄膜の形成用ターゲットとして用いられることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  5. 請求項1または請求項2記載のスパッタリングターゲットを用いて、酸素を含む雰囲気中でスパッタ成膜してNb酸化膜を形成する工程を具備することを特徴とするNb酸化膜の製造方法。
  6. 請求項5記載のNb酸化膜の製造方法において、
    前記Nb酸化膜は光学薄膜であることを特徴とするNb酸化膜の製造方法。
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