JP2005097606A - 生分解性射出成形物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、剛性が高くしかも高伸長であって生分解性も優れている、生分解性の射出成形物に関する。
工業部材から生活雑貨に至る幅広い各種物品には、ポリオレフィン等の合成樹脂が大量に使用されている。しかし、これらの合成樹脂は、高性能と長期安定性を目的に開発されているので、自然界に放出された後は分解されずにいつまでも原形を保っている。このため、使用済み材料はごみとして収集されて焼却又は埋立てにより処理されているが、実際には散乱ごみが多量にあり、自然の生態系への悪影響が指摘されている。このような状況より、土中又は水中の微生物によって炭酸ガスと水に分解される生分解性ポリマーが、最終的には環境中に残存しないことから、前記のような環境問題を軽減できるものとして注目されてきている。
生分解性ポリマーのうち、ポリ乳酸に代表されるいわゆる「硬質タイプ」の生分解性ポリマーは、剛性が高く耐熱性に優れているため、「軟質タイプ」のものに比べてプラスチック射出成形品としての実用性に勝り、有望視されている。しかし、これらは伸びが小さく衝撃に弱いことが大きな欠点である。
これらの欠点を解決するため、ゴムや他のプラスチックをブレンドするか或いは共重合することが行われている。しかし、いずれの方法でも、その改良効果が不充分であるか、逆に本来の生分解性を低下させてしまうといった問題点を有している。
一方、生分解性を有する射出成形物として、融点:130℃以上、曲げ強度:0.01GPa以上、曲げ弾性率:1.0GPa以上のポリエチレンオキサレートが知られている(特許文献1)。しかし、この文献では、強靭な射出成形物が得られる旨の記載があるのみで、靭性を表す上で重要な伸び或いは耐衝撃性に関する記載が全くなく、強靭さの定量的な把握が欠けていた。従って、このポリエチレンオキサレート射出成形物は、剛性と伸びの両面から考えて射出成形物として実用性があるとは判断し難いものであった。
また、シュウ酸と脂肪族ジオールとのオリゴエステルが生分解性を示すものとして知られているが(特許文献2)、このオリゴエステルは分子量が小さく射出成形に適するものではなく、得られる成形物の強度も低く実用に供し得ないものであった。
本発明は、剛性が高くしかも高伸長であって生分解性も優れている、生分解性の射出成形物を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記化学式で表されるポリオキサレートから得られる射出成形物が、引張弾性率、引張破壊伸び、生分解性の点で実用に適した優れた特性を有していることを見出して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(1)下記化学式で表されるポリオキサレートから得られる、引張弾性率が1GPa以上であって引張破壊伸びが100%以上である、生分解性射出成形物に関する(式中、Rは、分岐構造或いは脂環式構造を含んでいてもよい、主鎖の炭素数が3〜12であるアルキレン基を表し、nは重合度を表す正の整数である。)。なお、ここで、引張弾性率と引張破壊伸びは「ASTM D638」に従ってそれぞれ測定される。
また、本発明の好ましい態様としては、(2)引張弾性率が1.5GPa以上で5GPa以下であって、引張破壊伸びが140%より大きく300%以下である前記(1)の生分解性射出成形物、(3)ポリオキサレートの数平均分子量が20000〜100000である前記(1)又は(2)の生分解性射出成形物、(4)ポリオキサレートの数平均分子量が20000〜70000である前記(1)又は(2)の生分解性射出成形物、(5)ポリオキサレートがポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートである前記(1)〜(4)のいずれかの生分解性射出成形物が挙げられる。更に、本発明は、前記化学式で表されるポリオキサレートを射出成形することを特徴とする生分解性射出成形物の製造法にも関する。
本発明により、剛性が高くしかも高伸長であって生分解性も優れている、生分解性の射出成形物を提供することができる。その結果、剛性が高くしかも高伸長で生分解性も優れているプラスチック射出成形品を得ることができるようになり、該成形品を広範な用途に使用することが可能になる。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の生分解性射出成形物は、前記化学式で表されるポリオキサレートから得られるものであって、特定の引張弾性率及び引張破壊伸びを有する、即ち、引張弾性率が1GPa以上、好ましくは1.5GPa以上5GPa以下、更に好ましくは1.5GPa以上で4GPa以下であって、引張破壊伸びが100%以上、好ましくは140%より大きく300%以下、更に好ましくは140%より大きく250%以下である生分解性射出成形物である。この射出成形物の引張弾性率が1GPaより小さいと射出成形物の剛性が低くなり、また、引張破壊伸びが100%より小さいと射出成形物の耐衝撃性が低くなって、実用性に欠けるので好ましくない。なお、引張弾性率と引張破壊伸びは「ASTM D638」に従って測定される。
本発明の生分解性射出成形物は、前記化学式で表されるポリオキサレートから得られるものであって、特定の引張弾性率及び引張破壊伸びを有する、即ち、引張弾性率が1GPa以上、好ましくは1.5GPa以上5GPa以下、更に好ましくは1.5GPa以上で4GPa以下であって、引張破壊伸びが100%以上、好ましくは140%より大きく300%以下、更に好ましくは140%より大きく250%以下である生分解性射出成形物である。この射出成形物の引張弾性率が1GPaより小さいと射出成形物の剛性が低くなり、また、引張破壊伸びが100%より小さいと射出成形物の耐衝撃性が低くなって、実用性に欠けるので好ましくない。なお、引張弾性率と引張破壊伸びは「ASTM D638」に従って測定される。
本発明の生分解性射出成形物に用いるポリオキサレートは前記化学式で表すことができる。その分子量は特に制限されないが、射出成形物の強度や射出成形性を考慮すれば、数平均分子量(Mn)は20000〜100000、更には20000〜70000、特に25000〜70000であることが好ましい。前記化学式の「n」によって表される重合度が、数平均分子量が20000未満になるような低い値であると、射出成形物の強度が低くなる。また、「n」が大きすぎると、ポリオキサレートの射出成形性が低下すると共にポリオキサレート及び射出成形物の生分解性が悪くなる。なお、ポリオキサレートの重量平均分子量(Mw)は30000〜200000の範囲であることが好ましく、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)で規定される分子量分布は1〜5が好ましい。
ポリオキサレートの脂肪族ジオールユニットは、前記化学式のアルキレン基Rにより規定される。アルキレン基Rの炭素鎖が短かすぎると、ポリオキサレートが硬くて脆いものとなる。アルキレン基Rの炭素鎖が長すぎると、ポリオキサレートが疎水的になり生分解性が低下して好ましくない。従って、前記化学式のアルキレン基Rは主鎖の炭素数が3〜12であるものが好適である。なお、アルキレン基Rは主鎖の炭素数が偶数でも奇数でもよく、直鎖構造に限らず、分岐構造或いは脂環式構造を含んでいても差し支えない。
前記脂肪族ジオールユニット源としては、アルキレン基Rの主鎖の炭素数が3〜12である脂肪族ジオールが単独又は複数で使用される。このような脂肪族ジオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、trans(又はcis)−1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1、3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
脂肪族ジオールユニットの構造は、ポリオキサレートの融点や結晶化速度などへ著しく影響を及ぼすため、射出成形条件或いは射出成形物の使用温度に応じた適切な脂肪族ジオールを選択することになる。本発明では、脂肪族ジオールの中で1,4−シクロヘキサンジメタノールが最も好適である。
前記脂肪族ジオールには、必要に応じて、射出成形物の機械的特性を改良する目的で、多価アルコール化合物(前記脂肪族ジオールを除く)を一部含有させてもよい。このような多価アルコール化合物としては、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール等が挙げられる。但し、多価アルコール化合物の含有割合は脂肪族ジオールの30モル%以下、更には10モル%以下であることが好ましい。多価アルコール化合物が多すぎると、重合時或いは射出成形時にゲル化を招く恐れがあって好ましくない。
更に、前記脂肪族ジオールには、ポリオキサレートの耐熱性を上げるなどの所望に応じて、芳香族ジオールを一部含有させてもよい。このような芳香族ジオールとしては、ビスフェノールA、p−キシリレングリコール、ハイドロキノンなどが挙げられる。但し、芳香族ジオールの含有割合は脂肪族ジオールの50モル%未満である。芳香族ジオールが多すぎると、ポリオキサレート及び射出成形物の生分解性が悪くなる恐れがあって好ましくない。
本発明で用いるポリオキサレートのシュウ酸源としては、シュウ酸ジアルキル(シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジブチル等)、シュウ酸ジアリール(シュウ酸ジフェニル、シュウ酸ジp−トリル等)、シュウ酸等が挙げられるが、その中では、シュウ酸ジアルキル、シュウ酸ジアリールが好ましい。
更に、シュウ酸源には、ポリオキサレートの耐熱性を上げるなどの所望に応じて、テレフタル酸ジメチル等の芳香族ジカルボン酸ジエステルや炭酸ジフェニル等の炭酸エステルを一部含有させてもよい。但し、これらのエステルの使用割合はシュウ酸源の50モル%未満であり、多すぎるとポリオキサレート及び射出成形物の生分解性が悪くなる恐れがあって好ましくない。
本発明で用いるポリオキサレートは、一般的によく知られている重縮合反応(好ましくは溶融重合)によりシュウ酸源と脂肪族ジオールから製造される。例えば、前記シュウ酸源と脂肪族ジオールを触媒と共に反応器に充填して適切な重合条件下で重縮合することにより製造することができる。触媒としては、P、Ti、Ge、Zn、Fe、Sn、Mn、Co、Zr、V、Ir、La、Ce、Li、Ca、Hfなどの化合物が好ましい。特に、有機チタン化合物、有機スズ化合物が好ましく、例えば、チタンアルコキシド(チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド等)、ジスタノキサン化合物(1−ヒドロキシ−3−イソチオシアネート−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサン等)、酢酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレートなどが高活性で好適である。なお、重縮合反応においては、熱劣化防止のため、必要であれば耐熱剤を添加しておいてもよい。
前記重縮合反応において、シュウ酸源としてシュウ酸ジアルキルを用いる場合は、ポリオキサレートを高分子量化するため、シュウ酸ジアルキルを脂肪族ジオールに対して過剰に使用して、原料中の水分濃度(重量基準)を2000ppm未満に制御することが必要である。即ち、シュウ酸ジアルキルと脂肪族ジオールの使用割合(仕込みモル比)は、OXをシュウ酸ジアルキルのモル数、OLを脂肪族ジオールのモル数とすれば、0.5≦OL/OX<1の範囲であるが、中でも0.6≦OL/OX<1、更には0.7≦OL/OX<1、特に0.8≦OL/OX<1の範囲であることが好ましい。そして、反応原料中の水分濃度は2000ppm未満、好ましくは10〜2000ppmに制御される。
一方、シュウ酸源としてシュウ酸ジアリールを用いる場合は、脂肪族ジオールをシュウ酸ジアリールに対して0.95〜1.05倍モル使用することが好ましく、反応原料中の水分濃度(重量基準)を1000ppm未満に制御することが必要である。なお、反応原料には、シュウ酸ジアルキル又はシュウ酸ジアリールと脂肪族ジオール以外に触媒が含まれ、シュウ酸ジアルキル、シュウ酸ジアリールにはそれに含有させてもよいもの(芳香族カルボン酸エステル、炭酸エステル)、脂肪族ジオールにはそれに含有させてもよいもの(多価アルコール化合物、芳香族ジオール)も含まれる。
本発明の生分解性射出成形物には、上記ポリオキサレートの他に、必要に応じて他の成分(添加剤、他の重合体等)を単独又は複数で配合することもできる。配合できる添加剤としては、例えば、加水分解抑制剤、結晶核剤、顔料、染料、耐熱剤、着色防止剤、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、発泡剤、安定剤、充填剤(タルク、クレイ、モンモリロナイト、マイカ、ゼオライト、ゾノトライト、炭酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ粉末、アルミナ粉末、酸化チタン粉末等)、強化材(ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、セルロース繊維等)、難燃剤、可塑剤、防水剤(ワックス、シリコンオイル、高級アルコール、ラノリン等)などが挙げられ、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
また、他の重合体としては、天然又は合成の高分子が挙げられる。天然高分子としては、例えば、澱粉、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、キトサン、アルギン酸、天然ゴムなどが挙げることができ、合成高分子としては、例えば、ポリカプロラクトン又はその共重合体、ポリグリコール酸、ポリコハク酸エステル、コハク酸/アジピン酸コポリエステル、コハク酸/テレフタル酸コポリエステル、ポリ(3−ヒドロキシブタン酸)、(3−ヒドロキシブタン酸/4−ヒドロキシブタン酸)コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリグルタミン酸エステル、ポリエステルゴム、ポリアミドゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水添SBS等のゴム又はエラストマーなどを挙げることができる。
本発明の生分解性射出成形物は公知の射出成形法によって種々の射出成形物にすることが可能である。成形条件に関しては特別な制限はなく、シリンダー温度、保圧、保圧時間、冷却時間、金型温度等適宜選択することができる。このようにして得られる射出成形物は、実施例に具体的に示すように、引張弾性率が1GPa以上、引張破壊伸びが100%以上であって、生分解性の優れたものである。
本発明の生分解性射出成形物は、公知の広範な用途に用いられる。各種射出成形物としては、電気・電子部品、コンピューター・情報機器部品、自動車部材をはじめ事務用品、スポーツ・レジャー用品、医療器具、食品関係資材、日用雑貨関係資材、農業・園芸関係資材等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。但し、ポリオキサレートの物性測定、射出成形及び射出成形物の物性評価は次のように行った。
1.ポリオキサレートの分子量測定:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて数平均分子量(Mn)を測定した。測定条件は以下の通りである。
・使用機種:東ソー製HLC−8020
・カラム:Shodex K−80M(2本;昭和電工製)
・溶媒:クロロホルム
・試料濃度:0.3mg/ml
・カラム温度:38℃
・標準試料:ポリスチレン
・使用機種:東ソー製HLC−8020
・カラム:Shodex K−80M(2本;昭和電工製)
・溶媒:クロロホルム
・試料濃度:0.3mg/ml
・カラム温度:38℃
・標準試料:ポリスチレン
2.ポリオキサレートの融点:融点は、示差走査熱量測定(DSC)における第2昇温過程の吸熱ピーク温度とした。測定条件は以下の通りである。
・使用機種:パーキンエルマー製DSC−7
・第1昇温過程:−100℃〜融点以上(試料により設定)、昇温速度10℃/分、保持5分
・第一降温過程:融点以上(試料により設定)〜−100℃、降温速度−10℃/分、保持5分
・第二昇温過程:−100℃から融点以上(試料により設定)、昇温速度10℃/分
・使用機種:パーキンエルマー製DSC−7
・第1昇温過程:−100℃〜融点以上(試料により設定)、昇温速度10℃/分、保持5分
・第一降温過程:融点以上(試料により設定)〜−100℃、降温速度−10℃/分、保持5分
・第二昇温過程:−100℃から融点以上(試料により設定)、昇温速度10℃/分
3.ポリオキサレートの射出成形
インラインスクリュー式射出成形機(ファナック製;型締力300kN)を用いて物性測定用試験片を作製した。主な成形条件は次の通りである(但し、括弧内は比較用ポリ乳酸の場合を示す)。
・シリンダー温度:190〜200℃(180〜200℃)
・保圧:20MPa(85MPa)
・保圧時間:30秒(15秒)
・金型温度:35℃(35℃)
・冷却時間:60秒(30秒)
インラインスクリュー式射出成形機(ファナック製;型締力300kN)を用いて物性測定用試験片を作製した。主な成形条件は次の通りである(但し、括弧内は比較用ポリ乳酸の場合を示す)。
・シリンダー温度:190〜200℃(180〜200℃)
・保圧:20MPa(85MPa)
・保圧時間:30秒(15秒)
・金型温度:35℃(35℃)
・冷却時間:60秒(30秒)
4.射出成形物の引張特性:「ASTM D638」に従って引張弾性率及び引張破壊伸びを測定した。試験条件は以下の通りである。
・使用機種:オリエンテック製テンシロン
・使用試料:ASTM 1号引張試験片
・引張速度:50mm/分
・測定温度:23℃
・測定湿度:50%RH
・使用機種:オリエンテック製テンシロン
・使用試料:ASTM 1号引張試験片
・引張速度:50mm/分
・測定温度:23℃
・測定湿度:50%RH
5.射出成形物の衝撃強度:「ASTM D256」に従ってノッチ付アイゾット衝撃強度を測定した。試験条件は以下の通りである。
・使用機種:東洋精機製アイゾット衝撃試験機
・試験片厚み:3mm
・測定温度:23℃
・測定湿度:50%RH
・使用機種:東洋精機製アイゾット衝撃試験機
・試験片厚み:3mm
・測定温度:23℃
・測定湿度:50%RH
6.射出成形物の折り曲げ試験:上記4と同様の引張試験片を、23℃、50%RHの条件下において手で折り曲げてその様子を目視観察した。
7.射出成形物の生分解性:100mm×100mm×0.5mm(厚み)の射出成形薄板から10mm×10mmの試験片を切り出して一枚づつポリエチレン製ネットに入れ、発酵容器に入れた模擬コンポスト中にネットごと埋設した。そして、このコンポストを好気的条件下に(水飽和空気を流通させながら)40℃で8週間保持して、試験片の外観変化と重量残存率を測定した。計算は以下の式によった。
重量残存率(%)=W/W0×100
(Wは埋設処理後の小片重量(mg)、W0は埋設処理前の小片重量(mg)を表す。)
重量残存率(%)=W/W0×100
(Wは埋設処理後の小片重量(mg)、W0は埋設処理前の小片重量(mg)を表す。)
〔実施例1〕
撹拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、及び重合物取出し口を備えた内容積5L(リットル)の圧力容器に、シュウ酸ジフェニル2180.07g(9.0mol)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(trans/cis(重量比)=7/3)1295.87g(8.986mol)、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート188.1mg(シュウ酸ジフェニルの0.01mol%)を仕込んで(反応原料中の水分濃度は850ppmであった)、容器内を窒素で置換した後、以下のように重縮合反応(前重縮合工程と後重縮合工程)を行った。
撹拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、及び重合物取出し口を備えた内容積5L(リットル)の圧力容器に、シュウ酸ジフェニル2180.07g(9.0mol)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(trans/cis(重量比)=7/3)1295.87g(8.986mol)、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート188.1mg(シュウ酸ジフェニルの0.01mol%)を仕込んで(反応原料中の水分濃度は850ppmであった)、容器内を窒素で置換した後、以下のように重縮合反応(前重縮合工程と後重縮合工程)を行った。
(I)前重縮合工程:前記圧力容器内の温度を室温から190℃まで2時間かけて昇温して内容物が溶融した後、撹拌を開始して3.5時間反応を行った。昇温及び反応中は窒素導入(200ml/分)を行った。
(II)後重縮合工程:容器内を190℃に保ったままで減圧を開始して、フェノールを留出させながら約2時間で100mmHg(13.3kPa)に減圧した。次いで、温度を210℃へ上げると共に真空度を徐々に上げながら2時間反応させて、窒素導入を停止した。最終到達圧力は0.5mmHg(66.5Pa)であった。その後、撹拌を停止し、重合物取出し口から溶融状態の内容物をひも状で抜き出して、水冷してペレット化した。得られたポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートは、Mnが29200で、融点は174℃であった。このポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートを射出成形して射出成形物の物性を評価した。結果を表1に示す。
(II)後重縮合工程:容器内を190℃に保ったままで減圧を開始して、フェノールを留出させながら約2時間で100mmHg(13.3kPa)に減圧した。次いで、温度を210℃へ上げると共に真空度を徐々に上げながら2時間反応させて、窒素導入を停止した。最終到達圧力は0.5mmHg(66.5Pa)であった。その後、撹拌を停止し、重合物取出し口から溶融状態の内容物をひも状で抜き出して、水冷してペレット化した。得られたポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートは、Mnが29200で、融点は174℃であった。このポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートを射出成形して射出成形物の物性を評価した。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
ポリ乳酸(レイシアH−100PL(三井化学製)、Mn:90000、融点:167℃)を射出成形して射出成形物の物性を評価した。結果を表1に示す。
ポリ乳酸(レイシアH−100PL(三井化学製)、Mn:90000、融点:167℃)を射出成形して射出成形物の物性を評価した。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
撹拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、及び重合物取出し口を備えた内容積5Lの圧力容器に、シュウ酸ジメチル2025.0g(17.148mol)、シクロヘキサンジメタノール2312.0g(16.032mol)、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート3.6g(シュウ酸ジメチルの0.100mol%)及び耐熱剤イルガフォス168(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)21.6g(原料の5000ppm)を仕込んで、内部を窒素で置換した。次いで、以下のように重縮合反応を行った。なお、シュウ酸ジメチル中の水分濃度は478ppm、シクロヘキサンジメタノール中の水分濃度は200ppmであった。
撹拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、及び重合物取出し口を備えた内容積5Lの圧力容器に、シュウ酸ジメチル2025.0g(17.148mol)、シクロヘキサンジメタノール2312.0g(16.032mol)、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート3.6g(シュウ酸ジメチルの0.100mol%)及び耐熱剤イルガフォス168(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)21.6g(原料の5000ppm)を仕込んで、内部を窒素で置換した。次いで、以下のように重縮合反応を行った。なお、シュウ酸ジメチル中の水分濃度は478ppm、シクロヘキサンジメタノール中の水分濃度は200ppmであった。
(I)前重縮合工程:前記圧力容器内の温度を室温から100℃まで1.25時間かけて昇温した。均一の溶融液になったことを確認した後、150℃まで2時間かけて昇温しながら反応させた。この昇温の過程におけるメタノールの留出量は394.5gであった。次いで、190℃まで2時間かけて昇温しながら更に反応させた。トータルのメタノール留出量は434.5gであった。
(II)後重縮合工程:圧力容器内の温度を190℃に保ったままで減圧を開始して、0.75時間で300mmHg(39.9kPa)に減圧し、更に1時間で100mmHg(13.3kPa)にまで減圧して反応させた。この間のトータルのメタノール留出量は484.5gであった。次いで、圧力容器内の温度を207℃へ1.5時間かけて上げると共に、圧力を徐々に下げながら1.25時間後に5mmHg(665Pa)まで低下させ、更に4時間後に0.8mmHg(106Pa)まで到達させて反応を行った。その後、撹拌を停止し、重合物取出し口から溶融状態の内容物をひも状で抜き出して水冷し、ペレット化した。得られたポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレート(2430g)は、Mn:35100、融点:174℃であった。
次いで、二軸押出機を使用し、190℃において、このペレットに、加水分解抑制剤カルボジライトLA−1(日清紡製)を1重量%、同HMV−8CA(日清紡製)を0.1重量%、耐熱剤イルガフォス168を0.32重量%、酸化防止剤イルガノックス1010(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を0.25重量%配合した。配合割合はいずれもペレットに対する割合である。このポリオキサレート樹脂ペレットを射出成形して、射出成形物の物性を評価した。その結果、引張弾性率は1.5GPa、引張破壊伸びは100%であった。但し、射出成形条件は次のように変更した。
・シリンダー温度:180℃
・保圧:65MPa
・保圧時間:15秒
・金型温度:20℃
・冷却時間:20秒
・保圧:65MPa
・保圧時間:15秒
・金型温度:20℃
・冷却時間:20秒
〔実施例3〕
ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート使用量を1.8g(シュウ酸ジメチルの0.050mol%)に変えた以外は、実施例2と同様に重縮合反応を行った。得られたポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレート(2120g)は、Mn:26700であった。次いで、実施例2と同様にして、射出成形物の物性を評価した。その結果、引張弾性率は1.6GPa、引張破壊伸びは180%であった。
ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート使用量を1.8g(シュウ酸ジメチルの0.050mol%)に変えた以外は、実施例2と同様に重縮合反応を行った。得られたポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレート(2120g)は、Mn:26700であった。次いで、実施例2と同様にして、射出成形物の物性を評価した。その結果、引張弾性率は1.6GPa、引張破壊伸びは180%であった。
本発明の生分解性射出成形物は、生分解性プラスチック射出成形品として広範な用途に用いることができる。
Claims (6)
- 引張弾性率が1.5GPa以上で5GPa以下であって、引張破壊伸びが140%より大きく300%以下である、請求項1記載の生分解性射出成形物。
- ポリオキサレートの数平均分子量が20000〜100000である、請求項1又は2記載の生分解性射出成形物。
- ポリオキサレートの数平均分子量が20000〜70000である、請求項1又は2記載の生分解性射出成形物。
- ポリオキサレートがポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートである請求項1〜4のいずれか記載の生分解性射出成形物。
- 前記化学式で表されるポリオキサレートを射出成形することを特徴とする生分解性射出成形物の製造法。
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JP2005120359A (ja) * | 2003-09-25 | 2005-05-12 | Ube Ind Ltd | 高分子量ポリオキサレート樹脂及びその製造方法 |
WO2018235600A1 (ja) * | 2017-06-20 | 2018-12-27 | 東洋製罐グループホールディングス株式会社 | ポリマー組成物 |
-
2004
- 2004-09-03 JP JP2004256564A patent/JP2005097606A/ja active Pending
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