JP2006199806A - 結晶性ポリオキサレート成形品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、高伸度で耐衝撃性にも優れていて、弾性率、耐熱性、耐加水分解性が改良されたポリオキサレート成形品及びその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、(1)示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定される融解熱ΔHm(J/g)が15≦ΔHm≦40の範囲内にあることを特徴とする結晶性ポリオキサレート成形品、(2)ポリオキサレート成形品をTg<T<Tm(但し、Tg及びTmはガラス転移温度及び融点をそれぞれ表す。)を満たす温度Tで熱処理して結晶化させることを特徴とする、前記結晶性ポリオキサレート成形品の製造方法、(3)ポリオキサレートを前記温度Tで成形すると同時に熱処理して結晶化させることを特徴とする、前記の結晶性ポリオキサレート成形品の製造方法により解決される。
【選択図】 なし
【解決手段】 本発明は、(1)示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定される融解熱ΔHm(J/g)が15≦ΔHm≦40の範囲内にあることを特徴とする結晶性ポリオキサレート成形品、(2)ポリオキサレート成形品をTg<T<Tm(但し、Tg及びTmはガラス転移温度及び融点をそれぞれ表す。)を満たす温度Tで熱処理して結晶化させることを特徴とする、前記結晶性ポリオキサレート成形品の製造方法、(3)ポリオキサレートを前記温度Tで成形すると同時に熱処理して結晶化させることを特徴とする、前記の結晶性ポリオキサレート成形品の製造方法により解決される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、結晶性ポリオキサレート成形品及びその製造方法に関する。
高分子量のポリオキサレートから得られる成形品(特許文献1)は高伸度で耐衝撃性にも優れているが、弾性率、耐熱性、耐加水分解性が充分に高くなく、プラスチックとして実用性にやや劣るものであった。これを補うため、同文献において、弾性率や耐熱性を向上させる目的で充填剤や強化材を配合することも開示されているが、伸びや耐衝撃性を低下させてしまうために好ましい解決策ではなかった。
一方、耐加水分解性を改善するためには、脂肪族ポリエステルに耐加水分解抑制剤を添加することが知られていて、例えば、カルボジイミド基含有樹脂が脂肪族ポリエステルに配合されている(特許文献2)。しかし、この方法では弾性率や耐熱性の向上が期待できないという問題があった。
本発明は、高分子量のポリオキサレート成形品が本来有する高い伸びや耐衝撃性が著しく損なわれずに、その主要な欠点が改良されたポリオキサレート成形品及びその製造方法を提供することを課題とする。即ち、高伸度で耐衝撃性にも優れていて、弾性率、耐熱性、耐加水分解性が改良されたポリオキサレート成形品及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究した結果、従来のポリオキサレート成形品では結晶性が低くポリオキサレート成形品の結晶性を高めることにより前記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の発明により解決される。
(1)示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定される融解熱ΔHm(J/g)が15≦ΔHm≦40の範囲内にあることを特徴とする結晶性ポリオキサレート成形品。
(2)ポリオキサレート成形品をTg<T<Tm(但し、Tg及びTmはガラス転移温度及び融点をそれぞれ表す。)を満たす温度Tで熱処理して結晶化させることを特徴とする、前記1の結晶性ポリオキサレート成形品の製造方法。
(3)ポリオキサレートをTg<T<Tm(但し、Tg及びTmは前記と同様である。)を満たす温度Tで成形すると同時に熱処理して結晶化させることを特徴とする、前記1の結晶性ポリオキサレート成形品の製造方法。
(1)示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定される融解熱ΔHm(J/g)が15≦ΔHm≦40の範囲内にあることを特徴とする結晶性ポリオキサレート成形品。
(2)ポリオキサレート成形品をTg<T<Tm(但し、Tg及びTmはガラス転移温度及び融点をそれぞれ表す。)を満たす温度Tで熱処理して結晶化させることを特徴とする、前記1の結晶性ポリオキサレート成形品の製造方法。
(3)ポリオキサレートをTg<T<Tm(但し、Tg及びTmは前記と同様である。)を満たす温度Tで成形すると同時に熱処理して結晶化させることを特徴とする、前記1の結晶性ポリオキサレート成形品の製造方法。
本発明により、高分子量のポリオキサレート成形品が本来有する高い伸びや耐衝撃性が著しく損なわれずに、その主要な欠点が改良されたポリオキサレート成形品及びその製造方法を提供することができる。即ち、後述の実施例からも明らかなように、本発明の結晶性ポリオキサレート成形品は、特定範囲の結晶性を有するため、高い伸びや耐衝撃性が著しく損われることなく、弾性率、耐熱性、耐加水分解性が改良されたものである。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の結晶性ポリオキサレート成形品は、示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定される融解熱ΔHm(J/g)が15≦ΔHm≦40の範囲内にあるものである。ΔHm<15である場合はポリオキサレート成形品の結晶性が低く、本発明の効果が得られない。また、ΔHm>40であるとポリオキサレート成形品の結晶性が高すぎて伸びや耐衝撃性が大きく低下してしまうので好ましくない。
本発明の結晶性ポリオキサレート成形品は、示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定される融解熱ΔHm(J/g)が15≦ΔHm≦40の範囲内にあるものである。ΔHm<15である場合はポリオキサレート成形品の結晶性が低く、本発明の効果が得られない。また、ΔHm>40であるとポリオキサレート成形品の結晶性が高すぎて伸びや耐衝撃性が大きく低下してしまうので好ましくない。
本発明で使用するポリオキサレートは下記化学式で表すことができる。その分子量は特に制限されないが、成形品の強度や成形性を考慮すれば、数平均分子量(Mn)は20000〜100000、更には20000〜70000、特に25000〜70000であることが好ましい。下記化学式の「n」によって表される重合度が、数平均分子量が20000未満になるような低い値であると、成形品の強度が低くなる。また、「n」が大きすぎると、ポリオキサレートの成形性が低下する。なお、ポリオキサレートの重量平均分子量(Mw)は30000〜200000の範囲であることが好ましく、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)で規定される分子量分布は1〜5が好ましい。
ポリオキサレートの脂肪族ジオールユニットは、前記化学式のアルキレン基Rにより規定される。アルキレン基Rの炭素鎖が短かすぎると、ポリオキサレートが硬くて脆いものとなる。アルキレン基Rの炭素鎖が長すぎると、ポリオキサレートが疎水的になり生分解性が低下して好ましくない。従って、前記化学式のアルキレン基Rは主鎖の炭素数が3〜12であるものが好適である。なお、アルキレン基Rは主鎖の炭素数が偶数でも奇数でもよく、直鎖構造に限らず、分岐構造或いは脂環式構造を含んでいても差し支えない。
前記脂肪族ジオールユニット源としては、アルキレン基Rの主鎖の炭素数が3〜12である脂肪族ジオールが単独又は複数で使用される。このような脂肪族ジオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、trans(又はcis)−1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1、3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。
脂肪族ジオールユニットの構造は、ポリオキサレートの融点や結晶化速度などへ著しく影響を及ぼすため、成形条件或いは成形品の使用温度に応じた適切な脂肪族ジオールを選択することになる。本発明では、脂肪族ジオールの中で1,4−シクロヘキサンジメタノールが最も好適である。
前記脂肪族ジオールには、必要に応じて、成形品の機械的特性を改良する目的で、多価アルコール化合物(前記脂肪族ジオールを除く)を一部含有させてもよい。このような多価アルコール化合物としては、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール等が挙げられる。但し、多価アルコール化合物の含有割合は脂肪族ジオールの30モル%以下、更には10モル%以下であることが好ましい。多価アルコール化合物が多すぎると、重合時或いは成形時にゲル化を招く恐れがあって好ましくない。
更に、前記脂肪族ジオールには、ポリオキサレートの耐熱性を上げるなどの所望に応じて芳香族ジオールを一部含有させてもよい。このような芳香族ジオールとしては、ビスフェノールA、p−キシリレングリコール、ハイドロキノンなどが挙げられる。但し、芳香族ジオールの含有割合は脂肪族ジオールの50モル%未満である。
本発明で使用するポリオキサレートのシュウ酸源としては、シュウ酸ジアルキル(シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジブチル等)、シュウ酸ジアリール(シュウ酸ジフェニル、シュウ酸ジp−トリル等)、シュウ酸等が挙げられるが、その中では、シュウ酸ジアルキル、シュウ酸ジアリールが好ましい。
更に、シュウ酸源には、ポリオキサレートの耐熱性を上げるなどの所望に応じて、テレフタル酸ジメチル等の芳香族ジカルボン酸ジエステルや炭酸ジフェニル等の炭酸エステルを一部含有させてもよい。但し、これらのエステルの使用割合はシュウ酸源の50モル%未満である。
本発明で使用するポリオキサレートは、一般的によく知られている重縮合反応(好ましくは溶融重合)によりシュウ酸源と脂肪族ジオールから製造される。例えば、前記シュウ酸源と脂肪族ジオールを触媒と共に反応器に充填して適切な重合条件下で重縮合することにより製造することができる。触媒としては、P、Ti、Ge、Zn、Fe、Sn、Mn、Co、Zr、V、Ir、La、Ce、Li、Ca、Hfなどの化合物が好ましい。特に、有機チタン化合物、有機スズ化合物が好ましく、例えば、チタンアルコキシド(チタンテトラブトキシド、チタンテトライソプロポキシド等)、ジスタノキサン化合物(1−ヒドロキシ−3−イソチオシアネート−1,1,3,3−テトラブチルジスタノキサン等)、酢酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレートなどが高活性で好適である。なお、重縮合反応においては、熱劣化防止のため、必要であれば耐熱剤を添加しておいてもよい。また、反応終了後にリン酸エステル化合物(リン酸エステル等)のような触媒失活剤を添加することもできる。
前記重縮合反応において、シュウ酸源としてシュウ酸ジアルキルを用いる場合は、ポリオキサレートを高分子量化するため、シュウ酸ジアルキルを脂肪族ジオールに対して過剰に使用して、原料中の水分濃度(重量基準)を2000ppm未満に制御することが必要である。即ち、シュウ酸ジアルキルと脂肪族ジオールの使用割合(仕込みモル比)は、OXをシュウ酸ジアルキルのモル数、OLを脂肪族ジオールのモル数とすれば、0.5≦OL/OX<1の範囲であるが、中でも0.6≦OL/OX<1、更には0.7≦OL/OX<1、特に0.8≦OL/OX<1の範囲であることが好ましい。そして、反応原料中の水分濃度は2000ppm未満、好ましくは10〜2000ppmに制御される。
一方、シュウ酸源としてシュウ酸ジアリールを用いる場合は、脂肪族ジオールをシュウ酸ジアリールに対して0.95〜1.05倍モル使用することが好ましく、反応原料中の水分濃度(重量基準)を1000ppm未満に制御することが必要である。なお、反応原料には、シュウ酸ジアルキル又はシュウ酸ジアリールと脂肪族ジオール以外に触媒が含まれ、シュウ酸ジアルキル、シュウ酸ジアリールにはそれに含有させてもよいもの(芳香族カルボン酸エステル、炭酸エステル)、脂肪族ジオールにはそれに含有させてもよいもの(多価アルコール化合物、芳香族ジオール)も含まれる。
本発明の結晶性ポリオキサレート成形品は、ポリオキサレートを、押出成形、射出成形、プレス成形、中空成形、熱成形等の公知の成形法で種々の成形品(未熱処理成形品)にしてこの成形品をTg<T<Tm、好ましくはTg+20<T<Tm−30、更に好ましくはTg+30<T<Tm−50(但し、Tg及びTmはガラス転移温度及び融点をそれぞれ表す。)を満たす温度Tで熱処理して結晶化させることにより製造される。また、ポリオキサレートをTg<T<Tm、好ましくはTg+20<T<Tm−30、更に好ましくはTg+30<T<Tm−50(但し、Tg及びTmは前記と同様である。)を満たす温度Tで成形品にすると同時に熱処理して結晶化させることによっても製造される。T≦Tgの場合は本発明の効果が得られず、T≧Tmの場合はポリオキサレートが流動するために熱処理が不可能である。このようにして得られる結晶性ポリオキサレート成形品は、実施例に具体的に示すように、引張弾性率が1GPa以上、引張破壊伸びが50%以上であって、耐加水分解性の優れたものである。
成形条件は本発明の結晶性ポリオキサレート成形品が得られる条件であれば特別な制限はなく、成形温度、成形圧力、成形時間、冷却時間等を適宜選択できる。熱処理は、前記のように、ポリオキサレートをTgより低い温度で成形した後に行ってもよく、前記温度で成形すると同時に行ってもよい。成形後に熱処理する場合(いわゆるアニーリング)、その方法としては、例えば、成形品(未熱処理成形品)を前記温度の加熱炉内にセットして処理する方法や、賦型して固化したもの(未熱処理成形品)を前記温度の加熱板や加熱ロール等に接触させる方法などがある。また、成形と同時に熱処理する場合、その方法としては、前記温度の金型に溶融樹脂を流し込んで処理する方法や、前記温度のロール表面に溶融樹脂を接触させる方法などがある。なお、熱処理時間は、本発明の結晶性ポリオキサレート成形品(示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定される融解熱ΔHm(J/g)が15≦ΔHm≦40の範囲内にある)が得られるように、成形品により適宜設定される。
本発明の結晶性ポリオキサレート成形品には、ポリオキサレートの他に、必要に応じて他の成分(添加剤、他の重合体等)を単独又は複数で配合することもできる。配合できる添加剤としては、例えば、加水分解抑制剤、結晶核剤、顔料、染料、耐熱剤、着色防止剤、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、発泡剤、安定剤、充填剤(タルク、クレイ、モンモリロナイト、マイカ、ゼオライト、ゾノトライト、炭酸カルシウム、カーボンブラック、シリカ粉末、アルミナ粉末、酸化チタン粉末等)、強化材(ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、セルロース繊維等)、難燃剤、可塑剤、防水剤(ワックス、シリコンオイル、高級アルコール、ラノリン等)などが挙げられ、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
また、他の重合体としては、天然又は合成の高分子が挙げられる。天然高分子としては、例えば、澱粉、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、キトサン、アルギン酸、天然ゴムなどが挙げることができ、合成高分子としては、例えば、ポリカプロラクトン又はその共重合体、ポリグリコール酸、ポリコハク酸エステル、コハク酸/アジピン酸コポリエステル、コハク酸/テレフタル酸コポリエステル、ポリ(3−ヒドロキシブタン酸)、(3−ヒドロキシブタン酸/4−ヒドロキシブタン酸)コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリグルタミン酸エステル、ポリエステルゴム、ポリアミドゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水添SBS等のゴム又はエラストマーなどを挙げることができる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。但し、ポリオキサレートの物性測定、成形及び成形品の物性評価は次のように行った。
1.ポリオキサレートの分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下の測定条件で数平均分子量(Mn)を測定した。
・使用機種:東ソー製HLC−8020
・カラム:Shodex K−80M(2本;昭和電工製)
・溶媒:クロロホルム
・試料濃度:0.3mg/ml
・カラム温度:38℃
・標準試料:ポリスチレン
・使用機種:東ソー製HLC−8020
・カラム:Shodex K−80M(2本;昭和電工製)
・溶媒:クロロホルム
・試料濃度:0.3mg/ml
・カラム温度:38℃
・標準試料:ポリスチレン
2.ポリオキサレートのガラス転移点(Tg)及び融点(Tm):以下の測定条件による示差走査熱量測定(DSC)における第2昇温過程から求めた。
・使用機種:パーキンエルマー製DSC−7
・第1昇温過程:−100℃〜融点以上(試料により設定)、昇温速度10℃/分、保持5分
・第一降温過程:融点以上(試料により設定)〜−100℃、降温速度10℃/分、保持5分
・第二昇温過程:−100℃から融点以上(試料により設定)、昇温速度10℃/分
・使用機種:パーキンエルマー製DSC−7
・第1昇温過程:−100℃〜融点以上(試料により設定)、昇温速度10℃/分、保持5分
・第一降温過程:融点以上(試料により設定)〜−100℃、降温速度10℃/分、保持5分
・第二昇温過程:−100℃から融点以上(試料により設定)、昇温速度10℃/分
3.成形品の融解熱(ΔHm)
DSC(Pyris Diamond DSC;パーキンエルマー製)を使用し、成形品をヘリウム中で10℃/分の速度で−100℃からの第1昇温過程から測定した。射出成形品の場合はASTM1号引張試験片(厚み3mm)について測定した。
DSC(Pyris Diamond DSC;パーキンエルマー製)を使用し、成形品をヘリウム中で10℃/分の速度で−100℃からの第1昇温過程から測定した。射出成形品の場合はASTM1号引張試験片(厚み3mm)について測定した。
4.成形品の引張特性
(1)プレスシート
テンシロン(オリエンテック製)を使用し、JIS2号引張試験片について、引張速度100mm/分、23℃、50%RHで測定した。
(2)射出成形品
テンシロン(オリエンテック製)を使用し、ASTM1号引張試験片について、ASTM D638に従い、引張速度50mm/分、23℃、50%RHで測定した。
(1)プレスシート
テンシロン(オリエンテック製)を使用し、JIS2号引張試験片について、引張速度100mm/分、23℃、50%RHで測定した。
(2)射出成形品
テンシロン(オリエンテック製)を使用し、ASTM1号引張試験片について、ASTM D638に従い、引張速度50mm/分、23℃、50%RHで測定した。
5.射出成形品の曲げ特性
テンシロン(オリエンテック製)を使用し、厚み3mmの試験片について、ASTM D790に従い、23℃、50%RHで測定した。
テンシロン(オリエンテック製)を使用し、厚み3mmの試験片について、ASTM D790に従い、23℃、50%RHで測定した。
6.射出成形品のノッチ付アイゾット衝撃強度
アイゾット衝撃試験機(東洋精機製)を使用し、厚み3mmの試験片について、ASTM D256に従い、23℃、50%RHで測定した。
アイゾット衝撃試験機(東洋精機製)を使用し、厚み3mmの試験片について、ASTM D256に従い、23℃、50%RHで測定した。
7.射出成形品の熱変形温度
熱変形試験機(HDT Tester 3M−2;東洋精機製)を使用し、ASTM D648に従って曲げ応力0.46MPaで測定した。
熱変形試験機(HDT Tester 3M−2;東洋精機製)を使用し、ASTM D648に従って曲げ応力0.46MPaで測定した。
8.耐加水分解性
JIS2号引張試験片又はASTM1号引張試験片(厚み3mm)を50℃の温水中に1週間浸漬して、浸漬前と浸漬後の試験片の還元粘度を測定し、浸漬前の値に対する浸漬後の値の割合(%)で評価した。なお、還元粘度は0.5g/dlクロロホルム溶液を使用して25℃で測定した。
JIS2号引張試験片又はASTM1号引張試験片(厚み3mm)を50℃の温水中に1週間浸漬して、浸漬前と浸漬後の試験片の還元粘度を測定し、浸漬前の値に対する浸漬後の値の割合(%)で評価した。なお、還元粘度は0.5g/dlクロロホルム溶液を使用して25℃で測定した。
〔参考例1〕
撹拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、及び重合物取出し口を備えた内容積5L(リットル)の圧力容器に、シュウ酸ジフェニル2180.07g(9.0mol)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(trans/cis(重量比)=7/3)1295.87g(8.986mol)、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート188.1mg(シュウ酸ジフェニルの0.01mol%)を仕込んで(反応原料中の水分濃度は850ppmであった)、容器内を窒素で置換した後、以下のように重縮合反応(前重縮合工程と後重縮合工程)を行った。
撹拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、及び重合物取出し口を備えた内容積5L(リットル)の圧力容器に、シュウ酸ジフェニル2180.07g(9.0mol)、1,4−シクロヘキサンジメタノール(trans/cis(重量比)=7/3)1295.87g(8.986mol)、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート188.1mg(シュウ酸ジフェニルの0.01mol%)を仕込んで(反応原料中の水分濃度は850ppmであった)、容器内を窒素で置換した後、以下のように重縮合反応(前重縮合工程と後重縮合工程)を行った。
(I)前重縮合工程:前記圧力容器内の温度を室温から190℃まで2時間かけて昇温して内容物が溶融した後、撹拌を開始して3.5時間反応を行った。昇温及び反応中は窒素導入(200ml/分)を行った。
(II)後重縮合工程:容器内を190℃に保ったままで減圧を開始して、フェノールを留出させながら約2時間で100mmHg(13.3kPa)に減圧した。次いで、温度を210℃へ上げると共に真空度を徐々に上げながら2時間反応させて、窒素導入を停止した。最終到達圧力は0.5mmHg(66.5Pa)であった。その後、撹拌を停止し、重合物取出し口から溶融状態の内容物をひも状で抜き出して、水冷してペレット化した。得られたポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートは、Mnが29200で、Tgは40℃、Tmは174℃であった。
(II)後重縮合工程:容器内を190℃に保ったままで減圧を開始して、フェノールを留出させながら約2時間で100mmHg(13.3kPa)に減圧した。次いで、温度を210℃へ上げると共に真空度を徐々に上げながら2時間反応させて、窒素導入を停止した。最終到達圧力は0.5mmHg(66.5Pa)であった。その後、撹拌を停止し、重合物取出し口から溶融状態の内容物をひも状で抜き出して、水冷してペレット化した。得られたポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートは、Mnが29200で、Tgは40℃、Tmは174℃であった。
〔参考例2〕
撹拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、及び重合物取出し口を備えた内容積5Lの圧力容器に、シュウ酸ジメチル2025.0g(17.148mol)、シクロヘキサンジメタノール2312.0g(16.032mol)、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート3.6g(シュウ酸ジメチルの0.100mol%)及び耐熱剤イルガフォス168(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)21.6g(原料の5000ppm)を仕込んで、内部を窒素で置換した。次いで、以下のように重縮合反応を行った。なお、シュウ酸ジメチル中の水分濃度は478ppm、シクロヘキサンジメタノール中の水分濃度は200ppmであった。
撹拌機、温度計、圧力計、窒素ガス導入口、放圧口、及び重合物取出し口を備えた内容積5Lの圧力容器に、シュウ酸ジメチル2025.0g(17.148mol)、シクロヘキサンジメタノール2312.0g(16.032mol)、ブチルチンヒドロキシドオキシドヒドレート3.6g(シュウ酸ジメチルの0.100mol%)及び耐熱剤イルガフォス168(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ製)21.6g(原料の5000ppm)を仕込んで、内部を窒素で置換した。次いで、以下のように重縮合反応を行った。なお、シュウ酸ジメチル中の水分濃度は478ppm、シクロヘキサンジメタノール中の水分濃度は200ppmであった。
(I)前重縮合工程:前記圧力容器内の温度を室温から100℃まで1.25時間かけて昇温した。均一の溶融液になったことを確認した後、150℃まで2時間かけて昇温しながら反応させた。この昇温の過程におけるメタノールの留出量は394.5gであった。次いで、190℃まで2時間かけて昇温しながら更に反応させた。メタノールの全留出量は434.5gであった。
(II)後重縮合工程:圧力容器内の温度を190℃に保ったままで減圧を開始して、0.75時間で300mmHg(39.9kPa)に減圧し、更に1時間で100mmHg(13.3kPa)にまで減圧して反応させた。この間のメタノールの全留出量は484.5gであった。次いで、圧力容器内の温度を207℃へ1.5時間かけて上げると共に、圧力を徐々に下げながら1.25時間後に5mmHg(665Pa)まで低下させ、更に4時間後に0.8mmHg(106Pa)まで到達させて反応を行った。その後、撹拌を停止し、重合物取出し口から溶融状態の内容物をひも状で抜き出して水冷し、ペレット化した。得られたポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレート(2430g)は、Mnが35100で、Tgは40℃、Tmは174℃であった。
〔実施例1〕
参考例1で得られたポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートを使用して、以下の条件で熱プレスシート(100mm角、厚み0.4mm)を作製した。次いで、このシートからJIS2号引張試験片を切り出し、80℃の下記熱プレス盤にはさんで1.5分間アニーリングした。得られたシートの融解熱と引張特性及び耐加水分解性を表1に示す。
参考例1で得られたポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートを使用して、以下の条件で熱プレスシート(100mm角、厚み0.4mm)を作製した。次いで、このシートからJIS2号引張試験片を切り出し、80℃の下記熱プレス盤にはさんで1.5分間アニーリングした。得られたシートの融解熱と引張特性及び耐加水分解性を表1に示す。
・プレス:ホットプレス(神藤金属工業製)
・温度:200℃
・予熱:4分
・圧力:2.94MPa
・加圧時間:1分
・冷却条件:上記圧力下で15℃、3分
・温度:200℃
・予熱:4分
・圧力:2.94MPa
・加圧時間:1分
・冷却条件:上記圧力下で15℃、3分
〔比較例1〕
アニーリングを全く行わなかった以外は、実施例1と同様にして行った。得られた結果を表1に示す。得られたシートは透明であり、融解熱測定においても結晶化ピークが観察され、結晶性が低いことを示した。
アニーリングを全く行わなかった以外は、実施例1と同様にして行った。得られた結果を表1に示す。得られたシートは透明であり、融解熱測定においても結晶化ピークが観察され、結晶性が低いことを示した。
〔実施例2〕
参考例2で得られたポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートを使用して、以下の条件で射出成形試験片を作製した。次いで、この試験片を100℃のエアーオーブン中で15分間アニーリングした。得られた成形品の融解熱と引張特性を表2及び3に示す。
参考例2で得られたポリシクロヘキシレンジメチレンオキサレートを使用して、以下の条件で射出成形試験片を作製した。次いで、この試験片を100℃のエアーオーブン中で15分間アニーリングした。得られた成形品の融解熱と引張特性を表2及び3に示す。
・成形機:インラインスクリュー式射出成形機(ファナック製、型締力300kN)
・シリンダー温度:180℃
・保圧:63.7MPa
・保圧時間:15秒
・金型温度:20℃
・金型内保持時間:20秒
・シリンダー温度:180℃
・保圧:63.7MPa
・保圧時間:15秒
・金型温度:20℃
・金型内保持時間:20秒
〔実施例3〕
アニーリング時間を30分間に変えた以外は、実施例2と同様にして行った。得られた結果を表2及び3に示す。
アニーリング時間を30分間に変えた以外は、実施例2と同様にして行った。得られた結果を表2及び3に示す。
〔実施例4〕
金型温度を90℃、金型内保持時間を2分間に変え、アニーリングを全く行わなかった以外は、実施例2と同様にして行った。融解熱、引張特性、曲げ特性、アイゾット衝撃強度、熱変形温度、耐加水分解性の測定結果を表2及び3に示す。
金型温度を90℃、金型内保持時間を2分間に変え、アニーリングを全く行わなかった以外は、実施例2と同様にして行った。融解熱、引張特性、曲げ特性、アイゾット衝撃強度、熱変形温度、耐加水分解性の測定結果を表2及び3に示す。
〔実施例5〕
金型内保持時間を3分間に変えた以外は、実施例4と同様にして行った。得られた結果を表2及び3に示す。
金型内保持時間を3分間に変えた以外は、実施例4と同様にして行った。得られた結果を表2及び3に示す。
〔比較例2〕
アニーリングを全く行わなかった以外は、実施例2と同様にして行った。得られた結果を表2及び3に示す。得られた成形品は透明であり、融解熱測定においても結晶化ピークが観察され、結晶性が低いことを示した。
アニーリングを全く行わなかった以外は、実施例2と同様にして行った。得られた結果を表2及び3に示す。得られた成形品は透明であり、融解熱測定においても結晶化ピークが観察され、結晶性が低いことを示した。
本発明の結晶性ポリオキサレート成形品は、公知の広範な用途、例えば、電気・電子部品、コンピューター・情報機器部品、自動車部材をはじめ事務用品、スポーツ・レジャー用品、医療器具、食品関係資材、日用雑貨関係資材、農業・園芸関係資材等に使用することができる。
Claims (3)
- 示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定される融解熱ΔHm(J/g)が15≦ΔHm≦40の範囲内にあることを特徴とする結晶性ポリオキサレート成形品。
- ポリオキサレート成形品をTg<T<Tm(但し、Tg及びTmはガラス転移温度及び融点をそれぞれ表す。)を満たす温度Tで熱処理して結晶化させることを特徴とする、請求項1記載の結晶性ポリオキサレート成形品の製造方法。
- ポリオキサレートをTg<T<Tm(但し、Tg及びTmは前記と同様である。)を満たす温度Tで成形すると同時に熱処理して結晶化させることを特徴とする、請求項1記載の結晶性ポリオキサレート成形品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005012450A JP2006199806A (ja) | 2005-01-20 | 2005-01-20 | 結晶性ポリオキサレート成形品及びその製造方法 |
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JP2005012450A JP2006199806A (ja) | 2005-01-20 | 2005-01-20 | 結晶性ポリオキサレート成形品及びその製造方法 |
Publications (1)
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JP2006199806A true JP2006199806A (ja) | 2006-08-03 |
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ID=36958099
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JP2005012450A Pending JP2006199806A (ja) | 2005-01-20 | 2005-01-20 | 結晶性ポリオキサレート成形品及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2006199806A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010116482A (ja) * | 2008-11-13 | 2010-05-27 | Toyo Seikan Kaisha Ltd | ポリオキサレート及びそれを含む生分解性樹脂組成物 |
-
2005
- 2005-01-20 JP JP2005012450A patent/JP2006199806A/ja active Pending
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