JP2005096057A - 案内装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波モータを用いた回転、直線駆動の際に生じる粉塵を除去する手段で、超音波モータの駆動に影響するような粉塵の取り除き残しのない案内装置を提供する。
【解決手段】摩擦部材を有する超音波モータ40と、前記摩擦部材が当接して摩擦駆動を行うことにより可動する可動体と、前記摩擦部材よりも前記可動体の可動方向上流側に、前記摩擦部材が当接する領域を含む可動体の領域に接触して粉塵を除去するブレード12a,bを有する粉塵除去機構とからなる案内装置1において、前記粉塵除去機構に、前記可動体にブレードを接触・離間を可能にする駆動部24と、前記駆動部とブレード間に前記ブレードに微少振動を与える微振動部を有した案内装置とする。
【選択図】図1
【解決手段】摩擦部材を有する超音波モータ40と、前記摩擦部材が当接して摩擦駆動を行うことにより可動する可動体と、前記摩擦部材よりも前記可動体の可動方向上流側に、前記摩擦部材が当接する領域を含む可動体の領域に接触して粉塵を除去するブレード12a,bを有する粉塵除去機構とからなる案内装置1において、前記粉塵除去機構に、前記可動体にブレードを接触・離間を可能にする駆動部24と、前記駆動部とブレード間に前記ブレードに微少振動を与える微振動部を有した案内装置とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、超音波モータの摩擦駆動により直線運動や回転運動を行う可動体を駆動させる案内装置に関するものであり、特に摩擦駆動による摩耗粉やダストからなる粉塵を有効に除去することが可能で、精密加工機械、精密測定装置、半導体製造装置に用いられる案内装置として好適なものである。
超音波モータは、最小振幅がナノメートルオーダーと小さく、高分解能の位置決めが可能であり、しかも同サイズの他の電磁モータと比較して駆動力が大きいといった特徴を有するため、これまでカメラのレンズズーム機構や腕時計のバイブレーションアラームなど回転運動系への実用化が行われており、最近では直線運動系への適用もなされている。
図3に超音波モータを可動体の駆動源とする従来の案内装置の一例を示す。この案内装置は、図に示すようにベース盤31上にクロスローラーガイドの如く一対のガイド部材32、32を備え、これらのガイド部材32、32によって可動体としてのステージ33を直線的(図上、左右)に案内するようになっている。
また、ステージ33の一方の側面には、ガイド部材32に対して平行に駆動力伝達部材34が、ステージ33の他方の側面には、前記駆動力伝達部材34と平行にリニアスケール35がそれぞれ設置されており、このリニアスケール35と対向する位置には測定ヘッド36を設けて位置検出手段37を構成するとともに、前記駆動力伝達部材34と対向する位置には一つの超音波モータ40を設置し、超音波モータの摩擦部材45を前記駆動力伝達部材34の当接面に対して垂直に当接させてある。
なお、図中、46は超音波モータ40を収容する筐体、38は位置検出手段37より得られた位置情報を基にステージ33の駆動条件を制御する制御部、39は制御部38から出力された指令信号を基に超音波モータを駆動させるための駆動電圧を出力するドライバーである。
次に超音波モータについて詳説する。図4に図3の案内装置に用いる超音波モータを筺体46内に収容した状態の断面図を示す。超音波モータ40は、圧電セラミック板43の一方の主面に4分割された電極膜42a,42b,42c,42dを有し、対角に位置する電極膜42aと電極膜42dを結線するとともに、対角に位置する電極膜42bと電極膜42cを結線し、かつ他方の主面には、ほぼ全面にアースとなる共通電極膜(不図示)を形成した振動体44と、この振動体44の一方端面に設けたセラミックスやガラスからなる摩擦部材45とからなり、電極膜42b又は電極膜42dに交流電圧を印加することにより、圧電セラミック板43に縦振動と横振動を発生させ、これらの振動の合力によって摩擦部材45を楕円運動させるようになっていた。
また、振動体44は、筺体46内においてその両側面をスプリング47により保持されており、スプリング48の押圧力によって振動体44をステージ33の駆動力伝達部材34に押し付けて予圧を与えるようになっていた。
その為、この超音波モータ40を駆動させると、その摩擦部材45の楕円振動によってステージ33をガイド部材32に沿って駆動させることができ、ステージ33の移動に伴う位置検出手段37からの位置情報と、予め設定してあるステージ33の基準位置情報との偏差を基に制御部38にてPID演算した出力値を指令信号としてドライバー39に出力し、このドライバー39からの駆動電圧により超音波モータ40を駆動させるフィードバック制御を行うことにより、ステージ33を移動、位置決めするようになっていた。
ところが、超音波モータ40の摩擦部材やステージ33の駆動力伝達部材34は互いに摩耗し、その粉塵が駆動力伝達部材34の当接面に付着したり、周囲の雰囲気からのダストが駆動力伝達部材34の当接面に付着したりするため、この粉塵が超音波モータ40の摩擦部材45とステージ33の駆動力伝達部材34との間に噛み込むと接触状態が変化することから、ステージ33の駆動特性を不安定にさせるとともに、超音波モータ40の摩擦部材45やステージ33の駆動力伝達部材34の摩耗が促進され、短期間の使用で超音波モータ51や駆動力伝達部材34を交換しなければならないといった問題があった。
このような問題に対し、特許文献1〜3にブラシ等を可動体に当接させて粉塵をとる手段を具備したモータ、アクチュエータが開示されている。
特開昭59−204480号公報
特開昭61−207186号公報
特開平8−107685号公報
特開平11−18446号公報
ところが、前記特許文献1〜4に示されているような超音波モータを用いた回転、直線駆動の際に生じる粉塵を除去する手段だけでは付着した粉塵を完全に取り除くことが困難なばかりか、仮に粉塵を取り除くことができたとしても微細な粉塵を取り除くものではなかった。
特に、特許文献4に記載のようなブラシ、ローラ、クリーニング布等の手段を用いての粉塵除去においては、微細粉塵でも、ある程度の粉塵が付着すると掻き取り効果がなくなり粉塵の取り除く機能が低下しするという問題があった。
従って、粉塵の取り除く機能の低下を防止すべくブラシ等の可動体との接触圧や接触面積が増加させることも考えられるが、このような接触圧や接触面積が増加すると可動体との摩擦力の増加や駆動トルクに問題が生じ、超音波モータの良好な駆動を妨げる原因ともなる。
また、特許文献4に記載の剥離爪による粉塵除去においては、長時間超音波モータの駆動を行うと、一定の押し付け力で可動体へ接触させていた剥離爪が摩擦力の影響や、剥離爪の摩耗の影響により前記押し付け力が低下してしまい、良好な粉塵除去機能を維持できないという問題があった。
本発明では前記課題に鑑み、摩擦部材を有する超音波モータと、前記摩擦部材が当接して摩擦駆動を行うことにより可動する可動体と、前記摩擦部材よりも前記可動体の可動方向上流側に、前記摩擦部材が当接する領域を含む可動体の領域に接触して粉塵を除去するブレードを有する粉塵除去機構とからなる案内装置において、前記粉塵除去機構に、前記可動体にブレードを接触・離間を可能にする駆動部と、前記駆動部とブレード間に前記ブレードに微少振動を与える微振動部を有したことを特徴とする。
また、前記粉塵除去機構は、前記駆動部及び/又は微振動部により前記ブレードの押し付け力を微調整する押し付け力調整部を有したことを特徴とする。
さらに、前記押し付け力調整部には、前記可動体にブレードを押し付ける力を測定する押し付け力測定部と、該押し付け力測定部で得られた情報と基準となる押し付け力の基準値とを比較して押しつけ力の微調整を行う制御部とを有することを特徴とする。
また、前記微振動部は、100回/秒以上で伸縮する圧電素子を有することを特徴とする。
また、前記ブレードがボイド径0.5μm以下のセラミックスからなり、先端の角度が10°〜30°であることを特徴とする。
また、前記ブレードの押し付け力が0.5〜5Nであることを特徴とする。
本発明の構成によれば、ブレードと可動体間の摩擦力の変化によって、また、超音波モータの摩擦部材と接触する可動体の当接位置の変化等によって可動体へのブレードの押し付け力の変化が生じたとしても、ブレードに微少振動を与える微振動部により、ブレードが振動して可動体に当接するので、常に良好な粉塵除去が可能となり、摩擦部材案内装置の良好な駆動を維持することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、従来例と同一部分については同一符号で示す。
図1に本発明の超音波モータを可動体の駆動源とする案内装置の一例を示しており、(a)がその平面模式図、(b)が(a)のA−A断面図である。
また、図2は図1の本発明の案内装置に備えた粉塵除去用の粉塵除去機構15の拡大図であり、(a)が平面模式図、(b)がX−X断面図である。
図1に示す本発明の一例である案内装置は、ベース盤7上にクロスローラーガイドの如き一対のガイド部材8を備え、これらガイド部材8によって可動体としてのステージ2を直線的に往復運動可能に案内するようになっている。
また、ステージ2はその一方の側面にガイド部材8に対して平行に取り付けた駆動力伝達部材3を、ステ―ジ2の他方の側面には、前記駆動力伝達部材3と平行にリニアスケール4をそれぞれ有しており、そのリニアスケール4と対向する位置には測定ヘッド5を設けて位置検出手段6を構成するとともに、前記駆動力伝達部材3と対向する位置には超音波モータ40を配置し、該超音波モータ40の摩擦部材45を前記駆動力伝達部材3の当接面に対して垂直に当接させてある。
なお、図中、9は位置検出手段6より得られた位置情報を基にステージ2の駆動条件を制御する制御部、10は前記制御部9から出力された信号を基に超音波モータを駆動させるための指令信号を出力するドライバーであり、11は超音波モータ40及び粉塵を除去する本発明の粉塵除去機構15等を収容する粉塵飛散防止用筐体である。
また、図1に示す案内装置には、本発明の粉塵除去機構15に接続されたブレード12を、駆動力伝達部材3と超音波モータ40の摩擦部材45の接触面に接触させ、ブレード12を駆動力伝達部材3に接触・離間させるためのバー13と、このバー13に、ブレード12に押し付け力を付与するための圧電素子14と、圧電素子14の変位を拡大してバー13へ伝達し、ブレード12を駆動力伝達部材へ押し付けるための変位拡大機構16からなる駆動部24が設置されている。
前記変位拡大機構16は変位拡大用弾性ヒンジによって拡大された圧電素子14の変位に対して、バー13を平行移動させるために必要であり、平行移動したバー13はブレード12を粉塵除去機構15を含めた形で駆動力伝達部材3へ押し付ける。なお、前記変位拡大機構はステンレスや銅等の金属材料によって構成される。
また、前記圧電素子14はジルコン酸チタン酸鉛やチタン酸バリウムを主成分とする圧電セラミック体から構成されている。
また、図1に示す超音波モータの構造及び超音波モータの取付構造は、図4に示したものと同一であるため、ここでは説明を省略する。
次に、本発明の粉塵除去機構15の詳細について図2(a)(b)を基に説明する。
図1に示した本発明の粉塵除去機構15は主に図2(a)に示す押し付け力測定部21、微振動部22、駆動部24、そしてこれらを収納した筺体23からなる。
ここで前記ブレード20は超音波モータ40より少なくともステージ2の可動方向上流側に配置されている。即ち、ステージ2の可動方向が図中で下側である場合には、ブレード20の位置が上流側となる。しかしながら、本発明の案内装置のステージ2はガイド部材8に沿って往復運動するためにブレード20は超音波モータ40の両側に、図1に示すように2枚のブレード12a、12bが配置されることとなる。また、ブレード20は駆動力伝達部材3と略同等の幅の刃先を有しており、直接に駆動力伝達部材3の表面に当接する。
前記ブレード20の材質としては、種々のセラミックス、金属等を用いることが可能であるが、特に駆動力伝達部材3との摩擦による摩耗が少ない材質のものを用いることが好適で、例えばジルコニア、窒化珪素及びジルコニアにDLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)をコーティングしたもの等、様々な材料を用いることが可能であり、更には刃先が薄くかけや割れが発生し易いことを考慮すると、強度、破壊靭性が高いジルコニアを用いるのがより好適である。
また、前記ブレードが主にセラミックスからなる場合には、ブレード中に存在する気孔径を平均で0.5μm以下とすることが好ましい。前記平均気孔径が0.5μmより大きな場合には、セラミックス製のブレードが可動体に接触して摩耗し、内在するボイドがブレード先端表面に現れ隙間が生じた際にも、良好な摩耗粉除去が可能であるばかりか、ブレード先端部が十分な強度を保つことが可能となり、破損等がない。
更には、前記ブレードの刃先は10°〜30°の刃先角度とする。刃先角度が10°以下では刃先が極めて薄く、ブレードの強度が著しく低いために案内装置を駆動させた際にブレード先端にかけ、割れを生じるばかりか、刃先が著しく摩耗し易い。また30°より刃先角度が大きい場合には、刃先角度が大きすぎるために粉塵が除去しにくい。さらに、刃先先端は、刃先先端部のかけを防止するためにR部としても良く、これにより駆動力伝達部材3を傷つけにくくすることもできる。
また、前記押し付け力測定部21は、ブレード12と微振動部22の間に取り付けられており、主に圧力センサを内蔵したロードセルからなっている。前記ロードセルとは、ひずみゲージを内蔵しており、このひずみゲージで測定された物理量を電気的に変換する変換器のことであり、本発明で用いるロードセルは市販の荷重を電気的に変換する種類のロードセルを用いる。
そしてこの押し付け力測定部21にて測定された押し付け力は、押し付け力測定部21に接続された押し付け力制御部(不図示)へ送られ、押し付け力基準値と比較される。
ここで、前記押し付け力制御部で、押し付け力測定部21にて測定された測定データと比較される押し付け力基準値とは、駆動初期に測定されたデータのことであり、この基準値は前記粉塵除去機構設置の際に試行錯誤的に検討された値となる。
そして、前記押し付け力制御部にて、押し付け力測定部21にて測定されたデータが、押し付け力基準値より低い値であった場合、押し付け力制御部から、前記駆動部24へ、駆動用指令信号が伝達され、駆動部24に設置された圧電素子14が変位することにより、その変位が変位拡大機構16を通してブレードに伝達され、ブレードの押し付け力が調整される。
なお、前記圧電素子は10〜20μmの変位量を有している。
また、前記微振動部22はブレード12と駆動部24の間に設置されており、前記駆動部24を構成する圧電素子14と同様にジルコン酸チタン酸鉛等の圧電セラミックスからなる。
さらには、この微振動部22に設置された圧電素子は電圧を印可することによって、100回/秒以上で伸縮させることが可能である。前記圧電素子が100回/秒以上で伸縮可能であることにより、ブレード12と可動体間の摩擦力の変化によって、また、超音波モータ40の摩擦部材45と接触する可動体の当接位置の変化等によって可動体へのブレード12の押し付け力の変化が生じたとしても、ブレードに微少振動を与える微振動部22により、ブレード12が振動して可動体に当接するので、常に良好な粉塵除去が可能となり、摩擦部材案内装置の良好な駆動を維持することが可能となる。また、前記ブレード12に付着した粉塵を振動により取り除くことが可能である。
また、前記可動体にブレード12を接触・離間を可能にする駆動部24と微振動部22をあわせて押し付け力調整部とし、この押し付け力調整部によりブレード12の押し付け力を微調整する。
次に前記粉塵除去機構15を含む本発明の案内装置の粉塵除去動作の詳細を図1にて説明する。制御部9より指令を送ると、まず駆動部24の圧電素子14に電圧が印可され、変位拡大用弾性ヒンジを有する変位拡大機構16が変位を増幅しながら圧電素子14の動きに連動し、バー13に動力を伝達し、駆動力伝達部材3の表面から離間していたブレード12は微振動部22、押し付け力測定部21を介して、一定の接触圧力で駆動力伝達部材3表面に接触し、粉塵を除去する。ブレード12の動作タイミングとしては、ステージ2が超音波モータ40に対して右側(図1中上側)に移動する際に超音波モータ40の摩擦部材45が駆動力伝達部材3の表面に当接して摩擦駆動を行うが、その可動方向であるならば、圧電素子14に電圧を印可して摩擦部材45の上流側に配置した粉塵除去機構15aを駆動させ、ブレード12aを駆動力伝達部材3に接触させることによって、駆動力伝達部材3に付着した粉塵を駆動力伝達部材3の外側に除去するようになっている。この場合には他の粉塵除去機構15bは駆動力伝達部材3から離間させなければならない。離間させることによって、粉塵がブレード12bの内側に付着するのを防止することができる。また、ステージ2が超音波モータ40に対して左側(図1中下側)に移動する際には前記動作の逆の動作を行うため説明を省略する。
そして、この動作中、本発明の粉塵除去機構に内蔵された、押し付け力測定部21は、駆動力伝達部材3へのブレード12の押し付け力を測定し、測定された押し付け力は、押し付け力制御部(不図示)へ送られ、初期の押し付け力基準値と比較される。そして、前記の動作を繰り返しながら粉塵除去を行っていくが、長時間駆動を行うと、ブレード12の摩耗等が原因で、粉塵除去機構の押し付け力が弱まってくる。その際には押し付け力制御部にて初期の押し付け力基準値から低下していると判断され、駆動部24の圧電素子に駆動用指令信号として電圧が印可され、この圧電素子14の変位を変位拡大機構16によってバー13に伝達し、初期の押し付け力となるように調整され、長時間にわたって良好な粉塵除去が維持されることとなる。
また、微振動部22は前記駆動部24による押し付け力の調整に加えて、ブレード12が可動体へ接触している際には、該ブレード12に常に微振動を与えており、この微振動の影響によりブレード12は振動して可動体に当接する。
このように前記駆動部24と微振動部22からなる押し付け力調整部により、ブレード12の押し付け力を調整するために、常に良好な粉塵除去が可能となり、本発明の案内装置の良好な駆動を維持することが可能となる。
また、前記ブレード12が駆動力伝達部材3より離間している時に、定期的な駆動回数で、押し付け力調整部22に設置された圧電素子を100回/秒以上で微少振動させ、ブレード12に付着した粉塵を圧電素子の微少振動を利用して取り除くことも可能である。
次に、本発明の案内装置の駆動状態について図1を用いて説明する。
まず、ドライバー10より指令信号を出力して超音波モータ40の摩擦部材45を楕円運動させると、駆動力伝達部材3との摩擦駆動によってステージ2をガイド部材8に沿って移動させることができ、ステージ2の移動に伴う位置検出手段6からの位置情報と、予め設定してあるステージ2の基準位置情報との偏差を基に制御部9にてPID演算した出力値を指令信号としてドライバー10に出力し、このドライバー10からの駆動電圧により超音波モータ40を駆動させるフィードバック制御を行うことにより、ステージ2を所定の条件で移動させる。
この時、駆動力伝達部材3の当接面には、超音波モータ40との摩擦駆動等によって発生した粉塵が付着する。
しかしながら、本発明の案内装置によれば、駆動力伝達部材3の可動方向上流側のブレード12をその当接面に接触させることにより、駆動力伝達部材3の当接面に付着する粉塵を摩擦部材45の駆動のたびに掻き取ることが可能であり、常に清掃面で摩擦部材45を摩擦駆動させることができるとともに、粉塵の飛散を効率的に防止している。これにより、駆動力伝達部材3の超音波モータ40との当接面に粉塵が残らないようにすることができる。
その為、前記駆動力伝達部材3の当接面と超音波モータ40の摩擦部材45との隙間に粉塵が噛み込むのを大幅に低減することができるため、常に安定した接触状態を得ることができ、超音波モータ40の駆動によってステージ2を安定して駆動させることができるため、可動中における精度が1μm以下、位置決め精度が0.1μm以下といった高精度が要求されるような場合でも精度良く移動、位置決めすることができる。
また、本発明の案内装置では駆動力伝達部材3と粉塵除去機構15に飛散した粉塵を周囲に設けた粉塵飛散防止用筐体11により覆うことによって、粉塵を周囲に飛散させないようにすることができる。
ところで、このような効果を奏するためには、駆動力伝達部材3の表面からそれと対向する粉塵飛散防止用筐体11の対向面の距離Tを10〜500μmとすることが好ましい。即ち、両者の距離Tが10μm未満であると、粉塵が駆動ガイド3の当接面と粉塵飛散防止用筐体11との隙間に噛み込み、ステージ2が動かなくなる恐れがある。逆に距離Tが500μmを超えると、駆動力伝達部材3の当接面から粉塵飛散防止用筐体11までの距離が離れすぎるため、飛散した粉塵をその周囲にまき散らし、使用環境を汚染し、ステージ2のガイド部材8等に噛み込むと、ステージ2の移動精度に悪影響を与えるからである。
また、ブレード12の駆動力伝達部材3への押し付け力は0.5〜5Nの範囲内であることが好ましい。即ち、前記押し付け力が0.5N以下であるとブレード12で粉塵を掻き取っても駆動力伝達部材3に粉塵が残留する。逆に押し付け力が5Nを超えるとブレード12の接触圧力によって粉塵が駆動力伝達部材3に凝着し、最悪の場合には駆動力伝達部材3の表面を傷つけてしまうからである。
さらに、前記ブレード12と駆動力伝達部材3との接触角度は15°以上とする。この接触角度が15°以下である場合には、駆動力伝達部材3に粉塵が残留して、粉塵除去を効果的に実施することができなくなる。
さらに、ブレード12の刃先に付着した粉塵が駆動力伝達部材3の当接面に再付着するのを防止するため、粉塵除去機構15の押し付け力調整部21に設置された圧電素子を100回/秒以上で伸縮させ、ブレード12を激しく振動させることにより、刃先に付着した粉塵を振動により取り除くことが可能であり、これにより刃先に付着した粉塵の駆動力伝達部材3への再付着を防止することが可能である。
以上、本実施形態では、可動体が直線運動する案内装置を例にとって説明したが、可動体が回転運動する案内装置にも適用できることは言う迄もなく、さらに、可動体を駆動させる超音波モータについても、多重モード型のものに限らず、単一振動モードの定在波型や進行波、複数振動モードのモード変換型、複合振動型の超音波モータであっても構わない。
そして、前述のような本発明の案内装置は、半導体、液晶製造装置用として、その製造工程へ導入された場合、長期間にわたって高精度な駆動を維持することが可能であり、半導体、液晶製造装置用の案内装置としては最適といえる。
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、種々改良や変更したものにも適用できることはいう迄もない。
以下、本発明の案内装置の実施例を示す。
まず、図1に示すような本発明の案内装置1と、図3に示す従来の案内装置、さらにブレード12のみを設置した案内装置を準備し、各案内装置のステージを駆動させた後の超音波モータ40の摩擦部材45とステージの駆動力伝達部材に付着する粉塵の付着量について比較する実験を行った。
以下、実験に使用した案内装置の仕様について説明する。
本発明の案内装置を構成するガイド部材8には、ストロークが100mmのクロスローラーガイドを用い、前記ガイド部材8によって、5kgの重さを有するステージ2を移動させるようにした。また、ステージ2の一方の側面にはアルミナセラミック製の駆動力伝達部材3を配置し、超音波モータ40との当接面の表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.05μmとした。
一方、ステージ2の駆動源である超音波モータ40は、振動体44を、長さ30mm、幅7.5mm、厚み3mmの直方体をしたチタン酸ジルコン酸鉛系の圧電セラミック体42により形成し、振動体44の端面に、長さ4.2mm、直径3mmの円柱状をしたアルミナセラミック製の摩擦部材45を接合したものを用いた。なお、摩擦部材45の駆動力伝達部材3との当接面は、曲率半径が7mmの球面とした。
また、本発明の案内装置1に用いるブレード12は、刃先角度を20°、材質をジルコニア製とし、押し付け力測定部21には共和電業製ロードセルLM−5KAを設置し、押微振動部22にはチタン酸ジルコン酸鉛系の圧電セラミックスからなる圧電素子を設置し、押し付け力測定部のロードセルで測定された測定データを押し付け力制御部へ送って、初期の押し付け力基準値と比較し、押し付け力の低下に伴い駆動部24の圧電素子14に電圧を印可して押し付け力を調整するようにしてある。
さらに、駆動力伝達部材3へのブレード12の接触角は20°とした。
実験にあたっては、制御部9に予め設定しておくステージ2の移動プロファイルとして、移動距離100mm、加減速度0.03G、最高速度100mm/secに設定した台形制御とし、超音波モータ40を40kHzの駆動周波数で駆動させるようにした。
そして、この条件にてステージ2を50時間駆動させ、走行試験後に超音波モータ40の摩擦部材45とステージ2の駆動力伝達部材3に付着する粉塵の量を測定した。なお、粉塵の付着量については、1mm2当たりに粒径1μm以上の粉塵が付着する量をパーティクルカウンターで測定した。
表1から、粉塵除去機構のない従来の案内装置においては、駆動力伝達部材への粉塵付着量が多いだけでなく、30時間駆動させると粉塵の付着量が多くなりすぎ、ステージの駆動が停止してしまった。
また、粉塵除去のためにブレードのみを設置した案内装置は、50時間の駆動は実施できたものの、駆動速度は徐々に減速し、初期の速度を維持できず、また駆動精度も低下してしまい、さらに駆動力伝達部材への粉塵付着量も200個/mm2であった。
これに対し、本発明の案内装置1では50時間の駆動においても駆動力伝達部材3への粉塵付着がなく、ステージ2の良好な駆動を維持することが可能であり、粉塵除去機構を設置することで、駆動力伝達部材3への粉塵の付着を防止できると同時に、粉塵除去用のブレード12の押し付け力を、初期の押し付け力に対して低下していないか押し付け力測定部21によって確認し、押し付け力制御部にて監視し、低下していれば駆動部24と微振動部22からなる押し付け力調整部にて調整することの効果を確認できる結果となった。
1:案内装置
2、33:ステージ
3、34:駆動力伝達部材
4、35:リニアスケール
5、36:測定ヘッド
6、37:位置検出手段
7、31:ベース盤
8、32:ガイド部材
9、38:制御部
10、39:ドライバー
11:粉塵飛散防止用筺体
12a、12b、20:ブレード
13:バー
14:圧電素子
21:押し付け力測定部
22:微振動部
23、46:筺体
24:駆動部
40超音波モータ
42a、42b、42c、42d:電極膜
43:圧電セラミック板
44:振動体
45:摩擦部材
47、48:スプリング
2、33:ステージ
3、34:駆動力伝達部材
4、35:リニアスケール
5、36:測定ヘッド
6、37:位置検出手段
7、31:ベース盤
8、32:ガイド部材
9、38:制御部
10、39:ドライバー
11:粉塵飛散防止用筺体
12a、12b、20:ブレード
13:バー
14:圧電素子
21:押し付け力測定部
22:微振動部
23、46:筺体
24:駆動部
40超音波モータ
42a、42b、42c、42d:電極膜
43:圧電セラミック板
44:振動体
45:摩擦部材
47、48:スプリング
Claims (6)
- 摩擦部材を有する超音波モータと、前記摩擦部材が当接して摩擦駆動を行うことにより可動する可動体と、前記摩擦部材よりも前記可動体の可動方向上流側に、前記摩擦部材が当接する領域を含む可動体の領域に接触して粉塵を除去するブレードを有する粉塵除去機構とからなる案内装置において、
前記粉塵除去機構に、前記可動体にブレードを接触・離間を可能にする駆動部と、前記駆動部とブレード間に前記ブレードに微少振動を与える微振動部を有したことを特徴とする案内装置。 - 前記粉塵除去機構は、前記駆動部及び/又は微振動部により前記ブレードの押し付け力を微調整する押し付け力調整部を有したことを特徴とする請求項1記載の案内装置。
- 前記押し付け力調整部には、前記可動体にブレードを押し付ける力を測定する押し付け力測定部と、該押し付け力測定部で得られた情報と基準となる押し付け力の基準値とを比較して押しつけ力の微調整を行う制御部とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の案内装置。
- 前記微振動部は、100回/秒以上で伸縮する圧電素子を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の案内装置。
- 前記ブレードが平均気孔径0.5μm以下のセラミックスからなり、先端の角度が10°〜30°であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の案内装置。
- 前記ブレードの押し付け力が0.5〜5Nであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の案内装置。
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