JP4268421B2 - 駆動装置及びそれを用いた位置決め方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密加工装置や精密測定装置、あるいは半導体製造用の描画装置や露光装置等に使用される駆動装置及びその位置決め方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、精密加工装置や精密測定装置、あるいは半導体の製造工程に用いられる描画装置や露光装置においては、移動テーブル(移動体)上に加工、検査等される対象物を所定位置に駆動、停止を行う駆動装置が用いられており、近年、移動テーブルを駆動・停止を行う手法として、摩擦力を駆動の伝達媒体として用いる超音波モータやトラクションドライブ等の摩擦力駆動機構を有する駆動装置が用いられている。
【0003】
図2(a)は従来から用いられている特許文献1に示す通り超音波モ−タを移動体の駆動源とする駆動装置をステージ装置として適用した一例を示す正面図、図2(b)は(a)のB−B線断面図である。
【0004】
この駆動装置は、ベース盤31上に設けた移動テーブル32を、一対のガイド部材33によって直線的に案内するようになっており、移動テーブル32の一方の側面には、リニアスケール34を設置し、リニアスケール34と対向する位置にベース盤31上に設けた検出ヘッド35とで位置検出手段を構成するとともに、移動テーブル32の他方の側面には、被駆動摩擦材(案内部材)36を設け、その被駆動摩擦材36に対し超音波モータ1で所定の摩擦力が発生するように押圧させてある。
【0005】
なお、この駆動装置に用いる超音波モータ40は、超音波振動体41と、超音波振動体41の先端に取着されたアルミナやジルコニア等のセラミックスからなる押圧チップ(摩擦部材)42とから成り、超音波振動体41は、ジルコン酸チタン酸鉛やチタン酸バリウムを主成分とする圧電セラミック体(以下、PZT)の一方の主面に、矩形状をした4つの電極43を点対称にメッキ等にて敷設し、対角に敷設した電極43,43同士をそれぞれリード線44を介して接続するとともに、圧電セラミック体の他方の主面全体に電極(不図示)をメッキ等にて敷設してある。
【0006】
また、超音波モータ40は、ベース盤31上に固定した枠体37内に設置してあり、超音波振動体41の一方の側面を、枠体37の側面から突出する一対の支持ピン38に当接させるとともに、他方の側面を一対の弾性体39で押圧するようになっている。
【0007】
そして、対角に敷設された電極43,43間に通電すると、PZTの振動により、押圧チップ42が楕円運動し、超音波モータ40は駆動状態にはいる。
【0008】
この様子を図2(c)に示す。押圧チップ42が楕円軌跡中矢印1の領域では、上記の様に押圧チップ42−被駆動摩擦材36間にある摩擦力により移動テーブル32を移動させる駆動力が伝達され、楕円軌跡中矢印2の領域では、上記摩擦力が無いことから駆動力が伝達されず移動テーブル32は慣性力にて移動することになる。以下、この繰り返しにより、移動テーブル32を送り続ける事ができる。この時、移動テーブル32の速度は、上記楕円軌道のX軸方向の振幅量にほぼ比例することから、印加電圧を制御することにより振幅量を制御し、制御移動テーブル32の速度さらに位置を制御することができ、移動テーブル32を所定位置に位置決めさせていた。そして、位置決め終了後、通電を止めると、PZTの振動も止まり、押圧チップ42と被駆動摩擦材36間の摩擦力を制定力として利用して、移動テーブル32を所定位置に保持する様になっていた。また、摩擦力のみで移動テーブル32を停止位置に十分保持できるので、位置保持のために他の制定力が一切不要とできる為、位置を制御する必要も無くなり制御による振動や発熱が全くないという長所があった。
【0009】
また、図3(a)は特許文献2に示す通りトラクションドライブを用いたステージ装置に駆動装置を適用した一例を示す正面図、図3(b)は(a)のC−C線断面図である。
【0010】
この駆動装置は、ベース盤51上に設けた移動テーブル52を、一対のガイド部材53によって直線的に案内するようになっており、移動テーブル52の一方の側面には、リニアスケール54を設置し、リニアスケール54と対向する位置に設けた検出ヘッド55とで位置検出手段を構成するとともに、移動テーブル52のもう一方の側面には、被駆動摩擦材56を設け、該被駆動摩擦材56に対しトラクションドライブモータ66を被駆動摩擦材56−ローラ67間に所定の摩擦力が発生するように適当な力で垂直に押圧させてある。
【0011】
また、この駆動装置に用いるトラクションドライブモータ66は、シャフト68と、該シャフト68の先端に取着された窒化珪素やジルコニア等のセラミックスもしくは超硬からなるローラ(摩擦部材)67及び電磁モータ61から成る。
【0012】
また、トラクションドライブモータ66は、ベース盤51上に固定した枠体69内に設置してあり、シャフト68を枠体69に固定されたシャフトベアリング70で拘束している。
【0013】
そして、シャフトベアリング70は枠体69に設置された電磁石61に通電するとシャフト68が回転し、トラクションドライブモータ66は駆動状態にはいる。シャフト68及びローラ67が回転するとローラ67−被駆動摩擦材56間にある摩擦力により移動テーブル52を移動させる駆動力が伝達されて移動テーブル52を送り続けることができる。そして、移動テーブル52の速度は電磁モータ61の回転数に比例するので、電磁モータ61の回転数を制御にすることによって移動テーブル52を所定位置に位置決めするようになっていた。また、超音波モータと同様に、摩擦力のみで移動テーブル52を停止位置に十分保持できるので、位置保持のために他の制定力が一切不要とできる為、位置を制御する必要も無くなり制御による振動や発熱が全くないという長所をもっていた。
【0014】
〔特許文献1〕
特開平7−184382号参照
〔特許文献2〕
特開平8−277896号参照
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の様な摩擦駆動方式を利用する従来の駆動装置では、移動テーブルを正確に所定位置に停止させようとした際に、超音波モ−タが保持している押圧チップやトラクションドライブモータのローラと被駆動摩擦材との間に摩擦力が介在するため、移動テーブルは非線形性の強い制御となり、数十nmレベルの誤差精度で停止、位置決め、保持させる制御は困難であった。
【0016】
また、長期的に使用していると押圧チップやローラと被駆動摩擦材との間に摩耗粉が発生し、これにより、さらに制御的な非線形性が強くなり、位置決め精度を悪化させたり、摩耗粉が凝集して大きくなれば、摩耗粉自体が原因で位置決め精度を悪化することもあった。
【0017】
その上、押圧チップやローラは、被駆動摩擦材に弾性部材を介して押しつけている構造をとるが、その弾性体は剛性が弱いため、弾性体から発せられる振動の影響で押圧チップやローラが振動し、その振動が移動テーブルに伝播すると、停止している移動テーブルが押圧チップやローラに保持されている間、数十nm程度振動するという問題もあった。
【0018】
また、上記の従来型の駆動装置では、摩擦力を駆動力や制定力の伝達媒体として使用しているので、移動テーブルを加速又は減速させるように大きな駆動力や制定力が必要とされる時は、一定の速度にて移動させる場合と比べて押圧チップやローラと被駆動摩擦材との間により多くの滑りが発生し、確実な制御ができなかったり、摩耗粉の発生が多くなるといった、摩擦力にたよる技術であるが故の駆動特性の悪化という短所が顕著に現れることがある。
【0019】
特に移動テーブルを数百nm以下で短距離移動する等、加減速域が大半を占めるような移動体の位置決め制御において、数十nmレベルでの位置決め制御は困難を極める上、被駆動摩擦材に局所的な摩耗が発生し、駆動装置の性能上の致命的なダメージを引き起こし、被駆動摩擦材等の部品を短期間で交換しなければならないといった課題もあった。
【0020】
【発明の目的】
本発明は、上述の課題に鑑みて案出されものであり、その目的は、駆動力の伝達に第一の駆動源の摩擦力を利用する駆動装置において、移動体を高精度に所定位置に停止、位置決め、保持ができ、かつ、その位置決めに要する時間を充分短縮することができる駆動装置を提供することにある。
【0021】
さらに、本発明の他の目的は、被駆動摩擦材の摩耗を低減し、長期間安定して性能を保持できる駆動装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
そこで、本件発明者は種々研究を重ねたところ、回転又は直線移動が可能な移動体と、該移動体に接続された案内部材と、摩擦部材を有し、該摩擦部材が上記案内部材に当接して上記移動体の駆動・停止を行う第一の駆動源とから成る駆動装置において、上記移動体に対して案内部材が移動可能に接続されており、かつ、上記移動体を案内部材に対して相対的に駆動する第二の駆動源を備えることで、第一の駆動源が停止して摩擦部材が案内部材を保持した際に発生する数十nmレベルの振動が第二の駆動源により完全に停止する補助をすることができ、位置決め精度を向上させることが可能となるとともに、位置決めに要する時間を大幅に低減することができる。
【0023】
また、長期的使用により摩擦部材と案内部材との間に摩耗粉が発生したり、摩擦部材に取り付ける弾性部材の振動が発生しても、第二の駆動源により効果的に数十nmレベルの振動を抑えるように制御できるので、装置、部品の寿命も長くなり信頼性を向上させることができる。
【0024】
また、移動テーブルを数百nm以下で短距離移動する等にように移動体を加減速域が大半を占めるような位置決め制御であっても、第一の駆動源を停止させた後であって摩擦部材が案内部材を保持しているときに、第二の駆動源が数十nmレベルの振動を完全に停止するようにしているために、摩擦部材にかかる局所的な摩耗を抑え、摩耗粉の発生を抑制することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0026】
図1(a)は本発明の駆動装置として第一の駆動源により移動体を駆動するステージ装置を示す平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【0027】
このステージ装置は、ベース盤1上に配置した移動体としての移動テーブル2を、一対のガイド部材3にて直線的に案内するようになっており、移動テーブル2の一方の側面には、リニアスケール4を設置し、リニアスケール4と対向する位置に設けた検出ヘッド5とで位置検出手段を構成するとともに、移動テーブル2のもう一方の側面に、案内部材として被駆動摩擦材6を固定し、その被駆動摩擦材6に第一の駆動源である超音波モータ10を垂直に押圧させてある。
【0028】
本発明に用いられる第一の駆動源としては、超音波モータ10に限らず、トラクションドライブ、フリクションドライブ等が用いられるが、移動テーブル2を所定位置へ停止する位置決め及び位置保持させることがサブミクロンレベルで可能であり、また、モータ自体が直接案内部材に押圧され、モータと案内部材間にカップリングやベアリング等の振動を誘発し、停止時の位置保持性を悪化させる可能性がある構造物が介在しないという理由から超音波モータ10を用いることがより好ましい。
【0029】
この超音波モータ10は、特許文献1に記載のものと同等なものを使用しており、摩擦材としての押圧チップ12と被駆動摩擦材6間の摩擦力を制定力として利用している。具体的には、超音波振動体11と、該超音波振動体11の先端に取着されたアルミナやジルコニア等のセラミックスからなる押圧チップ(摩擦部材)12を有している。この超音波振動体11は、ジルコン酸チタン酸鉛やチタン酸バリウムを主成分とするPZTから成る圧電セラミック体の一方の主面に、矩形状をした4つの電極13を点対称にメッキ等にて敷設し、さらに、対角に敷設した電極13,13同士をそれぞれリード線14を介して接続するとともに、圧電セラミック体の他方の主面全体に電極(不図示)をメッキ等にて敷設してなる。
【0030】
また、超音波モータ10は、ベース盤1上に固定した枠体7内に設置してあり、超音波振動体11の一方の側面を、枠体7の側面から突出する一対の支持ピン8に当接させるとともに、他方の側面を一対の弾性体9で押圧するようになっている。
【0031】
そして、対角に敷設された電極13,13間に通電すると、超音波振動体11の振動により、押圧チップ12が楕円運動し、超音波モータ10は駆動状態に入る。この様子を図1(c)に示す。
【0032】
押圧チップ12が楕円軌跡中矢印1の領域では、上記の様に押圧チップ12−被駆動摩擦材6間にある摩擦力で移動テーブル2を移動させる駆動力が伝達され、押圧チップ12の楕円軌跡の中で矢印2の領域では、被駆動摩擦材6に押圧チップ12が当接せず摩擦力が無いことから駆動力が伝達されず移動テーブル2は慣性力にて移動することになる。以下、この繰り返しにより、移動テーブル2を送り続ける事ができる。
【0033】
この時、移動テーブル2の速度は、上記楕円軌道のX軸方向の振幅量にほぼ比例することから、印加電圧を制御することにより振幅量を制御し、制御移動テーブル2の速度さらに位置を制御することができ、移動テーブル2を所定位置に停止させている。そして、停止後に、超音波モータ10への通電を止めると、超音波振動体11の振動も止まり、押圧チップ12と被駆動摩擦材6間の摩擦力を制定力として利用して、移動テーブル2を所定位置に保持するようになっている。
【0034】
また、移動テーブル2と被駆動摩擦材6の間には、移動テーブル2に対して被駆動摩擦材6が移動できるように複数の車輪18が配置されて接続されており、矢印の方向に移動可能となっている。
【0035】
さらに、この被駆動摩擦材6は両端部に第二の駆動源として微小に伸縮可能で移動テーブル2と固定金具17との間で狭持した圧電素子16を備えており、締め付けボルト19で移動テーブル2に対し、強固に固定されている。そして、この締め付けボルト19は、圧電素子16の伸縮に応じて伸縮できる強度に設計されている。従って、結果的には、移動テーブル2と被駆動摩擦材6は、圧電素子16の伸縮に応じて相対的に移動することが可能である。つまり、被駆動摩擦材6は、ベース盤1に固定されている超音波モータ10の摩擦力により、所定の位置に保持されているので、例えば、圧電素子16aを伸ばし、圧電素子16bを同じ量だけ縮めるとその伸縮量分、移動テーブル2が被駆動摩擦材6に対して相対移動することになる。そして、圧電素子16a、16bの伸縮量は圧電素子に印加する電圧を変動させることにより、ナノメータレベルの分解能で制御可能なので、移動テーブル2をナノメータレベルの分解能にて被駆動摩擦材6、ひいては、ベース盤1に対して位置決め制御することが可能になる。
【0036】
本発明の実施の形態では第二の駆動源として圧電素子16aを用いたが、これに限定されず、油圧シリンダ、空気シリンダ、油圧バネ、空気バネ等を用いても良い。この場合、上記第二の駆動源も同様に被摩擦駆動材6と取付金具17間に狭持し、各第二の駆動源への油圧、空気圧を制御することにより、必要量伸縮できるような構成とする。
【0037】
なお、固定金具17には、金属やセラミック等のの剛性が高い材料、車輪18は円筒形の金属やセラミック等の硬質な材料、締め付けボルト19は弾性変形しやすく多少の伸縮可能なステンレスや銅の金属材料を使用している。
【0038】
そして、位置決めのプロセスとしては、駆動源として超音波モータ10、測長計としてリニアスケール4を用いたシステムで、移動する移動テーブル2の位置を制御して移動テーブル2をサブミクロンレベルの精度で超音波モータを停止した後(この時、超音波モータ10の押圧チップ12が被駆動摩擦材6に当接して保持されている)、駆動源として伸縮可能な圧電素子16、測長計として同様にリニアスケール4を用いたシステムに瞬時に切り替え、移動テーブル2の位置を圧電素子16により制御することにより、移動テーブル2をナノメータレベルで素早く位置決めすることが可能となる。
【0039】
また、本発明によれば、超音波モータ10を停止させた後の位置保持中に問題となる振動、例えば、ベース盤1が何らかの振動を受けた場合、超音波モータ10の押圧チップ12を通して被駆動摩擦材6へその振動が伝達されることになる。この振動により移動テーブル2も振動することになるが、リニアスケール4がその振動による移動テーブル2の移動を観測した後、直ちに圧電素子16の伸縮量を制御して移動以前の位置に戻すことにより、停止時の位置を保持し、結果的に振動の移動テーブル2への伝達を大幅に緩和でき高精度な位置決めが可能となる。
【0040】
さらに、本発明によれば、摩擦駆動において問題となる微少移動は、圧電素子16の伸縮量の範囲内で有れば、圧電素子16の伸縮のみで、移動テーブル2を所定の位置に素早く位置決めすることが可能な為、上述したような局所的な摩耗の発生を無くすことが可能となる。
【0041】
以下、実施例にてさらに具体的な説明をする。
【0042】
【実施例】
ここで、図1(a)〜(c)に示す本発明の駆動装置と、図3(a)(b)に示す従来の駆動装置をそれぞれ用意し、各移動テーブル2,32を一定距離駆動させた時の位置決め精度、位置決めまでの時間及び位置保持時の振動について比較する実験を行った。
【0043】
本実施例においては、超音波モータ10,40として、超音波振動体11,41の外形寸法が、30mm×10mm×3mmの板状体であって、その先端面に直径3mm、高さ4mmの円柱状をしたアルミナ純度が99.5%のアルミナセラミックスからなる押圧チップ12,42を接着剤にて取着したものを用いた。
【0044】
また、移動テーブル2,32及び被駆動摩擦材6、36は、いずれもアルミナ純度が99.5%のアルミナセラミックスにより形成し、移動テーブル2,32の外形寸法として、300mm×150mm×50mmの板状体とするとともに、被駆動摩擦材6,36の外形寸法として、30mm×30mm×200mmの直方体からなるものを用いた。なお、移動テーブル2,32及び被駆動摩擦材6,36の総重量を測定したところ、ともに15Kgであった。
【0045】
また、本実施例においては、伸縮可能な圧電素子16には、外形寸法として10mm×10mm×20mmの積層型PZTを、締め付けボルト19には、外形寸法としてM4×20mmの銅製ボルトを、車輪18には、外形寸法として5mm×20mm×50mmのLMガイド案内を2個使用した。本実施例においては、積層型PZTに100V電圧を印加した際に、ベース盤1に対し、移動テーブル2が6μm相対移動することが確認できた。
【0046】
比較実験は、各移動テーブル2,32を速度100mm/sec、加速度1000mm/sec2で100mmを位置決め精度誤差50nmという設定にて移動させたときの停止時における位置決め精度、位置決め時間及び位置保持時の移動テーブル2、32の振動量を測定することにより実施した。それぞれ図4及び図5に示した。
【0047】
従来の駆動装置では、何度か実験したが、代表として図4に見られるように移動テーブル32は位置決め時に大きなオーバシュート等が原因となって、50nmの精度誤差での位置決めは非常に困難であった。また、停止後の移動テーブル32の振動は、20nm程度発生していた。
【0048】
一方、本発明の案内装置では、代表として図5に見られるように、移動テーブル2は確実に50nmの位置誤差で位置決めが極めて短時間で実現されていることがわかる。本実施例では、上述の様に6μmもの相対移動距離があったので、駆動源として超音波モータ10、測長計としてリニアスケール4を用いたシステムで移動テーブル2の位置を制御することにより、移動テーブル2の超音波モータ10により1μmの精度誤差範囲内で停止した後、駆動源として伸縮可能な圧電素子16、測長計として同様にリニアスケール4を用いたシステムに瞬時に切り替え、移動テーブル2の位置を制御することにより、移動テーブル2を50nm以下の精度誤差で素早く位置決めできていることがわかる。さらに、位置決め後の振動も5nm以下に低減されていることがわかる。
【0049】
次に、各移動テーブル2,32を0.5μmの微少移動時に位置決め精度誤差0.05μm以内で、1000往復ステップ同一箇所で移動させ、0.5秒以内に位置決めができた成功率と100往復の平均位置決め誤差を100往復ステップ毎に集計確認し、表1に示した。
【0050】
【表1】
【0051】
表1より従来の案内装置では、回数が増えていくに従い、移動テーブル32の位置決め成功率の低下と平均精度誤差の悪化が見られる。比して、本発明の駆動装置では、回数の増加に伴っても位置決めの成功率は100%で安定しており、かつ位置決め精度誤差もナノメータレベルを維持し続け悪化の傾向は全く見られない。
【0052】
また、0.5μmの微少移動実験終了後に実験に使用した被駆動摩擦材6,36と超音波モータ10、40の接触部を観察したところ従来の駆動装置で使用した被駆動摩擦材36は、0.5μm程度凹になっており摩耗が進行したことがわかった。それに対して、本発明の案内装置にて使用した被駆動摩擦材6においては、その接触部には0,05μm以下の凹も観測されず、摩耗に関しても本発明の案内装置が優れていることがわかった。
【0053】
【発明の効果】
以上のように、本発明の構成によれば、回転又は直線移動が可能な移動体と、該移動体に接続された案内部材と、摩擦部材を有し、該摩擦部材が上記案内部材に当接して上記移動体の駆動・停止を行う第一の駆動源とから成る駆動装置において、上記移動体に対して案内部材が移動可能に接続されており、かつ、上記移動体を案内部材に対して相対的に駆動する第二の駆動源を備えることで、第一の駆動源が停止して摩擦部材が案内部材を保持した際に発生する数十nmレベルの振動が第二の駆動源により完全に停止する補助をすることができ、位置決め精度を向上させることが可能となるとともに、位置決めに要する時間を大幅に低減した駆動装置及びその位置決め方法を提供することができる。
【0054】
また、長期的使用により摩擦部材と案内部材との間に摩耗粉が発生したり、摩擦部材に取り付ける弾性部材の振動が発生しても、第二の駆動源により効果的に数十nmレベルの振動を抑えるように制御できるので、装置の寿命も長くなり信頼性を向上させた駆動装置及びその位置決め方法を提供することができる。
【0055】
また、移動テーブルを数百nm以下で短距離移動する等にように移動体を加減速域が大半を占めるような位置決め制御であっても、第一の駆動源を停止させた後であって摩擦部材が案内部材を保持しているときに、第二の駆動源で数十nmレベルの振動を完全に停止するようにしているために、摩擦部材にかかる局所的な摩耗を抑え、摩耗粉の発生を抑制した駆動装置及びその位置決め方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の駆動装置として第一の駆動源により移動体を駆動するステージ装置を示す平面図、(b)は(a)のA−A線断面図、(c)は第一の駆動源である超音波モータの押圧チップが描く楕円駆動の軌跡を説明する図である。
【図2】(a)は従来の駆動装置において、超音波モータ使用した場合の一例を示す正面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図3】(a)は従来の駆動装置において、トラクションドライブを使用した場合の一例を示す正面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【図4】従来の駆動装置にて移動テーブルの位置決め精度、位置決め時間及び位置決め保持した際の移動テーブルの振動量を示すグラフである。
【図5】本発明品の駆動装置にて移動テーブルの位置決め精度、位置決め時間及び位置決め保持した際の移動テーブルの振動量を示すグラフである。
【符号の説明】
1,31,51:ベース盤
2,32,52:移動テーブル
3,33,53:ガイド部材
4,34,54:リニアスケール
5,35,55:検出ヘッド
16:圧電素子
17:固定金具
18:車輪
6,36,56:被駆動摩擦材
7,37,69:枠体
8:転動体
9:リテーナ
10,40:超音波モータ
11,41:超音波振動体
12,42:押圧チップ
13,43:電極
14,44:リード線
61:電磁モータ
62:カップリング
66:トラクションドライブモータ
67:ローラ
68:シャフト
Claims (3)
- 移動体と、
該移動体に対して相対移動可能な状態で、該移動体と接続された案内部材と、
摩擦部材を有し該摩擦部材が上記案内部材に当接して、上記移動体と上記案内部材とからなる構造体を、一方向に沿って直線駆動させる第一の駆動手段と、
上記移動体を上記案内部材に対して相対的に駆動する第二の駆動手段と、を備え、
該第二の駆動手段は、上記一方向に伸縮可能な圧電素子を複数備え、複数の上記圧電素子が、上記一方向に沿って上記移動体を挟持するように上記移動体の両側に配置されていることを特徴とする駆動装置。 - 上記第一の駆動手段として、超音波モータを用いたことを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
- 請求項1または2に記載の駆動装置を用い、上記第一の駆動手段を停止させて上記摩擦部材が案内部材を保持した後、上記第二の駆動手段を作動させて上記移動体を位置決めすることを特徴とする駆動装置の位置決め方法。
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