JP2005096049A - ワイヤカット放電加工装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワイヤ電極の切断片を回収する回収装置を比較的簡単な構成にし、動作をより簡素化し、回収するときの確実性を維持する。
【解決手段】回収装置40は、カッタ20と上側ワイヤガイド2との間に設けられる。駆動ブロック43は、圧縮空気供給装置45からの加圧空気によってワイヤ電極8の走行経路を横断して往復移動する。従動ブロック44は、走行経路を挟んで駆動ブロック43に対向配置され、駆動ブロック43に押し出されて移動する。ワイヤ電極8の切断片は、駆動ブロック43と従動ブロック44とに挟持されて走行経路から離れた回収箱41の直上まで搬送される。駆動ブロック43が初期の位置に戻るとき、再び所定の間隙が形成されて切断片が回収箱41に落下する。従動ブロック44は、フック46に引っ掛けられて駆動ブロック43によって初期の位置に戻る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ワイヤ電極の先端を切断して整えてからワイヤ電極を張架する機能を有する自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工装置に関する。特に、先端が切断されて不要になったワイヤ電極の切断片を回収箱に排出する機能を有する自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工装置に関する。
ワイヤカット放電加工装置は、ワイヤ電極と被加工物とで形成される加工間隙に所定の加工電圧を印加して放電を発生させ、放電エネルギにより被加工物を所望の形状に切断するように構成されている。ワイヤ電極は、被加工物を挟んで設けられた一対のワイヤガイド間に所定の張力が付与された状態で張架される。ワイヤ電極は、加工間隙を維持しつつ加工プログラムに従う相対移動軌跡に沿って被加工物に対して相対的に移動する。同時に、ワイヤ電極は常にワイヤボビンから繰り出されて所定の走行経路に沿って走行され、加工部位に新しいワイヤ電極が供給され続けている。
ところで、被加工物から不要な部分を除去するような加工の場合、例えば、金型のダイを加工する場合、放電加工する前に、ワイヤ電極を上側ワイヤガイドから被加工物に予め穿設されている加工開始孔に挿通してから下側ワイヤガイドを通過させて、巻取装置まで結線させる作業を行なう必要がある。また、新しい加工を行なうときは、上下のワイヤガイド間にすでに張架されているワイヤ電極を一度切断してから次の加工のための加工開始孔に挿通する必要がある。あるいは、放電加工中、何らかの原因によってワイヤ電極が不意に断線したときは、ワイヤ電極を加工開始孔またはすでに形成されている加工溝に挿通する必要がある。
ワイヤ電極の結線作業を自動で行なうことができる自動結線装置(AWT, Auto Wire Treading Device)を備えたワイヤカット放電加工装置がよく知られている。自動結線装置の本体は、ワイヤ電極の走行経路における上側ワイヤガイドの上流に配置される。ワイヤ電極を加工開始孔に挿通して一対のワイヤガイド間に結線する作業は、自動結線装置と、ワイヤ電極の供給装置と、ワイヤ電極の搬送装置と、ワイヤ電極の巻取装置の協同動作で実現される。
ワイヤカット放電加工は、要求される仕上げ精度が年々高くなっている。それにともなって、加工開始孔や加工溝の大きさは、非常に小さくなってきている。同時に、使用されるワイヤ電極径がより小さくなり、ワイヤ電極の剛性が段々と低くなる傾向にある。新しく加工をするときにワイヤ電極を結線する場合は、新しいワイヤ電極に巻き癖がついていたり、ワイヤ電極の先端にばりが発生していることがしばしばある。また、予期しないワイヤ電極の断線時は、切断されたワイヤ電極の先端が荒れている。したがって、自動結線装置によって加工開始孔や加工溝にワイヤ電極を挿通することがより困難になりつつある。一方で、自動結線装置は、ほとんど失敗のない高い成功率が要求されている。また、より短時間にワイヤ電極を結線することが要求されている。
そこで、自動結線装置の多くは、ワイヤ電極を送り出す前にワイヤ電極の巻き癖を取り除きワイヤ電極の先端を整える機能を備えている。ワイヤ電極の巻き癖を取り除くための手法として、ワイヤ電極をアニールすることがよく知られている。また、ワイヤ電極の先端を整えるための手法として、ワイヤ電極に張力を付与した状態で通電して切断し、あるいはカッタで切断することが周知である。ワイヤ電極の先端を整える作業のプロセスの一例として、特許文献1が参照される。
結線しようとするワイヤ電極の先端を整えるためにワイヤ電極を切断する、いわゆる“先端処理”行なうときは、不要なワイヤ電極の切断片が生じる。従前は、ワイヤ電極の切断片は、そのまま下に落とされるか、エアで吹き飛ばされていた。しかしながら、ワイヤ電極の切断片が被加工物上に落下した場合は、放電加工の障害になる。また、ワイヤ電極の切断片が被加工物上に落下しないときでも、加工後に加工槽の中を清掃してワイヤ電極の切断片を除去しなければならなくなる。そこで、ワイヤ電極の切断片を、回収箱まで案内して自由落下させたり、回収箱まで搬送して収容させるように考えられている。
ワイヤ電極の切断片を廃棄処理する回収装置を備えた自動結線装置は、種々知られている。例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6のようにワイヤ電極の切断片をクランプして搬送するもの、特許文献7、特許文献8、特許文献9のようにワイヤ電極の切断片を吸引手段や無端ベルトで排出するもの、特許文献8、特許文献10のようにワイヤ電極の切断片を巻き取るもの、特許文献11、特許文献12、特許文献13のようにワイヤ電極の切断片をクランプして搬送する手段と吸引手段とを組み合わせたもの、特許文献14、特許文献15、特許文献16のようにユニットを回収箱に移動ないし傾斜させてワイヤ電極の切断片を回収箱に導くもの、などがある。
特許第2862901号公報 特公昭63−31332号公報 特開平3−190626号公報 特開平7−276145号公報 特許第2987035号公報 特開2000−126935号公報 特公平3−64255号公報 特許第2553512号公報 特開昭63−11232号公報 特公平4−72647号公報 特許第2518040号公報 特開平3−190626号公報 特開平10−180548号公報 特許第3084880号公報 特開昭63−11232号公報 特開2000−52154号公報
ワイヤ電極の切断片を取り除く作業では、自動結線動作を停止させる虞れがある。例えば、ワイヤ電極の切断片をクランプして搬送する手段や無端ベルトで搬送する手段を利用する場合は、切断片の把持に失敗したり、搬送中に落下させる虞れがある。また、切断片を吸引して排出する場合は、吸引に失敗する虞れがある。あるいは、切断片を巻き取って排出する場合は、切断片の巻取りに失敗する虞れがあるとともに巻き取った切断片を取り外す操作に失敗する虞れがある。
ワイヤ電極の切断片を排出する作業の確実性を向上させるために、回収装置が複数の駆動装置やセンサを必要とする複雑な動作をする構成になり、ワイヤ電極の切断片を排出するプロセスもより複雑になってきている。その結果、自動結線装置の製作費用と時間が増すと同時に自動結線に要する時間を短縮することを難しくしている。例えば、ワイヤ電極の切断片をクランプして回収箱まで搬送して排出する場合、クランパを開閉するための開閉装置とアームを移動させる移動装置とでそれぞれ駆動装置が要求される。また、クランプを確認する工程や切断片を落としていないかどうか確認する工程などを必要とする。したがって、ワイヤ電極の切断片を回収する手段を有する自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工装置の公知技術は、それぞれ一長一短があるが、改良するべき余地を残している。
ワイヤ電極の切断片をほとんどそのまま回収箱に落下させる方式の回収装置を備えた自動結線装置は、他のタイプに比べて回収装置の構成が比較的簡単で動作があまり複雑にならないという利点を有している。しかしながら、ワイヤ電極の切断片は比重が軽く静電気を帯びており、また必ずしも直線状に維持されているとは限らない。そのため、このような自動結線装置であっても、ワイヤ電極の切断片が案内部材に引っ掛かるなどして回収箱に確実に落下されない虞れは依然残されている。特に、回収箱がワイヤ電極の走行経路の近くにある場合、ワイヤ電極の切断片がワイヤ電極の走行経路上に残存して、自動結線の動作が中断して、作業効率が低下する虞れがある。
したがって、本発明は、先端を切断して不要になったワイヤ電極の切断片を搬送して回収箱に排出することができる自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工装置であって、ワイヤ電極の切断片を回収する確実性を維持しつつ構成と動作が比較的簡単なワイヤカット放電加工装置を提供することを目的とする。その他、本発明の具体的な利点は、実施の形態の説明において、その都度示される。
本発明は、被加工物を挟んで設けられた上側ワイヤガイド(2)と下側ワイヤガイド(3)との間にワイヤ電極(8)を自動的に張架させる自動結線装置(4)を備えたワイヤカット放電加工装置において、上側ワイヤガイド(2)の上側に設けられワイヤ電極(8)を切断する切断装置(20)と、切断装置(20)と上側ワイヤガイド(2)との間におけるワイヤ電極(8)の走行経路を横断して往復移動する駆動ブロック(43)と、上記走行経路を挟んで駆動ブロック(43)に所定の間隙をもって対向配置され駆動ブロック(43)が往路を直線移動するときに駆動ブロック(43)に押し出されて移動するとともに駆動ブロック(43)との間で上記走行経路にあるワイヤ電極(8)の切断片を挟持し駆動ブロック(43)が復路を直線移動するときに駆動ブロック(43)に引っ張られて上記所定の間隙を形成しながら移動する従動ブロック(44)と、駆動ブロック(43)が復路を移動するときに落下するワイヤ電極(8)の切断片を収容する回収箱(41)と、駆動ブロック(43)を駆動する駆動装置(31)を含んでなる自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工装置とする。
好ましくは、駆動装置(31)を、駆動ブロック(43)を圧縮空気で駆動するエアシリンダとする。より好ましくは、駆動装置(31)が、上記切断片よりも長い長さを有するシリンダ(42)を有し、駆動ブロック(43)をシリンダ(42)に案内されて往復移動するピストンとするロッドレスシリンダとする。また、好ましくは、駆動ブロック(43)に固定され、駆動ブロック(43)が復路を直線移動するときに従動ブロック(44)を引っ掛けて移動させる引掛体(46)を設ける。また、少なくとも駆動ブロック(43)と従動ブロック(44)とを覆うとともに回収箱(41)と一体に形成される筐体(47)を設ける。また、好ましくは、駆動ブロック(43)の上側かつ切断装置(20)の下側に設けられ、ワイヤ電極(8)の切断片を保持する保持装置(23)を設ける。より好ましくは、保持装置(23)をワンウェイクラッチに接続されワイヤ電極(8)の送出し方向にのみ回転が許容される保持ローラとする。また、従動ブロック(43)の滑り移動を規制する制動力を付与し、その制動力を調整する滑動防止部材(49)を設ける。なお、符号は、便宜上付されたものであり、本発明を図面に示される実施の形態に限定するものではない。
請求項1に記載される本発明のワイヤカット放電加工装置は、駆動装置で駆動ブロックをワイヤ電極の走行経路を横断して直線移動させ、走行経路にあるワイヤ電極の切断片を従動ブロックに付勢したまま従動ブロックを押し出して、不要なワイヤ電極の切断片をクランプしながら回収箱の直上まで搬送する。そして、駆動ブロックが折り返して反対方向に直線移動するときに上記切断片を自由落下させて回収箱に収容し、駆動ブロックと従動ブロックが初期の位置に復帰する構成である。
したがって、駆動装置を1つにすることができるので、自動結線装置の構成が比較的簡単である。また、駆動ブロックと従動ブロックが直線に往復移動するだけであるから、不要なワイヤ電極の切断片を回収する動作が単純である。かつ、駆動ブロックと従動ブロックが最短経路を直線移動することで切断片を回収することができる構成であるから、搬送して回収するまでに要する時間が短い。また、駆動ブロックが移動方向に従動ブロックを押し出して切断片を付勢することによって保持する構成であるから、動作が単純で障害が発生しにくく、かつ切断片が落下しにくい。そのため、障害を検出するためのセンサおよび障害を検出する工程を不要にすることもできるから、自動結線装置の構成がより簡単になり、かつ切断片を回収するプロセスを簡素化することも可能である。
また、不要なワイヤ電極の切断片をワイヤ電極の走行経路から離れた位置で回収するので、ワイヤ電極の走行経路上にワイヤ電極が残る虞れがほとんどなく、自動結線の動作が中断して作業効率が低下する心配がない。また、そのため、障害を検出するためのセンサおよび障害を検出する工程を不要にすることもできるから、自動結線装置の構成がより簡単になり、かつ切断片を回収するプロセスを簡素化することも可能である。また、自由落下によって回収箱に収容するので、比較的構成と動作が簡単である。以上のような結果、本発明のワイヤカット放電加工装置は、比較的簡単な構成と動作で確実にワイヤ電極の切断片を排出することができ、自動結線における作業効率を向上させる効果を奏する。
請求項2の発明によれば、駆動ブロックをより高速に移動させることができる。また、請求項3の発明によれば、構成部品を減らすことができるとともに切断片を搬送するときの障害を減らすことができ、搬送の確実性がより向上する。請求項4の発明によれば、簡単な構成で従動ブロックを所定の間隙をもって移動させることができる。また、請求項5の発明によれば、結線の動作が中断するような切断片の取り残しがなく、加工が中断することがより少なくなる。その結果、加工効率がより向上するという効果を奏する。請求項6の発明によれば、保持装置が切断片を保持するので、ワイヤ電極を切断する前にワイヤ電極を駆動ブロックと従動ブロックとで保持しておく必要がなく、駆動ブロックの動作と切断片を回収するプロセスをより単純にすることができる。請求項7の発明によれば、切断片を回収するときに保持装置を開閉させる動作が不要であり、切断片を回収するプロセスをより単純にすることができる。また、請求項8の発明によれば、回収装置の製作後にその制動力の調整を可能とし、作業性を向上させることができる。
図1に、本発明のワイヤカット放電加工装置の実施の形態の概略構成が示される。本発明のワイヤカット放電加工装置は、供給装置1、上側ワイヤガイド2、下側ワイヤガイド3、自動結線装置4、搬送装置5、巻取装置6、を含んでなる。被加工物7は、所定の加工間隙を隔ててワイヤ電極8に対向配置される。ワイヤ電極8は、放電加工中、巻取装置6で巻き取られ供給装置1から繰り出されて所定の速度で走行し、上側ワイヤガイド2と下側ワイヤガイド3との間にある被加工物7の加工部位9に常に新しいワイヤ電極8が供給されている。
供給装置1は、リール11と、複数のガイドローラ12と、テンション機構13と、を有する。リール11は、ブレーキ装置14に接続される。ブレーキ装置14は、リール11にスリップトルクを与えて、リール11に装着されるワイヤボビン15の空転を防止する。ワイヤボビン15から繰り出されるワイヤ電極8は、複数のガイドローラ12とテンション機構13を通過して加工部位9に供給される。
テンション機構13は、サーボプーリ16とテンションローラ17で構成され、巻取装置6との間でワイヤ電極8に所定の張力を付与する。サーボプーリ16は、リール11に装着されるワイヤボビン15とテンションローラ17との間のワイヤ電極8に自重により下向きの力を印加する一方、ワイヤ電極8の張力に押し戻されることにより、ワイヤ電極8の張力の急激な変動を吸収する。テンションローラ17は、電磁ブレーキあるいはトルクモータを備える。図1に示される実施の形態のワイヤカット放電加工装置の場合は、テンションローラ17に代えて、送出ローラ22を加工中にも駆動させ、巻取装置6との間の速度差を利用してワイヤ電極8に所要の張力を付与するように構成することができる。
上側ワイヤガイド2は、ワイヤ電極8の走行経路における供給装置1と加工部位9との間に設けられ、走行するワイヤ電極8を位置決め案内する。下側ワイヤガイド3は、走行経路における加工部位9と巻取装置6との間に設けられ、走行するワイヤ電極8を位置決め案内する。上側ワイヤガイド2と下側ワイヤガイド3は、それぞれガイドアッセンブリのハウジングの中に通電体18,19と一緒に収納される。上側ワイヤガイド2と下側ワイヤガイド3の相対位置をずらすことによって、供給装置1のテンション機構13と巻取装置6との間で所定の張力が付与されているワイヤ電極8を所定の角度に傾斜させることができる。
自動結線装置4は、上側ワイヤガイド2の上側に設けられる。自動結線装置4は、切断装置であるカッタ20と、ガイドパイプ21と、送出装置である送出ローラ22と、保持装置である保持ローラ23と、回収装置40とを有する。自動結線装置4は、ワイヤ電極8を送り出して加工部位9を通過させ、被加工物7を挟んで設けられた上側ワイヤガイド2と下側ワイヤガイド3との間にワイヤ電極8を自動的に張架させる。自動結線装置4は、ワイヤ電極8の先端をカッタ20で切断したときに、不要になったワイヤ電極8の切断片を排出することができる。切断装置、送出装置、または保持装置の具体的な手段は、実施の形態のとおりである必要はない。例えば、切断装置は、ワイヤ電極8に溶断電流を供給する通電体と電源装置とで構成することができる。
カッタ20は、上側ワイヤガイド2の上側に設けられワイヤ電極8を切断する。送出ローラ22は、ガイドパイプ21を挟んでカッタ20の上側に設けられる。送出ローラ22は、正逆転することができる。ワイヤ電極8を切断したとき、あるいはワイヤ電極8が断線したときは、送出ローラ22を逆転させて、ワイヤ電極8を巻き上げる。放電加工中、送出ローラ22は開放される。なお、実施の形態のワイヤカット放電加工装置は、送出ローラ22を加工中にも駆動させ、巻取装置6との間の速度差を利用してワイヤ電極8に所要の張力を付与するように構成することもできる。
保持ローラ23は、カッタ20の直下に設けられる。保持ローラ23は、ワンウェイクラッチに接続され、ワイヤ電極8が送り出される方向にのみ回転することができる。保持ローラ23は、送出ローラ22と協同してワイヤ電極8をアニールするアニール装置のアニール電極である。保持ローラ23によってワイヤ電極8を挟持するとともに、ワイヤ電極に図示しない電源装置からアニール電流を供給する。ワイヤ電極8にアニール電流が供給されるとき、送出ローラ23を逆転させてワイヤ電極8を巻き戻し、巻き戻す方向に逆転できない保持ローラ23との間でワイヤ電極8を引き延ばしながら焼鈍して、ワイヤ電極8を真直にする。
自動結線装置4の回収装置40は、回収箱41、シリンダ42、駆動ブロック43、従動ブロック44、圧縮空気供給装置45、引掛体であるフック46を含んで構成される。回収装置40の駆動装置31は、駆動ブロック43を圧縮空気で駆動するエアシリンダである。エアシリンダのシリンダ42は、ワイヤ電極8の切断片よりも長い長さを有し、ワイヤ電極8の走行経路に直角に交差するように水平に懸架される。ただし、シリンダ42は、走行経路を直接横切らずに走行経路に対してずらされて設けられ、ワイヤ電極8の走行を邪魔しない位置にある。シリンダ42は、駆動ブロック43と従動ブロック44の直線移動を案内する。エアシリンダは、駆動ブロック43をシリンダ42に案内されて往復移動するピストンとする、ピストンロッドを有していない、いわゆるロッドレスシリンダである。したがって、実施の形態の回収装置40は、駆動ブロック43が駆動装置31の駆動ブロック43を駆動する駆動装置31に含まれる。駆動装置31は、制御装置28の指令信号に従い、圧縮空気供給装置45からシリンダ42に加圧された空気を供給する。
駆動ブロック43は、シリンダ42が貫通するようにシリンダ42上に設けられる。駆動ブロック43は、圧縮空気供給装置45から供給される加圧された空気によって、シリンダ42に沿って直線移動する。駆動ブロック43は、上側ワイヤガイド2とカッタ20との間におけるワイヤ電極8の走行経路を略直角に横断して往復移動する。従動ブロック44は、シリンダ42を貫通して、走行経路を挟んで駆動ブロック43に所定の間隙をもって対向配置される。従動ブロック44は、駆動ブロック43が往路を直線移動するときに駆動ブロック43に押し出されて移動する。このとき、駆動ブロック43が保持ローラ23に保持されている走行経路上にあるワイヤ電極8の切断片を押し出して従動ブロック44に付勢し、従動ブロック44は、駆動ブロック43との間で走行経路にある切断片を挟持する。
駆動ブロック43が復路を直線移動し初期の位置に復帰するときは、従動ブロック44は、駆動ブロック43に引っ張られて上記所定の間隙を形成しながら移動する。駆動ブロック43がシリンダ42の端部を折り返して反対方向に移動を開始した直後は、従動ブロック44が動くことができないために、駆動ブロック43だけが移動して付勢が解除される。そのため、ワイヤ電極8の切断片が解放されて自由落下する。回収箱41は、図1に示されるように、ワイヤ電極8の走行経路から十分離されて駆動ブロック43が折り返す位置の直下に設けられ、駆動ブロック43が復路を移動するときに落下する切断片を収容する。
駆動ブロック43に引掛体であるフック46が固定されている。フック46は、駆動ブロック43が復路を直線移動するときに従動ブロック44を引っ掛けて初期の所定の間隙をもって移動させる。駆動ブロック43が上記所定の間隙に等しい距離復路を移動したときに、従動ブロック44は、駆動ブロック43に固定されたフック46に引っ掛けられ、駆動ブロック43に引っ張られて上記所定の間隙を維持しながら初期の位置まで移動する。
搬送装置5は、ワイヤ電極8の走行経路における下側ワイヤガイド3と巻取装置6との間に設けられる。搬送装置5は、方向転換プーリ24を通過したワイヤ電極8を巻取装置6まで搬送する。搬送装置5は、アスピレータを使用して筒体の中に加圧流体の流れを形成し、加圧流体でワイヤ電極8を搬送する。なお、搬送装置5は、無端ベルトによってワイヤ電極を搬送するように構成することができる。巻取装置6は、加工部位9から送り出されてくるワイヤ電極8を巻き取る。巻取装置6は、具体的には、巻取ローラ25でワイヤ電極8を巻き取ってから細断装置26でワイヤ電極8を所定の長さに切断してバケット27に回収する。
制御装置28は、図1に示されるように、回収装置40を動作させる駆動装置31の作動と停止を制御する。また、制御装置28は、供給装置1、自動結線装置4、搬送装置5、巻取装置6と図示しない信号線で接続される。制御装置28は、上記信号線で接続された各装置を同期させて、もしくは独立して駆動制御することができる。上側ワイヤガイド2あるいは下側ワイヤガイド3の一方ないし両方を開閉可能にする構成としたとき、制御装置28を、上側ワイヤガイド2と通電体18の開閉ないしは下側ワイヤガイド3と通電体19の開閉を制御するように構成することができる。
実施の形態のワイヤカット放電加工装置は、先端検出器29や断線検出器30のような複数のセンサが設けられる。先端検出器29は、例えば、レーザ測定器であり、送出ローラ22を正転させることによって送り出されまたは送出ローラ22を逆転させることによって巻き上げられるワイヤ電極8の先端を検出する。また、断線検出器30は、例えば、リミットスイッチであり、ワイヤ電極8が断線したことを検出する。複数のセンサは、図示しない信号線で制御装置28と接続される。制御装置28は、複数のセンサの信号に応答して動作が要求される各装置を作動させる。
図2ないし図4に、本発明のワイヤカット放電加工装置の自動結線装置における回収装置の詳細な構成が示される。図2ないし図4に示される回収装置は、同一の構成である。また、図5に、回収装置の駆動部分の構成が示される。以下、図1ないし図5を用いて、回収装置の構成と動作をより具体的に説明する。
回収装置40は、図1に示されるように、ワイヤ電極8の走行経路におけるカッタ20と上側ワイヤガイド2との間に配置される。図1ないし図5に示される実施の形態は、駆動ブロック43の上側かつカッタ20の下側に設けられ、ワイヤ電極8の切断片を保持する保持装置を備えている。保持装置は、具体的には、カッタ20の直下に設けられるアニール装置の保持ローラ23である。
シリンダ42は、図1ないし図4に示されるように、回収箱41の上側にワイヤ電極8の走行経路を交差して水平に懸架される。シリンダ42は、走行経路を直接横切らないように配置され、ワイヤ電極8の走行を妨げない。シリンダ42は、駆動ブロック43と従動ブロック44の直線移動を案内する。パイプ状のシリンダ42の両端の開口は、図5に示されるように、エンドブロック51とエンドブロック52でそれぞれ塞がれている。したがって、シリンダ42の中空内部にシリンダ室が形成される。
駆動ブロック43は、回収装置40が初期状態にあるとき、エンドブロック52の側に配置されている。駆動ブロック43は、具体的には、図5に示されるように、スライダ組体53とシャフト組体54との二重構造になっていて、全体としてシリンダ42が突き抜けるように構成される。スライダ組体53とシャフト組体54は、永久磁石55およびヨーク56とによって、シリンダ42の壁を挟んで一体にされる。シャフト組体53は、実質的にエアシリンダのピストンに相当し、シリンダ室57とシリンダ室58を形成する。スライダ組体53とシャフト組体54には、摩擦係数が低く耐摩耗性に優れるアセタール樹脂のウェアリング59が施され、駆動ブロック43が円滑に摺動するようにされている。また、シリンダ室57とシリンダ室58の気密性を保持するため、ゴム製のシール60が設けられる。また、シール60によって、シリンダ42と駆動ブロック43との間に適度な摩擦力が与えられ必要な摺動抵抗が得られる。
圧縮空気供給装置45は、図示しないエアコンプレッサ、複数の電磁バルブ、スピードコントローラ、エアドライヤ、エアレギュレータなどを含み、シリンダ室56,57の一方のシリンダ室に圧縮空気を供給する一方、他方のシリンダ室にある空気を排気する。駆動ブロック43は、加圧された空気に押し出されて、シリンダ42を案内体として、シリンダ42の長手方向に直線移動する。このとき、シリンダ42の長さは、カッタ20と先端検出器29で定まるワイヤ電極8の切断片の長さよりも十分長くされている。
従動ブロック44は、回収装置40が初期の状態にあるとき、駆動ブロック43に対してワイヤ電極8の走行経路を挟んで反対側に所定の間隙を隔ててシリンダ42上に対向配置される。従動ブロック44には中空孔が穿設されていて、その中空孔にシリンダ42が貫通する。したがって、従動ブロック44は、圧縮空気供給装置45から供給される加圧された空気の力では移動することができず、駆動ブロック43に押し出されることでエンドブロック51の方向にスライドする。
従動ブロック44は、駆動ブロック43と同じように、アセタール樹脂のウェアリングによって円滑に摺動できるようにされる一方、ウレタンのような部材が設けられてシリンダ42と従動ブロック44との間に適度な摩擦力が与えられ、駆動ブロック43が移動可能な範囲で摺動抵抗を得ている。したがって、駆動ブロック43が往路を移動して従動ブロック44に付勢するときに、従動ブロック44がその勢いで滑動して、駆動ブロック43から離れて玉突きのように移動することが防止される。また、駆動ブロック43が復路を移動して初期の位置に停止するとき、一緒に引き戻される従動ブロック44が停止しないでそのまま滑動し続けて駆動ブロック43と衝突することが防止される。
回収装置40は、制御装置28からの指令信号に基づいて作動する。制御装置28は、予めプログラムされたシーケンスに従って圧縮空気供給装置45の電磁バルブを操作して、シリンダ42のシリンダ室58に加圧された空気を供給するとともにシリンダ室57を開放する。そのため、駆動ブロック43は、例えば、加圧された空気によってエンドブロック51の方向に押し出されようとするとき、駆動ブロック43のシャフト側組体54がシリンダ室57内の空気を加圧するが、シリンダ室57は開放されているために、シリンダ室57の空気は排気される。その結果、駆動ブロックは43は、加圧された空気が供給される方向に直線移動することができる。
保持ローラ23は、ワンウェイクラッチに接続されており、ワイヤ電極8の切断片を送り出す方向に回転が許容されている。したがって、駆動ブロック43と従動ブロック44に挟持されたワイヤ電極8の切断片は、保持ローラ23から引き出されて離れることができる。また、シリンダ42がカッタ20と先端検出器29の設置位置で定まる切断片の長さより十分長い長さを有している。したがって、駆動ブロック43と従動ブロック44に挟持された切断片は、ワイヤ電極8の走行経路上に残ることなく、走行経路から離れた位置にある回収箱41の直上まで完全に引き出される。
このように、回収装置40が初期状態にあるときの駆動ブロック43の初期の位置は、ワイヤ電極8の走行経路を挟んで回収箱41と反対の位置にある。この配置は、ワイヤ電極8の切断片を搬送するときの動作を単純にする上で有利である。具体的には、移動体の1つを直線に往復移動させるだけで、切断片を把持して搬送し排出することが可能になる。その結果、本発明のワイヤカット放電加工装置は、1つの駆動装置でワイヤ電極の切断片を排出することができる。言い換えれば、本発明のワイヤカット放電加工装置の回収装置は、ワイヤ電極の切断片を“引き込む”のではなく、“押し出す”ものであり、ワイヤ電極の切断片をクランプする動作と搬送する動作が別々に要求されない。
フック46は、駆動ブロック43に取付け固定される。フック46は、駆動ブロック43が復路を直線移動して初期の位置に戻るとき、従動ブロック44を引っかけて駆動ブロック43と従動ブロック44との間に形成される所定の間隙を維持したまま一緒に移動させる。フック46の水平板には孔が形成されており、回収装置40が初期の状態にあるときにワイヤ電極8の走行を妨げないようにされ、また撓みやすいワイヤ電極8の切断片が駆動ブロック43と従動ブロック44との間に形成される所定の間隙に確実に位置するように案内する。
駆動ブロック43に取り付けられているフック46は、従動ブロック44に固定されていないので、駆動ブロック43が往路を直線移動するとき、図3に示されるように、フック46と従動ブロック44との相対位置関係がずれる。駆動ブロック43が折り返して復路を直線移動して初期の位置に戻るときは、図4に示されるように、従動ブロック44は、駆動ブロック44に固定されたフック46の立板に引っ掛けられて駆動ブロック44に引っ張られ、駆動ブロック44と同じ方向に移動する。このとき、従動ブロック44は、シリンダ42に対して適度の摺動抵抗を有し所要の制動力が付与されているから、駆動ブロック43が初期の位置で停止するときに、従動ブロック44が滑り移動して駆動ブロック43と衝突することがなく、上記所定の間隙を隔てた位置で停止する。
カバー47は、回収箱41と一体で形成される箱状の筐体である。カバー47は、少なくとも、回収箱41の上側に位置するシリンダ42と、駆動ブロック43と、従動ブロック44と、フック46を覆う。好ましくは、図1ないし図4に示されるように、ワイヤ電極8の走行経路に位置するシリンダ42と、駆動ブロック43と、従動ブロック44を完全に覆う。そのため、殆どないことではあるが、万一ワイヤ電極8が十分に把持されていなかったとしても、カバー41が切断片を受け止める。したがって、切断片が被加工物7の上に落下することが防止される。また、切断片は走行経路から離されるので、少なくとも、切断片が走行経路上に残存することがない。
回動防止部材48は、駆動ブロック43に取り付けられる。回動防止部材48は、駆動ブロック43が円筒状のシリンダ42の軸廻りに回転することを防止する。回動防止部材49は、従動ブロック44に取り付けられる。回動防止部材49は、従動ブロック44がシリンダ42の軸廻りに回転することを防止する。回動防止部材49は、ボールプランジャ50のようなシリンダ42との間で摩擦力を与える部材の作用によってシリンダ42との間に所要の摺動抵抗を発生させて、従動ブロック44の移動が可能な範囲内で制動力を付与する。したがって、回動防止部材49は、従動ブロック44の滑り移動を規制する制動力を付与し、ボールプランジャ50を操作することによってその制動力を調整することができる滑動防止部材である。
従動ブロック44に制動力が与えられるとき、従動ブロック44の滑動が防止される。しかしながら、摺動抵抗が強すぎると、従動ブロック44がシリンダ42上を移動できなくなる。したがって、調整して得るべき所要の制動力は、従動ブロック44が直線移動可能な範囲であって、駆動ブロック43が従動ブロック44に付勢して駆動ブロック43と従動ブロック44との間でワイヤ電極8の切断片を挟持するとき、確実な切断片の保持力を得ることができ、かつ駆動ブロック43が初期の位置に戻って停止するとき、従動ブロック44を駆動ブロック43に衝突させずに初期の位置に確実に停止させることができる大きさである。
次に、本発明のワイヤカット放電加工装置における特にワイヤ電極8の切断片を回収するときの動作について説明する。ワイヤ電極8を巻取装置6まで結線するとき、ワイヤ電極8は、ワイヤボビン15から引き出され、複数のガイドローラ12とテンション機構13を通って送出ローラ22に挟持される。送出ローラ22は、ワイヤ電極8をガイドパイプ21に通過させる。ガイドパイプ21に導かれたワイヤ電極8は、ガイドパイプ21内に供給される加圧液体、例えば所定の圧力の加工液と一緒にガイドパイプ21を抜け出る。そして、ワイヤ電極8は、カッタ20と保持ローラ23を越え、保持ローラ20の直下にあるフック46に形成された貫通孔を通過する。
制御装置28に制御される送出ローラ22は、ワイヤ電極8が駆動ブロック43と従動ブロック44との間に形成されている初期の所定の間隙を通過して、回収装置40の下側に設けられた先端検出器29がワイヤ電極8の先端を検出したときに回転を停止する。このとき、フック46に貫通孔が形成されているので、ワイヤ電極8は、仮に撓んでいたとしても、上記所定の間隙から逸脱しない。その直後に保持ローラ23が閉じて、ワイヤ電極8を挟持する。
次に、送出ローラ22と保持ローラ23とでワイヤ電極8を保持したままワイヤ電極8にアニール電流を供給して焼鈍しながら、送出ローラ22を逆転させてワイヤ電極8を引っ張ることによって、ワイヤ電極8を真直にする。そして、保持ローラ23がワイヤ電極8を保持している状態で、カッタ20によって、ワイヤ電極8を切断する。したがって、このとき、保持ローラ23は、切断によって発生した不要なワイヤ電極8の切断片を保持している。
ワイヤ電極8が切断された後、駆動装置31が起動され、駆動ブロック43がワイヤ電極8の走行経路を直接横切らずに交差するように水平に懸架されているシリンダ42に沿って、図2に示される初期の位置から走行経路を略直角に横断してエンドブロック51の方向に往路を直線移動する。駆動ブロック43は、走行経路を横断するときに、そこにあるワイヤ電極8の切断片を移動方向に押し出す。従動ブロック44は、この時点で停止しているから、駆動ブロック43は、保持ローラ23に保持されているワイヤ電極8の切断片を従動ブロック44に強く付勢し、切断片が駆動ブロック43と従動ブロック44との間に挟み込まれる。
駆動ブロック43は、切断片を従動ブロック44に押し付けたままエンドブロック51によって制止されるまで従動ブロック44を押しながら移動し続ける。このとき、従動ブロック44に所要の制動力が与えられているので、切断片は、駆動ブロック43と従動ブロック44との間に所定の保持力で挟持されたまま、走行経路から離れた位置まで搬送される。保持ローラ23は、ワイヤ電極8の送出し方向への回転のみを許容するワンウェイクラッチに接続されているので、駆動ブロック43と従動ブロック44によって送出し方向に引っ張られるときは、保持ローラ23を開放することなく、切断片は、保持ローラ23を容易に抜け出て、回収箱41の方向に引き込まれていく。
ところで、実施の形態の保持装置は、ワイヤ電極8をアニールするために設けられた保持ローラ23であり、ワイヤ電極8の切断片を回収するために特別に設けられたものではない。しかしながら、保持ローラ23は、駆動ブロック43の動作をより単純にすることを助ける。保持ローラ23を設けない場合は、ワイヤ電極8を切断する前に、駆動ブロック43を従動ブロック44に付勢するまで移動させてから一旦停止させ、ワイヤ電極8を保持しておく。したがって、保持装置は、駆動ブロックを一旦停止させて切断片を保持する動作を不要にして、プロセスをより単純にすることができる利点がある。また、保持ローラは、ワンウェイクラッチに接続されているので、保持装置に複雑な開閉動作を要求しないから、ワイヤ電極の切断片を回収する動作やプロセスがより単純である。
駆動ブロック43は、図3に示されるように、エンドブロック51に回動防止部材49が到達したところで直線移動が規制されて停止する。このときの駆動ブロック43の移動ストローク、換言すれば、ストッパ51,52で規制されるシリンダ42の長さは、カッタ20と先端検出器29の位置で規定されるワイヤ電極8の切断片の長さよりも十分長くなるように設計されている。したがって、駆動ブロック43と従動ブロック44とで挟持されているワイヤ電極8の切断片は、カバー47で覆われた回収装置40の中に完全に引き込まれる。
図3に示される位置に到達した駆動ブロック43は、エンドブロック51で移動が規制されるシリンダ42の端部を折り返して、図2に示される初期の位置まで復路を直線移動する。駆動ブロック43が初期の位置の方向に戻るとき、駆動ブロック43に固定されているフック46も同じ方向に移動する。このとき、図4に示されるように、従動ブロック44は、シリンダ42との間の摺動抵抗によって停止したままであるので、駆動ブロック43から離れる。そのため、駆動ブロック43の付勢が解除されて駆動ブロック43と従動ブロック44との間に再び間隙が形成され、駆動ブロック43と従動ブロック44とで挟持されていたワイヤ電極8の切断片は、解放されて直下の回収箱41に落下する。
駆動ブロック43が所定の間隙だけ復路を直線移動すると、フック46の立板に従動ブロック44が引っ掛かり、従動ブロック44は、駆動ブロック43によって引き戻される。そして、駆動ブロック43は、従動ブロック44との間に再び初期の所定の間隙を維持した状態で復路を直線移動し、回動防止部材48がエンドブロック52で規制される初期の位置に到達したときに停止する。ボールプランジャ50によって予め調整された制動力が従動ブロック44に与えられているので、従動ブロック44は駆動ブロック43の方向に滑り移動せず、駆動ブロック43と従動ブロック44とは初期の所定の間隔が開いた状態を維持して停止する。
駆動ブロック43が初期の位置に戻った後、制御装置28の指令信号に従い送出ローラ22が再び駆動するとともに保持ローラ23を開放して、先端が整えられたワイヤ電極8が送り出される。同時に、ガイドパイプ21内に加圧流体が供給される。また、ガイドパイプ21は、ワイヤ電極8が送り出される速度と同じ速度で下降する。ワイヤ電極8の先端は、ガイドパイプ21と共にフック46に形成された貫通孔および駆動ブロック43と従動ブロック44との間に形成された所定の間隙を抜けて回収装置40を通過する。
ガイドパイプ21は、上側のガイドアッセンブリの位置で停止するが、ワイヤ電極8は、そのまま上側ワイヤガイド2を通過し、ガイドパイプ21から供給されている加圧流体およびジェットノズルによって供給されている加圧流体によって直進性を付与されながら、被加工物8に予め穿設されている加工開始孔に挿通される。なお、ガイドパイプ21が、ワイヤ電極8と共にガイドアッセンブリを通過して、被加工物7の上面まで移動する構成であるときは、上側ワイヤガイド2および通電体18がスライドする構成とし、予め上側ワイヤガイド2と通電体18を開放しておき、ガイドパイプ21がガイドアッセンブリを通過できるようにしておく。
加工開始孔に挿入され加工部位9を通過したワイヤ電極8の先端は、方向転換プーリ24に沿って移動し、搬送装置5に捕捉される。搬送装置5は、巻取装置6までワイヤ電極8を搬送する。巻取ローラ25は、ワイヤ電極8を挟持して巻き取る。その後、送出ローラ22は開放され、巻取ローラ25によってワイヤ電極8が走行する。このとき、テンション機構13と巻取ローラ25との間でワイヤ電極8に所定の張力が付与される。巻き取られたワイヤ電極8は、細断装置26で細かく切断され、バケット27に回収される。
ワイヤ電極8が加工中に加工部位9や通電体19の付近で断線することがある。ワイヤ電極8の断線は、断線検出器30で検知することができる。断線検出器30が断線を検出したとき、巻取ローラ25を直ちに停止させる。送出ローラ22が回転駆動しているときは、送出ローラ22も停止させる。ワイヤ電極8の走行が停止した後、搬送装置5と巻取ローラ25を駆動して、搬送装置5に残っている不要なワイヤ電極8をバケット27に回収する。そして、送出ローラ22を逆転させて先端検出器29がワイヤ電極8の先端を検出するまでワイヤ電極8を巻き上げる。
次に、上側ワイヤガイド2および自動結線装置4を含む加工ヘッドを加工開始孔もしくはすでに形成されている加工溝の直上に移動させる。それ以後は、すでに説明されたプロセスと同じようにカッタ20、保持ローラ23、および回収装置40を動作させてワイヤ電極8の先端を整えるとともに、不要になったワイヤ電極8の切断片を回収箱41に排出する。
本発明は、自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工装置に適用される。本発明の実施の形態は、各装置や部材の与えられている名称に関わらず、既にいくつか例示されているが、それぞれの装置や部材を本質的に必要な同じ作用をもたせて変形したり、同じ作用を有する装置や部材と置き換えたりすることができる。本発明のワイヤカット放電加工装置は、自動結線装置の構成を比較的簡単にし、その動作を簡素化することができる。そして、自動結線に要する時間を短縮することに役立てることができ、また、加工効率を向上させることに役立てることができる。
本発明のワイヤカット放電加工装置の全体構成を示す模式図である。 本発明のワイヤカット放電加工装置の回収装置の構成を示すものであって、駆動ブロックが初期の位置あるときの状態を示す斜視図である。 本発明のワイヤカット放電加工装置の回収装置の構成を示すものであって、駆動ブロックが回収箱の上側に位置するときの状態を示す斜視図である。 本発明のワイヤカット放電加工装置の回収装置の構成を示すものであって、駆動ブロックが回収箱の上側の位置から初期の位置に戻るときの状態を示す斜視図ある。 本発明のワイヤカット放電加工装置の回収装置における駆動部分の構成を示すものであって、一部部品が断面で示される側面図である。
符号の説明
1 供給装置
2 上側ワイヤガイド
3 下側ワイヤガイド
4 自動結線装置
5 搬送装置
6 巻取装置
7 被加工物
8 ワイヤ電極
20 カッタ(切断装置)
22 送出ローラ(送出装置)
23 保持ローラ(保持装置)
28 制御装置
29 先端検出器
30 断線検出器
31 駆動装置
40 回収装置
41 回収箱
42 シリンダ
43 駆動ブロック
44 従動ブロック
45 圧縮空気供給装置
46 フック(引掛体)
47 カバー(筐体)
49 回動防止部材(滑動防止部材)

Claims (8)

  1. 被加工物を挟んで設けられた上側ワイヤガイドと下側ワイヤガイドとの間にワイヤ電極を自動的に張架させる自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工装置において、前記上側ワイヤガイドの上側に設けられワイヤ電極を切断する切断装置と、前記上側ワイヤガイドと前記切断装置との間における前記ワイヤ電極の走行経路を横断して往復移動する駆動ブロックと、前記走行経路を挟んで前記駆動ブロックに所定の間隙をもって対向配置され前記駆動ブロックが往路を直線移動するときに前記駆動ブロックに押し出されて移動するとともに前記駆動ブロックとの間で前記走行経路にある前記切断片を挟持し前記駆動ブロックが復路を直線移動するときに前記駆動ブロックに引っ張られて前記所定の間隙を形成しながら移動する従動ブロックと、前記駆動ブロックが復路を移動するときに落下する前記切断片を収容する回収箱と、前記駆動ブロックを駆動する駆動装置を含んでなる自動結線装置を備えたワイヤカット放電加工装置。
  2. 前記駆動装置が、前記駆動ブロックを圧縮空気で駆動するエアシリンダである請求項1に記載のワイヤカット放電加工装置。
  3. 前記駆動装置が、前記切断片よりも長い長さを有するシリンダを有し、前記駆動ブロックを前記シリンダに案内されて往復移動するピストンとするロッドレスシリンダである請求項2に記載のワイヤカット放電加工装置。
  4. 前記駆動ブロックに固定され、前記駆動ブロックが復路を直線移動するときに前記従動ブロックを引っ掛けて移動させる引掛体を含んでなる請求項1に記載のワイヤカット放電加工装置。
  5. 少なくとも前記駆動ブロックと前記従動ブロックとを覆うとともに前記回収箱と一体に形成される筐体を含んでなる請求項1に記載のワイヤカット放電加工装置。
  6. 前記駆動ブロックの上側かつ前記切断装置の下側に設けられ、前記切断片を保持する保持装置を含んでなる請求項1に記載のワイヤカット放電加工装置。
  7. 前記保持装置が、ワンウェイクラッチに接続され前記ワイヤ電極の送出し方向にのみ回転が許容される保持ローラである請求項6に記載のワイヤカット放電加工装置。
  8. 前記従動ブロックの滑り移動を規制する制動力を付与し、その制動力を調整する滑動防止部材を含んでなる請求項1に記載のワイヤカット放電加工装置。

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