JP2005093294A - 二次電池用電極及びこれを用いた二次電池 - Google Patents

二次電池用電極及びこれを用いた二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】ニッケル−水素電池、リチウムイオン電池などの各種二次電池の高出力化、高容量化に対応し得る新規な電極であって、しかも、活物質の利用率が高く、且つ長寿命を有する二次電池用電極、及びこの電極を用いた二次電池を提供する。
【解決手段】 間隙率5〜40%、厚さ7〜50μmの金属箔を基材とすることを特徴とする二次電池用電極。
【選択図】なし

Description

本発明は、二次電池用電極及びこれを用いた二次電池に関する。
近年、携帯用機器、移動用機器などの多くの用途において、各種の二次電池が利用されている。例えば、携帯用、パソコン用等の小形機器用に用いられる二次電池としては、ニッケル-水素電池の他にリチウムイオン電池の使用が拡大している。
一方、高出力用の電源、例えば電動工具、シェーバ、リモコン玩具、掃除機等等の電源としては、主にニッケル-水素電池等が使われている。また、より高出力を要する用途と
して、最近注目されているエンジンと電池で駆動するハイブリッド車用の電池がある。ハイブリッド車は、省エネルギー性と低公害性が大きな特徴であり、自動車メーカーが商品化に積極的となっており、将来の広範囲な普及が期待されている。
このように、二次電池は、各種用途の電源として広範囲に用いられており、高容量、高出力等の特性に加えて、長寿命、低公害、信頼性、低コストなどの各種特性が要求され、ニッケル-水素電池やリチウムイオン電池についても開発や実用化が進められている。
これらの二次電池の内で、ニッケル-水素電池は、正極としてニッケル極を用い、負極
として水素を吸蔵、放出できる合金を充填した水素極を用いる電池であり、負極としては、通常、主にパンチングメタルからなる芯材に水素吸蔵合金粉末を含むペーストを塗布し、加圧して得られた電極が用いられている。
一方、正極のニッケル極については、活物質である水酸化ニッケルをコバルト化合物で被覆して導電性を向上させる等の改良がなされているが、それでも負極の活物質である金属と比較すると導電性が不十分である。このため、ニッケル極では、焼結体や発泡状多孔体に活物質を充填した三次元構造とすることによって、性能の向上、特に高容量化が図られている。
この様なニッケル−水素電池のニッケル極については、コストの点を考慮すると、スクリーン、エキスパンドメタル、パンチングメタルなどの二次元構造の多孔体を基体とすることが望まれる。しかしながら、二次元構造の基材では、利用率の向上や高容量化、高出力化などの要求には十分に対応できない。このため、例えば、パンチングメタル、エキスパンドメタル、発泡状金属多孔体等に導電性粉末と熱可塑性高分子からなる導電層を形成することや(下記特許文献1参照)、電極支持体を波型に加工し、その表面にニッケル、コバルトあるいは両者の混合物からなる微細凹凸層を形成すること等が提案されている(下記特許文献2参照)。更に、改良された焼結式ニッケル極や発泡状ニッケル極等も提案されている(下記特許文献3〜5参照)。
しかしながら、従来のニッケル極では、三次元構造の基体を用いる場合だけでなく、パンチングメタル等の二次元構造の基体を用いる場合であっても、孔の加工部に存在する突起やバリ等によって捲回時に短絡を生じる可能性がある。このために、短絡防止の必要性から、セパレータを十分に薄膜化することができない。現状では正極として焼結体や発泡体を用いることが多いため、セパレータとしては、0.12mm程度以上という比較的厚い不織布が用いられている。このため、ニッケル−水素電池では、セパレータの薄膜化による高容量化や高出力化には限界があるのが現状である。
一方、一般的なリチウムイオン電池は、基本構造としては、ニッケル-水素電池と同様
の円筒形や角形が採用されているが、使用する有機電解質の導電性が劣るために、薄い電極が使用され、更に、電極間の距離を小さくする必要があることから、極めて薄いセパレータが使用されている。
この場合、電極用の基材として、焼結体、発泡体等の三次元構造の基材やパンチングメタルのような二次元構造を用いると、捲回構造とした場合に、いわゆるバリなどにより、セパレータに破損が生じて短絡が生じるおそれがある。
このため、リチウムイオン電池では、電極基材としては、薄型化が可能で捲回時にバリの発生が無い金属箔が用いられている。例えば、正極としては、帯状のアルミニウム箔からなる基材を用い、この表面にコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウムなどの正極活物質を含む層を形成したものが用いられ、負極としては、主として帯状の銅箔からなる基材を用い、この表面に黒鉛などのカーボン材料からなる負極物質層を形成したものが用いられている(下記特許文献6及び7参照)。
そして、これらの正極と負極の間に薄い微孔性セパレータを挟んで、ニッケル−水素電池よりもはるかに多く捲回して渦巻状電極体とし、この電極体と電解液を電池容器に収容して電池が構成されている。
この様な構造のリチウムイオン電池については、金属箔を基材とすることによって薄膜化は可能であるが、更に、電極材料の利用率の向上や電極の長寿命化が望まれている。
特開平5-236190号公報 特開平7-155912号公報 特開平4-33803号公報 特開平9-3341139号公報 特開平9-341140号公報 特開平2002-216761号公報 特開平09-293498号公報
本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、ニッケル−水素電池、リチウムイオン電池などの各種二次電池の高出力化、高容量化に対応し得る新規な電極であって、しかも、活物質の利用率が高く、且つ長寿命を有する二次電池用電極、及びこの電極を用いた二次電池を提供することである。
本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねてきた。その結果、金属粉末又は金属繊維を加圧して得られる金属箔は、電解法や金属の圧延によって得られる金属箔とは異なり、極めて微細な凹凸を有し、間隙率が高いことを見出した。そして、斯かる金属箔を電極用基材として用い、これに活物質を含むペーストを塗布して電極とする場合には、電極用基材と活物質ペーストとの付着性が向上し、箔の間隙部には電解液が保持されて、活物質の利用率と寿命が向上することを見出した。しかも、この様な金属箔を電極用基材とする場合には、捲回構造の電極体とする場合であっても、基材にバリが生じることがなく、非常に薄いセパレータを使用できることから、二次電池の高出力化や高容量化が可能となることを見出した。本発明は、これらの知見の基づいて完成されたものである。
即ち、本発明は下記の電池用電極及び二次電池を提供するものである。
1. 間隙率5〜40%、厚さ7〜50μmの金属箔を基材とすることを特徴とする二次
電池用電極。
2. 間隙率5〜40%、厚さ7〜50μmの金属箔からなる電極用基材に、活物質を含むペーストを塗着させてなる二次電池用電極。
3. 金属箔が、金属粉末及び金属繊維から選ばれた少なくとも一種の原料を加圧して得られるものである請求項1又は2に記載の二次電池用電極。
4. 金属箔が、ニッケル、銅、アルミニウム及び鉄からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属からなるものである請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池用電極。
5. ニッケル−水素電池のニッケル極、ニッケル−水素電池の水素吸蔵合金電極、リチウムイオン電池の正極又はリチウムイオン電池の負極である請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池用電極。
6. 主としてニッケルからなる金属箔を基材とするニッケル−水素電池用のニッケル極である請求項5に記載の電極。
7. 主としてニッケル、銅及び鉄から選ばれた少なくとも一種の金属からなる金属箔を基材とするニッケル−水素電池用の水素吸蔵合金極である請求項5に記載の電極。
8. 主としてアルミニウムからなる金属箔を基材とするリチウムイオン電池用の正極である請求項5に記載の電極。
9. 主として銅からなる金属箔を基材とするリチウムイオン電池用の負極である請求項5に記載の電極。
10.請求項1〜9のいずれかに記載の電極を構成要素とする二次電池。
11.請求項1〜9のいずれかに記載された厚さ0.35mm以下の電極、及び厚さが0.1mm以下のセパレータを構成要素とする二次電池。
本発明の二次電池用電極では、電極用基材として、間隙率5〜40%、厚さ7〜50μmの金属箔を用いることが必要である。
この様な金属箔は、例えば、金属粉末及び金属繊維から選ばれた少なくとも一種を原料として、加圧して箔状とすることによって製造することができる。
原料として用いる金属粉末は、一般的には、ジェットミル粉砕などの機械粉砕によって製造することができる。また、酸化物の還元によって製造した金属粉末、カーボニルニッケル、カーボニル鉄なども用いることができる。金属粉末の粒径については、特に限定的ではないが、通常、平均粒径が0.1〜30μm程度であることが好ましく、0.5〜10μm程度であることがより好ましい。この場合、粒径が小さくなると、機械的強度が向上するが、コストが高くなる傾向がある。
金属繊維としては、特に限定的ではないが、長さ10〜40μm程度、直径1〜5μm程度のものが好ましい。
本発明では、金属粉末と金属繊維を、いずれか一方のみまたは両者を混合して原料として用いることができる。特に、金属粉末は、金属繊維と比較してコストが低い点で有利である。
金属の種類については、使用する電池の種類などに応じて適宜決めれば良く、例えば、ニッケル、銅、アルミニウム、鉄などを一種単独又は二種以上混合して用いることができる。具体的は、ニッケル−水素電池のニッケル極の基材としては、主としてニッケルからなる金属箔を用いることが好ましく、ニッケル−水素電池の負極の水素吸蔵合金極の基材としては、主としてニッケル、銅及び鉄から選ばれた少なくとも一種の金属からなる金属箔を用いることが好ましい。また、リチウムイオン電池の正極の基材としては、主としてアルミニウムからなる金属箔を用いることが好ましく、リチウムイオン電池の負極の基材としては、主として銅からなる金属箔を用いることが好ましい。尚、これらの各金属箔で
は、上記した主とする金属成分は、それぞれ金属箔中60重量%程度以上含まれることが好ましい。
金属箔を製造する方法としては、上記した金属粉末及び/又は金属繊維を原料として用い、加圧して所定の厚さの箔とすればよい。この際の圧力については、特に限定的ではないが、通常、10〜1000MPa程度の圧力とすればよい。
具体的な成形方法としては、例えば、加圧成形、ロール成形などの方法を適用できる。特に、加圧方法として、エンボス加工を行う場合には、型の突起部分で部分的に押さえながら全体を加圧することにより、加圧時の伸長を抑制でき、機械的強度を上げることができる。また、加圧後、例えば、400〜800℃程度で熱処理することによって、機械的強度を上げることも可能である。
上記した方法で得られる金属箔は、金属粉末及び/又は金属繊維を原料とし、これを加圧して得られるために、極めて微細な凹凸部を有し、従来のリチウムイオン電池の電極基材として用いられている金属箔と比較すると、非常に大きい間隙率を有するものである。本発明で用いる金属箔は、間隙率が5〜40%程度であることが必要であり、10〜30%程度であることが好ましい。この様な間隙率を有するこによって、該電極用基材と活物質ペーストとの付着性が向上し、金属箔の間隙部には電解液が保持されて、活物質の利用率と電極寿命が向上する。これに対して、間隙率が低すぎると、上記した効果が十分には発揮されず、一方、間隙率が高すぎると機械的強度、導電性などが不足するので好ましくない。
尚、本願明細書では、間隙率は、下記式に示す通り、マイクロメーターで測定した金属箔の厚さから求めた見掛けの体積と金属の比重の積から算出した重量(計算重量)と、実際の金属箔の重量(測定重量)との差を、計算重量で割った値である。
間隙率(%)=(計算重量―測定重量)×100/計算重量
本発明で用いる金属箔の厚さは、7〜50μm程度であることが必要であり、15〜30μm程度であることが好ましい。金属箔が薄すぎる場合には、機械的強度、導電性などが不足しやすく、一方、金属箔が厚すぎると電極に占める基材の割合が大きくなって容量密度が低下するので好ましくない。
本発明の二次電池用電極は、上記した間隙率5〜40%、厚さ7〜50μmの金属箔を基材として用い、これに活物質を含むペーストを塗着させて得られるものである。
本発明の二次電池用電極は、例えば、ニッケル−水素電池における正極(ニッケル極)、負極(水素吸蔵合金極)、リチウムイオン電池における正極、負極などの用途に適したものである。特に、ニッケル−水素電池のニッケル極とする場合には、従来のニッケル極では困難であったセパレータの薄膜化による高出力化が可能となる点で、非常に有用である。
活物質を含むペーストの組成については特に限定的ではなく、電極の種類に応じて、通常使用されている活物質を含むペーストを用いればよい。この様なペーストは、電極の種類によって異なるが、通常、活物質、導電剤、増粘剤、バインダー、溶媒などを含有するものである。
例えば、ニッケル−水素二次電池用のニッケル極では、活物質としては、通常、水酸化ニッケルを用いるが、特に、水酸化コバルト等のコバルト化合物で表面を被覆した水酸化ニッケルを用いることが好ましい。コバルト化合物で表面を被覆した水酸化ニッケルは、導電性が良好で、利用率や放電率も優れていることから、これを活物質とすることによっ
て、電極を薄くしても、良好な特性のニッケル極とすることができる。
バインダーとしても、電極の種類に応じて公知のバインダーを用いればよい。具体的には、耐アルカリ性、耐酸化性、結着性等に優れ、有害な化合物を発生することがないこと等の条件を満足するバインダーを適宜選択して用いればよい。例えば、ニッケル極のバインダーとしては公知のバインダーを用いることができるが、特に、ポリオレフィンが、性能と寿命の何れにも優れている点で好ましい。ポリオレフィンは、単独で用いる他に、フッ素樹脂と併用しても良い。
また、エマルジョンやディスパージョン状のバインダーではなく、溶液状のバインダー、例えば、ポリフッ化ビニリデンのN−メチルピロリドン溶液などを用いる場合には、一部のバインダー溶液が電極用基材の間隙部に浸入して、活物質と基材との結着性が向上して長寿命の電極とすることができる。
活物質を含むペーストを上記した金属箔に塗着させる方法については、特に限定は無く、ペースト式電極を作製するための公知の方法を適宜適用できる。例えば、金属箔にペーストを塗布した後、乾燥し、必要に応じて、所定の厚さとなるまで加圧し、乾燥することによって目的とする電極を得ることができる。
電極の厚さについては、0.35mm程度以下とすることが好ましい。本発明の電極は、上記した金属箔を電極用基材として用いることによって、非常に薄い厚さであっても、活物質ペーストの付着性が良好であり、十分な活物質の利用率と寿命を有するものとなる。その結果、0.35mm程度以下という非常に薄い電極とすることができ、これにより二次電池の高出力化、高容量化が可能となる。
本発明の電極を用いた二次電池の構成は、公知の二次電池と同様とすればよい。本発明の電極は、上記した特定の金属箔を基材として用いることにより、捲回構造としてもバリの発生が無い。このため、膜厚の薄いセパレータを用いて、電極群を捲回して構成する構造とする場合であっても、短絡することがない。この場合、特に、厚さ0.1mm程度以下、好ましくは0.04〜0.08mm程度という膜厚の薄いセパレータを用いることによって、高容量、高出力の二次電池とすることができる。セパレータの材質としては、通常ポリエチレンやポリプロピレン等が用いられる。
本発明の二次電池用電極は、微細な凹凸構造を有する金属箔を電極用基材として用いるものであり、活物質ペーストの付着性が良好であり、更に基材の間隙部には電解液が保持されるために、活物質の利用率が高く、長寿命を有する電極である。
また、基材として使用する金属箔は、捲回構造としてもバリの発生が無いために、膜厚の薄いセパレータを用いる場合であっても、短絡が生じることがない。このため、膜厚の薄いセパレータを用いて、電極群を捲回した構造とすることによって、高容量、高出力を有する二次電池とすることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
平均粒径8μmのカーボニルニッケル粉末60重量部と、ジェットミルで粉砕して得られた平均粒径3μmのニッケル粉末40重量部を十分に混合し、微細な凹凸を有するロールを用いて、約200MPaで加圧してエンボス加工を行い、ニッケル箔を得た。このニッケル
箔は、外観上は、通常のニッケル箔と同様であり、捲回時にセパレータを貫通するような凹凸やバリなどがないものであった。
得られたニッケル箔の厚さをマイクロメーターで計測した結果、平均28μmであった。
この測定値より求めたニッケル箔の体積とニッケルの比重8.9の積よりニッケル重量の計算値を求め、更に、ニッケル箔の重量を実測して、ニッケル箔の間隙率を求めた。その結果、上記したニッケル箔の間隙率は15%であり、極めて微細な凹凸を有するものであることが確認できた。尚、ニッケル箔の単位面積あたりの重量は202g/m2であった
一方、4重量%相当のオキシ水酸化コバルトで表面を被覆した水酸化ニッケル粉末を正極用活物質として用い、この水酸化ニッケル92重量部に、水酸化コバルト4重量部、カルボキシメチルセルロース水溶液1重量部、ポリエチレンエマルジョン2重量部、及びフッ素樹脂ディスパージョン1重量部を加えて、活物質を含むペーストを得た。
この様にして得られた活物質を含むペーストを、上記したニッケル箔にドクターナイフ法によって片面ずつ塗布した。その後乾燥し、ローラープレスで加圧して厚さを平均0.22mmとし、乾燥してペースト式ニッケル極を得た。このようにして得られたニッケル極をニッケル極aとする。
一方、比較のために、二次元構造で開孔度50%のニッケルめっきした鉄からなる厚さ のパンチングメタルを基材として用い、これに上記したものと同一の活物質ペーストを塗着させ、鋼製部材を用いて形成された間隔0.38mmのスリット間を通過させて、ペーストを平滑化した。乾燥後、ローラープレスで加圧して厚さを平均0.22mmとしてニッケル極を得た。このようにして得られたニッケル極をニッケル極bとする。
更に、汎用の発泡状ニッケル極について、活物質充填前に厚さを調整し、出来上がった発泡状ニッケル極の厚さを0.22mmにしてニッケル極を得た。このニッケル極をニッケル極cとする。
上記したニッケル極a〜cを正極として用い、以下の構造のニッケル−水素電池を作製した。
まず、MmNi系合金にAl、Mn及びCoを加えた公知の5元系水素吸蔵合金である
MmNiCoAlMn合金99重量部にカルボキシメチルセルロース水溶液を1重量部加えてペースト状とし、これを厚さ30μmの通常のニッケル箔に塗着させた。これを間隔0.22mmに設定した鋼製部材からなるスリット間を通過させ、乾燥した後、ローラープレスで加圧して厚さを0.17mmとして負極を作製した。この負極の実際の容量は、正極容量に対して170%とした。
セパレータとしては、厚さ0.07mmの親水処理を施したポリプロピレン製不織布を用い、電極群を捲回し、公知のSubCの電槽に挿入した。電解液として30%の水酸化カリウム水溶液に25g/リットルの水酸化リチウムを溶解した水溶液を添加した。封口
後、公知のタブレス方式で電池を作製した。
ニッケル極aを用いて得られた電池を電池A、ニッケル極bを用いて得られた電池を電池B、ニッケル極cを用いた電池を電池Cとする。
ただし、電池Cについては、100セル製造したところ約30%のセルに短絡が認められた
ので、厚さ0.12mmの同じ組成のセパレータに変更した。
この様にして得られた電池A、B、Cについて、0.1Cで容量の150%充電、0.1Cで終
止電圧0.9Vまでの放電を3回繰り返して化成処理とした。その後、各電池の完全充電での0.1C放電における容量を調べた結果、電池Aが3.32Ah、電池Bが3.30Ah、電池Cが3.10Ahであった。
次いで、1CのΔV-5mV方式による充電と、1Cで終止電圧0.95Vまでの放電からなる
充放電サイクルを周囲温度30℃で繰り返した。40サイクル付近で行った各放電電流における放電容量の測定結果を表1に示す。この放電の前の充電は放電容量の120%とし、周囲温度は30℃とした。なお、放電電流5Aまでは、0.9V、それ以上の放電電流では0.7Vを終止電圧とした。
Figure 2005093294
表1から明らかなように、本発明方法によって得られたニッケル極aを用いた電池Aは、
特に大電流放電において優れた利用率を示すことがわかる。なお、電池Bについては、放電電流の増加とともに容量が大きく低下した。電池Cはセパレータが厚く、正極負極の極間距離が大きいために、同じ終止電圧では、電池Aと比較して放電電流が大きい場合に容量低下が大きい結果であった。
次いで、電池A、B、Cについて、放電電流と放電平均電圧(中間値)の関係を下記表2
に示す。この場合も、測定前の充電は、周囲温度30℃において放電容量の120%まで行い、測定は、80サイクル付近で行った。
Figure 2005093294
表2から明らかなように、電池Aは、各放電電流において、電池B及び電池Cよりも高い
放電電圧を示し、高出力特性に優れていることがわかる。一方、汎用のパンチングメタルを電極基材とした電池Bは活物質の利用率が低いために電圧特性が劣り、電池Cは極間距離が大きいために高放電電流における電圧低下が大きい結果であった。
つぎに、各電池の寿命を調べた。方法としては、1CのΔV-5mV方式による充電と、1Cで終止電圧0.95Vの放電からなる充放電サイクルを周囲温度30℃で繰り返した。
サイクル数と容量維持率の関係を下記表3に示す。容量維持率は、10サイクルでの容
量を100とした場合の各サイクル数における容量で表す。
Figure 2005093294
以上の結果から明らかなように、ニッケル極aを用いた電池Aは、電池Bよりもはるかに
長寿命であり、高価な発泡状ニッケル極と同程度の寿命を有するものであった。
電池Bと比較して電池Aのサイクル特性が優れているのは、ニッケル極bは、多孔体の基材を用いているために活物質層と基材との距離が大きい部分があり、導電性の点で劣り、また活物質が脱落しやすいのに対して、ニッケル極aは、基材面に大きな孔は全く無く、活物質と基材との接触度が高く、導電性に優れ、活物質の脱落が抑制されていること等によるものと考えられる。
実施例2
ジェットミル粉砕により得た平均粒径3μmの銅粉末を、平滑な面を持つロールで板状に加圧した後、分解アンモニア雰囲気中600℃で15分熱処理して銅箔を得た。この銅箔は、外観上は、通常の銅箔と同様であり、捲回時にセパレータを貫通するような凹凸やバリなどがないものであった。
得られた銅箔をマイクロメーターで計測した結果、厚さは平均18μmであった。この測定値より求めた銅箔の体積と銅の比重の積より銅箔の計算値を求め、更に、銅箔の重量を実測して、これに基づいて銅箔の間隙率を求めた。その結果、上記した銅箔の間隙率は13%であり、極めて微細な凹凸を有するものであることが確認できた。尚、該銅箔の単位面積あたりの重量は190g/m2であった。
得られた銅箔を負極用基材として用いて、下記の方法でリチウムイオン電池を作製した。
まず、天然黒鉛93重量部に対して、ポリフッ化ビニリデン量が7重量部となるようにポリフッ化ビニリデンのN−メチルピロリドン(NMP)溶液を加え、混練して、負極用活物質を含むペーストを調製した。このペーストを、上記した銅箔の両面に塗工し、乾燥し、圧縮して厚さ0.21mmとし、これを50×300mmに切断して負極を得た。この負極を
負極dとする。
また、メソフェーズビッチ黒鉛粉末92重量部に対して、バインダとして、N、Nジメチルホルムアミドとポリフッ化ビニリデンを合計として8重量部加えて負極用活物質を含むペーストを調製した。このペーストを、上記した銅箔の両面に塗工し、乾燥し、圧縮して厚さ0.2mmとし、これを 50×300mmに切断して負極を得た。この負極を負極eとする。
比較として、圧延法で得られた間隙部を含まない銅箔を基材として用い、その他は負極d及びeと同様にして負極を得た。これらの負極を、それぞれ負極d´及びe´とする。対極として用いる正極としては、活物質であるLiCoO290重量部対して、黒鉛導電剤
を5重量部とポリフッ化ビニリデンを溶解したNMP溶液をポリフッ化ビニリデン量として5重量部となるように加えてペーストを調製し、これを厚さ20μmのアルミニウム箔
の両面に塗布して乾燥、加圧して得られた厚さ0.18mmの電極を用いた。
なお、負極では、銅箔にアルミニウムリボンをカシメ圧着してリードとし、正極ではアルミニウム箔にアルミニウムリボンをカシメ圧着してリードとした。
次いで、金属電槽に、底部絶縁板と、正極、セパレータ及び負極からなる電極群を挿入し、負極リード板を電槽に溶接した後、絶縁板を装着し電槽に溝入れを行った。その後、正極リード板を、絶縁板の孔を通して封口体に溶接し、電解液を注入した。電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の55:45混合溶媒に、支持電解質としてLiPF6を1mol/リットル溶解したものを用いた。電解液を注入
した後、電槽の開口部については、絶縁パッキングを介して封口体で覆い、圧着し封口して、リチウムイオン電池を得た。負極d、e、d´及びe´を用いて得られた電池を、それぞれ電池D、E、D´及びE´とする。
上記した方法で得られた各リチウムイオン電池について、充放電サイクル試験により、電池寿命を調べた。試験方法としては、1C(550mA)の定電流で充電した後、4.15Vの定電圧充電を3時間行い、15分間休止した後、1C(550mA)の定電流で2.75Vになるまで放電し、15分間休止後に、次の充電に入るサイクルを繰り返して、放電容量の変化を調べた。結果を表4に示す。
Figure 2005093294
表4から明らかなように、間隙部を有する銅箔を負極用基材とした電池D及びEは、間隙部のない銅箔を負極用基材とした電池D´及びE´と比較して、充放電サイクルを繰り返した際の容量低下が少ないことがわかる。
これは、電池D及びEでは、間隙部を有する負極基材を用いたことにより、負極の内部まで電解液が保持されていることが一因であると考えられる。
また、充放電を繰り返した後、電池を分解したところ、電池D´とE´の負極では、負極構成材料が一部剥離していたのに対して、電池D及びEでは、負極構成材料の剥離は認められなかった。これは、電池D及びEで用いた負極用基材は、表面に微細な凹凸があり、これが負極構成材料の結着性の低下を抑制したことや、溶液状のバインダーを用いたことにより、その一部がペースト塗着時に、負極用基材の間隙部に滲入し、基材と活物質層の結着性を高めたことなどによるものと思われる。
次に、充放電サイクルにおける高出力特性の持続性を調べるために、充放電サイクルを繰り返した際の高放電電流における容量維持率を調べた。結果を表5に示す。表5では、5サイクルにおける0.1C放電容量を100とした場合の各サイクルにおける2C放電
容量(終止電圧2.2V)を示す。
Figure 2005093294
表5から明らかなように、充放電サイクルの初期では、容量維持率に大きな差は無いが、100サイクル以降では、間隙部を有する銅箔を用いた電池D及びEが高い容量維持率を示すことがわかる。

Claims (11)

  1. 間隙率5〜40%、厚さ7〜50μmの金属箔を基材とすることを特徴とする二次電池用電極。
  2. 間隙率5〜40%、厚さ7〜50μmの金属箔からなる電極用基材に、活物質を含むペーストを塗着させてなる二次電池用電極。
  3. 金属箔が、金属粉末及び金属繊維から選ばれた少なくとも一種の原料を加圧して得られるものである請求項1又は2に記載の二次電池用電極。
  4. 金属箔が、ニッケル、銅、アルミニウム及び鉄からなる群から選ばれた少なくとも一種の金属からなるものである請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池用電極。
  5. ニッケル−水素電池のニッケル極、ニッケル−水素電池の水素吸蔵合金電極、リチウムイオン電池の正極又はリチウムイオン電池の負極である請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池用電極。
  6. 主としてニッケルからなる金属箔を基材とするニッケル−水素電池用のニッケル極である請求項5に記載の電極。
  7. 主としてニッケル、銅及び鉄から選ばれた少なくとも一種の金属からなる金属箔を基材とするニッケル−水素電池用の水素吸蔵合金極である請求項5に記載の電極。
  8. 主としてアルミニウムからなる金属箔を基材とするリチウムイオン電池用の正極である請求項5に記載の電極。
  9. 主として銅からなる金属箔を基材とするリチウムイオン電池用の負極である請求項5に記載の電極。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の電極を構成要素とする二次電池。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載された厚さ0.35mm以下の電極、及び厚さが0.1mm以下のセパレータを構成要素とする二次電池。
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