JP2005090754A - 流体軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 流体軸受装置の低コスト化を図ると共に、静電気の帯電を防止する。
【解決手段】 ハウジング7の内部に軸受スリーブ8を固定し、軸受スリーブ8の内周面8aに軸部材2を挿入する。軸受スリーブ8の内周面8aと軸部材2の外周面2aとの間の軸受隙間に、潤滑油の動圧作用で圧力を発生させて軸部材2をラジアル方向で非接触支持する。軸部材2の軸端部2bをハウジング底部7cと接触させて通電可能とすると共に、ハウジング7をカーボンナノファイバーを配合した導電性樹脂組成物で形成し、その体積固有抵抗106Ω・cm以下に設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の油膜によって回転部材を非接触支持する流体軸受装置に関する。この軸受装置は、情報機器、例えばHDD、FDD等の磁気ディスク装置、CD−ROM、CD−R/RW、DVD−ROM/RAM等の光ディスク装置、MD、MO等の光磁気ディスク装置などのスピンドルモータ、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ、あるいは電気機器、例えば軸流ファンなどの小型モータ用として好適である。
上記各種モータには、高回転精度の他、高速化、低コスト化、低騒音化などが求められている。これらの要求性能を決定づける構成要素の一つに当該モータのスピンドルを支持する軸受があり、近年では、上記要求性能に優れた特性を有する流体軸受の使用が検討され、あるいは実際に使用されている。
この種の流体軸受は、軸受隙間内の潤滑油に動圧を発生させる動圧発生手段を備えたいわゆる動圧軸受と、動圧発生手段を備えていない、いわゆる真円軸受(軸受面が真円形状である軸受)とに大別される。
例えば、HDD等のディスク装置のスピンドルモータやレーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータに組込まれる流体軸受装置では、ハウジングの内周に軸受スリーブを固定すると共に、軸受スリーブの内周に軸部材を配置した構造が知られている(特開2002−61636号公報等参照)。この軸受装置では、軸部材の回転により、軸受スリーブの内周と軸部材の外周との間のラジアル軸受隙間に流体の動圧作用で圧力を発生させ、この圧力で軸部材をラジアル方向に非接触状態で支持する。
特開2002−61636公報
従来、上記流体軸受装置のハウジングとしては、真鍮や銅等の金属の旋削品が使用されている。しかしながら、金属の旋削品では製作コストが高騰し、軸受装置の低コスト化を図る上で障害となる。
その一方、上記構造の流体軸受装置では、その回転時に軸部材とハウジングの間が潤滑油によって絶縁されるため、磁気ディスク等の回転体と空気との摩擦によって発生した静電気が逃げることができず、回転体に帯電しやすい。この帯電を放置すると、磁気ディスクと磁気ヘッドの間で電位差を生じたり、静電気の放電により周辺機器が損傷する等の不具合を招くおそれがある。
そこで、本発明は、低コスト化を達成でき、かつ静電気の帯電を確実に防止することのできる流体軸受装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するため、本発明にかかる流体軸受装置は、ハウジングと、ハウジングの内部に配置された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周面に挿入された軸部材と、軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の油膜で、軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部とを有するものであって、さらに軸部材とハウジングとの間を通電可能とする通電手段を備え、かつハウジングが、通電性のある樹脂で形成され、ラジアル軸受部が、ラジアル軸受面を複数の円弧で形成した多円弧軸受であることを特徴とするものである。
このようにハウジングを樹脂製とすれば、これを射出成形等の型成形により高精度かつ低コストに成形することが可能となる。特にハウジングを、軸受スリーブをインサート部品として樹脂の型成形(インサート成形)で形成すれば、ハウジングと軸受スリーブの組立作業が不要となるので、組立コストのさらなる低減を図ることができる。
その一方、一般に樹脂は絶縁材料であるため、上記樹脂製ハウジングでは、帯電した静電気をハウジングを通じて接地側に放電させることができず、静電気の帯電が問題となる。この対策として、軸部材とハウジングとの間に、これらの間を通電可能とする通電手段を設け、さらにハウジングを通電性のある樹脂(導電性樹脂組成物)で形成すれば、軸部材と軸受スリーブとの相対回転時、ディスク等に蓄積された静電気を、軸部材、通電手段、さらにはハウジングを経て接地側の部材(ケーシング6等)に放電させることが可能となり、静電気の帯電を確実に防止することができる。
この場合、ハウジングは、体積固有抵抗106Ω・cm以下の導電性樹脂組成物で形成するのが望ましい。体積固有抵抗が106Ω・cmを超えると、ハウジングの導電性が不十分となるため、通電手段で軸部材とハウジングの間の通電性が確保されていても静電気を接地側に放電することが難しくなる。
通電手段の具体例として、例えば導電性の潤滑油を使用することができる。この潤滑油は軸受隙間を満たすものであるから、静電気は、軸部材→潤滑油→軸受スリーブ(通常は導電性を有する焼結合金や軟質金属で形成される)→ハウジングというルートを通って接地側に放電される。このルートの他、軸受スリーブを経ることなく、軸部材→潤滑油→ハウジングというルートを経て放電される場合もある。
また、通電手段として、軸部材をスラスト方向に接触支持するスラスト軸受部を使用することもできる。この場合、静電気は、主として軸部材→スラスト軸受部→ハウジングというルートを通って接地側に放電される。また、導電性の潤滑油も併せて使用することもでき、この場合、静電気は、軸部材から潤滑油を通ってハウジングに至るルートによっても放電されることとなる。
ハウジングの導電性を確保する手段として、基材樹脂に導電化剤として金属粉や炭素繊維を配合することも考えられる。しかしながら、これらの導電化剤は、一般に粒径や線径が数十μm〜数百μm程度に達する大径であり、しかも導電性確保のために配合量を多くする必要がある。そのため、樹脂の流動性が低下して成形品の寸法精度が悪化したり、ハウジングが他部材と摺動する際(例えばハウジング内周に軸受スリーブを圧入する際、あるいはハウジングをモータに組み付ける際)にこれら導電化剤が基材樹脂から脱落し、コンタミネーション発生の要因となるおそれがある。
これに対し、ハウジングを、平均粒径が1μm以下の粉末状導電化剤を8重量%以下配合し、あるいは平均線径が10μm以下で平均繊維長が100μm以下の繊維状導電化剤(例えば炭素繊維)を20重量%以下配合した導電性樹脂組成物で形成すれば、導電化剤の径が小さく、かつ配合量も少なくて済むことから、溶融状態で良好な流動性を確保でき、かつ導電化剤が基材樹脂から脱落しにくくなり、コンタミネーションの問題を回避することができる。
導電化剤としては、カーボンナノマテリアルを使用するのが望ましい。カーボンナノマテリアルは、従来から導電化剤として用いられているカーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、金属粉などと比較して、次のような特徴を有する。
(1)高い導電性を有し、少量の添加で良好な導電性が得られる。
(2)高アスペクト比を有するため、マトリックス中で分散されやすい。また、アブレッシブ摩耗に強く、摩擦による脱落が少ない。
(3)添加量が少なくてすむため、樹脂本来の物性を損なうことがなく、溶融状態における樹脂の流動性も良好である。
(4)不純物が少なく、従来の導電化剤(特に炭素系)に比べてアウトガスが少ない。
従って、ハウジングを、導電化剤としてカーボンナノマテリアルを配合した導電性樹脂組成物で形成すれば、樹脂の流動性低下やコンタミネーションの発生を回避しつつ、ディスク等に帯電した静電気を確実に接地側に放電することができる。具体的には、導電性樹脂組成物におけるカーボンナノマテリアルの配合量を1〜10wt%に設定すれば、上記体積固有抵抗値(106Ω・cm以下)を実現することができる。
カーボンナノマテリアルとしては、カーボンナノファイバーやC60に代表されるフラーレンなどが有名である。このうち、フラーレンは一般に絶縁体であるので、本発明では良好な導電性を有するカーボンナノファイバーを使用するのが望ましい。ここでいうカーボンナノファイバーには、直径が40〜50nm以下の「カーボンナノチューブ」と呼ばれるものも含まれる。
このカーボンナノファイバーの具体例として、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カップ積層型カーボンナノファイバー、あるいは気相成長炭素繊維などが知られているが、本発明では、これら何れのカーボンナノファイバーも使用することができる(これらを一種のみ使用するほか、二種以上の混合物として使用することもできる)。
これらのカーボンナノファイバーは、アーク放電法、レーザ蒸着法、あるいは化学的気相成長法などによって製造することができる。
軸受の運転中、ハウジングは発生した熱により昇温されるが、その際の膨張量が大きいと軸受スリーブの変形を招き、動圧溝の精度を低下させるおそれがある。かかる事態を防止するため、ハウジングは線膨張係数、特に径方向の線膨張係数が5×10-5/℃以下の樹脂組成物で形成するのが望ましい。
軸受スリーブは、金属の他、体積固有抵抗が106Ω・cm以下の上記各種導電性樹脂組成物で形成することもできる。これにより軸受スリーブの導電性が確保されるので、ディスク等に蓄積した静電気を導電性のハウジングを介して確実に接地側に放電することが可能となる。
以上のように、本発明によれば、軸受装置の低コスト化を図ることができる。また、静電気の帯電を確実に防止することができるので、この軸受装置を搭載した情報機器、例えばディスク装置のスピンドルモータの動作安定性を高めることができる。
以下、本発明の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
図3は、この実施形態にかかる流体軸受装置1を組み込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に非接触支持する流体軸受装置1と、軸部材2に圧入等の手段で装着されたディスクハブ3と、半径方向のギャップを介して対向させたモータステータ4およびモータロータ5とを備えている。ステータ4はケーシング6の外周に取り付けられ、ロータ5はディスクハブ3の内周に取り付けられる。流体軸受装置1のハウジング7は、ケーシング6の内周に装着される。ディスクハブ3には、磁気ディスク等のディスクDが一または複数枚保持される。ステータ4に通電すると、ステータ4とロータ5との間の励磁力でロータ5が回転し、それによってディスクハブ3および軸部材2が一体となって回転する。
図1は、上記流体軸受装置1の拡大断面図である。図示のように、この流体軸受装置1は、ハウジング7と、円筒状の軸受スリーブ8と、軸部材2とを主要な構成部品としている。なお、以下の説明では、ハウジング7の開口側(シール側)を上方とし、ハウジング7の閉塞側を下方として説明を進める。
軸部材2は、ステンレス鋼等の導電性の金属材で形成される。軸部材2の軸端部(図示例では下端)は球面状に形成され、その軸端部2bをハウジング7の底部7cで接触支持することにより、軸部材2をスラスト方向に支持するピボット型のスラスト軸受部Tが構成される。スラスト軸受部Tの接触部分は、後述するように軸部材2とハウジング7の間での通電を確保する通電手段としても機能する。図示のように、軸部材2の軸端部2bをハウジング底部7cの内側面7c1に直接接触させる他、ハウジング底部7cに低摩擦性の適宜の材料(樹脂等)からなるスラストプレートを配置し、これに軸端部2aを摺接させることもできる
軸受スリーブ8は、ハウジング7の内周面、より詳細には側部7bの内周面7b1の所定位置に圧入等の手段で固定される。軸受スリーブ8のハウジング内周への固定方法は、両者間が通電状態となる限り特に問わず、部分的に接着することにより固定することもできる。
軸受スリーブ8は、焼結金属からなる多孔質体で円筒状に形成される。焼結金属としては、例えば、銅、鉄、及びアルミニウムの中から選択される1種以上の金属粉末、若しくは銅被覆鉄粉などの被覆処理を施した金属粉末や合金粉末を主原料とし、必要に応じて、すず、亜鉛、鉛、黒鉛、二硫化モリブデン等の粉末又はこれらの合金粉末を混合し、成形し、焼結して得られたものを用いることができる。このような焼結金属は、内部に多数の気孔(内部組織としての気孔)を備えていると共に、これら気孔が外表面に通じて形成される多数の開孔を備えている。この焼結金属は、潤滑油や潤滑グリースを含浸させた含油焼結金属として用いられる。なお、焼結金属に限らず、軟質金属等の他の金属材料で軸受スリーブ8を形成することも可能であるが、少なくとも導電性の金属材料で形成するのが望ましい。
軸受スリーブ8の内周面8aと軸部材2の外周面2aとの間には、第一ラジアル軸受部R1と第二ラジアル軸受部R2とが軸方向に離隔して設けられる。軸受スリーブ8の内周面8aには、第一ラジアル軸受部R1と第二ラジアル軸受部R2のラジアル軸受面となる上下二つの領域が軸方向に離隔して設けられ、これら二つの領域には、動圧発生手段として、例えばヘリングボーン形状の動圧溝がそれぞれ形成される。尚、動圧発生手段として、スパイラル形状や軸方向の溝を形成したり、あるいはラジアル軸受面を非真円形状(例えば複数の円弧で形成する)にすることもできる。また、ラジアル軸受面となる領域は、軸部材2の外周面2aに形成することもできる。
ハウジング7は、上記軸受スリーブ8をインサート部品として、66ナイロン、LCP、PES等の樹脂材料を射出成形(インサート成形)することにより形成される。このようにして形成されたハウジング7は、一端を開口すると共に、他端を閉じた有底筒状で、円筒状の側部7bと、側部7bの上端から内径側に一体に延びた環状のシール部7aと、側部7bの下端と一体に連続した底部7cとを備えている。シール部7aの内周面7a2は、軸部材2の外周面2aと所定のシール空間Sを介して対向する。尚、この実施形態では、シール部7aの内周面7a2と対向してシール空間Sを形成する軸部材2の外周面2aを、上方(ハウジング7の外方向)に向かって漸次縮径するテーパ形状に形成している。軸部材2と軸受スリーブ8の相対回転時(本実施形態では軸部材2の回転時)、テーパ形状の外周面2aは、いわゆる遠心力シールとしても機能する。シール空間Sは、このようなテーパ状の空間とする他、軸方向で同径の円筒状に形成することもできる。
この樹脂製ハウジング7の線膨張係数が大きいと、軸受運転中に発生した熱で昇温したハウジング7が膨張して軸受スリーブ8を変形させ、これによって内周面8aに形成した動圧溝の精度が低下するおそれがある。かかる事態を防止するため、ハウジング7は径方向の線膨張係数が5×10-5/℃以下の樹脂組成物で形成するのが望ましい。
軸部材2は、軸受スリーブ8の内周面8aに挿入され、軸端部2bをハウジング底部7cの内側面7c1に接触させている。シール部7aで密封されたハウジング7の内部空間には潤滑油が給油され、ラジアル軸受部R1、R2のラジアル軸受隙間がそれぞれ潤滑油で満たされている。
軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aのラジアル軸受面となる領域(上下二箇所の領域)は、それぞれ軸部材2の外周面とラジアル軸受隙間を介して対向する。そして、軸部材2の回転に伴い、ラジアル軸受隙間に潤滑油の油膜が形成され、その動圧で軸部材2がラジアル方向に回転自在に非接触支持される。これにより、軸部材2をラジアル方向に回転自在に非接触支持する第一ラジアル軸受部R1と第二ラジアル軸受部R2とが構成される。一方、軸部材2は、スラスト方向でピボット形式のスラスト軸受部Tによって回転自在に支持される。
本発明では、上述のようにハウジング7を樹脂製としているが、この樹脂製ハウジング7は、溶融状態の樹脂材料に導電化剤を配合することにより導電性を持つように形成される。導電性の良否は、ハウジング7の体積固有抵抗で評価することができ、本発明においては、体積固有抵抗が106Ω・cm以下となるように導電化剤が配合される。ここで、体積固有抵抗とは、1cm×1cm×1cmの物体を電流が流れる時の抵抗をいい、単位長さを辺とする立方体の対向する面
間の抵抗で定義される。
なお、軸部材2の軸端部2bをスラストプレートに接触させる場合、スラストプレートも同様に導電化剤を配合した樹脂、もしくは導電性の金属で形成する。
導電化剤としては、粉末状あるいは繊維状のものを使用することができる。導電化剤の粒径が大きすぎたりその配合量が多すぎる場合、ハウジング7を射出成形する際に樹脂の溶融流動性が低下し、成形品の寸法精度が低下したり、ハウジング7をケーシング9の内周に圧入する際等に作用する摺動摩擦により基材樹脂から導電化剤が脱落し、コンタミネーションの問題が発生するおそれがある。本発明者が検討した結果、粉末状の導電化剤を使用する場合は、平均粒径が1μm以下のものを8重量%以下(望ましくは5重量%以下)配合し、繊維状の導電化剤を使用する場合は、平均線径が10μm以下で繊維長が100μm以下のものを20重量%以下(望ましくは15重量%以下)配合すれば、上記不具合を回避できることが判明した。
上記の条件を満たす導電化剤の一例として、カーボンナノマテリアル、特にカーボンナノファイバーを挙げることができる。この導電化剤1〜10重量%、好ましくは2〜7重量%を基材樹脂に配合することにより、少ない配合量でもハウジング7に高い導電性(体積固有抵抗106Ω・cm以下)を付与することができる。
カーボンナノファイバーとしては、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)、カップ積層型カーボンナノファイバー、あるいは気相成長炭素繊維(VGCF)などが使用可能である。ちなみにSWCNTは外径0.4〜5nmで、長さ1〜数十μm、MWCNTは外径10〜50nm(内径3〜10nm)で、長さ1〜数十μm、カップ積層型カーボンナノファイバーは外径0.1〜数百μm、長さ25〜30cmである。
軸部材2の回転中は、空気との摩擦で磁気ディスクDに静電気が生じる。上述のように本発明ではハウジング7に導電性を持たせているため、この静電気は、ディスクハブ3、軸部材2、軸端部2bとハウジング底部7cの接触部、ハウジング7を経てケーシング9に伝わり、接地側に放電される。これにより、磁気ディスクDの帯電を確実に防止することができ、磁気ディスクDと磁気ヘッドとの間の電位差の形成や、蓄積した静電気の放電による機器の損傷を防止することができる。
なお、通電手段として、上記スラスト軸受部Tに加え、導電性の潤滑油を使用すれば、軸部材2とハウジング7との間の通電が、軸端部2bとハウジング底部7cとの接触部だけでなく、潤滑油、並びに潤滑油と軸受スリーブ8を介しても行われるので、静電気の帯電防止機能をさらに高めることができる。
ハウジング7は、インサート成形の他、上記樹脂材料の射出成形(インサート部品を使用しない)で形成することもできる。図2は、その一例で、ハウジング7の少なくとも側部7bを樹脂で円筒状に射出成形したもので、この場合、底部7cは樹脂または他の材料(金属等)からなる別部材で形成される。側部7bの一端開口部に底部7cを圧入、接着、あるいは溶着等の手段で固定することにより、有底円筒状のハウジング7が形成される。側部7bの内周面には軸受スリーブ8が圧入等の手段で固定されている。さらに側部7cの他端開口部にシール部材10を固定することにより、その内周面10aと軸部材2の外周面との間にシール空間Sが形成される。
この構成でもハウジング7を形成する樹脂材料に上記導電化剤を配合することにより、ハウジング7に導電性を付与することができ、高い帯電防止機能を得ることができる。
図1に示す実施形態では、スラスト軸受部Tとして、軸部材2の端部を接触支持するピボット軸受を例示しているが、この軸受部Tとしては、ラジアル軸受部R1、R2と同様に、動圧溝等の動圧発生手段により軸受隙間(スラスト軸受隙間)に生じた潤滑油の動圧効果で圧力を発生させ、この圧力で軸部材2をスラスト方向で非接触支持する動圧軸受を使用することもできる。
図2は動圧軸受からなるスラスト軸受部Tの一例を示すもので、軸部材2に軸部2cとフランジ部2dとを設け、軸受スリーブ8の端面8cとフランジ部2dの上端面2d1との間、およびハウジング底部7cの内側面7c1とフランジ部2dの他端面2d2との間にそれぞれスラスト軸受隙間を形成した例である。動圧発生手段としての動圧溝は、軸受スリーブ端面8cとフランジ部上端面2d1の何れか一方、およびハウジング底部7cの内側面7c1とフランジ部下端面2d2の何れか一方に形成することができる。
この場合、軸部材2の回転中は、軸部材2はハウジング7および軸受スリーブの双方と非接触状態となるが、通電手段として導電性の潤滑油を使用することにより、軸部材2とハウジング7の間で通電させることが可能となる。すなわち、軸部材2の静電気は、軸受隙間(ラジアル軸受隙間のみならずスラスト軸受隙間も含む)に満たされた潤滑油を介し、軸受スリーブ8を経てハウジング7に流れ込み、あるいは潤滑油を介して直接ハウジング7に流れ込む。従って、図1に示す実施形態と同様に帯電防止効果を得ることができる。
なお、本発明は、ラジアル軸受部R1、R2の何れか一方または双方をいわゆる真円軸受で構成した流体軸受装置にも同様に適用可能である。
また、以上の説明では、軸受スリーブ8を焼結金属や軟質金属等の金属材料で形成した場合を例示したが、軸受スリーブを上述した体積固有抵抗106Ω・cm以下の導電性樹脂組成物で形成しても同様の効果が得られる。
本発明にかかる流体軸受装置の一実施形態を示す断面図である。 本発明にかかる流体軸受装置の他の実施形態を示す断面図である。 上記流体軸受装置を組み込んだスピンドルモータの断面図である。
符号の説明
1 流体軸受装置
2 軸部材
2a 外周面
7 ハウジング
7c 底部
8 軸受スリーブ
8a 内周面
R1 第一ラジアル軸受部
R2 第二ラジアル軸受部
T スラスト軸受部

Claims (12)

  1. ハウジングと、ハウジングの内部に配置された軸受スリーブと、軸受スリーブの内周面に挿入された軸部材と、軸受スリーブの内周面と軸部材の外周面との間のラジアル軸受隙間に生じる潤滑油の油膜で、軸部材をラジアル方向に非接触支持するラジアル軸受部とを有するものであって、
    さらに軸部材とハウジングとの間を通電可能とする通電手段を備え、かつハウジングが、通電性のある樹脂で形成され、ラジアル軸受部が、ラジアル軸受面を複数の円弧で形成した多円弧軸受であることを特徴とする流体軸受装置。
  2. ハウジングが、体積固有抵抗106Ω・cm以下の導電性樹脂組成物で形成されている請求項1記載の流体軸受装置。
  3. ハウジングが、平均粒径が1μm以下の粉末状導電化剤を8重量%以下配合した導電性樹脂組成物で形成されている請求項1記載の流体軸受装置。
  4. ハウジングが、平均径が10μm以下で平均繊維長が100μm以下の繊維状導電化剤を20重量%以下配合した導電性樹脂組成物で形成されている請求項1記載の流体軸受装置。
  5. ハウジングが、導電化剤としてカーボンナノマテリアルを配合した導電性樹脂組成物で形成されている請求項1記載の流体軸受装置。
  6. カーボンナノマテリアルの配合量が1〜10wt%である請求項5記載の流体軸受装置。
  7. カーボンマテリアルとして、単層または複層のカーボンナノチューブ、カップ積層型カーボンナノファイバー、および気相成長炭素繊維のうち少なくとも何れか一種を使用した請求項5記載の流体軸受装置。
  8. ハウジングの径方向の線膨張係数が、5×10-5/℃以下である請求項1〜7何れか記載の流体軸受装置。
  9. 通電手段として、導電性の潤滑油を有する請求項1記載の流体軸受装置。
  10. 通電手段として、軸部材をスラスト方向に接触支持するスラスト軸受部を有する請求項1記載の流体軸受装置。
  11. 軸受スリーブを、金属または体積固有抵抗が106Ω・cm以下の導電性樹脂組成物で形成した請求項1記載の流体軸受装置。
  12. 請求項1〜11の何れかに記載の流体軸受装置を備えたディスク装置のスピンドルモータ。
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