JP2005089324A - カスパーゼ阻害剤 - Google Patents

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洋 直木
Toru Mizoguchi
亨 溝口
Yoko Kato
葉子 加藤
Hitoshi Kubota
仁志 久保田
Hideo Takekoshi
英夫 竹腰
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Abstract

【課題】 アルツハイマー病、パーキンソン病、脳や心筋の虚血等の疾患の治療に有用な、カスパーゼ1、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、及びカスパーゼ8等のカスパーゼを阻害する新規カスパーゼ阻害剤を提供すること。
【解決手段】 細胞壁を破砕したクロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)の乾燥粉末を含有してなるカスパーゼ1、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、及びカスパーゼ8等のカスパーゼ阻害剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、カスパーゼ1、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8等のカスパーゼを阻害するためのカスパーゼ阻害剤に関する。
カスパーゼは、プログラム化された細胞の死 (細胞死)(周囲の細胞に障害を与えたり、炎症反応を誘発することなく、特定の細胞や細胞タイプを排除するために生理学的に使用される正常過程)を執行する物質である。何れのカスパーゼも、活性部位におけるシステイン残基を特徴とするプロテアーゼ系に属し、Asp残基に対して特異性を発揮する。カスパーゼは全ての細胞内にプロテアーゼとして存在し、他のプロテアーゼ(他のカスパーゼを含む)による蛋白質分解分割(proteolytic cleavage)によって活性化される。カスパーゼの阻害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳や心筋の虚血等の疾患の治療に有用と考えられる。
カスパーゼ阻害作用を有する化合物としては、特許文献1記載のスルホキノボシルジアシルグリセロール、特許文献2記載のアミノイミノキノン、及び特許文献3記載のプロスタグランジンE活性を有する化合物等が知られているが、多様な局面でカスパーゼ活性を阻害する上で、カスパーゼ1、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8等のカスパーゼを阻害するための更なるカスパーゼ阻害剤に対する要望は強い。
特許第2902318号公報 特表2003−520186号公報 特開2001−302516号公報
本発明は、従来技術に存した上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、カスパーゼ1、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8等のカスパーゼを阻害する新規カスパーゼ阻害剤を提供することにある。
本発明者は、カスパーゼ1、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8等のカスパーゼを阻害する上で有用な物質について研究を行った結果、本発明を完成したものである。
すなわち、上記目的を達成する本発明のカスパーゼ阻害剤は、クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるものである。また本発明は、細胞壁破砕クロレラを使用してカスパーゼを阻害する方法を提供するものである。
また本発明のカスパーゼ1阻害剤は、クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるものである。また本発明は、細胞壁破砕クロレラを使用してカスパーゼ1を阻害する方法を提供するものである。
更に、本発明のカスパーゼ3阻害剤は、クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるものである。また本発明は、細胞壁破砕クロレラを使用してカスパーゼ3を阻害する方法を提供するものである。
また更に、本発明のカスパーゼ6阻害剤は、クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるものである。また本発明は、細胞壁破砕クロレラを使用してカスパーゼ6を阻害する方法を提供するものである。
また本発明のカスパーゼ7阻害剤は、クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるものである。また本発明は、細胞壁破砕クロレラを使用してカスパーゼ7を阻害する方法を提供するものである。
更に本発明のカスパーゼ8阻害剤は、クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるものである。また本発明は、細胞壁破砕クロレラを使用してカスパーゼ8を阻害する方法を提供するものである。
本発明のカスパーゼ阻害剤は、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳や心筋の虚血等の疾患の治療に有用である。
本発明におけるクロレラとは、クロレラ属(Chlorella) に属する単細胞緑藻類であって、例えば、Chlorella pyrenoidosa、Chlorella ellipsoidea 、Chlorella vulgaris 、Chlorella regularis 等を挙げることができる。本発明に最も適しているのは、クロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)である。
本発明のカスパーゼ阻害剤(カスパーゼ1阻害剤、カスパーゼ3阻害剤、カスパーゼ6阻害剤、カスパーゼ7阻害剤、カスパーゼ8阻害剤を含む。以下同じ。)におけるクロレラの細胞壁破砕物は、例えば次のようにして得ることができる。すなわち、先ずクロレラ濃度10乃至25重量%のクロレラ粉体・水懸濁液を10℃以下に調整する。次にこの懸濁液を、下記のような連続湿式微粉砕機に送入し、破砕直後のスラリーが40℃以下になるよう微粉砕する。次いで、このようにして得られたクロレラスラリーを、直ちに10℃以下に冷却することにより、細胞壁が破砕されたクロレラを、品質劣化を生じさせることなく得ることができる。
上記連続湿式微粉砕機は、冷却外套を持つ密閉シリンダー中に多数の直径0.5乃至1.5mmのグラスビーズが封入されたものである。そのグラスビーズ容量は密閉シリンダー容量の80乃至85%であり、グラスビーズを流入液体と混和・回転することにより、流入液体中の物質を摩砕するものである。
このようにして細胞壁が破砕されたクロレラは、そのまま用いることもできるが、例えば、真空乾燥後粉砕を行う等の適宜の処理を施した後に使用してもよい。
本発明のカスパーゼ阻害剤は、経口適用が望ましい。経口適用の形態に特に限定はないが、好ましくは、栄養食品、栄養補助食品、粉末、錠剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、又は飲料用液体の形態である。
また種々の形態を形成する上で、各種賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、可塑剤等を適宜用いることができる。
賦形剤の例としては、糖類(乳糖,白糖,ブドウ糖,マンニトール),デンプン(バレイショ,コムギ,トウモロコシ),無機物(炭酸カルシウム,硫酸カルシウム,炭酸水素ナトリウム,塩化ナトリウム),結晶セルロース,植物末(カンゾウ末,ゲンチアナ末)等を挙げることができる。
結合剤の例としては、デンプンのり液,アラビアゴム,ゼラチン,アルギン酸ナトリウム,メチ/レセルロース(MC),エチルセルロース(EC),ポリビニルピロリドン(PVP),ポリビニルアルコール(PVA),ヒドロキシプロピルセルロース(HPC),カルポキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。
崩壊剤の例としては、デンプン,寒天,ゼラチン末,結晶セルロース,CMC・Na,CMC・Ca,炭酸カルシウム,炭酸水素ナトリウム,アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。
滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム,タルク,水素添加植物油,マクロゴール,シリコーン油等を挙げることができる。
コーティング剤の例としては、糖衣(白糖,HPC,セラック),膠衣(ゼラチン,グリセリン,ソルビトール),フイルムコーティング〔ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC),EC,HPC,PVP〕,腸溶性コーティング〔ヒドロキシプロビルメチルセルロースフタレート(HPMCP),セルロースアセテートフタレート(CAP)〕等を挙げることができる。
着色剤の例としては、水溶性食用色素,レーキ色素)等を挙げることができる。矯味剤の例としては、乳糖,白糖,ブドウ糖,マンニトール)等を挙げることができる。矯臭剤の例としては、芳香性精油類),光線遮断剤(酸化チタン)等を挙げることができる。可塑剤の例としては、フタル酸エステル類,植物油,ポリエチレングリコール)等を挙げることができる。
クロレラ・ピレノイドサ(Chlorella pyrenoidosa)乾燥粉末の製造
冷却外套を持つ密閉シリンダー中にその密閉シリンダー容量の80乃至85%の容量の多数の直径0.5乃至1.5mmのグラスビーズが封入されており、そのグラスビーズを流入液体と混和・回転することにより流入液体中の物質を摩砕する連続湿式微粉砕機(商品名:ダイノーミル[KD型] WAB, Inc.製)に、10℃以下に調整されたクロレラ・ピレノイドサ濃度10乃至25重量%のクロレラ・ピレノイドサ粉体・水懸濁液を送入して、破砕直後のスラリーが40℃以下になるよう微粉砕し、次いで、このようにして得られたクロレラ・ピレノイドサスラリーを、直ちに10℃以下に冷却し、真空乾燥後、粉砕することにより、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサ乾燥粉末(株式会社サン・クロレラ製の細胞壁破砕クロレラ粉末)が得られた。
カスパーゼ1、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、カスパーゼ8阻害活性の測定
クロレラ・ピレノイドサ乾燥粉末および/または溶媒を、カスパーゼ1、カスパーゼ3及びカスパーゼ8(Biomol[米国]から入手)、カスパーゼ6及びカスパーゼ7(Pharmingen[米国]から入手)、及び蛍光基質(fluorogenic substrate)と共に、50mMの修飾HEPES(pH7.4)(Sigma[米国]から入手)中でインキュベートした。インキュベート時間は、カスパーゼ1、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、及びカスパーゼ8それぞれについて180分間、60分間、120分間、60分間、及び60分間とした。
各カスパーゼ用の蛍光基質は、次のとおりである。カスパーゼ 1用:Ac-YVAD-AMC 蛍光基質、カスパーゼ 3、7用:Ac-DEVD-AMC 蛍光基質、カスパーゼ8用:Ac-IETD-AMC 蛍光基質 (Biomol[米国]から入手); カスパーゼ6、7用:Ac-VEID-AMC 蛍光基質 (Pharmingen[米国]から入手、); Ac-VEID-AMC 蛍光発生性基質(カスパーゼ 6用)
Spectrafluor Plus(Tecan[オーストリア]) を用いて蛍光分光測定法により励起360nm、放出465nmで蛋白質分解物を測定することにより酵素活性を判定したところ、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサ(乾燥粉末)による50%阻害濃度は、カスパーゼ1が300μg/ml(マイクログラム/ミリリットル)、カスパーゼ3が203μg/ml、カスパーゼ6が301μg/ml、カスパーゼ7が291μg/ml、カスパーゼ8が261μg/mlであった。すなわち、細胞壁破砕クロレラ・ピレノイドサはカスパーゼ1、カスパーゼ3、カスパーゼ6、カスパーゼ7、及びカスパーゼ8の阻害作用を有していた。

Claims (6)

  1. クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるカスパーゼ阻害剤。
  2. クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるカスパーゼ1阻害剤。
  3. クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるカスパーゼ3阻害剤。
  4. クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるカスパーゼ6阻害剤。
  5. クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるカスパーゼ7阻害剤。
  6. クロレラの細胞壁破砕物を含有してなるカスパーゼ8阻害剤。
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