JP2005089269A - 高分散性層状複水酸化物 - Google Patents

高分散性層状複水酸化物 Download PDF

Info

Publication number
JP2005089269A
JP2005089269A JP2003327210A JP2003327210A JP2005089269A JP 2005089269 A JP2005089269 A JP 2005089269A JP 2003327210 A JP2003327210 A JP 2003327210A JP 2003327210 A JP2003327210 A JP 2003327210A JP 2005089269 A JP2005089269 A JP 2005089269A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layered double
double hydroxide
hydroxide
producing
serine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003327210A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4178238B2 (ja
Inventor
Toshiyuki Hibino
俊行 日比野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2003327210A priority Critical patent/JP4178238B2/ja
Publication of JP2005089269A publication Critical patent/JP2005089269A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4178238B2 publication Critical patent/JP4178238B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Abstract

【課題】 樹脂との親和性が良好であるとともに、その基本層単層まで剥離・分散可能で、これにより分子レベルまたは分子レベルに近い状態で樹脂と混合しうる層状複水酸化物を提供する。
【課題手段】
層状複水酸化物の層間イオンとして、アラニン、ロイシン、セリン、リシンおよびヒスチジンからなる群から選ばれた1種または2種以上のアミノ酸を含有せしめる。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂用配合剤として分散性が好適な層状複水酸化物に関するものである。
層状複水酸化物またはハイドロタルサイトと呼ばれる化合物は、以下の一般式で表される層状化合物である。
[M2+ 1-xM3+ x(OH)2][An- x/n・mH2O]
ここで M2+ は2価金属、 M3+ は3価金属、 An- は層間陰イオンで、mは適当な有理数、nは整数、xは1を超えない有理数である。一般式において前半部の[M2+ 1-xM3+ x(OH)2]は、層状複水酸化物の基本層またはホスト層と呼ばれる金属水酸化物層であり、この基本層が一般式後半部の陰イオンと水分子から成る中間層またはゲスト層と呼ばれる層と交互に積み重なっている。
層状複水酸化物は、難燃化剤、安定剤、成型改質剤および保温性改良剤などとして樹脂に添加され利用されてきた。特に、環境への配慮から毒性のない金属より構成されているMg-Al系層状複水酸化物は、層状複水酸化物のなかでも最もよく利用されている。しかし、樹脂練り込み時の分散性は悪く、このための様々な検討がなされてきた(特許文献1〜3参照)。 過去のこうした検討は、ある程度の分散性向上を達成してはいるが、技術の進歩に伴い、分散性への要求はさらに厳しくなることは必至である。一方、最近になり、2つの論文において、ナノスケールで樹脂と層状複水酸化物が混合できる可能性が示唆された。両者とも層状複水酸化物を有機溶媒中で、基本層単層にまで剥離させて分散させる技術を報告している。この技術を利用すれば、溶媒中で層状複水酸化物を基本層単層まで剥離・分散し、溶媒に溶かした樹脂と溶液中で分子レベルまたは分子レベルに近い状態で混合可能である。剥離・分散に要する条件は、前者(非特許文献1参照)は溶媒としてホルムアミドを用いて室温で即時反応、後者(非特許文献2参照)では、ブタノールを用いて120℃−16時間還流を必要とする。前者はMg-Al-系層状複水酸化物において、層間陰イオンとしてグリシンを用い、後者は、Zn-Al系層状複水酸化物においてドデシル硫酸を用いている。
しかし、前者においては、グリシン以外のアミノ酸、すなわち、セリン及びアスパラギン酸を使用した場合には、層剥離が起こらないことが明らかにされている。また、後者においては、Mg-Al-ドデシル硫酸系およびNi-Al-ドデシル硫酸系層状複水酸化物は合成できなかったと述べられている(非特許文献3参照)。グリシンは、ドデシル硫酸や他のアミノ酸と比較してかなり安価であるが、樹脂との親和性はドデシル硫酸及び他のアミノ酸と比較して弱い。また前述のようにドデシル硫酸系層状複水酸化物は、単層剥離の操作に還流を必要として煩雑である上、Zn-Al系以外は合成に成功していない。このような経緯から分子レベルで樹脂に分散可能な樹脂配合剤として満足できる性能を有する層状複水酸化物は得られてはいなかった。これに対し、本発明者は、高分散性な層状複水酸化物として、アスパラギン、グルタミンおよびアルギニンを層間イオンとして含有せしめた層状複水酸化物を作製し、これらが極性溶媒であるホルムアミド中で単層まで剥離する高分散性を示すことを見いだし先に出願している(特願2002−022771号)。しかし、これらアミノ酸の使用によって、グリシンに比較して樹脂への親和性はかなり改善されるが、溶媒に対する分散性においては未だ十分ではない。
特開2000-290451号公報 特開2000-290452号公報 特開2001-164042号公報 T. Hibino and W. Jones (2000年、Journal of Materials Chemistry、第11巻、1321-1323頁) F. Leroux and J.-P. Besse (2001年、Chemistry of Materials、第13巻、3507-3515頁) F. Lerouxら(2001年、Journal of Materials Chemistry、第11巻、105-112頁)
本発明の課題は、上記従来の層状複水酸化物の問題点を解消することにあり、具体的には、樹脂との親和性が良好であるとともに、その基本層単層まで剥離・分散可能で、これにより分子レベルまたは分子レベルに近い状態で樹脂と混合しうる、優れた層状複水酸化物を提供することにある。
本発明者等は、上記従来技術の問題点を解消するため、層状複水酸化物の層間イオンとして、種々の物質を検討試験した結果、アラニン、ロイシン、リシンおよびヒスチジンからなる群から選ばれた1種または2種以上のアミノ酸を含有せしめることにより、得られた層状複水酸化物が、樹脂配合剤として極めて優れた性能を有し、かつ溶媒分散性においても良好な性質を示し、これにより上記従来技術の問題点を解消しうることを見いだすとともに、従来、上記したように単層剥離しないと報告したセリンについても、再度検討を加えた結果、意外にも、層状複水酸化物の合成時においてセリン濃度を特定範囲に調整するとことにより、単層剥離する高分散性の層状複水酸化物となることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明は次の(1)〜(9)に関するものである。
(1)金属水酸化物からなる基本層と、陰イオン及び水分子とからなる中間層が交互に積層した層状複水酸化物において、中間層を構成する層間イオンとして、アラニン、ロイシン、セリン、リシンおよびヒスチジンからなる群から選ばれる1種または2種以上のアミノ酸を含有することを特徴とする層状複水酸化物。
(2)1種または2種以上の2価金属塩、及び/または1種または2種以上の3価金属塩と、アラニン、ロイシン、セリン、リシンおよびヒスチジンからなる群から選ばれる1種または2種以上のアミノ酸とをアルカリ条件下、溶液状態で混合することにより共沈殿させて得られたものである請求項1記載の層状複水酸化物。
(3)上記(1)または(2)のいずれか一項に記載の層状複水酸化物が、基本層である金属水酸化物層に剥離、分散された形態で含有する液状物。
(4)上記(1)または(2)のいずれか一項記載の層状複水酸化物にホルムアミドを添加したものである上記(3)に記載の液状物。
(5)上記(1)または(2)のいずれか一項記載の層状複水酸化物、若しくは上記(3)または(4)に記載の液状物を含有する樹脂用配合剤。
(6)1種または2種以上の2価金属塩、及び/または1種または2種以上の3価金属塩と、アラニン、ロイシン、セリン、リシンおよびヒスチジンからなる群から選ばれる1種または2種以上のアミノ酸水溶液とをアルカリ条件下、溶液状態で混合することにより共沈殿させることを特徴とする層状複水酸化物の製造法。
(7)共沈殿の後、共沈殿物を洗浄、乾燥することを特徴とする上記(6)に記載の層状複水酸化物製造方法。
(8)層状複水酸化物の製造工程を、二酸化炭素および/または炭酸イオンの非存在下で行うことを特徴とする上記(6)または(7)に記載の層状複水酸化物の製造方法。
(9)層状複水酸化物の製造工程を、窒素気流中で行うことを特徴とする上記(6)〜(8)に記載の層状複水酸化物の製造方法。
本発明に係る層状複水酸化物は、溶媒に対して基本層単層までに容易に剥離・分散し、樹溶媒分散性が優れているばかりでなく、樹脂との親和性がグリシン含有層状複水酸化物や従来の無機陰イオン含有層状複水酸化物と比較して高い。したがって、本発明の層状複水酸化物は、樹脂に対する配合剤として極めて有用な効果を有するものである。
本発明の層状複水酸化物は、1種または2種以上の2価金属塩、及び/または1種または2種以上の3価金属塩と、アラニン、ロイシン、セリン、リシンおよびヒスチジンからなる群から選ばれる1種または2種以上のアミノ酸とをアルカリ条件下、溶液状態で混合することにより共沈殿させることにより得られる。この層状複水酸化物は、金属水酸化物からなる基本層と、陰イオン及び水分子とからなる中間層が交互に積層した層状複水酸化物において、中間層を構成する層間イオンとして、アラニン、ロイシン、セリン、リシンおよびヒスチジンからなる群から選ばれる1種または2種以上のアミノ酸を含有するものである。
本発明の層状複水酸化物を一般式で表すと、以下のとおりである。
[M2+ 1-xM3+ x(OH)2][ΣAn− ・mH2O]
式中、M2+ は、使用した金属塩由来の2価金属イオン、 M3+ は、使用した金属塩由来の3価金属イオンであり、 一般式において前半部の[M2+ 1-xM3+ x(OH)2]は、層状複水酸化物の基本層またはホスト層と呼ばれる金属水酸化物層である。同後半部の[ΣAn− ・mH2O]は、は陰イオン群と水分子からなる中間層であり、An−は、アラニン、ロイシン、セリン、リシンおよびヒスチジンから選ばれるいずれか1種または2種以上のアミノ酸、金属塩由来の陰イオン、及びその他上記共沈殿溶液中に含まれる水酸化物イオン等の各陰イオンを表し、yは各陰イオンの上記一般式における組成比、nはイオン価数を示す。したがって、ΣAn− 、は各陰イオンを合わせたイオン群の総体を示し、各陰イオンにおけるyに価数nを掛けたものは全陰イオンに対する各陰イオンの電荷量としての割合(電荷占有率)を意味し、合計した数(Σy×n)はxに一致する。また、xは1を越えない有理数であり、mは、不定な有理数を示す。
本発明の層状複酸化物をさらに具体的に説明すると、上記2価金属イオンは、具体的には、Mg2+、Zn2+、Co2+、Ni2+及びCu2+等であり、同3価金属イオンは、Al3+、Fe3+、Cr3+及びCo3+等である。また、上記金属塩由来の陰イオンには、Cl、NO3 及びSO4 2−等が挙げられる。 本発明の層状酸化物としては、Mg-Al系層状複酸化物、Ni-Al系層状複酸化物、Co-Al系層状複酸化物あるいはZn-Al系層状複酸化物が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、上記構造式中xは0.167〜0.250が好ましい。また上記アミノ酸の電荷占有率y×nは、高々20%でも単層剥離を起こすのに十分である。
本発明に用いる層状複水酸化物の製造手段は、すでに公知となっている他の層状複水酸化物の共沈殿による合成法、例えばS. Miyata (1980年、Clays and Clay Minerals、第28巻、50-56頁)などに報告されている方法と類似するが、空気中に存在する二酸化炭素由来の炭酸イオンが生産物に混入すると、基本層単相への剥離現象が起きにくくなるので、合成およびその後の洗浄・乾燥は工程は、二酸化炭素及び/または炭酸イオンの非存在下、例えば窒素気流中で行うことがよく、また、使用する水は、予め炭酸イオンを除去しておくことが好ましい。
本発明における共沈殿による合成法は、例えば、マグネシウム、亜鉛、コバルト、ニッケル等の2価金属、及び/またはアルミニウム、鉄、クロム等の3価金属の硝酸塩、塩化物あるいは硫酸塩を溶かした水溶液と、アラニン、ロイシン、セリン、リシンおよびヒスチジンから選ばれるいずれか1種または2種以上のアミノ酸を溶かした水溶液を調整し、この2つの水溶液をゆっくりと混合する方法が好適である。
この場合、混合するときは、NaOH水溶液等を適宜加えて常にpHがアルカリ性側にあるようにする。これにより、上記アミノ酸は、水溶液中では一価の陰イオンとして存在し、合成される層状複水酸化物の層間陰イオン成分の一部として中間層を形成する。
一方、層間陰イオン成分として、本発明のアラニン、ロイシン、セリン、リシンおよびヒスチジンから選ばれるいずれか1種または2種以上のアミノ酸を使用する場合、Mg-Al系層状複水酸化物の剥離・分散は非常に効果的であるが、Mg系では塩基性が強すぎるため、樹脂の種類によっては、樹脂の安定化剤として使用する場合、十分な特性が得られないことがある。すなわち、理由は明らかではないが、例えば、特開平11−255973号公報においては、ポリオレフィン樹脂の耐熱劣化性と成形加工機の発錆防止性を向上させるには層状複水酸化物を添加物とした場合、Mg系層状複酸化物からZn系層状複水酸化物に切り替えると良好な結果が得られる旨の記載がある。しかし、Mg以外の2価金属で同様な層状複水酸化物を作製しようとした場合アミノ酸類はキレート効果があり、Mg以外の2価金属はMgよりもキレート化され易いため、水酸化物合成時のアミノ酸と金属イオンとの一部キレート化により可溶化してしまい、Mg以外の金属系層状複水酸化物を効率的に得るのが難しくなることがある。これに対しては、アミノ酸投入量を減らすことで問題は解決される。
本発明における層状複水酸化物の合成時に使用するアミノ酸濃度には、剥離現象を顕著に起こす層状複水酸化物を得るための上限値が存在する。合成時のアミノ酸濃度上限値は、アミノ酸及び用いる金属塩にも影響されるため、範囲を明確に決めることが難しいが、合成に用いる金属塩由来の他の陰イオン、例えば塩素イオンや硝酸イオン濃度の2倍(モル濃度)以上になると、得られた層状複水酸化物が剥離現象を起こさなくなる場合がある。特に、セリンの場合には、金属塩として硝酸マグネシウムと硝酸アルミニウムを用いると、金属塩に由来する硝酸イオンの2倍(モル濃度)以上のセリンを投入した場合、得られた層状複水酸化物は剥離現象を示さない。これらアミノ酸濃度は、金属塩中の陰イオン濃度に対して1倍〜2倍(モル濃度)に調整するのが、実用上好ましい。
本発明により得られた層状複水酸化物は、適当な溶媒、例えばホルムアミドを用いることにより、極めて容易に各基本層が剥離し、溶媒中に分散する。本発明による層状複水酸化物は、ホルムアミドに投入すれば、室温において単に攪拌するだけで剥離現象が発現する。
したがって、本発明の層状複水酸化物を上記ホルムアミド等の適当な溶媒に分散した液状物は、樹脂配合剤として、分子レベルまたは分子レベルに近い状態で樹脂と混合することができる。
本発明の層状複水酸化物が配合される樹脂としては、水溶性ポリマーや極性基を適当に導入して変性したポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル及びそれらのポリマーアロイなどが挙げられる。
また、本発明の層状複水酸化物は、樹脂との親和性に優れている。例えば、従来のMg-Al−グリシン系層状複水酸化物は、層間陰イオンとして、グリシンを使用するものであり、グリシンはアミノ酸類のなかで、最も簡単な構造を有し、炭素原子は2つしかなく、またアルキル基がないため、樹脂との親和性は劣る。これに対して、本発明において使用するアラニン、ロイシン、セリン、リシンおよびヒスチジンは、側鎖にアルキル基を有するため、グリシンと比較して樹脂に対しはるかに高い親和性を有する。
さらに、本発明の層状水酸化物は、特に従来のアスパラギン、グルタミン、アルギニンを層間イオンとする場合に比べ、溶媒分散性において優れる。
すなわち、アスパラギンはホルムアミドに分散してコロイド溶液になるが、わずかながら分散せずに沈殿している量があり、グルタミンの場合には分散性を良好にするために、層状複水酸化物合成時に多量のグルタミンを必要とする。またアルギニンの場合には、ホルムアミドに分散させるのに長時間を要する。これに対して、本発明の層間イオンを使用した層状複水酸化物は、このような溶媒分散性の問題がない。
したがって、本発明の層状複水酸化物は、樹脂に対する難燃化剤、安定剤、成型改質剤、透明性および保温性改良剤等の配合剤として極めて有用なものである。

以下に、本発明の実施例を示すが、本発明は特にこれにより限定されるものではない。
L-アラニン5.01gを、水に溶かした後、2N-NaOH水溶液を適量加えてpHを10に調整した。これとは別に、硝酸マグネシウム6水和物4.81gと硝酸アルミニウム6水和物2.34gを溶かした水溶液を用意し、上述のL-アラニン水溶液に50ml/hの速度で加えた。このとき、混合溶液は常にpHが10となるように、2N-NaOH水溶液を適宜加えた。以上により得られた共沈殿物を、水洗・風乾後、メノウ乳鉢により摩砕して粉末試料を得た。これら一連の実験は、空気中からの炭酸イオンの混入を避けるため、合成および洗浄・乾燥は、すべて窒素気流中で行い、使用する水も脱イオン・蒸留処理の後、JIS K 0102に従って炭酸を除去した。得られた粉末試料はX線回折装置によって測定され、層状複水酸化物単相であることが確認された。この層状複水酸化物に適量のホルムアミドを加えたところ、基本層の剥離により、容器下部に沈殿してくる固相のない半透明な液状物が得られた。
L-ロイシン7.38gを、水に溶かした後、2N-NaOH水溶液を適量加えてpHを10に調整した。これとは別に、硝酸マグネシウム6水和物4.81gと硝酸アルミニウム6水和物2.34gを溶かした水溶液を用意し、上述のL-ロイシン水溶液に50ml/hの速度で加えた。このとき、混合溶液は常にpHが10となるように、2N-NaOH水溶液を適宜加えた。以上により得られた共沈殿物を、水洗・風乾後、メノウ乳鉢により摩砕して粉末試料を得た。これら一連の実験は、空気中からの炭酸イオンの混入を避けるため、合成および洗浄・乾燥は、すべて窒素気流中で行い、使用する水も脱イオン・蒸留処理の後、JIS K 0102に従って炭酸を除去した。得られた粉末試料はX線回折装置によって測定され、層状複水酸化物単相であることが確認された。この層状複水酸化物に適量のホルムアミドを加えたところ、基本層の剥離により、容器下部に沈殿してくる固相のない半透明な液状物が得られた。
L-セリン5.91gを、水に溶かした後、2N-NaOH水溶液を適量加えてpHを10に調整した。これとは別に、硝酸マグネシウム6水和物4.81gと硝酸アルミニウム6水和物2.34gを溶かした水溶液を用意し、上述のL-セリン水溶液に50ml/hの速度で加えた。このとき、混合溶液は常にpHが10となるように、2N-NaOH水溶液を適宜加えた。以上により得られた共沈殿物を、水洗・風乾後、メノウ乳鉢により摩砕して粉末試料を得た。これら一連の実験は、空気中からの炭酸イオンの混入を避けるため、合成および洗浄・乾燥は、すべて窒素気流中で行い、使用する水も脱イオン・蒸留処理の後、JIS K 0102に従って炭酸を除去した。得られた粉末試料はX線回折装置によって測定され、層状複水酸化物単相であることが確認された。この層状複水酸化物に適量のホルムアミドを加えたところ、基本層の剥離により、容器下部に沈殿してくる固相のない半透明な液状物が得られた。
L-リシン8.22gを、水に溶かした後、2N-NaOH水溶液を適量加えてpHを10.5に調整した。これとは別に、硝酸マグネシウム6水和物4.81gと硝酸アルミニウム6水和物2.34gを溶かした水溶液を用意し、上述のL-リシン水溶液に50ml/hの速度で加えた。このとき、混合溶液は常にpHが10.5となるように、2N-NaOH水溶液を適宜加えた。以上により得られた共沈殿物を、水洗・風乾後、メノウ乳鉢により摩砕して粉末試料を得た。これら一連の実験は、空気中からの炭酸イオンの混入を避けるため、合成および洗浄・乾燥は、すべて窒素気流中で行い、使用する水も脱イオン・蒸留処理の後、JIS K 0102に従って炭酸を除去した。得られた粉末試料はX線回折装置によって測定され、層状複水酸化物単相であることが確認された。この層状複水酸化物に適量のホルムアミドを加えたところ、基本層の剥離により、容器下部に沈殿してくる固相のない半透明な液状物が得られた。
L-ヒスチジン8.73gを、水に溶かした後、2N-NaOH水溶液を適量加えてpHを10に調整した。これとは別に、硝酸マグネシウム6水和物4.81gと硝酸アルミニウム6水和物2.34gを溶かした水溶液を用意し、上述のL-ヒスチジン水溶液に50ml/hの速度で加えた。このとき、混合溶液は常にpHが10となるように、2N-NaOH水溶液を適宜加えた。以上により得られた共沈殿物を、水洗・風乾後、メノウ乳鉢により摩砕して粉末試料を得た。これら一連の実験は、空気中からの炭酸イオンの混入を避けるため、合成および洗浄・乾燥は、すべて窒素気流中で行い、使用する水も脱イオン・蒸留処理の後、JIS K 0102に従って炭酸を除去した。得られた粉末試料はX線回折装置によって測定され、層状複水酸化物単相であることが確認された。この層状複水酸化物に適量のホルムアミドを加えたところ、基本層の剥離により、容器下部に沈殿してくる固相のない半透明な液状物が得られた。
(比較例1)
L-アスパラギン酸7.49gを、水に溶かした後、2N-NaOH水溶液を適量加えてpHを10に調整した。これとは別に、硝酸マグネシウム6水和物4.81gと硝酸アルミニウム6水和物2.34gを溶かした水溶液を用意し、上述のL-アスパラギン酸水溶液に50ml/hの速度で加えた。このとき、混合溶液は常にpHが10となるように、2N-NaOH水溶液を適宜加えた。以上により得られた共沈殿物を、水洗・風乾後、メノウ乳鉢により摩砕して粉末試料を得た。これら一連の実験は、空気中からの炭酸イオンの混入を避けるため、合成および洗浄・乾燥は、すべて窒素気流中で行い、使用する水も脱イオン・蒸留処理の後、JIS K 0102に従って炭酸を除去した。得られた粉末試料はX線回折装置によって測定され、底面間隔が12.35と7.82Åの層状複水酸化物混合相であることが確認された。この層状複水酸化物に適量のホルムアミドを加えたが、分散は悪く、層状複水酸化物は容器下部に沈殿した。
(比較例2)
実施例1〜3および比較例1に準拠して作製した炭酸イオン型層状複水酸化物に、適量のホルムアミドを加えたが、分散は悪く、層状複水酸化物は容器下部に沈殿した。
本発明の層状複水酸化物は、樹脂との親和性に加え、溶媒分散性が良好である。したがって、本発明の層状複水酸化物は、難燃化剤、安定剤、成型改質剤および保温性改良剤などの樹脂配合剤として極めて好適に使用される。

Claims (9)

  1. 金属水酸化物からなる基本層と、陰イオン及び水分子とからなる中間層が交互に積層した層状複水酸化物において、中間層を構成する層間イオンとして、アラニン、ロイシン、セリン、リシンおよびヒスチジンからなる群から選ばれる1種または2種以上のアミノ酸を含有することを特徴とする層状複水酸化物。
  2. 1種または2種以上の2価金属塩、及び/または1種または2種以上の3価金属塩と、アラニン、ロイシン、セリン、リシンおよびヒスチジンからなる群から選ばれる1種または2種以上のアミノ酸とをアルカリ条件下、溶液状態で混合することにより共沈殿させて得られたものである請求項1記載の層状複水酸化物。
  3. 請求項1または2のいずれか一項に記載の層状複水酸化物が、基本層である金属水酸化物層に剥離、分散された形態で含有する液状物。
  4. 請求項1または2のいずれか一項記載の層状複水酸化物にホルムアミドを添加したものである請求項3に記載の液状物。
  5. 請求項1または2のいずれか一項記載の層状複水酸化物、若しくは請求項3または4に記載の液状物を含有する樹脂用配合剤。
  6. 1種または2種以上の2価金属塩、及び/または1種または2種以上の3価金属塩と、アラニン、ロイシン、セリン、リシンおよびヒスチジンからなる群から選ばれる1種または2種以上のアミノ酸水溶液とをアルカリ条件下、溶液状態で混合することにより共沈殿させることを特徴とする層状複水酸化物の製造法。
  7. 共沈殿の後、共沈殿物を洗浄、乾燥することを特徴とする請求項6に記載の層状複水酸化物製造方法。
  8. 層状複水酸化物の製造工程を、二酸化炭素および/または炭酸イオンの非存在下で行うことを特徴とする請求項6または7に記載の層状複水酸化物の製造方法。
  9. 層状複水酸化物の製造工程を、窒素気流中で行うことを特徴とする請求項6〜8に記載の層状複水酸化物の製造方法。
JP2003327210A 2003-09-19 2003-09-19 高分散性層状複水酸化物 Expired - Lifetime JP4178238B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003327210A JP4178238B2 (ja) 2003-09-19 2003-09-19 高分散性層状複水酸化物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003327210A JP4178238B2 (ja) 2003-09-19 2003-09-19 高分散性層状複水酸化物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005089269A true JP2005089269A (ja) 2005-04-07
JP4178238B2 JP4178238B2 (ja) 2008-11-12

Family

ID=34457135

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003327210A Expired - Lifetime JP4178238B2 (ja) 2003-09-19 2003-09-19 高分散性層状複水酸化物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4178238B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005238194A (ja) * 2004-02-27 2005-09-08 National Institute Of Advanced Industrial & Technology コロイド粒子化水酸化物系樹脂配合剤およびそれを含有する樹脂組成物
JP2007031189A (ja) * 2005-07-25 2007-02-08 National Institute For Materials Science 層状複水酸化物を剥離する方法、複水酸化物ナノシート、該複合薄膜材料、該製造方法、および、層状複水酸化物薄膜材料の製造方法
WO2009051130A1 (ja) * 2007-10-18 2009-04-23 National Institute For Materials Science アクリル系粘着剤組成物およびそれを用いた感圧性粘着シート
WO2012102150A1 (ja) 2011-01-27 2012-08-02 独立行政法人物質・材料研究機構 水膨潤性層状複水酸化物とその製造方法、ゲル状又はゾル状物質及び、複水酸化物ナノシートとその製造方法
JP2016511300A (ja) * 2013-01-17 2016-04-14 ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングBASF Coatings GmbH 防食被膜の製造方法
CN113813921A (zh) * 2021-09-30 2021-12-21 华东交通大学 赖氨酸功能化的层状双氢氧化物吸附剂的制备方法和应用
CN116444210A (zh) * 2023-04-07 2023-07-18 广西大学 一种单组分抗腐蚀地聚物水泥材料及制备方法
WO2023199782A1 (ja) * 2022-04-13 2023-10-19 セトラスホールディングス株式会社 ハイドロタルサイト類化合物とアミノ酸との複合体の製造方法
WO2024062907A1 (ja) * 2022-09-22 2024-03-28 セトラスホールディングス株式会社 アミノ酸含有ハイドロタルサイトの製造方法

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4572289B2 (ja) * 2004-02-27 2010-11-04 独立行政法人産業技術総合研究所 コロイド粒子化水酸化物系樹脂配合剤およびそれを含有する樹脂組成物
JP2005238194A (ja) * 2004-02-27 2005-09-08 National Institute Of Advanced Industrial & Technology コロイド粒子化水酸化物系樹脂配合剤およびそれを含有する樹脂組成物
JP2007031189A (ja) * 2005-07-25 2007-02-08 National Institute For Materials Science 層状複水酸化物を剥離する方法、複水酸化物ナノシート、該複合薄膜材料、該製造方法、および、層状複水酸化物薄膜材料の製造方法
US8895653B2 (en) 2007-10-18 2014-11-25 National Institute For Materials Science Acrylic adhesive composition, and pressure-sensitive adhesive sheet employing the same
JP2009096930A (ja) * 2007-10-18 2009-05-07 Nitto Denko Corp アクリル系粘着剤組成物およびそれを用いた感圧性粘着シート
WO2009051130A1 (ja) * 2007-10-18 2009-04-23 National Institute For Materials Science アクリル系粘着剤組成物およびそれを用いた感圧性粘着シート
WO2012102150A1 (ja) 2011-01-27 2012-08-02 独立行政法人物質・材料研究機構 水膨潤性層状複水酸化物とその製造方法、ゲル状又はゾル状物質及び、複水酸化物ナノシートとその製造方法
US9545615B2 (en) 2011-01-27 2017-01-17 National Institute For Materials Science Water-swelling layered double hydroxide, method for producing same, gel or sol substance, double hydroxide nanosheet, and method for producing same
JP2016511300A (ja) * 2013-01-17 2016-04-14 ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングBASF Coatings GmbH 防食被膜の製造方法
CN113813921A (zh) * 2021-09-30 2021-12-21 华东交通大学 赖氨酸功能化的层状双氢氧化物吸附剂的制备方法和应用
CN113813921B (zh) * 2021-09-30 2024-03-08 华东交通大学 赖氨酸功能化的层状双氢氧化物吸附剂的制备方法和应用
WO2023199782A1 (ja) * 2022-04-13 2023-10-19 セトラスホールディングス株式会社 ハイドロタルサイト類化合物とアミノ酸との複合体の製造方法
WO2024062907A1 (ja) * 2022-09-22 2024-03-28 セトラスホールディングス株式会社 アミノ酸含有ハイドロタルサイトの製造方法
CN116444210A (zh) * 2023-04-07 2023-07-18 广西大学 一种单组分抗腐蚀地聚物水泥材料及制备方法
CN116444210B (zh) * 2023-04-07 2024-10-15 广西大学 一种单组分抗腐蚀地聚物水泥材料及制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4178238B2 (ja) 2008-11-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4129521B2 (ja) 層状複水酸化物
JP5839602B2 (ja) 高アスペクト比水酸化マグネシウム
Chen et al. Solvent effect on mineral modification: selective synthesis of cerium compounds by a facile solution route
JP4178238B2 (ja) 高分散性層状複水酸化物
Li et al. Preparation of the poly (vinyl alcohol)/layered double hydroxide nanocomposite
Runjuan et al. Zn-Al-La hydrotalcite-like compounds as heating stabilizer in PVC resin
Babakhani et al. Optical and Thermal Properties of Zn/Al‐Layered Double Hydroxide Nanocomposite Intercalated with Sodium Dodecyl Sulfate
JP4880676B2 (ja) 改善された耐還元性を有する金属酸化物
CN101972631A (zh) 一种多级结构水滑石吸附剂及其制备方法
JP4019138B2 (ja) グリシンを層間陰イオンとして含む層状複水酸化物
Guo et al. Synthesis and characterization of Cd–Cr and Zn–Cd–Cr layered double hydroxides intercalated with dodecyl sulfate
Leal et al. Layered materials as nanocontainers for active corrosion protection: A brief review
JP4572289B2 (ja) コロイド粒子化水酸化物系樹脂配合剤およびそれを含有する樹脂組成物
Kim et al. A novel synthesis of an Fe 3+/Fe 2+ layered double hydroxide (‘green rust’) via controlled electron transfer with a conducting polymer
Kuramoto et al. Mechanochemical synthesis of finite particle of layered double hydroxide-acetate intercalation compound: Swelling, thin film and ion exchange
bin Hussein et al. The effect of polymers onto the size of zinc layered hydroxide salt and its calcined product
Ramesh et al. Antibacterial Behaviour of Cu2O Nanoparticles Against Escherichia coli; Reactivity of Fehling's Solution on Manihot esculenta Leaf Extract
Zhang et al. Direct molecular confinement in layered double hydroxides: From fundamental to advanced photo-luminescent hybrid materials
JP4478785B2 (ja) 高分散性水酸化物系樹脂配合剤および樹脂組成物
Kameda et al. Uptake of Nd 3+ and Sr 2+ by Li–Al layered double hydroxide intercalated with triethylenetetramine-hexaacetic acid: kinetic and equilibrium studies
JP2008214127A (ja) 水中で剥離する層状複水酸化物およびその製造法
JP5639551B2 (ja) 球状炭酸カルシウム微粒子の製造方法
RU2540402C1 (ru) Слоистый гидроксид со структурой гидроталькита, содержащий никель в степени окисления +3, и способ его получения
JP2022141558A (ja) 高配向性金属複合塩
JP4862147B2 (ja) コロイド粒子化層状複水酸化物・アミノ酸複合物を含有する樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050315

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080513

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080707

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080729

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4178238

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term