JP2005088276A - 偽造防止印刷物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 カラーコピーを取ると、元原稿とは異なる色の着いた潜像若しくは背景が複写物上に現れて明確に認識される偽造防止印刷物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の偽造防止印刷物は、複写機で再現可能な大きい点の集合体もしくは線群と、複写再現能力に満たない小さい点の集合体を組み合わせた偽造防止印刷に、該偽造防止印刷に用いた第1のインキと異なる色の第2のインキで複写再現能力に満たない小さい点の集合体を刷り合わせてなる偽造防止印刷物であって、その複写物上には、第1のインキと第2のインキの合成色中より、第1のインキの色で潜像若しくは背景が現れる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カラーコピーを取ると、元原稿とは異なる色の着いた潜像若しくは背景が複写物上に現れて明確に認識される偽造防止印刷物及びその製造方法に関する。
従来、各種の証券類や商品券、或いは各種の証明書類等の偽造に対し、大きい点もしくは線群と小さい点の組み合わせによる偽造防止対策が一般的に行われてきた。
しかし、この技術はモノクロコピーでは十分な偽造防止効果が得られるものの、高性能化したカラーコピー機に対しては、さらに偽造防止効果の高い技術が望まれている。
そのためカラーコピー機対応の偽造防止技術として、色再現性を困難とする事により、複写物の色を変える方法が特許文献1や特許文献2などに提案されている。また2色の異なるインキを用い、異なるスクリーン線数の印刷を重ね刷りする事により、肉眼では潜像が背景と一様に認識され、その複写物では潜像が浮き立つようにした方法が特許文献3や特許文献4などに提案されている。
また特許文献5では印刷絵柄の少なくとも一部を写真製版におけるプロセス分解を行い、3原色の1色ないし2色の網点を複写能力に達しない網点で印刷し、残りの1色ないし2色を複写能力に達した網点で印刷する方法が提案されている。
この方法はプロセス分解が基本となるため、絵柄全体もしくは部分的な絵柄の色が変化して、オリジナルとの色の差を発現されるものとなり、常に3色以上の組み合わせて印刷物が形成されるものである。
特開2001−96888公報 特開平10−193773号公報 特開平7−266770号公報 特開平8−244389号公報 実開昭59−99774号公報
しかしながら、前記特許文献1や特許文献2に記載の方法では、使用されるインキの色が限定されたり、極めて複雑かつ精微な印刷工程を必要とするため、汎用性の点で実用的価値が十分に高くなかった。さらに、特許文献3や特許文献4などに記載の方法では、2色のインキそれぞれにおいて、潜像と背景とを異なるスクリーン線数で網点印刷するものであるため、実際に印刷する場合には潜像と背景を目立たなくする難しい印刷を、違う色で見当を合わせながら刷り重ねる必要があり、難易度が高く、少しでもバランスが崩れると、印刷物上で潜像が見えてしまう虞があった。
また、前記特許文献5では、写真製版であるプロセス分解法により減色混合3原色に分解されるため、絵柄全体もしくは部分的な絵柄の色が変化するもので、偽造品として判別するにはオリジナルとの色の差を比較する必要があった。さらに色は必然的にプロセス色(YMCKの4色或いはYMCの3色)に限定され、色数も4色ないし3色と多くなり、製造コストも高いものであった。
そこで、プロセス分解を使わずに、単純に色を組み合わせるだけでオリジナルとの比較なしに偽造品が一目で認識出来るよう、カラー複写物上に色の着いた潜像もしくは背景が現れる偽造防止効果を得る事ができ、さらには偽造防止版を別版となるイラストの一部や地紋と組み合わせる事により、色数を増やさずに同様の効果が得られる印刷物を提案する事を目的とする。
本発明は上記に鑑み提案されたもので、複写機で再現可能な大きい点の集合体もしくは線群と、複写再現能力に満たない小さい点の集合体を組み合わせた偽造防止印刷に、該偽造防止印刷に用いた第1のインキと異なる色の第2のインキで複写再現能力に満たない小さい点の集合体を刷り合わせてなる偽造防止印刷物であって、その複写物上には、第1のインキと第2のインキの合成色中より、第1のインキの色で潜像若しくは背景が現れることを特徴とする偽造防止印刷物に関するものである。
また、本発明は、上記偽造防止印刷物の製造方法をも提案するものであり、基材上に複写機で再現される大きい点の集合体もしくは線群と複写再現能力に満たない小さい点の集合体を組み合わせた偽造防止版を第1のインキで印刷する工程と、小さい点の集合体からなる刷り合わせ版を前記第1のインキと異なる色の第2のインキで印刷する工程と、さらに必要に応じてイラスト版や地紋版等をそれぞれの指定色で印刷する工程からなることを特徴とする。
本発明の偽造防止印刷物は、第1のインキと第2のインキとを合わせた合成色の略均一状のベース面が形成されるものであるが、カラーコピーを取ると、合成色とは異なる色(第1のインキ)の着いた潜像(隠し文字や隠しマークなど)若しくは背景が複写物上に発現するので、複写が行われたことが第三者に容易に且つ明確に認識され、犯罪防止が図られる。そのため、本発明の偽造防止印刷物及びその製造方法は、高度な偽造防止効果が求められる各種の証券類や商品券、或いは各種の証明書類等に利用できる。
さらに、印刷物のデザインとして組み込まれる地紋版又はイラスト版に偽造防止版を組み込むことにより、或いは地紋版又はイラスト版に刷り合わせ版を組み込むことにより、色数を増やさずに、即ち製造コストを抑えつつ同様の効果が得られる印刷物を作ることもできる。
製造コストを抑えるため、色数を増やさないためには、地紋版やイラスト版等に偽造防止版を組み込んだり、刷り合わせ版を組み込んだり、またその両方を採用して製造する。
本発明の偽造防止印刷物の製造方法は、前述のように基材上に複写機で再現される大きい点の集合体もしくは線群と複写再現能力に満たない小さい点の集合体を組み合わせた偽造防止版を第1のインキで印刷する工程と、小さい点の集合体からなる刷り合わせ版を前記第1のインキと異なる色の第2のインキで印刷する工程とを必須とするものであって、特に印刷手法などについて特定するものではなく、例えばオフセット印刷、グラビア印刷など各種の印刷を用いることができる。
以下に、本発明の製造方法を〔1.原稿の作成〕、〔2.製版〕、〔3.刷版〕、〔4.印刷〕に分けて詳細に説明する。
〔1.原稿の作成〕
原則的に2色の組み合わせとなるため、原色系以外の合成色にてベース色が形成されるように設定する。
例えば合成色(ベース色)をグレーに設定すると、第1のインキとして赤系、青系を用いた場合に、第2のインキとして緑系、オレンジ系を用いることで対応可能であり、カラーコピー後に現れる赤潜像、青潜像とも色目がグレーより鮮烈に感じ取れるものとなり、偽造防止効果が良好であるため好ましい。尚、背景を第1のインキで形成してカラーコピー後に現れるようにした場合も同様である。このように、潜像を直接的に浮き出させるようにしても、背景を浮き出させて間接的に潜像を浮き出させる、即ち白抜き状態で浮き出させるようにしても良いから、以下の説明では、これらの点を含めた上で説明を簡略化するために、潜像と表記している場合は背景でも良いこと、即ち白抜き潜像を含むものとする。
第1のインキと第2のインキとを組み合わせた合成色(ベース色)の例を以下に示す。尚、以下の例はその一部であって、組み合わせは自由に設定できる。
第1のインキ+第2のインキ=合成色(ベース色)
赤 + 緑 =グレー
青 + オレンジ =グレー
紫 + 黄 =グレー
青 + 赤 = 紫
赤 + 黄 =オレンジ
青 + 黄 = 緑
上述の組み合わせにおいて、複写後に現れる潜像若しくは背景は第1のインキの色である赤系か青系であるが、黄及び中間色でも同様の効果は得られる。また、この第1のインキに刷り合わせる第2のインキの色としては、合成色がグレーとなる色を選択することが好ましい。
また、刷り合わせ版に用いる第2のインキには蛍光色を採用することが望ましい。原色系の混合では色がくすむため、合成色(ベース色)が全体に沈んだ色となり、カラーコピー後に現れる潜像の対照効果も曇り、潜像の出方も悪くなる。
〔2.製版〕
・偽造防止版
偽造防止版は、複写機で再現可能な大きい点の集合体もしくは線群と複写再現能力に満たない小さい点の集合体を組み合わせた偽造防止印刷に用いられるものであって、前記第1のインキによって形成されるものであり、大きい点の集合体もしくは線群を30〜70線/インチで構成し、小さい点の集合体を100〜300線/インチの網点で構成し、その双方の面積率は5〜25%とする事が望ましい。
上述の線数並びに面積率は、小さい点の集合体は目視は可能であっても、各種のカラーコピー機及びモノクロコピー機にて再現されず、大きい点の集合体は目視はもちろん可能であって、各種のカラーコピー機及びモノクロコピー機にても再現されるような範囲を経験的且つ実験的に得たものである。
尚、線数とは1インチ中に存在する線の本数を示し、同じ面積率の場合、線数が大きい(多い)ほど形成される点(網点ドット)は小さくなる。線数の差が大きいほど、境界が目立つ傾向がある。また、面積率は、単位面積中の網点の面積の割合を示す。
例えば150線15%の平網と42線15%の万線をベースに作製された網点万線の偽造防止版は、平網の部分で複写再現能力に満たない小さい点の集合体が印刷でき、万線の部分で複写機で再現可能な線群が印刷できる。
・刷り合わせ版
刷り合わせ版は、複写再現能力に満たない小さい点の集合体からなり、前記第2のインキにより形成されるものである。この刷り合わせ版は、前記偽造防止版における小さい点の集合体と同じ若しくは同程度の線数の平網を、モアレが発生しない角度で使用することが望ましい。
そして、偽造防止印刷と刷り合わせ印刷の面積率は5〜25%と小さいため、印刷の刷り順による差は基本的に現れない。
・イラスト版や地紋版(前記偽造防止版や刷り合わせ版を兼ねない場合)
イラスト版や地紋版は対照となる印刷物において必要ない場合もあり、必要に応じて、即ち各種印刷物に応じて印刷されるものであって、従来と同様に行えば良い。
特に地紋版(白抜き地紋も含まれる)は、コピー前の印刷物において、合成色(ベース色)の色の偏りを緩和する役目を果たし、さらに潜像を見えにくくするカムフラージュの役目も果たすので、本発明の偽造防止印刷物には好適な態様である。
・イラスト版や地紋版(前記偽造防止版や刷り合わせ版を兼ねる場合)
イラスト版や地紋版の指定色を利用し、色数を減らすようにしても良い。例えば原稿に赤や青の原色系、及び/又は緑やオレンジ(地紋も含む)が組み込まれている場合、その色を偽造防止版や刷り合わせ版と共通の版にして、色数を減らすことが可能となる。その際、イラスト等の印刷色が薄い場合には、同色で濃度の高いインキに変更し、イラスト等に適正な網をかけて濃度を調整することが望ましい。インキの濃度はプロセス色に準じた設定で変更する。また、この色が他の色と掛け合わせになる場合はモアレが発生しない角度で使用することが望ましい。また、例えば刷り合わせ版に地紋を組み込む場合、その色が緑、オレンジなら20%程度、また黄などの目立たない場合には50%程度の網をかけて対応することが望ましい。
〔3.刷版〕
常法に準じ、従来と同様の光量、手法にて刷版を作製すればよい。
〔4.印刷〕
・偽造防止印刷
前記偽造防止版で前記第1のインキを用いて偽造防止印刷を行う。
・刷り合わせ印刷
前記刷り合わせ版で前記第2のインキを用いて刷り合わせ印刷を行う。
例えば第1のインキによる潜像が特色になる場合には、最終色を設定し、蛍光色を基本とした混色となるような第2のインキで対応することが望ましい。
また、刷り合わせ版に地紋が組み込まれる場合には、コピー結果への影響を考慮して濃度を設定する。
・イラスト版や地紋印刷
イラスト版や地紋版に刷り合わせ版が組み込まれている場合、コピー効果を考慮して印刷濃度を設定することが望ましい。
尚、本発明に適用される印刷用基材は、所定サイズに予め断裁されたシートでも、ロール巻きで供給される長尺材でも良く、例えば後者の場合には、前述の印刷工程の後、断裁用基準線を目安に、任意のサイズにて断裁処理を行えば良い。また、基材の種類についても特に限定するものではない。例えば表面の反射濃度が低いフルカラー対応コピー用紙や乳白PETでは、色の変化がより強調されるが、一般的なNIP用紙でも、実用充分な偽造防止効果を得ることができる。
図1〜図4には、本発明による印刷方法の実施例と、従来の印刷方法とを対比させた工程例を示した。尚、図中では、本発明における偽造防止版を「潜像版」と表記している。また、本実施例では、効果を明確化するため、それぞれ簡易な潜像版、刷り合わせ版を用いたが、刷り合わせ版中に潜像を組み込むように、即ち刷り合わせ版として第2の潜像版を用いるようにしても良い。この場合、第1の色、第2の色の潜像を現出させることができる。さらにこのような刷り合わせ版(潜像版)を複数用いると、3色以上の潜像を現出させることができる。尚、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。
図1には、カラーコピーで赤色の潜像が現れる偽造防止印刷物を製造する本発明の方法と、カラーコピーで緑色の潜像が現れる偽造防止印刷物を製造する本発明の方法を、従来の印刷方法と対比させた工程例で示した。
まず、「これまでの印刷方法(従来型網点万線)」では、図中には記載していないが、黒系インキのみを用いて150線15%の平網と42線15%の万線をベースに作製された網点万線の偽造防止版にてグレーに見える偽造防止印刷を行った。また、イラスト印刷及び地紋印刷は、それぞれの指定色で行った。
これに対し、本発明の実施例である「コピーで赤色の潜像が出る印刷方法」においても、本発明の実施例である「コピーで緑色の潜像が出る印刷方法」においても、従来型と同様に150線15%の平網と42線15%の万線をベースに作製された網点万線の潜像版にて赤色、緑色の偽造防止印刷を行った。さらに、150線15%の平網にて作製された刷り合わせ版にて緑色、赤色の刷り合わせ印刷を行った。また、イラスト印刷及び地紋印刷は、それぞれの指定色で行った。
同図より明らかなように本発明の実施例である「コピーで赤色の潜像が出る印刷方法」や「コピーで緑色の潜像が出る印刷方法」では、赤と緑を合わせるケースであって、この場合、合成色(ベース色)はグレーになり、でき上がり印刷物は、「これまでの印刷方法(従来型網点万線)」と見た目は全く同じであった。
そして、得られた印刷物をそれぞれカラーコピーした結果、「これまでの印刷方法(従来型網点万線)」では黒色の潜像が現れたのに対し、本発明の実施例である「コピーで赤色の潜像が出る印刷方法」では赤色の潜像が、本発明の実施例である「コピーで緑色の潜像が出る印刷方法」では緑色の潜像が現れた。また、何れのケースも潜像として「無効」の文字を選択したので、複写が行われたこと、正当なものでないことが明確に表示され、特に色の着いた潜像が現れる本発明の実施例ではより鮮明に認識されるものとなった。
図2には、本発明によるイラスト版に第1のインキによる偽造防止版を組み込む方法を、従来の印刷方法と対比させた工程例を示した。
まず、「これまでの印刷方法(従来型網点万線)」では、図中には記載していないが、黒系インキのみを用いて150線15%の平網と42線15%の万線をベースに作製された網点万線の偽造防止版にてグレーに見える偽造防止印刷を行った。また、イラスト印刷は赤色で、地紋印刷は指定色で行った。
これに対し、本発明の実施例である「イラスト版に潜像版を組み込む方法」においては、イラスト版に、従来型と同様の150線15%の平網と42線15%の万線をベースに作製された網点万線の潜像版を組み込み、赤色の偽造防止印刷を行った。さらに、150線15%の平網にて作製された刷り合わせ版にて緑色の刷り合わせ印刷を行った。その後、指定色にて地紋印刷を行った。
同図より明らかなように本発明の実施例である「イラスト版に潜像版を組み込む方法」は、「これまでの印刷方法(従来型網点万線)」と同じ色数(同じ印刷回数)であって、でき上がり印刷物の見た目も全く同じであった。
そして、得られた印刷物をそれぞれカラーコピーした結果、「これまでの印刷方法(従来型網点万線」では黒色の潜像が現れたのに対し、本発明の実施例である「イラスト版に潜像版を組み込む方法」では赤色の潜像が現れた。また、潜像として「無効」の文字を選択したので、複写が行われたこと、正当なものでないことが明確に表示され、特に色の着いた潜像が現れる本発明の実施例ではより鮮明に認識されるものとなった。
このように、イラスト版に偽造防止版を組み込むことにより、前記図1の2つの実施例に比べて印刷工程を減らせることが確認された。
図3には、本発明による地紋版に第2のインキによる刷り合わせ版を組み込む方法を、従来の印刷方法と対比させた工程例を示した。
まず、「これまでの印刷方法(従来型網点万線)」では、図中には記載していないが、黒系インキのみを用いて150線15%の平網と42線15%の万線をベースに作製された網点万線の偽造防止版にてグレーに見える偽造防止印刷を行った。また、イラスト印刷は指定色で、地紋印刷は緑色で行った。
これに対し、本発明の実施例である「地紋版に刷り合わせ版を組み込む方法」においては、指定色でイラスト印刷した後、従来型と同様に150線15%の平網と42線15%の万線をベースに作製された網点万線の潜像版にて赤色の偽造防止印刷を行った。さらに、地紋版に、150線15%の平網からなる刷り合わせ版を組み込み、緑色の刷り合わせ印刷を行った。
同図より明らかなように、本発明の実施例である「地紋版に刷り合わせ版を組み込む方法」は、「これまでの印刷方法(従来型網点万線)」と同じ色数(同じ印刷回数)であって、でき上がり印刷物の見た目も全く同じであった。
そして、得られた印刷物をそれぞれカラーコピーした結果、「これまでの印刷方法(従来型網点万線」では黒色の潜像が現れたのに対し、本発明の実施例である「地紋版に刷り合わせ版を組み込む方法」では赤色の潜像が現れた。また、潜像として「無効」の文字を選択したので、複写が行われたこと、正当なものでないことが明確に表示され、特に色の着いた潜像が現れる本発明の実施例ではより鮮明に認識されるものとなった。
このように、地紋版に刷り合わせ版を組み込むことにより、前記図1の2つの実施例に比べて印刷工程を減らせることが確認された。
図4には、本発明によるイラスト版に第1のインキによる偽造防止版を組み込むと共に、地紋版に第2のインキによる刷り合わせ版を組み込む方法を、従来の印刷方法と対比させた工程例を示した。
まず、「これまでの印刷方法(従来型網点万線)」では、図中には記載していないが、黒系インキのみを用いて150線15%の平網と42線15%の万線をベースに作製された網点万線の偽造防止版にてグレーに見える偽造防止印刷を行った。また、イラスト印刷は赤色で、地紋印刷は緑色で行った。
これに対し、本発明の実施例である「イラスト版に潜像版を組み込み、且つ地紋版に刷り合わせ版を組み込む方法」においては、イラスト版に、従来型と同様の150線15%の平網と42線15%の万線をベースに作製された網点万線の潜像版を組み込み、赤色の偽造防止印刷を行った。さらに、地紋版に、150線15%の平網からなる刷り合わせ版を組み込み、緑色の刷り合わせ印刷を行った。
同図より明らかなように本発明の実施例である「イラスト版に潜像版を組み込み、且つ地紋版に刷り合わせ版を組み込む方法」は、「これまでの印刷方法(従来型網点万線)」よりも少ない色数(少ない印刷回数)であって、でき上がり印刷物は見た目が全く同じであった。
そして、得られた印刷物をそれぞれカラーコピーした結果、「これまでの印刷方法(従来型網点万線」では黒色の潜像が現れたのに対し、本発明の実施例である「イラスト版に潜像版を組み込み、且つ地紋版に刷り合わせ版を組み込む方法」では、赤色の潜像が現れた。また、潜像として「無効」の文字を選択したので、複写が行われたこと、正当なものでないことが明確に表示され、特に色の着いた潜像が現れる本発明の実施例ではより鮮明に認識されるものとなった。
このように、イラスト版に潜像版を組み込み、且つ地紋版に刷り合わせ版を組み込むことにより、前記図2や図3の各実施例よりも更に一工程、即ちこれまでの印刷方法に比べても一工程の印刷工程を減らすことができる。
各種の証券類や商品券、各種の証明書類等に利用できる。
従来の「これまでの印刷方法」(左段)と、本発明による「コピーで赤色の潜像が出る印刷方法」(中央段)と、本発明による「コピーで緑色の潜像が出る印刷方法」(右段)を簡略的にそれぞれ示すと共に、カラーコピーの結果を付記した工程図である。 従来の「これまでの印刷方法」(左段)と、本発明による「イラスト版に偽造防止版を組み込む方法」(右段)を簡略的にそれぞれ示すと共に、カラーコピーの結果を付記した工程図である。 従来の「これまでの印刷方法」(左段)と、本発明による「地紋版に刷り合わせ版を組み込む方法」(右段)を簡略的にそれぞれ示すと共に、カラーコピーの結果を付記した工程図である。 従来の「これまでの印刷方法」(左段)と、本発明による「イラスト版に偽造防止版を組み込み、且つ地紋版に刷り合わせ版を組み込む方法」(右段)を簡略的にそれぞれ示すと共に、カラーコピーの結果を付記した工程図である。

Claims (5)

  1. 複写機で再現可能な大きい点の集合体もしくは線群と、複写再現能力に満たない小さい点の集合体を組み合わせた偽造防止印刷に、該偽造防止印刷に用いた第1のインキと異なる色の第2のインキで複写再現能力に満たない小さい点の集合体を刷り合わせてなる偽造防止印刷物であって、その複写物上には、第1のインキと第2のインキの合成色中より、第1のインキの色で潜像若しくは背景が現れることを特徴とする偽造防止印刷物。
  2. 偽造防止印刷における大きい点の集合体もしくは線群を30〜70線/インチで構成し、小さい点の集合体を100〜300線/インチの網点で構成し、その双方の面積率を5〜25%としたことを特徴とする請求項1に記載の偽造防止印刷物。
  3. 基材上に複写機で再現される大きい点の集合体もしくは線群と複写再現能力に満たない小さい点の集合体を組み合わせた偽造防止版を第1のインキで印刷する工程と、小さい点の集合体からなる刷り合わせ版を前記第1のインキと異なる色の第2のインキで印刷する工程と、さらに必要に応じてイラスト版や地紋版等をそれぞれの指定色で印刷する工程からなることを特徴とする偽造防止印刷物の製造方法。
  4. 印刷物のデザインとして組み込まれる地紋版又はイラスト版に、偽造防止版を組み込むようにしたことを特徴とする請求項3に記載の偽造防止印刷物の製造方法。
  5. 印刷物のデザインとして組み込まれる地紋版又はイラスト版に、刷り合わせ版を組み込むようにしたことを特徴とする請求項3又は4に記載の偽造防止印刷物の製造方法。
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