JP2005088078A - 走査型レーザ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザによるガラス切断に要求される、特殊なレーザビーム断面形状ならびに同形状内のエネルギー分布を可変制御方式で実現し、種々の条件下におけるレーザ加工を実現すること。
【解決手段】レーザ加工速度に比較して十分な高速走査と出力制御を行い、等価的にレーザビームがガラス切断に要求されているレーザビーム断面形状ならびにエネルギー分布を保持している条件を実現する。走査は走査鏡、デジタルミラー、回転ポリゴン鏡などによって,出力制御はレーザ発振器制御、空間フィルター使用、走査速度制御などによって行う。
【選択図】図1
【解決手段】レーザ加工速度に比較して十分な高速走査と出力制御を行い、等価的にレーザビームがガラス切断に要求されているレーザビーム断面形状ならびにエネルギー分布を保持している条件を実現する。走査は走査鏡、デジタルミラー、回転ポリゴン鏡などによって,出力制御はレーザ発振器制御、空間フィルター使用、走査速度制御などによって行う。
【選択図】図1
Description
本発明は、材料加工、なかんずくガラス加工に用いる加工用レーザ装置に関する。
加工用レーザにおいては、発振波長,出力値,パルス特性などの発振特性に加えて,モードと称するところのレーザビーム内のエネルギー強度分布、その拡がりの大きさ,拡がり角などの、いわゆるビーム特性が重要である。なかでも、レーザ発振器から射出されたままのレーザビームの特性である、モード次数,モード直径,モード拡がり角が重視されている。これらの特性は、レーザビームが加工点で集光される時に、焦点スポット径と焦点位置を決定する。両者は、大抵のレーザ加工において、加工特性に大きな影響をあたえている。アダプテブオプテクスの採用で、これらの特性の制御が可能であり、それによって加工に最適な条件を実現し、加工品質および加工速度の両方を改善することが通常行われている。
一方、一部の加工対象においては、集光後のエネルギー分布を最適形状にする必要がある。その最たるものに、脆性材料であるガラスの切断がある。ガラスにレーザビームを照射すると、一般にはランダム方向にクラックが発生し、切断進行を望む方向にのみ導くことは出来ない。
しかしながら、レーザビームのエネルギー分布を適当なものに選択して、光の進行方向と直交する方向に、引っ張り張力が発生するようにすれば、レーザビー厶の進行方向にのみガラスを切断することができる。このためには、集光後のレーザビームのエネルギー分布が、こうした張力を生じるために最適である必要がある。種々のガラスの切断において、この最適分布が研究され、それは主としてレーザビームを固定構造光学系を通過させることによって、実現されている。その代表的なものに
がある。 日本国特許 特許第3027768号
こうした固定構造光学系でビーム成形を行うときには、使用する光学系に対して、一定のエネルギー分布しか得られないという欠点がある。加工対象物であるガラスの種類および形状が変わるときに、所要の最適エネルギー分布も変るので、ビーム成形器である固定光学系を交換する必要がある。加工対象が変っても、装置の操作だけで望ましいエネルギー分布が実現できれば、常に最適加工条件を実現することができる。本発明は、こうした課題の解決を意図している。
上記課題を解決するために、本発明は集光後のレーザビームを、加工速度に比較して十分な高速度で走査し、ガラスなどの脆性材料の加工に最適なレーザビーム断面形状を等価的に実現する。また、同形状内におけるエネルギー強度分布も、レーザ発振器の出力制御,強度分布制御用外部空間フィルター使用、あるいは走査速度の制御などによって実現する。
レーザ加工の操作者は、異なった加工条件に対してこれらの因子の最適化をはかり、加工品質,加工速度、ならびに経済性の改良をはかることができる。
本発明によれば、レーザによる材料加工を常に最適条件で行うことができる。従来の金属のレーザ加工のように、円形状の焦点スポットに全エネルギーを結集させるのでなく、所要形状にエネルギーが分布したレーザビームを材料表面に照射して、加工に望まれる最適温度分布を実現することができる。こうした条件下では、従来は加工が困難であったガラスのような脆性物体のレーザ加工を、すぐれた特性で行うことが可能となる。
こうしたレーザ加工では、機械加工のような従来方法に比較して、加工速度,加工品質、経済性、難易度の克服などにおいて、その効果ははかり知れないものがある。
本発明では、集光前のレーザビームは集光特性に優れた、たとえば基本モードTEM00のものを用いる。こうしたレーザビームを、集光後に高速走査して、その焦点をある形状の領域内に高速走査して、あたかも最初からそうした焦点形状が存在したのと等価にするのである。この走査が、材料の移動速度や材料内の熱エネルギーの移動速度に比較して十分な高速で行われるときには、このビームは材料との相互作用において、最初からこうしたエネルギー分布を持っていた場合と同等の働きをする。
しかもこの原理においては、走査条件を変更することによって、任意の走査領域の形状を得ることが出来、大幅な加工条件の最適化を図ることができる。その例として
a)に三角形のレーザビーム断面形状を、
b)に長方形のものを示す。このような特殊の形状のレーザビーム断面は、レーザ共振器から発振によって発生させることは困難である。それを、図中の矢印の線分に示す焦点の高速走査によって、等価的に実現するのである。この二つの形状は単なる事例であって、走査条件を変更することによって、どのようにも構成することができる。要はレーザ加工上望まれる形状を実現すればよいのである。
簡単な走査系の構成例を
に示す。
a)では、レーザ発振器1から射出されるレーザビーム2を、集光レンズ3によって集光する。その焦点は5であって、ワーク6の面上に照射される。それ以前に、同レーザビームは走査鏡4および41によって走査される。これらの走査鏡は直交する2軸の走査回転軸を有する。その場合にはワーク6の面上の走査領域は2次元的に広がっている。ワーク6は焦点に対して、速度Vで移動している。一方焦点領域内の微小な走査の走査速度はvであって、同値はVよりも10倍ないし100倍程度大きい。
b)に示すのは、走査鏡4および41がレーザ発振器1と集光鏡3の間にある場合である。原理的には
a)の場合に等しいが、実際の構成では光路長などの実用上の数値が異なる。
本発明において重要なのは、高速走査性の実現である。走査速度は加工速度に比較して少なくとも10倍は大きい必要がある。そのためには、鏡面をできるだけ低イナーシャで構成しなければならない。最近高速プロジェクターに使用されているデジタルミラーを使用することができる。
走査領域の形状だけでなく、そのエネルギー強度分布も任意に実現することができる。それには、走査の最中にレーザ発振器においてレーザビームの出力変調をすればよい。あるいは、望ましい透過率分布を有する透過型空間フィルターを透過させてもよい。さらには、レーザ出力値は一定値にしておいて、走査速度を変調させてもよい。低速度で走査した場所に対しては高い平均エネルギーが得られるし,反対に高速度走査に対しては低い平均エネルギーが対応する。
本発明が提案するような、特定形状のレーザビーム断面が必要である事例として、ガラスのような脆性材料のレーザ切断がある。一般的に、ガラス表面に微小点に集光したレーザビームを照射すると、ランダム方向に不規則なクラックが発生し、制御した切断は思いもよらない。しかしながら、特殊な形状のレーザビームを照射すると、レーザビームの進行方向と直交方向に引っ張り張力が発生して、同進行方向にガラス切断をすることができる。この最適ビーム形状は、ガラスの種類,形状,切断条件などの諸因子によって決まってくる。したがって、諸因子に適合した最適形状を実現すると、高品質の切断を行うことができる。
これに使用するレーザ加工機は、こうした条件が可変調整できる必要がある。その場合は、操作者が適切な条件設定をすればよい。
望ましいレーザビーム形状7を、
に示す。同ビームの断面形状は、幅Wが0.2ないし1mm、長さLが10ないし50mmの、両端が丸まった長方形8である。出力値は一定でなく、一端で最高値H1であり、他端で最小値H2である。このレーザビームを、H1を先頭にして500ないし1000mm/秒の速度で、ガラス面上を移動させるのである。
次に、このようなレーザビーム形状の作成法について説明する。
第一に、1000mm/秒の加工速度の100倍にあたる走査速度105mm/秒の実現について考察する。
第一に、1000mm/秒の加工速度の100倍にあたる走査速度105mm/秒の実現について考察する。
a)の走査鏡4として、
に示す回転ポリゴン鏡を使用する走査を行う。同鏡は、回転中心が10である。平面鏡91,92、‥‥95、‥‥‥からなっている。同鏡が回転するとき、焦点は11から12の位置に移動する。両者間距離は、焦点から回転ポリゴン鏡の回転中心10までの距離をsとすると、sθである。ここに、θは隣接する平面鏡間の作る角度であって、n角形のポリゴンミラーの場合2π/nである。実用的な数値として、sを100mmとすると、所要走査速度105mm/秒に対する回転ポリゴン鏡の所要回転数は9551rpmとなる。この速度は、高速モータの使用により十分実現可能である。
走査は,
b)の走査鏡に回転ポリゴン鏡を使用しても行うことができる。この場合には、s値に集光レンズの焦点距離を使用すればよい。
第二に、前期した幅Wは、レーザビームの集光制御によって実現することができる。
第三に、長さLの実現を次の方法で行う。L=2πs/nであるので、Lはnに反比例する。Lを許容最大値まで大きく設計しておいて、後はアパーチャで制御すればよいであろう。この場合には,構成は簡単であるが、レーザ出力の損失が生じる。s=100mmの場合,n=13であればL=48.33mm、n=63であればL=9.97mmになる。
あるいは、1本の回転シャフトにn=10,20,30,40,50,60のポリゴン鏡を組み合わせて設置し、ビーム位置を選択することによって、所期のLを選択することができる。この場合にはレーザ出力の損失はない。
また、sを変化させて、Lを制御することもできる。この場合にもレーザ出力の損失はない。この場合、
a)の構成では、単なる距離調整だけで対処できるが,
b)の構成では、焦点距離の異なった何枚かの集光レンズを使用する必要がある。
次に、
に示すエネルギー分布の実現法について説明する。最高値H1はレーザ出力設定によって行う。最低値H2までの変調は、レーザ発振器における出力制御で行ってもよい。本発明で扱う数値の範囲内では、最大変調周波数は10kHz程度であるので、それも可能である。
に、エネルギー分布制御用空間フィルターの一例を示す。このフィルターの構成で重要なことは、透過率を場所ごとに変化させると同時に、その絶対値も操作者が選択できなければならないことである。また高出力の集光ビームが透過するので、耐光強度が十分に強くなければならない。このようなフィルターを光路中に挿入しておけば、所期のエネルギー分布が実現できる。同フィルターは、レーザビームの透過物質(たとえばCO2レーザに対してはZnSeなど)で構成される全反射素子である。同素子は、底面16において全反射をする全反射鏡13からなる。入射ビーム19は、ブリュースタ入射面15を反射損失なく入射し、素子内ビーム20になる。ブリュースタ角入射の採用は、反射損失を回避する目的を持つ。反射防止膜の使用よりも、耐光強度がけた違いに高い。このビームが底面16において全反射し、反射ビーム21になり,ブリュースタ面15から再度反射損失なく外部に反射ビーム21になって戻っていく。この反射鏡には、同一構造の素子14が楔状に取り付けられており、そのギャップdはピエゾ効果などによって波長程度の長さの微調整ができるようにしておく。この素子の右端では、ギャップが十分大きく入射ビームのほぼ全部が反射する。左に行くほどギャップが小さくなり、入射ビームの一部はエバネセントビームになり、透過ビーム22として透過してしまう。透過光はビームアブゾーバ23によって受容される。したがって、右端が最大反射率で、左端が最小反射率である。しかも、その割合はギャップdの調整で制御できる。
このように、
に示すエネルギー分布における全てのパラメータ(W,L、H1およびH2)は制御可能であって、レーザビームによるガラス切断における最適条件を実現することができる。種々の材料ならびに構造のガラス切断を行う時には、あらかじめ決定しておいたこれら諸因子の最適値を選択して切断を行えば、良好な結果を得ることができる。
液晶ディスプレィ、プラズマ・ディスプレィなどのフラットパネルデスプレイに用いる平面ガラスの切断が、現在はダイアモンド工具で行われており、切断後の洗浄工程の必要性や、マイクロクラックの存在などが問題を呈している。レーザ加工は、こうした問題を解決することができる。
建築資材としての強化ガラスの使用は、犯罪防止という現代社会に求められている課題解決に貢献できる。しかしながら、強化ガラスの切断は機械的方法では困難であり、レーザの使用が期待されている。
このように、ガラス切断に適したレーザ発振器の出現は、現代社会に要求されている種々の課題への解決である。
1 レーザ発振器
2 レーザビーム
3 集光レンズ
4 走査鏡
41 走査鏡
5 焦点
6 ワーク
7 ガラス切断に望まれるレーザビームのエネルギー分布
8 同レーザビーム断面形状
91 ポリゴンミラーの素鏡面
92 同
93 同
94 同
95 同
10 ポリゴンミラーの回転中心
11 長方形断面の一端
12 同他端
13 全反射素子
14 全反射素子
15 ブリュースタ入射面
16 底面
17 ブリュースタ出射面
18 底面
19 入射レーザビーム
20 レーザビーム
21 反射レーザビーム
22 透過レーザビーム
23 ビームアブゾーバ
2 レーザビーム
3 集光レンズ
4 走査鏡
41 走査鏡
5 焦点
6 ワーク
7 ガラス切断に望まれるレーザビームのエネルギー分布
8 同レーザビーム断面形状
91 ポリゴンミラーの素鏡面
92 同
93 同
94 同
95 同
10 ポリゴンミラーの回転中心
11 長方形断面の一端
12 同他端
13 全反射素子
14 全反射素子
15 ブリュースタ入射面
16 底面
17 ブリュースタ出射面
18 底面
19 入射レーザビーム
20 レーザビーム
21 反射レーザビーム
22 透過レーザビーム
23 ビームアブゾーバ
Claims (13)
- レーザ加工速度に比較して、十分に高速な走査と出力制御を行い、レーザビームの断面形状ならびに同形状内のエネルギー分布を、レーザ加工に適合したものに成形した走査型レーザ装置。
-
- において、走査を回転軸の回りに往復回転する走査鏡によって行うもの。
-
- において、走査をデジタルミラーの反射によって行うもの。
-
- において、走査を回転ポリゴン鏡によって行うもの。
-
- において、エネルギー分布制御をレーザ出力変調によって行うもの。
-
- において、エネルギー分布制御を空間フィルターによって行うもの。
-
- において、エネルギー分布制御を走査速度変調によって行うもの。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003363855A JP2005088078A (ja) | 2003-09-17 | 2003-09-17 | 走査型レーザ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003363855A JP2005088078A (ja) | 2003-09-17 | 2003-09-17 | 走査型レーザ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005088078A true JP2005088078A (ja) | 2005-04-07 |
Family
ID=34463558
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003363855A Pending JP2005088078A (ja) | 2003-09-17 | 2003-09-17 | 走査型レーザ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008247038A (ja) * | 2008-05-24 | 2008-10-16 | Lemi Ltd | 脆性材料のフルカット割断方法 |
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KR101311898B1 (ko) * | 2011-05-31 | 2013-09-27 | (주)하드램 | 빔의 형태 및 에너지 분포 조절이 가능한 레이저 커팅 장치 |
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-
2003
- 2003-09-17 JP JP2003363855A patent/JP2005088078A/ja active Pending
Cited By (10)
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US10286490B2 (en) * | 2014-01-17 | 2019-05-14 | Siemens Aktiengesellschaft | Oscillating welding method |
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