JP3404296B2 - レーザ発振装置 - Google Patents

レーザ発振装置

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JP3404296B2
JP3404296B2 JP25148798A JP25148798A JP3404296B2 JP 3404296 B2 JP3404296 B2 JP 3404296B2 JP 25148798 A JP25148798 A JP 25148798A JP 25148798 A JP25148798 A JP 25148798A JP 3404296 B2 JP3404296 B2 JP 3404296B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザ共振器から
出射されたレーザ光を光ファイバを介して所望の加工地
点へ伝送し、伝送されたレーザパワーを加工ヘッドによ
り集光して金属の溶接や切断などを行うスラブ形YAG
結晶を搭載したレーザ発振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図5は、例えば雑誌「溶接技術」の19
95年11月号68ページ記載の光ファイバ伝送光学系
を有するレーザ加工装置の構成図である。図において、
1はレーザ発振器、2はレーザ光、3は集光レンズであ
り、レーザ発振器1から出射されたレーザ光2を集光す
る。4は光ファイバであり、集光レンズ3で集光された
レーザ光2を所望の加工地点まで伝送する。5は加工ヘ
ッドであり、光ファイバ4から出射されたレーザ光2を
集光して加工物に照射するものである。
【0003】次に動作について説明する。レーザ発振器
1から出射したレーザ光2は集光レンズ3により集光さ
れ、その集光スポットが光ファイバ4のコア端面即ち入
射端面に入射される。金属の溶接や切断を行うレーザ発
振装置では、レーザ光2の平均出力は数百W〜数kWと
いう大出力であり、光ファイバ4には、コア直径300
〜1200μm程度のステップインデックス型やグレー
デッドインデックス型の光ファイバが使用されている。
ステップインデックス型光ファイバは、コアとその周辺
のクラッドが或る一定の屈折率をもち、両者の界面で屈
折率がステップ状に変化している。コアに入射したレー
ザ光は、コアとクラッドとの界面で反射を繰り返して伝
送される。一方、グレーデッドインデックス型光ファイ
バは、ファイバ軸に垂直な断面で屈折率が連続的に変化
している。コアに入射したレーザ光は、コア中心部の高
屈折率領域を振動しながら伝送される。これらの光ファ
イバのコアには高純度石英が使用され、グレーデッドイ
ンデックス型光ファイバでは、Geをドープして屈折率
を連続的に変化させている。
【0004】又、入射するレーザ光に対するコア端面の
耐エネルギー強度は、連続発振モードのレーザ光では2
〜4kW程度、瞬間的に連続発振モードよりもエネルギ
ー強度が増すパルス発振モードにおいては、ステップイ
ンデックス型光ファイバで10W/mm程度、グレ
ーデッドインデックス型光ファイバで5×10W/m
程度である。従って、レーザ光2を集光レンズ3に
よって集光してコア端面に入射させる際、出力の高いレ
ーザ光2を小さなスポットに集光し過ぎると、上述の耐
エネルギー強度を超えてコア端面が破壊することがあ
る。
【0005】こうして光ファイバ4に入射したレーザ光
3は、光ファイバ4内を通って伝送され、加工ヘッド5
内の集光レンズにより加工物に集光照射される。加工物
として金属の溶接や切断を行う場合、金属に照射するレ
ーザ光の集光スポット径は小さければ小さいほどエネル
ギー密度が高くなり、溶接においては溶け込み深さが増
し、切断においてはシャープでより厚い金属板を切断で
きる。集光スポット径は光ファイバ4伝送後のレーザ光
のビーム品質が高いほど小さい。ビーム品質には、伝播
して行くビームの発散角θと、ビーム径が最小になるウ
エスト位置でのビーム直径dとの積、θdmm・mra
d(ミリメータ・ミリラジアン)が使用される。θdの
値は小さいほど品質が良いことをあらわしており、例え
ばYAGレーザの場合、理論上θdの値は1.35mm
・mradが最も良いビーム品質となる。θdの値が2
倍に悪くなると、集光スポット径も2倍となり、加工物
に照射されるエネルギー密度は1/4に弱くなる。
【0006】又、金属に対する照射エネルギー密度を高
めるために、パルスモード発振をすることも多く、この
場合、照射エネルギー密度は連続モード発振時の2〜1
0倍程度になる。このため、レーザ発振器1から出射す
るレーザ光2を、ビーム品質を劣化させずに加工点まで
伝送するために、グレーデッドインデックス型光ファイ
バを使用することがある。
【0007】グレーデッドインデックス型光ファイバを
用いた上述の伝送では、使用する光ファイバ4のコア直
径及び屈折率分布状態と、入射するレーザ光2のビーム
品質とで決まるコア端面への入射スポット直径が、コア
直径に対して小さく、入射スポット直径がコア直径の1
/4程度になることもある。この入射スポット直径は、
レーザ光2のビーム品質θdの平方根に比例する。これ
に対して、ステップインデックス型光ファイバを用いた
伝送では、光ファイバ4に入射するレーザ光2のビーム
品質を維持して伝送することはできない。よって、入射
スポット直径はコア直径に合わせて大きくすることがで
き、通常、コア直径の2/3程度にする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように構成され
た従来のレーザ発振装置においては、レーザ光2のビー
ム品質を維持する為に、グレーデッドインデックス型光
ファイバを用いて大出力且つ高ビーム品質のレーザ光2
を伝送する場合、レーザ光2を直径数百μmに集光し
て、コア端面に入射させる必要があり、集光スポットの
エネルギー強度がコア端面の耐エネルギー強度を上回
り、コア端面が破壊する問題があった。
【0009】ビーム品質を維持できる入射スポット直径
は、ビーム品質が高い程小さく、例えば、平均出力20
00W、ビーム品質θdが15mm・mradのレーザ
光2に対して、コア直径1200μmのグレーデッドイ
ンデックス型光ファイバを用いた場合、入射スポット直
径は190μm程度となり、入射スポットのエネルギー
強度は7×10W/mmとなる。又、ピーク出力4
000Wの倍パルスモード発振させた場合、エネルギー
強度は1.4×10W/mmとなり、コア端面の耐
エネルギー強度5×10W/mmを大きく上回る。
【0010】従って、この場合、ピーク出力が4000
Wを超える3倍〜10倍パルスモード発振では、コア端
面が破壊されて光ファイバ伝送ができない。かといっ
て、入射スポットのエネルギー強度を下げる為に、入射
スポット径を大きくすると、光ファイバ出射後のビーム
品質は大きく劣化し、ビーム品質θdは100を超えて
しまう。よって、レーザ光2がいくら高ビーム品質のビ
ームであっても、光ファイバ伝送後には、ビーム品質が
100程度まで劣化してしまうといった問題があった。
【0011】又、耐エネルギー強度が10W/mm
と高いステップインデックス型光ファイバを用いた場
合、光ファイバ出射後のビーム品質は、使用する光ファ
イバのコア径が小さい程良くなるが、例えば、コア直径
400μmの光ファイバを使ったとしても、θdは60
程度までしか良くならない。又、このようなコア径の小
さい光ファイバに大出力のレーザ光を入れるのは非常に
困難である。
【0012】本発明は、上記のような問題点を解決する
ことを課題としてなされたもので、大出力且つ高ビーム
品質のレーザ光を光ファイバ伝送する際に、ビーム品質
の劣化を抑制することができるレーザ発振装置の提供を
目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、レー
ザ媒体としてのスラブ形YAG結晶と、スラブの厚み方
向が安定型共振器でスラブの幅方向が不安定型共振器と
されたハイブリッド共振器と、このハイブリッド共振器
から出射されたレーザ光を集光する集光レンズと、この
集光レンズで集光されたレーザ光を所望地点まで伝送す
る光ファイバとを有するレーザ発振装置において、上記
ハイブリッド共振器と上記光ファイバとの間に、スラブ
の幅方向に曲率を有しレーザ光軸に対してレンズ光軸を
スラブの幅方向において傾斜自在に配置されて収差を生
じさせるシリンドリカルレンズと、前記シリンドリカル
レンズを通過後のビームを平行にするシリンドリカルレ
ンズとを備え、前者のみ又は前者と後者のシリンドリカ
ルレンズを傾斜させることにより、レーザ光のビーム品
質を調整することを特徴とする。
【0014】請求項2の発明は、レーザ媒体としてスラ
ブ形YAG結晶と、スラブの厚み方向が安定型共振器で
スラブの幅方向が不安定型共振器であるハイブリッド共
振器と、このハイブリッド共振器から出射されたレーザ
光を集光する集光レンズと、この集光レンズで集光され
たレーザ光を所望地点まで伝送する光ファイバとを有す
るレーザ発振装置において、上記ハイブリッド共振器と
上記光ファイバとの間に、スラブの幅方向に曲率を有し
レーザ光軸に対してミラー光軸をスラブの幅方向におい
て傾斜自在に配置されて収差を生じさせるシリンドリカ
ルミラーと、前記シリンドリカルミラーで反射されたビ
ームを平行にするシリンドリカルミラーとを備え、前者
のみ又は前者と後者のシリンドリカルミラーを傾斜させ
ることにより、レーザ光のビーム品質を調整することを
特徴とする。
【0015】請求項3の発明は、レーザ媒体としてスラ
ブ形YAG結晶と、スラブの厚み方向が安定型共振器で
スラブの幅方向が不安定型共振器であるハイブリッド共
振器と、このハイブリッド共振器から出射されたレーザ
光を集光する集光レンズと、この集光レンズで集光され
たレーザ光を所望地点まで伝送する光ファイバとを有す
るレーザ発振装置において、上記ハイブリッド共振器と
上記光ファイバとの間に、スラブの幅方向に曲率を有し
レーザ光軸に対してレンズ中心をスラブの幅方向におい
て軸ずれ自在に配置されて収差を生じさせるシリンドリ
カルレンズと、前記シリンドリカルレンズを通過後のビ
ームを平行にするシリンドリカルレンズとを備え、前者
のみ又は前者と後者のシリンドリカルレンズを軸ずれさ
せることにより、レーザ光のビーム品質を調整すること
を特徴とする。
【0016】請求項4の発明は、レーザ媒体としてスラ
ブ形YAG結晶と、スラブの厚み方向が安定型共振器で
スラブの幅方向が不安定型共振器であるハイブリッド共
振器と、このハイブリッド共振器から出射されたレーザ
光を集光する集光レンズと、この集光レンズで集光され
たレーザ光を所望地点まで伝送する光ファイバとを有す
るレーザ発振装置において、上記ハイブリッド共振器と
上記光ファイバとの間に、スラブの幅方向に曲率を有し
レーザ光軸に対してミラー光軸をスラブの幅方向におい
て軸ずれ自在に配置されて収差を生じさせるシリンドリ
カルミラーと、前記シリンドリカルミラーで反射された
ビームを平行にするシリンドリカルミラーとを備え、
者のみ又は前者と後者のシリンドリカルレンズを軸ずれ
させることにより、レーザ光のビーム品質を調整するこ
とを特徴とする。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態を示す
図に基づいて説明する。 実施の形態1.図1は実施の形態1のレーザ発振装置を
示す構成図である。図において、1はレーザ発振器、2
はレーザ発振器1から出射されたレーザ光、5はレン
ズ、この例ではシリンドリカルレンズであり、レンズ収
差を発生させるため、上記レーザ発振器1としてのハイ
ブリッド共振器と光ファイバ4との間に、スラブの幅方
向に曲率を有しレーザ光軸に対してレンズ光軸をスラブ
の幅方向において傾斜自在に配置され、入射するレーザ
光2の光軸に対して角度α傾けてある。6は上記シリン
ドリカルレンズ5を通過後のビームを平行にするための
レンズとしてのシリンドリカルレンズ、7は上記レンズ
効果即ちレンズ収差を引き起ことにより、ビーム品質が
調整された後のレーザ光である。
【0022】ここで、図1はスラブの幅方向の光学系の
みを示しており、この方向にだけレンズ効果即ちレンズ
収差を引き起こすようにシリンドリカルレンズを配置し
ている。レンズ効果即ちレンズ収差を引き起こさせる手
段、即ち、入射するレーザ光2の光軸に対して角度α傾
ける傾斜手段としては、当該レンズを所望の角度に傾斜
させる回転機構を備えたレンズ保持装置(図示せず)を
用いている。又、上記のスラブは、YAGレーザに使用
する個体レーザ結晶(イットリウムアルミニウムガーネ
ット結晶にネオディウムがドープされたもの)の形状で
ある。例えば、寸法的には幅25mm×厚み6mm×長
さ200mm程度であり、レーザ光はスラブの幅方向と
厚み方向の矩型断面を開口として、長さ方向に発振す
る。
【0023】図6に示すように、このようなスラブYA
Gレーザの共振器は、共振器ミラーにシリンドリカルミ
ラーを使用する等により、幅方向と厚み方向とで光学的
に異なる共振器構成となるハイブリッド共振器を使用す
る場合が多く、通常、開口の狭い厚み方向には安定型共
振器、開口の広い幅方向には不安定型共振器を構成して
いる。尚、幅方向を安定型共振器にすると、幅方向のビ
ーム品質θdが非常に大きな値となる。
【0024】そして、こうしたハイブリッド共振器から
出力即ち出射されるレーザ光のビーム品質は、幅方向と
厚み方向とで異なる。例えば、幅方向ではθd=3mm
・mrad、厚み方向ではθd=50mm・mradと
いうように、不安定型共振器のビーム品質が非常に良
い。従って、グレーデッドインデックス型光ファイバを
用いて、ビーム品質を劣化させない光ファイバ伝送をす
る場合、光ファイバコア端面への幅方向の入射スポット
直径が小さくなり過ぎる。例えば、コア直径1200μ
mのグレーデッドインデックス型光ファイバで、θd=
3mm・mradのビーム品質を維持するためには、幅
方向の入射スポット直径を85μm程度にする必要があ
る。尚、厚み方向の入射スポット直径は350μm程度
となる。
【0025】この場合、平均出力2000Wのレーザ光
2では、入射スポットの平均エネルギー強度は6.7×
10W/mmとなり、コア端面の耐エネルギー強度
5×10W/mmぎりぎりとなるが、入射スポット
中央部のエネルギー強度は耐エネルギー強度を上回るこ
とが多く、コア端面が破壊する可能性が高い。まして、
加工物に照射するエネルギー密度を高めたい等の理由か
ら、ピーク出力4000Wの倍パルスモード発振をさせ
ると、入射スポットの平均エネルギー強度は1.3×1
W/mmとなり、更に破壊する可能性が高くな
る。又、入射スポットのエネルギー強度を下げる為に、
入射スポット径を2〜3倍に大きくすると、光ファイバ
出射後のビーム品質θdは100mm・mrad程度に
まで急激に劣化してしまう。
【0026】次に、コア端面を破壊することなく、上述
のビーム品質即ち共振器出射ビーム品質(3と50mm
・mrad)を、光ファイバ出射後において、θd=4
0〜50mm・mrad程度にする実施例について、図
1及び図2を用いて説明する。先ず、レンズ収差とは、
光を理想レンズで集光したときの像に対する実際のレン
ズで集光した像の誤差量である。図2は光軸に対して垂
直に配置されたシリンドリカルレンズ5を、図示しない
傾斜手段によって傾動自在に傾けることによりレンズ収
差が増大し、ビーム品質が劣化する様子を示す説明図で
ある。理想レンズからの誤差という意味では、図2に示
すようにシリンドリカルレンズ5を光軸に対して垂直に
配置した場合でも、集光ビームのウエスト径dは理想レ
ンズの場合のウエスト径よりも大きくなる。しかし、シ
リンドリカルレンズ5の焦点距離fに比べて、入射する
レーザ光2のビーム径Dが1/10以下程度に小さい時
には、レンズ収差による誤差はほとんど無視できるほど
小さい。或いは逆に、ビーム径Dに対してシリンドリカ
ルレンズ5の焦点距離fを10倍以下に小さくすれば、
レンズ収差が発生するので、所定の収差量を発生させる
焦点距離fを光学設計することにより、ビーム品質の劣
化量を調整することができる。図2に示すビームウエス
ト径dと発散角θとの積がシリンドリカルレンズ5の通
過後のビーム品質となる。
【0027】これに対して、図3に示すようにシリンド
リカルレンズ5を光軸に対して傾けた場合に発生するレ
ンズ収差は、その傾き角度に応じて連続的に大きくな
る。理想レンズに近い図2の場合と比べると、ビームウ
エスト径d’はレンズ収差によってdよりも大きくな
る。又、シリンドリカルレンズ6までの距離が短くなる
ことから判るように、発散角θ’についてもθよりも大
きくなる。従って、ビーム品質θdの値が大きくなり、
品質即ち集光性能が劣化する。
【0028】尚、ここではレンズ収差を発生させるため
に、シリンドリカルレンズ5を傾けているが、傾ける代
わりに光軸に対して、シリンドリカルレンズ5を上下に
シフトさせて、軸ずれさせてもよく、傾斜とこの光軸シ
フト(軸ずれ)とを組合せてもよい。例えば、ビーム径
D=10mm、ビーム品質θd=5mm・mrad、波
長1064nm(ナノ)のYAGレーザ光2に対して、
焦点距離f=100mm、厚み10mm程度のシリンド
リカルレンズ5を使用した場合、傾け角度を30°程度
にすることにより、ビーム品質θd=40mm・mra
d程度のレーザ光7が得られる。
【0029】θdの調整は、傾け角度によって連続的に
行うことができ、θdを40mm・mradよりも大き
くしたい場合には傾け角度を30°よりも大きくし、θ
dを5〜40mm・mradの間の値にしたければ、傾
け角度を30°よりも小さくすればよい。この時、シリ
ンドリカルレンズ5の傾け角度を大きくするにつれて、
ビームウエスト位置が平凸レンズ5側に近づき、光軸も
屈折し始める。これに対しては、シリンドリカルレンズ
6を光軸方向に移動即ち軸ずれさせてシリンドリカルレ
ンズ5に近づけることで発散するレーザ光7をコリメー
トし、上下方向に移動させることでシリンドリカルレン
ズ6の屈折効果即ちレンズ収差を利用してレーザ光7の
光軸をレーザ光2の光軸と平行に戻すことができる。
【0030】又、通常、大出力レーザ光に使用するレン
ズには、入射面及び裏面に無反射コーティングが施され
ている。このコートによりレンズ1枚当たりの反射によ
る出力損失は0.5%以下程度に減少する。尚、コート
を施さない場合の反射による出力損失は7〜8%であ
る。しかし、レンズに施すコートは通常、レーザ光がレ
ンズに垂直即ち0°で入射する時に反射損失が最小にな
るようにコートの膜物質や膜厚等が設計されており、低
損失領域は精々プラスマイナス10°程度であり、この
範囲を越える角度で入射すれば反射損失は急激に高くな
ってしまう。よって、上述のようにシリンドリカルレン
ズ5を30°程度に傾けて使用した場合、シリンドリカ
ルレンズ5に入射するレーザ光2の入射角が30°程度
になるため、4〜6%程度の反射損失が生じる。従って
この場合では、シリンドリカルレンズ5に施すコートの
中心角度を30°にするといった具合に、調整する傾け
角度に合わせた中心角度のコートを施すことにより、傾
けて使用した場合のシリンドリカルレンズ5の反射損失
を0.5%以下程度にすることができる。
【0031】尚、上述の構成では、シリンドリカルレン
ズ5のみを傾けてレンズ収差を生じさせているが、シリ
ンドリカルレンズ6も同様の傾斜手段により傾動自在に
載置させて、これを傾けることにより、両方のレンズに
レンズ収差を生じさせてビーム品質を調整してもよい。
さらに2枚以上のレンズを使用して、レンズ収差による
レーザ光強度分布の偏りを抑制してもよい。このように
して、シリンドリカルレンズ5を傾けて配置するといっ
た簡単な構成で、レンズ収差を発生させる為の特殊な光
学部品を使用しなくても、レンズ収差を発生させレーザ
光2のビーム品質を連続的に劣化させる調整を行なうこ
とができる。
【0032】又、光学的には、焦点距離fのレンズは、
曲率半径R=2fのミラーと等価(反射と透過という通
過後のレーザ光の向きの違いはあるが)であることか
ら、上述のシリンドリカルレンズ5、6をシリンドリカ
ルミラーにしても、同様の効果がある。図4にシリンド
リカルミラーを使用した例を示す。図中の符号8及び9
はシリンドリカルミラーである。
【0033】次に、上述のビーム品質調整が光ファイバ
伝送に与える効果について説明する。上述の平均出力2
000Wのレーザ光2に対して、シリンドリカルレンズ
5を配置してレーザ光2の幅方向のビーム品質θdを4
0mm・mrad程度に調整したレーザ光7を、このビ
ーム品質を維持したまま光ファイバ伝送する場合、レー
ザ光7の幅方向の入射スポット直径は310μm程度に
すればよく、入射スポットの平均エネルギー強度は1.
8×10W/mmに低下する。従って、ピーク出力
4000Wの倍パルスモード発振をさせたとしても、平
均エネルギー強度は3.6×10W/mmであり、
コア端面の耐エネルギー強度5×10W/mmを大
きく上回ることなく、光ファイバ伝送ができる。そし
て、光ファイバ4の出射後のビーム品質θdは、幅方向
のθd=40mm・mradと厚み方向のθd=50m
m・mradとの間の40〜50mm・mrad程度と
なる。
【0034】これを100mm・mradのビーム品質
と比較すると、加工ヘッドの集光条件が同じ場合、集光
性能は100/45=2.2倍、加工物に照射するエネ
ルギー密度では(100/45)=4.9倍となり、
種々の加工特性を格段に向上させることができる。
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1のレーザ発振装置を示す構成図
である。
【図2】 レンズ収差の発生を説明する説明図である。
【図3】 シリンドリカルレンズを光軸に対して傾けた
状態を示す説明図である。
【図4】 シリンドリカルミラーを使用した説明図であ
る。
【図5】 従来のレーザ発振装置の一例を示す構成図で
ある。
【図6】 ハイブリッド共振器を説明する説明図であ
る。
【符号の説明】
1 レーザ発振器、2、7 レーザ光、3 集光レン
ズ、4 光ファイバ、5、6 シリンドリカルレンズ、
7,8 シリンドリカルミラー。
フロントページの続き (72)発明者 久国 晶 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三菱電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−167754(JP,A) 特開 昭63−316822(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 3/00 - 3/30 H01S 5/00 - 5/50 G02B 6/32,6/42

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ媒体としてのスラブ形YAG結晶
    と、スラブの厚み方向が安定型共振器でスラブの幅方向
    が不安定型共振器とされたハイブリッド共振器と、この
    ハイブリッド共振器から出射されたレーザ光を集光する
    集光レンズと、この集光レンズで集光されたレーザ光を
    所望地点まで伝送する光ファイバとを有するレーザ発振
    装置において、 上記ハイブリッド共振器と上記光ファイバとの間に、ス
    ラブの幅方向に曲率を有しレーザ光軸に対してレンズ光
    軸をスラブの幅方向において傾斜自在に配置されて収差
    を生じさせるシリンドリカルレンズと、前記シリンドリ
    カルレンズを通過後のビームを平行にするシリンドリカ
    ルレンズとを備え、前者のみ又は前者と後者のシリンド
    リカルレンズを傾斜させることにより、レーザ光のビー
    ム品質を調整することを特徴とするレーザ発振装置。
  2. 【請求項2】 レーザ媒体としてスラブ形YAG結晶
    と、スラブの厚み方向が安定型共振器でスラブの幅方向
    が不安定型共振器であるハイブリッド共振器と、このハ
    イブリッド共振器から出射されたレーザ光を集光する集
    光レンズと、この集光レンズで集光されたレーザ光を所
    望地点まで伝送する光ファイバとを有するレーザ発振装
    置において、 上記ハイブリッド共振器と上記光ファイバとの間に、ス
    ラブの幅方向に曲率を有しレーザ光軸に対してミラー光
    軸をスラブの幅方向において傾斜自在に配置されて収差
    を生じさせるシリンドリカルミラーと、前記シリンドリ
    カルミラーで反射されたビームを平行にするシリンドリ
    カルミラーとを備え、前者のみ又は前者と後者のシリン
    ドリカルミラーを傾斜させることにより、レーザ光のビ
    ーム品質を調整することを特徴とするレーザ発振装置。
  3. 【請求項3】 レーザ媒体としてスラブ形YAG結晶
    と、スラブの厚み方向が安定型共振器でスラブの幅方向
    が不安定型共振器であるハイブリッド共振器と、この
    イブリッド共振器から出射されたレーザ光を集光する集
    光レンズと、この集光レンズで集光されたレーザ光を所
    望地点まで伝送する光ファイバとを有するレーザ発振装
    置において、 上記ハイブリッド共振器と上記光ファイバとの間に、ス
    ラブの幅方向に曲率を有しレーザ光軸に対してレンズ中
    心をスラブの幅方向において軸ずれ自在に配置されて収
    差を生じさせるシリンドリカルレンズと、前記シリンド
    リカルレンズを通過後のビームを平行にするシリンドリ
    カルレンズとを備え、前者のみ又は前者と後者のシリン
    ドリカルレンズを軸ずれさせることにより、レーザ光の
    ビーム品質を調整することを特徴とするレーザ発振装
    置。
  4. 【請求項4】 レーザ媒体としてスラブ形YAG結晶
    と、スラブの厚み方向が安定型共振器でスラブの幅方向
    が不安定型共振器であるハイブリッド共振器と、この
    イブリッド共振器から出射されたレーザ光を集光する集
    光レンズと、この集光レンズで集光されたレーザ光を所
    望地点まで伝送する光ファイバとを有するレーザ発振装
    置において、 上記ハイブリッド共振器と上記光ファイバとの間に、ス
    ラブの幅方向に曲率を有しレーザ光軸に対してミラー光
    軸をスラブの幅方向において軸ずれ自在に配置されて収
    差を生じさせるシリンドリカルミラーと、前記シリンド
    リカルミラーで反射されたビームを平行にするシリンド
    リカルミラーとを備え、前者のみ又は前者と後者のシリ
    ンドリカルレンズを軸ずれさせることにより、レーザ光
    のビーム品質を調整することを特徴とするレーザ発振装
    置。
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