JP2005087101A - 箔押し材、および、この箔押し材を用いて箔押しされた食品、可食性フィルム等の可食物、または、水溶性の可食性フィルム、並びに、この箔押し材を用いて箔押しされた水溶性の可食性フィルムを使用した食品または飲物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 製造工程が簡素化された低コストの、可食性の色箔を箔押しすることができる箔押し材を提供する。
【解決手段】 箔押し材1は、ベース材2に、離型層3と、着色層4とが順に積層されて形成されている。前記ベース材2は、プラスチックフィルムあるいは紙類からなる。前記離型層3は、食品添加物その他の可食性の素材、または、食品用包材の皮膜材として用いることができる素材からなる。前記着色層4は、少なくとも可食性の色材と可食性の接着材とが混合されてなる、可食性の着色素材からなる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、可食性の色箔を箔押しするのに用いられる箔押し材、および、この箔押し材を用いて箔押しされた食品、可食性フィルム等の可食物、または、水溶性の可食性フィルム、並びに、この箔押し材を用いて箔押しされた水溶性の可食性フィルムを使用した食品または飲物に関するものである。
本出願人は、特許文献1によって、図7に示す箔押し材を開示した。この箔押し材50は、ベース材51と、離型層52と、金もしくは銀の層53と、接着層54とが順に積層されて形成されていた。離型層52は、食品添加物その他の可食性素材、または食品用包材の皮膜材として用いることができる素材からなり、金もしくは銀の層53は、純金もしくは純良金等の金、または、純銀もしくは純良銀等の銀の被膜層からなり、接着層54は、可食性の接着材からなっていた。
ここで、可食性フィルム等の可食物に、この箔押し材50を用いて箔押し印刷をすると、離型層52を境にして、金または銀の層53が、可食性の接着材とともにベース材51から離れ、前記可食物上には、可食性の金箔または銀箔が転写され箔押し印刷された。
また、前記離型層52と、前記金もしくは銀の層53との間、あるいは、前記接着層54と、前記金もしくは銀の層53との間の少なくとも一方に可食性の着色層を介在させることで、前記箔押し材50は、色味に変化を与えた金箔あるいは銀箔を箔押しすることができた。
特開平7−231756号公報
ところで、前記箔押し材50は、箔押しされる金箔あるいは銀箔の色味に変化を与えるためには、記述の通り、金もしくは銀の層53とは別に着色層を形成する必要があり、また、その金もしくは銀の層53の上にさらに接着層54を形成する必要があるなど、着色層付きの箔押し材50を製造するのには多くの工程が必要であった。
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、製造工程が簡素化された低コストの、可食性の色箔を箔押しすることができる箔押し材を提供することにある。さらに、その箔押し材を用いて、可食性の色箔が箔押しされた食品、可食性フィルム等の可食物、または、水溶性の可食性フィルム、並びに、この箔押し材を用いて箔押しされた水溶性の可食性フィルムを使用した食品または飲物を提供することにある。
この発明に係る、箔押し材、および、この箔押し材を用いて箔押しされた食品、可食性フィルム等の可食物、または、水溶性の可食性フィルム、並びに、この箔押し材を用いて箔押しされた水溶性の可食性フィルムを使用した食品または飲物は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の箔押し材は、可食性の色箔を箔押しするのに用いられる箔押し材であって、ベース材に、少なくとも離型層と、着色層とが積層されてなる。そして、前記離型層は、食品添加物その他の可食性の素材、または、食品用包材の皮膜材として用いることができる素材からなり、前記着色層は、少なくとも可食性の色材と可食性の接着材とが混合されてなる、可食性の着色素材からなる。ここで、可食性の色材としては、可食性の天然着色料、可食性の合成着色料、あるいは、可食性の金属粉(この明細書において、金属粉とは、微粒子状の金属も含む概念である。)を使用できる。したがって、これらの可食性の色材の中から単数あるいは複数を適宜選択することで、着色層は、多様な色を呈することが可能となる。そして、この箔押し材を用いて、食品、可食物等の被転写物に箔押し印刷すると、離型層を境にして、着色層がベース材から離れる。そして、この着色層が、混合された可食性の接着材を介して、前記被転写物に接着することにより、可食性の色箔が前記被転写物に転写され箔押しされる。
請求項2に記載の箔押し材のように、前記離型層は、食品用包材の皮膜材として用いることができるシリコーンを主材料として形成されてもよい。
請求項3に記載の箔押し材のように、前記離型層は、デンプンを主材料として形成されてもよい。
請求項4に記載の箔押し材のように、前記接着材は、セラックまたはツェインからなってもよい。セラックおよびツェインは、人体に無害である。また、アルコールに容易に溶けるため、コーター等の塗布装置に対する機械的適性にも優れるので、着色層の形成が容易となる。
請求項5に記載の箔押し材のように、前記離型層と前記着色層との間には、可食性の素材からなる保護層が形成されていてもよい。この箔押し材を用いて、食品、可食物等の被転写物に箔押し印刷すると、被転写物には、表面に保護層を備えた可食性の色箔が箔押しされる。
請求項6に記載の箔押し材のように、前記保護層は、セラックまたはツェインからなってもよい。
請求項7に記載の箔押し材のように、前記可食性の着色材は、可食性の可塑剤を含有していてもよい。これによれば、可食性の着色素材には、柔軟性が与えられる。すなわち、着色層は、柔軟なものとなり、着色層にクラックが発生するのを防ぐことができる。そして、この箔押し材を用いて箔押しされた色箔も柔軟なものとなり、色箔にクラックが発生するのを防ぐことができる。
請求項8に記載の箔押し材のように、前記可食性の着色素材は、可食性の増粘剤を含有していてもよい。これによれば、可食性の増粘材の含有量を調整することで、粘度調整することができるとともに、可食性の着色素材に占める色材の割合が調整されるので、着色層の色の濃淡を調整することができる。
請求項9に記載の箔押し材のように、前記可食性の色材は、可食性の金属粉からなってもよい。これによれば、着色層には、金属的な光沢が与えられることになる。したがって、この箔押し材を用いて、食品、可食物等の被転写物に箔押し印刷すると、金属光沢を備えた色箔(金属粉箔)が、前記被転写物に転写され、箔押しされる。
請求項10に記載の食品、または、可食性フィルム等の可食物は、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の箔押し材を用いて、可食性の色箔が箔押しされてなる。この色箔は、箔押し材の着色層が箔押しされて形成されたものであり、この着色層が可食性であるので、この食品、または、可食性フィルム等の可食物を、箔押しされた色箔とともに食することができる。
請求項11に記載の水溶性の可食フィルムは、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の箔押し材を用いて、可食性の色箔が箔押しされてなる。
請求項12に記載の食品または飲物は、請求項11に記載の水溶性の可食性フィルムを使用してなるものである。食品が、水分を付与された食品、あるいは、水分を含んだ食品である場合には、その食品上に前記水溶性の可食性フィルムを載せ置くと、同フィルムが溶けて、可食性の色箔が前記食品に付着する。また、前記水溶性の可食性フィルムを飲物に浸すと、同フィルムが溶けて、可食性の色箔が前記飲物に添加される。
本願発明に係る箔押し材によれば、着色層が、可食性の色材と可食性の接着材とが混合されてなる、可食性の着色素材によって形成されているので、接着層を別に設ける必要がなく、このため、製造工程が簡素化された低コストの、可食性の色箔を箔押しすることができる箔押し材の提供が可能となる。また、これらの箔押し材を用いて箔押し印刷をすると、被転写物には、可食性の色箔が転写されるので、前記被転写物が食品、または、可食性フィルム等の可食物であれば、その被転写物を色箔とともに食することができる。さらに、前記被転写物が水溶性の可食性フィルムであれば、その水溶性の可食性フィルムを、水分を付与された食品とか水分を含んだ食品に載せ置いたり、あるいは、飲物に浸すと、同フィルムが溶けることにより、可食性の色箔が付着、添加された食品または飲物が得られる。
以下、この発明に係る、箔押し材、および、この箔押し材を用いて箔押しされた食品、可食性フィルム等の可食物、または、水溶性の可食性フィルム、並びに、この箔押し材を用いて箔押しされた水溶性の可食性フィルムを使用した食品または飲物の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1ないし図4は、この発明の一実施の形態を示す。符号1は、可食性の色箔を箔押しするのに用いられる箔押し材であって、ベース材2に、離型層3と、着色層4とが順に積層されている(なお、図1ないし3は、ベース材2、離型層3および着色層4の位置関係を示すものであって、各層の厚さについては、正確には示していない。図5および図6も同様である。)。ベース材2は、耐熱性、透明性、離型性、耐圧性等が要求され、素材としては、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート等からなるプラスチックフィルムの他、紙類が使用できる。紙類としては、蛍光塗料、ホルマリン、ポリクロロビフェニル(PCB)等の有害物質を含まない紙類が好ましく、例えば、グラシン紙、セロハン紙、パラフィン紙等がよいが、これ以外の紙であってもよく、また、ロール紙状、あるいはカット紙状であってもよい。
離型層3は、食品添加物その他の可食性の素材、または、食品用包材の皮膜材として用いることができる素材からなる。図示実施の形態においては、離型層3は、食品用包材の皮膜材として用いることができるシリコーンを主材料とする、シリコーン系の離型材を、前記ベース材2上に、例えば、23〜27ミクロン程度の厚さに塗布等することで積層形成されるが、この数値に限定されるわけではない。ここで、前記シリコーン系の離型材を、ベース材2上に塗布等するには、グラビア印刷、シルク印刷、その他周知の印刷方法を用いて塗布したり、各種コーター機を用いて塗布したり、あるいは、刷毛、スプレー等で塗布してもよい。
なお、シリコーンとは、一般的には、オルガノポリシロキサンの総称であるが、この明細書において、シリコーンとは、さらに広義の意味で、酸素をもたないシラン類(水素化ケイ素)、並びに、有機ケイ素化合物全てを含み、その性状は、樹脂状、オイル状、ゴム状等の種々の幅広い形態となる。
そして、シリコーンの一つとしての、ジメチル系シリコーンは、表面張力が低く広がり易く、被塗布面上の細かな凹凸に対してよく濡れる性質を有し、また、優れた離型性能を有するとともに、耐熱性に優れ、変性、分解がなく、安全衛生上無害という性質を有する関係上、離型材として好適である。
もっとも、離型層3に用いられる離型材は、例えば、食品用包材の皮膜材として用いることができる、酢酸ビニル系樹脂あるいはアクリル系樹脂を主材料とするものでも構わないし、その他に、シリコーン樹脂と酢酸ビニル系樹脂との共重合体、シリコーン樹脂とアクリル系樹脂との共重合体、さらには、アクリル酸エステル、アクリル酸エステル共重合ポリマーなどを主材料とするものでも構わない。また、フッ素樹脂、パラフィンのワックス等の滑剤、シリコーン等を含む界面活性剤でもよい。
着色層4は、少なくとも可食性の色材と可食性の接着材とが混合されてなる、可食性の着色素材を、前記離型層3上に、塗布等することで積層形成されるが、その厚みは、着色素材の成分比とか着色層4の色調とかにより、適宜設定されるものであって、特定の数値からなる厚みに限定されるわけではない。ここで、可食性の着色素材を塗布等するには、前記離型層3を形成する際に、離型材をベース材2上に塗布等する方法と同一の方法を用いることができる。
可食性の色材としては、例えば、イカスミ、赤ビート色素、アントシアニン色素、モナスカス色素、コチニール色素、ラック色素、カロチン色素、パプリカ色素、アナトー色素、クチナシ色素、紅花色素、ウコン色素、紅麹色素、その他各種の動植物より抽出される可食性の天然着色料とか、食品衛生法で認められる、可食性の合成着色料、あるいは、可食性の金属粉があげられる。ここで、可食性の金属粉とは、食品添加物として認められた金属の金属粉であるのが好ましく、例えば、金、銀、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、鉄、ルテニウム等の金属粉がある。ここで、金属粉とは、微粒子状の金属をも含む。このように、可食性の色材は多種類存在するので、可食性の着色素材は、これら可食性の色材の中から適当なものを単数あるいは複数選択することで、多様な色に調整される。ここで、可食性の色材が可食性の金属粉からなると、すなわち、可食性の色材として、可食性の金属粉を選択すると、着色層4には金属的な光沢が与えられることになる。
また、可食性の接着材としては、例えば、水飴、CMS(カルボキシ メチル スターチ)などのデンプン加工品、CMC(カルボキシ メチル セルロース)、食品ガム、アルギン酸ソーダ、食品天然樹脂、食品天然物等を用いることができるが、特に、ラックカイガラ虫の分泌樹脂であるセラックまたはトウモロコシのタンパク質の成分であるツェインを好適に用いることができる。これは、セラックおよびツェインが、人体に無害であるとともに、アルコールにも容易に溶けるため、コーター等の塗布装置に対する機械的適性にも優れているからである。もっとも、前記接着材以外にも、例えば、こんにゃく粉、アラビアガム、大豆蛋白、卵白、甲殻類粉末、昆布粉等のその他の可食性の接着材を使用することができる。
ところで、前記可食性の着色素材は、少なくとも前記可食性の色材と前記可食性の接着材とが混合されてなるわけであるが、その着色素材の成分比は、前記可食性の色材および前記可食性の接着材の種類、あるいは、着色層4に必要な接着性、色調等の特性によって、様々に調整される。例えば、接着材がセラック(または、ツェイン)からなる場合、前記着色素材は、セラック(または、ツェイン)20%、溶剤としての食用アルコール(例えば、エタノール)60%、可食性の色材20%(質量百分率で示す。以下「%」といえば質量百分率のことをいう。)の成分比を目安に混合されるとよい。この数値はあくまで一例にすぎず、前記可食性の色材の種類によっても、成分比は変更される。例えば、可食性の色材がイカスミと活性炭とからなる場合、着色素材は、セラック(または、ツェイン)17%、食用アルコール59%、水8%、活性炭8%、イカスミ8%の成分比で混合されてもよい。なお、この着色素材は、黒色を呈する。さらに、可食性の色材が卵殻カルシウムと二酸化チタンからなる場合、着色素材は、セラック(または、ツェイン)24%、食用アルコール36%、卵殻カルシウム20%、二酸化チタン20%の成分比で混合されてもよい。なお、この着色素材は、白色を呈する。
次に、この箔押し材1を、被転写物としての食品5または可食性フィルム等の可食物5に転写する方法を説明する(図2参照)。ベース材2、離型層3、着色層4の順に積層形成された箔押し材1を、前記着色層4が食品5または可食性フィルム等の可食物5に接するようにして、食品5または可食性フィルム等の可食物5上に重ねる。そして、例えば、アップダウン式のホットスタンプ機10を用いて、熱盤11によって加熱された金属版12を、前記箔押し材1に押圧することにより、その箔押し材1を前記食品5または可食性フィルム等の可食物5に加熱圧着するようにして箔押し印刷する。そして、箔押し材1を食品5または可食性フィルム等の可食物5から取り除くと、着色層4のうち金属版12に押圧された部分4a、4aのみが、前記離型層3を境にして、ベース材2から離れるととも、前記着色層4に混合された接着材を介して、食品5または可食性フィルム等の可食物5に接着することで、食品5または可食性フィルム等の可食物5上には、金属版12に形成された型と同様の形状からなる、文字、模様、絵柄等の像6からなる、可食性の色箔(前述のように、色材として可食性の金属粉を選択した場合は、金属光沢を備えた色箔としての金属粉箔)が転写され箔押しされる(図3、図4参照)。もっとも、色箔は、食品5または可食性フィルム等の可食物5上に、文字、模様、絵柄等の像6を形成しない形態で、すなわちベタの状態で一面に箔押しされてもよい。なお、ホットスタンプ機10は、アップダウン式に限られるものではなく、例えば、シリンダー式、ロール式、シール印刷式、ローリング式など、特に限定されない。また、食品5または可食性フィルム等の可食物5は、ホットスタンプ機10の加圧および加熱に耐えられるものであればよく、例えば、乾燥板海苔、板ガム、粒ガム、マジパン、ビスケット等の食品5や、デンプンフィルム、プルランフィルム、寒天フィルム等の水溶性あるいは非水溶性の可食性フィルム、可食性シート、あるいは、その他の可食物5であってもよい。
以上の構成からなる、箔押し材1、および、この箔押し材1を用いて色箔が箔押しされてなる食品5または可食性フィルム等の可食物5によれば以下の作用効果がある。箔押し材1の離型層3および着色層4は、可食性の素材によって形成されているので、食品5または可食性フィルム等の可食物5に転写された色箔も食することができ、食品5または可食性フィルム等の可食物5は、前記色箔ごと食することができる。また、着色層4は、色材として様々な可食性の色材の中から適宜選択して使用することで、多様な色を呈することが可能である。さらに、着色層4は、箔押し材1に色を与える色材と、食品5または可食性フィルム等の可食物5と接着する接着材とが混合されてなる着色素材を離型層3上に積層することで形成され、着色機能と接着機能とを兼ね備えているので、着色機能を有する層と接着機能を有する層とを別々に形成する必要がなく、箔押し材1の製造工程を簡素化することができる。したがって、食品あるいは可食性フィルム等の可食物用の箔押し材として好適な箔押し材1を安価に提供できる。さらに、着色層4が着色機能と接着機能とを兼ね備えていることから、転写された色箔の上に、箔押し材1を重ねて箔押し印刷すると、色箔は、互いに強固に接着するので、色箔を何層も重ねることができるとともに、異なった色の色箔を重ねることで、さらに様々な色の色箔の層を形成できる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、図示実施の形態においては、離型層3は、食品用包材の皮膜材として用いることができるシリコーンを主材料として形成されているが、デンプンを主材料として形成されていてもよい。デンプンを主材料として離型層3を形成するには、糊化したデンプンを、ベース材2上に、例えば、5〜10ミクロン程度の厚さに塗布等するが、この数値に限定されるわけではない。この糊化したデンプンを塗布等するには、シリコーン系の離型材を塗布等するのと同様に、グラビア印刷、シルク印刷、その他周知の印刷方法を用いて塗布したり、各種コーター機を用いて塗布したり、あるいは、刷毛、スプレー等で塗布してもよいことはいうまでもない。なお、デンプンとしては、馬鈴薯デンプン、小麦粉デンプン、トウモロコシデンプン等の精製デンプン、化工デンプン、デンプン分解物を含むデンプン等を単独でまたは複数混ぜて用いてもよい。このように、デンプンを主材料として形成される離型層3は、箔押し材1が箔押し印刷されると、そのときの熱とデンプン内に含まれる水分によって軟化されるので、着色層4をベース材2から離すことが可能になる。
なお、離型層3をデンプンを主材料として形成する場合において、その離型層3は、離型性を向上させるために、例えば、可食性の油脂素材、可食性の乳化剤、あるいは、可食性の保湿性素材を含有していてもよい。ここで、可食性の油脂素材とは、油脂を主材とする材料のことであり、例えば、パーム油等の植物性油脂、ラード等の動物性油脂などがあるが、これらに限定されるわけではない。また、可食性の乳化剤としては、レシチン等のリン脂質、グリセリン脂肪酸エステル等があるが、これらに限定されるわけではない。また、可食性の保湿性素材としては、グリセリン、あるいは、ソルビトール等の糖アルコールが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
ところで、離型層3をデンプンを主材料にして形成すると、箔押し材1をさらに安価に提供できることになる。
また、離型層3は、食品添加物その他の可食性の素材からなってもよい。この食品添加物その他の可食性の素材としては、前述のデンプン以外に、シリコーン系の消泡剤、あるいは、可食性の増粘剤を用いることができる。可食性の増粘剤としては、デキストリン、カラギーナン、寒天、セルロース、あるいは、アルギン酸ソーダ等を使用することができるが、これらに限定されるわけではない。
また、着色層4となる可食性の着色素材は、可食性の可塑剤を含有していてもよい。この可食性の可塑剤としては、例えば、プロピレングリコール、あるいは、グリセリン等を使用することができる。これらの可塑剤は、着色素材中に単独で含有されてもよいし、あるいは、複数併存するように含有されていてもよい。このように、着色素材が可塑剤を含有すると、その着色素材は、柔軟なものとなる。すなわち、着色層4が柔軟なものとなって、その着色層4にクラックが発生するのを防ぐことができる。そして、この箔押し材1によって箔押しされた文字、模様、絵柄等の像6からなる色箔も柔軟なものとなって、その色箔にクラックが発生するのを防ぐごとができる。
また、可食性の着色素材は、既述した可食性の増粘剤を含有していてもよい。これによれば、可食性の増粘剤の含有量を調整することで、粘度調整されるとともに、可食性の着色素材に占める色材の割合が調整されるので、着色層4の色の濃淡を調整することができる。これは、淡い色であって、かつ、厚みが要求される着色層4を形成する場合とかに好適に使用することができる。
さらに、箔押し材1は、図5に示すように、離型層3と着色層4との間に、その着色層4を保護する、可食性の素材からなる保護層7が形成され積層されていてもよい。保護層7は、例えば、セラックまたはツェインからなるのが好ましい。この保護層7は、セラック(または、ツェイン)をエタノールに溶かして、エタノールに対して、例えば、25%程度の濃度の溶液を、離型層3上に塗布することで形成される。この箔押し材1を用いて、食品5または可食性フィルム等の可食物5に箔押し印刷すると、離型層3を境にして、着色層4および保護層7がベース材2から離れる。そして、着色層4が、混合された可食性の接着剤を介して、食品5または可食性フィルム等の可食物5に接着することで、表面に保護層7を備えた可食性の色箔が、食品5または可食性フィルム等の可食物5に転写され箔押しされる。
また、箔押し材1によって箔押し印刷される被転写物は、食品5または可食性フィルム等の可食物5以外に、例えば、食品を包装する包装材、食品とともに食品包装材内に入れられる印刷物、食品を収容する容器、あるいは、食品を食する際に使用する食器類とかの非可食物であってもよい。
また、可食性の色箔が箔押しされた水溶性の可食性フィルムを使用することで、食品または飲物に可食性の色箔を付着、添加等することができる。例えば、食品が、水分を付与された食品、あるいは、アイスクリーム、デコレーションケーキのクリーム等の水分を含んだ食品とか、また、ジュース、コーヒー等の飲物とかであれば、可食性の色箔が転写されたプルランフィルムなどの水溶性の可食性フィルムを、それらの上に置いたり、浮かべたりすると、同フィルムが溶けて、前記色箔が食品に付着したり、あるいは、飲物に浮かんだり沈んだりした状態で添加されたりする。また、前記色箔がベタ状つまり全面に箔押しされた可食性フィルムを細かく切り刻んで、食品に振り掛けてその食品とともに食してもよい。
この発明に係る箔押し材の一実施の形態の断面図である。 図1に示す箔押し材を用いて、箔押し印刷する状態を示す図である。 図1に示す箔押し材を用いて、箔押し印刷された食品、または、可食性フィルム等の可食物の断面図である。 同じく、平面図である。 その他の実施の形態における、箔押し材の断面図である。 図5に示す箔押し材を用いて、箔押し印刷された食品、または、可食性フィルム等の可食物の断面図である。 従来の箔押し材の断面図である。
符号の説明
1 箔押し材
2 ベース材
3 離型層
4 着色層
5 食品、または、可食性フィルム等の可食物
6 像(色箔)
7 保護層

Claims (12)

  1. 可食性の色箔を箔押しするのに用いられる箔押し材であって、
    ベース材に、少なくとも離型層と、着色層とが積層されてなり、
    前記離型層は、食品添加物その他の可食性の素材、または、食品用包材の皮膜材として用いることができる素材からなり、
    前記着色層は、少なくとも可食性の色材と可食性の接着材とが混合されてなる、可食性の着色素材からなることを特徴とする箔押し材。
  2. 前記離型層は、食品用包材の皮膜材として用いることができるシリコーンを主材料として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の箔押し材。
  3. 前記離型層は、デンプンを主材料として形成されていることを特徴とする請求項1に記載の箔押し材。
  4. 前記接着材は、セラックまたはツェインからなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の箔押し材。
  5. 前記離型層と前記着色層との間には、可食性の素材からなる保護層が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の箔押し材。
  6. 前記保護層は、セラックまたはツェインからなることを特徴とする請求項5に記載の箔押し材。
  7. 前記可食性の着色素材は、可食性の可塑剤を含有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の箔押し材。
  8. 前記可食性の着色素材は、可食性の増粘剤を含有することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の箔押し材。
  9. 前記可食性の色材は、可食性の金属粉からなることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の箔押し材。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の箔押し材を用いて、可食性の色箔が箔押しされてなることを特徴とする食品、または、可食性フィルム等の可食物。
  11. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載の箔押し材を用いて、可食性の色箔が箔押しされてなることを特徴とする水溶性の可食性フィルム。
  12. 請求項11に記載の水溶性の可食性フィルムを使用した食品または飲物。
JP2003325221A 2003-09-17 2003-09-17 箔押し材、および、この箔押し材を用いて箔押しされた食品、可食性フィルム等の可食物、または、水溶性の可食性フィルム、並びに、この箔押し材を用いて箔押しされた水溶性の可食性フィルムを使用した食品または飲物 Pending JP2005087101A (ja)

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