JP2005087029A - 培養装置及び培養キット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】組織片を培養する培養装置2を、組織片を培養可能に内包する培養キャビティ4を形成するチャンバー10と、該チャンバー10に備えられ、前記培養キャビティ4内への組織片Tの搬入出のために開閉するキャビティ開閉部20と、前記組織片を前記培養キャビティ4内の所定位置で挟持する組織片挟持部40と、を備えるようにし、該組織片挟持部40は少なくとも一方が培養面54を形成し、他方が前記組織片を該培養面54に密着するように押圧して挟持するように構成する。
【選択図】 図1
Description
一方、培養技術が著しく発展するに至って、器官培養(Organ Culture)、組織片培養(Explant Culture)、細胞培養(Cell Culture)などが目的に応じて選択的に用いられているが、近年では細胞培養が主流となっている。殊に最近では細胞培養によって作製した培養組織が研究又は医療に利用されている。このような細胞培養技術によって作製される培養組織は、特定の細胞単体で構成されるものや、人工材料に細胞を保持させた形態のものがよく知られている。人工材料に細胞を保持させた形態の培養組織は、人工材料単独のものに対して、インビボにおいて組織再生を促進させることが期待される。例えば、生体適合性の高い生体高分子材料に骨膜細胞を播種した骨誘導材が開示されている(特許文献2)。
また、このような培養技術を支える商品として、培養容器や培地などが各メーカーから多く供給されており、これらの商品を使用して、各研究機関や各医療施設において個々に培養組織が作製されている。例えば、細胞培養を簡易に行える密閉された培養容器が開示されており、分散細胞から容易にシート状の培養製品を作製することができる(特許文献3)。
なお、細胞培養においては、特許文献3のようにコンタミネーションを抑制しつつ、且つ簡易的に細胞培養を行うことのできる培養容器によって、一応の解決策が案出されているが、組織片培養においては、未だ十分な培養容器は案出されていない。例えば、特許文献4においては、組織片が接着し易いフィルター片を培養面に設けたものが案出されているが、組織片がフィルター片に接着するまでにはある程度の時間が掛かりこの間は培地を充填することができない。したがって、組織片が接着するまでの間、すなわち培地が充填されるまでの間に、空気に曝露される時間が少なからず存在し、作業者の熟練した判断や時間的負担を必要としている。
組織片を培養する培養装置であって、
前記組織片を培養可能に内包する培養キャビティを形成するチャンバーと、
該チャンバーに備えられ、前記培養キャビティ内への組織片の搬入出のために開閉するキャビティ開閉部と、
前記組織片を前記培養キャビティ内の所定位置で挟持する組織片挟持部と、
を備え、
該組織片挟持部は少なくとも一方が培養面を形成し、他方が前記組織片を該培養面に密着するように押圧して挟持する
培養装置である。
また、前記培養キャビティは、前記キャビティ開閉部において封止可能に形成されていることが好ましい。こうすることで、培養キャビティを密閉することができ、コンタミネーションの可能性を低減させることができる。
該チャンバーに備えられ,前記培養キャビティ内への組織片の搬入出のために開閉するキャビティ開閉部と、
前記組織片を前記培養キャビティ内の所定位置で挟持する組織片挟持部と、
を備え、
該組織片挟持部は少なくとも一方が培養面を形成し,他方が前記組織片を該培養面に密着するように押圧して挟持する
培養装置とすることができる。
組織片を培養する培養キットであって、
内部に組織片を培養可能に内包する培養キャビティを形成するチャンバーと、
該チャンバーに備えられ、前記組織片を搬入出可能に前記培養キャビティを開閉するキャビティ開閉部と、
前記チャンバーに備えられ、前記培養キャビティの密閉性を維持した状態でチャンバー内の流体を注排出可能な流体注排出部と、
前記組織片を前記培養キャビティ内の所定位置で挟持する組織片挟持部と、
該組織片挟持部は少なくとも一方が培養面を形成し、他方が前記組織片を該培養面に密着するように押圧して挟持する、
培養装置と、
前記流体注排出部を介して前記培養キャビティ内に流体の注排出が可能なシリンジと、
を備える、培養キットである。
本培養装置2は、組織片を培養する装置である。組織片としては、骨膜組織片、真皮組織片、上皮組織片、骨組織片などの接着依存性細胞で構成される組織片が挙げられ、ヒト細胞あるいは非ヒト動物細胞を含む。
本培養装置2は、組織片を培養する培養キャビティ4を形成する。培養キャビティ4は、組織片を培養可能とする培地等を含んだ培養系を保持しうる部分、すなわち培養空間である。本発明において、培養キャビティ4は、封止可能に形成されていることが好ましい。封止されることにより、本培養装置2は、いかなる状態で培養装置を保持しても培養系の構成成分を内部に保持しておくことができる。また、封止することで培養系を密封状態にできるので、コンタミネーションを防止することができる。封止手段としては、特に限定しないが、チャンバー10が袋状体の場合には、開口近傍の外皮部分(袋状体の構成部分である)を重ね合わせ、折りたたみ、嵌め合わせ、結束、融着、接着、シール材の充填等などの公知の封止手段で、密着させることができる。好ましくは、開閉可能な封止手段を採用する。
培養キャビティ4は、内部に該培養キャビティ4を形成できるチャンバー10によって形成されている。図1に例示する培養装置2においては、チャンバー10は、培養キャビティ4を形成しうる液不透過性材料で形成されている。チャンバー10の構成材料としては、従来この種の材料として用いられている公知の材料を各種使用できるが、可撓性と透明性とガス透過性の少なくともいずれか1つを有していることが好ましく、更には全てを有していることが好ましい。好ましくは、プラスチック材料であり、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、これらの単量体を含むコポリマー等を挙げることができる。チャンバー10が可撓性を有しており変形可能であるときは、チャンバー10を変形させて培地等の液体の充填及び排出やガスの充填排出を容易に行うことができる。同時に、チャンバーが変形するために、培養キャビティ内の組織片に対するこれらの媒体交換等による大きな圧力変化を抑制することができる。また、チャンバー10が可撓性を有して変形可能であると、チャンバー10内外の圧力差を緩和するように変形することができるため、組織片を保護できる他、チャンバー10自体の損傷を回避することもできる。チャンバー10の可撓性は、材料による可撓性でもよいし、構造による可撓性、すなわち変形可能な構造であってもよい。このような場合、変形可能な部分は、チャンバー全体であってもよいし、一部であってもよい。
チャンバー10は、培養キャビティ4を開閉するキャビティ開閉部20を備えている。図1に例示する形態においては、袋状のチャンバー10の一つの開口部がキャビティ開閉部20を構成するとともに培養キャビティ4の封止部6を備えている。キャビティ開閉部20は、特に大きさや形状等は限定しないが、組織片の挿入や培養組織の取り出しが可能な程度とすることができる。好ましくは、組織片や培養組織を変形させることなく培養キャビティ4に挿入及び取り出しが可能な大きさ及び形状とする。キャビティ開閉部20における開閉機構は特に限定しないが、チャンバー10の形態に応じて構成できる。例えば、チャンバー10が袋状体の場合には、キャビティ開閉部20は、前記チャンバーを構成する袋状体の開口端縁あるいはその近傍が開閉可能に形成することで構成できる。こうすると、簡易な構造でキャビティ開閉部20を構成することができる。また、チャンバー10がトレイとリッドからなるディッシュ形態の場合には、リッドが脱着あるいは開閉されるトレイの開口部分がキャビティ開閉部20を構成することとなる。なお、かかるキャビティ開閉部20において公知の封止構造を導入するなどして容易に培養キャビティ4の封止性も併せて確保することができる。
本培養装置2は、組織片挟持部40を備えている。図1には、一方の面(図においては上面)がメッシュ状であって組織片の押圧部52を構成し、対向する面(図においては下面)が培養面54を構成する袋状体に形成された組織片挟持部40が示されている。組織片挟持部40は、培養キャビティ4内に配置されて培養キャビティ4内の所定の位置に組織片を培養可能に内包して保持する。ここで培養可能にとは、培地成分が供給されることによって組織片を構成する細胞群が増殖できる状態を意味している。したがって、組織片挟持部40は挟持する組織片に対して培地成分を供給可能に形成される。例えば、組織片挟持部40の少なくとも一部に複数の連通孔を有することが好ましい。複数の連通孔を備えると、組織片挟持部40内の組織片に対して培地や洗浄液等の液体が充分に供給され、また、これらの液体の循環性も向上する。したがって、効率的に培養及び洗浄が可能となる。また、組織片挟持部40の培養面54に対向する組織片の押圧部52は、ドット状あるいは線状の凸部を備えることもできる。こうすると保持するにあたって組織片との接触面積を小さくすることができ、培養面54へ組織片を確実に密着させると共に組織片への刺激を抑制できる。なお、ドット状の凸部とは、領域内に分散され独立状に設けられ、円状、方形状等の各種形状の平面形状を有する凸部をいう。また、ライン状の凸部とは、単線、複数の線が並列、交差等して形成された平面形状を有する凸部をいう。さらに、組織片挟持部40の少なくとも一部は、メッシュ状体であることが好ましい。メッシュ状体であると、液体培地や洗浄液等の液体等の供給性や循環性の向上及び接触面積低下の双方のメリットがある。なお、組織片挟持部40を構成する材料の孔部やメッシュサイズ等の開口径は、組織片が培養面54に接着する前の状態において、培養キャビティ4内が液体で充填された場合であっても、組織片を培養面54に密着させた状態を保持できる大きさであればよく、目的とする組織片の大きさによって変更することができる。例えば、組織片が3mm角の骨膜組織片の場合には1mm以下であることが好ましい。
組織片挟持部40は、組織片出し入れ部60を有している。組織片出し入れ部60は、組織片挟持部40の内側に組織片を挿入するとともに、当該部位から培養組織を取り出すための開口部である。組織片出し入れ部60は、常時開放されていてもよいが、好ましくは、開閉可能に形成されている。組織片出し入れ部60の開口形態及び閉じた形態は特に限定しないで、組織片や組織片挟持部40の形態に応じて各種設定することができる。図1に例示する形態においては、組織片出し入れ部60は、キャビティ開閉部20に一体化され、キャビティ開閉部20の開閉と組織片出し入れ部60の開閉とは同時に実現されるようになっている。また、組織片出し入れ部60が開くと、組織片挟持部40による保持状態が解除され、組織片出し入れ部60が閉じると、組織片挟持部40による保持状態が開始されるようになっている。この例示形態においては、キャビティ開閉部20、すなわち、組織片出し入れ部60は、弾性変形により開放され、その変形が復元することで閉じられるようになっている。
Claims (27)
- 組織片を培養する培養装置であって、
前記組織片を培養可能に内包する培養キャビティを形成するチャンバーと、
該チャンバーに備えられ、前記培養キャビティ内への組織片の搬入出のために開閉するキャビティ開閉部と、
前記組織片を前記培養キャビティ内の所定位置で挟持する組織片挟持部と、
を備え、
該組織片挟持部は少なくとも一方が培養面を形成し、他方が前記組織片を該培養面に密着するように押圧して挟持する
培養装置。 - 前記組織片挟持部は、前記キャビティ開閉部の開閉に伴って前記組織片挟持部による組織片の挟持状態を解除及び開始する、請求項1に記載の培養装置。
- 前記組織片挟持部の前記培養面が前記チャンバーの一部を構成する請求項1または2に記載の培養装置。
- 前記組織片挟持部は、第1のシート状体と第2のシート状体とを備え、これらのシート状体間に前記組織片を挟持する、請求項1〜3のいずれかに記載の培養装置。
- 前記第1のシート状体と前記第2のシート状体の対向する周縁部のうち、少なくとも一部は互いに保持されるとともに、残部の周縁部の少なくとも一部は互いに開放可能に組織片出し入れ部を形成する、請求項4に記載の培養装置。
- 前記第1のシート状体と前記第2のシート状体を含む前記組織片挟持部は、組織片出し入れ部を開口部として有する袋状体に形成されている、請求項5に記載の培養装置。
- 前記組織片挟持部に形成される前記組織片出し入れ部は、前記培養キャビティ開閉部又はその近傍に位置するように固定されている、請求項5または請求項6に記載の培養装置。
- 前記組織片出し入れ部は、前記培養キャビティ開閉部の開閉に伴って開閉する、請求項5〜7のいずれかに記載の培養装置。
- 前記組織片出し入れ部が、前記培養キャビティ開閉部の少なくとも一部を構成する、請求項8に記載の培養装置。
- 前記組織片挟持部の少なくとも一部に複数の連通孔を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の培養装置。
- 前記組織片挟持部の少なくとも一部はメッシュ状体である、請求項1〜10のいずれかに記載の培養装置。
- 前記組織片挟持部の培養面に対向する面は、ドット状あるいはライン状の凸部を備える、請求項1〜11のいずれかに記載の培養装置。
- 前記培養キャビティは、前記キャビティ開閉部において封止可能に形成されている、請求項1〜12のいずれかに記載の培養装置。
- 前記チャンバーの少なくとも一部が可撓性を有する、請求項1〜13のいずれかに記載の培養装置。
- 前記チャンバーは可撓性の袋状体である、請求項14に記載の培養装置。
- 前記組織片挟持部は、前記チャンバーの変形に対して追従しない程度の剛性を有している、請求項14又は15に記載の培養装置。
- 前記組織片挟持部は可撓性を有している、請求項14又は15に記載の培養装置。
- 前記組織片挟持部は、培養時において前記培養キャビティ内の一定範囲において浮遊可能に形成されている、請求項1〜17のいずれかに記載の培養装置。
- 前記チャンバーには、液体出し入れ部を備える、請求項1〜18のいずれかに記載の培養装置。
- 前記チャンバーには、穿刺可能でありかつシール性を維持可能なシール材を有する流体注排出部を備える、請求項1〜19のいずれかに記載の培養装置。
- 前記チャンバーには、ガス排出部を備える、請求項1〜19のいずれかに記載の培養装置。
- 前記チャンバーは、酸素及び二酸化炭素透過性を備える、請求項1〜21のいずれかに記載の培養装置。
- 骨膜組織片の培養装置である、請求項1〜22のいずれかに記載の培養装置。
- 組織片を培養する培養装置であって、
前記組織片を培養可能に内包する培養キャビティを形成するリッドとトレイで構成されるチャンバーと、
該チャンバーに備えられ,前記培養キャビティ内への組織片の搬入出のために開閉するキャビティ開閉部と、
前記組織片を前記培養キャビティ内の所定位置で挟持する組織片挟持部と、
を備え、
該組織片挟持部は少なくとも一方が培養面を形成し,他方が前記組織片を該培養面に密着するように押圧して挟持する、
培養装置。 - 前記組織片挟持部は、前記培養面が前記トレイ底面で構成され、他方は前記リッドに設けられている請求項24に記載の培養装置。
- 請求項24または請求項25に記載の培養装置において、前記培養キャビティは前記キャビティ開閉部において封止可能に形成されており、前記チャンバーには前記培養キャビティの密閉性を維持した状態でチャンバー内の流体を注排出可能な流体注排出部が設けられている培養装置。
- 組織片を培養する培養キットであって、
前記組織片を培養可能に内包する培養キャビティを形成するチャンバーと、
該チャンバーに備えられ,前記培養キャビティ内への組織片の搬入出のために開閉するキャビティ開閉部と、
前記チャンバーに備えられ、前記培養キャビティの密閉性を維持した状態でチャンバー内の流体を注排出可能な流体注排出部と、
前記組織片を前記培養キャビティ内の所定位置で挟持する組織片挟持部と、
を備え、
該組織片挟持部は少なくとも一方が培養面を形成し,他方が前記組織片を該培養面に密着するように押圧して挟持する
培養装置と、
前記流体注排出部を介して前記培養キャビティ内に流体の注排出が可能なシリンジと、
を備える、培養キット。
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