JP2005085873A - 熱電半導体組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多段階熱処理により変換効率を改良する新規な熱電半導体組成物の製造方法の提供。
【解決手段】P型の熱電半導体組成物は、ビスマスとアンチモンとテルルとからなるP型物質の微細粉体にする粉末処理工程と、該粉末処理工程で得られた微細粉体を常温下でプレス成形して仮成形体を得る仮成形処理工程と、該仮成形処理工程で得られた前記仮成形体を不活性ガス雰囲気中での少なくとも10時間にわたる400℃±50℃の温度と、1時間にわたる600℃±5℃の温度との多段階にわたる熱処理を行って焼結体を得る熱処理工程と、400℃±10℃の温度状態の熱間で所定形状に押出し成形して焼結成形体を得る熱間押出し処理工程と、不活性ガス雰囲気中での少なくとも10時間にわたる300℃±10℃の温度での熱処理を行うことで焼結成形体を焼き鈍しする焼鈍処理工程とを少なくとも経ることにより製造する。
【選択図】図2
【解決手段】P型の熱電半導体組成物は、ビスマスとアンチモンとテルルとからなるP型物質の微細粉体にする粉末処理工程と、該粉末処理工程で得られた微細粉体を常温下でプレス成形して仮成形体を得る仮成形処理工程と、該仮成形処理工程で得られた前記仮成形体を不活性ガス雰囲気中での少なくとも10時間にわたる400℃±50℃の温度と、1時間にわたる600℃±5℃の温度との多段階にわたる熱処理を行って焼結体を得る熱処理工程と、400℃±10℃の温度状態の熱間で所定形状に押出し成形して焼結成形体を得る熱間押出し処理工程と、不活性ガス雰囲気中での少なくとも10時間にわたる300℃±10℃の温度での熱処理を行うことで焼結成形体を焼き鈍しする焼鈍処理工程とを少なくとも経ることにより製造する。
【選択図】図2
Description
本発明は、優れた熱電性能を備える熱電半導体組成物の製造方法に関する技術である。
熱電半導体素子には、ペルチェ効果を利用した電子冷却素子やゼーベック効果を利用した熱電発電素子があり、これらの温度制御素子は、構造自体が簡単であるばかりでなく、その取り扱いも容易で安定した性能を維持できることから、従来より広範な分野で利用されてきている。
特に、電子冷却素子は、局所冷却の精密な温度制御ができることから、例えばオプトエレクトロニクスに必要な小型高温槽の冷却器や、携帯用の小型冷蔵庫に必要な冷却器などとして広く使用されてきている。
上記したような用途に供される熱電半導体素子を製造するために用いられる熱電半導体組成物は、例えば熱電半導体結晶を粉末化する工程と、該工程で得られた熱電半導体結晶粉末を加熱して押出し成形する工程とを備え、これらの工程はいずれも10000ppm未満の雰囲気酸素濃度にて行われるようにして製造されている(例えば特許文献1参照)。
そして、特許文献1の開示技術によれば、粉末化工程および熱間押出工程の双方を、含有酸素濃度が10000未満の環境のもとで行った結果、性能指数Zが2.0×10−3 /K以上の熱電半導体組成物を得ることができたとされている。
しかし、特許文献1の開示技術を含む従来手法による場合には、得られる熱電半導体組成物の性能指数Zに一応の改善は認められるものの、より優れた性能を得る観点からは未だ十分とはいえない問題があった。
また、押出し成形して得られる熱電半導体組成物自体は、その長さ方向での電熱性能にバラツキがあり、性能的に不均一であるという不都合もあった。
本発明は、従来技術の上記課題に鑑み、熱電半導体組成物の長さ方向での電熱性能の均一化はもとより、これをスライスして熱電半導体素子として用いる際の変換効率の改良をも同時に実現することができる新規な熱電半導体組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、適宜の組成からなる熱電半導体多結晶物を微細粉体に粉末化する粉末処理工程と、該粉末処理工程で得られた微細粉体を常温下でプレス成形して仮成形体を得る仮成形処理工程と、該仮成形処理工程で得られた前記仮成形体をその融点に近い温度にまで至る多段階にわたる熱処理を行って焼結体を得る焼結処理工程と、該焼結処理工程を経て得られた前記焼結体を熱間で所定形状に押出し成形して焼結成形体を得る熱間押出し処理工程と、該押出し処理工程を経た焼結成形体を焼き鈍しして熱電半導体組成物を得る焼鈍処理工程とを含むことに特徴がある。
この場合、前記微細粉体がビスマスとアンチモンとテルルとの混合粉末からなるP型物質であれば、前記熱処理工程は、不活性ガス雰囲気中での少なくとも10時間にわたる400℃±50℃の温度と、少なくとも1時間にわたる600℃±5℃の温度との多段階にわたる熱処理を含み、前記熱間押出し処理工程は、400℃±10℃の温度状態の熱間で行われ、前記焼鈍工程は、不活性ガス雰囲気中での少なくとも10時間にわたる300℃±10℃の温度での熱処理を含むものとするのが好ましい。
また、前記微細粉体がビスマスとセレンとテルルとの混合粉末からなるN型物質であれば、前記熱処理工程は、不活性ガス雰囲気中での少なくとも10時間にわたる450℃±50℃の温度と、少なくとも1時間にわたる605℃±10℃の温度との多段階にわたる熱処理を含み、前記熱間押出し処理工程は、450℃±10℃の温度状態の熱間で行われ、前記焼鈍工程は、不活性ガス雰囲気中での少なくとも10時間にわたる略350℃±10℃の温度での熱処理を含むものとするのが好ましい。
本発明によれば、熱電半導体組成物がP型とN型とのいずれであっても、その押出し方向(長さ方向)での均一で、かつ優れた電熱性能を付与して形成することができる。
したがって、熱電半導体組成物から切り出される方形など呈するチップ片は、その切り出し位置の如何を問わず変換効率の優れた熱電半導体素子として用いることができるので、製造コストの低減に有効に寄与させることができるのみならず、電熱変換効率の優れたチップ片として提供することができる。
本発明に係る熱電半導体組成物の製造方法は、適宜の組成からなる熱電半導体多結晶物を微細粉体に粉末化する粉末処理工程と、該粉末処理工程で得られた微細粉体を常温下でプレス成形して仮成形体を得る仮成形処理工程と、該仮成形処理工程で得られた前記仮成形体をその融点に近い温度にまで至る多段階にわたる熱処理を行って焼結体を得る熱処理工程と、該熱処理工程を経て得られた前記焼結体を熱間で所定形状に押出し成形して焼結成形体を得る熱間押出し処理工程と、該押出し処理工程を経た焼結成形体を焼き鈍しして熱電半導体組成物を得る焼鈍処理工程とを含む所要の工程を経ることで行うことを基本とする。
これをP型の熱電半導体組成物の製造に適用する場合を例に、以下に具体的に詳説する。
すなわち、粉末処理工程は、Sb2Te3〜Bi2Te3(Sb2Te3=30〜80mole%)、例えばビスマス(Bi)/アンチモン(Sb)/テルル(Te)(0.5/1.5/3.0)の組成で、必要によりテルル(Te),セレン(Se),スズ(Sn),鉛(Pb)のいずれかを、またはこれらを適宜混合させたものをドーピングして出発物質を成分調整した後、溶融・粉砕・分級(整粒)することにより、例えば粒度が略500μm前後の微細粉体に粉末化される。
仮成形処理工程では、粉末処理工程を経て得られた微細粉体を室温のもとで、一軸プレス成形手法により加圧(プレス条件例:40kN/cm2の圧力)成形し、これにより目的とする仮成形体を得る。
熱処理工程では、仮成形処理工程を経て得られた仮成形体に対し、不活性ガス、例えばアルゴンガス雰囲気中での少なくとも10時間にわたる400℃±50℃の温度と、少なくとも1時間にわたる600℃±5℃の温度との多段階にわたる熱処理が炉内で行われ、これにより焼結体を得る。
これをより具体的に説明すれば、多段階にわたる温度のもとで行われる熱処理ののうち、融点に近い温度で行われる最終段階の熱処理は、Sb2Te3〜Bi2Te3につき、Sb2Te3=0〜40mole%の場合は595℃(精度±2℃)で1時間、Sb2Te3=40〜60mole%の場合は600℃(精度±2℃)で1時間、Sb2Te3=60〜80mole%の場合は605℃(精度±2℃)で1時間、それぞれ不活性ガス、例えばアルゴンガス雰囲気中での熱処理を行って焼結体を得る。
熱間押出し処理工程では、急速冷却時に発生する内部応力による割れを防止するため、焼結体を炉内にて例えば12時間程度かけて徐々に冷却し、室温(炉外の常温)より20〜30℃程度高い温度になってから炉外に取り出した後、略400℃の加熱状態のもとで、具体的にはSb2Te3〜Bi2Te3,400℃(精度±10℃)の温度状態の熱間(焼結体と押出し型とを含む)で押出し成形が行われ、これにより焼結成形体(k=D(元の直径)/d(押出し後の直径)=5〜98)を得る。なお、熱間押出し処理工程を経て得られる焼結成形体は、急速冷却時に発生する内部応力による割れを防止するために例えば8時間程度かけて徐々に冷却し、室温(炉外の常温)より20〜30℃程度高い温度になってから押出し型から取り出す。
焼鈍工程では、熱間押出し処理工程を経て押出し型から取り出された焼結成形体に対し、Sb2Te3〜Bi2Te3,300℃(精度±10℃)の温度のもとで少なくとも10時間にわたる不活性ガス、例えばアルゴンガス雰囲気中での加熱処理を含む焼き鈍し処理が行われ、これによりP型の熱電半導体組成物を得る。
図1は、本発明方法をP型の熱電半導体組成物の製造に適用した場合の効果を確認するために示す拡大図(顕微鏡写真図)である。そのうち、(a)は、本発明方法を含む従来から行われている仮成形処理工程を経た後の仮成形体を、(b)は、従来手法である10時間にわたる400℃の温度の不活性ガス雰囲気中での熱処理工程を経て得られたP型の焼結体を、(c)は、本発明方法である10時間にわたる400℃の温度の不活性ガス雰囲気中と、1時間にわたる605℃の温度の不活性ガス雰囲気中との2段階にわたる熱処理を経て得られたP型の焼結体を、それぞれその表面を400倍に拡大して示したものである。
この場合、(a)の拡大図によれば、仮成形処理工程を経た後の仮成形体には多数の粉末粒子が白抜き状態となって存在していることが確認される。また、(b)の拡大図によれば、従来手法である10時間にわたる400℃の温度の不活性ガス雰囲気中での熱処理工程を経ても依然としてその焼結体には粉末粒子の存在が確認される。しかし、(c)の拡大図によれば、10時間にわたる400℃の温度の不活性ガス雰囲気中と、1時間にわたる605℃の温度の不活性ガス雰囲気中との2段階にわたる熱処理を経ることにより、その焼結体からは粉末粒子の存在が確認されなくなっていることが判明する。
図2は、図1(b)の従来手法により得られたP型の熱電半導体組成物を25℃の温度のもとでその押出し方向(長さ方向)と直交する方向に順次スライスしたウエーハの特性を測定し、記録したデータと、図1(c)の本発明方法により得られたP型の熱電半導体組成物を25℃の温度のもとでその押出し方向(長さ方向)と直交する方向に順次スライスしたウエーハの特性を測定し、記録したデータとを比較して示すグラフ図であり、図中の符号1は従来手法による場合を、2は本発明方法による場合を、図中の矢印は、押出し方向(長さ方向)をそれぞれ示す。
このうち、図2(a)は、P型の熱電半導体組成物の熱起電力(α)の性能を示すものであり、従来手法による場合には、押出し方向(長さ方向)でその性能にバラツキがあり不均一であるのに対し、本発明方法による場合には、押出し方向(長さ方向)での性能にバラツキがなく均一であることが判明する。
図2(b)は、P型の熱電半導体組成物の導電率(δ)の性能を示すものであり、従来手法による場合には、押出し方向(長さ方向)でその性能にバラツキがあり不均一であるのに対し、本発明方法による場合には、押出し方向(長さ方向)での性能にバラツキがなく均一であることが判明する。
図2(c)は、P型の熱電半導体組成物の熱電材料特性(α2δ)の性能を示すものであり、従来手法による場合には、熱電材料特性(α2δ)の数値が低いのに対し、本発明方法による場合には、熱電材料特性(α2δ)の数値が従来手法による場合よりも高くなって推移しており、その特性が改良されていることが判明する。
図3は、従来手法による熱間押出し処理工程を経た後に得られた焼結成形体と、本発明方法による熱間押出し処理工程を経た後に得られた焼結成形体とを、熱起電力(α)と導電率(δ)との関係のもとでそれぞれの特性を示したグラフ図であり、図中の符号1は従来手法による特性を、2は本発明方法による特性をそれぞれ示しており、これらのグラフ図からも本発明方法による場合の性能が従来手法におる場合を上回っていることが判明する。
図4は、従来手法による熱間押出し処理工程を経た後に得られた焼結成形体と、本発明方法による熱間押出し処理工程を経た後に得られた焼結成形体との性能指数(Z)について示すグラフ図であり、図中の符号1は従来手法を、2は本発明方法をそれぞれ示しており、温度の如何を問わず本発明方法による場合の性能指数が従来手法のそれを上回っていることが判明する。
表1は、従来手法により得られるP型の特性と、本発明方法により得られP型の特性とを比較して示すものであり、そのうちの(1)欄は、熱間押出し処理工程の前に位置する熱処理工程を経た時点での熱起電力(α)の性能を、(2)欄は、最終工程である焼鈍工程を経た後の諸特性をそれぞれ示す。これによれば、熱処理工程を経た時点では、従来手法によるものの熱起電力(α)の方が上回っていたが、焼鈍工程を経た後には本発明方法の諸特性の方が従来手法のそれを上回っていることを確認することができた。
次に、本発明方法をN型の熱電半導体組成物の製造に適用した場合を例に具体的に説明すれば、以下のとおりである。
すなわち、粉末処理工程は、Bi2Se3〜Bi2Te3(Bi2Se3=0〜30mole%)、例えばビスマス(Bi)/テルル(Te)/セレン(Se)(2.0/2.7/0.3)の組成で、必要により塩素(Cl),臭素(Br),イソロイシン(I)のいずれかを、またはこれらを適宜混合させたものをドーピングして出発物質を成分調整した後、溶融・粉砕・分級(整粒)することにより、例えば粒度が略500μm前後の微細粉体に粉末化される。
仮成形処理工程では、粉末処理工程を経て得られた微細粉体を室温のもとで、一軸プレス成形手法により加圧(プレス条件例:40kN/cm2の圧力)成形し、これにより目的とする仮成形体を得る。
熱処理工程では、仮成形処理工程を経て得られた仮成形体に対し、不活性ガス、例えばアルゴンガス雰囲気中での少なくとも10時間にわたる450℃±50℃の温度と、少なくとも1時間にわたる略605℃±10℃の温度との多段階にわたる熱処理が行われ、これにより焼結体を得る。
これをより具体的に説明すれば、多段階にわたる温度のもとで行われる熱処理のうち、融点に近い温度で行われる最終段階の熱処理は、Bi2Se3〜Bi2Te3につき、Bi2Se3=0〜10mole%の場合は595℃(精度±2℃)で1時間、Bi2Se3=10〜20mole%の場合は605℃(精度±2℃)で1時間、Bi2Se3=20〜30mole%の場合は615℃(精度±2℃)で1時間、それぞれ不活性ガス、例えばアルゴンガス雰囲気中での熱処理を行って焼結体を得る。
熱間押出し処理工程では、急速冷却時に発生する内部応力による割れを防止するため、焼結体を炉内にて例えば12時間程度かけて徐々に冷却し、室温(炉外の常温)より20〜30℃程度高い温度になってから炉外に取り出した後、略450℃の加熱状態のもとで、具体的にはBi2Se3〜Bi2Te3,450℃(精度±10℃)の温度状態の熱間(焼結体と押出し型とを含む)で押出し成形が行われ、これにより焼結成形体(k=D(元の直径)/d(押出し後の直径)=5〜98)を得る。なお、熱間押出し処理工程を経て得られる焼結成形体は、急速冷却時に発生する内部応力による割れを防止するために例えば8時間程度かけて徐々に冷却し、室温(炉外の常温)より20〜30℃程度高い温度になってから押出し型から取り出す。
焼鈍工程では、熱間押出し処理工程を経て押出し型から取り出された焼結成形体に対し、Bi2Se3〜Bi2Te3,350℃(精度±10℃)の温度のもとで少なくとも10時間にわたる不活性ガス、例えばアルゴンガス雰囲気中での加熱処理を含む焼き鈍し処理が行われ、これによりN型の熱電半導体組成物を得る。
図5は、本発明方法をN型の熱電半導体組成物の製造に適用した場合の効果を確認するために示す拡大図(顕微鏡写真図)である。そのうち、(a)は、本発明方法を含む従来から行われている仮成形処理工程を経た後の仮成形体を、(b)は、従来手法である10時間にわたる450℃の温度の不活性ガス雰囲気中での熱処理工程を経て得られたN型の焼結体を、(c)は、本発明方法である10時間にわたる450℃の温度の不活性ガス温度雰囲気中と、1時間にわたる595℃の温度の不活性ガス雰囲気中との2段階にわたる熱処理を経て得られたN型の焼結体を、それぞれその表面を400倍に拡大して示したものである。
この場合、(a)の拡大図によれば、仮成形処理工程を経た後の仮成形体には多数の粉末粒子が白抜き状態となって存在していることが確認される。また、(b)の拡大図によれば、従来手法である10時間にわたる450℃の温度雰囲気のもとでの熱処理工程を経ても依然としてその焼結体には粉末粒子の存在が確認される。しかし、(c)の拡大図によれば、10時間にわたる450℃の温度の不活性ガス温度雰囲気中と、1時間にわたる595℃の温度の不活性ガス雰囲気中との2段階にわたる熱処理を経ることにより、その焼結体からは粉末粒子の存在が確認されなくなっていることが判明する。
図6は、図5(b)の従来手法により得られたN型の熱電半導体組成物を25℃の温度のもとでその押出し方向(長さ方向)と直交する方向に順次スライスしたウエーハの特性を測定し、記録したデータと、図5(c)の本発明方法により得られたN型の熱電半導体組成物を25℃の温度のもとでその押出し方向(長さ方向)と直交する方向に順次スライスしたウエーハの特性を測定し、記録したデータとを比較して示すグラフ図であり、図中の符号1は従来手法による場合を、2は本発明方法による場合を、図中の矢印は、押出し方向(長さ方向)をそれぞれ示す。
このうち、図6(a)は、N型の熱電半導体組成物の熱起電力(α)の性能を示すものであり、従来手法による場合には、押出し方向(長さ方向)でその性能にバラツキがあり不均一であるのに対し、本発明方法による場合には、押出し方向(長さ方向)での性能にバラツキがなく均一であることが判明する。
図6(b)は、N型の熱電半導体組成物の導電率(δ)の性能を示すものであり、従来手法による場合には、押出し方向(長さ方向)でその性能にバラツキがあり不均一であるのに対し、本発明方法による場合には、押出し方向(長さ方向)での性能にバラツキがなく均一であることが判明する。
図6(c)は、N型の熱電半導体組成物の熱電材料特性(α2δ)の性能を示すものであり、従来手法による場合には、熱電材料特性(α2δ)の数値が低いのに対し、本発明方法による場合には、熱電材料特性(α2δ)の数値が従来手法による場合よりも高くなって推移しており、その特性が改良されていることが判明する。
図7は、従来手法による熱間押出し処理工程を経た後に得られた焼結成形体と、本発明方法による熱間押出し処理工程を経た後に得られた焼結成形体とを、熱起電力(α)と導電率(δ)との関係のもとでそれぞれの特性を示したグラフ図であり、図中の符号1は従来手法による特性を、2は本発明方法による特性をそれぞれ示しており、これらのグラフ図からも本発明方法による場合の性能が従来手法におる場合を上回っていることが判明する。
図8は、従来手法による熱間押出し処理工程を経た後に得られた焼結成形体と、本発明方法による熱間押出し処理工程を経た後に得られた焼結成形体との性能指数(Z)について示すグラフ図であり、図中の符号1は従来手法を、2は本発明方法をそれぞれ示しており、温度の如何を問わず本発明方法による場合の性能指数が従来手法のそれを上回っていることが判明する。
表2は、従来手法により得られるN型の特性と、本発明方法により得られN型の特性とを比較して示すものであり、そのうちの(1)欄は、熱間押出し処理工程の前に位置する熱処理工程を経た時点での熱起電力(α)の性能を、(2)欄は、最終工程である焼鈍工程を経た後の諸特性をそれぞれ示す。これによれば、熱処理工程を経た時点では、従来手法によるものの熱起電力(α)の方が上回っていたが、焼鈍工程を経た後には本発明方法の諸特性の方が従来手法のそれを上回っていることを確認することができた。
本発明は、上記したように詳細に記載され、かつ、図示されているが、それは単に説明および例示であり、本発明の技術的範囲をなんら制限するものではない。本発明から逸脱することなく上記実施形態に対し様々な変形を施すことが可能である。
Claims (3)
- 適宜の組成からなる熱電半導体多結晶物を微細粉体に粉末化する粉末処理工程と、
該粉末処理工程で得られた微細粉体を常温下でプレス成形して仮成形体を得る仮成形処理工程と、
該仮成形処理工程で得られた前記仮成形体をその融点に近い温度にまで至る多段階にわたる熱処理を行って焼結体を得る熱処理工程と、
該焼結処理工程を経て得られた前記焼結体を熱間で所定形状に押出し成形して焼結成形体を得る熱間押出し処理工程と、
該押出し処理工程を経た焼結成形体を焼き鈍しして熱電半導体組成物を得る焼鈍処理工程とを含むことを特徴とする熱電半導体組成物の製造方法。 - 前記微細粉体は、ビスマスとアンチモンとテルルとの混合粉末からなるP型物質であり、
前記熱処理工程は、不活性ガス雰囲気中での少なくとも10時間にわたる400℃±50℃の温度と、少なくとも1時間にわたる600℃±5℃の温度との多段階にわたる熱処理を含み、
前記熱間押出し処理工程は、400℃±10℃の温度状態の熱間で行われ、
前記焼鈍工程は、不活性ガス雰囲気中での少なくとも10時間にわたる300℃±10℃の温度での熱処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱電半導体組成物の製造方法。 - 前記微細粉体は、ビスマスとセレンとテルルとの混合粉末からなるN型物質であり、
前記熱処理工程は、不活性ガス雰囲気中での少なくとも10時間にわたる450℃±50℃の温度と、少なくとも1時間にわたる605℃±10℃の温度との多段階にわたる熱処理を含み、
前記熱間押出し処理工程は、450℃±10℃の温度状態の熱間で行われ、
前記焼鈍工程は、不活性ガス雰囲気中での少なくとも10時間にわたる略350℃±10℃の温度での熱処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱電半導体組成物の製造方法。
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Cited By (2)
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RU2518353C1 (ru) * | 2012-12-07 | 2014-06-10 | Общество С Ограниченной Ответственностью "Адв-Инжиниринг" | Способ получения термоэлектрического материала для термоэлектрических генераторных устройств |
CN112602202A (zh) * | 2018-08-28 | 2021-04-02 | 琳得科株式会社 | 热电转换材料的芯片的制造方法、以及使用了通过该制造方法得到的芯片的热电转换组件的制造方法 |
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2003
- 2003-09-05 JP JP2003313988A patent/JP2005085873A/ja active Pending
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