本発明を実施するための最良の一形態について説明する。
図1は、本例に適応される情報記録が可能な記録媒体であるディスク101(メディア)の構成例を示している。ディスク101には同心円状、もしくはスパイラル状にグルーブ102(溝)102とランド103からなるトラック104が形成されている。このトラック104はディスク形成装置により、あらかじめ作成されるものであって、情報(記録再生)装置は、このトラック104に沿って、情報の記録、再生を行なう。またディスク101には回転情報として、線速度一定もしくは角速度一定で回転した場合に、一定周波数(周期)の信号が検出可能なように、トラック104が蛇行(ウォブリング)している。CD−RWやDVD+R/RWでは、このトラック104の蛇行を概略一定周波数としながら、周波数や位相を若干変える部分を設けることで、同期情報やアドレス情報を記録している。これをウォブルと呼ぶ。ウォブルのその他の形態として、トラック104の片側のみ蛇行しているものや、間欠的に蛇行が途切れている場合もある。
また、ディスク101の絶対位置を表す他の方法として、ピットやFCM(Fine Clock Mark)を形成することもできる。図2には、そのディスク101形状を示してある。ピットにはグルーブ102に存在するものや、ランド103に存在するものがある。図2の例は、グルーブ102に情報を記録するディスク101を示しているが、ランド103に記録することも可能である。グルーブ102を溝と考えると、グルーブピットとは図2(a)に示した様に溝の切れ間となる。このグルーブピット105は、反射光の強度変化、例えばRF信号の振幅の変化で検出することが出来る。光磁気ディスク101など記録情報が反射信号の振幅変化以外で記録されている場合は、RF信号の振幅からグルーブピット105を容易に検出できる。しかし色素(R:レコーダブル)ディスクや相変化(RW:リライタブル)ディスクなど記録情報が反射信号の振幅変化で記録されている場合は、ピット情報と記録情報ともに同じ検出方法をとるので、領域分割するなどピット情報と記録情報を区別して判別できる様にすることが望まれる。
ランドピットとは、図2(b)に示した様に、溝間のランド103にグルーブ102とほぼ同じ深さの穴が空いている状態といえる。このランドピット106は、プッシュプル信号(トラック104の接線方向に分割した受光素子から得られる差信号)の振幅として検出することが出来る。光スポットが正確にトラック104の中央にトラッキングしている場合には、記録情報成分はプッシュプル信号にはほとんど残らないため、ランドピット106は容易に検出できる。特定のグルーブ102にトラッキング中には左右のランド103にあるピットを検出することが出来るが、両方の組合せで情報としてもよいし、片側のみのピット列で情報列を構築してもよい。また、FCMは図2(c)に示した様にトラック104のウォブリングが局所的に高周波、大振幅となったものと考えてよい。検出はウォブル信号と同様な方法で可能である。これらはウォブルと組合せて形成することができる。
以上のように、ディスク形成段階で埋め込まれた情報信号を用いることで、ディスク101上の絶対位置を特定することができる。たとえば、これらをウォブル信号の復調に必要な同期信号として用いれば、高い精度で位置決めを行なうことが出来る。
ディスク101が、記録層が多層構造で各層に情報の記録が可能である記録媒体の場合は、それぞれの層にこのウォブルが存在する。これらは少なくとも隣り合う2つの層で同一周波数となっていることが望ましい。ウォブル周波数が異なると、クロックや同期の引きこみに時間がかかるため、層間の移動が頻繁に行なわれる場合には、ウォブル周波数を同一とした方がすばやくアクセスできる。また、トラック104のスパイラル方向は複数の層で同じでも構わないし、層毎に反転されていてもよい。例えば、1層目と2層目のスパイラルが反転しているときの利点は次に示すとおりである。ディスク101を一定方向に回転させている状態で、1層目の内周にトラッキングすると、スパイラルに沿って外周側へ移動する。ある半径位置で層間ジャンプして2層目にトラッキングすると、ディスク101の回転方向は同じでもスパイラルに沿って今度は内周側へ移動する。すなわち、動画像など連続的な情報を2層に渡って再生する場合、ディスク101の回転方向を変えずに同じ半径位置で層間ジャンプするだけで両層の情報を連続的に再生できるのである。全層同じにした場合の利点としては、ディスク回転数一定で記録再生する場合、ディスク外周の方が線速度が速いので、情報転送レートが高いことが挙げられる。このため、ディスク外周を優先的に使用できるようにスパイラルを全周とも外周から内周へトラッキングするべく形成すると、記録開始から最高転送レートとなる。
また、通常、ウォブリングはグルーブ102に形成することが多いが、ランド103に形成してもグルーブ102の場合と大きな違いは無く、信号生成の極性を反対にすればよい。情報を格納することのできる記録層が多層であった場合、記録できないROM層と記録可能な記録層が存在する構成としていてもよい。以下に説明する例では、ディスク101の記録原理や記録溝の種別、層数には制限され得ることなく、少なくともウォブリングで情報を格納するディスク101に適応可能である。
図3にディスク101に照射された光ビームの反射光を受光し、各種信号を抽出する受光素子周辺の信号処理ブロックの一例を示す。すなわち、ディスク101からの反射光を4分割PD(受光素子)111で受光する。この4分割受光素子111は光学的にディスク101の表面のトラック104の接線方向とそれに垂直方向に対応する分割線で4つに仕切られている。これを便宜的に図3の左前より時計回りにA〜Dとする。受光素子出力は電流信号なので、I/V回路112によって電圧信号に変換する。電圧変換された信号は後段の演算回路113で、様々な加算、減算を行って各種信号が抽出される。トラッククロス信号は、“A+B+C+D”の演算結果の低周波信号である。トラックエラー信号はプッシュプル信号ともいうが、“(A+D)−(B+C)”で求める低周波信号である。フォーカスエラー信号は非点収差法の場合、“(A+C)−(B+D)”で求める低周波信号である。これらをサーボ信号といい、光ビームをトラッキングさせるために使用される。ウォブル信号は“(A+D)−(B+C)”の高周波信号である。ここではトラックエラー信号と同じ回路で演算しているが、もちろん別の回路で演算しても良いし、演算回路113を構成する減算アンプの前に各種補正回路を挿入しても良い。また、再生(RF)信号としては高帯域の別回路で演算することが望ましいため、I/V回路112の後段で直接4つの信号を加算して演算している。
ここで示したのは各種信号の最も簡単な演算方法の例であるが、4分割受光素子(PD)111の分割形状はこの例に限定されるものではなく、光ビームの数や光路に応じてさらに細かく分割されていても構わないし、逆に2分割、3分割と少なくてもよい。それぞれの受光形態に応じて信号演算を最適化すればよい。さらに、メインとサブからなる複数の光ビームから各種信号を検出する場合でも構わない。例えばトラックエラー信号は3つの光ビームを受光して演算する3ビーム法やDPP(ディファレンシャルプッシュプル)法などの場合である。トラッククロス信号も3ビームで演算することもできる。トラックエラー信号はDPD(ディファレンシャルフェーズディテクション)法でも構わない。またフォーカス系はナイフエッジ法など別の受光素子から演算されてもよい。
すなわち、検出法によって演算法を適正化すればよく、そのディスク101から信号を抽出する方法、手段は問題ではない。
一般的なウォブル変調方式の例として、図4にウォブル信号の波形でいくつか示した。1番上のモノトーンは変調のないSIN波の連続で、搬送波領域などに使用される。2番目は変調データで、以降の変調ウォブル信号はこのデータに対応している。3番目はFSK(FM)変調が重畳されたウォブル波形でモノトーンの1/2周波数を用いた場合である。4番目はPSK(PM)変調、5番目はノコギリ変調、6番目はMSK変調、7番目はON−OFF変調である。それぞれ利点、欠点があるため、本例では、ディスク101にこれらの変調方式が一部組合わされて使われていてもよい。なお変調はアドレスなどの情報を含むために挿入される。
ウォブルの変調により位置情報を記録する場合のフォーマット全体像の例を図5に示す。一般的なフォーマットでは図5(a)に示す様に、大部分を占める搬送波領域(搬送波)と、同期情報部(同期)、そしてアドレス情報部(AD)が存在する。搬送波領域から得られた搬送波成分で基準クロックを生成し、この基準クロックをもとに周期的に現れる同期情報部の位置を特定し、同期情報部から所定距離(ウォブル数)離れた位置にあるアドレス情報部の復調結果からアドレス情報を読み取り、ディスク101上の位置を検出する。同期情報部の変調形態は一般的にアドレス情報部やその他(層情報部)の領域には無い、もしくは少ないものが使われており、周期的に発生するので区別ができる。
本例では、図5(b)や(c)のように、現在アクセス中の記録層が何層目の記録層であるかを示す層情報を格納する。図5(b)では、同期情報部とアドレス情報部は連続しており、層情報部は搬送波領域に挟まれた位置に配置している。同期情報部とアドレス情報部を離して配置してもアドレスを読み出せないことはないが、その間に外乱等によりクロックずれ(同期情報部を基準としたウォブル数カウントがずれること)が発生した場合は誤検出となる。アドレス情報は、アクセス位置の移動時など、頻繁にかつ高速に読み出す必要があることから、正確で信頼性の高い検出が期待されるので、極力、同期情報部に接近して配置されるのが望ましい。同様に、層情報部も同期情報部、アドレス情報部に接近して配置されてもよいが、変調部が長くなると基準クロック生成のための搬送波成分が長期間抽出できず、基準クロックが不安定になる不具合も出てくる。ウォブルの変調部においては搬送波を抽出するためのBPF出力が乱れるため、極力変調部分の連続は避けたい。この乱れは、搬送波1〜2周期分の変調では大きな乱れとはならないが、それ以上変調部が長くなると、BPF出力の波形(周期)が乱れてしまい、基準クロック生成に悪影響となる。もちろん、乱れはBPFの特性によるので、基準クロックの抽出に問題が無ければ、同期情報部とアドレス情報部に連続して、層情報部を格納しても良い。
層情報は、基本的に記録層を変更した時に読み出されるだけなので頻度は少なく、かつ情報量が数bitと少なく短時間で読出し可能なので、何度もチェックすることが容易である。例えクロックずれが発生しても、このチェックにより間違いが発見でき、リトライ再生が可能である。このため、層情報部は同期情報部やアドレス情報部と離れた位置に配置しても問題は少なく、基準クロック生成への悪影響を回避することが望ましい。
また図5(c)の例では、層情報部を間欠的に配置している。アドレス情報を表すには多くのビット(情報量)が必要であるが、前述のように変調部を連続させると不具合があるため、1箇所のアドレス情報部には情報の一部分である1〜2ビット程度しか配置せず、複数のアドレス情報部に渡ってアドレス情報を格納する。言いかえれば、同期情報部とアドレス情報部と搬送波領域を1セットとしたとき、1つのアドレスを完成させるためにはいくつものセットの情報をまとめる。逆に、層情報は2層の記録層を判別するには1ビット、4層でも2ビットで足りるため、セット毎全てに層情報を格納する必要は必ずしもない。複数のセット毎に層情報を格納すれば十分である。層情報部としてはセット毎に確保し、層情報と別の情報を交互に格納することもできる。もちろんセット毎に何度も格納すれば、繰り返しにより信頼性が上がる上、すばやい層判別が可能になる利点はある。
このように、アドレスと同様な格納方法、すなわち複数のセットの情報をまとめて完全な情報となる方法で埋め込まれた層情報の判別には、非常に長くウォブルの変調情報を読み取る必要があるが、ウォブルの特定位置に刻まれた層情報部のみの判別で層検出が可能であれば短時間での判断が可能である。層情報の変調部に限るわけではないが、変調部は極力短い期間で情報を格納すべきである。
本実施の形態では、ディスク101に対し、図4に示したウォブル波形のうち、PSK、FSK、FSK+PSK(PSKとFSKの組み合わせ)を用いることを提案する。図6には、この場合の具体的なウォブル波形を示す。図6の上に井桁付きの番号で示された番号は、変調部の先頭ウォブルをn番目として搬送波周期毎に数えた番号である。PSKは#nに搬送波周期で位相が0度と180度に変化することにより情報を格納する方式であり、FSK−1は#nと#n+1に、搬送波周期の2倍の周期(1/2周波数)のウォブル波形が有るか、搬送波周期のウォブル波形かで情報を格納する方式であり、FSK−2は#nに搬送波周期の1/2倍の周期(2倍周波数)のウォブル波形が有るか、搬送波周期のウォブル波形かで情報を格納する方式であり、FSK−3はFSK−1の搬送波1周期のみで情報を格納する方式であり、FSK−4は#nと#n+1及び#n+2に搬送波周期の3倍の周期(1/3周波数)のウォブル波形が有るか、搬送波周期のウォブル波形かで情報を格納する方式であり、FSK+PSK−1は、#nと#n+1に搬送波の2倍の周期(1/2周波数)のウォブル波形で、位相が0度と180度に変化することにより情報を格納する方式であり、FSK+PSK−2は、#nに搬送波の1/2倍の周期(2倍周波数)のウォブル波形で、位相が0度と180度に変化することにより情報を格納する方式である。代表例を示したが、周期を変更するFSKと、位相を変更するPSK、またそれらを組合せたFSK+PSKとがあり、その周期や情報1bitを示すのに必要な搬送波長には制約される必要はない。
図6のウォブル波形をフォーマットの全体像に当てはめて図示したものが図7である。同期情報部を#0〜3、アドレス情報部を#4,5、層情報部を#n,n+1、それ以外を搬送波部としている。もちろん、それぞれの領域の長さや配置は、これに限らない。層情報部の位置#nに関しては同期情報部間隔のおおよそ半分くらいが適当である。しかしながら、アドレス情報部の変調部分でウォブル2値化信号の周期が乱れ、基準クロックが一時的に数ウォブル程度の期間不安定になる領域を除けば、何処に配置してもよい。
図7において、Type1のアドレス情報部は、搬送波2倍周期のFSK変調、層情報部は搬送波周期のPSK変調を示している。Type2のアドレス情報部は、搬送波2倍周期のFSK+PSK変調、層情報部は搬送波周期のPSK変調を示している。Type3のアドレス情報部は、搬送波2倍周期のFSK変調、層情報部は搬送波2倍周期のFSK+PSK変調を示している。Type4のアドレス情報部は、搬送波の2倍周期のFSK+PSK変調、層情報部は搬送波2倍周期のFSK+PSK変調を示している。アドレス情報部と層情報部の変調方式が異なれば、それらを間違えることはないが、例え同じ変調方式であっても、同期情報部からの位置によってそれらを混同することはない。
層情報部は図7では搬送波2周期を割り当てている。これは、変調方式に応じて適正な長さがあるが、クロック生成への悪影響やクロストークへの耐性を考慮すると、極力少ない搬送波周期で情報を格納することが望ましい。また、FSKでは搬送波の整数倍が望ましい。例えば、2層ディスク101を表すためには、“0”と“1”の1bit情報が必要であるが、これは搬送波1周期分で格納する。4層ディスク101であれば、2bit情報が必要なので、搬送波2周期分で格納する。具体的には、図6に示したPSKやFSK−2、FSK−3、FSK+PSK−2などで、搬送波1周期で完結するタイプの変調方式を用いると良い。もちろん、FSK−1のように1bitを搬送波2周期で表しても良いが、記録層が多くなると、クロック生成上不安定期間を長くすることになる。
Type1〜Type4までは同期情報部にPSK変調を示してある。PSK変調方式は高い信号S/Nが得られるので、搬送波部分との区別が容易で同期情報部に使用することが望ましい。しかしながら、隣接トラックにある同周波数のウォブル成分が漏れ込むと(クロストーク)振幅や位相変動が発生し、復調信号S/Nが低下する。同期信号に限っては周期的なので稀に誤検出があっても補間できるので、PSK変調とする利点はある。PSK変調方式以外の例として同期情報部にFSK変調方式を用いても構わない。
1/2周期のFSK変調で1搬送波期間とした場合をType5に示した。Type1〜4と同様に同期信号として検出することができる。復調信号S/NはPSK方式に比べ若干低下するが、隣接トラックの搬送波ウォブルとは周波数が異なるため、クロストークによる悪影響を受け難く、クロストークが大きい場合はPSK方式よりFSK方式の方が有利である。搬送波2倍周期のFSKを用いても良い。その他、図2に示したようなピット信号やFCMにより同期情報部を形成してもよい。グルーブピット105を同期信号として用いる場合は、グルーブピット105の検出系とウォブル検出系が異なるため、タイミング補正が必要になる。グルーブピット105は和信号処理系(例えばRF処理系)から検出されるが、ウォブルは差信号処理系(ウォブル処理系)から検出される。このため、和信号処理系と差信号処理系の遅延時間差を調整して、ウォブルのアドレス情報部や層情報部の位置を正確に示す必要がある。グルーブピット105に限らず、同期情報部を検出する系と、アドレス情報部や層情報部を検出する系が異なる場合は、それぞれの復調処理遅延の差を調整してタイミングを合わせる必要がある。
以上のような構成で、複数の記録層を積層した記録ディスクをディスク101に層情報を記録すると、層情報の判別が正確にかつ、すばやく行なえる。なお、多層ディスクと単層ディスクの互換を取るためには、単層ディスクに対しても同様に層情報を盛り込んでおくことが必要である。
次に、アクセス速度や再生専用ディスクとの互換性を考える。異なる半径位置への移動(シーク)時には、現在アドレスと目標アドレスを元に、移動距離を計算してピックアップなど可動部を動かす。一般的にディスク101には線密度一定で情報は記録されているので、外周ほど1周あたりの記録情報が多く、半径位置とアドレス情報は線形の対応とならない。もちろん少し複雑な計算を行なえばアドレス情報から半径位置が求まるが、アクセス時間を短くするためには、アドレスと半径位置の対応を示すテーブルなどを記憶して、参照することが望ましい。
既に実用化されている2層DVD−ROMでは、層毎にアドレス情報を変えることで層判別することができた。これは、光学的反射レベルがそもそも1層DVD−ROMとは異なって低いので、第1次判別の方法は反射率や信号レベルなどで可能であるものの、バラツキ要因が大きく、最終的にはアドレス情報を用いて層を判別する。しかし、それぞれの層毎に前記のテーブルを用意すると、メモリ容量を単層の場合に比べて倍にする必要がある。これを避けるため、DVD−ROMでは同じ半径位置でのアドレス情報に層間関係を持たせ、具体的には補数関係にして、1層目のアドレス情報に対して半径位置とのテーブルを用意しておき、2層目は1層目のアドレス情報に補数計算で変換した後、半径位置を求める方法がとられている。補数計算はbit反転で可能なので、容易に計算できる。しかしながら、3層以上の多層の場合には、この補数関係も適応しにくく、層毎にアドレス情報を変える(重複しないようにする)ためには情報量を増やす必要があり、非効率である。このため、3層以上のROMディスクでは、層毎にアドレス情報の配列は変えることなく共通で、記録情報内に層情報を格納することが望ましい。もちろん再生専用のDVD−ROMでは、トラックやウォブルは存在しないので、アドレス情報や層情報は他の記録情報と同じように格納されればよい。そのアドレス情報はセクタ単位(比較的小さいデータの区切り)で完結しており、アドレス情報の読込は比較的短時間で可能なフォーマットとすべきである。
記録ディスク101はウォブルに格納された層情報を検出することでアクセス中の記録層を判別することができるが、前述の様に再生専用ディスク101にはウォブルがなく、層情報は記録情報から検出する必要がある。記録ディスク101に記録する情報と、再生専用ディスク101に記録された情報のフォーマットは必ずしも同じにする必要はない。しかしながら、記録情報のうち層情報の格納方法を再生専用ディスク101と記録ディスク101で共通化しておくことで、ウォブルの層検出機能を持たない再生専用の装置においても、記録済ディスク101を再生した場合に層判別をすばやく行なうことが出来る。
図8は、前述のようなフォーマットを用いたディスク101からアドレス情報と層情報を検出する情報検出装置161の装置構成のブロック図である。特に、同期信号もウォブルの変調から検出する場合を例に挙げている。まず、ウォブル信号に含まれる搬送波成分をクロック生成手段121により抽出してクロックを生成すると共に、復調に必要な周波数の基準クロック信号も生成する。クロック生成手段121の具体例については後述する。基準クロック信号をもとに、第1及び第2の復調手段122,123において、ウォブルに含まれる変調成分を復調、抽出する。例えば、第1の復調手段122においては、搬送波周波数と同じ周波数の基準クロックf1信号を使い、PSK変調部の復調を行なう。第2の復調手段123においては、搬送波周波数の1/2周波数の基準クロックf2信号を用いて、搬送波2倍周期のFSK変調部、もしくはFSK+PSK変調部を復調する。同期検出手段124では、同期情報部の変調方式にあった入力信号を選ぶ。例えば、同期情報部がPSK変調方式であれば、第1の復調手段122の出力信号を入力として選択する。この入力信号の間隔をクロック信号に基づいてカウントし、周期的な同期情報部を検出し、同期引きこみを行なう。引きこみ後に稀ではあるが誤検出があると(本来発見されるべき同期位置で信号が発見されなかった場合)、擬似同期信号を生成し補間するなどして、カウントは通常通り継続する。同期情報部の発生タイミングを基準に、クロック信号をカウントし、ディスク101でフォーマット上のアドレス情報部が配置されているタイミングでアドレス情報検出手段125にタイミング信号を出力し、かつ、層情報が配置されているタイミングで層情報検出手段126にタイミング信号を出力する。アドレス情報検出手段125と層情報検出手段126では、それぞれの変調方式に対応する復調手段の出力を入力信号としてセレクタ127により選択する。前記タイミング信号に応じて、アドレス情報信号および層情報信号を検出する。
図9は、同期情報部としてピットやFCMを用いたときの層情報、アドレス情報を検出するための情報検出装置161の装置構成を示している。図8と同一符号のブロックは、図8と同様の機能であるため、詳細な説明は省略する。グルーブピット105を用いる場合(図2(a))、和信号処理系から検出されるため、入力信号は“A+B+C+D”とする。ランドピット106(図2(b))やFCM(図2(c))を用いる場合は差信号処理系から検出されるため、入力信号は“(A+D)−(B+C)”とする。これらにはそれぞれフィルタなど事前に信号処理を施してもよい。同期検出手段128ではクロック信号に基づいて入力信号をサンプリングして、同期信号を見つけ、同期性を確認した上で、同期引きこみを行なう。もしウォブル検出系と同期検出系で信号遅延が異なる場合は、この同期検出手段128内で遅延補正を行なえばよい。アドレス情報検出手段125や層情報検出手段126へのタイミング信号生成や、第1、第2の復調手段122,123、アドレス情報検出手段125と層情報検出手段126の説明は、図8を参照して前述の通りである。
図10に、クロック生成手段121の詳細な装置構成のブロック図を示す。図10において、ウォブル信号はノイズ成分や変調部を含んでいるため、BPFなどのフィルタ131で搬送波成分のみ抽出する。この搬送波成分の信号をもとにPLL回路132にて時間軸方向のノイズ(ジッタ)を除去した安定した周波数特性を持ちながら、回転変動などには追従したPLLCK信号を生成する。なお、PLL回路132の入力信号は2値化してあってもよい。PLLCK信号はDutyが50%とは限らないため、ウォブル周波数より高い周波数を設定しておき、後段で分周手段133により1/Lの周波数に分周することでシステム的に必要な周波かつDutyも50%のクロック信号を生成する構成とすることが望ましい。またPLLCK信号は基準クロックを生成するためにf1信号周波数となるように分周手段134で1/Mの周波数に分周する。また、f2信号周波数となるように1/Nの周波数にも分周手段135で分周する。なお分周の方法については、この限りではなく、PLLCK信号から各出力の目的周波数に応じて分周されていれば良い。例えば、クロック信号とf1信号が同周波数であれば、1/Lと1/Mは共通化できるし、f2信号がf1信号より高い周波数であれば、f1信号とf2信号を入れ替えても構わない。位相調整手段136は、第1又は第2の復調手段122,123で使用するウォブル信号と、基準クロック信号もしくは基準クロック信号をもとに作られたSIN波信号などとの位相を合わせる目的で、PLLCK信号の位相を調整する。各種フィルタやPLL回路132などを通過すると信号の位相が変化するが、第1又は第2の復調手段122,123では、ウォブル信号と、基準クロック信号もしくは基準クロック信号をもとに作られたSIN波信号などが同位相であることが、高い復調性能を得る上で必要となる。そこで、位相調整手段136により、PLLCK信号の位相を調整することで、基準クロック信号の位相を調整する。もちろん、f1信号とf2信号それぞれ独立に位相調整手段136を備えても構わないが、効率化を考え、本例ではPLLCK信号処理する位置に用意した。また、位相調整手段136の機能をPLL回路132に搭載してもよいし、位相調整手段136に分周回路132〜135やSIN波信号を発生するSIN波発生回路を含んでいても良い。
一方、ウォブル信号のフィルタ出力は変調部で信号が乱れる。その様子を図11に示す。ここではフィルタをBPFとし、変調部でBPF出力が乱れていることを示している。PLL回路132への入力としてBPF出力を2値化した信号を使うとして、その2値化信号は、ウォブル信号の変調部の付近で非常に乱れている(図11(c)の符号141の囲み内)。PLL回路132では、この乱れが続くと、動作が不安定になりやすい。そこで、変調部もしくはフィルタ出力が乱れる期間を示すマスク信号(図11(a))でPLL回路132の位相比較動作を休止するようにするようにすると、PLL回路132の動作を安定に保つことが出来る。このマスク信号は同期検出手段128より容易に発生させることができる。
次に、図12〜図14を用いて、第1、第2の復調手段122,123の動作を説明する。図12は、第1、第2の復調手段122,123の構成例を示すブロック図であり、アナログ方式(a)とデジタル方式(b)の2種類を示している。
まず、アナログ方式について説明する。ウォブル信号に重畳されたノイズなどはBPFなどのフィルタ141で除去する。一方、基準クロック信号を元に信号発生器142で同周波数のSIN波信号を生成する。このウォブル信号、SIN波信号の2つの信号を乗算器142にて演算処理する。このときSIN波信号を使用したが、これは復調性能を高めるためであり、若干の性能劣化を許容する場合は、基準クロック信号をそのまま用いても良いし、基準クロック信号(デジタル信号)とSIN波信号(アナログ信号)の中間的な階段状の波形でも構わない。乗算器143の出力を後段の積算器144で特定の期間(CLRで示される)積算し、サンプルホールド回路145で特定のタイミング(SMPで示される)で信号レベルをホールドする。CLRは一般的に搬送波周期毎に搬送波の位相ゼロ付近で出力され、積算器144の値を初期化する。SMPも搬送波周期毎に出力されるが、CLRの出力の直前に出力され、CLRにより初期化される直前の積算器144の出力をホールドする。なお、ウォブル信号の変調部が複数の搬送波周期で構成されている場合は、搬送波周期ではなく、変調部の切れ目としてもよい。CLRやSMPは、例えば同期検出手段128にて生成される。
デジタル方式でも、同様にウォブル信号はフィルタ151にて重畳されたノイズ成分を除去され、A/Dコンバータ152にて量子化する。これは、例えば8bit程度のA/Dコンバータで良い。A/Dコンバータ152のサンプルクロックは、PLLCK信号を分周器153で1/kの周波数に分周した信号とするが、ウォブル信号の4倍以上の周波数が復調性能から見て適当である。このクロック毎に後段のROM154に格納されているデータを出力する。このROMデータはSIN波を階段状に表すデータ、搬送波又は変調周期の矩形波などを順次出力すればよい。そして、A/Dコンバータ152で取りこんだウォブル信号のデータと、ROM154から出力されたデータを乗算器155にて乗算演算し、アナログ方式と同様に積算器156、サンプルホールド回路157で積分処理、サンプルホールド処理を行なう。これらは基準クロック信号の周波数や、PLLCK信号の分周比1/kがウォブルの搬送波周期もしくは変調周期にあわせて入力されれば、第1の復調手段122にも第2の復調手段123にも対応できる。また、ROMデータを各変調部の基準SIN波形状に応じて変更することで、第1の復調手段122と第2の復調手段123の機能を1つの復調手段で実現することもできる。例えば、PSK変調部のROMデータは搬送波形状とし、搬送波2倍周期のFSK+PSK変調部のROMデータは搬送波手記の2倍の波形としておけば良い。
図13は、第1の復調手段122と第2の復調手段123の動作を説明するタイミングチャートである。図13には、第1の復調手段122にかかわる信号、第2の復調手段123にかかわる信号を、それぞれ示している(なお、図12(a)のアナログ回路の例で説明する)。前述の同期情報部#0にPSK変調、アドレス部#6,7(ここでは、前述の図7とは異なる)にFSK変調を配置したディスク101からのウォブル信号をアナログ方式で復調する波形を示した。
まず、上段に記載の第1の復調手段122の波形を説明する。ウォブル信号の搬送波成分から生成された基準クロックであるf1信号を基に信号発生器142ではSIN波信号を生成する。その後、乗算器143にてウォブル信号とSIN波信号と乗算演算する。もちろん、ウォブル信号は前処理として、HPF(ハイパスフィルタ)などのフィルタを通過させておくと良い。乗算結果は積算器144にて変調周期、ここでは搬送波周期毎に積算演算され、サンプルホールド回路145にて積算結果をサンプルし、次のサンプルの時までホールドしておく。この場合は、サンプルホールド出力が+側は大部分の搬送波領域、−側になった時がPSK変調により位相が180度異なった位置を示している。復調は搬送波周期で行なっているので、復調結果は1搬送波周期だけ遅れて出力される。よって、期待されるウォブル番号で#0の場所にサンプルホールド出力は−側のPSK変調部が再現されている。積算器144のCLR信号と、サンプルホールド回路145のSMP信号は、ほぼサンプルホールド(S/H)出力信号に、図13中、“〇”で示したタイミングで動作する。ウォブル信号の#0には同期情報部の位相反転部があり、この復調方法で識別できるので、得られた同期信号をもとにアドレス情報の位置を示す信号や、層情報の位置を示す信号を出力することができる。また、#6,7にはFSK変調部がある。FSK変調は、例えばデータ“0”に対し搬送波周期のウォブル、データ“1”に対して搬送波の2倍周期のウォブルに対応させている。よって、データ“0”の点線では、復調結果であるサンプルホールド出力は搬送波と同じ信号レベル(+側)が検出される。逆にデータ“1”の太実線では、サンプルホールド出力はゼロレベルと変化するので検出することができる。PSK変調とFSK変調のフォーマットであれば、第1の復調手段122だけでも復調は可能である。しかし、さらに第2の復調手段123を設けることにより、両復調手段の復調結果が同じであれば、復調結果を正しいと判断し、異なっていれば再度読みこむなど信頼性が高められる。
すなわち、第2の復調手段123では、搬送波の2倍周期であるFSK変調部を復調するために、f2信号として搬送波の2倍周期を用いるので、乗算演算するSIN波も搬送波の2倍周期である。乗算器143、積算器144、サンプルホールド回路145の動作は第1の復調回路122とほぼ同じである。搬送波領域での復調結果はゼロである。図13の#5,6の部分の波形をみてみると、データ“0”、すなわち点線時のサンプルホールド出力は搬送波領域の結果と等しいゼロレベルとなる。データ“1”の太実線時のサンプルホールド出力は+側となり、ゼロから変化するので、変調部を検出することが出来る。なお、この第2の復調手段123における同期情報部のPSK変調部の復調結果も、搬送波領域と同じゼロレベルであるので、FSK部のみが変化する信号となり、FSK部のデータを探すことも比較的容易である。
図14は、アドレス情報部にFSK+PSK変調を配置した場合の例を示すタイミングチャートである。アドレス情報部以外は図13と同様である。アドレス情報部のFSK+PSK変調は、例えばデータ“0”に対し搬送波2倍周期のウォブル(太実線)、データ“1”に対して搬送波2倍周期のウォブルを位相を180度変えた(反転させた)波形(点線)に対応させている。第1の復調手段122の#6,7の復調結果は、データ“0”、“1”に関わらずゼロとなる。一方、第2の復調手段123の復調結果は、データ“0”に対して+側、データ“1”に対して−側と明確に変化する。このように、FSK+PSK変調の復調では、第2の復調手段123から品質のよい復調結果を得ることが出来る。なお、ここまでの説明に記載してある変調波形とデータ“0”、“1”の関係は、特にこれだけに限定する趣旨ではなく、あくまでも例示である。
なお、FSK変調およびFSK+PSK変調がクロストークに強い理由について簡単に説明しておく。ディスク101で、隣接トラックのウォブル成分は、大部分が搬送波周波数である。第1の復調手段122で検出されるのはf1信号周波数成分、すなわち搬送波成分の位相であるため、クロストーク成分も同時に復調結果に重畳されてしまう。よって、PSK変調はクロストークが小さければ、+/−の分離ができるため復調品質が良い(S/Nが高い)が、クロストークが大きいと復調結果がクロストークの影響を受け、劣化する。一方、第2の復調手段123で検出するのはf2信号周波数成分の位相である。これは搬送波領域の復調結果はゼロとなっているが、クロストーク成分も搬送波周波数が大部分であるので、同様にゼロとなる。すなわち、FSK変調部分の復調結果にクロストークのある特定周波数の影響はほとんどないことになる。もちろん、クロストーク成分にf2信号周波数成分が多ければ、クロストークの影響を受けることになるので、極力、FSK変調部分の割合は少なくすべきである。よって、ウォブルへの情報はFSK変調ばかりでなく、他の変調方式を組合せることが望ましい。
以上のように、同期情報部やアドレス情報部に示した変調部を図12などで例示した回路で復調することができるが、同様に、層情報部にPSK変調やFSK変調、FSK+PSK変調で格納された情報も復調することができる。
なお、図12で示した回路は同期検波方式を用いた例を示しているが、通信分野などで周知である遅延検波方式で実現しても構わない。
次に、記録層が多層構造で各記録層についてデータの記録が可能な情報記録媒体であるディスク101を形成するのに好適である、情報記録媒体形成装置の一構成例である光ディスク形成装置201について説明する。
図15は、ディスク101のトラック104を形成する光ディスク形成装置201の電気的な接続を示すブロック図である。図15において、まず、クロック発生回路202はディスク101の回転情報とアクセス中の半径位置に応じた半径情報をモータ制御回路215もしくは本システムを管理しているシステムコントローラ(図示せず)から受け取り、ウォブル周波数を生成するのに適切な基準クロック信号を発生する。これは、例えば、図7のType2に記載したウォブルフォーマットにする場合の例であれば、搬送波周波数であるf1信号、搬送波の1/2周波数であるf2信号の2種類の基準クロックを生成する。
その基準クロック信号をもとに、SIN波発生回路203,204ではそれぞれSIN波状信号(f1信号SIN波、f2信号SIN波)を発生する。また、0度と180度の位相をもつPSK変調またはFSK+PSK変調ウォブルを生成する場合は、反転回路205,206でこれらのSIN波状信号を極性反転した信号もそれぞれ生成する。それ以外の位相、例えば、0度、90度、180度、270度などの4つの位相を使うPSK変調(特にQPSK変調という)を用いる場合には、反転回路205,206を、信号を反転ではなく必要な位相に切替える回路(位相切替回路)に置き換えれば良い。このようにして、SIN波発生回路203,204、反転回路205,206(あるいは位相切替回路)で生成された各信号は、後段の選択回路207〜209で選択出力され、同期情報部やアドレス情報部、層情報部など、搬送波に変調が施されるべき位置で、これらの信号の中から適切な信号が選択出力される。選択回路207〜209を駆動する選択信号としては、所定の第1の情報信号、第2の情報信号、第3の情報信号が用いられる。すなわち、第1の情報信号により、f1信号SIN波又はその反転信号(あるいは位相を切換えた信号)が選択出力され、第2の情報信号により、f2信号SIN波又はその反転信号(あるいは位相を切換えた信号)が選択出力され、第3の情報信号により、選択回路207、208からの各出力信号のいずれかが選択出力される。
例えば、図7のType2の場合では、同期情報部と層情報部は搬送波周波数のPSK変調、アドレス情報部は搬送波の1/2周波数のFSK+PSK変調である。この場合、第1の情報信号は同期情報部および層情報部(データに応じて)においてf1信号SIN波の反転信号(あるいは位相を切替えた信号)を選択する信号であり、第2の情報信号はアドレス情報部でデータに応じてf2信号SIN波の反転信号(あるいは位相を切替えた信号)を選択する信号、第3の情報信号はアドレス情報部においてf2処理系(f2信号SIN波又はその反転信号(あるいは位相を切替えた信号))の方を選択する信号となる。
これら第1から第3の情報信号は、ウォブル変調回路210にて生成される。ウォブル変調回路210ではあらかじめ同期情報部やアドレス情報部、層情報部の情報などを準備しておき(後述)、クロック毎に、これら情報に応じて第1から第3の情報信号を順次出力する。第3の情報信号により最終的に選択されたウォブリング信号は、レーザー変調器211やモータ制御回路215に出力される。
記録装置214は、レーザー変調器211、光学系212、モータ制御回路215により構成される。第3の情報により選択されたウォブリング信号は、レーザー変調器211やモータ制御回路215に送られ、所定の光学機器を組み合わせて構成される周知構成の光学系212は、このウォブリング信号に基づいてレーザー光を発光させてレーザースポットをディスク101に集光し、ディスク101にトラック104を形成する。モータ制御回路215は、ディスク101を回転する回転駆動系213の駆動源となるモータや、光学系212でディスク101に集光するレーザースポットを調整する駆動源となるモータの位置を調整する。光学系212では、このレーザースポット位置を変動させて、光ディスク101でトラック104を形成すべき記録層を適宜変え、また、形成するトラック104にウォブリングを発生させることが可能である。ただし、ウォブリングの方法は、回転駆動系213によりディスク101回転中心を動かしても構わない。すなわち、レーザー集光点がウォブル振り幅に応じてトラック104の中心からずれれば良い。
一般的に、光ディスクを形成する光ディスク形成装置の光スポットは、光ディスクに記録、再生を行う情報記録再生装置の光スポットより小さいため、情報記録再生装置より短波長のレーザー、高NAのレンズを使用する。モータ制御回路215は、ディスク101の回転速度を制御したり、光学系を移動させたりする。そしてディスク101の回転速度を示す信号(回転情報)や、半径位置を表す信号(半径情報)も出力し、クロック発生回路202の基準信号とする。
上記説明では、モータの回転情報と半径情報に合わせてクロックを生成する様に説明したが、これはモータの回転が一定で半径位置に応じてクロック周波数を変更する方法と、クロック周波数が一定で半径位置に応じてモータ回転速度を変更する方法とがあり、どちらでも構わない。またこれら全てをアナログ回路構成にする必要はなく、SIN波発生回路203、204や、反転回路205,206、選択回路207〜209などをデジタル処理し、レーザー変調器211への出力をD/Aコンバータなどでアナログ変換することもできる。なお、光ディスク形成装置201のレーザー波長や光学系のパラメータに依存することは無い。
このように、光ディスク形成装置201は、光スポットを照射してディスク101上にウォブリングしたトラック104を形成する。この場合に、ディスク101が記録層が多層構造で各記録層についてデータの記録が可能な多層情報記録媒体である場合に、光スポットの位置を各記録層に移動して、各記録層にトラック104の形成が可能である。そして、光学系212のレーザー光のスポットのディスク101上での照射位置を変えてトラック101のウォブリングを発生させる照射位置変更装置は、前述のようにウォブリングを発生する光学系212又は回転駆動系213のモータと、モータ制御回路215により実現し、周波数が異なる又は同一周波数で位相の反転した複数の信号を発生する信号発生器を、SIN波発生回路203,204及び反転回路205,206(あるいは位相切替回路)で実現し、これらが発生する複数の信号を所定の信号、すなわち第1〜第3の情報信号に基づいて切り替えてモータ制御回路215に選択的に出力する選択装置を、選択回路207〜209で実現している。
次に、このような構成の光ディスク形成装置201により実施される情報記録媒体形成方法について説明する。
すなわち、図17に示すように、f1信号SIN波、f2信号SIN波、これらの反転波を前述のように発生し(ステップS1)、この信号を第1〜第3の情報信号により選択回路207〜209で切り替えて選択的に出力し(ステップS2)、この出力する信号に基づいて光スポットの回転するディスク101上での照射位置を変えてトラック104のウォブリングを形成する(ステップS3)。
よって、周波数差が倍以上に設定されている変調方式などに対しても、ウォブル信号を変調する際の周波数移行がスムースに行われ、第1〜第3の情報信号に基づいてFSK変調、PSK変調、あるいは、これらを組み合わせたFSK+PSK変調がされたウォブルを情報記録媒体に正確に形成することができる。
具体的には、周波数の異なる(この例では2:1)、f1信号SIN波、f2信号SIN波の2つの信号を発生し、第3の情報信号として、多層情報記録媒体であるディスク101の記録層の別(1層目か2層目かなど)を示す層情報を用いれば、層情報部をFSK変調ウォブルで表すディスク101を正確に作成できる。
また、f2信号SIN波、その反転信号、f1信号SIN波を生成し、前2者を第2の情報信号として層情報を用いて選択出力し、その出力した信号とf1信号SIN波とを第3の情報信号として層情報を格納するウォブル番号を示す位置情報を用いれば、層情報をFSK+PSK変調ウォブルで表し、それ以外の搬送波部分は一定周波数ウォブルであるディスク101が正確に作成できる。
さらに、f1信号SIN波、その反転信号、f2信号SIN波を生成し、前2者を第1の情報信号として層情報を用いて選択出力し、その出力した信号とf2信号SIN波とを第3の情報信号としてアドレス情報を用いれば、層情報を変調ウォブルで表し、アドレス情報をPSK変調ウォブルで表し、それ以外の搬送波部分は一定周波数ウォブルであるディスク101が正確に作成できる。
そのうえ、f1信号SIN波、その反転信号、f2信号SIN波、その反転信号を生成し、前2者を第1の情報信号として層情報を用いて選択出力し、後2者を第2の情報信号としてアドレス情報を用いて選択出力し、これらの選択された信号をアドレス情報を格納するウォブル番号を示す位置情報とすれば、層情報を変調ウォブルで表し、アドレス情報をFSK+PSK変調ウォブルで表し、それ以外の搬送波部分は一定周波数ウォブルであるディスク101が正確に作成できる。
このようにして作成される、記録層が多層構造で各記録層について光の照射によりデータの記録が可能な多層記録媒体であるディスク101は、トラック104に情報が変調されたウォブルが形成される。そして、このウォブルには記録層の別を示す層情報がFSK変調情報、PSK変調情報、又は、FSK+PSK変調情報として記録される。
さらに、層情報がFSK+PSK変調情報である場合に、ウォブルにはアドレス情報もPSK変調情報としてさらに記録されるようにすることができる。また、層情報がPSK変調情報である場合に、ウォブルにはアドレス情報もFSK+PSK変調情報としてさらに記録されるようにすることができる。
次に、このようなディスク101に対して情報の記録、再生を行う情報記録媒体装置となる光ディスク装置301について、図16を参照して説明する。
この光ディスク装置301は、所定の光学系(後述)を搭載したピックアップ302と、ピックアップ302を移動するシークモータやディスク101を回転させるスピンドルモータなどの複数のモータ(図示せず)と、ディスク101をセッティングするローディング(図示せず)などからなる機構系と、各種電気系と、などから構成されている。
ピックアップ302には、レーザー発生器311と、レーザー発生器311の出力するレーザーを各素子に導く周知構成の各種光学部品312と、ディスク101上にレーザーの光スポットを集光させる対物レンズ313と、光スポットを所望の位置に追従させるべく対物レンズ313の位置を制御するアクチュエータ314と、レーザーがディスク101で反射した反射光を受光する分割受光素子(PD)111(前述)と、PD111の出力信号をI/V変換するI/V変換回路316とを備えている。
前述の電気系統は以下のような構成である。すなわち、ディスク101への記録時には、システムコントローラ321が装置外部から記録情報を受け取り、エンコーダ322でディスク101に記録する情報列に符号化、変調などの変換を行なう。レーザー駆動手段323では前記情報列からディスク101に記録するために適切なレーザー発光タイミングや強度を決定し、レーザー発生器311でレーザーを発光させる。
ディスク101への再生時には、レーザー駆動手段323は再生用の強度で安定した発光をさせる。ディスク101からの反射信号は、PD111で光電変換され、その出力がI/V変換回路316で演算が容易な電圧信号に変換される。このPD111とI/V変換回路316は一体化していても良い。その後、周知構成のウォブル信号検出手段324、RF信号325、サーボ信号検出手段326で、それぞれウォブル信号、RF信号、サーボ信号などの信号演算を行なう(ウォブル信号、RF信号などの検出については前述)。なお、PD111の出力(電流)の状態で各種信号演算がなされた後、電圧信号に変換するようにしてもよい。ウォブル信号の検出は独立して記載してあるが、サーボ信号検出手段326の内部信号から生成してもよい。検出されたウォブル信号は復調信号処理手段327に入力される。復調信号処理手段327には、図8、図9を参照して前述した情報検出装置161を備えていて、同期信号やアドレス情報やクロック信号、層情報などが検出される。これらアドレス情報や層情報はシステムコントローラ321やエンコーダ322にてディスク101上の現在位置の取得処理に使用される。また、クロック信号はエンコーダ322やDSP328でも使用され基準信号となる。サーボ信号はサーボ信号検出手段326にて各種演算を行ない、DSP328でレーザーの光スポットの位置と目標位置との誤差からピックアップ302やアクチュエータ314の移動量を演算し、所望の位置に光スポットを追従させるべくシークモータやアクチュエータを動作させる。これにより、ディスク101が、記録層が多層構造である多層記録媒体である場合も、各記録層に光スポットを追従させることができる。また、ウォブル信号から検出されたクロック信号をもとにディスク101の回転速度を検出し、目標速度と比較してモータ駆動手段329によりスピンドルモータ(図示せず)の回転速度を制御する。
ディスク101の再生時には、RF検出手段325によりフィルタを用いて高域信号成分であるRF信号を抽出して2値化する。このRF信号をもとにデコーダにて各種復調、復号化を行ない、再生情報に変換する。RF検出手段325もしくはデコーダ330では、RF信号からクロック成分を抽出して、このクロックを再生系の基準信号とするPLL回路を備えていても良い。再生情報はシステムコントローラ321を通じて外部に転送される。なお、光ディスク装置301のレーザー波長や光学系のパラメータに依存することは無い。
このような光ディスク装置301によれば、記録層が多層構造で各記録層についてデータの記録が可能である多層情報記録媒体であるディスク101に対してもレーザー光を照射して記録層に対する情報の記録、再生を行うことができる。そして、ピックアップ302に用意された前述の光学系によりディスク101に対してもレーザー光を照射して、その反射光からディスク101のトラック104に形成されているウォブルからウォブル信号検出手段324によりウォブル信号を検出することができる。そして、復調信号処理手段327には情報検出装置161を備えているので、前述のように、同期信号、アドレス情報信号、層情報信号を検出することができる。これらの各信号は、システムコントローラ321、エンコーダ322、DSP328に出力されるので、この各信号に基づいて、ディスク101への記録、再生を行なう際の制御が行われる。
光ディスク装置301の情報検出装置161で実行する情報検出方法について整理して説明すると次のようになる。
すなわち、情報検出装置161は、トラック104に情報が変調されたウォブルが形成されているディスク101から、ウォブルに記録されている情報を読み取る。これは、図18に示すように、クロック生成手段121は、ウォブル信号から基準クロック信号を生成し(ステップS11)、第一、第2の復調手段122,123により、この基準クロック信号をもとにウォブル信号からFSK変調情報、PSK変調情報、又は、FSK+PSK変調情報を検出し(ステップS12)、層情報検出手段126は、ディスク101が、記録層が多層構造で各記録層についてデータの記録が可能であるときの記録層の別を示す層情報の位置を示す同期検出手段124のタイミング信号により、ウォブル信号からの検出情報を層情報検出手段126で保持して層情報を検出する(ステップS13)。
この層情報の検出として、FSK+PSK変調情報を検出する場合に、基準クロック信号をもとにウォブル信号からPSK変調情報も検出し、同期検出手段124が出力するアドレス情報位置を示すタイミング信号に応じて、アドレス情報検出手段125でPSK変調情報の出力をアドレス情報検出手段125で保持してアドレス情報を検出することもできる(ステップS13)。
また、層情報の検出として、PSK変調情報を検出する場合に、基準クロック信号をもとにウォブル信号からFSK+PSK変調情報も検出し、同期検出手段124が出力するアドレス情報位置を示すタイミング信号に応じて、アドレス情報検出手段125でFSK+PSK変調情報の出力を保持してアドレス情報を検出することもできる(ステップS13)。
したがって、クロストークに強いFSK変調、PSK変調、又は、FSK+PSK変調でディスク101に層情報を格納し、これを光ディスク装置301の情報検出装置161で検出して、光ディスク装置301でアクセス中の記録層の判断がすばやく正確にできるので、適切に情報の記録、再生を行うことができる。
また、層情報をFSK+PSK変調、アドレス情報をPSK変調し、又は、層情報をPSK変調、アドレス情報をFSK+PSK変調してディスク101を形成し、これらの情報を光ディスク装置301の情報検出装置301で検出するようにすれば、層情報、アドレス情報の特性に合った変調方式をディスク101に採用し、これを効率よく正確に検出することができる。