JP2005084048A - sHSPsを含むタンパク質分解防止用組成物およびこれを用いた2次元ゲル電気泳動法 - Google Patents

sHSPsを含むタンパク質分解防止用組成物およびこれを用いた2次元ゲル電気泳動法 Download PDF

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Abstract

【課題】タンパク質分解防止用組成物を提供し、また、タンパク質の分解を防止し、より多くのスポットを有するゲルを得るための2次元ゲル電気泳動用組成物を提供し、さらに、タンパク質の分解を防止し、より多くのスポットを有するゲルを得る2次元ゲル電気泳動法を提供することを目的とする。
【解決手段】 有効量のsHSPsを含むことを特徴とするタンパク質分解防止用組成物を提供し、また、有効量のsHSPsを含むことを特徴とする2次元ゲル電気泳動用組成物を提供し、さらに、タンパク質の混合物に対する2次元ゲル電気泳動法において、前記タンパク質の混合物に、タンパク質の分解を防止してより多くのスポットを有するゲルを得るためにsHSPsを加えた後、電気泳動を行うことを特徴とする2次元ゲル電気泳動法を提供し、しかも、前記組成物を用いることを特徴とする2次元ゲル電気泳動によるプロテオームの分析方法を提供する。
【選択図】図6

Description

本発明は、sHSPs(small heat shock proteins;微小熱ショックタンパク質)を含むタンパク質分解防止用組成物、および2次元ゲル電気泳動用組成物に関する。また、本発明は、sHSPsを用いることを特徴とする改善された2次元ゲル電気泳動(two-dimensionalgel electrophoresis)法に関する。
ヒト遺伝子に対する塩基配列が決定され、数多くの微生物、下等動物、植物の遺伝子情報が毎日増えつつある中で、次世代における研究の中心に浮び上がっているのが、プロテオミクス(proteomics)である。
このプロテオミクスは、プロテオーム(proteome)を体系的に研究する学問の領域であって、ゲノム(genome)を研究するゲノミクス(genomics)と区別される。プロテオームとは、特定の条件下でゲノムから発現されるタンパク質の種類および量に関する総体的な情報をいう。つまり、プロテオミクスとは、生命現象に係る細胞や組職内の様々なタンパク質を一遍に分析して同定することである。このようなプロテオーム分析は、ゲノム・プロジェクトやDNAの研究では発見できない結果を提供するので、癌、糖尿病、痴呆、心臓および循環系疾患などのような生活習慣病や精神疾患などの診断用試薬や治療剤の開発に対する研究と共に、臓器移植のような分野に応用しようとする研究が進まれている。
現在まで行われているプロテオミクスの研究において、最も広く利用されている核心技術は、2次元ゲル電気泳動法である。該2次元ゲル電気泳動法は、細胞や組職内の総体的なタンパク質を分離し、定量化することのできる最適な方法である。
該2次元ゲル電気泳動法は、タンパク質混合物を各タンパク質の等電点(isoelectric point;pI)に従って一次的に展開し、該展開された試料のそれぞれを、垂直方向に、分子量に従って更に一回分離し、該分離された各タンパク質が平面上に2次元的に分布されるようにする方法である。すなわち、IEF(isoelectric-focusing)法と、SDS−PAGE(sodiumdodecyl sulphate-polyacrylamide gel electrophoresis)法とを順次に用いるものである。
現在、IEFを用いた2次元ゲル(2-dimensional gel:2D−gel)が開発されており、常用化された機器が続々と出現して従来の2次元ゲルの問題点であった再現性を大幅に向上させた(US6,554,991、US 2002157954、US 2002133300、US 6,416,644、US 6,398,932、WO 02/25259、US2001032786、US 2001023826、US 2001015320、US 6,245,206、US 6,136,173、US 6,123,821、US5,993,627、WO 98/59092、WO 02/90966)。また、2次元ゲルで個々のタンパク質を染色し、タンパク質分解酵素で切断するというそれぞれの段階が、自動化機器およびコンピュータを用いることによって多くの試料を簡易に処理できるようになった。
しかし、最初の段階である2次元ゲル電気泳動の自動化は未だに実現されていない。また、2次元ゲル電気泳動の全過程においてタンパク質の損失(loss)があるので、細胞や組職内の複雑なプロテオームの全てを分析することは不可能であるのが現状である。第一の段階で細胞を溶解(lysis)すれば、細胞内のプロテアーゼ(protease)が放出すると同時にタンパク質が分解(degradation)され、全体のタンパク質数が減少してしまう。
そのため、タンパク質の分離過程において、プロテアーゼの攻撃を抑制するための様々な方法が考案されている:(1)試料に、強い変性剤(denaturant)を即時に添加する方法;(2)低温やアルカリ性(pH9以上)の条件下で試料を用意;および(3)プロテアーゼ阻害剤(inhibitor)を使用。前記プロテアーゼ阻害剤として、PMSF(phenylmethyl-sulphonylfluoride)、AEBSF(aminoethyl benzylsufonyl fluoride or PefablocTM SC)、EDTA(ethylenediaminetetraaceticacid)、Benzamidine、TLCK(tosyl lysine chloromethyl ketone)、TPCK(tosylphenylalanine chloromethyl ketone)などが用いられている。しかし、このような方法は、タンパク質の分解(proteolysis)を完全には抑制できず、しかも、タンパク質試料の形態や起源が様々であるので、各々の試料に応じて最適に用意する過程を経験的に決定しなければならない。
一方、sHSPsは、小さい分子量(15〜30kDa)を有するHSPs(heat shock proteins)による熱ショック(heat shock)や、特定タンパク質の過剰産生のようなストレスによって誘導され、タンパク質の変性を防止する役目をする。該sHSPsは、真核生物(eukaryote)から原核生物(prokaryote)に至るまでのすべての生物に、一つ以上存在する。現在まで明らかになっているsHSPsを表1に示す。
該sHSPsは、進化の過程において保存された区域(conserved region)を有するので、互いにほぼ類似した機能を有する。ATP非依存性sHSPsは、熱ショックにより変性されたタンパク質と結合して非可逆的にタンパク質の凝集を防ぐ機能をしながらATP依存性熱ショックタンパク質と共に変性されたタンパク質を正確にリフォールディングさせて、タンパク質を元の状態に戻す。
例えば、大腸菌由来のIbpAとIbpBは、熱あるいは酸化剤によるクエン酸シンターゼの凝集を防いで不活性されないように保護すると報告されている(Kitagawa et al., Eur. J. Biochem., 269:2907-17, 2002)。豆由来のHSP18.1は、熱ストレスの時リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(malatedehydrogenase;MDH), グリセラールアルデヒド−3−燐酸デヒドロゲナーゼ(glyceraldehydes-3-phosphatedehydrogenase;GAPDH)等のようなタンパク質の凝集を防ぐ役割をすると報告されている(Lee et al., EMBO J.,16:659-671, 1997)。ブラヂルビゾビウム ジャポニクム(Bradyrbizobium japonicum)由来のsHSPsは、熱によるクエン酸シンターゼの凝集を防ぐと報告された(Studerand Narberhaus, J. Biol. Chem., 275:37212-37218, 2000)。人間由来のα−クリスタリンは熱ストレスによって変性された目的タンパク質が透析過程で凝集することを防止して目的タンパク質の正確なリフォールディングを手伝うと報告されている(Horwitz,J.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:10449-10453, 1992)。一方、熱に安定な有機体から精製したPfu−sHSPは熱ストレスの時細胞のタンパク質を保護するため、PCRを行う場合、高温でTaqポリメラーゼ(Taqpolymerase)及び他の酵素を安定化されると報告された(WO 01/79250 A1)。また、マウス由来のsHSPs25は診断分析において不安定なタンパク質やペプチドなどを安定化されると報告された(Ehrnsperger etal., Anal. Biochem.,259:218-225, 1998)。しかし、該sHSPsがタンパク質の分解を防止するということはまだ明らかになっていない。
ここで、本発明者らは、2次元ゲル電気泳動の際にタンパク質が分解されることを防止する方法を開発するために鋭意努力した結果、sHSPsが、タンパク質の分解を防止する効果を有することを最初に確認すると共に、該sHSPsを用いて2次元ゲル電気泳動を行うとき、格段に多いタンパク質スポットを有するゲルが得られることを確認し、本発明を完成した。
米国特許第6,554,991 米国特許出願公開番号2002157954 米国特許出願公開番号2002133300 米国特許第6,416,644 米国特許第6,398,932 PCT公開番号WO02/25259 米国特許出願公開番号2001032786 米国特許出願公開番号2001023826 米国特許出願公開番号2001015320 米国特許第6,245,206 米国特許第6,136,173 米国特許第6,123,821 米国特許第5,993,627 PCT公開番号WO98/59092 PCT公開番号WO02/90966 PCT公開番号WO01/79250 Kitagawa et al.,Eur.J.Biochem.,269:297:2907-17,2002 Lee et al.,EMBO J.,16:659-671,1997 Studer and Narberhaus,J.Biol.Chem.,275:37212-18,2000 Horwitz et al.Proc.Natl.Acad.Sci. USA,89:10449-53,1992 Ehrnsperger et al.,Anal.Biochem.,259:218-225,1998 Sambrook et al.,Molecular Cloning,2nd ed.,Cold Spring Harbor LaboratoryPress, NY, 1989 Hochstrasser et al.,Anal. Biochem.,173:424-35,1998;Han etal.,J.Bacteriol.,183:301-8,2001 Bradford,M.M.,Anal. Biochem.72,248-54,1976
結局、本発明の主な目的は、タンパク質分解防止用組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、タンパク質の分解を防止し、より多くのスポットを有するゲルを得るための、2次元ゲル電気泳動用組成物を提供することである。
本発明の更に他の目的は、タンパク質の分解を防止し、より多くのスポットを有するゲルを得る、2次元ゲル電気泳動法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、有効量のsHSPsを含むことを特徴とする、タンパク質分解防止用組成物を提供する。
本発明は、また、有効量のsHSPsを含むことを特徴とする、2次元ゲル電気泳動用組成物を提供する。
本発明は、また、タンパク質の混合物に対する2次元ゲル電気泳動法において、前記タンパク質の混合物に、タンパク質の分解を防止してより多くのスポットを有するゲルを得るためにsHSPsを加えた後、電気泳動を行うことを特徴とする、2次元ゲル電気泳動法を提供する。
本発明は、また、前記組成物を用いることを特徴とする、2次元ゲル電気泳動によるプロテオームの分析方法を提供する。
本発明は、また、プロテアーゼによる目的タンパク質の分解を阻害する阻害剤としてsHSPsを用いる方法を提供する。
本発明において、前記sHSPsは、表1に記載されたタンパク質から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とすることができ、より好ましくは、IbpA(inclusion body-associated protein A)、IbpB、IbpABおよびHSP26でなる群から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とすることができる。
本発明において、2次元ゲル電気泳動法に用いられるタンパク質の混合物は、特定の細胞の全体のタンパク質であることを特徴とすることができ、前記特定の細胞は、原核細胞(prokaryotes)または真核細胞(eukaryotes)であることを特徴とすることができ、前記原核細胞は大腸菌またはシュードモナス(Pseudomonas)属の微生物であることを、前記真核細胞はヒト由来の細胞であることを特徴とすることができる。
本発明において、タンパク質の分解は生体内(in vivo)または試験管内(in vitro)でプロテアーゼ等によってタンパク質のペプチド結合が加水分解されアミノ酸或いはペプチド混合物を生成する化学反応をいう。
本発明において、タンパク質分解防止用として加えられるsHSPsの量は、電気泳動の試料の全体のタンパク質100重量部に対し、好ましくは0.1ないし50重量部であり、より好ましくは0.5ないし20重量部である。0.1以下の重量部である場合、タンパク質分解防止用にしては絶対量が不足であり、20重量部以上の場合は過量のsHSPsによって分離しようとする特定細胞のタンパク質の分離を妨げてしまったり、sHSPsの精製コストの側面から考えると逆効果をもたらしてしまう。
従って、本発明は、以下を提供する:
(項目1) 有効量のsHSPsを含むことを特徴とする、タンパク質分解防止用組成物。
(項目2) 前記sHSPsは、表1に記載されたタンパク質から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする、項目1に記載のタンパク質分解防止用組成物。
(項目3) 前記sHSPsは、IbpA、IbpB、IbpABおよびHSP26でなる群から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする、項目2に記載のタンパク質分解防止用組成物。
(項目4) 有効量のsHSPsを含むことを特徴とする、2次元ゲル電気泳動用組成物。
(項目5) 前記sHSPsは、表1に記載されたタンパク質から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする、項目4に記載の2次元ゲル電気泳動用組成物。
(項目6) 前記sHSPsは、IbpA、IbpB、IbpABおよびHSP26でなる群から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする、項目5に記載の2次元ゲル電気泳動用組成物。
(項目7) タンパク質の混合物に対する2次元ゲル電気泳動法において、前記タンパク質の混合物に、タンパク質の分解を防止してより多くのスポットを有するゲルを得るためにsHSPsを加えた後、電気泳動を行うことを特徴とする、2次元ゲル電気泳動法。
(項目8) 前記sHSPsは、表1に記載されたタンパク質から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする、項目7に記載の2次元ゲル電気泳動法。
(項目9) 前記sHSPsは、大腸菌由来のIbpA、IbpB及びIbpABとシュードモナス由来のIbpA、およびサッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のHSP26でなる群から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする、項目8に記載の2次元ゲル電気泳動法。
(項目10) 前記sHSPsの量は、タンパク質の混合物100重量部に対し、0.1ないし50重量部であることを特徴とする、項目7に記載の2次元ゲル電気泳動法。
(項目11) 前記sHSPsの量は、タンパク質の混合物100重量部に対し、0.5ないし20重量部であることを特徴とする、項目10に記載の2次元ゲル電気泳動法。
(項目12) 前記タンパク質の混合物は特定の細胞の全体タンパク質であることを特徴とする、項目7に記載の2次元ゲル電気泳動法。
(項目13) 前記特定の細胞は、原核細胞または真核細胞であることを特徴とする、項目12に記載の2次元ゲル電気泳動法。
(項目14) 前記特定の細胞は、大腸菌またはシュードモナス(Pseudomonas)属の微生物で真核細胞はヒト由来の細胞であることを特徴とする、項目13に記載の2次元ゲル電気泳動法。
(項目15) 2次元ゲル電気泳動によるプロテオームの分析方法において、項目1〜6のいずれかに記載の組成物を用いることを特徴とする方法。
(項目16) プロテアーゼによる目的タンパク質の分解を阻害する阻害剤としてsHSPsを用いる方法。
(項目17) 項目16に記載の方法であって、、前記sHSPsは、表1に記載されたタンパク質から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする、方法。
本発明は、sHSPsを含むタンパク質分解防止用組成物、および2次元ゲル電気泳動用組成物を提供するという効果がある。また、IbpA、IbpB、IbpAB、およびHSP26のようなsHSPsを用いた2次元ゲル電気泳動法によれば、電気泳動の際にタンパク質スポットが減少することを防止でき、格段に多いタンパク質スポットを含む2次元電気泳動ゲルを得ることができる。
以下、実施例を通じて本発明をより詳しく説明する。これらの実施例は専ら本発明をより具体的に説明するためのもので、本発明の要旨により、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されないとのことは当業者にとっては自明なことであろう。
特に、下記の実施例では、sHSPsとして、大腸菌由来のIbpAまたはIbpB、シュードモナス由来のIbpA、およびサッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のHSP26を例示したが、表1に記載されたsHSPsなども制限なしに適用される。
(実施例1:IbpA、IbpBまたはHSP26遺伝子を含む組換えプラスミドの製造)
大腸菌W3110(ATCC 39936)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)KT2440(ATCC 47054)、およびサッカロマイセス・セレヴィシエの染色体DNAを、Sambrookらの方法により分離精製した(Sambrooket al.Molecular Cloning,2nd ed,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY,1989)。
大腸菌W3110、シュードモナス・プチダKT2440、およびサッカロマイセス・セレヴィシエのそれぞれを500mLのLB培地(Luria−Bertanimedium)で24時間培養した。それぞれの菌株が初期の指数関数的増殖期であるとき、遠心分離によって菌体を回収した後、10mg/mLリゾチーム(Sigma Co.,USA)の含まれているTE溶液(10mM Tris,1mM EDTA;pH7.6)50mLに懸濁させた。前記菌株の懸濁液を24時間にかけて徐々に撹拌しながら常温で培養した。
菌株の破砕およびタンパク質除去のために、前記培養液に、10%SDS(sodium dodecyl sulfate)溶液16mLと、20mg/mLプロテイナーゼK(Sigma Co.,USA)570μLとを加え、37℃で1時間反応させた。
次いで、5M塩化ナトリウム溶液14mLと、0.7M塩化ナトリウム溶液に溶解されている10%CTAB(cetyltrimethylammoniumbromide)(Sigma Co.,USA)10.66mLとを加えた後、65℃で10分間反応させた。その後、前記反応液と同じ体積のクロロホルム:イソアミルアルコール=24:1の混合液を加え、常温で2時間にかけて注意しながら混合した。前記混合液を6000rpmで10分間遠心分離し、上清液をビーカに移し、2倍量の冷却エタノールをゆっくり加えて染色体DNAを沈澱させた後、ガラス棒でDNAを巻き上げた。前記ガラス棒を自然乾燥させてエタノールを取り除いた後、1mLのTE溶液にDNAを溶解させた。
前記DNA溶液に、RNase(Sigma Co.,USA)を最終濃度が50μg/mLになるように加えた後、37℃で1時間反応させた。反応の完了後、再び前記反応液と同じ体積のクロロホルム:イソアミルアルコール=24:1の混合液を加え、常温で2時間にかけて注意しながら混合した。
前記混合液を6000rpmで10分間遠心分離し、上清液をビーカに移し、2倍量の冷却エタノールをゆっくり加えて染色体DNAを沈澱させた後、ガラス棒でDNAを巻き上げた。前記ガラス棒を自然乾燥させてエタノールを取り除いた後、最終的に、1mLのTE溶液に、精製された大腸菌W3110、シュードモナス・プチダKT2440、およびサッカロマイセス・セレヴィシエの染色体DNAを溶解させた。
IbpA、IbpBまたはHSP26タンパク質の発現および精製を容易にするために、組換えプラスミドである、pTac99IbpAH、pTac99IbpBH、pTac99PPIbpAH、およびpTac99HSP26Hを作製した。
大腸菌W3110の染色体DNAを鋳型とし、それぞれ配列番号1と2、および配列番号3と4のプライマーを用いてPCRを行い、大腸菌由来のIbpA−6hisおよびIbpB−6his遺伝子を得た。
また、シュードモナス・プチダKT2440の染色体DNAを鋳型とし、配列番号5と6のプライマーを用いてPCRを行い、シュードモナス由来のppIbpA−6his遺伝子を得た。シュードモナス・プチダKT2440のゲノムでは、IbpB遺伝子に対してまだ明らかになっていない。
サッカロマイセス・セレヴィシエの染色体DNAを鋳型とし、配列番号7と8のプライマーを用いてPCRを行い、サッカロマイセス・セレヴィシエ由来のHSP26−6his遺伝子を得た。
PCRにおいて、第1番目の変性(denaturation)は95℃で5分間1回行い、以降の第2番目の変性は95℃で50秒間、アニーリング(annealing)は55℃で1分間、伸長(extension)は72℃で1分30秒間行った。これを30回繰り返した後、72℃で5分間、最後の伸長を1回行った。
得られたIbpA−6his、IbpB−6his、ppIbpA−6hisおよびHSP26−6his遺伝子をそれぞれ、EcoRIおよびHindIIIによって切断された組換えプラスミドであるpTac99Aに挿入し、プラスミドpTac99IbpAH、pTac99IbpBH、pTac99PPIbpAHおよびpTac99HSP26Hをそれぞれ作製した(図1、図2、図3、および図4)。
前記組換えプラスミドであるpTac99Aは、pTrc99A(Pharmacia Biotech.,UPPsala,Sweden)のtrcプロモータがpKK223−3(PharmaciaBiotech.,UPPsala,Sweden)のtacプロモータに置き換えられたプラスミドであって、pKK223−3のtacプロモータを制限酵素PvuIIおよびEcoRIで処理して得た後、tacプロモータ遺伝子の切片を同じ制限酵素によって切断されたpTrc99Aに挿入することにより作製した。
配列番号1:5’-ggaattcatgcgtaactttgatttatccccg-3’
配列番号2:5’-cccaagcttttaatggtgatgatggtgatggttgatttcgatacggcgcgg-3’
配列番号3:5’-ggaattcatgcgtaacttcgatttatccccactg-3’
配列番号4:5’-cccaagcttttaatggtgatgatggtgatggctatttaacgcgggacgttcgct-3’
配列番号5:5’-ggaattcatgaccatgactactgctttc-3’
配列番号6:5’-cccaagcttttaatggtgatgatggtgatggttcagcgctggttttt-3’
配列番号7:5’-ggaattcatgtcatttaacagtccatttt-3’
配列番号8:5’-cccaagcttttaatggtgatgatggtgatggttaccccacgattcttgaga-3’。
(実施例2:IbpA、IbpB、およびHSP26タンパク質の精製)
前記実施例1によって製作されたIbpA、IbpB、またはHSP26タンパク質をコードする遺伝子を含む組換えプラスミドである、pTac99IbpAH、pTac99IbpBH、pTac99PPIbpAHまたはpTac99HSP26Hによって形質転換された組換え大腸菌XL1−Blue(Stratagene,USA)を、抗生剤であるアンピシリン(50mg/L)の添加されたLB培地(酵母抽出物5g/L,トリプトファン10g/L,塩化ナトリウム10g/L)で培養した。
IbpA、IbpB、およびHSP26タンパク質の発現は、培養液を分光光度計(波長:600nm)で測定して光学密度(O.D.)が0.7であるとき、培養液に1mMのIPTG(isopropyl-β-thiogalactoside)を加えることにより誘導した。誘導発現の後、4時間経過してから培養液を1mLずつとり、4℃、6000rpmで5分間遠心分離し、得られた沈殿物を0.5mLのTE溶液(Tris−HCl10mM,EDTA 1mM,pH8.0)で1回洗浄した後、再び4℃、6000rpmで5分間遠心分離し、沈殿物を得た。前記得られた沈殿物を0.2mLの平衡溶液(尿素8M,NaHPO100mM,Tris 10mM,pH8.0)に懸濁させ、超音波で破砕して分画した。
前記懸濁溶液を、4℃、10000rpmで10分間遠心分離し、上清液をとり、あらかじめ平衡溶液によって平衡化されたNi−NTAspin column(Qiagen,USA)に通過させた後、2000rpmで2分間遠心分離した。600μlの洗浄溶液(尿素 8M、NaHPO100mM、Tris10mM,pH6.3)をカラムに2回通過させ、200μlの溶離溶液(尿素 8M、NaHPO100mM、Tris 10mM,pH4.5)をカラムに注入し、IbpA、IbpB、およびHSP26タンパク質を精製した。
以上で精製されたIbpA、IbpB、およびHSP26タンパク質を含有した溶液を200μlずつとり、SDS−PAGEサンプル溶液(25%グリセロール,2%SDS,14.4mMの2−メルカプトエタノール,0.1%ブロモフェノールブルー,60mM Tris−HCl)50μlと混合し、10分間沸騰させた後、これを12%の分離用ゲル(separatinggel)でSDS−PAGEを行った。次いで、ゲルを染色溶液(メタノール40%,酢酸10%、0.25g/L クーマシーブリリアントブルーR)に2時間以上浸漬して染色させ、再び脱色溶液(40%メタノール、7%酢酸)に2時間以上、2回にかけて浸漬して脱色させた(図5)。
図5は、それぞれの組換えプラスミドである、pTac99IbpAH、pTac99IbpBH、pTac99PPIbpAHまたはpTac99HSP26Hによって形質転換された組換え大腸菌XL1−Blueから発現されたIbpA、IbpBおよびHSP26タンパク質を精製した後の電気泳動写真である。(A)において、レーンMはタンパク質の標準分子量を示し、レーン1および2は精製されたIbpAを、レーン3および4は精製されたIbpBを、レーン5は精製されたPPIbpAを示す。(B)において、レーンMはタンパク質の標準分子量を示し、レーン1ないし3は精製されたHSP26を示す。図5に示すように、精製されたIbpA、IbpB、およびHSP26タンパク質の純度は、ほぼ100%であることが分かった。
(実施例3:目的タンパク質を分離・精製する際のsHSPsの効果)
目的タンパク質は細胞の溶解溶液(lysis solution)の中でプロテアーゼに攻撃されやすいから損失が多かった。本発明では同量の目的タンパク質のヒト血清アルブミンを溶解溶液に希釈した後2時間常温で多様な濃度のトリプシンと共に反応させた。プロテアーゼの濃度は基質(目的タンパク質)に対して0,1/10、1/20、1/30または1/50で変化させた。sHSPsは大腸菌由来のIbpAおよびIbpB、サッカロマイセス・セレヴィシエ由来のHSP26を使用した(図6)。
図6は同じ濃度のヒト血清アルブミンが添加された溶液でsHSPsのプロテアーゼ阻害効果を示す電気泳動写真であって、(A)はsHSPsが添加されてない対照群溶液であって、レーンMはタンパク質標準分子量を示し、レーン1は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンだけを添加した溶解溶液、レーン2は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.05μg/μlのトリプシンが添加された溶液、レーン3は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.125μg/μlのトリプシンが添加された溶液、レーン4は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.017μg/μlのトリプシンが添加された溶液、レーン5は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.01μg/μlのトリプシンが添加された溶液を示す。(B)はIbpAが添加された溶液を示し、(C)はIbpBが添加された溶液を示し、(D)はHSP26が添加された溶液を示す。レーンMはタンパク質標準分子量を示す。(B),(C)および(D)において、レーン1は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.005μg/μl sHSPだけを添加した溶解溶液、レーン2は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.05μg/μlのトリプシンと0.005μg/μlのsHSPが添加された溶液、レーン3は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.125μg/μlのトリプシンと0.005μg/μlのsHSPが添加された溶液、レーン4は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.017μg/μlのトリプシンと0.005μg/μlのsHSPが添加された溶液、レーン5は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.01μg/μlのトリプシンと0.005μg/μlのsHSPが添加された溶液を示して、(E)は種々のプロテアーゼ阻害剤が添加された溶解溶液であって、レーンMはタンパク質標準分子量を示し、レーン1は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンだけを添加した溶解溶液、レーン2は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.05μg/μlのトリプシンが添加されている溶液、レーン3は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.025μg/μlのトリプシンが添加されている溶液、レーン4は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.05μg/μlのトリプシンと1mMのPMSFが添加されている溶液、レーン5は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.025μg/μlのトリプシンと1mMのPMSFが添加されている溶液、レーン6は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.05μg/μlのトリプシンと4mMのペファブロクSC(PefablocSC)が添加されている溶液、レーン7は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.025μg/μlのトリプシンと4mMのペファブロクSC(Pefabloc SC)が添加されている溶液、レーン8は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.05μg/μlのトリプシンとカクテル阻害剤(7ml/tablet)が添加されている溶液、レーン9は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.025μg/μlのトリプシンとカクテル阻害剤(7ml/tablet)が添加されている溶液、レーン10は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.05μg/μlのトリプシンと1mMのEDTAが添加されている溶液、レーン11は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.025μg/μlのトリプシンと1mMのEDTAが添加されている溶液を示す。矢印はヒト血清アルブミンを示す。
図6に示すように、sHSPが添加された溶液では目的タンパク質であるヒト血清アルブミンの殆んどが分解されなかった反面、対照群ではプロテアーゼの攻撃によってヒト血清アルブミンの殆んどが分解された。図6の(A)、(B)、(C)および(D)のレーン2を比較するとヒト血清アルブミンが分解されやすいことを観察できる。しかし、少量のsHSPsを添加すればヒト血清アルブミンはほぼ分解されなかった。また、図6(B)から(D)までのレーン2およびレーン3と図6(E)のレーン4ないしレーン11を比較すると、一般的に使用されるプロテアーゼ阻害剤よりsHSPsのほうがずっと効果的にプロテアーゼによる目的タンパク質の分解を防止した。
本発明では他のプロテアーゼであるプロテイナーゼKで上記と同じ実験を行った。同じ濃度の目的タンパク質であるヒト血清アルブミンを溶解溶液に希釈した後2時間の間常温で多様な濃度のプロテイナーゼKと共に反応させた。プロテアーゼの濃度は基質(目的タンパク質)に対して0,1/300、1/1000、1/3000または1/10000で変化させた。sHSPsは大腸菌由来のIbpAおよびIbpB、サッカロマイセス・セレヴィシエ由来のHSP26を使用した(図7)。
図7は、同じ濃度のヒト血清アルブミンが添加された溶解溶液でsHSPsによるプロテアーゼ抑制効果を示す電気泳動写真である。(A)は、対照群でsHSPsが添加されてない溶解溶液であって、レーンMはタンパク質標準分子量を示し、レーン1は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンだけを添加した溶解溶液、レーン2は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに1.5×10−3μg/μlのプロテイナーゼKが添加された溶液、レーン3は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.5×10−3μg/μlのプロテイナーゼKが添加された溶液、レーン4は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに1.5×10−4μg/μlのプロテイナーゼKが添加された溶液、レーン5は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.5×10−4μg/μlのプロテイナーゼKが添加された溶液を示す。(B)はIbpAが添加された溶液を示し、(C)はIbpBが添加された溶液を示し、(D)はHSP26が添加された溶液を示す。(B),(C)および(D)において、レーンMはタンパク質標準分子量を示し、レーン1は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.005μg/μlのsHSPだけを添加した溶解溶液、レーン2は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに1.5×10−3μg/μlのプロテイナーゼKと0.005μg/μlのsHSPが添加された溶液、レーン3は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.5×10−3μg/μlのプロテイナーゼKと0.005μg/μlのsHSPが添加された溶液、レーン4は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに1.5×10−4μg/μlのプロテイナーゼKと0.005μg/μlのsHSPが添加された溶液、レーン5は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.5×10−4μg/μlのプロテイナーゼKと0.005μg/μlのsHSPが添加された溶液を示す。(E)は様々なプロテアーゼ阻害剤が添加された溶解溶液であって、レーンMはタンパク質標準分子量を示し、レーン1は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンだけを添加した溶解溶液、レーン2は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.5×10−3μg/μlのプロテイナーゼKと4mMのペファブロクSC(PefablocSC)添加されている溶液、レーン3は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに1.5×10−4μg/μlのプロテイナーゼKと4mMのペフアブロクSC(PefablocSC)添加されている溶液、レーン4は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.5×10−3μg/μlのプロテイナーゼKとカクテル阻害剤(7ml/tablet)が添加されている溶液、レーン5は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに1.5×10−4μg/μlのプロテイナーゼKとカクテル阻害剤(7ml/tablet)が添加されている溶液、レーン6は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.5×10−3μg/μlのプロテイナーゼKと1mMのEDTAが添加されている溶液、レーン7は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに1.5×10−4μg/μlのプロテイナーゼKと1mMのEDTAが添加されている溶液を示す。矢印はヒト血清アルブミンを示す。
図7に示すように、sHSPが添加された溶液では目的タンパク質であるヒト血清アルブミンの殆んどが分解されなかった反面、対照群ではプロテアーゼの攻撃によってヒト血清アルブミンの殆んどが分解された。図7(A)、(B)、(C)および(D)のレーン3と4を比較するとヒト血清アルブミンがほとんど完全に分解されることが観察できる。しかし、少量のsHSPsを添加すればヒト血清アルブミンはほぼ分解されなかった。また、図7の(B)から(D)までのレーン3と(E)のレーン2、レーン4、およびレーン6を比較すれば、一般的に使用されているプロテアーゼ阻害剤よりsHSPsのほうがずっと効果的にプロテアーゼの攻撃を防止した。
(実施例4:プロテオーム研究のための2次元ゲル電気泳動の際の細胞内におけるIbpAおよび/またはIbpBの効果)
既存のIbpAおよび/またはIbpB発現プラスミドである、pACTacIbpA、pACTacIbpBまたはpACTacIbpABと、対照群のプラスミドp184△Cmとを、IbpAB遺伝子の除去された突然変異大腸菌WIB101(PCT/KR03/01371)にそれぞれ導入した後、前記実施例2と同様の方法で細胞培養を行った。IbpAおよび/またはIbpBタンパク質の発現は培養液を分光光度計(波長:600nm)で測定した光学密度(O.D.)が0.7であるとき、1mMのIPTGを添加して誘導した。誘導発現の後、4時間経過してから培養液を1mLずつとり、4℃、6000rpmで5分間遠心分離して沈殿物を得た後、−20℃で保管した。
それぞれの形質変換された大腸菌に対する2次元ゲル電気泳動を下記のような方法で行った。2次元ゲル電気泳動法は、2次元空間に、タンパク質の固有の特性である分子量および電荷量の差を利用し、細胞内の全体のタンパク質を展開する方法である(Hochstrasser et al.,Anal. Biochem.,173:424-35,1988;Han et al.,J.Bacteriol.183:301-8,2001)。
本実施例においては、PROTEAN IEF cellおよびPROTEANII xi cell(Bio-Rad Laboratories Inc.,Herculules,CA)を用い、2次元ゲル電気泳動を行った。
2次元ゲル電気泳動のための試料は、次のように処理して用意した。細胞培養液を4℃、6000rpmで5分間遠心分離した後、上清液を捨て、500μlの低塩緩衝溶液(KCl3mM、KHPO 1.5mM、NaCl 68mM、NaHPO9mM)で沈殿物中の残存の培地を洗浄した。前記沈殿物を100μl細胞溶解溶液(cell lysis buffer;尿素 8M,CHAPS 4%(w/v),DTT65mM、Tris 40mM)に懸濁させた後、4℃、12000rpmで10分間遠心分離し、全体のタンパク質を得た。
タンパク質はBradford法(Bradford, M.M.,Anal.Biochem.72,248-254,1976)を用いて定量した。タンパク質200μgをIEF変性溶液(尿素8M、CHAPS 0.5%(w/v)、DTT 10mM、Bio−lyte pH3〜10 0.2%(w/v)、ブロモフェノールブルー 0.001%(w/v))340μlに溶かした後、17cmReadyStripTM IPG Strips pH 3〜10(Bio-Rad Laboratories Inc.,Herculules,CA)に入れ、20℃で12時間水和させた後、等電点電気泳動法(isoelectricfocusing)を行った。
その後、ストリップ(strip)を平衡緩衝溶液I(尿素 6M、SDS 2%(w/v)、Tris−HCl(pH8.8)0.375M、グリセロール 20%(v/v)、DTT130mM)に約15分間振盪させながら浸した後、再び平衡緩衝溶液II(尿素 6M、SDS 2%(w/v)、Tris−HCl(pH8.8)0.375M、グリセロール20%(v/v)、ヨードアセトアミド 135mM、ブロモフェノールブルー 3.5M)に約15分間振盪させながら浸漬した後、ストリップをSDS−PAGEゲルにのせて分子量による分離を行った。
タンパク質は銀染色キット(silver staining kit;Amersham Biosciences,Uppsala,Sweden)で染色し、2次元ゲルはGS710Calibrated Imaging Densitometer(Bio-Rad Laboratories Inc.,Herculules,CA)でスキャンし、MelanieII(Bio-RadLaboratories Inc.,Herculules,CA)のソフトウェアでゲル上のタンパク質のスポット数(spot number)を測定した(図8)。
図8は、過量のIbpAおよび/またはIbpBが発現される形質転換された大腸菌WIB101の2次元ゲル電気泳動写真であって、(A)は大腸菌WIB101(p184△Cm)を、(B)は大腸菌WIB101(pACTacIbpA)を、(C)は大腸菌WIB101(pACTacIbpB)を、(D)は大腸菌WIB101(pACTacIbpAB)をそれぞれ示す。また、2次元ゲル上に示した円は、IbpAおよび/またはIbpBタンパク質を示す。
図8に示すように、対照群である大腸菌WIB101(p184△Cm)よりIbpAおよび/またはIbpBタンパク質が過量に発現される、形質転換された大腸菌WIB101(pACTacIbpA)、WIB101(pACTacIbpB)またはWIB101(pACTacIbpAB)において、格段に多くのタンパク質スポットを有する2次元ゲルを得ることができた。
(実施例5:大腸菌W3110の2次元ゲル電気泳動の際のIbpA、IbpB、およびHSP26の効果)
前記実施例4と同様の方法で大腸菌W3110に対する2次元ゲル電気泳動を行った。まず、精製されたIbpAまたはIbpBタンパク質10μgに対する純度を確認するために、2次元ゲル電気泳動を行った(図9)。
図9は、精製されたIbpAおよびIbpBタンパク質の2次元ゲル電気泳動写真であって、(A)はIbpAを示し、(B)はIbpBを示す。図9に示すように、2次元ゲル電気泳動の結果、IbpAおよびIbpBタンパク質以外の他のタンパク質はほとんど存在していなかった。したがって、IbpAおよびIbpBの純度は、ほぼ100%であることが分かった。
sHSPsの効果を確認するために、定量化された大腸菌W3110タンパク質200μgにIbpA、IbpB、およびHSP26タンパク質をそれぞれ10μg加え、2次元ゲル電気泳動を行った。また、sHSPとタンパク質の分解を抑制するために一般的に使用されるプロテアーゼ阻害剤の効果を比較するため電気泳動を行った(図10)。対照群として、定量化された大腸菌W3110タンパク質200μgを用いた。
図10は、試験管内(in vitro)において、IbpA、IbpBまたはHSP26が添加された大腸菌W3110の2次元ゲル電気泳動写真であって、(A)は対照群として大腸菌W3110を、(B)は大腸菌W3110に1mMのPMSFを添加した溶液、(C)は大腸菌W3110に4mMのAEBSF(PefablocSC)を添加した溶液、(D)は大腸菌W3110に1mMのEDTAを添加した溶液、(E)は大腸菌W3110にカクテル阻害剤(7ml/tablet)を添加した溶液、(F)は大腸菌W3110に10μgのIbpAを添加した溶液、(G)は大腸菌W3110に10μgのIbpBを添加した溶液、(H)は大腸菌W3110に10μgのシュードモナス由来IbpAを添加した溶液、(I)は大腸菌W3110に10μgのサッカロマイセス・セレヴィシエ由来HSP26を添加した溶液を示す。
図10−1〜3に示すように、大腸菌の溶解溶液に対したプロテアーゼ阻害能力はsHSPs>カクテル阻害剤>AEBSF>EDTA>PMSFの順序だった。PMSFは溶液の中で早く不活性化されるし、DDTまたは2−メルカプトエタノールのようなチオール剤の存在時に効果が減少するため、2次元ゲル電気泳動には適切ではなかった。カクテル阻害剤またはAEBSFは大腸菌の2次元電気泳動に普通用いられるプロテアーゼ阻害剤で、プロテアーゼ阻害剤は目的タンパク質の性質によっての選択するものである。一方、IbpA、IbpBまたはHSP26を用いた2次元電気泳動ゲルには既存の方法より多いタンパク質のスポットが観察された。
図11は、sHSPsを使用した電気泳動ゲルの結果を比較するため、ゲルの小さい面積を拡大した写真である。(A)は対照群として大腸菌W3110を、(B)は大腸菌W3110にカクテル阻害剤(7ml/tablet)を添加した溶液、(C)は大腸菌W3110に10μgのIbpAを添加した溶液、(D)は大腸菌W3110に10μgのサッカロマイセス・セレヴィシエ由来HSP26を添加した溶液を示す。
図11に示すように、sHSPsを添加した2次元ゲルは、sHSPsを添加しなかった2次元ゲルよりタンパク質スポットの数が多くて、遥かにきれいだった。これはsHSPsを添加したゲルが定量的と定性的に向上したタンパク質スポットを持っていることである。また、sHSPsは高い分子量及び小さい分子量を持つタンパク質の損失を防止した。
市販されているプロテアーゼ阻害剤とsHSPsの2次元電気泳動間のプロテアーゼ阻害能力を比較するとsHSPsは次のような長所がある。一番は阻害能力がもっと高いことである。タンパク質の分解を減少させて、全ての種類の試料に対して最大数のタンパク質スポットを見せられる。二番目は市販されているプロテアーゼ阻害剤よりずっと経済的である。三番目は添加されたsHSPsの量を標準タンパク質として用いてタンパク質試料を定量することができる。sHSPsは植物抽出物、膵臓、胃、肝臓、脾臓などの動物器官及び液胞、リソゾムなどの小器官を含む試料などのプロテアーゼが多い試料を使用する場合有用である。また、sHSPsはタンパク質を精製する場合にも新たなプロテアーゼ阻害剤として使用することができる。
(実施例6:シュードモナスの2次元ゲル電気泳動の際のIbpAの効果)
前記実施例4と同様の方法でシュードモナス・プチダKT2440に対する2次元ゲル電気泳動を行った。IbpA効果を確認するために、定量化されたシュードモナス・プチダKT2440タンパク質200μgにIbpAタンパク質10μgを加え、2次元ゲル電気泳動を行った(図12)。対照群として、定量化されたシュードモナス・プチダKT2440タンパク質200μgを用いた。
図12は、シュードモナス・プチダKT2440に対する2次元ゲル電気泳動写真であって、(A)はシュードモナス・プチダKT2440を、(B)はシュードモナス・プチダKT2440にIbpAタンパク質10μgを添加した場合を示す。図12に示すように、IbpAタンパク質が加えられた2次元ゲル電気泳動写真では格段に多いタンパク質スポットが現われることを確認することができた。
(実施例7:ヒト血清(Human serum)の2次元ゲル電気泳動の際のIbpAの効果)
前記実施例4と同様の方法でヒト由来の血清に対する2次元ゲル電気泳動を行った。IbpAおよびIbpBの効果を確認するために、定量化されたヒト由来の血清タンパク質200μgにIbpAタンパク質およびIbpBタンパク質を各々10μgを添加し、2次元ゲル電気泳動を行った。対照群として、定量化されたヒト由来の血清タンパク質200μgを用いた(図13)。
図13は、ヒト由来の血清に対する2次元ゲル電気泳動写真であって、(A)はヒト由来の血清を、(B)はヒト由来の血清にIbpAタンパク質10μgを添加した場合を、(C)はヒト由来の血清にIbpBタンパク質10μgを添加した場合を示す。図13に示すように、IbpAタンパク質およびIbpBタンパク質の加えられた2次元ゲル電気泳動写真では、格段に多いタンパク質スポットが現われていることを確認することができた。
本発明のIbpA、IbpB、IbpAB、およびHSP26のようなsHSPsを用いた2次元ゲル電気泳動法によれば、電気泳動の際にタンパク質スポットが減少することを防止でき、格段に多いタンパク質スポットを含む2次元電気泳動ゲルを得ることができる。よって、本発明は、細胞内タンパク質の研究における效率の改善に画期的に寄与できる。
図1は、プラスミドpTac99IbpAHの遺伝子地図である。 図2は、プラスミドpTac99IbpBHの遺伝子地図である。 図3は、プラスミドpTac99PPIbpAHの遺伝子地図である。 図4は、プラスミドpTac99HSP26Hの遺伝子地図である。 図5は、それぞれの組換えプラスミドである、pTac99IbpAH、pTac99IbpBH、pTac99PPIbpAHまたはpTac99HSP26Hによって形質転換された組換え大腸菌XL1−Blueから発現されたIbpA、IbpB、またはHSP26タンパク質を精製した後の電気泳動写真である。(A)において、レーンMはタンパク質の標準分子量を示し、レーン1および2は精製されたIbpAを、レーン3および4は精製されたIbpBを、レーン5は精製されたPPIbpAを示す。(B)において、レーンMはタンパク質の標準分子量を示し、レーン1ないし3は精製されたHSP26を示す。 図6は、同じ濃度のヒト血清アルブミンが添加された溶液でsHSPsのプロテアーゼ阻害効果を示す電気泳動写真であって、(A)はsHSPsが添加されてない対照群溶液であって、レーンMはタンパク質標準分子量を示し、レーン1は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンだけを添加した溶解溶液、レーン2は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.05μg/μlのトリプシンが添加された溶液、レーン3は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.125μg/μlのトリプシンが添加された溶液、レーン4は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.017μg/μlのトリプシンが添加された溶液、レーン5は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.01μg/μlのトリプシンが添加された溶液を示す。(B)はIbpAが添加された溶液を示す。(C)はIbpBが添加された溶液を示す。(D)はHSP26が添加された溶液を示す。レーンMはタンパク質標準分子量を示す。(B),(C)および(D)において、レーン1は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.005μg/μl sHSPだけを添加した溶解溶液、レーン2は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.05μg/μlのトリプシンと0.005μg/μlのsHSPが添加された溶液、レーン3は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.125μg/μlのトリプシンと0.005μg/μlのsHSPが添加された溶液、レーン4は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.017μg/μlのトリプシンと0.005μg/μlのsHSPが添加された溶液、レーン5は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.01μg/μlのトリプシンと0.005μg/μlのsHSPが添加された溶液を示し、(E)は種々のプロテアーゼ阻害剤が添加された溶解溶液であって、レーンMはタンパク質標準分子量を示し、レーン1は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンだけを添加した溶解溶液、レーン2は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.05μg/μlのトリプシンが添加されている溶液、レーン3は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.025μg/μlのトリプシンが添加されている溶液、レーン4は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.05μg/μlのトリプシンと1mMのPMSFが添加されている溶液、レーン5は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.025μg/μlのトリプシンと1mMのPMSFが添加されている溶液、レーン6は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.05μg/μlのトリプシンと4mMのペファブロクSC(Pefabloc SC)が添加されている溶液、レーン7は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.025μg/μlのトリプシンと4mMのペファブロクSC(Pefabloc SC)が添加されている溶液、レーン8は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.05μg/μlのトリプシンとカクテル阻害剤(7ml/tablet)が添加されている溶液、レーン9は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.025μg/μlのトリプシンとカクテル阻害剤(7ml/tablet)が添加されている溶液、レーン10は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.05μg/μlのトリプシンと1mMの EDTAが添加されている溶液、レーン11は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.025μg/μlのトリプシンと1mMの EDTAが添加されている溶液を示す。矢印はヒト血清アルブミンを示す。 図7は、同じ濃度のヒト血清アルブミンが添加された溶解溶液でsHSPsによるプロテアーゼ抑制効果を示す電気泳動写真である。(A)は対照群でsHSPsが添加されてない溶解溶液であって、レーンMはタンパク質標準分子量を示し、レーン1は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンだけを添加した溶解溶液、レーン2は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに1.5×10−3μg/μlのプロテイナーゼKが添加された溶液、レーン3は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.5×10−3μg/μlのプロテイナーゼKが添加された溶液、レーン4は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに1.5×10−4μg/μlのプロテイナーゼKが添加された溶液、レーン5は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.5×10−4μg/μlのプロテイナーゼKが添加された溶液を示す。(B)はIbpAが添加された溶液を示して、(C)はIbpBが添加された溶液を示して、(D)はHSP26が添加された溶液を示す。(B),(C)および(D)において、レーンMはタンパク質標準分子量を示し、レーン1は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.005μg/μlのsHSPだけを添加した溶解溶液、レーン2は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに1.5×10−3μg/μlのプロテイナーゼKと0.005μg/μlの sHSP が添加された溶液、レーン3は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.5×10−3μg/μlのプロテイナーゼKと0.005μg/μlのsHSPが添加された溶液、レーン4は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに1.5×10−4μg/μlのプロテイナーゼKと0.005μg/μlのsHSPが添加された溶液、 レーン5は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.5×10−4μg/μlのプロテイナーゼKと0.005μg/μlの sHSPが添加された溶液を示す。(E)は様々なプロテアーゼ阻害剤が添加された溶解溶液であって、レーンMはタンパク質標準分子量を示し、レーン1は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンだけを添加した溶解溶液、レーン2は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.5×10−3μg/μlのプロテイナーゼKと4mMのペファブロクSC(Pefabloc SC)添加されている溶液、レーン3は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに1.5×10−4μg/μlのプロテイナーゼKと4mMのペフアブロクSC(Pefabloc SC)添加されている溶液、レーン4は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.5×10−3μg/μlのプロテイナーゼKとカクテル阻害剤(7ml/tablet)が添加されている溶液、レーン5は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに1.5×10−4μg/μlのプロテイナーゼKとカクテル阻害剤(7ml/tablet)が添加されている溶液、レーン6は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに0.5×10−3μg/μlのプロテイナーゼKと1mMの EDTAが添加されている溶液、レーン7は0.5μg/μlのヒト血清アルブミンに1.5×10−4μg/μlのプロテイナーゼKと1mMの EDTAが添加されている溶液を示す。矢印はヒト血清アルブミンを示す。 図8は、IbpA及び/またはIbpBが過発現された大腸菌W3110の2次元ゲル電気泳動写真であって、(A)は大腸菌WIB101(p184△Cm)を、(B)は大腸菌WIB101(pACTacIbpA)を、(C)は大腸菌WIB101(pACTacIbpB)を、(D)は大腸菌WIB101(pACTacIbpAB)を示す。 図9は、精製されたIbpA及びIbpBタンパク質の2次元ゲル電気泳動写真であって、(A)はIbpAタンパク質を、(B)はIbpBタンパク質を示す。 図10−1は、試験管内(in vitro)において、IbpA、IbpBまたはHSP26が添加された大腸菌W3110の2次元ゲル電気泳動写真であって、(A)は対照群として大腸菌W3110を、(B)は大腸菌W3110に1mMのPMSFFを添加した溶液、(C)は大腸菌W3110に4mMのAEBSF(PefablocSC)を添加した溶液、(D)は大腸菌W3110に1mMのEDTAを添加した溶液を示す。 図10−2は、図10−1の続きであって、(E)は大腸菌W3110にカクテル阻害剤(7ml/tablet)を添加した溶液、(F)は大腸菌W3110に10μgのIbpAを添加した溶液、(G)は大腸菌W3110に10μgのIbpBを添加した溶液、(H)は大腸菌W3110に10μgのシュードモナス由来IbpAを添加した溶液を示す。 図10−3は、図10−2のさらに続きであって、(I)は大腸菌W3110に10μgのサッカロマイセス・セレヴィシエ由来HSP26を添加した溶液を示す。 sHSPsを使用した電気泳動ゲルの結果を比較するため、ゲルの小さい面積を拡大した写真である。(A)は対照群として大腸菌W3110を、(B)は大腸菌W3110にカクテル阻害剤(7ml/tablet)を添加した溶液、(C)は大腸菌W3110に10μgのIbpAを添加した溶液、(D)は大腸菌W3110に10μgのサッカロマイセス・セレヴィシエ由来HSP26を添加した溶液を示す。 対照群およびsHSPsによるシュードモナス・プチダKT2440の2次元ゲル電気泳動写真であって、(A)はシュードモナス・プチダKT2440を、(B)はシュードモナス・プチダKT2440にIbpAタンパク質10μgを添加した場合を示す。 試験管内において、対照群およびsHSPsによるヒト血清の2次元ゲル電気泳動写真であって、(A)はヒト由来の血清を、(B)はヒト由来の血清にIbpAタンパク質10μgを添加した場合を(C)はヒト由来の血清にIbpBタンパク質10μgを添加した場合を示す。

Claims (17)

  1. 有効量のsHSPsを含むことを特徴とする、タンパク質分解防止用組成物。
  2. 前記sHSPsは、表1に記載されたタンパク質から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載のタンパク質分解防止用組成物。
  3. 前記sHSPsは、IbpA、IbpB、IbpABおよびHSP26でなる群から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項2に記載のタンパク質分解防止用組成物。
  4. 有効量のsHSPsを含むことを特徴とする、2次元ゲル電気泳動用組成物。
  5. 前記sHSPsは、表1に記載されたタンパク質から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項4に記載の2次元ゲル電気泳動用組成物。
  6. 前記sHSPsは、IbpA、IbpB、IbpABおよびHSP26でなる群から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項5に記載の2次元ゲル電気泳動用組成物。
  7. タンパク質の混合物に対する2次元ゲル電気泳動法において、前記タンパク質の混合物に、タンパク質の分解を防止してより多くのスポットを有するゲルを得るためにsHSPsを加えた後、電気泳動を行うことを特徴とする、2次元ゲル電気泳動法。
  8. 前記sHSPsは、表1に記載されたタンパク質から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項7に記載の2次元ゲル電気泳動法。
  9. 前記sHSPsは、大腸菌由来のIbpA、IbpB及びIbpABとシュードモナス由来のIbpA、およびサッカロマイセス・セレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のHSP26でなる群から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする、請求項8に記載の2次元ゲル電気泳動法。
  10. 前記sHSPsの量は、タンパク質の混合物100重量部に対し、0.1ないし50重量部であることを特徴とする、請求項7に記載の2次元ゲル電気泳動法。
  11. 前記sHSPsの量は、タンパク質の混合物100重量部に対し、0.5ないし20重量部であることを特徴とする、請求項10に記載の2次元ゲル電気泳動法。
  12. 前記タンパク質の混合物は特定の細胞の全体タンパク質であることを特徴とする、請求項7に記載の2次元ゲル電気泳動法。
  13. 前記特定の細胞は、原核細胞または真核細胞であることを特徴とする、請求項12に記載の2次元ゲル電気泳動法。
  14. 前記特定の細胞は、大腸菌またはシュードモナス(Pseudomonas)属の微生物で真核細胞はヒト由来の細胞であることを特徴とする、請求項13に記載の2次元ゲル電気泳動法。
  15. 2次元ゲル電気泳動によるプロテオームの分析方法において、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物を用いることを特徴とする方法。
  16. プロテアーゼによる目的タンパク質の分解を阻害する阻害剤としてsHSPsを用いる方法。
  17. 請求項16に記載の方法であって、、前記sHSPsは、表1に記載されたタンパク質から選択されたいずれか一つ以上であることを特徴とする、方法。
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