JP2005082565A - カルボン酸類の製造方法、及びカルボニル化合物の結合切断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 カルボン酸製造の際に、副生物や環境汚染物質の発生を低減できるカルボン酸類の製造方法、及びカルボニル化合物の結合切断方法を提供する。
【解決手段】 酸素雰囲気下のカルボン酸溶媒中で、カルボニル化合物をバナジウム系触媒と反応させ、該カルボニル化合物の結合の切断によりカルボン酸及び/又はケトンを生成する。
【選択図】 なし
【解決手段】 酸素雰囲気下のカルボン酸溶媒中で、カルボニル化合物をバナジウム系触媒と反応させ、該カルボニル化合物の結合の切断によりカルボン酸及び/又はケトンを生成する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、カルボン酸やケトン、特にケトカルボン酸やジカルボン酸等のカルボン酸類の製造方法、及びカルボン酸類を生成するためのカルボニル化合物の結合切断方法に関する。
従来、ケトカルボン酸(ケト酸、ケトン酸)やジカルボン酸等のカルボン酸を生成するためのカルボニル化合物の結合切断方法が各種開発されている。特に、アジピン酸はナイロン(登録商標)等の各種化合物の出発原料として有用であり、シクロヘキサノンを硝酸酸化してアジピン酸を工業的に製造する方法が知られている。又、各種触媒を用いたアジピン酸の製造方法が研究されている(例えば特許文献1、2参照)。
しかしながら、上記した硝酸酸化法の場合、環境汚染物質である亜酸化窒素が大量に生じる問題がある。又、上記特許文献1記載の技術の場合、バナジウム触媒と鉄化合物を用いて水溶媒中で反応を行っているが、反応選択性が高くなく、アジポアルデヒド酸やグルタル酸等の副生物が生じる問題がある。又、上記特許文献2記載の技術の場合、酸化されにくい炭化水素を酸化させてその結合を切断する必要があり、酸化条件が厳しくなるため、副生物がさらに発生し易くなる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、カルボン酸やケトン、特にケトカルボン酸(ケト酸、ケトン酸)やジカルボン酸等のカルボン酸類を生成する際の副生物や環境汚染物質の発生を低減できる、カルボン酸類の製造方法、及びカルボニル化合物の結合切断方法を提供することを目的とする。
本発明の上記の諸目的は、酸素雰囲気下のカルボン酸溶媒中で、カルボニル化合物をバナジウム系触媒と反応させ、該カルボニル化合物の結合の切断によりカルボン酸及び/又はケトンを生成することを特徴とするカルボン酸類の製造方法によって達成された。
前記バナジウム系触媒は5価のバナジウム化合物であることが好ましい。
また、本発明の上記の諸目的は、酸素雰囲気下のカルボン酸溶媒中で、カルボニル化合物をバナジウム系触媒と反応させ、該カルボニル化合物の結合の切断によりカルボン酸及び/又はケトンを生成することを特徴とするカルボニル化合物の結合切断方法によって達成された。
前記バナジウム系触媒は5価のバナジウム化合物であることが好ましい。
また、本発明の上記の諸目的は、酸素雰囲気下のカルボン酸溶媒中で、カルボニル化合物をバナジウム系触媒と反応させ、該カルボニル化合物の結合の切断によりカルボン酸及び/又はケトンを生成することを特徴とするカルボニル化合物の結合切断方法によって達成された。
本発明によれば、副生物や環境汚染物質の発生を少なくし、高純度のカルボン酸類を生成することができる。
以下本発明の実施形態について説明する。
本発明は、例えば以下の反応式
で示される反応に基づくものである。各式中、左辺はカルボニル化合物であり、右辺がカルボニル化合物の結合切断により生成したカルボン酸及びケトンである。
又、本発明は、例えば以下の反応式
で示される反応に基づくものである。式中、左辺は環状カルボニル化合物(環状ケトン)であり、右辺がカルボニル化合物の結合切断により生成したジカルボン酸(例えば、1,ω−ジカルボン酸)である。
本発明は、例えば以下の反応式
又、本発明は、例えば以下の反応式
本発明の出発物質として使用するカルボニル化合物は特に制限されず、どのような化合物を使用することもできる。カルボニル化合物は、炭化水素に比べて酸化され易く、より緩和な条件で酸化させることができるので、副反応が起き難く、不純物の生成を抑制して高純度のカルボン酸を得ることができる。特に、アジピン酸は工業原料となるため、純度の高いものが求められており、ごく微量でも不純物が存在すると着色してしまい製品にならないという場合が多いので、カルボニル化合物を出発物質とすることで高純度のアジピン酸を合成できるという利点がある。
本発明に用いるバナジウム系触媒としては、特に制限はないが、好ましくはオキシ三塩化バナジウム、ジクロロエトキシオキソバナジウム、オキシトリエトキシバナジウム、オキシトリイソプロポキシバナジウム、五酸化二バナジウムなどの5価バナジウム化合物を用いることができる。また、これらを1種単独又は2種以上混合して使用してもよい。触媒の形態としては、粉末状とするのが好ましい。
本発明においては、酸素雰囲気下のカルボン酸溶媒中で、上記カルボニル化合物をバナジウム系触媒と反応させる。溶媒に用いるカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられるが、酢酸を用いるのが好ましい。カルボン酸溶媒中でカルボニル化合物がカルボン酸やケトンに変化する理由は明確ではないが、カルボン酸が生成物中のカルボキシル基の水酸基源又はプロトン源になることが考えられる。なお、本発明者らの予備実験によれば、水中ではカルボニル化合物はカルボン酸やケトンに変化しなかった。
又、溶媒は酸素雰囲気であれば、例えば酸素風船を用いて酸素雰囲気としてもよく、上記溶媒に積極的に酸素を吹き込む必要はない。但し、酸素を吹き込んで反応を促進させてもよい。
バナジウム系触媒の添加量は特に制限はないが、例えば基質に対してモル比で0.1〜10%とすればよく、より好ましくはモル比で1%程度とすればよい。
本発明においては、酸素酸化反応を触媒量のバナジウム化合物を用いて進行させ、副生成物はほとんど水であるため、副生成物による環境汚染物質の発生や生成物の純度低下が抑制される。
以下、本発明を実施例、比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。
酸素雰囲気下、
で示されるシクロヘキサノン(451.5mg、4.6mmol)を酢酸(10mL)に溶かし、さらにオキシ三塩化バナジウム(8.0mg、0.046mmol)を加えて混合液を65℃に保ち、70時間攪拌した。その後、混合液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(50mL×3回)で抽出した。有機層を飽和食塩水(10mL×3回)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗生成物(612.4mg)をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(シリカゲル量30.62g、展開溶媒としてクロロホルムとメタノールの比を当初35:1とし最終20:1まで変化させた(グラジエント)混合溶媒を使用)により精製し、
で示されるアジピン酸(白色粉末状物質、364.5mg、収率54%)を得た。この最終生成物を標品のアジピン酸と混合して融点を測定したところ、152〜154℃で溶融し、融点降下が見られなかったことから、副生物が存在せず、ほぼ純粋なアジピン酸が生成したと判断した。又、1H-NMRスペクトル測定によれば、アジポアルデヒド酸由来のピークは検出されなかった。なお、この実施例では、アジピン酸の収率は必ずしも高くないが、これは、精製にシリカゲルカラムクロマトグラフィを用いたために、生成したアジピン酸がシリカゲルに吸着されたものと考えられ、本発明を工業的に実施する場合に、収率を向上させることは可能である。
酸素雰囲気下、
で示される2−フェニルシクロヘキサノン(801.5 mg,4.60 mmol)を酢酸(20mL)に溶かし、さらにオキシ三塩化バナジウム(8.0mg、0.046mmol)を加えて混合液を65℃に保ち、酸素雰囲気下で、52時間攪拌した。その後、混合液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(50mL×3回)で抽出した。有機層を飽和食塩水(10mL×3回)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗生成物(502.3mg)をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(シリカゲル量40g、展開溶媒としてヘキサンと酢酸エチルの比が4:1である混合溶媒を使用)により精製し、
で示される2-フェニル-6-オキソヘキサン酸(黄色油状物質、713.6mg、収率81%)を得た。この最終生成物の各種スペクトルデータは、標品のものとほぼ一致した。最終生成物のNMRスペクトルデータ(化学シフト値:δ)を示す。
1H-NMR (CDCl3): d 1.73-1.82 (4H, m), 2.44 (2H, t, J= 7.3 Hz), 3.02 (2H, t, J=7.1 Hz), 7.45-7.64 (3H, m), 7.95-8.11 (2H, m)
これより、最終生成物はほぼ2-フェニル-6-オキソヘキサン酸のみからなり、副生成物が生成していないことが確認された。
又、この最終生成物の質量分析スペクトル(m/z:質量電荷比)は以下の通りである。
192(M+)
この値から、最終生成物が2-フェニル-6-オキソヘキサン酸と同定された。
1H-NMR (CDCl3): d 1.73-1.82 (4H, m), 2.44 (2H, t, J= 7.3 Hz), 3.02 (2H, t, J=7.1 Hz), 7.45-7.64 (3H, m), 7.95-8.11 (2H, m)
これより、最終生成物はほぼ2-フェニル-6-オキソヘキサン酸のみからなり、副生成物が生成していないことが確認された。
又、この最終生成物の質量分析スペクトル(m/z:質量電荷比)は以下の通りである。
192(M+)
この値から、最終生成物が2-フェニル-6-オキソヘキサン酸と同定された。
酸素雰囲気下、
で示される2−メチルシクロヘキサノン(470.0mg、4.19mmol)を酢酸(10mL)に溶かし、さらにオキシ三塩化バナジウム(8.0mg、0.046mmol)を加えて混合液を65℃に保ち、69時間攪拌した。その後、混合液に水(10mL)を加え、酢酸エチル(50mL×3回)で抽出した。有機層を飽和食塩水(10mL×3回)で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗生成物(502.3mg)をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(シリカゲル量25.12g、展開溶媒としてクロロホルムとメタノールの比が35:1から20:1まで変化させた(グラジエント)混合溶媒を使用)により精製し、
で示される6−オキソヘプタン酸(黄色油状物質、150.6mg、収率25%)を得た。この最終生成物の1H-NMRスペクトル測定によれば、6−オキソヘプタン酸由来のピーク以外のピークは検出されなかった。
Claims (3)
- 酸素雰囲気下のカルボン酸溶媒中で、カルボニル化合物をバナジウム系触媒と反応させ、該カルボニル化合物の結合の切断によりカルボン酸及び/又はケトンを生成することを特徴とするカルボン酸類の製造方法。
- 前記バナジウム系触媒は5価のバナジウム化合物であることを特徴とする請求項1記載のカルボン酸類の製造方法。
- 酸素雰囲気下のカルボン酸溶媒中で、カルボニル化合物をバナジウム系触媒と反応させ、該カルボニル化合物の結合の切断によりカルボン酸及び/又はケトンを生成することを特徴とするカルボニル化合物の結合切断方法。
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