しかし、自然反転方式では函の反転が確実とはいえない。特に、上向きに反転させる下向きの反転対象面の側に重心が偏っているような函を確率よく反転させるのは困難である。例えば、ビールびんを収容する中仕切り付きの樹脂製ケースのように、底面が反転対象面となるときの図3に示すような函1の反転がそれに当る。この種の函1は底部1aが各種形状の穴を持ったすの子状、格子状になっているものの、充填びんの重量に十分に耐える頑強な重量部となっている上、前記中仕切り1bが底部1a側に形成され、周壁1cの開口1d側には取手用の窓1eが設けられているので、函1の全体としての重心Gは底部1a側に偏っている。このような函1をその下向きの底面1fを反転対象面として受載面上へ転落ないしは自然落下させても、その函1が受載面への初期接地点に対して重心Gが反転側に越えるか、慣性によって越えられるまで傾くことの保証がなく、傾きやその勢いの不足のために函1が起き上がって非反転となりやすい。
このような反転の不確かさは、各種函をリターナブルに取り扱うのに、例えば、回収した函から空びんを取り出し、空になった函を上下反転して付着ゴミ類の除去に供した後、函を再反転してラベル剥がしや内外面の洗浄に供し、乾燥後に充填びんを挿入するといった一連の作業を自動的に遂行しながらも、非反転の函を処理する人手またはおよび機構が必要になる上、非反転の函の処理が全体の流れを止めたり、遅らせたりし、また、反転函の次への供給不足にも繋がるので、稼働率、生産性の低下の原因となる。
一方、特許文献1〜5が開示しているものは、いずれも、函の反転はほぼ確実に行える。しかし、特許文献1、2が開示しているものは反転が間欠動作になるので、高速化の妨げになる。また、函の反転中心を函の外側に持つため反転の最大スイング径が大きく、装置がかさ張るので近時の省スペース化の要求に応えにくい。特許文献3、4が開示しているものは、函を折り返し経路に沿って搬送するので連続搬送を妨げないが、反転の最大スイング径はさらに大きく、しかもその外側にもコンベアが位置するので、装置がさらに大きく、かつ、複雑なものとなり、省スペース化にさらに不利であるとともにコスト高にもなる。
特許文献5が開示するものは、函を連続搬送しながら小さな最大スイング径で反転させられる上、一対のコンベアとそれらの間に配置されたガイドやストッパ類とからなり、構造が簡単でかさ張らない利点はあるが、一対のコンベアが挟持搬送している函を、ガイドとストッパ類で反転させていくので、函とコンベアとの間に大きな摩擦が生じる。このため、函やコンベアの耐久性の確保を図ろうとすると、搬送の不安定性や低速化を招き、搬送の確実性や高速性の確保を図ろうとすると、函やコンベアの耐久性の低下を招く。
本発明の目的は、省スペース化、省力化、低コスト化、十分な耐久性を満足して、函を連続的に高速で確実に上下に反転させられる函の反転方法とその装置、それらを利用したゴミ落し装置を提供することにある。
上記のような目的を達成するために、本発明の函の反転方法は、函をその上向きに反転させる下向きの反転対象面とこれに隣接する1つの隣接面とを左右で支持するように搬送経路に受け入れ、少なくとも左右一方の支持部で函に搬送力を及ぼしてその函を搬送しながら、搬送方向下流側に向けた左右の支持部の位置関係の変化により前記搬送している函に反転対象面が起き上がり、かつ、反転側への慣性を持つか、反転側に傾くひねりを与えて、反転対象面が上向きになるように受載面へ落下させることを主たる特徴としている。
このような構成では、函をその上向きに反転させる下向きの反転対象面とこれに隣接する1つの隣接面とに跨った左右で支持するように搬送経路に受け入れることで、函をその重心の両側にて受載し安定に支持することができる。これら反転対象面と隣接面との少なくとも左右一方の支持部自体で函に搬送力を及ぼすことにより、かさ張りや大型化することなく函を順次連続して受載搬送することができる。この受載搬送の過程における搬送方向下流側に向けた左右の支持部の位置関係の変化で、搬送している函に反転対象面が起き上がり、かつ、反転側への慣性を持つか、反転側に傾く程度のひねりを、搬送力を及ぼしている支持部との摩擦や連続搬送への影響なしに、また、函の重心の反転対象面側への偏りの有無にかかわらず与えられ、これによって、函を反転対象面が上向きになるように受載面へ落下させて確実に上下反転させることができる。
本発明の函の反転方法は、上記に加え、前記位置関係の変化が、高さの差と左右の間隔であることを他の特徴としている。
このような構成では、左右支持部の高さの差の変化を利用して、函の前記一方の支持部による隣接面の支持高さに対して他方の支持部による反転対象面の高さを搬送方向下流側に高くしていくことで、函の反転対象面を一方の支持部による隣接面の支持位置を中心に起き上がらせることができ、左右支持部の左右の間隔の変化を利用して、一方の支持部が他方の支持部に対して搬送方向下流側に向け近づいていくことで、函が他方の支持部によって反転対象面を起き上がらせられる度合に応じて一方の支持部に近づいてくる函の重心に対し、一方の支持部による隣接面の支持位置を函の反転対象面側に近付け、またはおよび、越えさせて、函の前記ひねりの慣性力またはおよび重量バランスの崩れによって、拘束力の弱い受載搬送に依りながらも函をほぼ一定した挙動で上下反転させられる。
本発明の函の反転方法は、また、前記隣接面の支持は搬送部材によって行い、前記反転対象面の支持は、搬送部材による支持からガイド部材による支持に切り換えることを別の特徴としている。
このような構成では、前記隣接面および反転対象面の支持および搬送を左右に配した直状の搬送部材により実現しながら、それら左右支持部の、高さの差の変化と、左右の間隔の変化とによって函の上下反転のためのひねりを安定した搬送を伴い無理なく進行させながら、その途中で函の反転対象面を支持、搬送している他方の搬送部材を、屈曲したものとすることが容易なガイド部材に切り換えることによって、函の隣接面を支持、搬送している一方の搬送部材との搬送方向下流側への高さと、左右の間隔とを、ガイド部材の平面視した湾曲を利用し搬送経路の短い範囲でそれまで以上に大きく変化させられる。これにより、函の搬送距離に対する反転動作の速度割合を高めて、一方の搬送部材上で反転側に傾きかけた函が落ちるよりも速くさらなる反転動作を及ぼし、上下反転に十分な傾き姿勢まで函を反転させられる。この結果、より短い搬送経路にて函を確実に反転させることができる。また、他方の搬送部材は途中からガイド部材に置き換えられる分だけ短くすることができる。同時に、函の反転速度が後半で加速されることにより、函の自重による反転の慣性力を高められるので、函の確実な反転をより保証することができる。
また、本発明の函の反転装置は、函をその上向きに反転させる下向きの反転対象面とこれに隣接する1つの隣接面とを搬送経路の左右で分担支持して搬送する左右一対の無端搬送帯を備え、前記隣接面を支持、搬送する一方の無端搬送帯は、前記反転対象面を支持、搬送する他方の無端搬送帯に対し、ほぼ同じ高さの始端部から少なくとも函の反転を終える位置以降の終端部にまで延び、かつ、搬送方向下流側に向かって前記他方の無端搬送帯よりも低くなり、かつ左右の間隔が小さくなるように設置し、前記他方の無端搬送帯の途中対応位置から終端部対応位置に向け延び、前記他方の無端搬送帯に代わって前記反転対象面を支持するガイド部材を、搬送方向下流側に向けて前記一方の無端搬送帯との左右の間隔が小さくなるように設置したことを主たる特徴としている。
このような構成では、左右一対の無端搬送帯が直線配置されるだけで、その他方の無端搬送帯および途中からそれに代わるガイド部材で函の反転対象面を、残る一方の無端搬送帯で函の反転対象面に隣接する隣接面を、函の重心を挟む左右位置に跨って安定に受載、支持しながら、途中までは左右の無端搬送帯によって、途中からは一方の無端搬送帯によって連続して搬送することができる。この際、左右一対の無端搬送帯は互いの配置向きによって、ガイド部材はそれの配置向きに、屈曲も加わって、それらによる函の支持位置の、左右における高さの差と、左右の間隔とに、搬送方向下流側に向け前記所定の変化を与えることができる。これにより、函の前記一方の無端搬送帯による隣接面の支持高さに対して他方の無端搬送帯およびガイド部材による反転対象面の高さが搬送方向下流側に高くなっていく変化を得て、函の反転対象面を一方の無端搬送帯による隣接面の支持位置を中心に起き上がらせることができ、一方の無端搬送帯の隣接面に対する支持位置が他方の無端搬送帯およびガイド部材の支持位置に左右方向に近づいていくことで、函が他方の無端搬送帯およびガイド部材によって反転対象面を起き上がらせられる度合に応じて一方の無端搬送帯側に近づいてくる函の重心に対し、一方の無端搬送帯による隣接面の支持位置を函の反転対象面側に近付け、またはおよび、越えさせて、函の前記ひねりの慣性力またはおよび重量バランスの崩れによって、拘束力の弱い受載搬送に依りながらも函をほぼ一定した挙動で確実に上下反転させられる。
本発明の函の反転装置は、上記に加え、ガイド部材が、その終端側で前記一方の無端搬送帯と平面視交叉していることを他の特徴としている。
このような構成では、函がひねりの慣性力や重量バランスの崩れによる反転可能な姿勢になりながら、搬送方向への自重による慣性力で、なお搬送方向に移動し続けようとすることがあっても、ガイド部材は前記交叉部近傍以降でそのような函をさらに反転側へのひねりを与えながら一方の無端搬送帯上から側方に押し落すので、より高速にても短い搬送経路のままで函を確実に反転させることができる。
本発明の函の反転装置は、また、無端搬送帯がVベルトであることを、さらに別の特徴としている。
このような構成では、Vベルトはよりかさ張らないコンベアをなして、函とライン状に接しながら十分な耐久度を持って受載し、支持することができ、しかも、自身の高い摩擦係数によって前記受載し、支持する函に十分な搬送力を及ぼして、函をガイド部材と一方の無端搬送帯だけで支持する場合にも安定して搬送することができる。しかも、函の反転が終了するまで搬送を行う一方の無端搬送帯は、ガイド部材との協働支持域では函の重量のほぼ大半以上を受けるので、よりすべりなく搬送し、かつ、函が他方の無端搬送帯およびガイド部材によって反転対象面を持ち上げひねられるための支持支点を、反転が確実になる時点まで少なくとも与え続けられるので、函が十分なひねり前に滑り落ちて反転不良や非反転となるのを防止することができる。
本発明の函の反転装置は、また、函の前記反転対象面が前記一方の無端搬送帯の始端部から他方の無端搬送帯側に外れ、他方の無端搬送帯の上に載るように前記他方の無端搬送帯の搬送方向に沿う方向で送り込む送り込みコンベアを備えていることを、今1つの特徴としている。
このような構成では、函を、送り込みコンベアによって左右一対の無端搬送帯との間に設定した位置関係の基に、所定の左右位置および方向にて搬送し、函の反転対象面が前記一方の無端搬送帯の始端部から他方の無端搬送帯側に外れ、他方の無端搬送帯の上に載り、かつ、前記他方の無端搬送帯の搬送方向に沿う方向から、安定して確実に送り込める。この結果、左右一対の無端搬送帯による函の反転対象面とその隣接面との分担支持が確実に行われるし、左右一対の無端搬送帯の始端部の左右間隔が、函の反転対象面の搬送方向の直角な向きでの寸法前後と大きいことによって、函の重心は確実に左右一対無端搬送帯による2点支持位置の間に位置することを容易に保証することができ、送り込み函の反転の確実性、安定性を高めることができる。
本発明の函の反転装置は、また、前記一方の無端搬送帯およびガイド部材の終端部にて反転落下する函を受載する受載面をなし、受載した函を送り出す送り出しコンベアを備えたことを、さらに他の特徴としている。
このような構成では、無端搬送帯およびガイド部材から上下反転した状態に落される函の受載面を送り出しコンベアが形成することにより、反転した函を受載するのと同時に次へ搬送することができる。これにより、函を連続に搬送して反転させても、後続の函が先の函に重なって反転不良や非反転となるようなことがなく、作業性、反転の確実性が向上する。
本発明の函の反転装置は、また、前記無端搬送帯および送り込みコンベアをなす左右無端搬送帯が、上下にフラットなフランジを有した左右一対の開放型フレームに振り分け支持していることを、さらに別の特徴としている。
地面に置かれたり、埃をかぶったり、濡れたり、野ざらしになったりしながら放置されることの多い、リターナブルな函を搬送し、反転させるような取り扱いをするのに、付着ゴミ類や中に入ったり残ったりしている収容ゴミ類が落下することが多く設備が汚れやすいところ、上記のような構成では、それぞれの左右の無端搬送帯が、上下にフラットなフランジを有する曲げ剛性、支持強度の高い形状のフレームに振り分け支持しているので、左右に設けた無端搬送帯の必要支持強度を満足しながら、それらの間には勿論、左右のフレームにもそれがボックスやチャンネルでない開放型であることによって前記落下する付着異物や収容異物が付着したり、溜まったりしにくくなるし、付着したり溜まったりしても容易に清掃し、除去することができる。
本発明のゴミ落し装置は、上向きに開放した函を受け入れて下向き開放姿勢に反転させる上記各場合の反転装置のいずれか1つと、この反転装置によって反転された下向き開放姿勢の函を左右に分かれた角型で同期回転する搬送ローラ上に受載して、函の持ち上げと落下を繰り返しながら搬送し付着ゴミ類の落下を図るゴミ落しコンベアとを備えたことを主たる特徴としている。
このような構成では、上記各場合の反転装置のいずれか1つによるそれぞれの特徴を発揮して、上向きに開放した函をその反転対象面となる底側に重心が偏っているようなことがあっても、それをゴミが落下しやすい下向き開放姿勢に確実に反転させてゴミ落しコンベアに供給し、ゴミ落し処理を有利に遂行させられる。しかも、非反転の函に対する人手などによって反転させたり排除したりする処理による無駄なしにゴミ落し処理を函の反転に次いで連続して行うことができ、回収函を洗浄などする前処理として有効である。特に、ゴミ落しコンベアは角型で同期回転する搬送ローラによって、函を搬送しながら持ち上げたり落下させたりすることを、繰り返すので、収容状態にあったゴミ類はもとより、付着しているゴミ類を強力に分離し、効率よく振り落とすことができるのでゴミの除去率が高まる上、搬送ローラは左右に分かれて位置し函が落下しないだけの幅があればよいので、落ちたゴミが溜まることはなく、付着もしにくいので、清潔に保ちやすい。
本発明のゴミ落し装置は、上記に加え、ゴミ落しコンベアの搬送経路の上にシャワー管が設けられていることを他の特徴としている。
このような構成では、前記のような機械力によるゴミ落しに加え、シャワーによる水の噴射力や流れによってゴミ類の分離や流し去り作用が細部にまで及ぶので、ゴミの除去率および清掃度がさらに高まる。
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、可能な限りそれ単独で、あるいは種々な組合せで複合して採用することができる。
本発明の函の反転方法の主たる特徴によれば、上記構成および作用から、省スペース化、低コスト化、十分な耐久性を満足して、函を連続的に高速で確実に上下に反転させられる。また、反転が確実な分だけ省力化に貢献する。
本発明の函の反転方法の他の特徴によれば、さらに、上記構成および作用から、反転した函の後作業への供給性、後作業での函の取り扱いおよび作業の安定性が高まる。
本発明の函の反転方法の別の特徴によれば、さらに、上記構成および作用から、より短い搬送経路にて函を確実に反転させられる。
本発明の函の反転装置の主たる特徴によれば、上記構成および作用から、左右一対の直状の無端搬送帯と一方の無端搬送帯の途中からそれに入れ替わる1つのガイド部材とからなる簡単で短く小型、かつ低コストな装置で、省スペース化、低コスト化、十分な耐久性を満足して、函を高速で、しかもほぼ一定した挙動で確実に上下反転させられる。
本発明の函の反転装置の他の特徴によれば、さらに、上記構成および作用から、より高速にても短い搬送経路のままで函を確実に反転させることができ、省力化にもなる。
本発明の函の反転装置の別の特徴によれば、さらに、上記構成および作用から、無端搬送帯は十分な耐久度を持って受載、支持し、函をガイド部材と一方の無端搬送帯だけで支持する場合を含めて高い摩擦搬送力により、函の反転が確実になる時点まで搬送力と反転支点を与え続け、函が十分なひねり前に滑り落ちて反転不良や非反転となるのを防止するので、反転確率がさらに高まる。
本発明の函の反転装置の今1つの特徴によれば、さらに、上記構成および作用から、函を左右一対の無端搬送帯上に所定の位置および方向に安定して送り込んで、函の反転の確実性、安定性を高めることができる。
本発明の函の反転装置のさらに他の特徴によれば、さらに、上記構成および作用から、反転した函を直ちに次へ搬送して、函を連続に搬送して反転させても前後の函に重なりが生じるようなことがなく、作業性、省力化が向上する。
本発明の函の反転装置のさらに別の特徴によれば、さらに、上記構成および作用から、左右にある無端搬送帯および送り込みコンベアの左右フレームによる必要支持強度を満足して、しかも、それらの間には勿論、左右のフレームにも落下する付着異物や収容異物が付着したり、溜まったりしにくくなるし、付着したり溜まったりしても容易に清掃し、除去することができ、その分省力化になる。
本発明のゴミ落し装置の主たる特徴によれば、上記構成および作用から、各場合の反転装置のいずれか1つによるそれぞれの特徴を発揮して、上向きに開放した函をその反転対象面となる底側に重心が偏っているようなことがあっても、それを下向き開放姿勢に確実に反転させてゴミ落し処理に供し、人手を要したり滞ったりすることなく連続処理することができる。しかも、ゴミ落し処理は角型の搬送ローラによる強力な分離、振り落しによって高い除去率で行えて人によるフォローが不要であるし、ゴミ落しコンベアに落ちたゴミが溜まらず付着もしにくいので、ゴミ落し処理およびその管理にも手が掛からず省力化になる。
本発明のゴミ落し装置の他の特徴によれば、さらに、上記構成および作用から、水によるさらなる分離や流し去りが細部にまで及ぶので、ゴミの除去率および清掃度がさらに高まる。
本発明の函の反転方法とその装置、それらを利用したゴミ落し装置に係る最良の実施の形態につき、図1〜図9を参照しながら詳細に説明し、本発明の理解に供する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載を限定するものではない。本実施の形態では既述したビールびんの樹脂ケースである図2、図3に示すような函1を、条件の悪い下向きの底面1fを反転対象面として上向きに上下反転させるように取り扱う場合につき示している。しかし、これに限られることはなく、その反対の反転はもとよりどのような向きの上下反転もすることができる。また、外形が直方体形状、立方体形状である各種の函全般に適用して有効である。
まず、本発明の函の反転方法につき、図1〜図5に示す函の反転装置を参照して説明する。図2に示す矢印aの方向に送り込まれる函1を、その上向きに反転させる下向きの反転対象面である底面1fとこれに隣接する1つの隣接面である側面1gとを左右で支持するよう図2に示す状態から図3(a)、図4(a)に示すように搬送経路2に受け入れる。搬送経路2では、函1に対する左右支持部3、4の少なくとも一方で函1に搬送力を及ぼす。搬送力は支持部3、4自体の移動を摩擦伝達するものでもよいが、移動する支持部3、4に設けたアタッチメントや凸部、引っ掛かり部などにて押動するようにもできる。押動方式によれば支持部3、4の函1の底面1f、側面1gに対する支持方向ないしは接触向きの影響なく、一方の動きだけで函1を確実に搬送することができる。
このようにして、函1を図1、図2に矢印bで示す方向に搬送しながら、搬送方向下流側に向けた左右の支持部3、4の位置関係の変化、例えば図1、図2、図3〜図5に1つの実施例を示しているような位置の変化により、前記搬送している函1に反転対象面である底面1fが図3(a)〜(i)に模式的に示し、図4(a)〜(c)、図5に1つの実施例を示すように順次に起き上がり、かつ、反転側への慣性を持つか、図3(h)(i)に示し、図4(c)、図5(a)に示すように反転側に傾くひねりを与えて、反転対象面である底面1fが図5(b)に示すような上向きになるように受載面5上へ落下させる。
なお、図3では一方の支持部4が同じ高さを保った状態にして、函1の搬送経路2で与えるひねりによる反転対象面である底面1fの立ち上がり状態を分かりやすくしている。これに対し、図1、図2、図3〜図5に1つの実施例では、支持部4は図1、図2(b)に示すように搬送方向下流側に向け低くなるようにしていて一致していない。しかし、左右の支持部3、4の支持高さ、および左右の間隔の変化は、搬送方向下流側に向けての相対的な変化をいい、原理的にはどちらが水平になってもよいし、どちらも水平にしないでもよい。一方を水平にすると装置の設計や製作が容易になる。
以上のように、函1をその上向きに反転させる下向きの反転対象面である底面1fとこれに隣接する1つの隣接面である側面1gとに跨った左右2点で支持するように搬送経路2に受け入れると、図3(a)、図4(b)に示すように函1をその重心Gの両側にて容易に受載し、安定に支持することができる。左右支持部3、4によるこのような受載と搬送は、左右支持部3、4の左右間隔が函1が外れることのない最大間隔にすることにより達成しやすくなる。図3でいえば(a)〜(e)程度の左右間隔までは安定し、(f)ではやや安定といえる。(g)から重心Gが一方の支持部4を反転側に越え始める。図4でいえば(a)、(b)の左右間隔まで安定しているといえる。(c)から重心Gが一方の支持部4を反転側に越え始める。
また、上記のように底面1fと側面1gとの左右の支持部3、4の少なくとも左右一方自体で函1に搬送力を及ぼすと、かさ張りや大型化することなく函1を順次連続して受け入れて受載し、搬送することができる。この受載搬送の過程における図1、図2に矢印bで示した搬送方向下流側に向けた左右の支持部3、4の上記のような位置関係の変化で、搬送している函1に底面1fが起き上がり、かつ、反転側への慣性を持つか、図3(h)(i)に示し、図4(c)、図5(a)に示すような反転側に傾く程度のひねりを、搬送力を及ぼしている支持部3、4との摩擦や連続搬送への影響なしに、また、函1の重心Gの底面1f側への偏りの有無にかかわらず与えられる。この結果、函1を反転対象面である底面1fが図5(b)に示すように上向きになるように受載面5上へ落下させて確実に上下反転させることができる。従って、省スペース化、低コスト化、十分な耐久性を満足して、函1を連続的に高速で確実に上下に反転させられる。また、反転が確実な分だけ省力化に貢献することができる。
このような反転方法を実現する、左右支持部3、4の前記位置関係の変化は、上記具体例を示したように高さの差と左右の間隔である。これにつき説明すると、左右支持部3、4の高さの差の変化を利用して、図1〜図5に示すように函1の前記一方の支持部4による側面1gの支持高さに対して他方の支持部3による底面1fの高さを搬送方向下流側に向け相対的に高くしていくことで、函1の底面1fを一方の支持部4による側面1gの支持位置を中心に、つまり支点として起き上がらせることができる。また、左右支持部3、4の左右の間隔の変化を利用して、一方の支持部4が他方の支持部3に搬送方向下流側に相対的に近づいていくことで、函1が他方の支持部3によって底面1fを起き上がらせられる度合に応じて一方の支持部4に図3(a)〜(f)に示し、図4(a)〜(c)に示すように近づいてくる函1の重心Gに対し、一方の支持部4による側面1gの支持位置を函1の底面1f側に図3(a)〜(f)に示すように近付け、またはおよび、図3(g)〜(i)に示し、図5(a)に示すように越えさせて、函1の前記ひねりの慣性力またはおよび重量バランスの崩れによって、拘束力の弱い受載搬送に依りながらも函1をほぼ一定した挙動で上下反転させられる。しかし、一方の支持部4の函1の底面1f側への移動は必須でなく、図4、図5に示すようにほとんど移動しない設計とすることもできる。
また、図1〜図5に示すように、一方の支持部4における函1の側面1gの支持は搬送部材6によって行い、他方の支持部3における函1の底面1fの支持は、搬送部材7による支持からガイド部材8による支持に途中より切り換えるようにしている。これにより、函1の側面1gおよび底面1fの支持および搬送を、図3(a)(b)に示し、図4(a)に示すように最初は左右に配した直状の搬送部材6、7により実現しながら、それら左右支持部3、4の、高さの差の変化と、左右の間隔の変化とによって函1の上下反転のためのひねりを安定した搬送を伴い無理なく進行させられる。次いで、その搬送、反転の途中で函1の底面1fを支持、搬送している他方の搬送部材7を、屈曲したものとすることが容易なガイド部材8に切り換えることによって、函1の側面1gを支持、搬送している一方の搬送部材7との搬送方向下流側への高さと、左右の間隔とを、ガイド部材8の図2に示すような平面視した湾曲を利用し搬送経路2の短い範囲でそれまで以上に大きく変化させられる。これにより、函1の搬送距離に対する反転動作の速度割合を高めて、一方の搬送部材7上で図3(h)(g)や図4(c)、図5(a)に示すように反転側に傾きかけた函1が落ちるよりも速く反転動作を瞬時に及ぼし、反転に十分な傾き姿勢まで強制的に反転させられる。この結果、より短い搬送経路2にて函1を確実に反転させることができる。また、他方の搬送部材6は途中からガイド部材8に置き換えられる分だけ短くすることができる。同時に、函1の反転速度が後半で加速されることにより、函1の自重による反転の慣性力を高められるので、函1の確実な反転をより保証することができる。ガイド部材8は棒状のものでよいが、箱の底面1fが種々な向きで接触することを考えれば円形断面のものが入手し製作するのが簡単であるし使いやすい。
上記のような方法を実現するのに、図1〜図5に示す本実施の形態の函の反転装置は、函1をその上向きに反転させる下向きの反転対象面である底面1fとこれに隣接する1つの隣接面である側面1gとを、搬送経路2の左右で図3(a)、(b)に示し、図4(a)で示すように分担支持して搬送する左右一対の無端搬送帯を、前記支持部3、4での搬送部材6、7として備え、これらを左右のフレーム11、11のそれぞれに軸受した図1、図8に示す駆動プーリ12、従動プーリ13間に張設して、フレーム11、11に取り付けた図5に左右一方で代表して示す減速機、ブレーキ付きのモータ14によって周回駆動し、図1、図2に矢印bで示す搬送方向が得られる反転コンベア10を構成している。
また、この反転コンベア10において、函1の側面1gを支持、搬送する一方の搬送部材7は、函1の底面1fを支持、搬送する他方の搬送部材6の搬送始端部6aに対し、図1に示すようにほぼ同じ高さの搬送始端部7aから少なくとも函1の既述した反転を終える位置以降の搬送終端部7bにまで延び、搬送方向下流側に向かって前記他方の搬送部材6よりも相対的に低くなり、かつ左右の間隔が相対的に小さくなるように設置してある。また、他方の搬送部材6の途中対応位置から搬送終端部7b対応位置に向け延び、前記他方の搬送部材6に代わって底面1fを支持するガイド部材8を、搬送方向下流側に向けて前記一方の搬送部材7との左右の間隔が相対的に小さくなるように設置してある。
これにより、左右一対の搬送部材6、7が図1、図2に示すように直線配置されるだけで、その他方の搬送部材6および途中からそれに代わるガイド部材8で函1の反転対象面である底面1fを、残る一方の搬送部材7で函1の反転対象面に隣接する1つの隣接面である側面1gを、函1の重心Gを挟む左右位置に跨って図3(a)〜(f)に示し、図4(a)(b)に示すように安定に受載、支持することができ、途中までは左右の搬送部材6,7によって、途中からは一方の搬送部材7によって連続して搬送することができる。この際、左右一対の搬送部材6、7は互いの配置向きによって、ガイド部材8はそれの屈曲も加わって、それらによる函1に対する支持位置の、左右における高さの差と、左右の間隔とに、搬送方向下流側に向け、方法の実施の形態にて既述したような所定の変化を与えることができる。この結果、搬送する函1に既述した方法の場合同様の反転方向へのひねりを与えて、函1の前記ひねりの慣性力またはおよび一方の搬送部材7上での重量バランスの崩れによって、拘束力の弱い受載搬送に依りながらも函1をほぼ一定した挙動で確実に上下反転させられる。
特に、ガイド部材8が、その搬送終端側で前記他方の搬送部材7と平面視して図1、図2に示すように交叉している。これにより、函1がひねりの慣性力や重量バランスの崩れによる反転可能な姿勢になりながら、搬送方向への自重による慣性力で、なお搬送方向に移動し続けようとすることがあっても、ガイド部材8は前記交叉部近傍以降でそのような函1をさらに反転側へのひねりをさらに急激に与えながら、一方の搬送部材7上から側方へ押し落すので、より高速にても短い搬送経路2のままで函1を確実に反転させることができる。
しかも、図1、図2、図4、図5に示す実施例では、一方の搬送部材7は函1の側面1gに対する支持点、反転支点を、他方の搬送部材6による支持点に対して搬送方向下流側に向け下降させていくことにより、函1の自重による転がりを伴って、つまり函1の自重に逆らわずに底面1fが立ち上がる姿勢変化、つまりひねりを函1に無理なく与えられる。その結果、函1の反転過程の挙動はより安定する。
ところが、搬送速度の高速化、反転のための搬送距離の短縮化を図っていくと、函1の搬送方向での慣性力、ひねり方向での慣性力共に高まるので、函1の万一の場合の飛び跳ねや一方の搬送部材7からの早期脱落、受載面5への落下姿勢の乱れなどを抑える各種ガイドを設けておけば、函1の確実な上下反転を保証することができる。図4、図5に示す搬送経路2上のガイド部材21は函1の左右支持部3、4からの飛び跳ねを抑える。受載面5の左右両側に斜めに設けた傾斜ガイド22、23は左右支持部3、4から反転操作後に落ちてくる函1を底面1fが上になった上下反転姿勢にて受載面5上に受載され落ち着くように案内する。しかし、このようなガイド類は図示するものに限定されず必要となる各部に種々に設けることができる。
また、本実施の形態の搬送部材6、7は、Vベルトよりなる無端搬送帯としてある。搬送部材6、7がVベルトであることにより、簡単、かつ、かさ張らないコンベアをなし、函1とライン状に接しながら十分な耐久度を持って受載し、支持することができる。しかも、自身の高い摩擦係数によって受載し、支持する函1に十分な搬送力を及ぼして、函1を図4(b)(c)に示し、図5(a)に示すようにガイド部材8と一方の搬送部材7だけで支持する場合にも安定して搬送することができる。さらに、函1の反転が終了するまで搬送を行う一方の搬送部材7は、ガイド部材8と協働し始めて以降で函1の重量のほぼ大半以上を受けるので、よりすべりなく搬送し、かつ、函1が一方の搬送部材6およびガイド部材8によって底面1fを持ち上げひねられるための支持支点を、反転が確実になる時点まで少なくとも与え続けられる。このため、函1が十分なひねり前に滑り落ちて反転不良や非反転となるのを防止することができる。
なお、搬送部材6、7をなすVベルトの断面形状は特に問わない。しかし、例えば図示するような六角ベルトであると、駆動プーリ12、従動プーリ13、ベルトの溝型ガイド91などの案内溝からの突出度を高くすることができる。これにより、函1の底面1fや側面1gとの接触向きが種々に変化しても駆動プーリ12、従動プーリ13、溝型ガイド91に函1が干渉しにくくすることができ、好適である。もっとも、円形やその他ガイド溝からの突出度の高い任意な断面形状とすることもできる。図4(a)に示すように、函1の側面1gを支持する一方の搬送部材7は、Vベルトの周回平面を鉛直方向に対して他方の搬送部材6の側へ、ある角度θ傾けてある。これにより、搬送部材7に対して函1の側面1gの接触向きが図4(a)〜(c)に示すように大きく変化しても駆動プーリ12、従動プーリ13、溝型ガイド91に函1と干渉しないようにしている。
本実施の形態の函の反転装置は、また、図6、図7に示すように反転コンベア10の搬送方向下流側にゴミ落しコンベア31を接続してゴミ落し装置を構成している一方、函1を反転コンベア10に送り込む送り込みコンベア32と、前記受載面5をなし反転後の函1を受載して送り出し、ゴミ落しコンベア31に供給する送り出しコンベア33を設けてある。
送り込みコンベア32は図2(a)、図4(a)に示すように、函1の反転対象面である底面1fが、一方の搬送部材7の搬送始端部7aから他方の搬送部材6側に外れ、他方の搬送部材6の上に載るように、他方の搬送部材6の搬送方向に沿う方向で送り込むようにしている。これにより、函1を、送り込みコンベア32によって左右一対の搬送部材6、7との間に設定された位置関係の基に、所定の左右位置および方向に搬送し、函1の底面1fが一方の搬送部材7の始端部7aから他方の搬送部材6側に外れ、他方の搬送部材6の上に載り、かつ、他方の搬送部材6の搬送方向に沿う方向から、安定して確実に送り込める。この結果、左右一対の搬送部材6、7による函1の底面1fとそれに隣接する側面1gとの分担支持が確実に行われる。また、左右一対の搬送部材6、7の搬送始端部6a、7aの左右間隔が、函1の底面1fの搬送方向の直角な向きでの寸法前後と大きいことによって、函1の重心は確実に左右一対の搬送部材6、7による2点支持位置の間に位置することを容易に保証することができる。従って、送り込む函1の反転の確実性、安定性を、人手によるような場合に比し格段に高めることができる。
それには、送り込みコンベア32は函1を搬送方向が他方の搬送部材6のそれと一致し、函1に対する左右方向の遊びを許容範囲以下に抑えるのが好適である。そこで、送り込みコンベア32の左右のフレーム34上に取り付けたガイド36、37によって、左右方向に許容範囲内の遊びを持って函1を案内するようにしている。送り込みコンベア32は前記左右のフレーム34に個別に支持したチエン38、39よりなる左右の無端搬送帯で構成し、これを左右フレーム34に軸受した駆動スプロケット41、従動プーリ42間に張設し、左右フレーム34の外面に取り付けた減速機、ブレーキ付きのモータ43によってそれぞれを同期して周回駆動するようにしている。
また、送り出しコンベア33は反転コンベア10の搬送始端部10aに対応する搬送始端部33aから反転コンベア10の搬送終端部10bよりもさらに下流側に位置する搬送終端部33bまで延び、前記受載面5を構成する搬送面を得るために、無端搬送帯として平ベルト44を用いている。平ベルト44は左右のフレーム45に軸受した駆動ローラ47、従動ローラ48間に調節し、一方のフレーム45に取り付けた減速機、ブレーキ付きモータ49によって周回駆動するようにしている。
このように、反転コンベア10における搬送部材6、7およびガイド部材8から上下反転した状態に落される函1の受載面5を送り出しコンベア33によって形成することにより、反転した函1を受載するのと同時に次へ搬送することができる。従って、函1を連続に搬送して反転させて後続の函1が先の函1に重なって反転不良や非反転となるようなことがなく、作業性、反転の確実性が向上する。
ところで、地面に置かれたり、濡れたり、野ざらしになったりしながら放置されることの多い、リターナブルな函1を搬送し、反転させるような取り扱いをするのに、付着ゴミ類や中に入ったり残ったりしている収容ゴミ類が落下することが多く設備が汚れやすい。これに対応するのに、本実施の形態の反転コンベア10および送り込みコンベア32は、図8に示すように、共に、それらのフレーム11、34を、それらの上下にフラットなフランジ11a、34aを有しただけの開放型のものとして、搬送部材6、7、チエン38、39をそれぞれ左右に振り分け支持している。これにより、反転コンベア10および送り込みコンベア32が、上下にフラットなフランジ11a、34aを有する曲げ剛性、支持強度の高い形状のフレーム11、34へ左右の搬送部材6、7や左右のチエン38、39を左右に振り分け支持しているので、それらの必要支持強度を満足しながら、それらの間には勿論、左右のフレーム11、34にもそれがボックスやチャンネルでない開放型であることによって前記落下する付着異物や収容異物が付着したり、溜まったりしにくくなるし、付着したり溜まったりしても容易に清掃し、除去することができ、その分省力化になる。
しかも、フレーム11、34の上フランジ11a、34aは搬送部材6、7やチエン38、39における、函1を支持し搬送する部分の溝型ガイド91、92を介したバックアップに供し、下フランジ11a、34aは図4、図5、図7に示すような支持脚51、52側との連結に供している。また、フレーム11、34の上下フランジ11a間、34a間の側板11b、34bはそれぞれ搬送部材6、7、チエン38、39に対する駆動機構の支持に供している。さらに、左右のフレーム11どうし、左右のフレーム34どうしのステー類による直接の連結を省略して、搬送方向前後にある左右の支持脚51間、52間をステー53、54により連結するだけの構成としてある。これらにより、送り込みコンベア32および反転コンベア10は共に、支持部を含めて極く簡単な構成でしかも開放度の高いものとなっている。従ってより低コストで、ゴミが付着したり溜まったりしにくく、ゴミのほとんどは装置の設置面55上に落下して簡単に対応できる。
なお、反転コンベア10における前記ガイド部材8は、図4、図5に示すように支持脚52の一部に通したねじ81の先端に溶接などして支持し、締結ナット82、83による支持脚52への締結位置を調節することにより、ガイド部材8の位置を調節できるようにしてある。
送り出しコンベア33はベルトコンベアであるため、落下するゴミを受ける。しかし、左右の傾斜ガイド22、23とともに、平ベルト44の外まわりや下回りにゴミが及ぶことはなく、必要なら平ベルト44の途中にスクレーパやブラシなどの清掃具を当てがって簡単に除去することができる。送り出しコンベア33もその左右のフレーム45は上下にフラットなフランジ45a、45aを有した開放型で、左右にある搬送方向前後の支持脚62にて支持し、左右の支持脚62どうしをステー63により連結し、左右のフレーム61どうしの直接の連結は省略してある。これによって、ベルト44下まわりの清掃は簡単になる。左右のフレーム45の上フランジ45aはガイド22、23などの支持に供することができ、下フランジ45aは左右の支持脚62側との連結に供している。左右のフレーム45のフランジ45a間の側板45bは平ベルト44の駆動機構の支持に供している。
ゴミ落し装置としては、上記のような反転コンベア10に加え、ゴミ落しコンベア31が組み合わさればよいが、本実施の形態では既述した通り反転コンベア10の前後に送り込みコンベア32、送り出しコンベア33を配してある。ゴミ落し装置としは反転コンベア10に上向きに開放した函1を受け入れて、反転コンベア10により上下反転させて底面1fが上向きとなった、つまり、うつ伏せとなった函1をゴミ落しコンベア31にてゴミ落し処理することを必須としている。これにより、ゴミ落としコンベア31に組み合わせた必須の反転コンベア10、および選択に的に組み合わせる送り込みコンベア32や送り出しコンベア33の特徴を発揮して、上向きに開放した函1を、その底面1f側に重心Gが偏っているようなことがあっても、それをゴミが落下しやすい下向き開放姿勢に確実に反転させてゴミ落しコンベアに供給しゴミ落し処理を有利に遂行させられる。しかも、反転不良や非反転の函1が生じないので、そのような函1を人手などによって反転させたり排除したりする無駄な作業なしに、ゴミ落し処理を函1の反転に次いで連続して行うことができ、回収函1を洗浄などする前処理として有効である。
ゴミ落しコンベア31は、特に、角型で同期回転する搬送ローラ71によって、函1を搬送しながら持ち上げたり落下させたりすることを、搬送ローラ71の最小回転半径および最大回転半径の差に対応した最大ストロークを得て繰り返すので、収容状態にあったゴミ類はもとより、付着しているゴミ類を強力に分離し、効率よく振り落とすことができる。従って、ゴミの除去率が高まる上、搬送ローラ71は左右に分かれて位置し函1が落下しないだけの幅があればよいので、落ちたゴミが溜まることはなく、付着もしにくいので、清潔に保ちやすい。
搬送ローラ71は函1の搬送が確実で最大ストロークを大きくとれる意味で、四角形程度として好適であるが、これに限られることはない。また、一辺の長さを異ならせることにより函1の上下の動きを不均等にしてゴミ落し機能を高めることもできる。搬送ローラ71の許容幅は、函1を搬送するときの遊びを小さくすることにより小さくできる。そこで、搬送ローラ71を左右のフレーム72の内側に配置して軸受し、左右の搬送ローラ71の列上に載る函1の左右の遊びを左右のフレーム72によって規制するようにしている。
左右のフレーム72は図8に示すようにボックス型断面として、それらの中に各搬送ローラ71に直結したスプロケット73と、これらのスプロケット73を同期回転させる無端のチエン74とを装備し、左右のフレーム72の外面に取り付けた減速機、ブレー機付きモータ75によって駆動するようにしてある。これにより作業者の安全が図れるし、ディテール部へのゴミの付着や堆積を防止することができる。左右のフレーム72は左右の支持脚76で支持し、左右の支持脚76は搬送方向の前後にあり、左右のものどうしステー77によって連結し、フレーム72どうしの連結は省略してある。これによって、送り込みコンベア32、反転コンベア10、送り出しコンベア33とともに、ゴミが付着しにくく、また溜まりにくく、ゴミの処理がしやすいものとなっている。ゴミ落しコンベア31の搬送経路の上には上下動する函1が搬送ローラ71から浮いて徒に飛び跳ねるのを防止するガイド78を設けてある。
なお、ゴミ落しコンベア31の搬送経路の上には、前記ガイド78に代えて、あるいはそれと共に、図7に仮想線で示すようなシャワー管79を設けることができる。このようにすると、前記のような機械力によるゴミ落しに加え、シャワーによる水の噴射力や流れによってゴミ類の分離や流し去り作用が細部にまで及ぶので、ゴミの除去率および清掃度がさらに高まる。