JP2005080079A - 音声再生装置及び音声再生方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 低域用スピーカシステム5により、所望の音場は得られるような音波面が形成された低域音声を出力することで、低域音声については広い受聴範囲で全体的な音像定位を得るようにしている。そのうえで、高域用スピーカシステム6から出力する高域音声を所定の遅延時間だけ遅延させて出力することで、例えば高域用スピーカシステム6から出力する高域音声の音像が絶対音像よりずれている場合でも、聴取者に対して低域再生手段から出力する低域音声の絶対音像位置に高域音声の音像を知覚させることが可能になる。
【選択図】図1
Description
例えば、2チャンネルのインテンシティ方式のステレオ再生システムや、多チャネルのサラウンド方式のステレオ再生システムなどが知られている。
そして、前者のようなステレオ再生システムであれば、所定の受聴位置、すなわち左右のスピーカと受聴位置とで正三角形を形成する受聴位置において目的とする音像定位が得られるようにしていた。
図5は、スピーカの配置位置と受聴位置における聴取者の両耳応答特性の関係を示した図である。
この図5(a)には、聴取者の前方左右に2つのスピーカ(左スピーカSLと右スピーカSR)を配置されている。
このとき、2つのスピーカSL,SRから等距離とされる受聴位置Aの聴取者の両耳へ到来する音は、図5(b)のように示すことができる。つまり、受聴位置Aの聴取者の左耳には、左スピーカSLから左音声L1が到達し、右耳には右スピーカSRからの右音声R1が到達することになる。この場合、左右のスピーカから聴取者の耳に到達する左右の音声L1、R1のタイミングはほぼ一致したものとなり、受聴位置Aの聴取者は、これら2つのスピーカSL,SRのほぼ中央付近の位置aに音像があるように知覚されることになる。
これら音声R2、L2は、左右のスピーカSL,SRから回り込んで聴取者の反対側の耳に到達することになるので、聴取者の耳に到達するタイミングは、上記同様、音声L1、R1に比べて遅れることになる。ただし、この場合は、左右のスピーカから聴取者までの距離が異なるので、左右のスピーカから音声R2、L2が到達するタイミングに差が生じることになる。
この場合、受聴位置Bの聴取者には、先に到達する右音声R1の方向に音像定位が得られる先行音効果によって、右スピーカSRの位置に音像が定位することになる。つまり、受聴位置Bの聴取者は、受聴位置Aの聴取者が得る音像位置aとは異なる音像位置bに音像が得られることになる。但し、実際には左右のスピーカから聴取者に到達する左右音声のレベルなどが異なることから、受聴位置Bの聴取者が知覚する音像位置が右スピーカSRよりの位置に音像定位したような音像定位感が得られることになる。
この図6(a)には聴取者の前方中央に1つのスピーカSCが配置されている。この場合、スピーカSCのほぼ正面に位置する受聴位置Aの聴取者に対して到来するスピーカSCからの音声C1は、図6(b)のように示すことができる。つまり、この場合は受聴位置Aの聴取者の両耳に対してほぼ同じタイミングでスピーカSCからの音が到達することになる。また、この場合の音像位置cはスピーカSCの位置と一致することになる。
また、特許文献1には、スピーカを音波の最大空間周波数の1/2波長以下の間隔で配列して再生したときに、原音場に近い波面を再現するための音声を収音する技術なども開示されている。
このため、数十Hzの低域から数十kHzの高域までの広帯域にわたって音場を再現するには、狭い間隔で多数のスピーカを配置することが必要になる。
例えばスピーカにより17kHzの音を再生して音場を再現するには、スピーカを1cm間隔で配置することが必要になり、実際にスピーカを配置することは不可能であった。
したがって、上記特許文献1に開示されているような再生装置では、低域から高域までの広い周波数帯域の音波を一つの波面により出力することは困難であり、高域を含めた広帯域の音場を再現することができないという問題を有している。
高域音声再生手段から再生出力される高域音声を、低域音声再生手段から再生出力される低域音声に対して所定時間遅延されたタイミングで再生出力させる再生出力タイミング制御手段とを備えるようにした。
なお、本実施の形態では、本発明の音声再生装置としての機能を備えたAVシステムを例に挙げて説明する。
図1は、本実施の形態のAVシステムにおけるスピーカの配置例を示した図である。なお、図1は本実施の形態のAVシステム1を上面側から見た図である。
また、このようなAVシステム1では、視聴者U(U1、U2、U3)の背面側に広帯域用スピーカシステム7が配置されている。
これらの複数の低域用スピーカ5−1、5−2・・・は、間隔L(Lは距離(長さ)を示す)で配置されている。
低域用スピーカ5−1、5−2・・・の間隔Lは、低域用スピーカ5−1、5−2・・・により再生する再生音声の最大再生周波数(最大空間周波数)によって決定される波長λの1/2以下の長さであればでよい。またその間隔Lは必ずしも一定である必要はない。
例えば低域用スピーカ5−1、5−2・・・の最大再生周波数を3kHzとして低中域音声の再生を行う場合は、低域用スピーカ5−1、5−2・・・を5.6cm以下の間隔で配置すれば良いことになる。
なお、実際には低域用スピーカ5−1、5−2・・・のサイズ等を考慮して、スピーカの配置間隔、すなわちスピーカの最大再生周波数などを決定すればよいものである。
広帯域用スピーカシステム7は、図1示すAVシステム1においてサラウンド再生を実現するために、視聴者Uの後方左右に広帯域用スピーカ7−1、7−2にそれぞれ配置され、リア方向のサラウンド音声を出力するようにしている。
このような超低域用スピーカ8もまた、図1示すAVシステム1においてサラウンド再生を実現するために設けられるものとされる。例えば、視聴者Uの前面方向に配置されている。
例えば上記特許文献1に開示された技術により収音した音声、つまりマイクロホンを低域用スピーカシステム5の各低域用スピーカ5−1、5−2・・・と同じ間隔Lで配置して収音することにより得るようにした低域音声を利用することが考えられる。あるいは、武田他、「多チャネルスピーカ再生を用いた波面合成に関する検討」日本音響学会講演論文集、2000年9月、p407-408に記載されているような方法で作成された信号から低域音声信号を作成して、この低域音声信号を用いて作成した低域音声を利用することが考えられる。
そのうえで、高域用スピーカシステム6から再生する高域音声の再生タイミングを、上記低域用スピーカシステム5から再生する低域音声の再生タイミングより所定の遅延時間だけ遅らせるようにしている。
この結果、次に説明する理由によって、本実施の形態のAVシステム1では、低域から高域までの広帯域に渡って目的とする音場を再現することが可能になる。
すなわち、例えば同じ音源に由来する音を低域周波数成分と高域周波数成分に分けて出力したときに、低域周波数成分を時間的に先となるように出力させれば、この低域周波数成分の音により、その音源としての音場が決定されるということである。
このようなことから結果的に、低域から高域の広帯域にわたって、目的とする音場を再現するための波面形成が行われたのと同等の聞こえ方を得ることができる。
先ず、上記したようなAVシステム1において音源として用いられる記録メディアのデータ構造例について説明する。
なお、記録メディアには、映像データ、字幕データ、及び音声データが多重化されて記録されているものとする。
またこの場合、記録メディアに記録される音声データとしては、上記した低域用スピーカシステム5の低域用スピーカ5−1、5−2・・・と、高域用スピーカシステム6の高域用スピーカ6−1〜6−3にそれぞれ対応した、いわゆる波面再生方式の音声データ、及び広帯域用スピーカシステム1の広帯域用スピーカ7−1、7−2と超低域用スピーカ8にそれぞれ対応したサラウンド再生方式の音声データが多重化されて記録されているものとする。
この図2(a)に示すように、記録メディアにおいては、例えば映像パケット、字幕パケット、及び複数の音声パケット1、音声パケット2・・・音声パケットnからなるパックが構成され、その先頭にはパックヘッダが付加されている。パックヘッダには、例えば同期再生時に基準となる付加情報が与えられている。
パケットヘッダには、例えば音声制御に用いる各種制御データが記録されている。
例えばサンプリング周波数、多重化チャネル数、クロスオーバー周波数、データ符号化方式を表すデータ符号化方式コードが、及び、音声信号再生方式の仕様(フォーマット)を表す音声信号仕様コードなどが記録されている。
さらに、この音声信号仕様コードには、音声データのフォーマット、例えば再生方式(波面再生方式/インテンシティ制御方式)やスピーカ間隔、スピーカ配置などの情報が記録されている。
チャネルヘッダには、例えばチャネル番号、周波数帯域、ゲイン、位相量を示した各データが付加情報として記録されている。
この図3において、光ディスク駆動部10は、光ディスクに記録されている多重化データを読み出すようにされる。
逆多重化回路11は、読み出された多重化データから、ヘッダと、映像データ、字幕データ及び複数チャネルの音声データの検出及び分離を行うようにされる。
また、音声データデコード回路12はデコードした音声データの位相や振幅レベルの調整を行って音声再生部20に出力するようにされる。
このとき、音声データデコード回路12は、デコードした音声データのうち、広帯域周波数データは広帯域周波数再生回路21に出力し、超低域周波数データは超低域周波数再生回路23に出力するようにされる。また、低域周波数データは低域周波数再生回路25に、高域周波数データは高域周波数再生回路27に出力するようにされる。
映像再生回路16は、映像データデコード回路14でデコードされた映像データに所要の再生処理を施して映像信号として出力するようにされる。
映像表示装置部18は、字幕・スーパーインポーズ回路17から供給される映像信号に基づいて映像を表示するようにされる。
高域周波数増幅回路29は、遅延回路28により所定の遅延時間分だけ遅延させた高域周波数再生回路27からの高域周波数信号をそれぞれ所定レベルまで増幅した後、高域用スピーカシステム6に出力し、高域用スピーカシステム6の高域用スピーカ6−1、6−2、6−3から出力するようにされる。
例えば、上記図2に示したパケットヘッダに付加されているサンプリング周波数や、データ符号化方式コードに基づいて、音声データデコード回路12の動作を切り替える切替制御をおこなうようにされる。また、同じくパケットヘッダに付加されている音声信号仕様(フォーマット)コードから、音声再生部20の仕様と一致する音声パケットだけを選択するようにされる。
音声パケット1が波面再生方式の音声パケット、音声パケット2がインテンシティ制御方式の音声パケット、音声パケット3がサラウンド再生方式の音声パケットであれば、対応する音声パケット1と音声パケット3を選択するようにされる。
そして、チャネルヘッダのチャネル番号により各音声チャネルの音声データを対応する再生回路、すなわち広帯域周波数再生回路21、超低域周波数再生回路23、低域周波数再生回路25、高域周波数再生回路27へ伝送するため制御を行うようにされる。
なお、図3と同一ブロックには同一番号を付してその詳細な説明は省略する。
図4に示したAVシステムにおいては、図示するように、音声データデコード回路12と、超低域周波数再生回路23、低域周波数再生回路25、及び高域周波数再生回路27との間に、周波数帯域分離回路41が設けられている点が、上記図3に示したAVシステム1と異なるものとされる。
そして、このようにして周波数帯域分離回路41で分離した高域周波数データと低域周波数データを、超低域周波数再生回路23、低域周波数再生回路25、及び高域周波数再生回路27に供給する。
このとき、低域周波数再生回路25では、広帯域周波数データから分離した低域周波数データの位相やレベルの制御を行い、低域用スピーカシステム5から目的とする音場を再現するための低域音声を出力することができる低域周波数データを信号処理によって生成することができる。
また、記録メディアは、光ディスクに限定されるものでなく、例えばブルーレイディスクなどでも良いことは言うまでもない。
Claims (3)
- 目的とする音場を再現する音波面が形成されるようにして、所定の最大周波数以下の音声である低域音声を再生出力する低域音声再生手段と、
前記低域音声を帯域成分として有する音源に含まれ、前記低域音声の最大周波数より高い周波数成分を含む高域音声を再生出力する高域音声再生手段と、
前記高域音声再生手段から再生出力される前記高域音声を、前記低域音声再生手段から再生出力される低域音声に対して所定時間遅延されたタイミングで再生出力させる再生出力タイミング制御手段と、
を備えることを特徴とする音声再生装置。 - 前記低域音声再生手段は、
前記最大周波数によって決定される音波の波長の1/2以下の長さ間隔で配置された複数のスピーカを含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載の音声再生装置。 - 目的とする音場を再現する音波面が形成されるようにして、所定の最大周波数以下の音声である低域音声を再生出力する低域音声再生手順と、
前記低域音声を帯域成分として有する音源に含まれ、前記低域音声の最大周波数より高い周波数成分を含む高域音声を再生出力する高域音声再生手順と、
前記高域音声再生手段から再生出力される前記高域音声を、前記低域音声再生手段から再生出力される低域音声に対して所定時間遅延されたタイミングで再生出力させる再生出力タイミング制御手順と、
を実行することを特徴とする音声再生方法。
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