JP2005077881A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 コア粒子表面にシェル層を有してなるコアシェル構造型トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、シェル層がポリエステル樹脂からなり、トナー中のスズ含有量が0.027重量%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし
Description
本発明のトナーはまた、低温定着性と耐熱保管性との両立も達成できる。特に、本発明のトナーはオイルを塗布しない定着システムにおいても良好な定着分離性を呈する。
本発明のトナーはさらに、スズの含有量が少ないので、環境安全性に優れている。
本発明においてコア粒子はいかなる構成を有していて良く、例えば、少なくとも樹脂粒子が凝集/融着されてなる構成を有していても良いし、または1の樹脂粒子から構成されていてもよい。コア粒子、ひいてはトナー粒子の粒度分布のシャープ化および粒度分布の再現性などの観点から、前者の構成を有することが好ましい。以下、前者の構成を有するコア粒子について説明する。
「融着」は、凝集粒子における個々の構成粒子の界面の少なくとも一部において樹脂粒子等の溶融による結合が形成され、使用、取り扱い単位としての一つの粒子となることを意図する概念で用いるものとする。そのような「融着」がなされた粒子群を「融着粒子」と呼ぶものとする。
「凝集/融着」とは、凝集と融着とが同時あるいは段階的に起こること、または、凝集と融着とを同時あるいは段階的に起こさせる行為をいう。
塩基性極性基を有するモノマーとしては、アミノスチレン及びその四級塩、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有モノマー、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、及びこれらのアミノ基を四級化したアンモニウム塩を有する(メタ)アクリル酸エステル、更には、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、アクリル酸アミド等を挙げることができる。
カチオン系界面活性剤の具体例としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなど)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウムなど)などのイオン性界面活性剤を好適なものとして例示することができる。また、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールとのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレノキサイドとのエステル、ソルビタンエステルなどのノニオン性界面活性剤も使用することができる。
これらの界面活性剤は乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程または使用目的で使用してもよい。
樹脂粒子を構成する低分子量樹脂粒子(複合樹脂粒子の低分子量成分)の重量平均分子量(Mw)は、通常15,000〜20,000とされる。かかる低分子量樹脂を含む樹脂粒子を使用することにより、得られるトナーに優れた定着強度をより有効に付与することができる。
樹脂粒子を構成する中間分子量樹脂粒子(複合樹脂粒子の中間分子量成分)の重量平均分子量(Mw)は、通常20,001〜159,999とされる。
一般式(1):R1−(OCO−R2)n
(式中、R1およびR2はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜40の炭化水素基を示し、nは1〜4の整数である。)
粒子の凝集速度や粒径制御については所望の粒径に到達するまで系内の粒子の凝集状態を顕微鏡や粒径測定器などでモニターしながら、反応温度や攪拌回転数を操作することで行う。そして所望の粒径に到達したときに、シェル層の形成工程に連続的に進行してもよいし、系の粒径成長を停止あるいは成長速度を遅くするために凝集力を低下させる操作を行ってもよい。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド81:3、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントレッド238等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
これらの有機顔料および染料は所望に応じて、単独または複数を選択併用することが可能である。
本発明においてシェル層は特定のポリエステル樹脂からなる。すなわちシェル層を構成するポリエステル樹脂は多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との重縮合反応物であって、当該反応の際にスズ化合物触媒の使用量を抑えたものである。本発明においてはスズ化合物触媒の使用量を抑えて得られたポリエステル樹脂を使用することにより、トナー中のスズ含有量0.027重量%以下、好ましくは0.015重量%以下、特に0.009重量%以下を達成する。本発明においてはそのようなトナー中のスズ含有量を達成するようなポリエステル樹脂を用いてシェル層を形成することにより、シェル層の均一な形成が可能になり、結果として帯電環境安定性の低下をもたらすことなく、耐破砕性が向上したトナーを得ることができる。さらに、そのようなシェル層を有するトナー粒子は優れた耐熱保管性を確保し、また定着時においてワックスが迅速に粒子表面に滲み出るため、低温定着性と耐熱保管性の両立を達成できる。
Ti(OR3)4
(式中、R3は炭素数1〜10、好ましくは2〜8、特に2〜6のアルキル基を示す)で表される化合物である。そのようなチタンアルコラートの具体例として、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート又はテトラ−2−エチルヘキシルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラオクチルチタネート等が挙げられる。
アルカリ土類金属アルコキシドの具体例として、例えば、上記アルカリ金属アルコキシドと同様のアルコールの水酸基の水素をアルカリ土類金属で置換した化合物等が挙げられる。
金属アルコラートは合成されたポリエステル樹脂中において架橋剤の役目を果たす。すなわち、金属アルコラートはポリエステル樹脂中の水酸基やカルボキシル基等の官能基と反応して橋掛け構造をつくり、該ポリエステル樹脂を三次元構造に近づけたり、巨大分子化する。例えば、チタンアルコラートは水酸基に対して図1に示すような反応を起こし、ポリエステルの架橋剤として作用する。また例えば、チタンアルコラートはカルボキシル基に対しては図2に示すような反応を起こし、ポリエステルの架橋剤として作用する。そのようなポリエステル樹脂をシェル層に含有させることにより、該シェル層がより強固になり、トナーの耐破砕性が著しく向上する。また金属アルコラートの架橋作用によってポリエステル樹脂の水酸基やカルボキシル基が消費されるため、帯電環境安定性がより向上する。
シェル用ポリエステル樹脂合成時の触媒の総使用量はスズ化合物触媒の使用量が上記範囲内である限り特に制限されず、通常は該ポリエステル樹脂を構成する多価アルコール成分と多価カルボン酸成分との総量に対して0.001〜0.4重量%、好ましくは0.005〜0.2重量%、更に好ましくは0.01〜0.1重量%の範囲内である。上記触媒の総使用量を維持しつつ、金属アルコラート(特にチタンアルコラート)の使用割合を上げると、高温高湿並びに低温低湿での帯電環境安定性と耐破砕性とが向上する。そのような向上効果を得るための金属アルコラート(特にチタンアルコラート)の使用割合は触媒総使用量の30〜100重量%、好ましくは60〜100重量%が適切である。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物としてはポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス (4−ヒドロキシフェニル) プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(付加モル数1〜16)付加物等が挙げられる。
2価カルボン酸化合物の具体例としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸や、ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、ならびにこれらの酸の無水物およびアルキル(炭素数1〜8)エステル等が挙げられる。
軟化点(Tm)は、通常90〜140℃とされ、好ましくは100〜130℃、更に好ましくは100〜120℃とされる。
ガラス転移点は(Tg)、通常35〜75℃とされ、好ましくは40〜70℃、更に好ましくは45〜65℃とされる。
酸価(Av)は、通常1〜40KOHmg/gとされ、好ましくは1〜35KOHmg/g、更に好ましくは1〜30KOHmg/gとされる。
水酸価(OHv)は、通常1〜40KOHmg/gとされ、好ましくは1〜35KOHmg/g、更に好ましくは1〜30KOHmg/gとされる。
ポリエステル樹脂は2種類以上組み合わせて使用されてよく、その場合は各ポリエステル樹脂が上記のMw,Tm,Tg,AvおよびOHvを有すれば良い。
ポリエステル樹脂を軟化点以上の温度(例えば、溶融温度)に維持しながら、水系媒体中に機械的手段により分散させてもよいし、または水系媒体中でポリエステル樹脂を必要に応じて加圧下で軟化点以上の温度(例えば、溶融温度)に加熱した後、機械的手段により分散させてもよい。
機械的手段としては、例えば、スリットを有するリング状固定子とスリットを有するリング状回転子とを、僅かな間隔を保持して、相互にかみ合うように同軸上にもうけた高速回転型連続式乳化分散機を使用するのが好ましい。粒子の粒径制御においては上記分散機の回転数、並びに時間、水系媒体の加熱温度、樹脂自体の温度等を適宜調整することにより任意の粒径に制御できる。水系媒体中には分散安定化のために前記の界面活性剤が適宜添加されてもよい。
粒子を安定に分散するためには、水系媒体中あるいは樹脂の溶融体中に前記界面活性剤や塩基性物質を添加することができるが、トナーの帯電特性と樹脂粒子の安定性の観点からは、水系媒体に塩基性物質を添加することが好ましい。塩基性物質としては、例えば、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩基化合物、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどの有機アミン類等が挙げられる。水系媒体は水であることが好ましく、さらに好ましくは脱イオン水である。
ポリエステル樹脂を有機溶媒に溶解し、得られた溶液を水系媒体中、ホモジナイザー等の混合撹拌装置によって高速剪断下で分散し、加熱することによって有機溶媒を除去する。
有機溶媒はポリエステル樹脂を溶解可能で、かつ水に不溶なものが使用され、ポリエステルの構成成分にもよるが、通常、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、塩化メチレン、クロロフォルム、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素類、エタノール、ブタノール、ベンジルアルコールエーテル、テトラヒドロフラン等のアルコール類、エーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類が挙げられる。
水系媒体中には分散安定化のために前記の界面活性剤が適宜添加されてもよい。
有機溶媒の除去は減圧下で行ってもよい。
洗浄処理工程では、得られたトナー粒子の分散液からトナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や凝集剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。濾別されたトナー粒子を洗浄する手段は従来公知の洗浄方法が用いられ、例えば、濾別されたトナー粒子を攪拌装置を具備した容器中で純水でリスラリー化・攪拌するなどの方法や、減圧濾過や遠心分離濾過中に純水をかける等の方法が用いられる。また、このときにトナー粒子中に残存する界面活性剤や金属塩類を溶出/除去するために純水で洗浄する前に予め酸性またはアルカリ性の処理を施してもよい。このような処理によってはシェル用ポリエステル樹脂の合成時に使用されたスズ化合物触媒はほとんど除去されるものではないが、本発明においては該樹脂の合成時においてスズ化合物触媒の使用量を抑えているので、トナー中のスズ含有量を有効に低減できる。
ポリエステル樹脂含有スラリーAの製造法
表1の構成Iに示すフマル酸以外の原料及び全原料に対して0.08重量%の酸化ジブチル錫を窒素雰囲気下、220℃で5時間反応させた後、フマル酸を表1に示す使用量で添加し、200℃で反応させて、ポリエステル樹脂Aを得た。次にそのポリエステル樹脂Aを200℃に維持したまま毎分1Lの速度で0.5重量%の希アンモニア水を、ポリエステル樹脂中に送り込んでスラリーを得た。得られたスラリーは60℃まで冷却して取り出した。さらに、脱イオン水で希釈して固形分含有量を25%に調製し、最終的に200nmのスラリーAを得た。
表1の構成Iに示すフマル酸以外の原料及び全原料に対して0.04重量%の酸化ジブチル錫並びに0.04重量%のテトラブチルチタネートを窒素雰囲気下、220℃で5時間反応させた後、フマル酸を表1に示す使用量で添加し、200℃で反応させて、ポリエステル樹脂Bを得た。次にそのポリエステル樹脂Bを200℃に維持したまま毎分1Lの速度で0.5重量%の希アンモニア水を、ポリエステル樹脂中に送り込んでスラリーを得た。得られたスラリーは60℃まで冷却して取り出した。さらに、脱イオン水で希釈して固形分含有量を25%に調製し、最終的に200nmスラリーBを得た。
表1の構成Iに示すフマル酸以外の原料及び全原料に対して0.08重量%のテトラブチルチタネートを窒素雰囲気下、220℃で5時間反応させた後、フマル酸を表1に示す使用量で添加し、200℃で反応させて、ポリエステル樹脂Cを得た。次にそのポリエステル樹脂Cを200℃に維持したまま毎分1Lの速度で0.5重量%の希アンモニア水を、ポリエステル樹脂中に送り込んでスラリーを得た。得られたスラリーは60℃まで冷却して取り出した。さらに、脱イオン水で希釈して固形分含有量を25%に調製し、最終的に200nmのスラリーCを得た。
表1の構成IIに示すフマル酸以外の原料及び全原料に対して0.08重量%の酸化ジブチル錫を窒素雰囲気下、220℃で5時間反応させた後、フマル酸を表1に示す使用量で添加し、200℃で反応させて、ポリエステル樹脂Dを得た。次にそのポリエステル樹脂Dを200℃に維持したまま毎分1Lの速度で0.5重量%の希アンモニア水を、ポリエステル樹脂中に送り込んでスラリーを得た。得られたスラリーは60℃まで冷却して取り出した。さらに、脱イオン水で希釈して固形分含有量を25%に調製し、最終的に200nmのスラリーDを得た。
表1の構成Iに示すフマル酸以外の原料及び全原料に対して0.08重量%の酸化ジブチル錫並びに0.04重量%のテトラブチルチタネートを窒素雰囲気下、220℃で5時間反応させた後、フマル酸を表1に示す使用量で添加し、200℃で反応させて、ポリエステル樹脂Eを得た。次にそのポリエステル樹脂Eを200℃に維持したまま毎分1Lの速度で0.5重量%の希アンモニア水を、ポリエステル樹脂中に送り込んでスラリーを得た。得られたスラリーは60℃まで冷却して取り出した。さらに、脱イオン水で希釈して固形分含有量を25%に調製し、最終的に200nmのスラリーEを得た。
表1の構成Iに示すフマル酸以外の原料及び全原料に対して0.04重量%の酸化ジブチル錫並びに0.08重量%のテトラブチルチタネートを窒素雰囲気下、220℃で5時間反応させた後、フマル酸を表1に示す使用量で添加し、200℃で反応させて、ポリエステル樹脂Fを得た。次にそのポリエステル樹脂Fを200℃に維持したまま毎分1Lの速度で0.5重量%の希アンモニア水を、ポリエステル樹脂中に送り込んでスラリーを得た。得られたスラリーは60℃まで冷却して取り出した。さらに、脱イオン水で希釈して固形分含有量を25%に調製し、最終的に200nmのスラリーFを得た。
表1の構成Iに示すフマル酸以外の原料及び全原料に対して0.16重量%の酸化ジブチル錫を窒素雰囲気下、220℃で5時間反応させた後、フマル酸を表1に示す使用量で添加し、200℃で反応させて、ポリエステル樹脂Gを得た。次にそのポリエステル樹脂Gを200℃に維持したまま毎分1Lの速度で0.5重量%の希アンモニア水を、ポリエステル樹脂中に送り込んでスラリーを得た。得られたスラリーは60℃まで冷却して取り出した。さらに、脱イオン水で希釈して固形分含有量を25%に調製し、最終的に200nmのスラリーGを得た。
表1の構成Iに示すフマル酸以外の原料及び全原料に対して0.2重量%の酸化ジブチル錫を窒素雰囲気下、220℃で5時間反応させた後、フマル酸を表1に示す使用量で添加し、200℃で反応させて、ポリエステル樹脂Hを得た。次にそのポリエステル樹脂Hを200℃に維持したまま毎分1Lの速度で0.5重量%の希アンモニア水を、ポリエステル樹脂中に送り込んでスラリーを得た。得られたスラリーは60℃まで冷却して取り出した。さらに、脱イオン水で希釈して固形分含有量を25%に調製し、最終的に200nmのスラリーHを得た。
NPG;ネオペンチルグリコール
BPA-PO;ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物
BPA-EO;ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物
TPA;テレフタル酸
TMA;トリメリット酸
FA;フマル酸
第一段重合;
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlの反応釜にアニオン系界面活性剤 C10H21(OCH2CH2)2OSO3Na7.08gをイオン交換水3010gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、反応釜内の温度を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9g、t−ドデシルメルカプタン10.0gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を80℃にて2時間にわたり加熱、攪拌することにより重合(第一段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。
攪拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸6.2g、t−ドデシルメルカプタン5.6gからなる単量体混合液に、結晶性物質として、WEP−5(日本油脂)98.0gを添加し、80℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。一方、アニオン系界面活性剤(上記式)1.6gをイオン交換水2700mlに溶解させた界面活性剤溶液を82℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記ラテックスを固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)により、前記例示WEP−5含有の単量体溶液を0.5時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化液)を調製した。次いで、この分散液(乳化液)に、重合開始剤(KPS)5.1gをイオン交換水240mlに溶解させた開始剤溶液と、イオン交換水750mlとを添加し、この系を82℃にて12時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第二段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の樹脂微粒子の分散液)を得た。これを「ラテックス1」とする。
上記の様にして得られたラテックス1に、重合開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル10.0gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合(第三段重合)を行った後、28℃まで冷却しラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、前記中間層にWEP−5が含有されている樹脂微粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス2」とする。このラテックス2を構成する樹脂微粒子は、20,000、80,000にピーク分子量を有するものであり、また、この樹脂微粒子の重量平均粒径は130nmであった。
シアン着色剤分散液C1
顔料C.I.ピグメントブルー15:3 50重量部
ドデシル硫酸エステルNa塩 10重量部
イオン交換水 200重量部
上記をサンドグラインダーミルで分散させ、体積平均粒子径(D50)が170nmの顔料微粒子分散液を得た。
実施例1
コア粒子の形成
ラテックス2を420.7g(固形分換算)と、イオン交換水900gと、着色剤分散液1166gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、攪拌装置を取り付けた反応容器(四つ口フラスコ)に入れ攪拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜10.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物12.1gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に84℃まで昇温し、融着粒子の生成(粒径成長時間90分)を行った。
その状態で、「コールターカウンター TA-II」にて融着粒子の粒径を測定し、個数平均粒径が6.1μmになった時点で、ポリエステル含有樹脂スラリーA(シェル粒子)をコアラテックス(コア粒子)総量(固形分)の15%に相当する量で3gの界面活性剤をイオン交換水1000mlに溶解した水溶液と共に分散させた後、15gの凝集剤(塩化マグネシウム・6水和物)をイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を滴下しながら約4時間攪拌した。次いで、塩化ナトリウム80.4gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に熟成処理として液温度95℃にて2時間にわたり加熱攪拌することにより、粒子の融着及び結晶性物質の相分離を継続させた(熟成工程)。その後、30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、攪拌を停止した。生成した融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄を行い、その後、40℃の温風で乾燥することにより、トナー粒子を得た。
スラリーAの代わりに表3に示すスラリーを用いたこと以外、実施例1の方法と同様にして、トナー粒子を得た。
<シェル化確認評価手順>
ステップ1(遠心分離法による目視評価)
撹拌を停止した直後のトナー粒子分散液を高速度遠心機(型式55-1;佐久間製作所製)により所定の条件下(7500rpmで10分間遠心分離)でトナー粒子と液体成分とに分離し、その後取り出した上澄み液を観察してシェルの付き具合を確認した。
◎;トナー粒子分散液がトナー粒子と液体成分に完全に分離し、上澄み液が完全に透明であった;
○;トナー粒子分散液がトナー粒子と液体成分に完全に分離し、上澄み液がわずかに濁っていた;
△;トナー粒子分散液がトナー粒子と液体成分にほぼ完全に分離し、上澄み液にやや濁りが有ったが、実用上問題なかった;
×;トナー粒子分散液がトナー粒子と液体成分に分離せず、乳濁色をしており透視できない状態であり、実用上問題があった。
イオン交換水を用いた第1回目の洗浄工程中のろ液を観察し、以下のランク付けを行った。
○;ろ液が完全に透明であった;
△;わずかに濁りが見られるがほぼ透明であり、実用上問題なかった;
×;乳濁色をしており、実用上問題があった。
トナー中のスズ含有量の測定は、高周波プラズマ発光分析装置(ICP-1000III:島津製作所社製)を用いて行った。
トナー20gをガラス瓶に入れ、50℃の高温下に24時間放置後、そのトナーを目視で確認することにより評価した。
○:凝集トナーがなく、全く問題なし;
△:軽い軟凝集が存在するが、軽い力ですぐ解れ、実用上問題ないもの;
×:強い凝集塊が存在し、容易には解れないもので実用上問題あり。
L/L環境(10℃、15%RH)およびH/H環境(30℃、85%RH)においてC/W比20%の画像で1000枚の連続ランニングを行った後、画像濃度と感光体上のカブリを目視観察した。
◎;画像濃度低下およびカブリは全く発生していなかった;
○;画像濃度低下およびカブリはわずかに見られたが殆ど問題のないレベルであった;
△;画像濃度低下および/又はカブリが若干発生していたが、実用上問題のないレベルであった;
×;画像濃度低下および/又はカブリが発生し、実用上問題があった。
評価は、L/L環境下(10℃/15%RH)において、カラーレーザープリンタmagicolor 2300 DL(ミノルタ製)により白紙で2000枚の連続耐久試験を行った後、スリーブ上から評価トナーを採取して、反射型電子顕微鏡を用いて、1000倍の倍率で視野を変えて観察を5回行い、トナー500個中の破砕トナーの平均個数で行った。評価基準を以下に示す。
◎:破砕トナーが全くなく(1個未満)で、実用上問題ないもの;
○:破砕トナーが1〜2個存在するが、実用上問題ないもの;
△:破砕トナーが3〜9個存在し、実用上問題あるもの;
×:破砕トナーが10個以上存在し、実用上問題あるもの。
評価は、L/L環境下(10℃/15%RH)において、カラーレーザープリンタ(ミノルタ製magicolor 2300 DL)により白紙2000枚の連続耐久試験を行った後、スリーブ上から評価トナーを採取して、粒径測定器(コールターマルチサイザーII;べックマンコールター社製)において測定した粒径3μ以下の微粉成分の個数%の違いについて評価した。評価基準を以下に示す。
◎:粒径3μ以下の微粉成分の個数が3%未満であり、耐久前のトナーの微粉成分量と全く同じであった;
○:粒径3μ以下の微粉成分の個数が3%以上5%未満であった;
△:粒径3μ以下の微粉成分の個数が5%以上10%未満であった;
×:粒径3μ以下の微粉成分の個数が10%以上であった。
各実施例および比較例で得られたトナーをカラーレーザープリンタ(ミノルタ製magicolor 2300 DL)(ミノルタ社製)における4つの現像器に充填した。プリンタの定着機としては標準装備の定着機を取り出し、定着温度を任意に制御できるように一部改造した外部定着装置を用いて評価した。当該定着装置はオイルレス定着方式を採用するものである。
オフセットの発生しない温度の下限値+15℃に定着装置のローラ温度を設定して、MTペーパー(坪量64g/m2)を用いて、合計付着量15g/m2の全面ベタ画像を画だしした。上記ペーパー上、画像は上下端及び左右端で各5mm欠損させている。定着ローラへの巻き付きが発生せず、通紙できたトナーを「○」、定着ローラへの巻き付きが発生し、通紙できなかったトナーを「×」とした。
上記分離性の評価方法において150℃で紙上に定着された画像を真中から2つに折り曲げてその剥離性を目視にて以下のように総合判断した。
○:剥離が生じず、実用上問題なし;
△:若干剥離が生じるが、実用上問題がない;
×:剥離が生じ、実用上問題あり。
<樹脂分子量>
GPCによる樹脂の分子量の測定方法としては、測定試料0.5〜5.0mg(具体的には1mg)に対してTHFを1cc加え、室温にてマグネティックスターラなどを用いて攪拌を行い十分に溶解させる。次いで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルタで処理した後にGPCへ注入する。GPCの測定条件としては、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分0.35ccの流速で流し、1mg/ccの濃度の試料を約10μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、東ソー社製のTSKgel Super HZ1000、HZ2000、HZ2500、HZ3000、HZ4000、HZM-N、HZM-M、HZM-H、TSK guardcolumn SuperHZ-L、HZ-Hの組み合わせなどを挙げることができる。検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)またはUV検出器を用いることが好ましい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いた。
示差走査熱量計(DSC-200:セイコー電子社製)を用い、測定する試料10mgを精密に秤量して、これをアルミニウムパンに入れ、リファレンスとしてアルミナをアルミニウムパンに入れたものを用い、昇温速度30℃/minで常温から200℃まで昇温させた後、これを冷却し、昇温速度10℃/minで20℃〜150℃の間で測定を行い、この昇温過程で30℃〜90℃の範囲におけるメイン吸熱ピークのショルダー値をTgとした。
フローテスター(CFT-500:島津製作所社製)を用い、測定する試料1.0gを秤量し、h1.0mm×φ1.0mmのダイを使用し、昇温速度3.0℃/min、予熱時間180秒、荷重30kg、測定温度範囲60〜140℃の条件で測定を行い、上記の試料が1/2流出したときの温度を樹脂軟化点(Tm)とした。
10mgの試料をトルエン50mlに溶解し、0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用いて、予め標定されたN/10水酸化カリウム/アルコール溶液で滴定し、N/10水酸化カリウム/アルコール溶液の消費量から算出した値である。
水酸価は、秤量された試料を無水酢酸で処理し、得られたアセチル化合物を加水分解し、遊離する酢酸を中和するのに必要な水酸化カリウムmgで表した。
スラリーの粒径は、マイクロトラックUPA150(日機装社製)にて測定した。
コア粒子の粒径は、マイクロトラックUPA150(日機械装社製)にて測定した。トナー粒子の粒径は、マルチサイザーII(ベックマンコールター社製)にて測定した。
Claims (4)
- コア粒子表面にシェル層を有してなるコアシェル構造型トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、シェル層がポリエステル樹脂からなり、トナー中のスズ含有量が0.027重量%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- シェル層のポリエステル樹脂における該樹脂の構成成分としてのビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物の含有量が5重量%未満であることを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
- コア粒子が少なくとも樹脂粒子を凝集/融着してなる構成を有することを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
- コア粒子が付加重合型樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
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