JP2005077833A - トナーの製造方法 - Google Patents

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Takuya Kadota
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Abstract

【課題】 離型剤の分散性を良好とした帯電性、定着性が良好なトナーを提供する。
【解決手段】 重量平均分子量5000〜40000の樹脂Aと、樹脂Aと主鎖の結合構造が同じである重量平均分子量が10000〜150000の結晶性樹脂Bと、樹脂Aより分子量の大きい樹脂Cからなるトナーの製造方法において、樹脂Aと樹脂Bを混合混練する第1の工程と、得られた混練物と樹脂Aよりも重量平均分子量の小さい離型剤成分を樹脂Cとともに混合混練する第2の工程とを有するトナーの製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、静電潜像担持体等に形成した画像を現像して画像を形成する電子写真方式による画像形成に用いるトナーの製造方法に関するものである。
トナーは、結着樹脂と顔料を主成分とする組成物であって、形成される画像の品質を向上し、また記録部材の特性、環境条件等によって変動する様々な定着条件にも対応可能なように各種の添加剤が加えられている。
また、定着温度を低下させるために低軟化温度のポリエステルを用いることが提案されている。ところが、ポリエステルによって低温定着性が向上するものの、耐オフセット性が充分なものとは言えなかった。
そこで、結着樹脂として複数種類の結着樹脂を使用し、一種類の結着樹脂では、得ることができないトナー特性の改善を行うことが提案されている。
例えば、結晶性ポリエステル、非晶質樹脂、ワックス、帯電制御剤及び着色剤を原料としてトナーを製造する際に、これらの原料の一部を予め溶融混練するマスターバッチ工程を設けることによって、結晶性ポリエステルを添加した場合に生じる問題点を防止したトナーの製造方法が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、結晶性ポリエステル、非晶質樹脂、ワックス、帯電制御剤及び着色剤等の原料の50質量%以上の量を予め溶融混練するマスターバッチ工程を設けたものである。その結果、マスターバッチ工程においては、結着樹脂とともに離型剤等のすべての材料が溶融混練されるので、結晶性ポリエステル等の高融点物質と離型剤のような融点または軟化点の低い物質とを同時に溶融混練を行うことになり、軟化点、もしくは融点が低い成分を充分に分散したトナーを得ることはできなかった。
また、結着樹脂として、高融点結晶性成分を含有する高融点ブロックポリエステルと低軟化点非晶性ポリエステルを用いることによって、高融点ブロックポリエステルの作用によって高温オフセットが生じず、しかも低温での定着性が良好なトナーを得ることができるものと考えられるが、高融点ブロックポリエステル、低軟化点非晶性ポリエステル、およびワックスとを混練する場合、高融点ブロックポリエステルと低軟化点非晶性ポリエステルの融点が離れているため良好な混練状態を得ることができない。
このため高融点ブロックポリエステルを溶融するため高温で希釈混練するとワックス分散粒径が大きくなり、耐久特性に悪影響を及ぼす。また、ワックス等の添加剤を微分散するために低温で希釈混練すると高融点ブロックポリエステルが分散せず、高温オフセット特性が劣化するという問題点があった。
特開2002−328490号公報
本発明は、複数の結着樹脂を含有したトナーにおいて、離型剤、帯電制御剤、顔料等の分散状態が良好であり、特に高融点結晶成分を含有する高融点ブロックポリエステルと低軟化点非晶性ポリエステルとを併用した場合に、離型剤が高度に分散した低温定着性が良好で高温オフセットも生じない定着性が優れたトナーを提供することを課題とするものである。
本発明の課題は、重量平均分子量5000〜40000の樹脂Aと、樹脂Aと主鎖の結合構造が同じである重量平均分子量が10000〜150000の結晶性樹脂Bと、樹脂Aより分子量の大きい樹脂Cからなるトナーの製造方法において、樹脂Aと樹脂Bを混合混練する第1の工程と、得られた混練物と樹脂Aよりも重量平均分子量の小さい離型剤成分を樹脂Cとともに混合混練する第2の工程とを有するトナーの製造方法によって解決することができる。
また、樹脂Cが樹脂Bと主鎖の結合構造が同じである前記のトナーの製造方法である。
第1の工程の混練温度は樹脂Bの融点以上である前記のトナーの製造方法である。
第2の工程の混練温度は樹脂Bの融点よりも低く、樹脂Aの軟化点よりも高い温度領域を含む混練工程である前記のトナーの製造方法である。
また、樹脂Cのガラス転移温度Tgは、樹脂のAガラス転移温度Tgと樹脂Bのガラス転移温度Tg間に存在する前記のトナーの製造方法である。
樹脂Cは、顔料成分と樹脂からなる顔料マスターバッチとして供給される前記のトナーの製造方法である。
樹脂A、B、Cはいずれもポリエステル樹脂である前記のトナーの製造方法である。
また、離型剤成分は、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタン系エステルワックス、合成ポリエステルワックスから少なくとも一種である前記のトナーの製造方法である。
このように、本発明のトナーは、結着樹脂として、高融点結晶成分を含有する高融点ポリエステルと低軟化点非晶性ポリエステル、離型剤とを混練する工程での、離型剤の分散粒径が大きくなることはなく、離型剤を微分散した耐高温オフセット性が良好で耐久性等にも優れたトナーを得ることができる。
なお、本発明において、重量平均分子量は、高速液体クロマトグラフィーグラフィーによって、GPCカラムを用いてスチレンを標準試料として求めた値であり、軟化点は、定荷重細管押出型レオメータによって、試料の半分が流出した時点の温度から求めた値である。
本発明のトナーの製造方法は、複数の異なる樹脂を結着樹脂とし、重量平均分子量が10000〜150000の結晶性樹脂と、分子量がそれよりも小さい樹脂と離型剤とを分散する際に、結晶性樹脂とそれよりも分子量が小さい樹脂とを第1の工程において混合混練した後に、分子量が小さい樹脂よりも重量平均分子量が小さい離型剤を、分子量が小さい樹脂よりも分子量が大きな第3の樹脂を添加して第2の工程において混合混練したので、第1の工程において、結晶性樹脂と分子量が小さな樹脂を充分に混練するとともに、離型剤を第3の樹脂の存在によって、先に混合混練した樹脂中に十分に微分散を行うことが可能となり、低温定着性、高温オフセット性等が良好な、品質が優れた画像を形成することが可能なトナーを提供することができる。
本発明のトナーの製造方法は、結着樹脂の一つの成分として結晶性成分を含む樹脂を用いた場合において、結晶性成分を含む樹脂と溶融あるいは軟化温度が大きく相違した離型剤を高度に分散する方法を見出したものである。
結晶性成分を含む樹脂を結着樹脂とした場合には、トナー内の凝集力を高め、高温オフセットを防止する。結晶性成分と非晶性成分のブロック化によって製造した結晶性成分を含有する樹脂は特にこの効果に優れる。
ところが、結晶性成分を含んだブロックポリエステルのような樹脂Bが、非晶性樹脂Aと分散されないときは逆にトナーの内部凝集力が低下し、高温オフセットが発生する。
また、樹脂Bとしてブロック構造を有するものを用いるとフロー開始点が高く、低温で軟化あるいは溶融する非晶性樹脂や離型剤との溶融混練は困難である。
そこで、本発明では、まず結晶性成分を含むブロック構造を有する樹脂Bと低軟化点非晶性樹脂とを混練し、その後冷却することで、ブロック構造を有する樹脂Bからなる網目構造のなかに、非晶性樹脂をとり込む構造を形成する。このとき樹脂Bの結晶融解点を超えた温度で混練すると、均一な網目構造が形成される。
特に、樹脂Aと樹脂Bの主鎖の結合構造が同じ樹脂であると相溶性が高くて網目構造がより均一なものとなる。
なお、本発明において主鎖の結合構造が同じであるとは、それぞれの主鎖に同一の結合構造を有するものであって、同一の原料を用いて製造したもの、あるいは一方の樹脂に更に重合性の物質を添加して結晶性成分を含むブロック構造を導入したものを挙げることができる。
また、本発明のトナーにおいては、樹脂Aの重量平均分子量が5000より小さいと、網目構造から滲出しやすく、高温オフセットの原因になる。一方、重量平均分子量が40000より大きいと、混練時に網目構造の中に入りにくいので、低温オフセットの原因になる。
また、樹脂Bが10000より小さいと網目構造を作るのが困難になるので、高温オフセットの原因になる。150000より大きいと、混練が困難になり、樹脂Bの分子鎖内で絡まりやすく、網目に樹脂Aが入りにくくなり低温オフセットの原因になる。
また、離型剤を加えて樹脂と混練する場合には、離型剤は網目構造の中に入りにくい。そこで樹脂と相溶性があり、樹脂Aよりガラス転移点Tgが高い樹脂Cと離型剤を一緒に混合すると分散性が向上する。
これは添加した樹脂Cが離型剤を樹脂Bと樹脂Aの混練樹脂中の網目構造の中に押し込むものと考えられる。
すなわち、離型剤の混練の際には、混練樹脂の温度は、樹脂Aの軟化点より高い温度において混練されるので、ガラス転移点Tgが樹脂Cより低い樹脂Aは、樹脂Cに比べて軟らかくなっている。
また、樹脂Cは、溶融しても分子量が樹脂Aよりも大きいために、樹脂Bと樹脂Aから形成された網目構造内部に入りにくく、網目構造の表面に存在するものと考えられる。
その結果、樹脂Cを添加して混練した場合には、樹脂Aおよび離型剤が網目構造から再度流出することを防止するので、離型剤が分散した混練物が得られることとなる。
特に、樹脂Cは網目構造をなしている樹脂Bと同様の化学構造を有する樹脂であると、樹脂Bとの相溶性が高く、樹脂Cの添加による効果がより大きくなる。
また、樹脂Cとしては、樹脂単独で添加しても良いが、トナーの調製に必要な顔料成分と樹脂からなる顔料マスターバッチとして供給される樹脂を用いてもよい。
これによって、トナー中への顔料の分散性を高めることができる。
トナー中の離型剤の分散が悪い場合、樹脂から染み出た離型剤がトナーの耐久性の低下を引き起こす。したがって、離型剤は網目構造に入りやすいように、樹脂の主鎖の結合と親和性の高い官能基を持つ離型剤が好ましい。
また、混練時には、網目構造に入り込みやすく、定着時には定着ロールによって加熱および加圧された場合に速やかに滲出するものが好ましく、樹脂Aよりも分子量が小さいものが好ましい。
以上のような本発明の製造方法によって、高温オフセット性と耐久性を両立させたトナーが得られるものと考えられる。
図1は、本発明のトナーの一実施例を説明する図である。
まず、原料貯槽S1から送られた、樹脂A、および樹脂Aよりも融点が高い樹脂Bを計量工程S2において、それぞれの所定量を計量し、混合工程S3において、ヘンシェルミキサー等によって混合した後に、第1の混練工程S4において、混練押出機に供給して樹脂Bの融点以上の温度において混合混練を行う。
次いで、混練押出機から取り出された混練樹脂を冷却し、粗粉砕工程S5において、粗粉砕を行い、その後の混合混練に適切な大きさとした後に、粗粉砕した混練樹脂を計量工程S6において計量する。
次に、原料貯槽S7より送られた、樹脂C、顔料、帯電制御剤、離型剤のそれぞれを計量工程S8において計量し、混合工程S9において、ヘンシェルミキサーを用いて粗粉砕した混練樹脂と混合する。
次いで、第2の混練工程S10において、混練押出機において、樹脂Aの軟化点以上の温度で混合混練する。この場合の混練温度は、樹脂Cの軟化点よりも低い温度とすることによって、樹脂Cの添加の効果を高めることができる。
混練押出機から流出した混練物を冷却した後に、微粉砕工程S11において微粉砕された後に、分級工程S12において分級される。
次いで、外添工程S13において外添剤が添加された後に、製品工程S14においてトナーが製造される。
図2は、本発明のトナーの製造方法における第1の混練工程を説明する図である。
混合混練機1の原料投入口2から、混練される樹脂が投入される。投入された樹脂は、加熱下において、2本のスクリュー3a、3bの回転によって混合混練されて、投入口とは反対側に設けた吐出口4から吐出されて、冷却器5によって冷却される。
混合混練機は、温度分布曲線6に示すように、全域に亘り樹脂Aの軟化点(Tf)以上に設定されており、投入口から所定の距離の加熱領域ではスクリューのヘッド7までの部分で、高融点樹脂Bの融点(Tm)よりも高い温度に設定されて充分に混合混練が行われる。
図3は、本発明のトナーの製造方法における第2の混練工程を説明する図である。
混合混練機11の原料投入口12から、混練される樹脂が投入される。投入された樹脂は、加熱下において、2本のスクリュー13a、13bの回転によって混合混練されて、投入口とは反対側に設けた吐出口14から吐出されて、冷却器15によって冷却される。
混合混練機は、温度分布曲線16に示すように、全域に亘り樹脂Aの軟化点(Tf)以上に設定されており、投入口から所定の距離の加熱領域ではスクリューのヘッド17までの部分で、樹脂Cの軟化点よりも低い温度に設定されて混合混練が行われ、また吐出口14の近傍では、それよりも高い温度として混合混練機からの円滑な吐出を行っている。
本発明における第1の混練工程においては、密閉式ニーダー、1軸又は2軸の混練押出機、連続式二本ロール型混練機等を用いて行うことができる。また、溶融混練工程に供する結着樹脂の複数種をヘンシェルミキサー等で予め攪拌混合し、均一に混合することが好ましい。
第2の混練工程においても、第1の混練工程と同様に、密閉式ニーダー、1軸又は2軸の混練押出機、連続式二本ロール型混練機等を使用して混合、混練した後に、冷却される。
また、得られた混練物は、粗粉砕した後に、ジェットミル等によって微粉砕し、さらに気流分級機によって分級した後に、ヘンシェルミキサーにおいて、シリカ、チタニア等の外添剤と混合してトナーとされる。
以下に、本発明のトナーの構成成分について説明する。
本発明のトナーは、複数の異なる樹脂を結着樹脂として重量平均分子量が10000〜150000の結晶性樹脂と、分子量がそれよりも小さい樹脂と離型剤とを分散する際に、結晶性樹脂とそれよりも分子量が小さい樹脂とを第1の工程において混合混練した後に、分子量が小さい樹脂よりも重量平均分子量が小さい離型剤を、分子量が小さい樹脂よりも軟化点が高い第3の樹脂を添加して第2の工程において混合混練したものである。
複数の樹脂としては、結晶性成分を含有するブロックポリエステルと、それよりも分子量が小さい非晶性ポリエステルとすることが好ましい。
特に、非晶性ポリエステルを構成する非晶性ブロックと結晶性ブロック成分との共重合によって得られた該非晶性ポリエステルよりも高融点であるブロックポリエステルとを溶融混練することが好ましい。
また、ポリエステルは、比較的低温度の軟化点を有するとともに耐環境性等の特性においても優れたものである。結着樹脂中におけるポリエステルの含有量は、50質量%以上であるのが好ましく、80質量%以上であるのがより好ましい。
本発明のブロックポリエステルは、ジオール成分とジカルボン酸成分とを縮合してなる結晶性ブロックと、該結晶性ブロックより結晶性の低い非晶性ブロックとを有するブロック共重合体で構成されたものである。ブロック重合体は結晶性ブロックと非晶性ブロックのエステル交換で得られる。
結晶性ブロックは、非晶性ブロックや非晶性ポリエステルに比べて、高い結晶性を有している。すなわち、分子配列構造が、非晶性ブロックや非晶性ポリエステルに比べて強固で安定したものである。このため、結晶性ブロックは、トナー全体としての強度を向上させるのに寄与する。その結果、最終的に得られるトナーは、機械的ストレスに強く、耐久性、保存性に優れたものとなる。
また、一般に、結晶性の高い樹脂は、結晶性の低い樹脂に比べて、耐高温オフセット性を有している。すなわち、結晶性の高い樹脂は、示差走査熱量分析(DSC)による融点の吸熱ピークの測定を行ったとき、吸熱ピークがシャープな形状として現れる性質を有している。この性質を利用して、結晶成分の融解ピークの融解熱△Qが3J/g以上であるものを結晶性であるという。
本発明のトナーにおけるブロックポリエステルを構成する結晶性ブロックは、ブロックポリエステルにシャープメルト性を付与する機能を有する。このため、本発明のトナーは、非晶性ポリエステルが十分に軟化するような、ブロックポリエステルの融点付近の比較的高い温度においても、優れた形状の安定性を保持することができる。
したがって、本発明のトナーは、幅広い温度領域で十分な定着強度をはじめとする定着性を発揮することができる。
非晶性ポリエステルは、後述のブロックポリエステルより低い結晶性を有するものである。
非晶性ポリエステルは、主として、トナーを構成する着色剤、離型剤、帯電制御剤等の分散性や、トナー製造時における混練物の粉砕性、トナーの低温定着性等の定着性、透明性、弾性、機械的強度等の機械的特性、帯電性、耐湿性等の機能を向上させるのに寄与する成分である。
以下、非晶性ポリエステルを構成する成分について説明する。
非晶性ポリエステルを構成するジオール成分としては、芳香環構造を有する芳香族ジオールや、芳香環構造を有さない脂肪族ジオール等が挙げられる。芳香族ジオールとしては、具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等が挙げられ、また、脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状ジオール類、または2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキシド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等の環状ジオール類等が挙げられる。
非晶性ポリエステルを構成するジカルボン酸成分としては、二価カルボン酸、または酸無水物、低級アルキルエステル等の二価カルボン酸の誘導体を用いることができ、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸およびこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等の誘導体が挙げられる。
このように、非晶性ポリエステルを構成するジカルボン酸成分は、少なくともその一部がテレフタル酸骨格を有するものであるのが好ましく、ジカルボン酸の80mol%以上がテレフタル酸骨格を有するものであるのがより好ましく、その90mol%以上がテレフタル酸骨格を有するものであるのがさらに好ましい。
これにより、最終的に得られるトナーの特性が特に優れたものとなる。ただし、ここでの「ジカルボン酸成分」は、非晶性ポリエステルとしたときのジカルボン酸成分のことを指し、非晶性ポリエステルを調整する際には、当該ジカルボン酸成分そのものや、その酸無水物、低級アルキルエステル等の誘導体を用いることができる。
また、非晶性ポリエステルを構成するモノマー成分は、その50mol%以上、より好ましくは、80mol%以上が、前述した非晶性ブロックを構成するモノマー単位と同一であるのが好ましい。すなわち、非晶性ポリエステルは、非晶性ブロックと同様のモノマー単位で構成されたものであるのが好ましい。これにより、非晶性ポリエステルとブロックポリエステルとの相溶性が特に優れたものとなる。ここでの「モノマー単位」は、非晶性ポリエステル、ブロックポリエステルの製造に用いるモノマーそのものを指すものではなく、非晶性ポリエステル、ブロックポリエステル中に含まれるモノマー単位のことを指す。
また、非晶性ポリエステルは、上記のようなジオール成分、ジカルボン酸成分以外の成分、例えば、3価以上のアルコール成分や3価以上のカルボン酸成分等を含むものであってもよい。
非晶性ポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、5×103〜4×104であるのが好ましく、6×103〜2.5×104であるのがより好ましい。重量平均分子量Mwが5×103未満であると、最終的に得られるトナーの機械的強度が低下し、十分な耐久性、保存性が得られない可能性がある。また、重量平均分子量Mwが小さすぎると、トナーの定着時に凝集破壊を起こし易くなり、耐オフセット性が低下する傾向を示す。一方、平均分子量Mwが4×104 を超えると、トナーの定着時に粒界破壊を起こし易くなり、紙等の記録部材への濡れ性も低下し、定着に要する熱量も大きくなる。
非晶性ポリエステルのガラス転移点Tgは、40〜75℃であるのが好ましく、50〜70℃であるのがより好ましい。ガラス転移点が40℃未満であると、トナーの保存性、耐熱性が低下し、使用環境等によっては、トナー粒子間での融着が発生する場合がある。一方、ガラス転移点が75℃を超えると、低温定着性や透明性が低下する。また、ガラス転移点が高すぎると、なお、ガラス転移点は、JIS K 7121に準拠して測定することができる。
非晶性ポリエステルの軟化点Tfは、90〜160℃であるのが好ましく、95〜150℃であるのがより好ましく、95〜130℃であるのがさらに好ましい。軟化点が90℃未満であると、トナーとしての保存性が低下し、十分な耐久性が得られない可能性がある。また、軟化点が低すぎると、トナーの定着時に凝集破壊を起こし易くなり、耐オフセット性が低下する傾向を示す。一方、軟化点が160℃を超えると、トナーの定着時に粒界破壊を起こし易くなり、紙等の記録部材への濡れ性も低下し、定着に要する熱量も大きくなる。
なお、軟化点Tfは、定荷重押出型細管式レオメータを用い、試料量:1g、ダイ孔径:1mm、ダイ長さ:1mm、押出圧力:1.96MPaの条件で測定したときに、試料の1/2が流出した温度であるT1/2の温度として求めることができる。
以下、結晶性ブロックを構成する成分について説明する。
結晶性ブロックを構成するジオール成分としては、芳香族ジオール、脂肪族ジオール等が挙げられる。芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等が挙げられ、また、脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状ジオール類、または2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキシド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等の環状ジオール類等が挙げられる。
このように、結晶性ブロックを構成するジオール成分は、少なくともその一部が脂肪族ジオールであるのが好ましく、ジオール成分の80mol%以上が脂肪族ジオールであることがより好ましく、90mol%以上が脂肪族ジオールであるのが更に好ましい。これにより、ブロックポリエステルの結晶性ブロックの結晶性を特に高いものとすることができ、上述した効果がさらに顕著なものとなる。
また、結晶性ブロックを構成するジオール成分は、炭素数が3〜7の直鎖状の分子構造を有し、その両端に水酸基を有するもの(一般式:HO−(CH2n−OHで表されるジオール(ただし、n=3〜7))を含むのが好ましい。このようなジオール成分が含まれることにより、結晶性が向上し、摩擦係数が低下するため、機械的ストレスに強く、耐久性や保存性に特に優れたものとなる。このようなジオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられるが、この中でも1,4−ブタンジオールが好ましい。1,4−ブタンジオールを含むことにより、前述した効果は特に顕著なものとなる。
結晶性ブロックを構成するジオール成分として1,4−ブタンジオールを含む場合、結晶性ブロックを構成するジオールの50mol%以上が1,4−ブタンジオールであるのがより好ましく、その80mol%以上が1,4−ブタンジオールであるのが更に好ましい。これにより、前述した効果はさらに顕著なものとなる。
結晶性ブロックを構成するジカルボン酸成分としては、2価のカルボン酸またはその誘導体、例えば、酸無水物、低級アルキルエステル等を用いることができる。具体的には、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸およびこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等の誘導体が挙げられる。
また、結晶性ブロックを構成するジカルボン酸成分は、少なくともその一部がテレフタル酸骨格を有するものであるのが好ましく、ジカルボン酸成分の50mol%以上がテレフタル酸骨格を有するものであるのがより好ましく、その80mol%以上がテレフタル酸骨格を有するものが更に好ましい。
これにより、最終的に得られるトナーは、トナーとして求められる各種特性が特に優れたものとなる。なお、「ジカルボン酸成分」は、ブロックポリエステルとしたときにジカルボン酸成分として作用するものを意味し、ブロックポリエステルを調製して結晶性ブロックを形成する際に、当該ジカルボン酸成分、そのもの、その酸無水物、低級アルキルエステル等の誘導体を用いても良い。
ブロックポリエステル中における結晶性ブロックの含有率は、5〜60mol%であることが好ましく、10〜40mol%であることがより好ましい。結晶性ブロックの含有率が5mol%未満であると、結晶性ブロックを有することによる効果が十分に発揮されない可能性がある。一方、結晶性ブロックの含有率が60mol%を超えると、相対的に非晶性ブロックの含有率が低下するため、ブロックポリエステルと非晶性ポリエステルとの相溶性が低下する可能性がある。
また、結晶性ブロックは、上記したジオール成分、ジカルボン酸成分以外にも、3価以上のアルコール成分、3価以上のカルボン酸成分等を含むものであってもよい。
次に、ブロックポリエステル中の非晶性ブロックついて説明する。
非晶性ブロックを構成するジオール成分としては、芳香環構造を有する芳香族ジオール、芳香環構造を有さない脂肪族ジオール等が挙げられる。
芳香族ジオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等が挙げられ、また、脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール)、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の鎖状ジオール類、または2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキシド付加物、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物等の環状ジオール類等が挙げられる。
また、非晶性ブロックを構成するジオール成分は、少なくともその一部が脂肪族ジオールであるのが好ましく、その50mol%以上が脂肪族ジオールであるのがより好ましい。これにより、より靱性に優れ、耐折り曲げ性に優れた定着画像が得られるという効果が得られる。
また、非晶性ブロックを構成するジオール成分は、少なくともその一部が分岐鎖を有するものが好ましく、その30mol%以上が分岐鎖を有するものがより好ましい。これにより、規則配列を抑制し、結晶性を低下させ、透明性も向上するという効果が得られる。
非晶性ブロックを構成するジカルボン酸成分としては、2価のカルボン酸または酸無水物、低級アルキルエステル等の誘導体、を用いることができ、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、オクチルコハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、およびこれらの酸無水物、低級アルキルエステル等の誘導体が挙げられる。
また、非晶性ブロックを構成するジカルボン酸成分としては、少なくともその一部がテレフタル酸骨格を有するものが好ましく、その80mol%以上がテレフタル酸骨格を有するものがより好ましい。これにより、トナー特性が良好なものとなる。
また、「ジカルボン酸成分」は、結晶性ブロックの場合と同様であり、ブロックポリエステルとしたときのジカルボン酸成分であり、ブロックポリエステルを調製して非晶性ブロックを形成する際には、該ジカルボン酸成分、その酸無水物、低級アルキルエステル等の誘導体を用いることができる。
また、非晶性ブロックは、上記のようなジオール成分、ジカルボン酸成分以外の成分に加えて、3価以上のアルコール成分や3価以上のカルボン酸成分等を含むものであってもよい。
本発明の、結晶性ブロック、非晶性ブロックを有するブロックポリエステルの重量平均分子量(Mw)は、1×104〜1.5×105 であるのが好ましく、1.2×104〜1.5×105 であるのがより好ましい。重量平均分子量Mwが1×104 未満であると、トナーの機械的強度が低下し、十分な耐久性、保存性が得られなかったり、トナーの定着時に凝集破壊を起こし易くなり、耐オフセット性が低下するので好ましくない。
一方、重量平均分子量Mw1.5×105 を超えると、トナーの定着時に粒界破壊を起こし易くなり、紙等の記録部材に対する濡れ性も低下し、定着に要する熱量も大きくなる。
ブロックポリエステルのガラス転移点Tgは、50〜75℃であるのが好ましく、55〜70℃であるのがより好ましい。ガラス転移点が50℃未満であると、トナーの保存性、耐熱性が低下し、使用環境等によっては、トナー粒子間での融着が発生する場合がある。一方、ガラス転移点が75℃を超えると、低温定着性や透明性が低下する。また、ガラス転移点が高すぎると、トナーの熱球形化処理等の効果が十分に発揮されない可能性がある。また、ガラス転移点は、JIS K 7121に準拠して測定することができる。
ブロックポリエステルの軟化点Tf は、90〜170℃であるのが好ましく、100〜160℃であるのがより好ましい。軟化点が90℃未満であると、トナーとしての保存性が低下し、十分な耐久性が得られない可能性がある。また、軟化点が低すぎると、トナーの定着時に凝集破壊を起こし易くなり、耐オフセット性が低下する。
一方、軟化点が170℃を超えると、トナーの定着時に粒界破壊を起こし易くなり、紙等の記録部材に対する濡れ性も低下し、定着に要する熱量も大きくなる。
なお、軟化点Tfは、定荷重押出型細管式レオメータを用い、試料量:1g、ダイ孔径:1mm、ダイ長さ:1mm、押出圧力:1.96Mpaによって、試料の1/2の量が流出した時点の温度を求める1/2法によって行ったものである。
ブロックポリエステルの融点Tm、190℃以上であるのが好ましく、190〜230℃であるのがより好ましい。融点が190℃未満であると、耐オフセット性の向上等の効果が十分に得られない可能性がある。また、融点が高すぎると、混練工程等において、材料温度を比較的高い温度にしなければならなくなる。その結果、樹脂材料のエステル交換反応が進行しやすくなる。なお、融点は、示差走査熱量分析(DSC)による吸熱ピークの測定により求めることができる。
また、ブロックポリエステルは、直線状ポリマーであるのが好ましい。直線状ポリマーは、架橋型のものに比べて、摩擦係数が小さい。これにより、特に優れた離型性が得られ、トナーの転写効率が向上する。
なお、ブロックポリエステルは、前述した結晶性ブロック、非晶性ブロック以外のブロックを有するものであってもよい。
また、ブロックポリエステルは、先に述べた非晶性ポリエステルと、ジオール成分、およびカルボン酸成分との反応によって製造することによって、両者の親和性が大きなポリエステルを得ることができる。
また、ブロックポリエステル、非晶性ポリエステルともに、直線状ポリマーであるのが好ましい。直線状ポリマーは、架橋型のものに比べて、摩擦係数が小さい。これにより、特に優れた離型性が得られ、トナーの転写効率がさらに向上する。
以上説明したように、本発明のトナーは、結着樹脂として、非晶性ポリエステルと、該非晶性ポリエステルを構成する非晶性ブロックと結晶性ブロック成分との共重合によって得られた非晶性ポリエステルのブロックポリエステルと、非晶性ポリエステルとを併用することによって所定の特性を有するトナーを得ることができる。
ブロックポリエステルと、非晶性ポリエステルとの配合比は、重量比で5:95〜45:55であるのが好ましく、10:90〜30:70であるのがより好ましい。ブロックポリエステルの配合比が低くなりすぎると、トナーの耐オフセット性を十分に向上させるのが困難になる可能性がある。一方、非晶性ポリエステルの配合比が低くなりすぎると、十分な低温定着性や透明性が得られない可能性がある。また、非晶性ポリエステルの配合比が低くなりすぎると、例えば、後述するようなトナーの製造方法の粉砕工程において、混練物を効率良く、均一な大きさに粉砕するのが困難となる。
また、本発明においては、以上の高融点結晶性ブロックを含むブロックポリエステルと、それよりも軟化点が低く、重量平均分子量が小さい非晶性ポリエステルを含有するとともに、非晶性ポリエステルの軟化点よりも軟化点が高い第3の樹脂を第2の混練工程において含有させたことを特徴としている。
第3の樹脂としては、軟化点を満足するものであれば、各種のものを用いることができるが、非晶性ポリエステルと分子量分布が異なる樹脂を用いることによって他の結着樹脂との相溶性を高めることができるので好ましい。
具体的には、非晶性ポリエステルのエステル化反応の条件を変えることによって得られるガラス転移温度、および軟化点が先に混練した非晶性ポリエステル樹脂よりも高いものを用いることができる。
また、第2の混練工程において添加する第3の樹脂は、樹脂単独で添加しても良いが、顔料を分散した顔料マスターバッチ、更には帯電制御剤等の他の成分を添加したものを用いても良い。
このように、顔料マスターバッチ等を用いることによってこれらの成分の微分散を行うことができ、トナーの特性を向上させることが可能となる。
また、結着樹脂は、前記のブロックポリエステルおよび非晶性ポリエステル以外の成分第3の樹脂成分を含むものであってもよい。
ブロックポリエステルおよび非晶性ポリエステル以外の第3の樹脂成分としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂(前述したブロックポリエステル、非晶性ポリエステルとは異なるもの)、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のトナー中において結着樹脂の含有量は、50〜98質量%であるのが好ましく、85〜97質量%であるのがより好ましい。結着樹脂の含有量が50質量%未満であると、最終的に得られるトナーにおいて、幅広い温度領域での良好な定着性等が十分に発揮されない可能性がある。一方、樹脂の含有量が98質量%を超えると、着色剤等の樹脂以外成分の含有量が相対的に低下し、トナーの発色等の特性を十分に発揮するのが困難となる。
着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルーインダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、カーミン6B、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、トナー原料中における着色剤の含有量は、1〜10質量%であるのが好ましく、3〜8質量%であるのがより好ましい。着色剤の含有量が前記下限値未満であると、着色剤の種類によっては、十分な濃度の可視像を形成するのが困難になる可能性がある。一方、着色剤の含有量が前記上限値を超えると、相対的に樹脂の含有量が低下し、必要な色濃度での、紙等の記録部材への定着性が低下する。
また、本発明のトナー添加する離型剤について説明する。離型剤の含有量は、トナー中に、0.5ないし3質量%であることが好ましく、3質量%よりも多くなると、画像の透明性を阻害することがあるので好ましくない。
離型剤として、オゾケライト、セルシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記材料の中でも、特にエステル系ワックス、例えばカルナウバワックスやライスワックス等を用いた場合には、下記のような効果が得られる。
すなわち、エステル系ワックスは、結着剤として用いるポリエステル系樹脂と同様に、分子内にエステル構造を有しており、ポリエステル系樹脂との相溶性に優れる。また、ポリエステル系樹脂は、主成分としての樹脂との相溶性にも優れている。このため、最終的に得られるトナー粒子中における遊離ワックスの発生、粗大化を防止することができ、トナー中でのワックスの微分散やミクロ相分離を達成できる。その結果、得られるトナーは、定着ロールとの離型性が特に優れたものとなる。
ワックスの融点Tmは、30〜160℃であるのが好ましく、50〜100℃であるのがより好ましい。
また、ワックス以外にも、離型性を付与できる成分として低融点のポリエステル(以下、「低融点ポリエステル」とも称す)を用いることができる。低融点とは、例えば、融点Tmが70〜90℃程度のものが好ましい。また、低融点ポリエステルの重量平均分子量Mwは、3500〜6500程度であるのが好ましい。また、低融点ポリエステルは、脂肪族モノマーの重合体であるのが好ましい。低融点ポリエステルが、このような条件の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上を満足するものであると、前述したポリエステル系樹脂との相溶性が特に優れたものになるとともに、トナーの耐久性を阻害せずにトナーの離型性を付与することができる。また、融点が比較的低いことにより、低温定着性を向上させることができる。
また、トナーの製造原料中には、結着樹脂、着色剤、離型剤以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、帯電制御剤、分散剤、磁性粉末等が挙げられる。
帯電制御剤としては、具体的には安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、ニグロシン染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフニン酸等が挙げられる。
また、分散剤としては、例えば、金属石鹸、無機金属塩、有機金属塩、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
金属石鹸としては、具体的には、トリステアリン酸金属塩、例えば、アルミニウム塩等、ジステアリン酸金属塩、例えば、アルミニウム塩、バリウム塩等、ステアリン酸金属塩、例えば、カルシウム塩、鉛塩、亜鉛塩等、リノレン酸金属塩、例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等、オクタン酸金属塩、例えば、アルミニウム塩、カルシウム塩、コバルト塩等、オレイン酸金属塩、例えば、カルシウム塩、コバルト塩等、パルミチン酸金属塩、例えば、亜鉛塩等、ナフテン酸金属塩、例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等、レジン酸金属塩、例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン鉛塩、亜鉛塩等が挙げられる。
前記無機金属塩、前記有機金属塩としては、例えば、カチオン性成分として、周期律表の第IA族、第IIA族、および第IIIA族の金属からなる群より選ばれる元素のカチオンを含み、アニオン性成分として、ハロゲン、カーボネート、アセテート、サルフェート、ボレート、ニトレート、およびホスフェートからなる群より選ばれるアニオンを含む塩等が挙げられる。
前記磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、添加剤としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム等を用いてもよい。
本発明において結着樹脂の混合混練は、密閉式ニーダー、1軸又は2軸の混練押出機、連続式二本ロール型混練機等を用いて行うことができる。また、溶融混練工程に供する結着樹脂の複数種をヘンシェルミキサー等で予め攪拌混合し、均一に混合すること
が好ましい。
混合混練工程においては、軟化点もしくは融点が最も高い樹脂の軟化点もしくは融点以上の温度において溶融して混練することが好ましい。
このようにして得られた混練樹脂は、冷却、粉砕した後に、離型剤、帯電制御剤、顔料等をヘンシェルミキサー等によって混合した後に、結着樹脂の溶融混練と同様に、密閉式ニーダー、1軸又は2軸の混練押出機、連続式二本ロール型混練機等を使用して混合、混練した後に、冷却して、ハンマーミル等によって粗粉砕した後に、ジェットミル等によって微粉砕し、さらに気流分級機によって分級した後に、ヘンシェルミキサーにおいて、シリカ、チタニア等の外添剤と混合してトナーとすることができる。
以下に、実施例、比較例を示し本発明を説明する。
実施例1
トナーの製造に先立ち、以下に示す3種のポリエステルA、B、Cを製造した。
1−1.ポリエステルA(非晶性ポリエステル)の製造
ネオペンチルグリコール:36モル部、エチレングリコール:36モル部、1,4−シクロヘキサンジオール:48モル部、テレフタル酸ジメチル:90モル部、無水フタル酸:10モル部の混合物の1000gを、還流冷却器、蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計、攪拌装置を取り付けた2リットル4つ口フラスコに、エステル化縮合触媒(チタンテトラブトキシド(TTB)):1gとともに入れた。
フラスコの内容物を加熱し、180℃において生成する水、メタノールを蒸留塔より流出させながら、エステル化反応を進行させた。
蒸留塔から水、メタノールが流出しなくなった時点で、2リットル4つ口フラスコから蒸留塔を取り外すとともに、真空ポンプに接続した。系内の圧力を2.0kPa以下に減圧した状態で、温度を200℃とし、攪拌機回転数:150rpmで攪拌することにより、縮合反応で発生した遊離ジオールを系外に排出し、その結果得られた反応物をポリエステルAとした。
得られたポリエステルAについて、示差走査熱量分析装置による融点の吸熱ピークの測定を試みた。その結果、融点の吸収ピークであると判断できるようなシャープなピークは、確認することができなかった。また、ポリエステルAの軟化点Tfは、96℃、ガラス転移点Tgは、51℃、重量平均分子量Mwは、5.5×103であった。
1−2.ポリエステルC(非晶性ポリエステル)の製造
ネオペンチルグリコール:36モル部、エチレングリコール:36モル部、1,4−シクロヘキサンジオール:48モル部、テレフタル酸ジメチル:90モル部、無水フタル酸:10モル部の混合物の1000gを、還流冷却器、蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計、攪拌装置を取り付けた2リットル4つ口フラスコに、エステル化縮合触媒(チタンテトラブトキシド(TTB)):1gとともに入れた。
内容物を加熱して180℃において生成する水、メタノールを蒸留塔より流出させながら、エステル化反応を進行させた。
蒸留塔から水、メタノールが流出しなくなった時点で、2リットル4つ口フラスコから蒸留塔を取り外すとともに、真空ポンプに接続した。系内の圧力を666.7Pa以下に減圧した状態で、温度を200℃とし、攪拌機回転数:150rpmで攪拌することにより、縮合反応で発生した遊離ジオールを系外に排出し、その結果得られた反応物をポリエステルCとした。
得られたポリエステルCについて、示差走査熱量分析装置による融点の吸熱ピークの測定を試みた。その結果、融点の吸収ピークであると判断できるようなシャープなピークは、確認することができなかった。また、ポリエステルCの軟化点Tfは、111℃、ガラス転移点Tgは、60℃、重量平均分子量Mwは、1.3×104であった。
1−3.ポリエステルB(ブロックポリエステル)の製造
2リットル4つ口フラスコに、還流冷却器、蒸留塔、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計、攪拌装置を取り付け、先に製造したポリエステルC:70モル部とジオール成分としての1,4−ブタンジオール:15モル部とジカルボン酸成分としてのテレフタル酸ジメチル:15モル部との混合物:1000gと、エステル化縮合触媒(チタンテトラブトキシド(TTB)):1gとを、2リットル4つ口フラスコ内に入れた。
内容物を加熱して温度200℃において生成する水、メタノールを蒸留塔より流出させながら、エステル化反応を進行させた。
蒸留塔から水、メタノールが流出しなくなった時点で、2リットル4つ口フラスコから蒸留塔を取り外すとともに、真空ポンプに接続した。系内の圧力を666.7Pa以下に減圧した状態で、温度を220℃とし、攪拌機回転数:150rpmで攪拌することにより、縮合反応で発生した遊離ジオールを系外に排出し、その結果得られた反応物をポリエステルBとした。
示差走査熱量分析装置を用いた測定でのポリエステルBの融点の吸熱ピークの中心値Tmは、218℃であった。また、示差走査熱量分析曲線から、求められたポリエステルBの融解熱Q1は、18J/gであった。また、ポリエステルBの軟化点Tfは、149℃、ガラス転移点Tgは、64℃、重量平均分子量Mwは、2.8×104であった。
2−1.顔料マスターバッチDの製造
ポリエステルC:60質量%、フタロシアニン顔料(大日精化工業製 ECB−301)40質量%の配合比でフラッシング法を用いて調製した。これを直径2mm程度に粗粉砕し顔料マスターバッチDとした。
(トナー1の調製)
非晶性ポリエステルとしてポリエステルA:85重量部、ブロックポリエステルとしてポリエステルB:15重量部を20L型のヘンシェルミキサー(三井鉱山製)を用いて混合し、結着樹脂製造用の樹脂混合物を得た。
次に、樹脂混合物を2軸混練押出機(東芝機械社製、TEM−41型)を用いて、混練温度(T1)を250℃として混練し、樹脂aを得た。得られた樹脂aを平均粒径:1〜2mmに粗粉砕した。
次に、粗粉砕した樹脂a:100重量部、顔料マスターバッチD:10重量部、帯電制御剤としてサリチル酸クロム錯体(オリエント化学工業製 ボントロンE−81):1重量部、ワックスとしてカルナウバワックス(分子量850):3重量部を20L型のヘンシェルミキサー(三井鉱山製)を用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料混合物を、2軸混練押出機(東芝機械社製、TEM−41型)を用いて、混練温度(T2)を110℃として混練し、押出口から押し出された混練物を、冷却器を用いて冷却した。
次いで、冷却された混練物を平均粒径:1〜2mmに粗粉砕し、引き続き微粉砕した。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用い、微粉砕にはジェットミル(ホソカワミクロン社製 200AFG)を用いた。なお、微粉砕は、粉砕空気圧:500kPa、ロータ回転数:7000rpmの条件で行った。このようにして得られた粉砕物を気流分流機(ホソカワミクロン社製、100ATP)で分級した。
更に、20L型のヘンシェルミキサー(三井鉱山製)を用いて、外添剤を混合した。外添剤としては、負帯電性小粒径シリカ(日本アエロジル社製 RX200 平均粒径:12nm):1重量部と、負帯電性大粒径シリカ(日本アエロジル社製 RX50 平均粒径:40nm):0.5重量部と、酸化チタン(日本アエロジル社製 STT−30S 平均粒径:20nm):0.5重量部とを用いた。なお、負帯電性シリカ、すなわち負帯電性小粒径シリカ、負帯電性大粒径シリカは、ヘキサメチルジシラザンによる表面処理によって疎水化処理を施したものを用いた。
得られたトナー1の個数平均粒径は、7.5μmであった。
(トナー特性の評価方法)
1.軟化点の測定方法
定荷重押出型細管式レオメータ(島津製作所製 フローテスタCFD−500D)を使用して、測定試料:1gを圧縮成型し、ダイ孔径:1mm、ダイ長さ:1mm、押出圧力:1.96MPaによって、試料の1/2の量が流出した時点の温度を求める1/2法によって軟化点を求めた。
2.ガラス転移点(Tg)の測定方法
示差走査熱量測定装置(セイコーインスツルメンツ製 EXSTAR6000 DSC−220C)を使用して、ガラス転移点を測定した。
測定試料の調製:試料10mgをアルミニウム製試料容器に封入して測定試料を調製。
測定条件:測定開始温度20℃、測定終了温度200℃、昇温速度10℃/minで昇温した後、降温速度:10℃/minで20℃まで降温した。
その後、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、この際のガラス転移点に相当する吸熱が生じた位置すなわち、吸熱カーブのショルダー位置の温度とする。
3.融点(Tm)の測定方法
示差走査熱量測定装置(セイコーインスツルメンツ製 EXSTAR6000 DSC−220C)を使用して、融点を測定した。
測定試料の調製:試料10mgをアルミニウム製試料容器に封入して測定試料を調製。
測定条件:測定開始温度20℃、測定終了温度300℃、昇温速度10℃/minで昇温した後、降温速度:10℃/minで20℃まで降温した。
その後、昇温速度10℃/minで300℃まで昇温し、第2回目の温度上昇時の結晶融解による吸熱の最大ピーク温度を、融点Tmとして求めた。
4.分子量分布の測定
結着樹脂5mgを5gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、THF不溶分および夾雑物質を除去するため、ポアサイズ0.2μmのメンブレンフィルターを通して、GPC用試料調製した。こうして調製した試料(THF可溶分)を、高速液体クロマトグラフィーグラフィーによって、GPCカラムを用いて、下記条件にて測定した。
カラム : GPCカラム(昭和電工製Shodex(GPC KF806M、KF802.5)
カラム温度 : 30℃
溶媒 : テトラヒドロフラン
流速 : 1.0ml/min
検出器 : UV検出器(検出波長254nm)
標準試料 : 単分散ポリスチレン標準試料(重量平均分子量580から390万)
5.定着性評価方法
カラーレーザープリンタ(セイコーエプソン製 LP−3000C)より定着装置を外したもので、用紙(冨士ゼロックスオフィスサプライ製PPC用普通紙J)にトナー付着量0.4mg/cm2 ベタ画像を、紙先端から10mmの位置に20mm四方の領域に形成し、この画像を定着性評価用画像とした。
これをカラーレーザープリンタ(コニカ製 KL−2010)用定着ユニット単体を使用し、シリコーンオイルを塗布する塗布手段は取り外し、さらに、印字されていない用紙(A4)1000枚通紙させ、さらにローラ表面をイソプロピルアルコールにより清掃し、定着ロールからシリコーンオイルを除去した。また、定着性評価用画像を定着器に通紙する毎に定着ロールをイソプロピルアルコールで清掃し、さらに綿布にて乾拭きし、定着ロール表面にシリコーンオイルが無い状態を維持した。
次に、定着ロール表面からシリコーンオイルを除去した定着器を用いて、定着性評価用画像を、加熱ローラ側が未定着トナー付着面となるように通過させ、ニップ通過時間50msecの条件にて定着した。
定着性評価用画像は、カラーレーザープリンタ(セイコーエプソンLP−3000C)を使用し、普通紙(富士ゼロックスオフィスサプライ社製J紙)上にトナーを均一に付着させたいわゆるベタ画像を形成し、そのベタ画像におけるトナー付着量が0.4mg/cm2 となるように画像形成条件を調整し、次に、紙先端から10mmの位置に20mm四方の領域にべた画像を形成し、この画像を定着性評価用画像とした。
温度領域の幅が40℃以上のものを「良」、温度領域の幅30℃以上40℃未満のものを「不」、温度領域の幅が30℃未満のものを「劣」とした。
6.耐久性試験方法
カラーレーザープリンタ(セイコーエプソンLP−3000C)を使用し、普通紙(富士ゼロックスオフィスサプライ社製J紙)上に5%画像を形成して6000枚通紙の印字耐久性試験を行った。
(トナー2の調製)
第1の混練温度T1を210℃とした他は、実施例1と同様にトナー2を調製し、実施例1に記載の評価方法によって評価をし、評価結果を表1に示す。
(トナー3の調製)
第2の混練温度T2を90℃とした他は、実施例1と同様にトナー3を調製し、実施例1に記載の評価方法によって評価をし、評価結果を表1に示す。
比較例1
(比較トナー1の調製)
ポリエステル樹脂A:85重量部、樹脂B:15重量部、顔料マスターバッチD 10重量部、帯電制御剤としてサリチル酸クロム錯体(オリエント化学工業製 ボントロンE−81):1重量部、ワックスとしてカルナウバワックス(分子量850):3重量部を用意した。
これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料混合物を、2軸混練押出機(東芝機械社製、TEM−41型)を用いて、混練した。この時の混練機ヘッド部での樹脂温度は109℃であった。
このようにして2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を、冷却機を用いて、冷却した後に、実施例1と同様に、粗粉砕、微粉砕、分級、外添をして、比較トナー1を調製し、実施例1と同様に比較トナーの特性を評価し、その結果を表1に示す。
比較例2
(比較トナー2の調製)
比較例1の混練温度を250℃に変えたほかは同様に比較トナー2を調製し、実施例1と同様に比較トナーの特性を評価し、その結果を表1に示す。
比較例3
(ポリウレタン樹脂Eの作製)
ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート17.6重量部、ノルボルナンジイソシアネート14.4重量部とを混合融解し、イソシアネート成分を調製した。また、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル(日本油脂製 ユニオールDB−400:OH基価283KOHmg/g)20.0重量部を混合し、ポリオール成分を調製した。これらのイソシアネート成分と、ポリオール成分を混合溶解し、200mm×300mmのトレーに流しこみ、これを、大気雰囲気において30℃で5時間保持したあと、130℃まで10時間かけて昇温、ついで130℃で5時間保持して反応させた。得られたポリウレタン樹脂Eの軟化点Tfは、101℃、ガラス転移点Tgは、56℃、重量平均分子量Mwは、1.1×104であった。
(比較トナー3の調製)
得られたポリウレタン樹脂Eをポリエステル樹脂Aの代りに用いた他は、実施例1と同様に比較トナー3を調製し、実施例1と同様に比較トナーの特性を評価し、その結果を表1に示す。
表1
オフセット良好域 印字可能枚数
(℃) 枚数
実施例1 150−200 良 7000
実施例2 150−200 良 6000
実施例3 150−190 良 6000
比較例1 150−180 不 6000
比較例2 160−175 劣 2000
比較例3 155−175 劣 4000
本発明のトナーの製造方法によって得られるトナーは、分子量および物性が異なる複数の結着樹脂を用いると共に、離型剤の混合を、所定の結着樹脂を混合媒体として利用して行ったので、高融点結晶成分と離型剤との溶融あるいは軟化温度に相違がある場合にも離型剤の微分散を実現できる。その結果、高融点結晶成分を含むトナーの凝集力を高め、高温オフセットを防止するとともに、耐久性が大きなトナーを提供することができる。
図1は、本発明のトナーの一実施例を説明する図である。 図2は、本発明のトナーの製造方法における第1の混練工程を説明する図である。 図3は、本発明のトナーの製造方法における第2の混練工程を説明する図である。
符号の説明
S1…原料貯槽、S2…計量工程、S3…混合工程、S4…第1の混練工程、S5…粗粉砕工程、S6…計量工程、S7…原料貯槽、S8…計量工程、S9…混合工程、S10…第2の混練工程、S11…微粉砕工程、S12…分級工程、S13…外添工程、S14…製品工程、1…混合混練機、2…原料投入口、3a,3b…スクリュー、4…吐出口、5…冷却器、6…温度分布曲線、7…ヘッド、11…混合混練機、12…原料投入口、13a,13b…スクリュー、14…吐出口、15…冷却器、16…温度分布曲線、17…ヘッド

Claims (8)

  1. 重量平均分子量5000〜40000の樹脂Aと、樹脂Aと主鎖の結合構造が同じである重量平均分子量が10000〜150000の結晶性樹脂Bと、樹脂Aより分子量の大きい樹脂Cからなるトナーの製造方法において、樹脂Aと樹脂Bを混合混練する第1の工程と、得られた混練物と樹脂Aよりも重量平均分子量の小さい離型剤成分を樹脂Cとともに混合混練する第2の工程とを有することを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 樹脂Cが樹脂Bと主鎖の結合構造が同じであることを特徴とする請求項1記載のトナーの製造方法。
  3. 第1の工程の混練温度は樹脂Bの融点以上であることを特徴とする請求項1または2記載のトナーの製造方法。
  4. 第2の工程の混練温度は樹脂Bの融点よりも低く、樹脂Aの軟化点よりも高い温度領域を含む混練工程であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  5. 樹脂Cのガラス転移温度Tgは、樹脂Aのガラス転移温度Tgと樹脂Bのガラス転移温度Tg間に存在することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  6. 樹脂Cは、顔料成分と樹脂からなる顔料マスターバッチとして供給されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  7. 樹脂A、B、Cはいずれもポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  8. 離型剤成分は、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタン系エステルワックス、合成ポリエステルワックスから少なくとも一種であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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