JP2005076768A - 自動変速機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 自動変速機の作動油の過熱対策を的確に実行して、ドライバビリティの悪化をできる限り回避する。
【解決手段】 ECT_ECUは、ナビゲーションシステムから現在位置情報を取得するステップ(S100)と、車両が登坂路に向かって走行中であると(S110にてYES)、AT油温を検知するステップ(S120)と、AT油温がしきい値よりも大きいと(S130にてYES)、ナビゲーションシステムに目的地が設定されているか否かを判断するステップ(S140)と、目的地が設定されているか否かを区別して、これから先のAT油温の上昇の度合いを表わす指標Xを勾配と距離とに基づいて算出するステップ(S150、S160)と、指標Xに基づいて、高温油温制御を実行する油温のしきい値を変更するステップ(S170)とを含む、プログラムを実行する。
【選択図】 図3
【解決手段】 ECT_ECUは、ナビゲーションシステムから現在位置情報を取得するステップ(S100)と、車両が登坂路に向かって走行中であると(S110にてYES)、AT油温を検知するステップ(S120)と、AT油温がしきい値よりも大きいと(S130にてYES)、ナビゲーションシステムに目的地が設定されているか否かを判断するステップ(S140)と、目的地が設定されているか否かを区別して、これから先のAT油温の上昇の度合いを表わす指標Xを勾配と距離とに基づいて算出するステップ(S150、S160)と、指標Xに基づいて、高温油温制御を実行する油温のしきい値を変更するステップ(S170)とを含む、プログラムを実行する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、自動変速機の制御装置に関し、特に、自動変速機の作動油の温度が高くなる過熱時において、この過熱を防止する自動変速機の制御装置に関する。
自動変速機の作動油の過熱対策として、たとえば自動変速機の作動油温が高くなる過熱時は、自動変速機の変速制御パターンを変速点が高車速側にずらせた変速パターンに切り換え、この油温上昇防止モードの変速パターンに基づき自動変速機を変速制御するようにしたものが知られている。この過熱対策によれば、自動変速機が低速段を選択し易くなって、無理のない伝動状態となり、結果として自動変速機の発熱量が減じられ、その過熱状態を解消することができる。
また、自動変速機の作動油の過熱対策として、たとえば自動変速機のトルクコンバータのトルク増大機能やトルク変動吸収機能が不要なロックアップ車速以上の車速域で、トルクコンバータをコンバータ状態からロックアップ状態にするようにした自動変速機において、ロックアップ車速を低下させるようにしたものが知られている。この過熱対策によれば、トルクコンバータをロックアップ状態になり易くすることにより、トルクコンバータの作動油攪拌による発熱を抑制するようにして、その過熱状態を解消することができる。
これらの自動変速機の作動油の過熱対策を、自動変速機の作動油温のみに基づいて実行すると、急勾配の長い登坂路で以下の問題が生ずる。このような走行状態においては、アクセルペダルを略一定のままに踏み込んだ状態で長時間に亘って高負荷運転し続ける場合以外は、通常程度の長さの登坂路走行も含めて、アクセルペダル操作量を頻繁に変化させながら走行するため、また登坂路が長時間続くことがないため、トルクコンバータのスリップ量が長時間に亘って大きくされたままになることがない。従って、自動変速機が一旦過熱気味になることがあったとしても、一時的なもので、過熱対策を行なわなくても自動変速機の過熱状態はまもなくのうちに解消される場合もある。自動変速機の作動油温のみに基づいて、油温が過熱を示す高温になると直ちに過熱対策を実行すると、実際には通常走行において不必要な過熱対策が頻繁に行なわれる。このため、低速段を多用することからNV(Noise Vibration)の悪化や、ロックアップクラッチの係合を多用することによる動力性能の悪化や、変速ショックの悪化が発生する。
特開平7−229556号公報(特許文献1)は、自動変速機の過熱対策制御を、本当に過熱が懸念される運転状態に限って行なわせ、それ以外の運転状態で不要に過熱対策制御がなされて、運転性が悪化するのを防止する自動変速機の過熱対策装置を開示する。この自動変速機の過熱対策装置は、過熱検知手段により、自動変速機の作動流体温度が自動変速機の過熱を表す設定温度以上であることが検知される間、自動変速機を、発熱量が減少する制御状態にする自動変速機の過熱対策装置であって、自動変速機に動力を入力する原動機の負荷状態の変化程度が基準よりも少ない原動機の安定負荷状態を検知する安定負荷状態検知手段を設け、安定負荷状態検知手段により原動機の安定負荷状態が検知される間のみ、過熱検知手段からの信号に応答した過熱対策装置による自動変速機の過熱対策制御がなされるよう構成した。
この自動変速機の過熱対策装置によると、基本的には、自動変速機の作動流体温度が自動変速機の過熱を表わす設定温度以上である時、この過熱を検知する過熱検知手段からの信号に応答して過熱対策装置は自動変速機を、発熱量が減少する制御状態にする。しかし、安定負荷状態検知手段が、原動機の負荷状態の変化程度から原動機の安定負荷状態を検知する時に限って、過熱対策装置による自動変速機の過熱対策制御を実行させ、原動機の安定負荷状態以外では、この制御を行わせない。従って、車両を急勾配の長い登坂路で走行させる場合のように、アクセルペダルを略一定のままに踏み込んだ状態で長時間に亘り高負荷運転し続け、トルクコンバータのスリップ量が長時間に亘って大きくされたままに保たれる場合に限り、つまり本当に自動変速機の過熱が懸念される走行状態でのみ、自動変速機の過熱対策制御が実行されることとなり、自動変速機の過熱対策機能を有効に働かせることができる。そして、原動機が安定負荷状態にされる以外の通常の走行状態では、たとえ一時的に作動流体温度が高温になることがあっても、自動変速機の過熱対策制御を行わないことから、不要な過熱対策制御によるショックが発生して運転性が悪化するといった従来装置の問題を解消できる。
特開平7−229556号公報
しかしながら、特許文献1に開示された自動変速機の過熱対策装置では、安定負荷状態検知手段が、原動機の負荷状態の変化程度から原動機の安定負荷状態を検知する時に限って、過熱対策装置による自動変速機の過熱対策制御を実行させる。より具体的には、スロットル開度に基づいて、スロットル開度の変化が少ない時は、たとえば、急勾配の長い登坂路を走行していると判断する。このような判断が行なわれた場合のみ、本当に過熱が懸念される運転状態であると判断して、過熱対策制御を実行させる。
これでは、スロットル開度のみによって車両の走行状態を推定して、過熱対策が行なわれることになる。そのため、この推定が正しくない場合、すなわちスロットル開度のみにより推定されるため、本当に過熱対策制御が必要な長い登坂路であるか否かの判定は困難である。このような場合には、過熱対策制御を開始する温度条件は、できる限り安全側に設定されることになる。その結果、スロットル開度の変化が少ない時は、たとえば、急勾配の長い登坂路を走行していると判断されると、低めの油温であっても過熱対策制御が行なわれ、ドライバビリティの悪化(低速段の多用、ロックアップクラッチ係合多用による動力性能悪化)を招くことがある。
また、スロットル開度のみによっては、たとえ車両が登坂路を走行していることが推定できても、その登坂路がこれから先において、どの程度続くのかは、全く不明である。そのため、登坂路が長く続かない場合であっても、過熱対策制御が行なわれ、ドライバビリティの悪化を招くことがある。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、的確に作動油の過熱対策を行なうことにより、ドライバビリティの悪化をできる限り回避することができる、自動変速機の制御装置を提供することである。
第1の発明に係る自動変速機の制御装置は、自動変速機の作動油温が予め定められた値を越えると、作動油の油温の上昇を抑制するように自動変速機を制御するための制御手段と、車両の走行場所に関する情報を取得するナビゲーション装置と、走行場所に関する情報に基づいて、作動油の上昇度合いを表わす指標を算出するための算出手段と、指標に基づいて、予め定められた値を変更するための変更手段とを含む。
第1の発明によると、制御手段は、自動変速機の作動油温が予め定められた値を越えると、作動油の油温の上昇を抑制するように自動変速機を制御、たとえば、アップシフトを避けて低速側の変速ギヤ段を継続して用いる制御や、ロックアップクラッチが係合状態(ロックアップクラッチがオン状態)になりやすくするロックアップ領域を拡大する制御の一方または双方を組み合わせて行なう。変更手段は、このような制御を行ない始める自動変速機の作動油のしきい値(予め定められた値)を変更する。このとき、変更手段は、走行場所に関する情報に基づいて算出された作動油の上昇度合いを表わす指標に基づいて、しきい値を変更する。たとえば、ナビゲーション装置により取得された情報に基づいて、この先も登坂路が続く場合には作動油の上昇度合いが高くなるような指標が算出されて、しきい値が低く変更されて、そうではない場合には作動油の上昇度合いが低くなるような指標が算出されて、しきい値が高く変更される。これにより、登坂路が続くというナビゲーション装置からの情報に基づいて、作動油の油温が低めであっても(油温が実際に上昇する前に)、作動油の油温の上昇を抑制するように自動変速機を制御することができる。このようにすると、作動油の油温上昇の度合いを推定して、作動油の上昇抑制のための制御が本当に必要な場合にのみ、作動油温の上昇抑制のための制御を実行することができる。その結果、的確に作動油の過熱対策を行なうことにより、ドライバビリティの悪化をできる限り回避することができる、自動変速機の制御装置を提供することができる。
第2の発明に係る自動変速機の制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、制御手段は、ロックアップクラッチのロックアップ領域拡大およびアップシフト変速の禁止の少なくともいずれかを行なうように自動変速機を制御するための手段を含む。
第2の発明によると、ロックアップクラッチのロックアップクラッチ領域を拡大すると、ロックアップクラッチがオン状態になる領域が拡大される。ロックアップクラッチがオン状態では、トルクコンバータの作動油が攪拌されることがないので、作動油の油温の上昇を抑制できる。また、自動変速機の低速側の変速ギヤ段を用いると、低速側の方がトルクコンバータにおける滑りが少なくなって発熱量が下がり、作動油の油温の上昇を抑制できる。
第3の発明に係る自動変速機の制御装置は、自動変速機の作動油の油温の上昇を抑制するように自動変速機を制御するための制御手段と、車両の走行場所に関する情報を取得するナビゲーション装置と、走行場所に関する情報に基づいて、作動油の上昇度合いを表わす指標を算出するための算出手段とを含む。この制御手段は、指標に基づいて、ロックアップクラッチのロックアップ領域拡大およびアップシフト変速の禁止の少なくともいずれかを行なうように自動変速機を制御するための手段を含む。
第3の発明によると、制御手段は、作動油の油温の上昇を抑制するために、アップシフトを避けて低速側の変速ギヤ段を継続して用いる制御や、ロックアップクラッチが係合状態(ロックアップクラッチがオン状態)になりやすくするロックアップ領域を拡大する制御の一方または双方を組み合わせて行なう。このとき、制御手段は、走行場所に関する情報に基づいて算出された作動油の上昇度合いを表わす指標に基づいて、このような制御を実行する。たとえば、ナビゲーション装置により取得された情報に基づいて、この先も登坂路が続く場合には作動油の上昇度合いが高くなるような指標が算出されて、このような制御を行ないやすくして、そうではない場合には作動油の上昇度合いが低くなるような指標が算出されて、このような制御が行なわれにくくされる。これにより、登坂路が続くというナビゲーション装置からの情報に基づいて、作動油の油温の上昇を抑制するように自動変速機を制御することができる。このようにすると、作動油の油温上昇の度合いを推定して、作動油の上昇抑制のための制御が本当に必要な場合にのみ、作動油温の上昇抑制のための制御を実行することができる。その結果、的確に作動油の過熱対策を行なうことにより、ドライバビリティの悪化をできる限り回避することができる、自動変速機の制御装置を提供することができる。
第4の発明に係る自動変速機の制御装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、算出手段は、現時点から先の時点において、車両が走行する路面における勾配とその距離とに基づいて、指標を算出するための手段を含む。
第4の発明によると、油温上昇を抑制するための制御に用いられる指標は、車両が走行する路面における勾配とその距離とに基づいて(たとえば、車両が走行する路面における勾配とその距離とを乗算して)、算出される。このようにすると、的確な指標を算出することができる。
第5の発明に係る自動変速機の制御装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、算出手段は、現時点からナビゲーション装置に設定された目的地までにおいて、車両が走行する路面における勾配とその距離とに基づいて、指標を算出するための手段を含む。
第5の発明によると、油温上昇を抑制するための制御に用いられる指標は、現時点からナビゲーション装置に設定された目的地までにおいて、車両が走行する路面における勾配とその距離とに基づいて(たとえば、車両が走行する目的地までの平均勾配と目的地までの距離とを乗算して)、算出される。このようにすると、的確な指標を算出することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
本実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る自動変速機の制御装置は、図1に示すECU(Electronic Control Unit)1000により実行されるプログラムにより実現される。本実施の形態では、自動変速機を、流体継手としてトルクコンバータを備えた、歯車式変速機構を有する自動変速機として説明する。なお、本発明は、歯車式変速機構を有する自動変速機に限定されるものではなく、たとえばベルト式などの無段変速機であってもよい。
本実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る自動変速機の制御装置は、図1に示すECU(Electronic Control Unit)1000により実行されるプログラムにより実現される。本実施の形態では、自動変速機を、流体継手としてトルクコンバータを備えた、歯車式変速機構を有する自動変速機として説明する。なお、本発明は、歯車式変速機構を有する自動変速機に限定されるものではなく、たとえばベルト式などの無段変速機であってもよい。
図1を参照して、本実施の形態に係る制御装置を含む車両のパワートレーンについて説明する。本実施の形態に係る制御装置は、詳しくは、図1に示すECT(Electronic Controlled Automatic Transmission)_ECU1020により実現される。
図1に示すように、この車両のパワートレーンは、エンジン100と、トルクコンバータ200と、自動変速機300と、ECU1000とから構成される。
エンジン100の出力軸は、トルクコンバータ200の入力軸に接続される。エンジン100とトルクコンバータ200とは回転軸により連結されている。したがって、エンジン回転数センサにより検知されるエンジン100の出力軸回転数NE(エンジン回転数NE)とトルクコンバータ200の入力軸回転数(ポンプ回転数)とは同じである。
トルクコンバータ200は、入力軸と出力軸とを直結状態にするロックアップクラッチと、入力軸側のポンプ羽根車と、出力軸側のタービン羽根車と、ワンウェイクラッチを有しトルク増幅機能を発現するステータとから構成される。トルクコンバータ200と自動変速機300とは、回転軸により接続される。トルクコンバータ200の出力軸回転数NT(タービン回転数NT)は、タービン回転数センサにより検知される。自動変速機300の出力軸回転数NOUTは、出力軸回転数センサにより検知される。
このような自動変速機300は、その内部に複数の摩擦要素であるクラッチやブレーキを備える。予め定められた作動表に基づいて、摩擦要素であるクラッチ要素(たとえばクラッチC1〜C4)や、ブレーキ要素(たとえばブレーキB1〜B4)、ワンウェイクラッチ要素(たとえばワンウェイクラッチF0〜F3)が、要求された各ギヤ段に対応して、係合および解放されるように油圧回路が制御される。自動変速機300の変速ポジション(シフトポジション)には、パーキング(P)ポジション、後進走行(R)ポジション、ニュートラル(N)、前進走行(D)ポジションがある。
これらのパワートレーンを制御するECU1000は、エンジン100を制御するエンジンECU1010と、自動変速機300を制御するECT_ECU1020とを含む。
ECT_ECU1020には、出力軸回転数センサにて検知された出力軸回転数NOUTを表わす信号が入力される。また、ECT_ECU1020には、エンジンECU1010から、エンジン回転数センサにて検知されたエンジン回転数NEを表わすエンジン回転数信号が入力される。
これら回転数センサは、トルクコンバータ200の入力軸、トルクコンバータ200の出力軸および自動変速機300の出力軸に取り付けられた回転検出用ギヤの歯に対向して設けられている。これらの回転数センサは、トルクコンバータ200の入力軸、トルクコンバータ200の出力軸および自動変速機300の出力軸の僅かな回転の検出も可能なセンサであり、たとえば、一般的に半導体式センサと称される磁気抵抗素子を使用したセンサである。
さらに、ECT_ECU1020は、エンジンECU1010にエンジン制御信号(たとえばスロットル開度信号)を出力し、エンジンECU1010は、そのエンジン制御信号や他の制御信号に基づいてエンジン100を制御する。ECT_ECU1020は、トルクコンバータ200のロックアップクラッチ制御信号を出力する。このロックアップクラッチ制御信号に基づいて、ロックアップクラッチの係合圧が制御される。これにより、ロックアップクラッチが、係合(オン)状態にされたり、解放(オフ)状態にされたり、その中間のスリップ状態にされたりする。
また、ECT_ECU1020は、自動変速機300にソレノイド制御信号を出力する。このソレノイド制御信号に基づいて、自動変速機300の油圧回路のリニアソレノイドバルブやオンオフソレノイドバルブなどが制御され、所定の変速ギヤ段(たとえば第1速〜第5速)を構成するように、摩擦係合要素が係合および解放されるように制御される。
また、ECT_ECU1020には、自動変速機300から自動変速機の作動油の油温を示すAT油温信号が、ナビゲーションシステム2200から現在の車両の位置を表わす信号や地図情報の一部が、それぞれ入力される。また、ECU1000は、各種データやプログラムが記憶されたメモリを有する。
図2を参照して、本実施の形態に係る制御装置であるECU1000のメモリに記憶される、指標と高温油温制御実行しきい値との関係について説明する。なお、図2に示す数値は一例であって、本発明がこの図2に示す数値に限定されるものではない。
後述するように、指標Xは、路面勾配とその距離とにより算出され、この指標Xは、自動変速機300の作動油の油温がこれから上昇する度合いを示す。図2に示すように、この指標Xが大きいほど、高温油温制御を開始する実行しきい値(油温)が低くなるように記憶されている。すなわち、現在走行している登坂路の傾斜が急であって距離が長いと指標Xが大きくなる。このような場合には、自動変速機300の作動油の油温の急激に大きな上昇が見込まれる。そこで、このような場合には、作動油の油温の上昇対策である高温油温制御を、予め作動油の油温が低い状態から開始する。
一方、現在走行している、登坂路の傾斜が急でなくて距離も短いと、指標Xが大きくならない。このような場合には、自動変速機300の作動油の油温の急激に大きな上昇が見込まれない。そこで、このような場合には、作動油の油温の上昇対策である高温油温制御を、予め作動油の油温が低い状態から開始しない。
さらに、現在走行している、上記した状態の中間の状態である、登坂路の傾斜が急であっても距離が短い、または登坂路の傾斜が急でないが距離は長いと、指標Xが上記の状態の指標Xの中間の値となる。このような場合には、作動油の油温の上昇対策である高温油温制御を、作動油の油温が上記した状態の中間の状態から開始する。
図3を参照して、本実施の形態に係る制御装置であるECU1000のECT_ECU1020で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略して記載する)100にて、ECT_ECU1020は、ナビゲーションシステム2200からの現在位置情報と地図情報の一部(この先の登坂路情報)を取得する。このとき、ナビゲーションシステム2200に目的地が設定されている場合には、その目的地に関する情報(目的地までの平均路面勾配や目的地までの距離)も取得する。
S110にて、ECT_ECU1020は、取得した現在位置情報と地図情報とに基づいて、車両が登坂路に向かって走行中であるか否かを判断する。車両が登坂路に向かって走行中であると判断されると(S110にてYES)、処理はS120へ移される。もしそうでないと、この処理は終了する。なお、ナビゲーションシステム2200から登坂路に接近中であるという情報を取得するようにしてもよい。
S120にて、ECT_ECU1020は、自動変速機300からのAT油温信号に基づいて、自動変速機300の作動油の油温を検知する。S130にて、ECT_ECU1020は、検知した自動変速機300の作動油の油温がしきい値よりも大きいか否かを判断する。自動変速機300の作動油の油温がしきい値よりも大きいと判断されると(S120にてYES)、処理はS140へ移される。もしそうでないと、この処理は終了する。
S140にて、ECT_ECU1020は、ナビゲーションシステム2200に目的地が設定されているか否かを判断する。ナビゲーションシステム2200に目的地が設定されていると(S140にてYES)、処理はS150へ移される。もしそうでないと、処理はS160へ移される。
S150にて、ECT_ECU1020は、指標X=(目的地までの平均勾配×目的地までの距離)として算出する。S160にて、ECT_ECU1020は、指標X=(この登坂路における平均勾配×この登坂路の距離)として算出する。S150およびS160における処理の後、処理は、S170へ移される。
S170にて、ECT_ECU1020は、算出された指標Xに応じて、図2に示すマップから高温油温制御実行しきい値を変更する。高温油温制御は、自動変速機300の作動油の油温上昇を抑制するために、たとえばロックアップクラッチがオン状態とされたり、ロックアップクラッチ領域が拡大されたり、自動変速機のアップシフトを禁止して低速側の変速ギヤ段が用いられたりする。このようにすると、ロックアップクラッチがオン状態では、トルクコンバータの作動油が攪拌されることがないので、作動油の油温の上昇を抑制できる。また、自動変速機の低速側の変速ギヤ段を用いると、低速側の方がトルクコンバータにおける滑りが少なくなって発熱量が下がり、作動油の油温の上昇を抑制できる。また、高温油温制御は、これらを適宜組合わせてもよい。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る自動変速機の制御装置であるECT_ECU1020の動作について説明する。
車両が走行中にナビゲーションシステム2200から取得した現在位置情報と地図情報とに基づいて、登坂路に向かって走行中であると判断されると(S110にてYES)、自動変速機300の作動油の油温が検知される(S120)。
この油温がしきい値よりも高く(S130にてYES)、ナビゲーションシステム2200に目的地が設定されていると(S140にてYES)、指標Xが(目的地までの平均勾配×目的地までの距離)として算出される(S150)。
また、油温がしきい値よりも高く(S130にてYES)、ナビゲーションシステム2200に目的地が設定されていないと(S140にてNO)、指標Xが(この登坂路における平均勾配×この登坂路の距離)として算出される(S160)。
算出された指標Xと図2に示すマップとに基づいて、高温油温制御実行しきい値が変更される(S170)。
以上のようにして、本実施の形態に係る自動変速機の制御装置であるECT_ECUによると、自動変速機の油温がしきい値以上で、登坂路に向かっている時に、これから先における、目的地までの平均勾配および目的地までの距離、またはこの先の登坂路の勾配およびその勾配の距離に基づいて、自動変速機の油温上昇の予測上昇度合いである指標Xが算出される。この指標に基づいて、油温が上昇すると予測される度合いが大きいほど低めの油温から高温油温制御を行なう。油温が上昇すると予測される度合いが小さいと高めの油温から高温油温制御を行なう。これにより、登坂路が長く続かない場合であっても、過熱対策制御が行なわれて、ドライバビリティの悪化を招くことを避けることができる。その結果、的確に作動油の過熱対策を行なうことにより、ドライバビリティの悪化をできる限り回避することができる。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る自動変速機の制御装置について説明する。本実施の形態に係る自動変速機の制御装置は、第1の実施の形態と同じ図1に示すECU1000により実行されるプログラムにより実現される。第1の実施の形態に係る制御装置は、指標Xにより高温油温制御実行しきい値を変更する制御装置であったのに対して、第2の実施の形態に係る制御装置は、指標Xにより高温油温制御の内容を変更する制御装置である点が異なる。その他のハードウェア構成は前述の第1の実施の形態と同じであるため、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
以下、本発明の第2の実施の形態に係る自動変速機の制御装置について説明する。本実施の形態に係る自動変速機の制御装置は、第1の実施の形態と同じ図1に示すECU1000により実行されるプログラムにより実現される。第1の実施の形態に係る制御装置は、指標Xにより高温油温制御実行しきい値を変更する制御装置であったのに対して、第2の実施の形態に係る制御装置は、指標Xにより高温油温制御の内容を変更する制御装置である点が異なる。その他のハードウェア構成は前述の第1の実施の形態と同じであるため、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
図4を参照して、本実施の形態に係る制御装置であるECU1000のメモリに記憶される、指標と高温油温制御の制御内容との関係について説明する。なお、図4に示す数値は一例であって、本発明がこの図4に示す数値に限定されるものではない。
第1の実施の形態と同じく、指標Xは、路面勾配とその距離とにより算出され、この指標Xは、自動変速機300の作動油の油温がこれから上昇する度合いを示す。図4に示すように、この指標Xが小さい(〜10)と、ロックアップクラッチ領域を拡大するという制御を高温油温制御として実行する。また、この指標Xが中ぐらい(10〜20)であると、アップシフトを禁止するという制御を高温油温制御として実行する。さらに、この指標Xが高い(20〜)と、ロックアップクラッチ領域を拡大かつアップシフトを禁止するという制御を高温油温制御として実行する。
図5に示すように、ロックアップクラッチ領域の拡大とは、エンジン回転数とスロットル開度とで規定されるロックアップクラッチ係合線を広げることである。ロックアップクラッチがオン(係合)状態では、トルク増幅機能は発現しなくなるが、トルクコンバータの作動油が攪拌されることがないので、作動油の油温の上昇を抑制できる。
図6を参照して、本実施の形態に係る制御装置であるECU1000のECT_ECU1020で実行されるプログラムの制御構造について説明する。なお、図6に示すフローチャートにおいて前述の図3のフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付している。その処理の内容も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。図6における図3との相違点は、図3のS170の処理の代わりに、図6ではS270の処理が行なわれることである。
S270にて、ECT_ECU1020は、算出された指標Xに応じて、図4に示すマップから高温油温制御の制御の内容を変更する。高温油温制御は、自動変速機300の作動油の油温上昇を抑制するために、その効果の大きな順に、1)ロックアップクラッチ領域の拡大してロックアップクラッチを係合状態として使用、2)自動変速機のアップシフトを禁止して低速側の変速ギヤ段を使用、3)上記1)と2)とを併わせて使用、となる。このため、指標Xの小さい順に、上記1)、2)、3)の順で、高温油温制御として実行する。
以上のようにして、本実施の形態に係る自動変速機の制御装置であるECT_ECUによると、自動変速機の油温がしきい値以上で、登坂路に向かっている時に、これから先における、目的地までの平均勾配および目的地までの距離、またはこの先の登坂路の勾配およびその勾配の距離に基づいて、自動変速機の油温上昇の予測上昇度合いである指標Xが算出される。この指標に基づいて、作動油の油温が高温になることを抑制する制御の内容を変更して実行する。その結果、的確な作動油の過熱対策を行なうことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 エンジン、200 トルクコンバータ、300 自動変速機、1000 ECU、1010 エンジンECU、1020 ECT_ECU、2200 ナビゲーションシステム。
Claims (5)
- 自動変速機の作動油温が予め定められた値を越えると、前記作動油の油温の上昇を抑制するように前記自動変速機を制御するための制御手段と、
車両の走行場所に関する情報を取得するナビゲーション装置と、
前記走行場所に関する情報に基づいて、前記作動油の上昇度合いを表わす指標を算出するための算出手段と、
前記指標に基づいて、前記予め定められた値を変更するための変更手段とを含む、自動変速機の制御装置。 - 前記制御手段は、ロックアップクラッチのロックアップ領域拡大およびアップシフト変速の禁止の少なくともいずれかを行なうように自動変速機を制御するための手段を含む、請求項1に記載の自動変速機の制御装置。
- 自動変速機の作動油の油温の上昇を抑制するように前記自動変速機を制御するための制御手段と、
車両の走行場所に関する情報を取得するナビゲーション装置と、
前記走行場所に関する情報に基づいて、前記作動油の上昇度合いを表わす指標を算出するための算出手段とを含み、
前記制御手段は、前記指標に基づいて、ロックアップクラッチのロックアップ領域拡大およびアップシフト変速の禁止の少なくともいずれかを行なうように自動変速機を制御するための手段を含む、自動変速機の制御装置。 - 前記算出手段は、現時点から先の時点において、車両が走行する路面における勾配とその距離とに基づいて、前記指標を算出するための手段を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
- 前記算出手段は、現時点から前記ナビゲーション装置に設定された目的地までにおいて、車両が走行する路面における勾配とその距離とに基づいて、前記指標を算出するための手段を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の自動変速機の制御装置。
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